JP6365580B2 - 炭素材料、リチウムイオン二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

炭素材料、リチウムイオン二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、炭素材料、リチウムイオン二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、ニッケル水素電池、鉛蓄電池等の他の二次電池に比べて軽量で高い入出力特性を有することから、近年、電気自動車、ハイブリッド型電気自動車等に用いられる高入出力用電源として注目されている。
リチウムイオン二次電池に用いられる負極活物質としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素が挙げられる。
黒鉛は炭素原子の六角網面が規則正しく積層した構造を有し、積層した網面の端部よりリチウムイオンの挿入・脱離反応が進行し充放電を行う。
また、非晶質炭素は、六角網面の積層が不規則であるか、網目構造を有しないため、リチウムイオンの挿入・脱離反応は全表面で進行することとなり、入出力特性に優れたリチウムイオンが得られやすい(例えば、特開平4−370662号公報及び特開平5−307956号公報、参照)。また、非晶質炭素は、黒鉛とは対照的に、結晶性が低く、電解液との反応を低く抑えることができ、寿命特性に優れるといった特徴を有する。
特開平4−370662号公報 特開平5−307956号公報
しかしながら黒鉛は、リチウムイオンの挿入脱離反応が端部でのみ進行するため入出力性能が充分とは言えない。また、結晶性が高く表面の反応性が高いために、特に高温において、電解液との反応性が高くなることがあり、リチウムイオン二次電池の寿命特性の点で改善の余地がある。
一方、非晶質炭素は、黒鉛よりも結晶性が低いことにより、結晶構造が不規則であり、エネルギー密度が充分とは言えない。
このように、エネルギー密度が大きく、入出力特性及び寿命特性及び熱安定性に優れたリチウムイオン二次電池と、それを得るための負極材が依然として要求されている。
本発明は、エネルギー密度が大きく、入出力特性、寿命特性及び熱安定性に優れたリチウムイオン二次電池、並びにそれを得るための炭素材料、リチウムイオン二次電池用負極材、及び該負極材を用いてなるリチウムイオン二次電池用負極を提供することを目的とするものである。
発明者らは鋭意検討の結果、本課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明の各態様によれば、下記の炭素材料、リチウムイオン二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池用負極、及びリチウムイオン二次電池が提供される。
[1] X線回折法より求めた平均面間隔d002が0.335nm〜0.340nm、体積平均粒子径(50%D)が1μm〜40μm、最大粒子径Dmaxが74μm以下、及び、空気気流中における示差熱分析において、300℃以上1000℃以下の温度範囲に少なくとも二つの発熱ピークを有し、前記少なくとも二つの発熱ピークが、300℃以上700℃未満の温度範囲にピークを有する発熱ピークと、700℃以上740℃以下の温度範囲にピークを有する発熱ピークとを含む、リチウムイオン二次電池の負極材用の炭素材料
[2] 前記少なくとも二つの発熱ピークのうち、最も高い温度にピークを有する発熱ピークと、最も低い温度にピークを有する発熱ピークとのピーク温度差が、300℃以内である[1]記載の炭素材料。
[3] 前記少なくとも二つの発熱ピークのうち、最も高い温度にピークを有する発熱ピークと、最も低い温度にピークを有する発熱ピークとのピーク温度差が、180℃以内である[1]又は[2]記載の炭素材料
[4] 7Kでの窒素吸着測定より求めた比表面積が0.5m/g〜25m/gである[1]〜[3]のいずれかに記載の炭素材料
[5] 73Kでの二酸化炭素吸着測定より求めた吸着量が0.1cm/g〜5.0cm/gである[1]〜[4]のいずれかに記載の炭素材料
[6] ップ密度が0.3g/cm〜2.0g/cmである[1]〜[5]のいずれかに記載の炭素材料
[7] マンスペクトル解析から得られるR値が0.10〜1.5である[1]〜[6]のいずれかに記載の炭素材料
[8] となる第一の炭素相と、該第一の炭素相の表面に存在し、該第一の炭素相よりも結晶性が低い第二の炭素相と、を含む[1]〜[7]のいずれかに記載の炭素材料
[9] 前記第二の炭素相の含有率が、前記炭素材料の全質量の0.1質量%〜30質量%である[8]に記載の炭素材料
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の炭素材料を50質量%以上含むリチウムイオン二次電池用負極材。
[11][10]に記載のリチウムイオン二次電池用負極材を含む負極材層と、集電体と、を含むリチウムイオン二次電池用負極。
[12][11]に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、正極と、電解質とを含むリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、エネルギー密度が大きく入出力特性、寿命特性及び熱安定性に優れたリチウムイオン二次電池、並びにそれを得るための炭素材料、リチウムイオン二次電池負極材、及び該負極材を用いてなるリチウムイオン二次電池用負極を提供することが可能となる。
本発明にかかるリチウムイオン二次電池用負極材(以下、単に「負極材」と呼ぶ場合がある)は、X線回折法より求めた平均面間隔d002が0.335nm〜0.340nm、体積平均粒子径(50%D)が1μm〜40μm、最大粒子径Dmaxが74μm以下、及び、空気気流中における示差熱分析において、300℃以上1000℃以下の温度範囲に少なくとも二つの発熱ピークを有する炭素材料を含む。
本発明にかかる前記負極材は、これらの各物性値を満たす炭素材料を含むことにより、エネルギー密度が大きく、入出力特性、寿命特性及び熱安定性に優れたリチウム二次電池を提供できる負極材となる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても本工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
また、本発明において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、本発明について説明する。
<負極材>
本発明にかかる負極材は、所定の平均面間隔d002、所定の体積平均粒子径、所定の最大粒子径、所定の発熱ピークを有する炭素材料を含む。本発明にかかる負極材(負極活物質)は前記炭素材料を含むものであればよいが、前記炭素材料は全負極材中50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましく、前記炭素材料からなる(100質量%)のものであることが特に好ましい。
前記炭素材料におけるX線回折法による求めた平均面間隔d002は、0.335nm〜0.340nmである。平均面間隔d002の値は、0.3354nmが黒鉛結晶の理論値であり、この値に近いほどエネルギー密度が大きくなる傾向があり、前記平均面間隔d002の値が0.335nm未満の炭素材料を得ることはできない。一方、0.340nmを超えると、リチウムイオン二次電池の初回充放電効率及びエネルギー密度の双方が充分とは言えない。前記平均面間隔d002は、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度の点で、0.335nm〜0.337nmであることが好ましい。
前記平均面間隔d002は、X線(CuKα線)を炭素粒子粉末試料に照射し、回折線をゴニオメーターにより測定し得た回折プロファイルより、回折角2θ=24°〜27°付近に現れる炭素002面に対応した回折ピークより、ブラッグの式を用い算出することができる。
前記平均面間隔d002は、例えば、前記炭素材料への熱処理温度を高くすることで値が小さくなる傾向があり、この性質を利用して平均面間隔d002を上記範囲内に設定することができる。
前記負極材に含まれる炭素材料の体積平均粒子径(50%D)は、1μm〜40μmである。体積平均粒子径が1μm未満の場合、比表面積が大きくなり、リチウムイオン二次電池の初回充放電効率が低下すると共に、粒子同士の接触が悪くなり入出力特性が低下する。一方、体積平均粒子径が40μmを超える場合、電極面に凸凹が発生して電池の短絡が生じやすくなる傾向があると共に、粒子表面から内部へのLiの拡散距離が長くなるためリチウムイオン二次電池の入出力特性が低下する傾向がある。前記炭素材料の体積平均粒子径は、初回充放電容量及び入出力特性の点で、3μm〜35μmであることが好ましく、5μm〜25μmがより好ましい。
