JP6366218B2 - 磁性キャリア及び二成分系現像剤 - Google Patents
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Description
多孔質磁性コア粒子及び該多孔質磁性コア粒子の孔に充填されているシリコーン樹脂を有する充填コア粒子と、
該充填コア粒子の表面を被覆しているビニル系樹脂と、
を有する磁性キャリア粒子の集合体である磁性キャリアであって、
下記方法で算出される該多孔質磁性コア粒子の積算細孔容積が、35.0mm3/g以上95.0mm3/g以下であり、
下記方法で算出される該充填コア粒子の積算細孔容積が、7.8mm3/g以上12.8mm3/g以下であり、
該充填コア粒子の体積分布基準50%粒径(D50)が、19.0μm以上69.0μm以下であり、
該磁性キャリアが、該充填コア粒子100.0質量部に対して1.2質量部以上3.0質量部以下の該ビニル系樹脂を有することを特徴とする磁性キャリアに関する。
[該多孔質磁性コア粒子の積算細孔容積は、約1.0gの該多孔質磁性コア粒子を対象として水銀圧入法により測定される細孔分布において、細孔径0.1μm以上3.0μm以下の範囲におけるLog微分細孔容積を積分して、算出される。
又、該充填コア粒子の積算細孔容積は、約1.0gの該充填コア粒子を対象として水銀圧入法により測定される細孔分布において、細孔径0.1μm以上3.0μm以下の範囲におけるLog微分細孔容積を積分して、算出される。]
磁性キャリア及びトナーを含む二成分系現像剤であって、
該トナーが、
結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー粒子と
無機微粉体と、
を有するトナーであり、
該磁性キャリアが、上記磁性キャリアである
ことを特徴とする二成分系現像剤である。
S1=(磁性キャリア粒子1粒子上の多孔質磁性コア粒子に由来する輝度の高い部分の総面積/その粒子の全投影面積)×100 (1)
S1が上記範囲内であれば、磁性キャリア表面が、ビニル系樹脂で十分に被覆されており、且つ多孔質磁性コア粒子に由来する凹凸を有していることを意味する。また、充填されているシリコーン樹脂とビニル系樹脂の間で形成される被覆樹脂膜の面積を制御することを意味する。これによって、トナーに対して十分な摩擦帯電を付与することができる。
多孔質磁性コア粒子の材質としては、マグネタイト又はフェライトが好ましい。さらに、多孔質磁性コア粒子の構造を制御したり、抵抗を調整することが容易となるため、多孔質磁性コア粒子の材質は、フェライトであることがより好ましい。
(M12O)x(M2O)y(Fe2O3)z
(式中、M1は1価、M2は2価の金属であり、x+y+z=1.0とした時、x及びyは、0≦x≦0.8、0≦y≦0.8であり、zは、0.2<z<1.0である。)
式中において、M1及びM2としては、Li、Fe、Mn、Mg、Sr、Cu、Zn、Caからなる群から選ばれる1種類以上の金属原子を用いることが好ましい。
フェライトの原料を、秤量し、混合する。フェライト原料としては、以下のものが挙げられる。Li、Fe、Mn、Mg、Sr、Cu、Zn、Caの金属粒子、酸化物、水酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩。なお、配合する原料として、水酸化物や炭酸塩を用いた方が、酸化物を用いた場合に比べて細孔容積は大きくなりやすい。混合する装置としては、ボールミル、遊星ミル、ジオットミル、振動ミルが挙げられる。特にボールミルが混合性の観点から好ましい。具体的には、ボールミル中に、秤量したフェライト原料、ボールを入れ、0.1時間以上20.0時間以下、粉砕及び混合を行う。
粉砕、混合したフェライト原料を、加圧成型機等を用いてペレット化した後、大気中で焼成温度700℃以上1200℃以下の範囲で、0.5時間以上5.0時間以下、仮焼成を行う。焼成に用いられる炉としては、バーナー式焼成炉、ロータリー式焼成炉、電気炉が挙げられる。
工程2で作製した仮焼フェライトを粉砕機で粉砕する。粉砕機としては、所望の粒径が得られれば特に限定されない。粉砕機としては、クラッシャーやハンマーミル、ボールミル、ビーズミル、遊星ミル、ジオットミルが挙げられる。
仮焼フェライトの微粉砕品に対し、分散剤、水、バインダーを加え、フェライトスラリーとする。必要に応じて、孔調整剤を加えてもよい。孔調整剤としては、発泡剤や樹脂微粒子が挙げられる。バインダーとしては、ポリビニルアルコールが用いられる。工程3において、湿式で粉砕した場合は、フェライトスラリー中に含まれている水も考慮して、上記材料を加えることが好ましい。
