JP6365177B2 - 押出成形用金型、押出成形装置、及び押出成形方法 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、樹脂成形体の内周面への樹脂劣化物(メヤニ)の付着を抑制し得る押出成形用金型を提供することにある。
すなわち請求項1に係る発明は、
加熱されて溶融した熱可塑性樹脂を含む樹脂溶融体を口金から管状に押し出した後、前記樹脂溶融体を冷却し固化して管状の樹脂成形体を得る押出成形装置に用いられ、
前記樹脂溶融体を管状に押し出す口金と、
前記口金から押し出されてから前記樹脂溶融体に含まれる前記熱可塑性樹脂が少なくともガラス転移温度未満に冷却されるまでの間、前記樹脂溶融体の内周面の全面に接触して支持する内周面支持部材と、
を有し、
かつ前記口金から押し出された後、前記樹脂溶融体と前記内周面支持部材とが接触している間、前記樹脂溶融体の外周面に接触する部材を有しない押出成形用金型である。
請求項1に記載の押出成形用金型と、
加熱されて溶融した熱可塑性樹脂を含む樹脂溶融体を前記押出成形用金型における前記口金に供給し、且つ該口金から該樹脂溶融体を管状に押し出させる押出装置と、
前記口金から押し出された後、内周面の全面が前記押出成形用金型における前記内周面支持部材に接触している前記樹脂溶融体を、少なくとも前記熱可塑性樹脂がガラス転移温度未満になるまで冷却する冷却装置と、
を有する押出成形装置である。
加熱されて溶融した熱可塑性樹脂を含む樹脂溶融体を口金から管状に押し出す押出工程と、
前記口金から押し出された前記樹脂溶融体を冷却し固化する冷却工程と、を有し、
前記押出工程によって前記口金から押し出されてから前記冷却工程によって前記樹脂溶融体に含まれる前記熱可塑性樹脂が少なくともガラス転移温度未満に冷却されるまでの間、前記樹脂溶融体の内周面の全面を内周面支持部材に接触させ、かつ前記口金から押し出された後、前記樹脂溶融体と前記内周面支持部材とが接触している間、前記樹脂溶融体の外周面の全面を部材に一切接触させない押出成形方法である。
<押出成形用金型及び押出成形装置>
まず、本実施形態に係る押出成形用金型を備えた押出成形装置の一例として、第1実施形態の押出成形装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る押出成形装置の構成の一例を概略的に示す断面図であり、図2は、図1に示した押出成形装置100における金型(押出成型用金型)周辺の構成を拡大して概略的に示す断面図である。尚、以下に参照する図面は、本実施形態を説明するために使用するものであり、実際の大きさの比はこれに限定されるものではない。
そして、内側マンドレル24Aと、中間内周面支持部材62Aとは同じ外径になる様に調整されいる。また冷却用内周面支持部材32Aは、中間内周面支持部材62Aとの接続部においては内側マンドレル24Aおよび中間内周面支持部材62Aと同じ外径になるよう調整されているが、冷却過程での収縮の為、先端部側(接触終了位置38側)は外径がより小さくなるよう調整されている。
また、図1に示す第1実施形態では、冷却用内周面支持部材32A及び中間内周面支持部材62Aにより内周面支持部材30Aが構成される。つまり、内周面支持部材30Aの内部に、冷却機能を付与する空洞42、52(冷却装置の一例)を有する態様を示す。但し、本実施形態では、内周面支持部材30Aが冷却機能を有している態様に限定されるものではなく、例えば溶融体Fの外周側から冷却する態様であってもよい。
図4は、従来の押出成形装置の構成の一部を概略的に示す断面図である。図4に示す従来の押出成形装置では、溶融(溶解)した熱可塑性樹脂を含む溶融体Fを管状に下方へ押し出す口金24(環状ダイ)と、口金24から管状に押し出された溶融体Fの内周面F-INに外周面34を接触させて、溶融体Fを冷却する冷却部材(冷却マンドレル)32と、冷却部材32を保持する軸体70と、を備える。尚、口金24と冷却部材32とは、互いに温度差のある部材であるため十分な距離を取って配置されている。
図4に示す押出成形装置によって、連続して成形体を形成する場合、口金24の押出口にメヤニ80と呼ばれる樹脂劣化物(樹脂の揮発物や樹脂が焼け焦げた物質など)が付着することがある。メヤニが、口金24の押出口の外周側に付着した場合は容易に除去し得るが、押出口の内周側に付着したメヤニ80は除去が容易でなく、そのまま溶融体Fの内周面F-INに移行し、結果として成形体の内周面にメヤニが付着することがあった。
また、図4に示すように溶融体Fの内周面F-INに接触して冷却を行う冷却部材32を備える場合、溶融体Fに移行したメヤニ80は、溶融体Fと共に冷却用内周面支持部材32Aの接触開始位置36に達した後に溶融体Fと冷却用内周面支持部材32Aとの間に挟み込まれる。この挟み込みによる圧力によってメヤニ80は溶融体Fの内周面に埋め込まれ、その結果固化された成形体において凸状欠陥の原因となることがあった。
