JP2001294525A - 糖尿病予防治療剤 - Google Patents
糖尿病予防治療剤Info
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Abstract
誘導体、並びに炭素数22のモノエン酸及び/又はその
誘導体を有効成分として含有する糖尿病予防治療剤であ
り、炭素数20のモノエン酸及び/又はその誘導体1重
量部に対する炭素数22のモノエン酸及び/又はその誘
導体の比率が、望ましくは0.3乃至17重量部である
前記糖尿病予防治療剤。
Description
患者の食餌療法等による治療、及び糖尿病の危険因子を
有する者の糖尿病発症の予防を目的とした糖尿病予防治
療剤に関する。
ノエン酸及び/又はその誘導体、並びに炭素数22のモ
ノエン酸及び/又はその誘導体を有効成分として含有す
る糖尿病予防治療剤に関するものである。
発症した患者用の栄養組成物の脂肪源として、オレイン
酸等の単不飽和脂肪酸(モノエン酸)を含有する高オレ
インひまわり油等を使用することが知られている(特開
平8−67630号公報。以下、従来技術1と記載す
る。)。しかしながら、これらの従来技術には、次に記
載するとおりの不都合があった。
されているとおり、モノエン酸を含有する糖尿病患者用
の栄養組成物が開発されていた。しかしながら、従来技
術1には、モノエン酸に糖尿病の予防及び治療効果があ
ることについては開示されていない。更に、従来技術1
の糖尿病患者用の栄養組成物は、モノエン酸として、炭
素数18のオレイン酸を主に含有する油脂を使用してお
り、糖尿病の予防及び治療に、高級モノエン酸である炭
素数20のモノエン酸及び/又はその誘導体、並びに炭
素数22のモノエン酸及び/又はその誘導体を組み合わ
せて使用すること、更にこれらを特定の重量比で使用す
ることは、一切検討されていなかった。
尿病の予防及び治療効果の高いモノエン酸の種類及びそ
の組み合わせを見い出し、糖尿病予防治療剤を開発する
ことを目的とし、種々のモノエン酸について試験を行っ
た。
又はその誘導体、並びに炭素数22のモノエン酸及び/
又はその誘導体を組み合わせて使用することが、後記す
る試験例の結果からも明らかなとおり、従来の比較的低
級なモノエン酸である炭素数18のオレイン酸を主に含
有する油脂を使用する場合に比較して、糖尿病の予防及
び治療効果が高いことを見い出し、本発明を完成した。
本発明の目的は、新規な糖尿病の予防剤及び治療剤を提
供することである。
明は、炭素数20のモノエン酸及び/又はその誘導体、
並びに炭素数22のモノエン酸及び/又はその誘導体を
有効成分として含有する糖尿病予防治療剤であり、炭素
数20のモノエン酸及び/又はその誘導体1重量部に対
する炭素数22のモノエン酸及び/又はその誘導体の比
率が、0.3乃至17重量部であること(以下、態様1
と記載する。)を望ましい態様としてもいる。
する。本発明の糖尿病予防治療剤の有効成分である炭素
数20のモノエン酸及び/又はその誘導体、並びに炭素
数22のモノエン酸及び/又はその誘導体は、具体的に
は、炭素数20のゴンドイン酸(ゴンドウ酸)、ガドレ
イン酸、5−イコセン酸等のイコセン酸(エイコセン
酸)及び/又はその誘導体、並びに炭素数22のエルカ
酸(エルシン酸)、セトレイン酸、5−ドコセン酸等の
ドコセン酸及び/又はその誘導体である。
炭素数20のモノエン酸、並びに炭素数22のモノエン
酸は、医薬的又は食品的に許容されるものであれば特に
制限はなく、これらの高級モノエン酸の含有量が多い天
然油脂、例えば、さめ肝油、鯨油、たら肝油、なたね
油、からし油、キャベツ種子油、ホホバ油、メドウフォ
ーム油等を、そのまま又は適宜組み合わせて使用するこ
とが可能であり、また、これらの天然油脂から、イコセ
ン酸又はドコセン酸を常法、例えば分別蒸留、結晶化、
溶媒抽出、尿素包接化、又はクロマトグラフィーにより
抽出、精製して使用することも可能である。尚、簡便に
は、市販のゴンドイン酸、又はエルカ酸(いずれもシグ
マ社製)を使用することができる。
炭素数20のモノエン酸、並びに炭素数22のモノエン
酸の誘導体、いわゆる高級モノエン酸の誘導体には、高
級モノエン酸の塩のほか、種々のエステル等の誘導体を
包含する。具体的には、ナトリウム、カリウム等のアル
カリ金属との塩、メタノール、エタノール等の低級脂肪
族アルコールとのエステル、モノ、ジ、又はトリグリセ
ライド等を例示することができる。
数20のモノエン酸及び/又はその誘導体1重量部に対
