JPH0558878A - 脂肪乳剤 - Google Patents
脂肪乳剤Info
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- JPH0558878A JPH0558878A JP25568791A JP25568791A JPH0558878A JP H0558878 A JPH0558878 A JP H0558878A JP 25568791 A JP25568791 A JP 25568791A JP 25568791 A JP25568791 A JP 25568791A JP H0558878 A JPH0558878 A JP H0558878A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 中鎖脂肪酸トリグリセリドおよび長鎖脂肪酸
トリグリセリドを主成分とする脂肪乳剤であって、中鎖
脂肪酸トリグリセリドの構成脂肪酸が実質的に炭素数8
〜10のもののみであり、中鎖脂肪酸トリグリセリドと
長鎖脂肪酸トリグリセリドとの組成比がほぼ1対1(重
量比)である脂肪乳剤。 【効果】 本発明の脂肪乳剤は、エネルギー基質として
優れ、体内における代謝が比較的速やかで、かつ安全性
を有するので、病態時の栄養カロリー補給用の静注用栄
養輸液として極めて有用である。
トリグリセリドを主成分とする脂肪乳剤であって、中鎖
脂肪酸トリグリセリドの構成脂肪酸が実質的に炭素数8
〜10のもののみであり、中鎖脂肪酸トリグリセリドと
長鎖脂肪酸トリグリセリドとの組成比がほぼ1対1(重
量比)である脂肪乳剤。 【効果】 本発明の脂肪乳剤は、エネルギー基質として
優れ、体内における代謝が比較的速やかで、かつ安全性
を有するので、病態時の栄養カロリー補給用の静注用栄
養輸液として極めて有用である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、栄養輸液、特に病態時
の静注用栄養輸液として有用な脂肪乳剤に関する。
の静注用栄養輸液として有用な脂肪乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に脂肪乳剤輸液は、高カロリーを短
時間に投与できるとともに体蛋白質の分解を抑制し、窒
素平衡を改善する目的で使用されている。ところで、従
来、同輸液として使用されてきた脂肪とは、大豆油、サ
フラワー油等に由来するものであり、その主成分は長鎖
脂肪酸トリグリセリド(以下、LCTという)からな
る。しかし、このLCTは代謝が遅く、生体が充分に利
用できない等の欠点を有する。特に病態時には、この欠
点は重大である。そこで、吸収が速く、代謝も良好な中
鎖脂肪酸トリグリセリド(以下、MCTという)を上記
LCTに混合した脂肪乳剤輸液が開発されつつある。
時間に投与できるとともに体蛋白質の分解を抑制し、窒
素平衡を改善する目的で使用されている。ところで、従
来、同輸液として使用されてきた脂肪とは、大豆油、サ
フラワー油等に由来するものであり、その主成分は長鎖
脂肪酸トリグリセリド(以下、LCTという)からな
る。しかし、このLCTは代謝が遅く、生体が充分に利
用できない等の欠点を有する。特に病態時には、この欠
点は重大である。そこで、吸収が速く、代謝も良好な中
鎖脂肪酸トリグリセリド(以下、MCTという)を上記
LCTに混合した脂肪乳剤輸液が開発されつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、MCTはLC
Tに比べて毒性が高く、また大量投与を行うとその急速
な吸収および代謝に伴う副作用の発生や必須脂肪酸の欠
乏を生じるという欠点がある。このため、MCT/LC
T混合乳剤においては、MCTの組成、配合比等の詳細
な検討が必要とされている。従って、本発明の課題は従
来の栄養輸液に見られる製剤上の欠点を改善し、安全性
を高め、かつ、病態時において代謝性の極めて優れた栄
養輸液、特に静注用栄養輸液を提供することにある。
Tに比べて毒性が高く、また大量投与を行うとその急速
な吸収および代謝に伴う副作用の発生や必須脂肪酸の欠
乏を生じるという欠点がある。このため、MCT/LC
T混合乳剤においては、MCTの組成、配合比等の詳細
な検討が必要とされている。従って、本発明の課題は従
来の栄養輸液に見られる製剤上の欠点を改善し、安全性
を高め、かつ、病態時において代謝性の極めて優れた栄
養輸液、特に静注用栄養輸液を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的は、MCTおよ