前記体積平均粒径(50%D)は、粒子径分布において、小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積50%となる粒子径として与えられる。前記体積平均粒子径(50%D)は、界面活性剤を含んだ精製水に試料を分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、(株)島津製作所製SALD−3000J)で測定することができる。
前記負極材に含まれる炭素材料における最大粒子径Dmaxは、74μm以下である。前記最大粒子径Dmaxが74μmを超えると、電極作製の際に極板の薄膜化が困難となり、入出力特性やハイレートサイクル特性が損なわれる。前記負極材に含まれる炭素材料における最大粒子径Dmaxは、入出力特性の点で、70μm以下であることが好ましく、63μm以下であることがより好ましく、45μm以下であることが更により好ましい。また、前記最大粒子径Dmaxは、一般に10μm以上とすることができ、入出力特性の点で、好ましくは38μm以上とすることができる。
前記最大粒子径Dmaxは、例えば、篩の目開きを90μm、74μm、63μm、53μm、45μm、及び38μmと順に小さくして篩分けを行い、各目開きでの篩における篩上(篩を通過しない試料)の有無によって決定することができる。具体的には、試料を上記各目開きの篩で篩い分けをし、篩上が出る直前の目開きを最大粒子径Dmaxとする。
但し、前記最大粒子径Dmaxを特定できる限り、篩の目開きはこれらに限定されるものではない。
前記負極材に含まれる炭素材料は、空気気流中における示差熱分析(DTA分析)において、300℃以上1000℃以下の温度範囲に少なくとも二つのDTAの発熱ピーク(本発明において、単に「発熱ピーク」と称する)を有する。前記発熱ピークが300℃以上1000℃以下の温度範囲内に一つのみでは、エネルギー密度、入出力特性、寿命特性及び熱安定性を兼ね備えたリチウムイオン二次電池を得ることができない。例えば結晶性の黒鉛質炭素などの炭素材料による高エネルギー密度と、例えば非晶質炭素などの炭素材料による入出力特性、寿命特性、及び熱安定性とを共に得られやすい傾向があることから、少なくとも二つの発熱ピークが出現する温度範囲は、500℃以上850℃以下であることが好ましい。
前記炭素材料が少なくとも二つの発熱ピークを有するということは、前記炭素材料が、複数の発熱ピークとして識別可能な複数の特性を有する炭素材料で構成されていることを意味する。ここで、複数の発熱ピークが「識別可能」であるとは、装置の測定精度上、区別可能であればよく、発熱ピークのピーク値が少なくとも5℃以上離れていることを意味する。
前記示差熱分析(DTA分析)は、示差熱熱重量同時測定装置(例えば、セイコーインスツル(株)製EXSTAR TG/DTA6200)で測定することができる。具体的には、α−アルミナをリファレンスとして、乾燥空気300ml/minの流通下、昇温速度2.5℃/minで測定を行い、300℃以上1000℃以下でのDTAの発熱ピークの有無を確認する。
前記負極材に含まれる炭素材料は、300℃以上1000℃以下の温度範囲内において複数の識別可能な発熱ピークを示す限り、如何なる性質又は構造のものであってもよい。このような炭素材料としては、複数の炭素材料で構成していてもよく、1種の炭素材料で構成していてもよい。例えば、性質又は構造の異なる複数種の炭素材料で構成された炭素材料、酸化反応に対して複数の反応性を示す表面性状を有する1種又は複数種の炭素材料、リチウムイオンの吸蔵放出反応に対して異なる電気化学特性を有する1種又は複数種の炭素材料等を挙げることができる。このような炭素材料を用いることにより、前記温度範囲内に発熱ピークを少なくとも二つ得ることができる。
前記炭素材料が、複数の炭素材料で構成されている場合には、前記炭素材料が全体として300℃以上1000℃以下の温度範囲内において識別可能な発熱ピークを示す限り、前記炭素材料中において前記複数種の炭素材料が、如何なる形態又は如何なる状態で含まれていてもよい。
前記性質又は構造の異なる複数種の炭素材料の例としては、結晶性又は、N比表面積やCO吸着量等の性質が異なる炭素材料、平均粒子径又は粒子アスペクト比等の粒子形態が異なる炭素材料、前記性質又は構造の異なる炭素材料の複合状態、及び、分布状態等の分散性や均一性が異なる炭素材料等を挙げることができ、特に、黒鉛質炭素と非晶質炭素それぞれの特長を兼ね備えることができるため、結晶性の異なる炭素材料であることが好ましい。
前記発熱ピークの数は、特に制限はないが、黒鉛質炭素と非晶質炭素のそれぞれ特有の電気化学特性を発揮する点で300℃以上1000℃以下の温度範囲、好ましくは500℃以上850℃以下の温度範囲において、二つであることが好ましい。
300℃以上1000℃以下に少なくとも二つの発熱ピークを有する炭素材料とするには、例えば、炭素材料の表面性状、炭素材料に包含される複数の炭素材料の種類又は性質、複数の炭素材料の複合形態、炭素材料の作製条件等によって適宜調整することができる。
また、前記300℃以上1000℃以下の温度範囲の少なくとも二つの発熱ピークにおける発熱ピークのピーク差について特に制限はないが、前記少なくとも二つの発熱ピークのうち、最も高い温度にピークを有する発熱ピークと、最も低い温度にピークを有する発熱ピークとのピーク温度差が、300℃以内であることが好ましく、25℃以上300℃以下であることがより好ましく、25℃以上200℃以下であることが更により好ましく、25℃以上180℃以下であることが特に好ましい。この温度差が300℃以内であることは、それぞれの発熱ピークに対応する前記性質又は構造が異なる複数の炭素材料の分布又は配置に関して、ムラがなく均一になって、より高い温度の発熱ピークに寄与する炭素材料が反応しやすくなってピーク温度が低温化し、その結果、良好な負極の入出力特性、寿命特性及び熱安定性を発揮しやすくなる傾向がある。また、前記温度差は25℃以上であることが、複数の特性を有する炭素材料に基づく効果を確実に発揮させるために好ましい。
入出力特性、寿命特性及び熱安定性の向上の点で、前記発熱ピークは、300℃以上700℃未満の温度範囲(以下、「低温域」と称する場合がある)にピークを有する発熱ピークと、700℃以上1000℃以下の温度範囲(以下、「高温域」と称する場合がある)にピークを有する発熱ピークとを含むことが好ましく、低温域にピークを有する一つの発熱ピークと、高温域にピークを有する一つの発熱ピークとの、二つの発熱ピークを有することがより好ましい。
このような高温域と低温域のそれぞれに少なくとも一つのピークを有する発熱ピークの出現は、前記複数の特性を有する炭素材料として、例えば、結晶性の異なる複数の炭素材料、N比表面積やCO吸着量等の性質が異なる炭素材料、平均粒子径又は、粒子アスペクト比等の粒子形態の異なる複数の炭素材料、前記性質又は構造の異なる炭素材料の複合状態、及び、分布状態等の分散性や均一性が異なる炭素材料等を用いること等を選択することにより得ることができる。なかでも、結晶性の異なる複数の炭素材料を用いることが、黒鉛質炭素と非晶質炭素のそれぞれ特有の電気化学特性を発揮し、高エネルギー密度、高入出力特性、長寿命特性及び優れた熱安定性を達成する点で好ましい。
前記少なくとも二つの発熱ピークが、低温域にピークを有する発熱ピークと、高温域にピークを有する発熱ピークとを含む場合、低温域にピークを有する発熱ピークうち最も低い温度にピークを有する発熱ピークと、高温域にピークを有する発熱ピークのうち最も高い温度にピークを有する発熱ピークとの温度差が、25℃以上300℃以下であることが好ましく、25℃以上200℃以下であることがより好ましく、25℃以上180℃以下であることが特に好ましい。
低温域及び高温域それぞれの発熱ピークに対応する前記性質又は構造が異なる複数の炭素材料の負極材における分布や、一方の炭素材料中における他方の炭素材料の配置に関して、ムラがなく均一になることにより、高温域側の発熱ピークに寄与する炭素材料が反応しやすくなってピーク温度が低温化する傾向がある。このため、この温度差が300℃以内であることは、このような炭素材料の分布や配置が均一化して、その結果、良好な負極の入出力特性、寿命特性及び熱安定性を発揮しやすくなる傾向がある。また、前記温度差は25℃以上であることが、低温域及び高温域のそれぞれの発熱ピークに対応した前記複数の特性を有する炭素材料に基づく効果を確実に発揮させるために好ましい。