して、炭素数22のモノエン酸及び/又はその誘導体を
0.3乃至17重量部の重量比(以下、特定範囲の重量
比と記載することがある。)で含有する油脂を有効成分
とすることが、後記する試験例の結果からも明らかなと
おり、特定範囲の重量比でない場合に比較して、糖尿病
の予防及び治療効果が高いことから望ましい。
して、例えば、静注、経口、経管、及び経腸によりヒト
又は動物に投与することができ、これらの投与方法及び
治療目的に応じて、一般的な医薬製剤の形態である各種
の剤形が選択可能である。その代表的なものとして錠
剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセ
ル剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等を例示することがで
きる。
療法用として、一般的な飲食品の形態である栄養組成物
として摂食することができる。
経口投与の場合(食事療法の場合も同じ。)、マウスに
よる試験結果から、炭素数20のモノエン酸及び/又は
その誘導体、並びに炭素数22のモノエン酸及び/又は
その誘導体(以下、高級モノエン酸類と記載することが
ある。)からなる有効成分の量を基準として5〜400
mg/体重kg/1日であることが判明した。
分である高級モノエン酸類は、マウスを用いた経口投与
による急性毒性試験の結果、毒性が極めて低く、LD50
は10g/体重kg以上であり、ヒト又は動物に対して
安全に、かつ副作用が極めて少ない状態で使用すること
ができる。
モノエン酸、多価不飽和脂肪酸等の糖尿病の予防及び治
療効果を有する物質と組み合わせて使用することも可能
である。特に、炭素数24のモノエン酸及び/又はその
誘導体を含有することが、糖尿病の予防及び治療効果を
相乗的に高めることから望ましい。
その誘導体の含有量は、本発明の態様1の糖尿病予防治
療剤中の炭素数20のモノエン酸及び/又はその誘導体
1重量部に対して、炭素数24のモノエン酸及び/又は
その誘導体0.1乃至10重量部の重量比で含有するこ
とが、糖尿病の予防及び治療効果を相乗的に一層高める
ことから望ましい。即ち、炭素数20のモノエン酸及び
/又はその誘導体1重量部に対して、炭素数22のモノ
エン酸及び/又はその誘導体を0.3乃至17重量部、
並びに炭素数24のモノエン酸及び/又はその誘導体
0.1乃至10重量部の重量比で含有する油脂を有効成
分とする糖尿病予防治療剤が糖尿病の予防及び治療効果
を一層高めることから望ましい。
の誘導体は、具体的には、炭素数24のネルボン酸(セ
ラコレイン酸、鮫油酸)等のテトラコセン酸及び/又は
その誘導体である。
る。 試験例1 この試験は、血糖値を指標として、従来技術と本発明を
比較するために行った。 (1)試料の調製 市販のマウス用飼料(CRF−1。オリエンタル酵母工
業社製)に、次の各試験試料に示す成分を1%(重量。
以下、特に断りのない限り同じ。)の割合で添加し、1
2種類の試料を調製した。 試料1:本発明の炭素数20のモノエン酸であるゴンド
イン酸1重量部及び炭素数22のモノエン酸であるエル
カ酸1重量部からなる高級モノエン酸混合物 試料2:ゴンドイン酸 試料3:エルカ酸 試料4:炭素数18のオレイン酸 試料5:オレイン酸1重量部及びエルカ酸1重量部から
なるモノエン酸混合物 試料6:オレイン酸1重量部及びゴンドイン酸1重量部
からなるモノエン酸混合物 試料7:従来技術1のオリーブ油 試料8:従来技術1のキャノラ油 試料9:従来技術1の高オレイン紅花油 試料10:従来技術1の高オレインひまわり油 試料11:従来技術1の大豆油 試料12:対照としてのラード 尚、ゴンドイン酸、エルカ酸、及びオレイン酸はいずれ
も市販品(シグマ社製)を使用した。また、オリーブ
油、キャノラ油、高オレイン紅花油、高オレインひまわ
り油、及び大豆油はいずれも市販品(日清製油社製)を
使用した。更に、ラードは市販品(太陽油脂社製)を使
用した。
よる高血糖値を示すことが知られているC57BL/K
sJ−db/dbマウス(8週齢の雄。以下、dbマウ
スと記載する。日本チャールスリバー社から入手。)を
各試験群当たり7匹使用した。
及び水を自由に摂取させ、4週間、即ち12週齢まで飼
育し、のち血液を採取し、次の方法により血糖値を測定
し、試験開始時(8週齢)及び試料12の対照群の血糖
値と比較して糖尿病の予防及び治療効果を評価して試験
した。血糖値は、注射用シリンジを使用してマウス尾静