びLCTを主成分とする脂肪乳剤であって、MCT構成
脂肪酸が実質的に炭素数8〜10のもののみであり、特
にMCTとLCTとの組成比がほぼ1対1(重量比)で
あることを特徴とする脂肪乳剤によって達成される。
びLCTを主成分とする脂肪乳剤であって、MCT構成
脂肪酸が実質的に炭素数8〜10のもののみであり、特
にMCTとLCTとの組成比がほぼ1対1(重量比)で
あることを特徴とする脂肪乳剤によって達成される。
【0005】本発明におけるLCTとしては、炭素数1
6〜18の飽和または不飽和の脂肪酸トリグリセリドが
好適なものとして例示される。LCTは、当該LCTを
主成分とし含有するもの、たとえば当該LCTを95%
(重量)以上、好ましくは99%以上を含有する植物油
(たとえば、綿実油、大豆油、コーン油、ピーナッツ
油、サフラワー油など)などとして使用してもよい。好
ましいLCTとしては、大豆油が挙げられる。大豆油と
しては高純度の精製大豆油が好適に使用され、より好ま
しくは精製大豆油を例えば水蒸気蒸留法により更に精製
して得た高純度の精製大豆油(純度:トリグリセリドと
して99.9%以上含有)が使用される。LCTを構成
する脂肪酸としては、たとえばパルミチン酸、ステアリ
ン酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸などが挙げ
られる。
6〜18の飽和または不飽和の脂肪酸トリグリセリドが
好適なものとして例示される。LCTは、当該LCTを
主成分とし含有するもの、たとえば当該LCTを95%
(重量)以上、好ましくは99%以上を含有する植物油
(たとえば、綿実油、大豆油、コーン油、ピーナッツ
油、サフラワー油など)などとして使用してもよい。好
ましいLCTとしては、大豆油が挙げられる。大豆油と
しては高純度の精製大豆油が好適に使用され、より好ま
しくは精製大豆油を例えば水蒸気蒸留法により更に精製
して得た高純度の精製大豆油(純度:トリグリセリドと
して99.9%以上含有)が使用される。LCTを構成
する脂肪酸としては、たとえばパルミチン酸、ステアリ
ン酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸などが挙げ
られる。
【0006】一方、MCTとしては、炭素数8〜10の
飽和脂肪酸、たとえばカプリル酸、カプリン酸から構成
されるトリグリセリドが用いられる。本発明において
は、MCTは実質的に炭素数8〜10のMCTのみから
なる。ここに実質的とは、本発明の目的を損なわない程
度の量の、炭素数8〜10以外のMCTを含有していて
もよいことを意味する。
飽和脂肪酸、たとえばカプリル酸、カプリン酸から構成
されるトリグリセリドが用いられる。本発明において
は、MCTは実質的に炭素数8〜10のMCTのみから
なる。ここに実質的とは、本発明の目的を損なわない程
度の量の、炭素数8〜10以外のMCTを含有していて
もよいことを意味する。
【0007】炭素数8〜10のMCTは、自体既知の方
法によって製造され、例えばグリセロールからの合成、
部分エステル化、酵素を用いるエステル交換または含量
の高い油脂の分画など適宜の手段によって得られる。た
とえば、カカオ脂またはパーム脂肪の加水分解、蒸留に
よる脂肪酸の分画およびグリセロールとの再エスエル化
により得ることができる。また、それらは80〜90%
のC10脂肪酸を含むCuphea種から抽出してもよい。これ
らのトリグリセリドは必ずしも高純度でなくてもよく、
主成分としてたとえば90%(重量)以上、好ましくは
95%(重量)以上含有したものが適当である。
法によって製造され、例えばグリセロールからの合成、
部分エステル化、酵素を用いるエステル交換または含量
の高い油脂の分画など適宜の手段によって得られる。た
とえば、カカオ脂またはパーム脂肪の加水分解、蒸留に
よる脂肪酸の分画およびグリセロールとの再エスエル化
により得ることができる。また、それらは80〜90%
のC10脂肪酸を含むCuphea種から抽出してもよい。これ
らのトリグリセリドは必ずしも高純度でなくてもよく、
主成分としてたとえば90%(重量)以上、好ましくは
95%(重量)以上含有したものが適当である。
【0008】本発明におけるMCTとLCTの組成比は
ほぼ1対1(重量比)の割合で含有されていることが好
ましい。
ほぼ1対1(重量比)の割合で含有されていることが好
ましい。
【0009】本発明の脂肪乳剤は、上記中鎖および長鎖
脂肪酸トリグリセリド、乳化剤および水、適宜の添加成
