JP2019210222A - 水中油型乳化組成物及びその製造方法 - Google Patents

水中油型乳化組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】輸液と混合した場合に得られる混合液が透明又は半透明となる、水中油型乳化組成物及びその製造方法の提供すること。【解決手段】リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含み、トリグリセリドの含有率が水中油型乳化組成物の全質量に対して0.5質量%を超え20質量%以下であり、トリグリセリドの含有率に対する非イオン界面活性剤の含有率の質量比が0.4〜2.5であり、トリグリセリドの含有率に対するリン脂質の含有率の質量比が0.05〜0.7であり、pHが7〜10であり、乳化粒子の平均粒子径が100nm以下である、水中油型乳化組成物及びその製造方法。【選択図】なし

Description

本開示は、水中油型乳化組成物及びその製造方法に関する。
従来、医薬品として、リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含む水中油型乳化組成物が知られている。この水中油型乳化組成物は、脂肪乳剤と呼ばれることもある。
例えば、特許文献1には、ブチルフタリド、リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含むブチルフタリド静脈内エマルジョンが開示されている。
特許文献2及び3には、ビンカアルカロイド又はその塩、リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含む水中油型エマルション注射液が開示されている。
特開2012−193206号公報 中国特許出願公開第102159187号明細書 中国特許出願公開第101879138号明細書
リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含む水中油型乳化組成物は、輸液と混合した場合に得られる混合液(即ち、水中油型乳化組成物と輸液との混合液)に濁りが発生することがあった。この混合液で発生する濁りは、主に、水中油型乳化組成物に含まれていた乳化粒子の粒子径増大に起因しているものと考えられる。
ここで、「輸液」とは、電解質、栄養素等を含み、静脈、皮下等から体内へと投与するために用いる液体(輸液剤又は輸液製剤とも呼ばれる)を指す。
上記の混合液中で乳化粒子の粒子径が増大することは、混合液が静脈等から体内に投与されることを考慮すると、望ましくない。また、上記の混合液に濁りが生じると異物等の視認が困難になるため、この点においても、混合液の濁りは望ましくない。
以上のことから、リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含む水中油型乳化組成物は、輸液と混合した場合に得られる混合液が透明又は半透明となるものであることが望ましい。
特許文献1〜特許文献3に記載の水中油型乳化組成物については、輸液との混合した場合に得られる混合液に濁りが発生することに関する記載はなく、また、輸液と混合した場合に、水中油型乳化組成物に含まれていた乳化粒子の粒子径が増大することについても何ら言及していない。
そこで、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、輸液と混合した場合に得られる混合液が透明又は半透明となる、水中油型乳化組成物及びその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含み、
トリグリセリドの含有率が水中油型乳化組成物の全質量に対して0.5質量%を超え20質量%以下であり、
トリグリセリドの含有率に対する非イオン界面活性剤の含有率の質量比が0.4〜2.5であり、
トリグリセリドの含有率に対するリン脂質の含有率の質量比が0.05〜0.7であり、
pHが7〜11であり、
乳化粒子の平均粒子径が100nm以下である、水中油型乳化組成物。
<2> トリグリセリドの含有率が、水中油型乳化組成物の全質量に対して1質量%以上20質量%以下である、<1>に記載の水中油型乳化組成物。
<3> トリグリセリドが、植物油及び中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる群より選択される少なくとも1種である、<1>又は<2>に記載の水中油型乳化組成物。
<4> トリグリセリドがダイズ油である、<1>〜<3>のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物。
<5> リン脂質がレシチンである、<1>〜<4>のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物。
<6> リン脂質が卵黄レシチンである、<1>〜<5>のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物。
<7> 非イオン界面活性剤が、炭素数5〜22の炭化水素基を有する非イオン界面活性剤である、<1>〜<6>のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物。
<8> 非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレン鎖を有する非イオン界面活性剤である、<1>〜<7>のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物。
<9> 非イオン界面活性剤がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である、<1>〜<8>のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物。
<10> 更に脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>〜<9>のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物。
<11> 脂肪酸及びその塩が、オレイン酸及びオレイン酸ナトリウムである、<10>に記載の水中油型乳化組成物。
<12> 注射用である、<1>〜<11>のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物。
<13> <1>〜<12>のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物の製造方法であって、
リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含み、トリグリセリドの含有率Aが混合液の全質量に対して5質量%〜40質量%である混合液を調製する工程aと、
工程aにて調製された混合液を乳化することにより乳化液を得る工程bと、
工程bの後又は工程bの途中で、乳化液中のトリグリセリドの含有率Bを、トリグリセリドの含有率A>トリグリセリドの含有率Bの関係を満たし、かつ、乳化液の全質量に対して0.5質量%を超え20質量%以下に調整する工程cと、
工程cにてトリグリセリドの含有率を調整した後の乳化液を加熱する工程dと、
を有する、水中油型乳化組成物の製造方法。
本発明の実施形態によれば、輸液と混合した場合に得られる混合液が透明又は半透明となる、水中油型乳化組成物及びその製造方法が提供される。
以下、本開示の水中油型乳化組成物について説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
<水中油型乳化組成物>
本開示の水中油型乳化組成物は、リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含み、トリグリセリドの含有率が水中油型乳化組成物の全質量に対して0.5質量%を超え20質量%以下であり、トリグリセリドの含有率に対する非イオン界面活性剤の含有率の質量比が0.4〜2.5であり、トリグリセリドの含有率に対するリン脂質の含有率の質量比が0.05〜0.7であり、pHが7〜11であり、乳化粒子の平均粒子径が100nm以下である、水中油型乳化組成物である。
本開示の水中油型乳化組成物は、輸液と混合した場合に得られる混合液が透明又は半透明となる。
つまり、本開示の水中油型乳化組成物は、輸液と混合して用いられる注射用としたとき、輸液と混合した場合に得られる混合液が濁りにくい。
ここで、「輸液と混合した場合に得られる混合液が透明又は半透明となる」ことは、本開示の水中油型乳化組成物を輸液に混合して得られる混合液の濁度にて示すことができる。このとき、混合液中のトリグリセリドの含有率は0.5質量%とする。濁度は、透明性の指標として使用でき、本開示では、光路長が1cmとなるセル中での波長620nmの吸光度に相当する。
本開示における「透明又は半透明」とは、上記の方法により分光光度計にて測定(例えば、日本分光(株)の分光光度計で測定)した濁度(即ち、光路長が1cmとなるセル中での波長620nmの吸光度)が0.3以下であることを指す。
リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含む水中油型乳化組成物は、乳化粒子の平均粒子径が100nm以下であっても、輸液と混合した場合に得られる混合液中にて乳化粒子の粒子径が増大し、混合液が濁ることがある。この混合液中の乳化粒子の粒子径の増大は、輸液に含まれる塩、アミノ酸等の影響を受けるためと推測される。
そこで、本発明者らは、リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含み、pHが7〜11であり、乳化粒子の平均粒子径が100nm以下である、水中油型乳化組成物について検討を行ったところ、水中油型乳化組成物の全質量に対するトリグリセリドの含有率、トリグリセリドの含有率に対する非イオン界面活性剤の含有率の質量比、及び、トリグリセリドの含有率に対するリン脂質の含有率の質量比のそれぞれについて特定の範囲とすることで、輸液と混合した場合に得られる混合液の濁りが抑制されることを見出した。
このように、本開示の水中油型乳化組成物が、輸液と混合した場合に得られる混合液の濁りが抑制され、混合液が透明又は半透明となる理由については、明白ではないが、以下のように推測される。
水中油型乳化組成物の全質量に対するトリグリセリドの含有率は、水中油型乳化組成物の形態を得る観点、平均粒子径が100nm以下の乳化粒子を得る観点等から決定されるものである。
そして、リン脂質はトリグリセリドを含む乳化粒子の形成に寄与し、非イオン界面活性剤が乳化粒子の安定化に寄与すると考えられ、トリグリセリドの含有率に対するリン脂質及び非イオン界面活性剤のそれぞれの含有比率を特定の範囲とすることで、乳化粒子の表面の少なくとも一部にて非イオン界面活性剤の親水性部分(例えば、ポリオキシエチレン鎖等)が露出する形態が形成されるものと推測される。その結果、非イオン界面活性剤の親水性部分の存在により、隣接する乳化粒子同士の立体反発が生じ、輸液と混合した場合に得られる混合液にて、乳化粒子の凝集による乳化粒子の粒子径増大が抑えられる。