例えば、結晶性の異なる複数の炭素材料を選択した場合、低温域に出現する発熱ピークは負極材の構造中の低結晶性炭素と酸素の反応に由来するピークであり、高温域に出現する発熱ピークは負極材の構造中の結晶性炭素と酸素の反応に由来するピークと考えられる。このことから、負極材中の低結晶炭素と結晶性炭素が均一に分布しているほど充放電におけるリチウムイオンの吸蔵放出反応も均一で安定し、負極の入出力特性、寿命特性及び熱安定性がより優れると考えられる。このような場合、示差熱分析(DTA分析)では、均一に分布した低結晶性炭素に引きずられて、結晶性炭素の反応が起き易くなりその反応が低温化するため、上述の通り、DTAの2つの発熱ピークの温度差が減少すると考えられる。
発熱ピークの温度差は、例えば、負極材に含まれる複数の性質の炭素材料それぞれの種類又は性質、複数の炭素材料の複合形態、炭素材料の作製条件等によって適宜調整することができる。具体的には、結晶性炭素材料と該結晶性炭素材料よりも低結晶性の有機材料との複合材料を用いる場合には、結晶性炭素材料の種類、低結晶性有機材料の種類、結晶性炭素材料と低結晶性有機材料との組み合わせ、結晶性炭素を核としたときの結晶性炭素の粒子径、結晶性炭素を核として低結晶性有機材料を被覆したときの低結晶性有機材料の被覆量、前記炭素材料の焼成条件等を調整することにより、上記温度差に調整することができる。
前記負極材に含まれる炭素材料の77Kでの窒素吸着測定より求めた比表面積(以下、N比表面積と呼ぶ場合がある)が0.5m/g〜25m/gであることが好ましく、0.5m/g〜15m/gがより好ましく、0.8m/g〜10m/gであることがさらに好ましい。N比表面積が上記範囲内であれば、良好な入出力特性と初回効率のバランスを維持することができる傾向がある。なお、窒素吸着での比表面積は、77Kでの窒素吸着測定より得た吸着等温線からBET法を用いて求めることができる。N比表面積は、例えば、前記負極材に含まれる炭素材料の体積平均粒子径を大きくすること、前記負極材に含まれる炭素材料への熱処理温度を高くすること、前記負極材に含まれる炭素材料の表面を改質すること等で値が小さくなる傾向があり、この性質を利用してN比表面積を上記範囲内に設定することができる。またN比表面積を大きくすると、発熱ピークが低温側に移動する傾向がある。
前記負極材に含まれる炭素材料の273Kでの二酸化炭素吸着より求めた吸着量(以下、CO吸着量と呼ぶ場合がある)が0.1cm/g〜5.0cm/gであることが好ましく、0.1cm/g〜3.0cm/gであることがより好ましい。CO吸着量が0.1cm/g以上であれば、入出力特性に優れる傾向がある。一方、CO吸着量が5.0cm/g以下であれば、電解液との副反応により生じる不可逆容量が減少し初回効率の低下が抑えられる傾向がある。なお、二酸化炭素吸着での吸着量は、測定温度273K、相対圧P/P=3.0×10−2(P=平衡圧、P=26142mmHg(3.49MPa))での値を用いた。CO吸着量は、例えば、前記負極材に含まれる炭素材料の体積平均粒子径を大きくすること、前記負極材に含まれる炭素材料への熱処理温度を高くすること、炭素材料として結晶性の異なる複数の炭素材料を選択して且つ低結晶性炭素材料の量を少なくすること等で値が小さくなる傾向があり、この性質を利用してCO吸着量を上記範囲内に設定することができる。またCO吸着量を大きくすると、発熱ピークが低温側に移動する傾向がある。
前記負極材に含まれる炭素材料のタップ密度が0.3g/cm〜2.0g/cmであることが好ましく、0.5g/cm〜2.0g/cmであることがより好ましく、0.5g/cm〜1.3g/cmであることが特に好ましい。タップ密度が0.3g/cm以上の場合、負極を作製する際に多くの有機系結着剤を必要とせず、その結果作製するリチウムイオン二次電池のエネルギー密度が大きくなる傾向があり、タップ密度が2.0g/cm以下の場合、入出力特性が良好となる傾向がある。また、前記複数の異なる性質又は構造の炭素材料として、結晶性の異なる炭素材料を用いた場合、上記範囲内のタップ密度であれば、低結晶炭素と結晶性炭素が分散した負極材中に電解液が浸透する適度な細孔が存在し、これによって充放電反応が促進され負極抵抗が減少し良好な入出力特性が得られるため、好ましい。
タップ密度は、例えば、負極材に含まれる炭素材料の体積平均粒子径を大きくすること等によって、値が高くなる傾向があり、この性質を利用してタップ密度を上記範囲内に設定することができる。
なおタップ密度は、前記負極材全体としては、例えば、前記炭素材料に加えて、後述する金属粉末等を含有させることにより、0.3g/cm〜3.0g/cmとしてもよい。
本発明におけるタップ密度とは、容量100cmのメスシリンダーに試料粉末100cmをゆっくり投入し、メスシリンダーに栓をし、このメスシリンダーを5cmの高さから250回落下させた後の試料粉末の質量及び容積から求められる値を意味する。
前記負極材に含まれる炭素材料の励起波長532nmのレーザーラマン分光測定により求めたプロファイルの中で、1360cm−1付近に現れるピークの強度をId、1580cm−1付近に現れるピークの強度をIgとし、その両ピークの強度比Id/IgをR値とした際、そのR値が、0.10〜1.5であることが好ましく、0.15〜1.0であることがより好ましい。R値が、0.10以上であると寿命特性及び入出力特性に優れる傾向があり、1.5以下であると不可逆容量の増大を抑制して初回効率の低下が抑えられる傾向がある。
ここで、1360cm−1付近に現れるピークとは、通常、炭素の非晶質構造に対応すると同定されるピークであり、例えば1300cm−1〜1400cm−1に観測されるピークを意味する。また1580cm−1付近に現れるピークとは、通常、黒鉛結晶構造に対応すると同定されるピークであり、例えば1530cm−1〜1630cm−1に観測されるピークを意味する。
なお、R値は、ラマンスペクトル測定装置(例えば、日本分光(株)製NSR−1000型、励起波長532nm)を用い、測定範囲(830cm−1〜1940cm−1)全体をベースラインとし求めることができる。
以上に述べた物性値を満たす負極材は充放電での入出力特性、寿命特性及び熱安定性が優れるため、電気自動車、パワーツールあるいは電力貯蔵用など比較的大容量のリチウムイオン二次電池に用いるに好適である。特に、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)あるいはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)の用途では、加速性能およびブレーキ回生性能を向上させるため大電流での充放電が求められており、このような要求を満足する上で、高入出力である本発明の負極材を用いることが望ましい。
特に、上述した物性値を適宜組み合わせて兼ね備えた炭素材料を含む負極材であることが、エネルギー密度、入出力特性、寿命特性及び熱安定性の観点から好ましく、例えば、下記(a)〜(c)を挙げることができ、それぞれにおいて更に、発熱ピークが二つであることがより好ましい。
(a) X線回折法より求めた平均面間隔d002が0.335nm〜0.340nm、体積平均粒子径(50%D)が1μm〜40μm、最大粒子径Dmaxが74μm以下、及び、空気気流中における示差熱分析において、300℃以上1000℃以下の温度範囲に少なくとも二つの発熱ピークを有し、該少なくとも二つの発熱ピークが、300℃以上700℃未満の温度範囲にピークを有する発熱ピークと、700℃以上1000℃以下の温度範囲にピークを有する発熱ピークとを含み、更に、0.5m/g〜25m/gの77Kでの窒素吸着測定より求めた比表面積及び/又は0.1cm/g〜5.0cm/gの273Kでの二酸化炭素吸着測定より求めた吸着量を有する炭素材料を含むリチウムイオン二次電池用負極材。
また、エネルギー密度、入出力特性、寿命特性及び熱安定性の観点から、上記(a)のリチウムイオン二次電池用負極材において、体積平均粒子径(50%D)が5μm〜25μm、最大粒子径Dmaxが30μm〜45μm、77Kでの窒素吸着測定より求めた比表面積が0.8m/g〜10m/g、273Kでの二酸化炭素吸着測定より求めた吸着量が0.1cm/g〜3.0cm/gであることがより好ましい。
(b) X線回折法より求めた平均面間隔d002が0.335nm〜0.340nm、体積平均粒子径(50%D)が1μm〜40μm、最大粒子径Dmaxが74μm以下、及び、空気気流中における示差熱分析において、300℃以上1000℃以下の温度範囲に少なくとも二つの発熱ピークを有し、該少なくとも二つの発熱ピークのうち、最も高い温度にピークを有する発熱ピークと、最も低い温度にピークを有する発熱ピークとのピーク温度差が、300℃以内であり、更に、0.5m/g〜25m/gの77Kでの窒素吸着測定より求めた比表面積及び/又は0.1cm/g〜5.0cm/gの273Kでの二酸化炭素吸着測定より求めた吸着量を有する炭素材料を含むリチウムイオン二次電池用負極材。