次に、造粒品を、600以上800℃以下の温度で脱バインダーを行った後、酸素濃度の制御がなされた雰囲気下で、温度800℃以上1300℃以下で1時間以上24時間以下、焼成を行う。加熱温度は、温度1000℃以上1200℃以下がより好ましい。昇温時間を短くし、降温時間を長くすることで、結晶成長の速度をコントロールし、所望の多孔質構造を得ることができる。焼成温度の保持時間は、3時間以上5時間以下であることが、所望の多孔質構造を得るために好ましい。焼成温度を上げたり、焼成時間を長くすることで、多孔質磁性コアの焼成が進む。その際、ロータリー式電気炉やバッチ式電気炉または連続式電気炉を使用することができる。焼成時において、窒素等の不活性ガスや水素や一酸化炭素等の還元性ガスを打ち込んで、酸素濃度の制御を行っても良い。あるいは、脱バインダーを行わずに、本焼成を行い、造粒時に添加したバインダーを炉内で分解させて、発生したガスにより炉内を還元性雰囲気にして、酸素濃度の制御を行っても良い。また、ロータリー式電気炉の場合、雰囲気や焼成温度を変更して、多数回焼成を行っても良い。
焼成した粒子を解砕した後に、必要に応じて、磁力により低磁力品を分別し、分級や篩で篩分して粗大粒子や微粒子を除去してもよい。
必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化被膜処理を施し、抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、300℃以上700℃以下で熱処理を行うことが好ましい。この処理によって形成された酸化被膜の厚さは、0.1nm以上5.0nm以下であることが好ましい。また、必要に応じて、酸化被膜処理の前に還元を行っても良い。
多孔質磁性コア粒子の孔にシリコーン樹脂を充填させる方法としては、シリコーン樹脂を溶剤に希釈し、これを多孔質磁性コア粒子の孔に添加し、溶剤を除去する方法が挙げられる。ここで用いられる溶剤は、シリコーン樹脂を溶解できるものであればよい。有機溶剤として、トルエン、キシレン、セルソルブブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノールが挙げられる。多孔質磁性コア粒子の孔に、樹脂を充填する方法としては、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、及び流動床の如き塗布方法が挙げられ、その後、溶剤を揮発させる。
充填コア粒子の表面をビニル系樹脂で被覆する方法としては、特に限定されないが、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、乾式法、及び流動床の如き塗布方法により処理する方法が挙げられる。中でも、低抵抗な多孔質磁性コア粒子の特徴を生かすためには、被覆層の薄い部分と厚い部分の割合を制御することができる浸漬法がより好ましい。
次に、二成分系現像剤に磁性キャリアと共に含有されるトナーについて説明する。
粒度分布測定は、レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置「マイクロトラックMT3300EX」(日機装社製)にて測定を行った。
SetZero時間 :10秒
測定時間 :10秒
測定回数 :1回
粒子屈折率 :1.81
粒子形状 :非球形
測定上限 :1408μm
測定下限 :0.243μm
測定環境 :約23℃/50%RH
<磁性キャリアの電界強度1000V/cmにおける比抵抗、充填コア粒子の電界強度1000V/cmにおける比抵抗、多孔質磁性コア粒子の電界強度300V/cmにおける比抵抗の測定>
磁性キャリアの電界強度1000V/cmにおける比抵抗、充填コア粒子の電界強度1000V/cmにおける比抵抗、多孔質磁性コア粒子の電界強度300V/cmにおける比抵抗は、図1に概略される測定装置を用いて測定される。
d=d2−d1
この時、試料の厚みが0.95mm以上1.04mmとなるように試料の質量を適宜変えることが重要である。
比抵抗(Ω・cm)=(印加電圧(V)/測定電流(A))×S(cm2)/d(cm)
電界強度(V/cm)=印加電圧(V)/d(cm)
<多孔質磁性コア粒子及び充填コア粒子の積算細孔容積及び平均細孔径の測定>
多孔質磁性コア粒子及び充填コア粒子の積算細孔容積は、水銀圧入法により測定される。測定原理は、以下の通りである。本測定では、水銀に加える圧力を変化させ、その際の細孔中に進入した水銀の量を測定する。細孔内に水銀が侵入し得る条件は、圧力P、細孔直径D、水銀の接触角と表面張力をそれぞれθとσとすると、力の釣り合いからPD=−4σcosθで表せる。接触角と表面張力を定数とすれば、圧力Pとそのとき水銀が侵入し得る細孔直径Dは反比例することになる。このため、圧力Pとそのときに侵入する液量Vを、圧力を変えて測定し得られる、P−V曲線の横軸Pを、そのままこの式から細孔直径に置き換え、細孔分布を求めて、0.1μm以上3.0μm以下の細孔径の範囲における微分細孔容積を積分し、細孔容積(図2(b)中塗り部分)を算出する。測定装置としては、ユアサアイオニクス社製 全自動多機能水銀ポロシメータPoreMasterシリーズ・PoreMaster−GTシリーズや、島津製作所社製 自動ポロシメータオートポアIV 9500 シリーズ等を用いて測定することができる。本願では、株式会社 島津製作所のオートポアIV9520を用いて、下記条件・手順で測定を行った。