分から常法によって調製される。乳化剤としては、リン
脂質(卵黄リン脂質、大豆リン脂質など)、非イオン系
界面活性剤などが挙げられ、医療用に精製されたもので
あればよい。リン脂質としては、卵黄レシチン、大豆レ
シチンなどの精製リン脂質が好適であり、常法の有機溶
媒による分画法によって調製することができる。主とし
てホスファチヂルコリン、ホスファチジルエタノールア
ミンからなり、これ以外のリン脂質として、ホスファチ
ジルイノシトール、ホスファチジルセリン、スフィンゴ
ミエリンなども含有する。リン脂質としては、ホスファ
チジルエタノールアミンを含まないものを用いてもよ
い。このものは、通常入手可能な卵黄、大豆等のリン脂
質を常法によって有機溶媒分画を行った後、シリカゲル
又はアルミナ等の無機吸収剤によって精製し得られる。
かくして得られるリン脂質は、主としてホスファチジル
コリンからなり、これ以外のリン脂質として、ホスファ
チジルイノシトール、ホスファチジルセリン、スフィン
ゴミエリンを含有してもよい。更に、ホスファチジルコ
リンそのものを用いてもよい。水は静注用に適したもの
(たとえば、注射用蒸留水、注射用精製水など)であれ
ばよい。
脂肪酸トリグリセリド、乳化剤および水、適宜の添加成
分から常法によって調製される。乳化剤としては、リン
脂質(卵黄リン脂質、大豆リン脂質など)、非イオン系
界面活性剤などが挙げられ、医療用に精製されたもので
あればよい。リン脂質としては、卵黄レシチン、大豆レ
シチンなどの精製リン脂質が好適であり、常法の有機溶
媒による分画法によって調製することができる。主とし
てホスファチヂルコリン、ホスファチジルエタノールア
ミンからなり、これ以外のリン脂質として、ホスファチ
ジルイノシトール、ホスファチジルセリン、スフィンゴ
ミエリンなども含有する。リン脂質としては、ホスファ
チジルエタノールアミンを含まないものを用いてもよ
い。このものは、通常入手可能な卵黄、大豆等のリン脂
質を常法によって有機溶媒分画を行った後、シリカゲル
又はアルミナ等の無機吸収剤によって精製し得られる。
かくして得られるリン脂質は、主としてホスファチジル
コリンからなり、これ以外のリン脂質として、ホスファ
チジルイノシトール、ホスファチジルセリン、スフィン
ゴミエリンを含有してもよい。更に、ホスファチジルコ
リンそのものを用いてもよい。水は静注用に適したもの
(たとえば、注射用蒸留水、注射用精製水など)であれ
ばよい。
【0010】本発明に関する脂肪乳剤の各成分の含有量
としては、例えば、油成分(トリグリセリド)1〜50
%(w/v)、好ましくは5〜50%(w/v)、油成
分100部に対して乳化剤1〜500部(好ましくは、
1〜50部)、及び適量の水からなるものが例示され
る。
としては、例えば、油成分(トリグリセリド)1〜50
%(w/v)、好ましくは5〜50%(w/v)、油成
分100部に対して乳化剤1〜500部(好ましくは、
1〜50部)、及び適量の水からなるものが例示され
る。
【0011】この他、必要に応じて更に他の乳化補助剤
〔例えば、0.3%(w/v)までの量の炭素数6〜2
2、好ましくは12〜20の脂肪酸またはその薬理学的
に許容される塩等〕、安定化剤〔例えば、0.5%(w
/v)以下、好ましくは0.1%(w/v)以下の量の
コレステロール類、または5%(w/v)以下、好まし
くは1%(w/v)以下の量のホスファチジン酸等〕、
高分子物質〔例えば、0.1〜5%(w/v)、好まし
くは0.5〜1%(w/v)のアルブミン、デキストラ
ン、ビニル重合体、非イオン性界面活性剤、ゼラチン、
ヒドロキシエチル澱粉等〕、グリセリン、ブドウ糖等を
添加することもできる。
〔例えば、0.3%(w/v)までの量の炭素数6〜2
2、好ましくは12〜20の脂肪酸またはその薬理学的
に許容される塩等〕、安定化剤〔例えば、0.5%(w
/v)以下、好ましくは0.1%(w/v)以下の量の
コレステロール類、または5%(w/v)以下、好まし
くは1%(w/v)以下の量のホスファチジン酸等〕、
高分子物質〔例えば、0.1〜5%(w/v)、好まし
くは0.5〜1%(w/v)のアルブミン、デキストラ
ン、ビニル重合体、非イオン性界面活性剤、ゼラチン、
ヒドロキシエチル澱粉等〕、グリセリン、ブドウ糖等を
添加することもできる。
【0012】乳化補助剤としての炭素数6〜22の脂肪
酸は、医薬品に添加可能なものであればいずれも使用で
きる。この脂肪酸は直鎖状、分岐状のいずれでもよい
が、直鎖状のステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、