また、エネルギー密度、入出力特性、寿命特性及び熱安定性の観点から、上記(b)のリチウムイオン二次電池用負極材において、体積平均粒子径(50%D)が5μm〜25μm、最大粒子径Dmaxが45μm以下、77Kでの窒素吸着測定より求めた比表面積が0.8m/g〜10m/g、273Kでの二酸化炭素吸着測定より求めた吸着量が0.1cm/g〜3.0cm/gであることがより好ましい。
また、エネルギー密度、入出力特性、寿命特性及び熱安定性の観点から、上記(b)のリチウムイオン二次電池用負極材において、前記少なくとも二つの発熱ピークのうち、最も高い温度にピークを有する発熱ピークと、最も低い温度にピークを有する発熱ピークとのピーク温度差が、180℃以内であり、体積平均粒子径(50%D)が5μm〜25μm、最大粒子径Dmaxが45μm以下、77Kでの窒素吸着測定より求めた比表面積が0.8m/g〜10m/g、273Kでの二酸化炭素吸着測定より求めた吸着量が0.1cm/g〜3.0cm/gであることがより好ましい。
(c) X線回折法より求めた平均面間隔d002が0.335nm〜0.340nm、体積平均粒子径(50%D)が1μm〜40μm、最大粒子径Dmaxが74μm以下、及び、空気気流中における示差熱分析において、300℃以上1000℃以下の温度範囲に少なくとも二つの発熱ピークを有し、該二つの発熱ピークが、300℃以上700℃未満の温度範囲にピークを有する発熱ピークと、700℃以上1000℃以下の温度範囲にピークを有する発熱ピークとを含み、且つ、該少なくとも二つの発熱ピークのうち、最も高い温度にピークを有する発熱ピークと、最も低い温度にピークを有する発熱ピークとのピーク温度差が、300℃以内であり、更に、0.5m/g〜25m/gの77Kでの窒素吸着測定より求めた比表面積及び/又は0.1cm/g〜5.0cm/gの273Kでの二酸化炭素吸着測定より求めた吸着量を有する炭素材料を含むリチウムイオン二次電池用負極材。
また、エネルギー密度、入出力特性、寿命特性及び熱安定性の観点から、上記(c)のリチウムイオン二次電池用負極材において、体積平均粒子径(50%D)が5μm〜25μm、最大粒子径Dmaxが45μm以下、77Kでの窒素吸着測定より求めた比表面積が0.8m/g〜10m/g、273Kでの二酸化炭素吸着測定より求めた吸着量が0.1cm/g〜3.0cm/gであることがより好ましい。
また、エネルギー密度、入出力特性、寿命特性及び熱安定性の観点から、上記(c)のリチウムイオン二次電池用負極材において、前記少なくとも二つの発熱ピークのうち、最も高い温度にピークを有する発熱ピークと、最も低い温度にピークを有する発熱ピークとのピーク温度差が、180℃以内であり、体積平均粒子径(50%D)が5μm〜25μm、最大粒子径Dmaxが45μm以下、77Kでの窒素吸着測定より求めた比表面積が0.8m/g〜10m/g、273Kでの二酸化炭素吸着測定より求めた吸着量が0.1cm/g〜3.0cm/gであることがより好ましい。
前記負極材に含まれる炭素材料は、前述した各物性を示す炭素材料を含む限り、如何なる種類及び形態も採り得る。
前記炭素材料としては、黒鉛(例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化メゾフェーズカーボン、黒鉛化炭素繊維等)、低結晶性炭素、及びメゾフェーズカーボン等の炭素材料を挙げることができる。充放電容量が大きくしやすいことから、黒鉛であることが好ましい。黒鉛の場合には、鱗片状、球状、塊状等、いずれの形態であってもよい。中でも球形の黒鉛が高タップ密度を得られる点から好ましい。これらの炭素材料から前述した物性を備えた炭素材料を適宜選択すればよい。これらの炭素材料は1種単独で、又は2以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記炭素材料は、核となる炭素相とその被覆層となる別種の炭素相で構成された複合材料としてもよい。すなわち、核となる第一の炭素相と、該第一の炭素相の表面に存在し、該第一の炭素相よりも結晶性が低い第二の炭素相とを含む炭素材料とすることができる。このような結晶性の異なる複数の炭素相から構成された炭素材料とすることにより、所望の物性又は性質を効果的に発揮可能な炭素材料とすることができる。
核となる前記第一の炭素相としては、前述した黒鉛(例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化メゾフェーズカーボン、黒鉛化炭素繊維)等の炭素材料を挙げることができる。
前記第二の炭素相としては、第一の炭素相よりも結晶性が低いものであれば特に制限はなく、所望の性質に応じて適宜選択される。好ましくは、熱処理により炭素質を残し得る有機化合物(炭素前駆体)から得られる炭素相であり、例えば、エチレンヘビーエンドピッチ、原油ピッチ、コールタールピッチ、アスファルト分解ピッチ、ポリ塩化ビニル等を熱分解して生成するピッチ、ナフタレン等を超強酸存在下で重合させて作製される合成ピッチ等が挙げられる。また、熱可塑性の高分子化合物として、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール等の熱可塑性合成樹脂を用いることもできる。また、デンプンやセルロース等の天然物を用いることもできる。
ここで、前記負極材における炭素材料としては、前記少なくとも二つの発熱ピークの一方が、前記第一の炭素相に由来するものであり、他方が第二の炭素相に由来するものであることが、前記各物性の調整が容易であり、エネルギー密度が大きく、入出力特性、寿命特性及び熱安定性が良好な負極をより確実に調製することができるため、好ましい。
前記第一の炭素相と第二の炭素相とを有する炭素材料において、該第二の炭素相の含有量は、炭素材料全体として前述した物性を示す限り特に制限はないが、前記少なくとも二つの発熱ピークの一方が前記第一の炭素相に由来するものであり、他方が第二の炭素相に由来するものである場合には、炭素材料全体の質量に対して、0.1質量%〜30質量%であることが好ましく、0.5質量%〜15質量%であることが好ましく、1質量%〜10質量%であることが好ましい。
前記炭素材料全体の質量に対する前記第二の炭素相の含有率は、炭素源である前記有機化合物(炭素前駆体)の単独ないし所定割合の前記第一の炭素相との混合物を熱処理した後の残炭率を熱重量分析などにより予め測定しておき、作製時の炭素源使用量及びその残炭率の積から前記第二の炭素相の質量を求めた後、全体質量に対する割合として求めることができる。前記第二の炭素相の含有率が0.1質量%以上であれば、入出力特性の向上が得られる傾向にある。また、前記第二の炭素相の含有量が30質量%以下であれば、低結晶性成分に起因する容量の低下が抑えられる傾向がある。
前記第二の炭素相は、前記第一の炭素相の表面全体を被覆して層を形成していてもよく、負極材表面に部分的に存在している状態でも構わない。ここで、第一の炭素相の表面全体又は一部を被覆する第二の炭素相により形成された層を、「低結晶性炭素層」と称する。
前記低結晶性炭素層には、酸素を含むC−O、C=O、C−OH、C−OOHなどの表面官能基が存在することが好ましい。このような官能基の酸素量はX線光電子分光法(XPS)によって求めることが可能である。負極材の酸素量は、前記第二の炭素相の量、すなわち低結晶性炭素量に関連し、上述の通り表面に0.1質量%〜30質量%の低結晶性炭素層を有する場合、元素組成での全酸素量の割合は0.5atom%〜5atom%となる。このような酸素量とすることは、負極の良好な入出力特性、寿命特性及び熱安定性を発現する上で望ましい。
前記負極材の好ましい形態の一例としては、第一の炭素相としての核となる黒鉛材料と、該黒鉛材料の表面に配置された第二の炭素相としての低結晶性炭素層を有する複合化した炭素材料を含む。
核となる炭素材料は、平均面間隔d002が0.335nm〜0.340nmの範囲の黒鉛材料であることが、充放電容量が大きくなる点で好ましい。d002が0.335nm〜0.338nmの範囲、特に0.335nm〜0.337nmの範囲の黒鉛材料を用いた場合、充放電容量が330nAh/g〜370mAh/gと大きく望ましい。
前記核となる黒鉛材料の体積平均粒子径(50%D)は、1μm〜40μmであることが好ましい。1μm以上とすることにより、原料黒鉛中に微粉が適度な量で含まれ、核材に有機化合物を付着させる工程での凝集の発生を抑制して、低結晶炭素と結晶炭素が均一になる傾向がある。40μm以下とすることにより、仕上がりの負極材中での粗大粒子の混在を抑制して、負極塗工の際に筋引きなどの発生を抑制できる傾向がある。
前記核となる黒鉛材料の77Kでの窒素吸着測定により求めた比表面積、即ちBET比表面積(N比表面積)は、0.1m/g〜30m/gとすることが好ましく、より好ましくは0.5m/g〜25m/gであり、0.5m/g〜15m/gの範囲が特に好ましい。N比表面積が0.1m/g以上とすることにより、核材に有機化合物を付着させる工程で凝集が生じない傾向があり、逆に30m/g以下とすることにより、比表面積を適度な範囲に維持して、均一に有機化合物を付着させることが容易になる傾向がある。