また、以上のように、本開示の水中油型乳化組成物では、トリグリセリドの含有率に対するリン脂質及び非イオン界面活性剤のそれぞれの含有比率が重要であるため、本開示の水中油型乳化組成物中のトリグリセリドの含有率が特定の範囲内であれば、その含有率に関わらず、乳化粒子の凝集による乳化粒子の粒子径増大が抑えられるといった効果が得られるものと推測される。
したがって、本開示の水中油型乳化組成物によれば、輸液と混合した場合に得られる混合液が透明又は半透明となると考えられる。
以下、本開示の水中油型乳化組成物における各成分について詳細に説明する。
本開示の水中油型乳化組成物は、リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含む。
[リン脂質]
本開示の水中油型乳化組成物は、リン脂質を含む。
本開示の水中油型乳化組成物に含まれるリン脂質は、主に、トリグリセリドを含む乳化粒子の形成に寄与する。
リン脂質の例としては、天然物由来のリン脂質であるレシチンを挙げることができる。
レシチンとは、ホスファチジルコリン自体、又は、少なくともホスファチジルコリンを含む混合物である。
少なくともホスファチジルコリンを含む混合物とは、一般的に、ホスファチジルコリンの他に、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、N−アシルホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジン酸、スフィンゴミエリン、スフィンゴエタノールアミン等を含み得る混合物である。
本開示におけるレシチンとしては、ホスファチジルコリンを含み、かつ、ホスファチジルコリンの含有率が80質量%以上のレシチンが好ましい。
レシチンの例としては、卵黄レシチン、大豆レシチン、綿実レシチン、菜種レシチン、トウモロコシレシチン、水添卵黄レシチン、水添大豆レシチン等が挙げられる。
本開示において、「卵黄レシチン」とは、卵黄由来のレシチンを意味し、「大豆レシチン」とは、大豆由来のレシチンを意味し、「綿実レシチン」とは、綿実由来のレシチンを意味し、「菜種レシチン」とは、菜種由来のレシチンを意味し、「トウモロコシレシチン」とは、トウモロコシ由来のレシチンを意味する。
リン脂質は、天然物由来のリン脂質に限定されず、化学合成したリン脂質でもよい。
化学合成したリン脂質の例には、ホスファチジルコリン(ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリンなど)、ホスファチジルグリセロール(ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロールなど)、ホスファチジルエタノールアミン(ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミンなど)等が含まれる。
本開示におけるリン脂質としては、生体適合性の観点から、レシチンが好ましく、卵黄レシチン及び大豆レシチンから選択される少なくとも1種がより好ましく、卵黄レシチンが更に好ましい。
卵黄レシチンとしては、卵黄レシチンを精製して得られる精製卵黄レシチン又は高度精製卵黄レシチンが好ましい。
リン脂質としては、市販品を用いることができる。
リン脂質の市販品としては、卵黄レシチンPL100−M(商品名;精製卵黄レシチン、キューピー(株))、卵黄レシチンPC−98N〔商品名;高度精製卵黄レシチン、キューピー(株)〕、卵黄レシチンLipoid E80〔商品名;精製卵黄レシチン、エイチ・ホルスタイン(株)〕等が挙げられる。
本開示の水中油型乳化組成物は、リン脂質を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
本開示の水中油型乳化組成物におけるリン脂質の含有率は、トリグリセリドの含有率に対する質量比(即ち、リン脂質の含有率/トリグリセリドの含有率)が0.05〜0.7であり、0.1〜0.6が好ましく、0.1〜0.5がより好ましい。
リン脂質の含有率/トリグリセリドの含有率が0.05以上であることで、微細な乳化粒子が得られる。
また、リン脂質の含有率/トリグリセリドの含有率が0.7以下であることで、リン脂質由来の析出物、沈殿物等による濁りの発生を抑制しうる。
[トリグリセリド]
本開示の水中油型乳化組成物は、トリグリセリドを含む。
本開示の水中油型乳化組成物におけるトリグリセリドは、乳化粒子に含まれる。
トリグリセリドは、1分子のグリセリンに3分子の脂肪酸がエステル結合したアシルグリセロールである。
本開示において、トリグリセリドは、中鎖脂肪酸トリグリセリドであってもよく、長鎖脂肪酸トリグリセリドであってもよいが、入手容易性の観点から、長鎖脂肪酸トリグリセリドとしての植物油及び中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。また、微細な乳化粒子を形成し得るとの観点から、トリグリセリドとしては、長鎖脂肪酸トリグリセリドとしての植物油が好ましい。
本開示において、「中鎖脂肪酸トリグリセリド」とは、脂肪酸鎖の平均炭素数が6以上12以下であるトリグリセリドを意味する。
脂肪酸鎖の平均炭素数は、トリグリセリドを構成する脂肪酸(即ち、構成脂肪酸)の炭素数(例えば、カプリル酸(IUPAC系統名:オクタン酸)であれば8、カプリン酸(IUPAC系統名:デカン酸)であれば10、ラウリン酸(IUPAC系統名:ドデカン酸)であれば12))を構成脂肪酸の組成比によって加重平均したものである。構成脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよく、好ましくは飽和脂肪酸である。中鎖脂肪酸トリグリセリドは、天然物由来であってもよく、合成脂肪酸のトリグリセリドであってもよい。
本開示において、「長鎖脂肪酸トリグリセリド」とは、脂肪酸鎖の平均炭素数が12を超えるトリグリセリドを意味する。
長鎖脂肪酸トリグリセリドとしては、脂肪酸鎖の平均炭素数が14以上24以下の長鎖脂肪酸トリグリセリドが好ましい。
長鎖脂肪酸トリグリセリドの構成脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。長鎖脂肪酸トリグリセリドは、天然の長鎖脂肪酸トリグリセリドに相当する植物油であってもよく、天然の長鎖脂肪酸トリグリセリドに相当する動物油であってもよく、合成脂肪酸のトリグリセリドであってもよい。
例えば、融点が低く水中油型乳化組成物の乳化安定性が高いという観点から、長鎖脂肪酸トリグリセリドとしては、植物油がより好ましい。
長鎖脂肪酸トリグリセリドとしての植物油は、植物の種子又は堅果由来の油分であり、ダイズ油、綿実油、菜種油、ゴマ油、サフラワー油、コーン油、落花生油、オリーブ油、ヤシ油、シソ油、ヒマシ油、ローズ油等が挙げられる。植物油の中でも、注射用途への使用実績の観点から、ダイズ油、ゴマ油、及びオリーブ油からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、入手容易性の観点から、ダイズ油がより好ましい。
長鎖脂肪酸トリグリセリドとしての動物油は、動物又は魚由来の油脂分であり、具体例としては、牛脂、豚脂、鯨油、魚油等が挙げられる。
トリグリセリドとしては、市販品を用いることができる。
中鎖脂肪酸トリグリセリドの市販品の例としては、Sasol社の「Miglyol(登録商標) 812」(トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)、「Miglyol(登録商標) 810」(トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)、花王(株)の「ココナード(登録商標) RK」(トリカプリル酸グリセリル)、「ココナード(登録商標) MT」(トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)、「ココナード(登録商標) MT−N」(トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)、「ココナード(登録商標) ML」(トリ(カプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸)グリセリル)等、高級アルコール工業(株)の「TCG−M」(トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル))、日清オイリオ(株)の「O.D.O」(トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル))、クローダジャパン(株)の「クロダモル(登録商標) GTCC」(トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル))等、日油(株)の「パセナート(登録商標) 810」(トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)などが挙げられる。
長鎖脂肪酸トリグリセリドの市販品の例としては、カネダ(株)の「日本薬局方 ダイズ油」(トリグリセリドの含有率:97質量%)、「日本薬局方 ヒマシ油(商品名)」、「日本薬局方 精製ダイズ油(商品名)」、「日本薬局方 精製オリブ油(商品名)」、「日本薬局方 オリブ油(商品名)」、「日本薬局方 ナタネ油(商品名)」等、Croda社の「Super Refined Soybean(商品名)」、Super Refined Olive(商品名)」、「Super Refined Sesame(商品名)」などが挙げられる。
本開示の水中油型乳化組成物は、トリグリセリドを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の水中油型乳化組成物におけるトリグリセリドの含有率は、水中油型乳化組成物の形態を得る観点及び微細な乳化粒子を得る観点から、水中油型乳化組成物の全質量に対し、0.5質量%を超え20質量%以下である。
本開示の水中油型乳化組成物におけるトリグリセリドの含有率は、少ないほど乳化粒子の粒子径が小さくなる傾向にあり、輸液との混合液の濁りの発生をより抑制する観点からは、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
また、トリグリセリドの含有率の下限値としては、1回あたりの投与量の観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
例えば、本開示の水中油型乳化組成物におけるトリグリセリドの含有率は、1質量%〜20質量%が好ましく、3質量%〜20質量%がより好ましく、5質量%〜20質量%が更に好ましく、5質量%〜15質量%が特に好ましい。
[非イオン界面活性剤]
本開示の水中油型乳化組成物は、非イオン界面活性剤を含む。
本開示の水中油型乳化組成物における非イオン界面活性剤は、乳化粒子の安定性及び乳化粒子の粒子径の増大抑制に寄与する。
非イオン界面活性剤としては、特に制限はないが、注射用途に使用可能であれば好ましく、更に、トリグリセリドと親和性を有するものが好ましい。具体的には、例えば、トリグリセリドとの親和性発現のため、構造内に、炭素数5〜22の炭化水素基を有する非イオン界面活性剤であることが好ましい。