(測定手順)
(1)約1.0gの多孔質磁性コア粒子または充填コア粒子を秤量し、試料セルに入れる。そして、秤量値を入力する。
(2)低圧部で2.0psia(13.8kPa)以上45.8psia(315.6kPa)以下の範囲を測定。
(3)高圧部で45.9psia(316.3kPa)以上59989.6psia(413.6Mpa)以下の範囲を測定。
(4)水銀注入圧力及び水銀注入量から、細孔分布及び平均細孔径を算出する。ここで、平均細孔径とは、付属ソフトで解析し算出された値であり、0.1μm以上3.0μm以下の細孔径の範囲に指定した場合のメディアン細孔直径(容積基準)の値である。
磁性キャリア粒子表面上の多孔質磁性コア粒子に由来する輝度の高い部分の比率S1は、走査電子顕微鏡による反射電子像の観察と、続く画像処理により求めることができる。
SignalName=SE(U,LA80)
AcceleratingVoltage=2000Volt
EmissionCurrent=10000nA
WorkingDistance=6000um
LensMode=High
Condencer1=5
ScanSpeed=Slow4(40秒)
Magnification=600
DataSize=1280×960
ColorMode=Grayscale
反射電子像は、走査電子顕微鏡S−4800の制御ソフト上で‘コントラスト5、ブライトネス−5’に明るさを調整し、キャプチャスピード/積算枚数‘Slow4を40秒’、画像サイズ1280×960pixelsの8bitの256階調グレースケール画像として磁性キャリアの投影像を得る(図3(a))。画像上のスケールから、1pixelの長さは0.1667μm、1pixelの面積は0.0278μm2となる。
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム :Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0ml/min
オーブン温度 :40.0℃
試料注入量 :0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
上述したシリコーン樹脂のR/Si比の測定は、硬化前のシリコーン樹脂を分析することによって行われる。硬化させた後のシリコーン樹脂のNMR測定は困難であるため、溶媒を除去した硬化前のシリコーン樹脂を測定する。
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 61.9質量部
MnCO3 31.0質量部
Mg(OH)2 6.5質量部
SrCO3 0.6質量部
上記組成比となるように上記フェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕、混合を行った。
得られた粉砕物を、ローラーコンパクターによって、約1mm角のペレットにした。このペレットに対して、目開き3mmの振動篩を用いて、粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した。その後、バーナー式焼成炉を用い、大気中で、温度950℃で2時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.349、b=0.144、c=0.005、d=0.502
・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのステンレスビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのステンレスビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して、1.0質量部のポリカルボン酸アンモニウム(分散剤)、2.0質量部のポリビニルアルコール(バインダー)を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、室温から温度1150℃まで3時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、8時間をかけて、温度80℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)35.1μmの多孔質磁性コア粒子1を得た。D50、電界強度300V/cmにおける比抵抗、及び細孔容積、平均細孔径を表1に示す。