脈から、少量の血液を採取し、市販のグルテストセンサ
ー(三和化学研究所社製)を使用して測定した。
明らかなとおり、本発明の高級モノエン酸混合物試料1
は、試験開始時(8週齢)の血糖値(460mg/d
l)及び試験試料としてラード(太陽油脂社製)を使用
した対照群(試料12)の血糖値と比較して顕著な血糖値
の低下が認められ、即ち糖尿病の予防及び治療効果が認
められた。
1は、従来技術1のモノエン酸として炭素数18のオレ
イン酸を主に含有する油脂であるオリーブ油、キャノラ
油、高オレイン紅花油、高オレインひまわり油、又は大
豆油を使用した試料7乃至試料11に比較して、血糖値の
低下作用に優れていること、即ち糖尿病の予防及び治療
効果に優れていることが認められた。
1は、ゴンドイン酸の単独使用の試料2、エルカ酸の単
独使用の試料3、及びオレイン酸の単独使用の試料4に
比較して、血糖値の低下作用に優れており、また、試料
1のゴンドイン酸をオレイン酸に置換したモノエン酸混
合物である試料5及び試料1のエルカ酸をオレイン酸に
置換したモノエン酸混合物である試料6に比較して、血
糖値の低下作用に優れていることから、糖尿病の予防及
び治療のためには、炭素数20のモノエン酸であるゴン
ドイン酸及び炭素数22のモノエン酸であるエルカ酸を
組み合わせて使用すること、即ち、炭素数20のモノエ
ン酸及び/又はその誘導体、並びに炭素数22のモノエ
ン酸及び/又はその誘導体を組み合わせて使用すること
が有効であることが判明した。
ドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導
体、又はエルカ酸に変えて炭素数22のセトレイン酸、
5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体を使用して試
験したが、ほぼ同様の結果が得られた。また、試料1の
モノエン酸の重量比を、ゴンドイン酸1重量部に対して
エルカ酸0.3乃至17重量部の範囲内で適宜変更して
試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。更に、試料5
及び試料6のモノエン酸の重量比を適宜変更して試験し
たが、ほぼ同様の結果が得られた。
ン酸及び/又はその誘導体、並びに炭素数22のモノエ
ン酸及び/又はその誘導体の重量比を調べるために行っ
た。 (1)試料の調製 次に示す4種類の試料を前記試験例1と同一の方法によ
り調製した。 試料13:炭素数20のモノエン酸であるゴンドイン酸1
重量部及び炭素数22のモノエン酸であるエルカ酸0.
2重量部からなる高級モノエン酸混合物 試料14:炭素数20のモノエン酸であるゴンドイン酸1
重量部及び炭素数22のモノエン酸であるエルカ酸0.
3重量部からなる高級モノエン酸混合物 試料15:炭素数20のモノエン酸であるゴンドイン酸1
重量部及び炭素数22の モノエン酸であるエルカ酸17重量部からなる高級モノ
エン酸混合物試料16:炭素数20のモノエン酸であるゴ
ンドイン酸1重量部及び炭素数22のモノエン酸である
エルカ酸18重量部からなる高級モノエン酸混合物
の試験方法により試験した。
明らかなとおり、炭素数20のモノエン酸であるゴンド
イン酸1重量部に対して、炭素数22のモノエン酸であ
るエルカ酸が0.3乃至17重量部の重量比である場合
に、血糖値の低下作用に一層優れていることから、糖尿
病を一層有効に予防及び治療するためには、炭素数20
のモノエン酸及び/又はその誘導体1重量部に対する炭
素数22のモノエン酸及び/又はその誘導体の比率は、
0.3乃至17重量部が望ましい範囲であることが判明
した。
ドレイン酸、5−イコセン酸、若しくはこれらの誘導
体、又はエルカ酸に変えて炭素数22のセトレイン酸、
5−ドコセン酸、若しくはこれらの誘導体を使用して試
験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。
グマ社製)150gの高級モノエン酸混合物300gを
使用して、これを日本薬局方1号ゼラチンカプセルに3
00mgずつ充填し、カプセルのキャップとボディーの
接合部をゼラチンを用いてシールし、糖尿病予防治療用
カプセル剤900個を製造した。得られたカプセル剤
を、糖尿病の危険因子を有する社内ボランティアに1日
当り10個投与した結果、血糖値が顕著に改善された。
マ社製)1kg、及び無水エタノール(和光純薬工業社
製)1.5kgを混合し、均一溶媒とした。次いで、こ
の混合溶液に炭酸カルシウム(和光純薬工業社製)8.