ここで、炭素数5〜22の炭化水素基としては、直鎖、分岐鎖、又は環式の炭化水素基であってもよいし、飽和又は不飽和の炭化水素基であってもよい。また、炭素数5〜22の炭化水素基は、水酸基、−OR、−COOR等の置換基を有していてもよい。ここで、Rはポリオキシエチレン鎖を表し、ポリオキシエチレン鎖の詳細としては、後述するポリオキシエチレン鎖を有する非イオン界面活性剤におけるポリオキシエチレン鎖と同様である。
また、非イオン界面活性剤は、その構造中に、上記の炭素数5〜22の炭化水素基を複数有していてもよい。非イオン界面活性剤が複数の炭素数5〜22の炭化水素基を有する場合、複数の炭素数5〜22の炭化水素基は、それぞれ、上記の置換基を有していてもよいし、有していなくともよい。
また、乳化粒子の粗大化を抑制する観点から、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン鎖を有する非イオン界面活性剤であることが好ましい。ポリオキシエチレン鎖とは、オキシエチレン基の平均重合度が2以上(好ましくは、20〜100)のものを指す。
非イオン界面活性剤としては、注射用途への使用実績の観点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及びポリソルベートからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。特に、微細な乳化粒子が得られる観点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、ヒマシ油に水素を添加した硬化ヒマシ油にポリオキシエチレンが付加した化合物である。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油におけるオキシエチレン基の平均重合度は、20〜100が好ましく、40〜100がより好ましく、40〜60が更に好ましい。
オキシエチレンの平均重合度が20〜100であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(B)の具体例としては、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油等が挙げられる。なお、括弧内の数値は、オキシエチレン基の平均重合度を示す。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、市販品を用いることができる。オキシエチレンの平均重合度により種々のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が市販されている。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の市販品の例としては、NIKKOL(登録商標) HCO−20(ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株))、NIKKOL(登録商標) HCO−40(ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株))、Kollinphor(登録商標) RH40(ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、BASF社)、NIKKOL(登録商標) HCO−50(ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株))、NIKKOL(登録商標) HCO−60(ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株))、NIKKOL(登録商標) HCO−100(ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株))等が挙げられる。
ポリソルベートは、ソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシドが約20分子縮合したものである。
ポリソルベートとしては、ポリソルベート20(モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、ポリソルベート40(パルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、ポリソルベート60(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、ポリソルベート65(トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、ポリソルベート80(オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)等が挙げられる。ポリソルベートの中でも、注射用途への使用実績の観点から、ポリソルベート20、及びポリソルベート80が好ましく、微細な乳化粒子を得る観点から、ポリソルベート80がより好ましい。
ポリソルベートとしては、市販品を用いることができる。
ポリソルベートの市販品の例としては、NIKKOL TO−10MV(商品名、日光ケミカルズ(株))、NIKKOL TL−10(商品名、日光ケミカルズ(株))、Tween80 HP (商品名、CRODA社)、Montanox 80 PPI(商品名、SEPPIC社)、Montanox80 API (商品名、SEPPIC社)、ポリソルベート80GS(商品名、日油(株))、ポリソルベート80HX2(商品名、日油(株))等を挙げることができる。
本開示の水中油型乳化組成物に好適な非イオン界面活性剤としては、上記したものの他、ポリオキシエチレンヒマシ油(例えば、ポリオキシル35ヒマシ油等);ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例えば、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸ポリオキシル45、ステアリン酸ポリオキシル55、ポリエチレングリコール(15)−ヒドロキシステアリン酸等);グリセリン脂肪酸エステル(例えば、ステアリン酸ポリグリセリル、カプリル酸ポリグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル、ベヘニン酸ポリグリセリル等)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール等が挙げられる。
本開示の水中油型乳化組成物は、非イオン界面活性剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
本開示の水中油型乳化組成物における非イオン界面活性剤の含有率は、トリグリセリドの含有率に対する質量比(即ち、非イオン界面活性剤の含有率/トリグリセリドの含有率)が0.4〜2.5であり、0.4〜1.5が好ましく、0.4〜1.2がより好ましく、0.4〜1.0が更に好ましい。
非イオン界面活性剤の含有率/トリグリセリドの含有率が0.4以上であると、より微細な乳化粒子が得られやすくなり、かつ、乳化粒子の粒子径の増大を抑制しうる。非イオン界面活性剤の含有率/トリグリセリドの含有率が1.5以下であることでも、微細な乳化粒子が得られやすく、かつ、乳化粒子の粒子径の増大を抑制しうる。
[水]
本開示の水中油型乳化組成物は、水を含む。
水としては、医薬品に使用可能な水であれば、特に制限はない。
水の具体例としては、精製水、滅菌精製水、注射用水等が挙げられ、注射用水が好ましい。
水中油型乳化組成物における水の含有率は、特に制限されず、例えば、水中油型乳化組成物の形態を得る観点から、水中油型乳化組成物の全質量に対して、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、更に好ましくは60質量%以上であり、特に好ましくは70質量%以上である。
また、上記と同様の観点から、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは97質量%以下であり、更に好ましくは95質量%以下である。
[その他の成分]
本開示の水中油型乳化組成物は、既述の4成分以外に、効果を損なわない範囲において、例えば、脂肪酸塩、多価アルコール、薬効成分、添加剤等を含んでいてもよい。
(脂肪酸及びその塩)
本開示の水中油型乳化組成物は、脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいることが好ましい。
脂肪酸及びその塩を含むことで、乳化粒子の安定化が図られる。
脂肪酸の例としては、脂肪酸の炭素数が12〜18の脂肪酸を例示することができ、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸等が挙げられる。
脂肪酸塩の例としては、上記した脂肪酸の塩が挙げられる。
脂肪酸塩における塩の種類としては、ナトリウム、カリウム等の金属との塩、L−アルギニン、L−ヒスチジン、L−リジン等の塩基性アミノ酸との塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンとの塩等が挙げられる。
脂肪酸塩の種類は、注射用途への使用実績の観点から、ナトリウムなどの金属との塩が好ましい。
これらの脂肪酸及びその塩の中でも、注射用途への使用実績の観点から、オレイン酸及びオレイン酸ナトリウムが特に好ましい。
水中油型乳化組成物は、脂肪酸及びその塩を含む場合、脂肪酸及びその塩からなる群より選択される1種のみ含んでいてもよく、脂肪酸及びその塩からなる群より選択される2種以上含んでいてもよい。
本開示の水中油型乳化組成物における脂肪酸及びその塩の含有率には、特に制限はないが、乳化粒子の安定性の観点から、水中油型乳化組成物の全質量に対して、脂肪酸換算値で、0質量%〜10質量%が好ましく、0質量%〜5質量%がより好ましく、0.01質量%〜1質量%が更に好ましい。
(多価アルコール)
本開示の水中油型乳化組成物は、多価アルコールを含むことが好ましい。
水中油型乳化組成物が多価アルコールを含むと、乳化粒子の粒子径がより小さくなる傾向がある。
多価アルコールとしては、医薬品に使用可能な多価アルコールであれば、特に制限はない。
多価アルコールの具体例としては、グリセリン、濃グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール〔ポリエチレングリコール300(所謂、マクロゴール300)、ポリエチレングリコール400(所謂、マクロゴール400)、ポリエチレングリコール600(所謂、マクロゴール600)、ポリエチレングリコール1000(所謂、マクロゴール1000)等〕、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。
これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、より微細な乳化粒子を得る観点から、濃グリセリンが好ましい。