多孔質磁性コア粒子の製造例1において、製造条件を表1に示すように変更し、それ以外は多孔質磁性コア粒子の製造例1と同様にして多孔質磁性コア粒子2〜14を得た。多孔質磁性コア粒子2〜14のD50、電界強度300V/cmにおける比抵抗、0.1μm以上3.0μm以下の細孔径の範囲における細孔容積、平均細孔径を表1に示す。なお、表1において、PVAはポリビニルアルコールを表す。
ポリジメチルシロキサン(平均重合度55) 5.0質量部
メチルトリクロロシラン 25.0質量部
水 40.0質量部
メチルイソブチルケトン 30.0質量部
上記材料のうち、水、メチルイソブチルケトンを、還流冷却管、滴下ロート、及び撹拌器を備えた反応容器に、二層を形成しないよう激しく撹拌しておき、ポリジメチルシロキサンを加えてさらに撹拌し、氷浴中に入れた。反応容器内の混合物の温度が10℃となったところで、メチルトリクロロシランを滴下ロートからゆっくり滴下した。この際、反応混合物の温度は17℃まで上昇した。滴下終了後、有機層が中性になるまで洗浄し、次いで有機層を乾燥剤を用いて乾燥した。乾燥剤を除去した後、溶媒を減圧で留去し、二昼夜真空乾燥を行いシリコーン樹脂1を得た。このシリコーン樹脂1のNMRスペクトルから求めたR/Siは1.4であった。
シリコーン樹脂1の調製において、用いる材料を表2に示したように変更し、それ以外はシリコーン樹脂1の調製と同様にしてシリコーン樹脂2〜7を調製した。
シリコーン樹脂1 19.6質量部
トルエン 78.4質量部
3−アミノプロピルトリメトキシシラン 2.0質量部
を1時間混合し、シリコーン樹脂溶液1を得た。
シリコーン樹脂溶液1の調製において、用いる材料を表3に示したように変更し、それ以外はシリコーン樹脂溶液1の調製と同様にしてシリコーン樹脂溶液2〜10を調製した。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量部
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量部
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量部
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量部
メチルエチルケトン 31.3質量部
上記材料を、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした。その後、80℃まで加温し、2.0質量部のアゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してビニル系樹脂1を得た。
ビニル系樹脂1の調製において、用いる材料を表4に示すように変更し、それ以外はビニル系樹脂1の調整と同様にしてビニル系樹脂2〜4を調製した。
ビニル系樹脂1 10.0質量部
トルエン 90.0質量部
を1時間混合し、ビニル系樹脂溶液1を得た。
ビニル系樹脂溶液1の調製において、表5に示したように変更し、それ以外はビニル系樹脂溶液1の調製と同様にしてビニル系樹脂溶液2〜8を調製した。
(樹脂充填工程)
100.0質量部の多孔質磁性コア粒子1を混合撹拌機(ダルトン社製の万能撹拌機NDMV型)の撹拌容器内に入れ、60℃に温度を保ち、2.3kPaまで減圧しながら窒素を導入した。そして、減圧下で、シリコーン樹脂溶液1を、多孔質磁性コア粒子1に対して樹脂成分が7.5質量部となるように滴下した。滴下終了後、2時間そのまま撹拌を続けた。その後、70℃まで温度を上げ、減圧下で溶剤を除去して、多孔質磁性コア粒子1の粒子内にシリコーン樹脂組成物を充填した。
引き続き、減圧下(1.5kPa)、温度60℃で維持されている遊星運動型混合機(ホソカワミクロン社製のナウタミキサVN型)にビニル系樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.0質量部になるように投入した。投入の仕方として、1/3の量の樹脂溶液を投入し、20分間トルエン除去及び塗布操作を行った。次いで、さらに1/3の量の樹脂溶液を投入し、20分間トルエン除去及び塗布操作を行い、さらに1/3の量の樹脂溶液を投入し、20分間トルエン除去及び塗布操作を行った。その後、ビニル樹脂で被覆された充填コア粒子を回転可能な混合容器内にスパイラル羽根を有する混合機(杉山重工業社製のドラムミキサーUD−AT型)に移し、混合容器を1分間に10回転させて撹拌しながら、窒素雰囲気下に温度200℃で2時間熱処理した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。得られた磁性キャリアの物性を表7に示す。
磁性キャリア1製造例のうち、用いる材料を表6に示すように変更し、それ以外は磁性キャリア1の製造と同様にして磁性キャリア2〜34を作製した。得られた磁性キャリアの物性を表7に示す。
・テレフタル酸: 299質量部
・無水トリメリット酸: 19質量部
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:
747質量部
・チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート): 1質量部
冷却管、攪拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、上記の材料を添加した。その後、温度200℃に加熱し、窒素を導入し且つ生成する水を除去しながら10時間反応させた。その後、10mmHgに減圧し、1時間反応を行い、重量平均分子量(Mw)6000である非晶性ポリエステル樹脂1を得た。
・テレフタル酸: 332質量部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
996質量部
・チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート): 1質量部
冷却管、攪拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、上記の材料を添加した。その後、220℃に加熱し、窒素を導入し且つ生成する水を除去しながら10時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸96質量部を加え、温度180℃に加熱し、2時間反応させ、重量平均分子量(Mw)84000である非晶性ポリエステル樹脂2を得た。
・非晶性ポリエステル樹脂1: 80質量部
・非晶性ポリエステル樹脂2: 20質量部
・パラフィンワックス(融点:75℃): 7質量部
・シアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)): 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物: 1質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕した。
トナー1の製造において、非晶性ポリエステル樹脂1の添加量を80質量部から60質量部に変更し、非晶性ポリエステル樹脂2の添加量を20質量部から40質量部に変更し、パラフィンワックスの添加量を7質量部から3質量部に変更した。それ以外は、トナー1の製造例と同様にしてトナー2を製造した。
以下の様にして、二成分系現像剤1の評価を行った。評価機として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimagePRESS C7010VP改造機を用い、シアン位置の現像器に二成分系現像剤1を入れ、耐久画像出力試験を行った。なお、上記評価機の改造点は、以下の様である。現像器内部で過剰になった磁性キャリアを現像器から排出する機構を取り外し、現像剤担持体には周波数2.0kHz、Vpp1.3kVの交流電圧と直流電圧VDCを印加した。耐久画像出力評価時の直流電圧VDCは、FFh画像(ベタ画像)のトナーの紙上への載り量が0.55mg/cm2となるように調整した。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
耐久試験前後の定着画像の光沢度の差を評価した。定着画像の光沢度は、JIS Z 8741に準じて、ハンディ光沢度計グロスメーターPG−3D(日本電色工業製)を用いて60°測定角型を選択して評価した。なお、光沢度は、測定画像の中央部及び四隅の5点平均値である。光沢度評価用画像は、VDCを調整し、A4紙全面にFFh画像を形成し、定着温度は180℃に設定した。また、定着画像を作成するための用紙は、市販のA4サイズの光沢紙「PODスーパーグロス170(王子製紙社製)(坪量128g/cm2、厚さ0.17mm)」を用いた。
A:耐久試験前後の光沢度差が5.0%未満である。
B:耐久試験前後の光沢度差が5.0%以上10.0%未満である。
C:耐久試験前後の光沢度差が10.0%以上15.0%未満である。
D:耐久試験前後の光沢度差が15.0%以上である。
耐久後のカブリを評価した。Vback150VになるようにVDCを調整し、00h画像を1枚出力し、紙上の平均反射率Dr(%)をリフレクトメーター(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。また、画像を出力していない紙上の反射率Ds(%)を測定した。カブリ(%)は下記式から算出した。
カブリ(%)=Dr(%)−Ds(%)
A:カブリが0.5%未満である。
B:カブリが0.5%以上1.0%未満である。
C:カブリが1.0%以上2.0%未満である。
D:カブリが2.0%以上である。
耐久後のキャリア付着を評価した。Vback100VになるようにVDCを調整し、00h画像を出力し、静電潜像担持体上に透明な粘着テープを密着させてサンプリングした。そして、1cm×1cm中の静電潜像担持体上に付着していた磁性キャリア粒子の個数をカウントすることで、1cm2当りの付着キャリア粒子の個数を算出した。