パルミチン酸、リノレン酸、ミリスチン酸などを用いる
のが好ましい。これらの塩としては、生理的に受け入れ
られる塩、例えばアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム
塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えば、マ
グネシウム塩等)などを用いることができる。
酸は、医薬品に添加可能なものであればいずれも使用で
きる。この脂肪酸は直鎖状、分岐状のいずれでもよい
が、直鎖状のステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、
パルミチン酸、リノレン酸、ミリスチン酸などを用いる
のが好ましい。これらの塩としては、生理的に受け入れ
られる塩、例えばアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム
塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えば、マ
グネシウム塩等)などを用いることができる。
【0013】更に、乳化補助剤として脂肪族アミンを用
いてもよい。具体的には炭素数2〜22のものが例示さ
れる。この脂肪族アミンは医薬品に添加可能なものであ
ればいずれも使用できる。この脂肪族アミンは直鎖状、
分岐状のいずれでもよいが、直鎖状のエチルアミン、プ
ロピルアミン、オクチルアミン、ステアリルアミン、オ
レイルアミンなどを用いるのが好ましい。その添加量と
しては0.0001〜0.01%(w/v)程度が例示
される。また、乳化不十分な場合はさらに公知の各種乳
化補助剤を用いることもできる。
いてもよい。具体的には炭素数2〜22のものが例示さ
れる。この脂肪族アミンは医薬品に添加可能なものであ
ればいずれも使用できる。この脂肪族アミンは直鎖状、
分岐状のいずれでもよいが、直鎖状のエチルアミン、プ
ロピルアミン、オクチルアミン、ステアリルアミン、オ
レイルアミンなどを用いるのが好ましい。その添加量と
しては0.0001〜0.01%(w/v)程度が例示
される。また、乳化不十分な場合はさらに公知の各種乳
化補助剤を用いることもできる。
【0014】安定化剤は医薬品として使用が可能なもの
であればいずれも使用できる。
であればいずれも使用できる。
【0015】本発明に関する高分子物質として用いられ
るアルブミン、ビニル重合体、非イオン性界面活性剤と
しては下記のものが好ましい。すなわち、アルブミンと
しては、抗原性の問題からヒト由来のものが好ましい。
ビニル重合体としては、ポリビニルピロリドンなどが挙
げられる。また、非イオン性界面活性剤としては、ポリ
アルキレングリコール(例えば、平均分子量1,000 〜1
0,000、好ましくは4,000 〜6,000 のポリエチレングリ
コール)、ポリオキシアルキレン共重合体(例えば、平
均分子量1,000 〜20,000、好ましくは6,000 〜10,000の
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合
体)、硬化ヒマシ油ポリオキシアルキレン誘導体〔例え
ば、硬化ヒマシ油ポリオキシエチレン−(20)−エー
テル、同−(40)−エーテル、同−(100)−エー
テル等〕、ヒマシ油ポリオキシアルキレン誘導体〔例え
ば、ヒマシ油ポリオキシエチレン−(20)−エーテ
ル、同−(40)−エーテル、同−(100)−エーテ
ル等〕等を用いることができる。
るアルブミン、ビニル重合体、非イオン性界面活性剤と
しては下記のものが好ましい。すなわち、アルブミンと
しては、抗原性の問題からヒト由来のものが好ましい。
ビニル重合体としては、ポリビニルピロリドンなどが挙
げられる。また、非イオン性界面活性剤としては、ポリ
アルキレングリコール(例えば、平均分子量1,000 〜1
0,000、好ましくは4,000 〜6,000 のポリエチレングリ
コール)、ポリオキシアルキレン共重合体(例えば、平
均分子量1,000 〜20,000、好ましくは6,000 〜10,000の
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合
体)、硬化ヒマシ油ポリオキシアルキレン誘導体〔例え
ば、硬化ヒマシ油ポリオキシエチレン−(20)−エー
テル、同−(40)−エーテル、同−(100)−エー
テル等〕、ヒマシ油ポリオキシアルキレン誘導体〔例え