水中油型乳化組成物は、多価アルコールを含む場合、多価アルコールを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
水中油型乳化組成物が多価アルコールを含む場合、水中油型乳化組成物中における多価アルコールの含有率は、例えば、より微細な乳化粒子を得る観点から、水中油型乳化組成物の全量に対して、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が更に好ましい。
また、水中油型乳化組成物中における多価アルコールの含有率は、例えば、注射により投与する際の浸透圧差による組織障害の可能性をより低減させる観点から、水中油型乳化組成物の全質量に対して、10質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
(薬効成分)
本開示の水中油型乳化組成物は、薬効成分を含んでいてもよい。
薬効成分は、特に制限されない。
薬効成分としては、例えば、医薬品に用いられる油溶性の薬効成分が挙げられる。
薬効成分は、オクタノール/水分配係数(所謂、水相中における溶質の濃度に対するオクタノール相中における溶質の濃度の割合)の常用対数であるlogPが3以上の化合物であることが好ましく、3以上10以下の化合物であることがより好ましい。
薬効成分が水中油型乳化組成物の水相又は油相のいずれに分配されるかは、薬効成分のlogPによって決まる。logPが低すぎる薬効成分は、水中油型乳化組成物の油相に分配され難い。このような観点から、薬効成分のlogPは、3以上が好ましい。
本開示において、オクタノール/水分配係数の常用対数である「logP」は、計算ソフトウェアとしてChemDrawを用い、薬効成分の化学構造から自動計算により求めた値である。
logPが3以上である薬効成分の具体例としては、フルルビプロフェンアキセチル、フルルビプロフェン、アルプロスタジル、プロポフォール、デキサメタゾンパルミチン酸エステル等の化合物が挙げられる。
水中油型乳化組成物は、薬効成分を含む場合、薬効成分を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
水中油型乳化組成物が薬効成分を含む場合、水中油型乳化組成物中における薬効成分の含有率としては、特に制限はない。
水中油型乳化組成物中における薬効成分の含有率は、例えば、1回あたりの投与量の観点から、水中油型乳化組成物の全質量に対して、0.0001質量%以上10質量%以下が好ましい。
[その他の添加剤]
本開示の水中油型乳化組成物は、既述の成分以外に、効果を損なわない範囲において、必要に応じて、その他の添加剤を更に含んでいてもよい。
その他の添加剤としては、医薬品に許容される添加剤が挙げられる。例えば、本開示の水中油型乳化組成物は輸液と混合して用いることから、注射に適した添加剤を更に含むことが好ましい。
その他の成分としては、pH調整剤(塩酸、水酸化ナトリウム等)、酸化防止剤〔アスコルビン酸、D−α−トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等〕、安定化剤(例えば、クエン酸ナトリウム、トロメタモール、メグルミン等)、防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等)等が挙げられる。
但し、その他の添加剤は、これらに限定されない。
本開示における水中油型乳化組成物は、その他の成分を含む場合、その他の成分を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
本開示における水中油型乳化組成物がその他の添加剤を含む場合、水中油型乳化組成物中におけるその他の添加剤の含有率は、水中油型乳化組成物の全質量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。
[pH]
本開示の水中油型乳化組成物は、pHが7〜11であり、8〜10が好ましい。
pHが7以上であることで、乳化粒子の平均粒子径を100nm以下としやすい。また、pHが11以下であることで、安定性が向上する(具体的には、トリグリセリドの加水分解が抑制されやすい)。
ここで、水中油型乳化組成物のpHは、水中油型乳化組成物の温度を20℃〜30℃にして測定する。pHの測定には、pH測定法として一般的な方法を用いることができる。例えば、水中油型乳化組成物のpHは、pHメータ(装置型番:F−54、(株)堀場製作所)により測定することができる。
[乳化粒子の平均粒子径]
本開示の水中油型乳化組成物は、乳化粒子の平均粒子径が100nm以下であり、90nm以下が好ましく、80nm以下が特に好ましい。
乳化粒子の平均粒子径が100nm以下であることで、輸液との混合液とした場合に濁りが生じることを抑制しやすい。
ここで、水中油型乳化組成物における乳化粒子の粒子径は、水中油型乳化組成物の温度を20℃〜30℃にして測定する。具体的には、水中油型乳化組成物を注射用水(光製薬(株)製)を用いて脂肪酸トリグリセリド濃度が0.5質量%になるように希釈し、動的光散乱式(DLS)粒子径分布測定装置(ナノトラックUPA、日機装(株))にて水中油型乳化組成物における乳化粒子の粒子径を測定し、得られた粒子径分布のメジアン径(D50)を乳化粒子の平均粒子径とする。
<使用態様>
本開示の水中油型乳化組成物は、例えば、医療現場において輸液に混合され、本開示の水中油型乳化組成物を含む輸液(即ち、既述の本開示の水中油型乳化組成物と輸液とを混合した混合液)が点滴注射により皮下内、静脈内等に投与される。つまり、本開示の水中油型乳化組成物は、注射用であることが好ましい。
本開示の水中油型乳化組成物が混合される輸液としては、生理食塩水、ブドウ糖注射液、乳酸リンゲル液等の種類があり、特に制限はない。
本開示の水中油型乳化組成物は、種々の輸液に混合しても、乳化粒子の粒子径の増大が抑えられ、濁りが生じにくい。そのため、異物等の視認が可能になるといった点、また、静脈内への投与直前に滅菌フィルターによる滅菌を可能にするといった点で有利である。
本開示の水中油型乳化組成物と輸液との混合比率としては、例えば、容積基準にて、水中油型乳化組成物:輸液=1:1〜1:3000が好ましく、水中油型乳化組成物:輸液=1:5〜1:100がより好ましい。
<水中油型乳化組成物の製造方法>
本開示の水中油型乳化組成物を製造する方法は特に制限されないが、例えば、以下に示す本開示の水中油型乳化組成物の製造方法が好適である。
本開示の水中油型乳化組成物の製造方法は、リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含み、トリグリセリドの含有率Aが混合液の全質量に対して5質量%〜40質量%である混合液を調製する工程aと、工程aにて調製された混合液を乳化することにより乳化液を得る工程bと、工程bの後又は工程bの途中で、乳化液中のトリグリセリドの含有率Bを、トリグリセリドの含有率A>トリグリセリドの含有率Bの関係を満たし、かつ、乳化液の全質量に対して0.5質量%を超え20質量%以下に調整する工程cと、工程cにてトリグリセリドの含有率を調整した後の乳化液を加熱する工程dと、を有する、
本開示の水中油型乳化組成物の製造方法を用いることで、より微細な乳化粒子を含む水中油型乳化組成物が得られる。
以下、本開示の水中油型乳化組成物の製造方法の各工程について説明する。
[工程a]
工程aでは、リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含み、トリグリセリドの含有率Aが混合液の全質量に対して5質量%〜40質量%である混合液を調製する。
本工程で調製される混合液は、既述の本開示の水中油型乳化組成物におけるトリグリセリドの含有率よりも高いトリグリセリドの含有率Aを有する。
ここで、本工程で調製される混合液におけるリン脂質及び非イオン界面活性剤の含有率は、既述の水中油型乳化組成物におけるリン脂質及び非イオン界面活性剤の含有率(具体的には、トリグリセリドの含有率に対する含有比率)と同等であってもよいし、異なっていてもよい。
つまり、本工程で調製される混合液は、トリグリセリドの含有率Aが混合液の全質量に対して5質量%〜40質量%であると共に、トリグリセリドの含有率に対する非イオン界面活性剤の含有率の質量比が0.4〜1.5であり、トリグリセリドの含有率に対するリン脂質の含有率の質量比が0.05〜0.7であってもよいし、これらの数値範囲を外れていてもよい。
本工程で調製される混合液において、トリグリセリドの含有率に対する非イオン界面活性剤の含有率の質量比非イオン界面活性剤の含有率/トリグリセリドの含有率は、0.01〜6.0(好ましくは、0.1〜3.0)であってもよい。
また、本工程で調製される混合液において、トリグリセリドの含有率に対するリン脂質の含有率の質量比(即ち、リン脂質の含有率/トリグリセリドの含有率)は、0.005〜2.8(好ましくは、0.01〜1.4)であってもよい。
工程aでは、具体的には、まず、リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を混合する。この際、必要に応じて、その他の成分として、脂肪酸及びその塩並びに多価アルコールを混合してもよい。
混合物中において、リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及びその他の成分は、単に混合されていればよく、均一に混合されていることが好ましい。
リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及びその他の成分は、一度に混合してもよく、或いは、1つの成分に別の成分を分割して添加しながら混合してもよい。
リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及びその他の成分とを混合する方法としては、特に制限されず、例えば、撹拌により混合する方法が挙げられる。
撹拌手段としては、特に制限はなく、一般的な撹拌器具又は撹拌装置を使用できる。
撹拌時間は、特に制限されず、撹拌器具又は撹拌装置の種類、撹拌する成分の組成(即ち、種類及び量)等に応じて、適宜設定できる。
続いて、上記の混合物に対し、水を加えて、攪拌混合する。
リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、水、及びその他の成分を混合する際の温度は、突沸を防ぐ観点から、100℃未満に設定することが好ましい。
温度を調整する手段としては、特に制限はなく、一般的な加熱装置を使用できる。
攪拌混合時間としては、例えば、1分間〜2時間である。
[工程b]
工程bでは、工程aにて調製された混合液を乳化することにより乳化液を得る。
本工程における混合液の乳化は、通常の方法によって行うことができる。
工程bは、例えば、ホモミキサー等の剪断作用を利用する通常の乳化装置を用いて、混合液を粗乳化した後、高圧ホモジナイザー等の乳化装置を用いて、粗乳化液の更なる乳化(例えば、高圧乳化)を行う方法が好ましい。
この方法を用いることで、微細な乳化粒子が得られ、特に、高圧ホモジナイザーを使用することで、乳化粒子を更に均一に近い粒子径に揃えることができる。更なる粒子径の均一化を図る目的で、乳化を複数回行ってもよい。
