JP6206073B2 - 冷却装置、管状体の製造装置、及び管状体の製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち請求項1に係る発明は、
押出装置に設けられた口金から押し出される溶融した熱可塑性樹脂を含む管状の溶融体を第1の冷却温度で冷却する第1の冷却部材であって、前記第1の冷却部材の外周面が前記溶融体の内周面に接触することで前記溶融体を冷却する第1の冷却部材と、
前記第1の冷却部材と離間して設けられ、前記第1の冷却部材により冷却された前記溶融体を、前記第1の冷却温度よりも低い第2の冷却温度で冷却する第2の冷却部材であって、前記第2の冷却部材の外周面が前記溶融体の内周面に接触することで前記溶融体を冷却する第2の冷却部材と、
前記第1の冷却部材を冷却する第1の冷媒を前記第1の冷却温度に冷却して前記第1の冷却部材に供給し、かつ、前記第2の冷却部材を冷却する第2の冷媒を、前記第1の冷却温度よりも低い前記第2の冷却温度に冷却して前記第2の冷却部材に供給する冷却機と、
を備える冷却装置である。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、前記第1の冷却温度がTg−15(℃)以上Tg(℃)以下であり、かつ、前記第2の冷却温度がTg−15(℃)未満である、請求項1に記載の冷却装置である。
前記口金から管状に押し出された前記溶融体の内周面に接触して前記溶融体を冷却する、請求項1又は請求項2に記載の冷却装置と、
を有する管状体の製造装置である。
前記押出工程によって管状に押し出された前記溶融体を、請求項1又は請求項2に記載の冷却装置における前記第1の冷却部材の外周面及び前記第2の冷却部材の外周面に接触させて、前記溶融体を冷却する冷却工程と、
を有する管状体の製造方法である。
<管状体の製造装置>
まず、本実施形態に係る冷却装置を用いた管状体の製造装置の一例として、第1実施形態の管状体製造装置について説明する。
図1は、1つの冷却部材からなる一体型の冷却装置を用いた管状体製造装置100の構成を概略的に示す断面図であり、図2は、図1に示した管状体製造装置100における冷却装置(冷却部)周辺の構成を拡大して概略的に示す断面図である。なお、以下に参照する図面は、本実施形態を説明するために使用するものであり、実際の大きさの比を現すものではない。
そして本実施形態では、冷却部材32の外周面34のうち、接触開始領域36における温度が、接触終了領域38における温度よりも高くなっている。
そして「接触開始領域36の温度」は、冷却部材32が有する複数の冷却部のうち、口金20に最も近い冷却部(本実施形態では上記第1の冷却部32A)の温度である。同様に「接触終了領域38の温度」は、冷却部材32が有する複数の冷却部のうち、口金20から最も遠い冷却部(本実施形態では上記第2の冷却部32B)の温度である。
なお、各領域の温度は、例えばシース型熱電対を、冷却部材32のうち測定対象である冷却部(具体的には、例えば、接触開始領域36の温度を測定する場合は後述する第1の空洞42の内壁面、接触終了領域38の温度を測定する場合は後述する第2の空洞52の内壁面等)に接触させて設け、測定する。
押出装置110は、図1に示されるように、熱可塑性樹脂を含む樹脂材料Pを溶融状態にして溶融体Fとする一軸押出機10と、一軸押出機10の先端部に取り付けられた口金20と、を備えている。
支持部材70は、図2に示されるように、円柱状に形成されており、口金20に環状に形成された出口孔23の径方向中央部(中心)で口金20を貫通し、口金20の上方及び下方に突出するように支持されている。
一体型の冷却装置30を構成する冷却部材32は、図2に示されるように、例えば円筒状に形成されており、冷却部材32の内周面が支持部材70の外周面に接触するように支持部材70と同軸状に配置されている。そして冷却部材32は、冷却部材32の軸方向に貫通する支持部材70によって支持されている。
第1の冷却部32Aの温度が第2の冷却部32Bの温度よりも高くなるようにそれぞれの温度を調整する方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。具体的には、例えば、第1の空洞42に供給された第1の冷媒の温度が、第2の空洞52に供給された第2の冷媒の温度よりも高くなるように、前記不図示の冷却機において第1の冷媒及び第2の冷媒をそれぞれ冷却する方法が挙げられる。