ば、ヒマシ油ポリオキシエチレン−(20)−エーテ
ル、同−(40)−エーテル、同−(100)−エーテ
ル等〕等を用いることができる。
【0016】本発明の脂肪乳剤は、例えば次の方法によ
って製造される。まず、所定量の油成分(例えば、大豆
油)、乳化剤(好ましくはリン脂質)及びその他前記の
添加剤などを混合、加熱して溶液となし、常用のホモジ
ナイザーを用いて均質化処理し、次いでこれに必要量の
等張化剤、安定化剤等を含む水を加え、再びホモジナイ
ザーまたは超音波処理により均質化を行って水中油型乳
剤を得る。製造上の都合によっては、脂肪乳剤の生成後
に安定化剤、等張化剤などの添加剤を加えてもよい。
って製造される。まず、所定量の油成分(例えば、大豆
油)、乳化剤(好ましくはリン脂質)及びその他前記の
添加剤などを混合、加熱して溶液となし、常用のホモジ
ナイザーを用いて均質化処理し、次いでこれに必要量の
等張化剤、安定化剤等を含む水を加え、再びホモジナイ
ザーまたは超音波処理により均質化を行って水中油型乳
剤を得る。製造上の都合によっては、脂肪乳剤の生成後
に安定化剤、等張化剤などの添加剤を加えてもよい。
【0017】このようにして得られる脂肪乳剤は、極め
て微細で、脂肪粒子の平均粒子径は約0.05〜0.5
μm程度である。
て微細で、脂肪粒子の平均粒子径は約0.05〜0.5
μm程度である。
【0018】また、本発明の脂肪乳剤には他の公知の添
加剤(動植物油脂、安定化剤など)や栄養輸液成分であ
る糖、アミノ酸、ビタミン、電解質などを適宜配合して
もよい。
加剤(動植物油脂、安定化剤など)や栄養輸液成分であ
る糖、アミノ酸、ビタミン、電解質などを適宜配合して
もよい。
【0019】本発明の脂肪乳剤およびその含有物は、た
とえば肝機能障害、外科的疾患(火傷、熱傷、外傷を含
む)、術後の回復時、敗血症、外科的侵襲、細胞レベル
でカルニチンの低下を示す状態、長鎖脂肪酸の酸化過程
に負担がかかる病態、糖尿病、肝硬変、その他の脂肪に
対するトレランスが低下する状態、その他の代謝機能悪
化時などの栄養カロリー補給用、すなわち栄養輸液とし
て使用される。
とえば肝機能障害、外科的疾患(火傷、熱傷、外傷を含
む)、術後の回復時、敗血症、外科的侵襲、細胞レベル
でカルニチンの低下を示す状態、長鎖脂肪酸の酸化過程
に負担がかかる病態、糖尿病、肝硬変、その他の脂肪に
対するトレランスが低下する状態、その他の代謝機能悪
化時などの栄養カロリー補給用、すなわち栄養輸液とし
て使用される。
【0020】本発明の脂肪乳剤は患者の病態等に応じ
て、1日当たり10%w/v、脂肪乳剤として100〜
1000ml(油脂として10〜100g、カロリーとし
て90〜900cal )程度を、通常静脈内投与(点滴静
注)により投与される。
て、1日当たり10%w/v、脂肪乳剤として100〜
1000ml(油脂として10〜100g、カロリーとし
て90〜900cal )程度を、通常静脈内投与(点滴静
注)により投与される。
【0021】
【発明の効果】本発明の脂肪乳剤は、従来の栄養輸液に
比較してより優れたエネルギー基質であり、体内におけ
る代謝も速やかで、かつ安全性を有するので、病態時の
栄養カロリー補給用の静注用栄養輸液として極めて有用
である。
比較してより優れたエネルギー基質であり、体内におけ
る代謝も速やかで、かつ安全性を有するので、病態時の
栄養カロリー補給用の静注用栄養輸液として極めて有用
である。
【0022】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をより具体的に
説明するが本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
説明するが本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0023】実施例1 〔原料〕MCT;MCTはカプリル酸が77%、カプリ
ン酸が23%の割合でランダムにグリセリンとエステル
化結合した脂肪である。無色−微黄色の透明に液体であ
る。水への溶解度は60mg/dl、凝固点は−14
℃、熱量は8.3kcal/gである。 〔組成〕MCT50g、大豆油50g、卵黄リン脂質1
2g、グリセリン22.1gおよび適量の注射用水から
成り、全量を1Lとする。以上の原料を配合して常法に
よりホモミキサーで軽く乳化した後、高圧ホモジナイザ
ー(200〜250kg/cm2)で乳化粒子径が0.2
μm程度になるように均質化して、脂肪乳剤輸液(pH
6.3)とした。
ン酸が23%の割合でランダムにグリセリンとエステル