工程aにて調製された混合液を粗乳化する際に用いる手段としては、特に制限はなく、一般的な乳化装置(例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等)を使用できる。
混合液の粗乳化における乳化時間は、特に制限されず、乳化装置の種類、混合物の組成等に応じて、適宜設定できる。混合液の粗乳化の際は、ホモミキサーの回転速度としては、1000rpm(revolutions per minute)〜100000rpm、ホモミキサーの回転時間としては、1分間〜30分間に設定することができる。
混合液の粗乳化に超音波ホモジナイザーを用いる場合には、例えば、15kHz〜40kHzの周波数で、且つ、乳化部のエネルギー密度が100W/cm以上に設定することができる。
粗乳化液の更なる乳化に用いる手段としては、特に制限はないが、例えば、高圧乳化が可能な、高圧ホモジナイザーが好適である。
乳化時間は、特に制限されず、圧力条件等に応じて、適宜設定できる。
圧力条件は、例えば、20MPa〜245MPaに設定することができる。
乳化手段として、高圧ホモジナイザーを用いる場合には、例えば、圧力を60MPa〜150MPa、高圧乳化処理回数を5回〜30回に設定することができる。
高圧ホモジナイザーとしては、チャンバー型高圧ホモジナイザー、均質バルブ型高圧ホモジナイザー等が挙げられる。
チャンバー型高圧ホモジナイザーとしては、マイクロフルイダイザー〔パウレック(株)〕、ナノマイザー〔ナノマイザー(株)〕、アルティマイザー〔スギノマシン(株)〕等が挙げられる。
均質バルブ型高圧ホモジナイザーとしては、ゴーリンタイプホモジナイザー〔(株)エスエムテー〕、ラニエタイプホモジナイザー〔(株)エスエムテー〕、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社)、ホモゲナイザー〔三和機械(株)〕、高圧ホモゲナイザー〔イズミフードマシナリー(株)〕、超高圧ホモジナイザー(イカ社)等が挙げられる。
[工程c]
工程cでは、工程bの後又は工程bの途中で、乳化液中のトリグリセリドの含有率Bを、トリグリセリドの含有率A>トリグリセリドの含有率Bの関係を満たし、かつ、乳化液の全質量に対して0.5質量%を超え20質量%以下に調整する。
本工程では、既述の本開示の水中油型乳化組成物におけるトリグリセリドの含有率と同等のトリグリセリドの含有率Bを有する乳化液とする。
本工程では、トリグリセリドの含有率A>トリグリセリドの含有率Bの関係を満たすように、工程bの後又は工程bの途中で、乳化液に主に水からなる希釈液を添加して希釈することが好ましい。
乳化液に対して希釈液を添加する回数としては、1度であってもよいし、2度以上であってもよい。また、乳化液に対して希釈液を断続的に添加してもよい。
工程cにおいて調整されるトリグリセリドの含有率Bとトリグリセリドの含有率Aとの関係は、微細な乳化粒子を得る観点から、トリグリセリドの含有率A/トリグリセリドの含有率Bにて、1〜100が好ましく、1〜30がより好ましく、1〜10が更に好ましい。
工程cにおけるトリグリセリドの含有率の調整は、工程bにて得られた乳化液又は工程bの途中の乳化液に対して行われる。
即ち、工程cは、工程bでの乳化が完了した後に行ってもよいし、工程bでの乳化の途中に併せて行ってもよい。
工程bでの乳化の途中に工程cを行う場合、乳化途中の乳化液に対し主に水からなる希釈液を添加し、トリグリセリドの含有率を調整すればよい。
工程bでの乳化の途中に工程cを行う場合、微細な乳化粒子を得られやすくする観点、乳化の操作性向上の観点等から、工程bにおける高圧乳化の途中の乳化液に対して行われることが好ましい。
工程cでは、トリグリセリドの含有率の調整の他に、乳化液中に含まれる各成分の含有率の調整を行ってもよいし、乳化液中に含まれる各成分以外の成分の添加を行ってもよい。
具体的には、工程cでは、例えば、リン脂質、非イオン界面活性剤、及びその他の成分(例えば、脂肪酸及びその塩、多価アルコール、pH調整剤等のその他の添加剤など)の一部又は全部の添加を行って、既述の水中油型乳化組成物における各成分の含有率、pH等を満たすような乳化液を得ることが好ましい。
[工程d]
工程dでは、工程cにてトリグリセリドの含有率をトリグリセリドの含有率Bに調整した後の乳化液を加熱する。
本工程にて乳化液が加熱されることで、乳化液が滅菌される。
加熱条件としては、滅菌効果を得る観点から、加熱温度は100℃〜135℃が好ましく、105℃〜130℃がより好ましい。
また、加熱時間としては、滅菌効果を得る観点から、1分間〜60分間が好ましく、3分間〜30分間がより好ましい。
本工程における加熱は、オートクレーブにより行われることが好ましい。
工程dは、乳化液を容器に収容し、その後、容器を封止した後に行われることが好ましい。
ここで、乳化液における乳化粒子の分解、乳化粒子の粒子径の増大等を抑制する観点から、容器への収容及び容器の封止は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
ここで、乳化液を収容する容器としては、バイアル、アンプル、シリンジ、バッグ等が挙げられる。
以上の各工程を経ることで、本開示の水中油型乳化組成物を容易に製造することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例において用いた各成分の詳細を以下に示す。
<リン脂質>
・精製卵黄レシチン(商品名:卵黄レシチンPL100−M、キューピー(株))
<トリグリセリド>
・ダイズ油(商品名:日本薬局方 ダイズ油、脂肪酸鎖の平均炭素数:17.8、トリグリセリドの含有率:97質量%、カネダ(株))
<非イオン界面活性剤>
−ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油−
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(商品名:NIKKOL(登録商標) HCO−40(医薬用)、日光ケミカルズ(株)、表中「HCO−40」と表記)
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(商品名:NIKKOL(登録商標) HCO−50(医薬用)、日光ケミカルズ(株)、表中「HCO−50」と表記)
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(商品名:NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株)、表中「HCO−60」と表記)
・ポリソルベート80(商品名:NIKKOL(登録商標) TO−10MV(日光ケミカルズ(株)、表中「TO−10MV」と表記)
・モノステアリン酸ポリグリセリル(NIKKOL(登録商標) DECAGLYN 1−SV、日光ケミカルズ(株)、表中「DECAGLYN 1−SV」と表記)
・ステアリン酸ポリオキシル40(NIKKOL(登録商標) MYS−40MV、日光ケミカルズ(株))
・ポリオキシル35ヒマシ油(Kolliphor(登録商標) EL、BASF社、表中「Kolliphor EL」と表記)
・ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(Poloxamer 188、表中「Poloxamer 188」と表記)
<その他の成分>
・オレイン酸ナトリウム(脂肪酸塩、東京化成工業(株))
・濃グリセリン(多価アルコール、阪本薬品工業(株))
<実施例1>
[水中油型乳化組成物の作製]
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.60gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))6.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.180gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
−工程b−
これをホモミキサー(10000rpm、2分間)にて粗乳化し、更に高圧ホモジナイザー(圧力:100MPa、高圧処理回数:15回)にて乳化した。
−工程c−
得られた乳化液に注射用水(光製薬(株))を加えた後、所定量の1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株))を加えて、乳化液中のダイズ油が5質量%になるように調整した。
−工程d−
得られた乳化液20mLを、窒素雰囲気下、シリコートバイアル(白バイアル33.0×63.0 CS シリコート、不二硝子(株))に分注し、ゴム栓(S10−F6W、大協精工(株))及びアルミシール(日電理化硝子(株))にて封止した。
封止後のバイアルを、オートクレーブ(HV−50LB、(株)平山製作所)を用いて、121℃で保持時間20分として加熱し、高圧蒸気滅菌を行い、実施例1の水中油型乳化組成物(C−1)を得た。
<実施例2>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の水中油型乳化組成物(C−2)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.6gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))10.5gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<実施例3>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更し、また、工程cにおける1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の添加量を変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の水中油型乳化組成物(C−3)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.0gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))10.5gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.180gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<実施例4>
実施例1における工程a及び工程cを以下の工程a及び工程cにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の水中油型乳化組成物(C−4)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))1.5gと、ダイズ油(カネダ(株))5.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))5.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.1gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))5.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は5質量%であった。