また、N比表面積が大きすぎる場合、示差熱分析(DTA分析)において、燃焼反応が促進され高温側の発熱ピークが低温側へシフトし、700℃以上1000℃以下の範囲から逸脱してしまう傾向があるため、0.1m/g〜30m/gの範囲にすることで、有機化合物を核材に付着させることが容易であり望ましく、特に0.5m/g〜15m/gの範囲の場合は、有機化合物が核材に均一に付着するためより好ましい。
前記核となる黒鉛材料の形状は、例えば、鱗片状、球状、塊状等が挙げられ、中でも球形の黒鉛が高タップ密度を得られる点から好ましい。球形化度を表す指標としては、アスペクト比が挙げられる(アスペクト比は最大長垂直長/最大長を表し、その最大値は1である)。なお、平均アスペクト比はフロー式粒子像分析装置のシスメックス(株)製FPIA−3000を用いて求めることができる。
前記核となる黒鉛材料の平均アスペクト比が0.1以上、より好ましくは0.3以上であることが望ましい。平均アスペクト比が0.1以上であれば、鱗片状黒鉛の割合が多すぎず、つまり黒鉛エッジ面を適切な範囲内にすることができる。エッジ面はベイサル面に比べて活性であることから、核材に有機化合物を付着させる工程において、有機化合物がエッジ面に選択的付着することが懸念されるが、上記範囲内であれば、低結晶炭素が均一に分散する傾向がある。平均アスペクト比が0.1以上、より好ましくは0.3以上の場合、核材への有機化合物の付着が均一となり、結果として、本発明の負極材中の低結晶炭素と結晶炭素が均一に分布される。
本発明の負極材は、前記炭素材料の他に、高容量化のため必要に応じて、Al、Si、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Ag等のリチウムと合金化する金属粉末、少なくともAl、Si、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Ag等のリチウムと合金化する元素を含む多元系合金粉末、リチウム合金粉末などを含むことができる。これらの成分は、単独で又は、前記炭素材料とこれらの粉末との複合材料として添加して使用することができる。負極材にこれらの金属粉末や複合材料を併用することにより、前記炭素材料単独よりタップ密度を大きくすることができる。これにより、前記負極材全体のタップ密度が0.3g/cm〜3.0g/cmとなって、充放電反応が促進され負極抵抗が減少し良好な入出力特性が得られるため、好ましい。併用量は特に制限はなく、例えば負極材総量の1〜50質量%併用することができる。
<負極材の製造方法>
前記負極材の製造方法に特に制限はなく、通常行われている公知の方法のいずれを適用してもよい。
前記負極材が、前記第一の炭素相と第二の炭素相とを含む炭素材料であって、該少なくとも二つの発熱ピークの一方が前記第一の炭素相に由来するものであり、他方が第二の炭素相に由来するものである場合には、一例として、核となる第一の炭素相の表面を改質することにより、前記第二の炭素相による低結晶性炭素層を形成し、前記各物性を有する負極材とすることができる。
前記低結晶性炭素層を形成する方法としては、例えば、熱処理により炭素質を残す有機化合物(炭素前駆体)を第一の炭素相の表面に付着させた後、750℃〜1000℃の不活性雰囲気中で焼成・炭素化することを挙げることができる。
前記第二の炭素相となる得る前記熱処理により炭素質を残す有機化合物(炭素前駆体)の例としては、前述したものをそのまま挙げることができる。
前記第一の炭素相の表面に前記有機化合物を付着させる方法としては、特に制限はないが、例えば、前記有機化合物を溶媒に溶解、又は分散させた混合溶液に核となる炭素粒子(粉末)を分散・混合した後、溶媒を除去する湿式方式や、炭素粒子と有機化合物を固体同士で混合し、その混合物に力学的エネルギーを加えることで付着させる乾式方式、CVD法などの気相方式等が挙げられるが、比表面積の制御の観点から、上記乾式方式によって付着させることが好ましい。
前記乾式方法により第一の炭素相の表面に前記有機化合物を付着させる方法としては特に制限はないが、例えば、前記第一の炭素粒子と前記有機化合物(炭素前駆体)の混合物を、混合及び又は攪拌可能な構造の容器中に充填し、混合して、材料の複合化を行なうことができる。混合及び又は攪拌可能な構造の容器として、例えば羽やスクリューなどが配置された容器中で混合、撹拌する方法などが好ましい。ここで該混合物に加える力学的エネルギーとしては、該混合物1kg当たり0.360kJ/kg〜36000kJ/kgが好ましく、0.360kJ/kg〜7200kJ/kgであればより好ましく、2.50kJ/kg〜2000kJ/kgであればさらに好ましい。
ここで混合物に加える力学的エネルギーは、負荷(kW)に時間(h)を乗じ、充填した混合物質量(kg)の商で表したものである。該混合物に加える力学的エネルギーを上記範囲することで、炭素粒子と有機化合物が均一に分散し、焼成後の負極材において低結晶炭素と結晶性炭素が均一に分布させることができ、2本のDTA発熱ピークの温度差を小さくすることができ、好ましい。
また、前記負極材は、前記第一の炭素相の表面に前記第二の炭素相となり得る有機化合物を付着させた中間製造物を加熱焼成することにより作製することができる。焼成温度は750℃〜2000℃であることが好ましく、800℃〜1800℃であればより好ましく、900℃〜1400℃であれば最も好ましい。焼成温度が750℃以上の場合では、作製する電池の充放電効率、入出力特性、サイクル特性を良好に維持できる傾向があり、焼成温度が2000℃以下の場合では、低結晶性炭素部分の結晶性が高くなりすぎることが抑制される傾向があり、また、2本のDTA発熱ピークの温度差が25℃以上の発熱ピーク又は300℃以上700℃未満に出現するDTA発熱ピークを確実に検出できる傾向がある。その結果、急速充電特性、低温充電特性、過充電安全性などを良好に維持できる傾向がある。焼成時の雰囲気は、負極材が酸化し難い雰囲気であれば特に制限はなく、例えば窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気、自己分解ガス雰囲気などが適用できる。使用する炉の形式は特に制限はないが、例えば電気及び又はガスを熱源としたバッチ炉や連続炉が好ましい。
作製するリチウムイオン二次電池用負極材の2本のDTA発熱ピークは、前記焼成温度でも適宜調整することが可能であり、焼成温度を高くすることで300℃以上700℃未満のDTA発熱ピークのピーク温度を低温域の範囲内でより高温側へシフトさせることが可能である。
結晶性の異なる複数の炭素材料を用いた場合、低結晶炭素の量を多くすることで300℃以上700℃未満のDTA発熱ピークのピーク温度を低温域の範囲内でより高温側へシフトさせることが可能であり、かつ焼成温度を高くすることで、300℃以上700℃未満のDTA発熱ピークのピーク温度を低温域の範囲内でより高温側へシフトすると同時に700℃以上1,000℃以下のDTA発熱ピークのピーク温度を高温域の範囲内でより低温側にシフトさせることができ、それぞれのDTA発熱ピーク温度及び2本のDTA発熱ピーク温度差を調整することも可能である。
<リチウムイオン二次電池用負極>
前記リチウムイオン二次電池用負極は、前記リチウムイオン二次電池用負極材を含む負極材層と、集電体と、を含む。これにより、エネルギー密度が大きく、入出力特性、寿命特性及び熱安定性に優れたリチウムイオン二次電池を構成することが可能となる。前記リチウムイオン二次電池用負極は、前述した負極材を含む負極材層及び集電体の他、必要に応じて他の構成要素を含んでもよい。
前記リチウムイオン二次電池用負極は、例えば、前記リチウムイオン二次電池用負極材及び有機結着剤を溶剤とともに撹拌機、ボールミル、スーパーサンドミル、加圧ニーダー等の分散装置により混練し、負極材スラリーを調製し、これを集電体に塗布して負極層を形成する、または、ペースト状の負極材スラリーをシート状、ペレット状等の形状に成形し、これを集電体と一体化することで得ることができる。
前記有機系結着剤としては、特に限定されないが、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸、ポリ弗化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエピクロヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリアクリロニトリル等のイオン導電性の大きな高分子化合物などが挙げられる。この有機系結着剤の含有量は、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材と有機系結着剤の合計100質量部に対して0.5質量部〜20質量部含有することが好ましい。