5kgを添加し、練り合わせ均一なものとしたものを4
0℃で乾燥し、エタノールを除去する。得られた組成物
を打錠機(畑鉄鋼所社製)を使用して、3t/m2の圧
力で直接打錠し、直径10mm、重量400mgの錠剤
を得た。
ルメチルセルロース(信越化学社製)8.5kgとアセ
トン(三井石油化学社製)100kgとの均一混合溶液
で噴霧方式により被覆し、重量440mgの糖尿病予防
治療用錠剤30,000個を製造した。得られた錠剤
を、糖尿病の危険因子を有する社内ボランティアに1日
当り30個投与した結果、血糖値が顕著に改善された。
カ酸21%を含有。)4.0kg及びソルビタン脂肪酸
エステル(花王社製。HLB3.8)20gを添加し、
均一に混合し、油相を形成した。油相をカゼインナトリ
ウム[ニュージーランド・デイリー・ボード(New Zeal
and Dairy Board )製]3.0kgを溶解した水溶液9
6kgと混合し、該混合液をプロペラ攪拌機により70
℃で5分間予備乳化し、原料溶液約100kgを調製し
た。
ホモゲナイザー(三丸機械工業社製)で2段階均質化
(15MPa及び5MPa)し、超高温加熱殺菌機(森
永乳業社製)を用いて、135℃で15秒間殺菌処理
し、糖尿病予防治療用合成乳約90kgを製造した。得
られた合成乳を、糖尿病の危険因子を有する社内ボラン
ティアに1日当り200ml給与した結果、血糖値が顕
著に改善された。
Zealand Dairy Board)製]4.2kg、デキストリン
(参松工業社製。DE=27)14.0kg、及び難消
化性デキストリン(松谷化学工業社製)2.0kgを水
道水75.35kgに分散し、溶解し、これに表3に示
す配合量で混合されたミネラル混合物0.3kgを添加
して水相を形成した。水相に乳化剤としてグリセリン脂
肪酸エステル(太陽化学社製)0.03kgを添加し、
からし油(美ノ久社製。ゴンドイン酸14%、及びエル
カ酸21%を含有。)4.0kgと混合し、該混合液を
プロペラ攪拌機により70℃で5分間予備乳化し、原料
溶液約100kgを調製した。
ピイ・ブイ・ラニエ(APV Rannie)社製]を使用し、3
0MPaの圧力で均質化処理した。均質化処理後、得ら
れた乳化液に、表4に示す配合量で混合されたビタミン
混合物0.02kg及びバニラフレ−バ−(三栄源エフ
・エフ・アイ社製)0.1kgを添加し混合し、レトル
トパウチ(東洋製罐社製)に200mlずつ充填し、密
封し、栄養組成物入りレトルトパウチ400個を製造し
た。該充填済レトルトパウチをレトルト殺菌機(日阪製
作所社製)を使用して125℃で10分間滅菌処理し、
流動食としての糖尿病予防治療用栄養組成物400個を
製造した。得られた流動食を、糖尿病の危険因子を有す
る社内ボランティアに使用した結果、血糖値が顕著に改
善された。
20のモノエン酸及び/又はその誘導体、並びに炭素数
22のモノエン酸及び/又はその誘導体を有効成分とす
る糖尿病予防治療剤に関するものであり、本発明により
奏せられる効果は次のとおりである。本発明の糖尿病予
防治療剤は、糖尿病を発症した患者の食餌療法等による
治療、及び糖尿病の危険因子を有する者の糖尿病発症の
予防に有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】 炭素数20のモノエン酸及び/又はその
誘導体、並びに炭素数22のモノエン酸及び/又はその
誘導体を有効成分として含有する糖尿病予防治療剤。 - 【請求項2】 炭素数20のモノエン酸及び/又はその
誘導体1重量部に対する炭素数22のモノエン酸及び/
又はその誘導体の比率が、0.3乃至17重量部である
請求項1に記載の糖尿病予防治療剤。
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