−工程c−
工程bにて得られた乳化液に注射用水(光製薬(株))を加えた後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株))を加えて、乳化液中のダイズ油が1質量%になるように調整した。
<実施例5>
実施例1における工程a及び工程cを以下の工程a及び工程cにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の水中油型乳化組成物(C−5)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))2.4gと、ダイズ油(カネダ(株))20.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))10.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.4gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))4.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は20質量%であった。
−工程c−
工程bにて得られた乳化液に注射用水(光製薬(株))を加えた後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株))を加えて、乳化液中のダイズ油が10質量%になるように調整した。
<実施例6>
実施例1における工程a及び工程cを以下の工程a及び工程cにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の水中油型乳化組成物(C−6)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))2.4gと、ダイズ油(カネダ(株))20.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))10.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.4gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))4.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は20質量%であった。
−工程c−
工程bにて得られた乳化液に注射用水(光製薬(株))を加えた後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株))を加えて、乳化液中のダイズ油が15質量%になるように調整した。
<実施例7>
実施例1における工程a及び工程cを以下の工程a及び工程cにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例7の水中油型乳化組成物(C−7)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))2.4gと、ダイズ油(カネダ(株))20.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(NIKKOL(登録商標) HCO−40(医薬用)、日光ケミカルズ(株))10.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.4gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))4.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は20質量%であった。
−工程c−
工程bにて得られた乳化液に注射用水(光製薬(株))を加えた後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株))を加えて、乳化液中のダイズ油が10質量%になるように調整した。
<実施例8>
実施例1における工程a及び工程cを以下の工程a及び工程cにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例8の水中油型乳化組成物(C−8)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))2.4gと、ダイズ油(カネダ(株))20.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(NIKKOL(登録商標) HCO−40(医薬用)、日光ケミカルズ(株))10.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.4gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))4.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は20質量%であった。
−工程c−
工程bにて得られた乳化液に注射用水(光製薬(株))を加えた後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株))を加えて、乳化液中のダイズ油が15質量%になるように調整した。
<実施例9>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例9の水中油型乳化組成物(C−9)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.6gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))9.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.45gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<比較例1>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の水中油型乳化組成物(R−1)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.6gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<比較例2>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の水中油型乳化組成物(R−2)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.6gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.18gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<比較例3>
実施例1における工程a及び工程cを以下の工程a及び工程cにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の水中油型乳化組成物(R−3)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.6gと、ダイズ油(カネダ(株))30.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))15.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.60gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))6.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は30質量%であった。
−工程c−
工程bにて得られた乳化液に注射用水(光製薬(株))を加えた後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株))を加えて、乳化液中のダイズ油が25質量%になるように調整した。
<実施例10>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例10の水中油型乳化組成物(C−10)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.6gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))10.5gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.045gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<実施例11>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例11の水中油型乳化組成物(C−11)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.6gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))10.5gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.9gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<実施例12>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例12の水中油型乳化組成物(C−12)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.6gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))6.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))3.0gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<実施例13>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例13の水中油型乳化組成物(C−13)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))2.4gと、ダイズ油(カネダ(株))10.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))4.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))8.0gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))10.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は10質量%であった。