前記負極材スラリーには、粘度を調整するための増粘剤を添加してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼインなどを使用することができる。
前記負極材スラリーには、導電補助材を混合してもよい。導電補助材としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック、あるいは導電性を示す酸化物や窒化物等が挙げられる。導電助剤の使用量は、本発明の負極材の0.5質量%〜15質量%程度とすればよい。
前記集電体の材質および形状については、特に限定されず、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等を、箔状、穴開け箔状、メッシュ状等にした帯状のものを用いればよい。また、多孔性材料、例えばポーラスメタル(発泡メタル)やカーボンペーパーなども使用可能である。
前記負極材スラリーを集電体に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、コンマコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法など公知の方法が挙げられる。塗布後は負極材スラリーに含まれる溶剤を熱風乾燥機、赤外線乾燥機又はこれらを組合せた乾燥機により乾燥させる。さらに必要に応じて平板プレス、カレンダーロール等による圧延処理を行う。また、シート状、ペレット状等の形状に成形された負極層と集電体との一体化は、例えば、ロール、プレス、もしくはこれらの組み合わせ等、公知の方法により行うことができる。この一体化する際の圧力は1MPa〜200MPa程度が好ましい。
本発明にかかるリチウムイオン二次電池用負極材の負極密度は、好ましくは1.3g/cm〜1.8g/cm、より好ましくは1.4g/cm〜1.7g/cm、特に好ましくは1.4g/cm〜1.6g/cmである。1.3g/cm以上とすることにより抵抗値を低下させることがなく、容量を高くできる傾向があり、1.8g/cm以下とすることにより、レート特性及びサイクル特性の低下を抑制できる傾向がある。
<リチウムイオン二次電池>
本発明にかかるリチウムイオン二次電池は、前記リチウムイオン二次電池用負極と、正極と、電解質とを含む。例えば、前記リチウムイオン二次電池用負極と正極とをセパレータを介して対向して配置し、電解液を注入することにより得ることができる。
前記正極は、前記負極と同様にして、集電体表面上に正極層を形成することで得ることができる。この場合の集電体はアルミニウム、チタン、ステンレス鋼等の金属や合金を、箔状、穴開け箔状、メッシュ状等にした帯状のものを用いることができる。
前記正極層に用いる正極材料としては、特に制限はなく、例えば、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属化合物、金属酸化物、金属硫化物、または導電性高分子材料を用いればよく、特に限定されないが、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、これらの複酸化物(LiCoNiMn、x+y+z=1)、および添加元素M’を含む複酸化物(LiCoNiMnM’、a+b+c+d=1、M’:Al、Mg、Ti、Zr又はGe)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、リチウムバナジウム化合物、V、V13、VO、MnO、TiO、MoV、TiS、V、VS、MoS、MoS、Cr、Cr、オリビン型LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Fe)、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセン等の導電性ポリマー、多孔質炭素等などを単独或いは混合して使用することができる。
前記セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルム又はそれらを組み合わせたものを使用することができる。なお、作製するリチウムイオン二次電池の正極と負極が直接接触しない構造にした場合は、セパレータを使用する必要はない。
前記電解液としては、例えば、LiClO、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSOCF等のリチウム塩を、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、シクロペンタノン、シクロヘキシルベンゼン、スルホラン、プロパンスルトン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、3−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、トリメチルリン酸エステル、トリエチルリン酸エステル等の単体もしくは2成分以上の混合物の非水系溶剤に溶解した、いわゆる有機電解液を使用することができる。
前記リチウムイオン二次電池の構造は、特に限定されないが、通常、正極および負極と、必要に応じて設けられるセパレータとを、扁平渦巻状に巻回して巻回式極板群としたり、これらを平板状として積層して積層式極板群としたりし、これら極板群を外装体中に封入した構造とするのが一般的である。
前記リチウムイオン二次電池は、特に限定されないが、ラミネート型電池、ペーパー型電池、ボタン型電池、コイン型電池、積層型電池、円筒型電池、角型電池などとして使用される。
ここで、本発明にかかる負極材は、充放電での入出力特性、寿命特性及び熱安定性が優れることに加え、電解液の浸透性が速く電池製造が容易であるとともに、充放電サイクルを繰り返した場合の負極膨張や電池内のガス発生による圧力上昇が小さいことが利点として挙げられる。そのため上述した種々の形状のリチウムイオン二次電池の中で、ラミネート型電池、ペーパー型電池、積層型電池、あるいは角型電池など、比較的電解液の注液が難しい、あるいは充放電で電池が膨張し易い、薄型のリチウムイオン二次電池に本発明の負極材を用いることが好適である。
これは、前記負極材の少なくとも二つの発熱ピークのうちピーク温度が低い発熱ピークを生じる炭素材料中に含まれ得るC−O、C=O、C−OH、C−OOHなど酸素含有表面官能基の化学的、静電的効果によって、負極材と電解液の親和性が増すことで浸透性が向上し、これによって負極の充放電反応の電流分布や反応分布が減少し、結果として負極膨張やガス発生が抑制されると推測されるが、この推測に限定されない。
前記薄型のリチウムイオン二次電池において、電池容量が好ましくは3.5Ah以上、より好ましくは5Ah以上、特に10Ah以上と、電池サイズが大きくなる場合は、電解液を均一かつ速やかに注液しこれによって電池膨張を抑制する上で、本発明の負極材を用いることが望ましい。
また、電池寸法が縦(a)×横(b)×厚み(c)の薄型リチウムイオン電池において、厚み(c)が縦(a)または横(b)のいずれかの短い方の好ましくは1/2以下、より好ましくは1/4以下、特に1/10以下と、扁平、薄型化した場合は、充放電サイクルによる負極膨張の影響が相対的に大きくなることから、本発明の負極材を用いることが好適である。
本発明にかかるリチウムイオン二次電池は、従来の炭素材料を負極に用いたリチウムイオン二次電池と比較して、入出力特性、寿命特性及び熱安定性に優れる。特に、前記負極材用いた薄型リチウムイオン二次電池は、高入出力、低膨張であるともに、複数の単電池を用いて組電池を構成した場合、実装性や電池の冷却性の点で優れる。
このため、本発明にかかるリチウムイオン二次電池、特に薄型リチウムイオン二次電池は、電気自動車、パワーツール等の用途、特に、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)あるいはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)の用途に好適である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(負極材の作製)