化結合した脂肪である。無色−微黄色の透明に液体であ
る。水への溶解度は60mg/dl、凝固点は−14
℃、熱量は8.3kcal/gである。 〔組成〕MCT50g、大豆油50g、卵黄リン脂質1
2g、グリセリン22.1gおよび適量の注射用水から
成り、全量を1Lとする。以上の原料を配合して常法に
よりホモミキサーで軽く乳化した後、高圧ホモジナイザ
ー(200〜250kg/cm2)で乳化粒子径が0.2
μm程度になるように均質化して、脂肪乳剤輸液(pH
6.3)とした。
【0024】実験例1(毒性) (1)ウィスター系雄性ラット200〜250gを用い
て実施例1にて調製した脂肪乳剤〔MCT/LCT
(1:1)乳剤〕、および表1の各組成からなる脂肪乳
剤を静注にて投与し、毒性について検討した。それぞれ
のLD50値を表1に示す。C8 乳剤の毒性は強く、LD
50値は20ml/kgであった。一方、C10乳剤の毒性
はLCT乳剤の毒性と変わらず、100ml/kg以上
投与することができた。その結果C8 とC10の混合MC
Tでは毒性が減弱する傾向が認められ、LD50値が30
ml/kgがLD50値であった。しかし、MCT単独乳
剤では未だ臨床に使用するには毒性が強すぎると判断さ
れた。そこで、MCTとLCTを1:1で混合した乳剤
を投与したところ、有意に毒性が弱まり、MCTとして
8g/kgがLD50値となり、毒性の少ない乳剤を調製
することができた。
て実施例1にて調製した脂肪乳剤〔MCT/LCT
(1:1)乳剤〕、および表1の各組成からなる脂肪乳
剤を静注にて投与し、毒性について検討した。それぞれ
のLD50値を表1に示す。C8 乳剤の毒性は強く、LD
50値は20ml/kgであった。一方、C10乳剤の毒性
はLCT乳剤の毒性と変わらず、100ml/kg以上
投与することができた。その結果C8 とC10の混合MC
Tでは毒性が減弱する傾向が認められ、LD50値が30
ml/kgがLD50値であった。しかし、MCT単独乳
剤では未だ臨床に使用するには毒性が強すぎると判断さ
れた。そこで、MCTとLCTを1:1で混合した乳剤
を投与したところ、有意に毒性が弱まり、MCTとして
8g/kgがLD50値となり、毒性の少ない乳剤を調製
することができた。
【0025】
【表1】
【0026】(2)ドイツにおいて市販されているMC
T含有脂肪乳剤との毒性を詳細に比較するため、ウィス
ター系雄性ラット200〜250gを用いて、表2の組
成から成る10%MCT脂肪乳剤を静注にて投与し、毒
性について検討した。結果を表3に示す。従来のMCT
に比較し、本発明の実質的にC8 とC10からなるMCT
の方が、有意に毒性が低くなった。
T含有脂肪乳剤との毒性を詳細に比較するため、ウィス
ター系雄性ラット200〜250gを用いて、表2の組
成から成る10%MCT脂肪乳剤を静注にて投与し、毒
性について検討した。結果を表3に示す。従来のMCT
に比較し、本発明の実質的にC8 とC10からなるMCT
の方が、有意に毒性が低くなった。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】実験例2(ラット盲腸結紮腹膜炎モデル−
MCT/LCT配合比率の検討実験) ウィスター系雄性ラット200〜250gを用いて、盲
腸結紮後、12時間目に盲腸を切除した。検体となる乳
剤としては、MCT単独乳剤、MCT/LCT(3:
1)乳剤、MCT/LCT(1:1)乳剤、MCT/L
CT(1:3)乳剤、LCT単独乳剤を使用した。各脂
肪乳剤を含む輸液を中心静脈に挿入したカテーテルによ
り3日間投与した。 投与カロリー:150Kcal/kg/day 脂肪/非蛋白カロリー:50% 非蛋白カロリー/窒素比:95
MCT/LCT配合比率の検討実験) ウィスター系雄性ラット200〜250gを用いて、盲
腸結紮後、12時間目に盲腸を切除した。検体となる乳
剤としては、MCT単独乳剤、MCT/LCT(3:
1)乳剤、MCT/LCT(1:1)乳剤、MCT/L
CT(1:3)乳剤、LCT単独乳剤を使用した。各脂
肪乳剤を含む輸液を中心静脈に挿入したカテーテルによ
り3日間投与した。 投与カロリー:150Kcal/kg/day 脂肪/非蛋白カロリー:50% 非蛋白カロリー/窒素比:95
【0030】各脂肪乳剤の投与3日間の累積窒素バラン
スを図1に示す。図1に示された結果より、MCT/L
CT(1:1)乳剤投与したものが窒素バランス低下が
最も少ないことがわかる。
スを図1に示す。図1に示された結果より、MCT/L