<実施例14>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例14の水中油型乳化組成物(C−14)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))2.4gと、ダイズ油(カネダ(株))10.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))4.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))20.0gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))10.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は10質量%であった。
<比較例4>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の水中油型乳化組成物(R−4)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))0.45gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))10.5gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.18gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<実施例15〜16>
実施例1における工程aにて用いた精製卵黄レシチンの量を0.75g、かつ、オレイン酸ナトリウムの量を1.8g(実施例15)に、精製卵黄レシチンの量を0.9g、かつ、オレイン酸ナトリウムの量を1.8g(実施例16)に、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例15〜16の水中油型乳化組成物(C−15)〜(C−16)を得た。
<実施例17〜18>
実施例1における工程aにて用いた精製卵黄レシチンの量を1.5g(実施例17)、精製卵黄レシチンの量を6.0g(実施例18)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例17〜18の水中油型乳化組成物(C−17)〜(C−18)を得た。
<実施例19>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更し、また、工程cにおける1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の添加量を変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例19の水中油型乳化組成物(C−19)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))10.5gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))7.5gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.18gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<比較例5>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例5の水中油型乳化組成物(R−5)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))12gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))7.5gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.18gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<比較例6>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例6の水中油型乳化組成物(R−6)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))15gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))7.5gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.18gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<比較例7>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例7の水中油型乳化組成物(R−7)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.6gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))1.5gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.18gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<比較例8>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例8の水中油型乳化組成物(R−8)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.6gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))3.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.18gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<実施例20〜21>
実施例1における工程aにて用いたポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60の量を10.5g(実施例20)、13.5g(実施例21)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例20〜21の水中油型乳化組成物(C−20)〜(C−21)を得た。
<実施例22>
実施例1における工程a及び工程cを以下の工程a及び工程cにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例22の水中油型乳化組成物(C−22)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))2.4gと、ダイズ油(カネダ(株))10.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))12.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.12gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))10.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は10質量%であった。
−工程c−
工程bにて得られた乳化液に注射用水(光製薬(株))を加えた後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株))を加えて、乳化液中のダイズ油が5質量%になるように調整した。
<実施例23>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例23の水中油型乳化組成物(C−23)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))2.4gと、ダイズ油(カネダ(株))10.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))15.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))1.2gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))10.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は10質量%であった。
<実施例24>
実施例1における工程a及び工程cを以下の工程a及び工程cにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例24の水中油型乳化組成物(C−24)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))1.2gと、ダイズ油(カネダ(株))5.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))9.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))1.5gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))5.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は5質量%であった。
−工程c−
工程bにて得られた乳化液に注射用水(光製薬(株))を加えた後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株))を加えて、乳化液中のダイズ油が3質量%になるように調整した。
<実施例25>
実施例1における工程a及び工程cを以下の工程a及び工程cにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例25の水中油型乳化組成物(C−25)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))1.2gと、ダイズ油(カネダ(株))5.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))10.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))3.0gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))5.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は5質量%であった。
−工程c−
工程bにて得られた乳化液に注射用水(光製薬(株))を加えた後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株))を加えて、乳化液中のダイズ油が3質量%になるように調整した。