平均粒子径10μmの球形天然黒鉛(d002=0.336nm、平均アスペクト比=0.7)100質量部とコールタールピッチ(軟化点98℃、残炭率(炭化率)50%)10質量部を混合した。上記混合物を、シリンダー内に回転翼を配置し、シリンダー内壁と回転翼の間で材料を擦り合わせることにより、材料の複合化を行う装置中に密閉した。24kWの負荷で5分間装置を運転することによりピッチ黒鉛複合体を作製した(負荷:1800kJ/kg)。次いで窒素流通下、20℃/時間の昇温速度で900℃まで昇温し、1時間保持して炭素層被覆黒鉛粒子とした。得られた炭素層被覆炭素粒子をカッターミルで解砕した後、300メッシュ篩で篩分けを行い、その篩下分を本実施例の負極材とした。得られた負極材については、下記方法により、XRD解析、ラマンスペクトル解析、比表面積測定、体積平均粒子径(50%D)測定、及び最大粒子径Dmax測定を行った。その特性を表1に示す。
[XRD解析(平均面間隔d002の測定)]
負極材試料を石英製の試料ホルダーの凹部分に充填し、測定ステージにセットした。以下の測定条件において広角X線回折装置((株)リガク製)で測定を行った。
線源:CuKα線(波長=0.15418nm)
出力:40kV、20mA
サンプリング幅:0.010°
走査範囲:10〜35°
スキャンスピード:0.5°/min
[体積平均粒子径(50%D)測定]
負極材試料を界面活性剤と共に精製水中に分散させた溶液を、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−3000J((株)島津製作所製)の試料水槽に入れ、超音波をかけながらポンプで循環させながら、レーザー回折式で測定した。得られた粒度分布の体積累積50%粒径(50%D)を平均粒子径とした。
[最大粒子径Dmax測定]
該当する篩を用いて篩分けを行い、その篩上分の有無を確認する。篩の目開きを90μm、74μm、63μm、53μm、45μm、及び38μmの順に小さくしていき、篩上が出る直前の目開きを最大粒子径Dmaxとした。
[示差熱測定]
示差熱熱重量同時測定装置EXSTAR TG/DTA6200(セイコーインスツル(株)製)を用い、以下の測定条件で測定した。
参照試料:α−アルミナ
温度範囲:30〜1000℃
昇温速度:2.5℃/min(30〜300℃間は20℃/min)
雰囲気・流量:乾燥空気・300ml/min
[N比表面積測定]
高速比表面積/細孔分布測定装置ASAP2010(MICRO MERITICS製)を用い、液体窒素温度(77K)での窒素吸着を多点法で測定しBET法(相対圧範囲:0.05〜0.2)より算出した。
[CO吸着量測定]
全自動ガス吸着量測定装置AUTOSORB−1(Quantachrome社製)を用い、243KでのCO吸着量は相対圧P/P=3.0×10−2のときの値を用いた。 (P=平衡圧、P=26142mmHg)
[タップ密度測定]
容量100cmのメスシリンダーに試料粉末100cmをゆっくり投入し、メスシリンダーに栓をする。このメスシリンダーを5cmの高さから250回落下させた後の試料粉末の重量及び容積から求められる値をタップ密度とした。
[R値測定(ラマンスペクトル解析)]
ラマンスペクトル測定装置NRS−1000型(日本分光(株)製、励起波長532nm)を用いて測定した。R値は、測定範囲(830cm−1〜1940cm−1)全体をベースラインとし、Gバンド由来のピーク高さ(Ig)とDバンド由来のピーク高さ(Id)の比、Id/IgをR値とした。
[平均アスペクト比]
平均アスペクト比(アスペクト比は最大長垂直長/最大長を表し、その最大値は1である。)はフロー式粒子像分析装置(シスメックス(株)製FPIA−3000)を用いて求めた。
(初回充放電効率の測定)
本実施例の負極材98質量部に対し、増粘剤としてCMC(カルボキシメチルセルロース、第一工業製薬(株)製セロゲンWS−C)の濃度が2質量%の水溶液をCMCの固形分で1質量部となるように加え、10分間混練を行った。ついで負極材とCMCを合わせた固形分濃度が40質量%〜50質量%となるように精製水を加え10分間混練を行った。続いて結着剤としてSBR(BM−400B、日本ゼオン製)の濃度が40%水分散液をSBRの固形分で1質量部となるように加え10分間混合してペースト状の負極材スラリーを作製した。このスラリーを厚さ40μmの電解銅箔に厚さ200μmのマスクを用い直径9.5mmとなるよう塗布し、さらに、105℃で乾燥して水を除去し、試料電極(負極)を作製した。
次いで、上記試料電極、セパレータ、対極の順に積層した後、LiPFをエチレンカーボネート(EC)及びメチルエチルカーボネート(MEC)(ECとMECは体積比で1:3)の混合溶媒に1.5モル/リットルの濃度になるように溶解した電解液溶液を注入し、コイン電池を作製した。対極には金属リチウムを使用し、セパレータには厚み20μmのポリエチレン微孔膜を使用した。
得られたコイン電池の試料電極と対極の間に、0.2mA/cmの定電流で0V(Vvs.Li/Li)まで充電し、次いで0Vの定電圧で電流が0.02mAになるまで充電した。次に30分の休止時間後に0.2mA/cmの定電流で2.5V(Vvs.Li/Li)まで放電する1サイクル試験を行い、初回充放電効率を測定した。初回充放電効率は、(放電容量)/(充電容量)×100として算出した。ここでは、負極材の試料電極にリチウムイオンが吸蔵される場合を充電、逆に試料電極からリチウムイオンが放出される場合を放電とする。
(寿命特性の評価)
初回充放電効率の項と同様の方法で負極材スラリーを作製した。このスラリーを厚さ40μmの電解銅箔に単位面積当りの塗布量が4.5mg/cmとなるようにクリアランスを調整したコンマコーターで塗工した。その後、ハンドプレスで1.5g/cmに電極密度を調整した。この電極を直径14mmの円盤状に打ち抜き、試料電極(負極)を作製した。
次いで、上記試料電極、セパレータ、対極の順に積層した後、LiPFをエチレンカーボネート(EC)及びメチルエチルカーボネート(MEC)(ECとMECは体積比で1:3)の混合溶媒に1.5モル/リットルの濃度になるように溶解した電解液溶液を注入し、コイン電池を作製した。対極には金属リチウムを使用し、セパレータには厚み20μmのポリエチレン微孔膜を使用した。
上記で作製したコイン電池を用い、下記手順で寿命特性の評価を行った。
(1)0.24mAの定電流で0V(Vvs.Li/Li)まで充電し、次いで0Vの定電圧で電流が0.024mAになるまで充電した。
(2)30分の休止時間後に、0.24mAの定電流で1.5V(Vvs.Li/Li)まで放電する1サイクル試験を行い、放電容量を測定した。
(3)2.4mAの定電流で0V(Vvs.Li/Li)まで充電し、0Vの定電圧で電流が0.24mAになるまで充電した。
(4)30分の休止時間後に、2.4mAの定電流で1.5V(Vvs.Li/Li)まで放電した。
(5)上記(3)及び(4)の充放電サイクル試験を50サイクル行った。
このサイクルを50サイクル繰り返したときの1サイクル目からの放電容量維持率(=50サイクル目放電容量/1サイクル目放電容量×100)を測定し、寿命特性評価を行った。この放電容量維持率が高いほど寿命特性に優れた材料であることを示す。
(入出力特性の評価)
寿命特性と同等の方法でコイン電池を作製し、下記手順で出力特性の評価を行った。
(1)0.48mAの定電流で0V(Vvs.Li/Li)まで充電し、次いで電流値が0.048mAになるまで0Vで定電圧充電を行った。
(2)30分の休止時間後に、0.48mAの定電流で1.5V(Vvs.Li/Li)まで放電した。
(3)0.48mAの定電流で容量の半分まで充電を行った。
(4)2.4mA、7.2mA、12mAの電流値で10秒間放電を行い、その際の電圧降下(ΔV)を確認した。それぞれの電流値での試験の間には30分間の休止時間を置いた。
各電流値に対してΔVをプロットしその傾きを抵抗値(Ω)とした。この値が小さいほど入出力特性に優れると判断することができる。
(熱安定性の評価)
寿命特性と同等の方法でコイン電池を作製し、下記手順で熱安定性の評価を行った。
(1)0.24mAの定電流で0V(Vvs.Li/Li)まで充電し、次いで0Vの定電圧で電流が0.024mAになるまで充電した。
(2)上記(1)より満充電状態(SOC100%)となったコイン電池をアルゴンガス雰囲気下で解体し、取り出した負極をジエチルカーボネート(DEC)で洗浄した後、30分間真空乾燥した。
(3)上記(2)より乾燥した負極から電解銅箔と負極材を取り分け、負極材のみをSUSパンに封入した。また、リファレンスとしてアルゴンガスのみを封入したアルミパンも作製した。
(4)上記(3)より作製した評価用のSUSパンを示差走査熱量測定装置EXSTAR DSC6200(エスアイアイ・ナノテクノロジーズ(株)製)を用い、アルゴンガスを50ml/min導入し、100℃から400℃まで10℃/minで昇温した。
発熱ピーク温度は高いほど安全性(熱安定性)に優れるといえる。
[実施例2]
実施例1において、単純混合した際のコールタールピッチの投入量を10質量部から5質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で負極材試料を作製した。得られた負極材試料の特性を表1に示す。