CT(1:1)乳剤投与したものが窒素バランス低下が
最も少ないことがわかる。
【図1】各脂肪乳剤の投与3日間の累積窒素バランスを
示す。
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 俊一 大阪府枚方市招提大谷2丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内 (72)発明者 坂部 真一 大阪府枚方市招提大谷2丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】 中鎖脂肪酸トリグリセリドおよび長鎖脂
肪酸トリグリセリドを主成分とする脂肪乳剤であって、
中鎖脂肪酸トリグリセリドの構成脂肪酸が実質的に炭素
数8〜10のもののみであることを特徴とする脂肪乳
剤。 - 【請求項2】 中鎖脂肪酸トリグリセリドと長鎖脂肪酸
トリグリセリドとの組成比がほぼ1対1(重量比)であ
る請求項1記載の脂肪乳剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03255687A JP3132085B2 (ja) | 1991-09-06 | 1991-09-06 | 脂肪乳剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03255687A JP3132085B2 (ja) | 1991-09-06 | 1991-09-06 | 脂肪乳剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0558878A true JPH0558878A (ja) | 1993-03-09 |
JP3132085B2 JP3132085B2 (ja) | 2001-02-05 |
Family
ID=17282233
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP03255687A Expired - Fee Related JP3132085B2 (ja) | 1991-09-06 | 1991-09-06 | 脂肪乳剤 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3132085B2 (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6126941A (en) * | 1996-11-06 | 2000-10-03 | Rhone-Poulenc Rorer Gmbh & Co. | Phospholipidic composition, method for the production of such a composition and its use |
JP2008231086A (ja) * | 2007-03-21 | 2008-10-02 | Taiwan Liposome Co Ltd | プロスタグランジンe1を含むエマルション組成物 |
JP2010053135A (ja) * | 2001-04-18 | 2010-03-11 | Prometic Biosciences Inc | 好中球の生存及び活性化因子としての中鎖脂肪酸、グリセリド及び類似体 |
CN107823138A (zh) * | 2017-12-14 | 2018-03-23 | 广州白云山汉方现代药业有限公司 | 一种脂肪酸甘油三酯乳剂及其制备方法 |
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CN114010597A (zh) * | 2021-11-25 | 2022-02-08 | 广州白云山汉方现代药业有限公司 | 一种特殊油脂比例的棓丙酯脂肪乳注射液及其制备方法 |
WO2022113693A1 (ja) * | 2020-11-30 | 2022-06-02 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 筋ジストロフィー治療剤、中心静脈栄養用組成物、筋組織の炎症抑制剤および筋ジストロフィーの抗炎症用食品組成物 |
-
1991
- 1991-09-06 JP JP03255687A patent/JP3132085B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
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