<実施例26>
実施例1における工程a及び工程cを以下の工程a及び工程cにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例26の水中油型乳化組成物(C−26)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))1.2gと、ダイズ油(カネダ(株))5.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))12.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))4.0gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))5.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は5質量%であった。
−工程c−
工程bにて得られた乳化液に注射用水(光製薬(株))を加えた後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株))を加えて、乳化液中のダイズ油が1.3質量%になるように調整した。
<実施例27>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例27の水中油型乳化組成物(C−27)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.6gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))9.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.18gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<実施例28〜34>
実施例1における工程aで用いたポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を、下記表5に記載の非イオン界面活性剤にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例28〜34の水中油型乳化組成物(C−28)〜(C−34)を得た。
<実施例35>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例35の水中油型乳化組成物(C−35)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.6gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))11.25gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.18gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
<実施例36>
実施例1における工程aを以下の工程aに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例36の水中油型乳化組成物(C−36)を得た。
−工程a−
精製卵黄レシチン(キューピー(株))3.6gと、ダイズ油(カネダ(株))15.0gと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(NIKKOL(登録商標) HCO−60(医薬用)、日光ケミカルズ(株))6.0gと、オレイン酸ナトリウム(東京化成工業(株))0.9gと、濃グリセリン(阪本薬品工業(株))15.0gと、を混合した。
この混合物に対し、注射用水(光製薬(株))を合計100gになるように加え、70℃にて1時間攪拌して、混合液を調製した。
混合液中のダイズ油の含有率は15質量%であった。
〔測定及び評価〕
各例で得られた水中油型乳化組成物について、以下のように測定及び評価を行った。なお、比較例3の場合、工程dにて分離してしまったため、以下の測定及び評価は行っていない。
結果を表1〜7に示す。
なお、表1〜7中、各成分の種及び量を示す欄に記載の「−」は、該当する成分を含まないことを意味する。
また、表1〜7中の水の含有率には、注射用水の他、pH調整剤として用いた水酸化ナトリウム水溶液の水も含む。
更に、表4には、比較のため、実施例1の水中油型乳化組成物(C−1)も併せて載せている。
1.pH
各例で得られた水中油型乳化組成物について、pHメータ(装置型番:F−54、(株)堀場製作所)により測定した。
測定する水中油型乳化組成物の温度は20℃〜30℃とした。
2.乳化粒子の平均粒子径
各例で得られた水中油型乳化組成物を、注射用水(光製薬(株))を用いてトリグリセリドの濃度が0.5質量%になるように希釈して測定試料を調製し、この測定試料中の乳化粒子の粒子径を、動的光散乱式(DLS)粒子径分布測定装置(ナノトラックUPA、日機装(株))にて測定し、得られた粒子径分布のメジアン径(D50)を乳化粒子の平均粒子径とした。測定する希釈液の温度は20℃〜30℃とした。
3.輸液と混合して得られた混合液の濁度
各例で得られた水中油型乳化組成物を、輸液として生理食塩水((株)大塚製薬工場)を用いてトリグリセリド濃度が0.5質量%になるように測定試料を調製し、この測定試料を、光路長1cmとなる分光セルに入れ、分光光度計(V−630BIO、日本分光(株))により波長620nmにおける吸光度(即ち、濁度)を測定した。測定する希釈液の温度は20℃〜30℃とした。
実施例35及び36の水中油型乳化組成物(C−35)及び(C−36)については、上記の生理食塩水を、エルネオパNF2号輸液((株)大塚製薬工場)又は5%ブドウ糖液((株)大塚製薬工場)に変更した以外は同様の方法で、濁度を測定した。結果を表6〜7に示す。
4.輸液と混合して得られた混合液中の乳化粒子の平均粒子径
各例で得られた水中油型乳化組成物を、輸液として生理食塩水((株)大塚製薬工場)を用いてトリグリセリド濃度が0.5質量%になるように測定試料を調製し、この測定試料中の乳化粒子の粒子径を、動的光散乱式(DLS)粒子径分布測定装置(ナノトラックUPA、日機装(株))にて測定し、得られた粒子径分布のメジアン径(D50)を乳化粒子の平均粒子径とした。測定する希釈液の温度は20℃〜30℃とした。
実施例35及び36の水中油型乳化組成物(C−35)及び(C−36)については、上記の生理食塩水を、エルネオパNF2号輸液((株)大塚製薬工場)又は5%ブドウ糖液((株)大塚製薬工場)に変更した以外は同様の方法で、乳化粒子の平均粒子径を測定した。結果を表6〜7に示す。
表1〜7から明らかなように、実施例の水中油型乳化組成物は、輸液と混合した場合に得られた混合液の濁度が0.3以下であり、濁りが生じず、透明又は半透明であることが分かった。
また、実施例の混合液中の乳化粒子の平均粒子径は100nm以下であって、混合液中で乳化粒子の粒子径増大が抑制されていることも分かった。

Claims (13)

  1. リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含み、
    トリグリセリドの含有率が水中油型乳化組成物の全質量に対して0.5質量%を超え20質量%以下であり、
    トリグリセリドの含有率に対する非イオン界面活性剤の含有率の質量比が0.4〜2.5であり、
    トリグリセリドの含有率に対するリン脂質の含有率の質量比が0.05〜0.7であり、
    pHが7〜11であり、
    乳化粒子の平均粒子径が100nm以下である、水中油型乳化組成物。
  2. トリグリセリドの含有率が、水中油型乳化組成物の全質量に対して1質量%以上20質量%以下である、請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
  3. トリグリセリドが、植物油及び中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は請求項2に記載の水中油型乳化組成物。
  4. トリグリセリドがダイズ油である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  5. リン脂質がレシチンである、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  6. リン脂質が卵黄レシチンである、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  7. 非イオン界面活性剤が、炭素数5〜22の炭化水素基を有する非イオン界面活性剤である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  8. 非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレン鎖を有する非イオン界面活性剤である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  9. 非イオン界面活性剤がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  10. 更に脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  11. 脂肪酸及びその塩が、オレイン酸及びオレイン酸ナトリウムである、請求項10に記載の水中油型乳化組成物。
  12. 注射用である、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  13. 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物の製造方法であって、
    リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含み、トリグリセリドの含有率Aが混合液の全質量に対して5質量%〜40質量%である混合液を調製する工程aと、
    工程aにて調製された混合液を乳化することにより乳化液を得る工程bと、
    工程bの後又は工程bの途中で、乳化液中のトリグリセリドの含有率Bを、トリグリセリドの含有率A>トリグリセリドの含有率Bの関係を満たし、かつ、乳化液の全質量に対して0.5質量%を超え20質量%以下に調整する工程cと、
    工程cにてトリグリセリドの含有率を調整した後の乳化液を加熱する工程dと、
    を有する、水中油型乳化組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116098866A (zh) * 2022-12-15 2023-05-12 中南大学湘雅医院 一种用于治疗关节痛的糖皮质激素脂肪乳、其制法及应用
WO2023162608A1 (ja) 2022-02-28 2023-08-31 不二製油グループ本社株式会社 水中油型乳化物およびその製造方法

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