[実施例3]
実施例1における球形天然黒鉛の平均粒子径を平均粒子径10μmから5μmに変更し、篩のメッシュサイズを300メッシュから400メッシュへ変更した以外は、実施例1と同様の方法で負極材試料を作製した。得られた負極材試料の特性を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、混合する炭素前駆体をコールタールピッチからポリビニルアルコール(重合度1700、完全けん化型、炭化率15%)に変更し、篩のメッシュサイズを300メッシュから250メッシュへ変更した以外は、実施例1と同様の方法で負極材試料を作製した。得られた負極材試料の特性を表1に示す。
[実施例5]
実施例1における球形天然黒鉛の平均粒子径を平均粒子径10μmから20μmに変更し、単純混合した際のコールタールピッチの投入量を10質量部から20質量部に変更し、シリンダー内での複合化処理時間を5分から10秒へ変更し(負荷:60kJ/kg)、篩のメッシュサイズを300メッシュから350メッシュへ変更した以外は、実施例1と同様の方法で負極材試料を作製した。得られた負極材試料の特性を表1に示す。
[比較例1]
石炭系コールタールをオートクレーブにより400℃で熱処理し、生コークスを得た。この生コークスを粉砕した後、1200℃の不活性雰囲気中でカ焼を行い、コークス塊を得た。このコークス塊を分級機付きの衝撃粉砕機を用いて平均粒子径15μmに粉砕後、200メッシュの篩に通した炭素粒子を負極材試料(d002=0.342nm)として用いた。得られた負極材試料の特性を表1に示す。
[比較例2]
比較例1で用いた平均粒子径15μmのコークス炭素粒子100質量部とポリビニルアルコール(重合度1700、完全けん化型、炭化率15%)20質量部を混合した。上記混合物を、実施例1同様に炭素層被覆黒鉛粒子とした。得られた炭素被覆炭素粒子をカッターミルで解砕した後、350メッシュ篩で篩分けを行い、その篩下分を本実施例の負極材として用いた以外は、実施例1と同様の方法で負極材試料を作製した。得られた負極材試料の特性を表1に示す。
[比較例3]
鱗片状黒鉛(d002=0.337nm、平均アスペクト比=0.2)を200メッシュの篩に通し、負極材試料として用いた。得られた負極材試料の特性を表1に示す。
[比較例4]
平均粒子径20μmの球状天然黒鉛(d002=0.336nm、平均アスペクト比=0.7)を300メッシュの篩に通し、負極材試料として用いた。得られた負極材試料の特性を表1に示す。
[比較例5]
比較例1で作製した炭素粒子を、黒鉛容器に入れ、誘導加熱焼成炉を使用して、窒素ガス雰囲気下、300℃/hrの昇温速度で2800℃まで昇温し、1時間保持して黒鉛化処理を行った。得られた人造黒鉛粉末を200メッシュ篩で篩分けを行い、その篩通過分を負極材として使用した以外は、実施例1と同様の方法で負極材を作製した。得られた負極材の特性を表1に示す。
[実施例6]
比較例5で得られた人造黒鉛粉末100質量部と、実施例1と同じコールタールピッチを7質量部の量で混合した以外は、実施例1と同様の方法で負極材を作製した。得られた負極材の特性を表1に示す。
[比較例6]
比較例1で作製した炭素粒子100質量部とコールタールピッチ30質量部と酸化鉄粉末5質量部を250℃で1時間混合した。得られた塊状物をピンミルで粉砕した後、型込みプレスで、密度1.52g/cmのブロック状に成形加工した。得られたブロックをマッフル炉で最高温度800℃にて焼成したのち、アチソン炉で自己雰囲気下、2900℃にて黒鉛化を行った。次いで、黒鉛化したブロックを、ハンマーで粗砕した後、ピンミルで平均粒子径45μmの黒鉛粉末を得た。さらに、該黒鉛粉末を、球形化処理装置(ホソカワミクロン製、ファカルティ)を使用し、粉砕回転数1800rpm、分級回転数7000rpm、で10分間処理を行い、球形化人造黒鉛粉末を作製した。該粉末を負極材として、実施例1と同様の方法で特性を評価した。その結果を表1に示す。
[実施例7]
比較例6得られた球状化人造黒鉛粉末100質量部と、実施例1と同じコールタールピッチを4質量部の量で混合し、負荷を2.5kJ/kgとして、実施例1と同様の方法で負極材を作製した。得られた負極材の特性を表1に示す。
[実施例8]
実施例5の球形天然黒鉛を用い、焼成温度を900℃から1050℃に変更した以外は、実施例7と同様の方法で負極材を作製した。実施例1と同様の方法で負極材を作製した。得られた負極材の特性を表1に示す。
[実施例9]
実施例5の球形天然黒鉛を用い、焼成温度を900℃から820℃に変更した以外は、実施例7と同様の方法で負極材を作製した。実施例1と同様の方法で負極材を作製した。得られた負極材の特性を表1に示す。
[実施例10]
実施例5の球形天然黒鉛を用い、焼成温度を900℃から777℃に変更した以外は、実施例7と同様の方法で負極材を作製した。実施例1と同様の方法で負極材を作製した。得られた負極材の特性を表1に示す。
Figure 0006365580
表1から明らかなように、実施例1〜10のリチウムイオン二次電池用負極材を用いたリチウムイオン二次電池は、高い充放電効率を維持しながら、入出力特性、寿命特性及び熱安定性に優れる。
以上より、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材を適用した負極を有するリチウムイオン二次電池は、充放電効率、寿命特性、入出力特性及び熱安定性、ならびにこれらのバランスに優れる。
2010年7月30日に出願された日本国特許出願第2010−171912号の開示及び2010年12月21日に出願された日本国特許出願第2010−284422号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に援用されて取り込まれる。

Claims (12)

  1. X線回折法より求めた平均面間隔d002が0.335nm〜0.340nm、体積平均粒子径(50%D)が1μm〜40μm、最大粒子径Dmaxが74μm以下、及び、空気気流中における示差熱分析において、300℃以上1000℃以下の温度範囲に少なくとも二つの発熱ピークを有し、前記少なくとも二つの発熱ピークが、300℃以上700℃未満の温度範囲にピークを有する発熱ピークと、700℃以上740℃以下の温度範囲にピークを有する発熱ピークとを含む、リチウムイオン二次電池の負極材用の炭素材料
  2. 前記少なくとも二つの発熱ピークのうち、最も高い温度にピークを有する発熱ピークと、最も低い温度にピークを有する発熱ピークとのピーク温度差が、300℃以内である請求項1に記載の炭素材料
  3. 前記少なくとも二つの発熱ピークのうち、最も高い温度にピークを有する発熱ピークと、最も低い温度にピークを有する発熱ピークとのピーク温度差が、180℃以内である請求項1又は請求項2に記載の炭素材料
  4. 7Kでの窒素吸着測定より求めた比表面積が0.5m/g〜25m/gである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の炭素材料
  5. 73Kでの二酸化炭素吸着測定より求めた吸着量が0.1cm/g〜5.0cm/gである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の炭素材料
  6. ップ密度が0.3g/cm〜2.0g/cmである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の炭素材料
  7. マンスペクトル解析から得られるR値が0.10〜1.5である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の炭素材料
  8. となる第一の炭素相と、該第一の炭素相の表面に存在し、該第一の炭素相よりも結晶性が低い第二の炭素相と、を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の炭素材料
  9. 前記第二の炭素相の含有率が、前記炭素材料の全質量の0.1質量%〜30質量%である請求項8に記載の炭素材料
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の炭素材料を50質量%以上含むリチウムイオン二次電池用負極材。
  11. 請求項10に記載のリチウムイオン二次電池用負極材を含む負極材層と、
    集電体と、
    を含むリチウムイオン二次電池用負極。
  12. 請求項11に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、正極と、電解質と、を含むリチウムイオン二次電池。
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