次に、前述の管状体製造装置100を用いた、管状体の一例としての熱可塑性樹脂チューブを製造する製造方法について説明する。
具体的には、口金20の出口孔23から管状に押し出された溶融体Fは、外周面34の接触開始領域36において冷却部材32との接触を開始し、接触開始領域36から接触終了領域38までの間は冷却部材32への接触を継続し、接触終了領域38において冷却部材32への接触を終了して冷却部材32から離れる。冷却部材32から離れた溶融体Fは冷却され、冷却部材32の接触終了領域38における外径に応じた内径を持つ管状に硬化した状態となっている。
このようにして、本実施形態では、熱可塑性樹脂チューブ(円筒状フィルム)である管状体が製造される。
また、溶融体Fが冷却部材32への接触を終了した時点で溶融体Fの冷却が不十分で硬化が完了していない場合は、例えば溶融体が冷却して得られた管状体を巻き取ることによる応力により、溶融体全体に歪みが発生する事により管状体が変形し、二軸で長架時の軸方向真直度が大きくなることが考えられる。
前記「凹凸(うねり)」とは、後述するように、表面粗さ計によって測定された値であり、凹凸(うねり)が小さいほど平面性が高いことを意味する。具体的には、前記うねりの値が0.2μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。
また、前記「二軸で張架時の軸方向真直度」とは、後述するように、例えば得られた管状体がベルトである場合、ベルトを2本のロールで張ってレーザ変位計で軸方向に表面位置を測定したときの差を示す値であり、二軸で張架時の軸方向真直度が小さいほど平面性が高いことを意味する。具体的には、前記二軸で張架時の軸方向真直度の値が2mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。
接触開始領域36の温度が上記範囲であることにより、上記範囲よりも低い場合に比べてうねりが小さく平面性の高い管状体が得られ、上記範囲よりも高い場合に比べて、二軸で張架時の軸方向真直度が小さく平面性の高い管状体が得られる。
また接触終了領域38の温度が上記範囲であることにより、上記範囲よりも高い場合に比べて、二軸で張架時の軸方向真直度が小さく平面性の高い管状体が得られる。
なお、前記接触開始領域36と接触終了領域38との距離は、前記交線の直径の1.0倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましい。
一方、内周面を溶融体に接触させる円筒状の冷却部材では、前記交線の直径は内径を意味する。また、前記交線が円形以外の形状である場合は、最も長い径を前記「交線の直径」とする。具体的には、例えば、前記交線が楕円形である場合は、前記交線の直径は長径を意味する。
導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、カーボン繊維、金属粉、導電性金属酸化物、有機金属化合物、有機金属塩、導電性高分子等から選ばれる少なくとも1種またはこれら数種の混合物からなるものが挙げられる。その中でも特に、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックがある。管状体の外観を損なわないために揮発分率の少ないカーボンブラックが好ましく、また抵抗安定性の点で小粒子径のカーボンブラックを用いる事が好ましい。
<押出成形装置(管状体の製造装置)>
第2実施形態の押出成形装置は、上記第1実施形態の管状体製造装置100に備えられた冷却装置30の代わりに、第1の冷却部材62と第2の冷却部材64とで構成された冷却装置60を用いた形態である。なお、冷却装置が異なること以外の事項については、上記と同様であるため説明を省略する。
冷却装置60は、口金20よりも溶融体Fの押出方向下流側に設けられた第1の冷却部材62と、第1の冷却部材62よりも前記押出方向下流側に設けられた第2の冷却部材64と、で構成された分割型の冷却装置である。