押出装置(一軸押出機)10は、図1に示されるように、熱可塑性樹脂を含む樹脂材料Pを溶融状態にして溶融体Fとし、この溶融体Fを押出成形用金型20における口金24に供給する。
口金24は、図1及び図2に示されるように、一軸押出機10の加熱筒12の内部と通じ加熱筒12から流入した溶融状態の溶融体Fが通過する流路22と、流路22を通過した溶融状態の溶融体Fを押出口から管状に押し出すための環状(円形状)の出口孔23と、を有する。
軸体70は、図2に示されるように、円柱状に形成されており、口金24に環状に形成された出口孔23の径方向中央部(中心)で口金24を貫通し、口金24の上方及び下方に突出するように支持されている。
第1実施形態において、内周面支持部材30Aは中間内周面支持部材62Aおよび冷却用内周面支持部材32Aにより構成される。
冷却用内周面支持部材32Aは、図2に示されるように、例えば円筒状に形成されており、冷却用内周面支持部材32Aの内周面が軸体70の外周面に接触するよう軸体70と同軸状に配置されている。そして冷却用内周面支持部材32Aは、冷却用内周面支持部材32Aの軸方向に貫通する軸体70によって支持されている。
そして冷媒が、前記不図示の冷却機によって冷却された後、供給管44及び54を通って第1の空洞42及び第2の空洞52に供給されて冷却用内周面支持部材32Aを冷却する。一方、第1の空洞42及び第2の空洞52に供給されて冷却用内周面支持部材32Aを冷却した冷媒は、排出管46及び56を通って冷却用内周面支持部材32Aから排出され、前記不図示の冷却機に戻って再び冷却される。
次に、前述の押出成形装置100を用いた、成形体(管状体)の一例としての熱可塑性樹脂チューブを製造する製造方法について説明する。
溶融体Fが冷却され固化して得られた管状体(成形体)は、例えば、不図示の巻取り機により連続的に巻き取られる。
こうして、本実施形態では、熱可塑性樹脂チューブ(円筒状フィルム)である管状体が製造される。
<押出成形用金型及び押出成形装置>
第2実施形態の押出成形用金型及び押出成形装置は、上記第1実施形態における内周面支持部材30Aに替えて、冷却用内周面支持部材32Bが内周面支持部材30Bを構成し、更に内周面支持部材30Bは冷却用内周面支持部材32Bと口金24との間の熱の移動を抑制する断熱部材62Bを備える。尚、内周面支持部材30Bの構成が異なること以外については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
第2実施形態において、内周面支持部材30Bは冷却用内周面支持部材32Bと断熱部材62Bとを備える。尚、図3では、口金24から冷却用内周面支持部材32Bへの熱の移動を抑制するため断熱部材62Bを備える態様を示したが、例えば口金24と冷却用内周面支持部材32Bとの熱の移動が許容される場合などには、断熱部材62Bがない態様であってもよい。
これにより、口金24の押出口における内周側ではメヤニ80の付着自体が抑制され、その結果溶融体Fの内周面へのメヤニ80の移行も抑制される。そのため、成形される管状体(成形体)においても内周面へのメヤニ80の付着が抑制され、凸状欠陥の発生が抑制された成形体が得られる。
外周側から冷却する冷却装置は、接触して冷却する装置でも、非接触で冷却する装置でもよい。接触冷却の態様としては、例えば、図2や図3に示すごとく冷媒が供給される空洞を内部に備えた冷却部材が溶融体Fの外周面に接触される態様が挙げられる。非接触冷却の態様としては、例えば冷風を当てて冷却する態様が挙げられる。
次いで、本実施形態に用いられる樹脂材料Pについて説明する。
押出成形装置100において用いられる樹脂材料Pに含まれる熱可塑性樹脂としては、特に限られず、具体的には、例えば、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレンエチレンブロック又はランダム共重合体、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、の1種またはこれらの混合物からなるものが使用される。その中でも特に好ましいのは、高弾性率なポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、カーボン繊維、金属粉、導電性金属酸化物、有機金属化合物、有機金属塩、導電性高分子等から選ばれる少なくとも1種またはこれら数種の混合物からなるものが挙げられる。その中でも特に、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックがある。管状体の外観を損なわないために揮発分率の少ないカーボンブラックが好ましく、また抵抗安定性の点で小粒子径のカーボンブラックを用いる事が好ましい。