A:1cm2当りの付着キャリア粒子の個数が3個以下である。
B:1cm2当りの付着キャリア粒子の個数4個以上10個以下である。
C:1cm2当りの付着キャリア粒子の個数11個以上20個以下である。
D:1cm2当りの付着キャリア粒子の個数21個以上である。
耐久後のリークを評価した。VDCを調整し、A4普通紙上にベタ(FFh)画像を5枚連続して出力した。出力したベタ画像において、直径が1mm以上の白く抜けている点(白ポチ)の個数をカウントした。そして、5枚のベタ画像の白ポチの合計個数を算出した。
A:白ポチの合計個数が0個である。
B:白ポチの合計個数1個以上9個以下である。
C:白ポチの合計個数10個以上19個以下である。
D:白ポチの合計個数20個以上である。
耐久後の濃度ムラを評価した。VDCを調整し、A4紙全面に90h画像を出力した。90h画像について、任意の5箇所の画像濃度を測定し、画像濃度の最大値と最小値との差を求めた。画像濃度は、X−Riteカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X−Rite 404A)で測定し、以下の基準により評価した。
A:画像濃度の最大値と最小値との差が0.04未満である。
B:画像濃度の最大値と最小値との差が0.04以上0.08未満である。
C:画像濃度の最大値と最小値との差が0.08以上0.12未満である。
D:画像濃度の最大値と最小値との差が0.12以上である。
二成分系現像剤2〜35を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表8に示す。尚、実施例25及び26は参考例1及び2とする。
2 下部電極
3 支持台座
4 上部電極
5 試料
6 エレクトロメーター
7 制御コンピュータ
A 抵抗測定セル
d サンプル高さ
d1 サンプルがない状態の高さ
d2 サンプルが入った状態の高さ
Claims (6)
- 多孔質磁性コア粒子及び該多孔質磁性コア粒子の孔に充填されているシリコーン樹脂を有する充填コア粒子と、
該充填コア粒子の表面を被覆しているビニル系樹脂と、
を有する磁性キャリア粒子の集合体である磁性キャリアであって、
下記方法で算出される該多孔質磁性コア粒子の積算細孔容積が、35.0mm3/g以上95.0mm3/g以下であり、
下記方法で算出される該充填コア粒子の積算細孔容積が、7.8mm3/g以上12.8mm3/g以下であり、
該充填コア粒子の体積分布基準50%粒径(D50)が、19.0μm以上69.0μm以下であり、
該磁性キャリアが、該充填コア粒子100.0質量部に対して1.2質量部以上3.0質量部以下の該ビニル系樹脂を有することを特徴とする磁性キャリア。
[該多孔質磁性コア粒子の積算細孔容積は、約1.0gの該多孔質磁性コア粒子を対象として水銀圧入法により測定される細孔分布において、細孔径0.1μm以上3.0μm以下の範囲におけるLog微分細孔容積を積分して、算出される。
又、該充填コア粒子の積算細孔容積は、約1.0gの該充填コア粒子を対象として水銀圧入法により測定される細孔分布において、細孔径0.1μm以上3.0μm以下の範囲におけるLog微分細孔容積を積分して、算出される。] - 前記ビニル系樹脂が、
分子構造中に環式炭化水素基を有するビニル系モノマーと、
該分子構造中に環式炭化水素基を有するビニル系モノマー以外のビニル系モノマーと、の共重合体である請求項1に記載の磁性キャリア。 - 前記ビニル系樹脂が、
シクロヘキシルメタクリレートモノマーと、
メチルメタクリレートマクロモノマー及びスチレンマクロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーとの共重合体である請求項1又は2に記載の磁性キャリア。 - 前記ビニル樹脂は、分子中に脂環式炭化水素基を有するビニルモノマーと
片末端にメタクリロイル基を有するメチルメタクリレートマクロモノマーとの共重合体である請求項2に記載の磁性キャリア。 - 前記シリコーン樹脂における、ケイ素原子1個当たりに結合している有機基(R)の平均数(R/Si比)が、1.30以上1.50以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁性キャリア。
- 磁性キャリア及びトナーを含む二成分系現像剤であって、
該トナーが、
結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー粒子と、
無機微粉体と
を有するトナーであり、
該磁性キャリアが、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁性キャリアである
ことを特徴とする二成分系現像剤。
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