カーボンブラックの配合量としては、樹脂100質量部に対して、8質量部以上30質量部以下が好ましい。
熱可塑性樹脂としてポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂、T1881−3、東レ(株)社製)100部と、導電剤としてカーボンブラック(Printex alpha、オリオンエンジニアードカーボン社製)15部と、を二軸押出溶融混練機(二軸溶融混練押出機L/D60(パーカーコーポレーション社製))を用い、溶融させたPPS樹脂中に前記カーボンブラックを配合し溶融混練した。混練された溶融物を水槽中に入れて冷却固化し切断して、カーボンブラックの配合された混合樹脂ペレット1を得た。
[管状体の製造]
得られた樹脂ペレット1を、図1および図2に示す構成の口金24、中間内周面支持部材62A及び冷却用内周面支持部材32Aを有する金型を組み込んだ一軸溶融押出機(L/D24、溶融押出装置、三葉製作所社製)に投入(加熱温度350℃)し、300℃に設定した環状ダイ(口金)とニップルの間隙(出口孔)から円筒状に押し出し、押し出された溶融体を50℃に制御された冷却用内周面支持部材32Aに接触させた状態で冷却し、その後目的とする幅に切断し、φ160(内径160mm)、膜厚100μmの管状ベルトを得た。
図4に示す口金24及び冷却部材32を有し、口金24から押し出された溶融体Fが冷却部材32に接触するまでの間、内周面に何も接しない領域が存在する構成の一軸溶融押出機を用いた以外は、実施例1に記載の方法で押出成形を実施し、φ160(内径160mm)、膜厚100μmの管状ベルトを得た。
(1)表面凸形状の有無
目視評価およびデジタルマイクロスコープVHX(キーエンス社製)により外周表面の観察を行い、表面凸形状の有無を評価した。
管状ベルトを切断し、目視評価およびデジタルマイクロスコープVHX(キーエンス社製)により内周面の観察を行い、付着物(メヤニ)の付着有無を評価した。
管状ベルト押出し後の金型における口金内周側へのメヤニの付着の有無を目視により評価した。
11 投入口
12 加熱筒
13 スクリュー
20 押出成型用金型
22 流路
23 出口孔
24 口金
24A 内側マンドレル
24B 外側マンドレル
30A、30B 内周面支持部材
32 冷却部材
32A、32B 冷却用内周面支持部材(冷却マンドレル)
34 外周面
36 接触開始位置
38 接触終了位置
42、52、72 空洞
44、54、74 供給管
46、56、76 排出管
62A 中間内周面支持部材
62B 断熱部材
70 軸体
100 押出成形装置
F 溶融体
F−IN 溶融体の内周面
P 樹脂材料
Claims (3)
- 加熱されて溶融した熱可塑性樹脂を含む樹脂溶融体を口金から管状に押し出した後、前記樹脂溶融体を冷却し固化して管状の樹脂成形体を得る押出成形装置に用いられ、
前記樹脂溶融体を管状に押し出す口金と、
前記口金から押し出されてから前記樹脂溶融体に含まれる前記熱可塑性樹脂が少なくともガラス転移温度未満に冷却されるまでの間、前記樹脂溶融体の内周面の全面に接触して支持する内周面支持部材と、
を有し、
かつ前記口金から押し出された後、前記樹脂溶融体と前記内周面支持部材とが接触している間、前記樹脂溶融体の外周面に接触する部材を有しない押出成形用金型。 - 請求項1に記載の押出成形用金型と、
加熱されて溶融した熱可塑性樹脂を含む樹脂溶融体を前記押出成形用金型における前記口金に供給し、且つ該口金から該樹脂溶融体を管状に押し出させる押出装置と、
前記口金から押し出された後、内周面の全面が前記押出成形用金型における前記内周面支持部材に接触している前記樹脂溶融体を、少なくとも前記熱可塑性樹脂がガラス転移温度未満になるまで冷却する冷却装置と、
を有する押出成形装置。 - 加熱されて溶融した熱可塑性樹脂を含む樹脂溶融体を口金から管状に押し出す押出工程と、
前記口金から押し出された前記樹脂溶融体を冷却し固化する冷却工程と、を有し、
前記押出工程によって前記口金から押し出されてから前記冷却工程によって前記樹脂溶融体に含まれる前記熱可塑性樹脂が少なくともガラス転移温度未満に冷却されるまでの間、前記樹脂溶融体の内周面の全面を内周面支持部材に接触させ、かつ前記口金から押し出された後、前記樹脂溶融体と前記内周面支持部材とが接触している間、前記樹脂溶融体の外周面の全面を部材に一切接触させない押出成形方法。
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