第1の冷却部材62と第2の冷却部材64とは、図3に示されるように、例えば、それぞれ円筒状に形成され、内周面が支持部材70の外周面に接触するように支持部材70と同軸状に配置されている。
すなわち冷却装置60は、第1の温度に調整された第1の冷却部である第1の冷却部材62と、第2の温度に調整された第2の冷却部である第2の冷却部材64と、を含んで構成されている。
そして本実施形態では、第1の冷却部材62の外周面の温度が、第2の冷却部材64の外周面の温度よりも高くなるように調整される。
すなわち溶融体Fは、接触開始領域76において最初に冷却装置60への接触を開始し、冷却装置60への接触の終了及び再開を経たのちに、接触終了領域78において最後に冷却装置60への接触を終了する。
そして本実施形態では、分割型の冷却装置60を用いているため、一体型の冷却装置に比べて、接触面積が小さくなるため引き取り力が小さくて済み、ベルトの残留応力による平面性の悪化を防ぐ事が出来る。
また、本実施形態では、第1の冷却部材62及び第2の冷却部材64を用いているが、これに限られず、3つ以上の冷却部材を用いてもよい。
<樹脂ペレット1>
熱可塑性樹脂としてポリフェニレンサルファイド(トレリナT1881、東レ株式会社製、Tg:85℃)100部と、導電剤としてカーボンブラック(Monarch 880、キャボット社製)14部と、をヘンシェルミキサー(日本コークス製 FM10C)を用いて混合した。得られた混合物を、二軸押出溶融混練機(L/D60(パーカーコーポレーション社製))により360℃で溶融混練し、φ5の孔より紐状に押出し、水槽中に入れて冷却固化後切断し、樹脂ペレット1を得た。
熱可塑性樹脂としてポリエーテルイミド(Ultem 1000V、SABICイノベーティブプラスチックス社製、Tg:215℃)100部と、導電剤としてカーボンブラック(Monarch 880、キャボット社製)18部と、をヘンシェルミキサー(日本コークス製 FM10C)を用いて混合した。得られた混合物を、二軸押出溶融混練機(L/D60(パーカーコーポレーション社製))により360℃で溶融混練し、φ5の孔より紐状に押出し、水槽中に入れて冷却固化後切断し、樹脂ペレット2を得た。
<無端ベルト1〜無端ベルト10(管状体)の製造>
表1に示す樹脂ペレット(上記樹脂ペレットの作製により得られた樹脂ペレット)を、表1に示す押出温度に設定した一軸溶融押出機(溶融押出装置、三葉製作所社製、型番:E−8001、L/D24)に投入し、溶融しながら環状ダイ(口金)とニップルの間隙(出口孔)から円筒状に押出した。押出された円筒状フィルムを引きとりながらフィルムの円筒形状と径を固定化するために、接触開始領域及び接触終了領域の温度を表1に示すように設定した一体型の冷却装置(サイジングダイ)へ円筒状フィルム内周面を接触させて冷却後、目的とする幅に切断し、φ160(内径160mm)、長さ232mm、膜厚100μmの無端ベルト1〜10を得た。
なお、用いた一体型の冷却装置は、外径160mmの円筒状の冷却部材からなるものであり、接触開始領域から接触終了領域までの長さ(冷却装置の長さ)は表1に示す通りである。
上記一体型の冷却装置の代わりに、分割型の冷却装置を用いた以外は、無端ベルト2と同様にして、無端ベルト11を得た。
なお、用いた分割型の冷却装置は、2つの冷却部材で構成されており、いずれの冷却部材も外径160mm、長さ25mmの円筒状であり、設置間隔は110mmである。すなわち、上記分割型の冷却装置における接触開始領域から接触終了領域までの長さ(冷却装置の長さ)は160mmである。
<うねり(Wmax)の測定>
表面粗さ計を用い、測定長さ50mm、カットオフ波長0.8mm、測定速度0.6mm/秒で測定した。前記測定を、無端ベルトの幅方向に3か所行い、その平均値をうねり(Wmax)とした。結果を表1に示す。
G1:うねりが0.1μm以下
G2:うねりが0.1μmより大きく0.2μm以下
G3:うねりが0.2μmより大きい
外径φ28の金属ロール二本を、得られた無端ベルト内に入れ、片側の金属ロールを固定し、張力が偏らないように注意しながら残りの片側を39.2Nの張力で支持する。
二本の金属ロール間の中央部分におけるベルト表面(外周面)の位置を、レーザ変位計を用いて軸方向に測定し、最大値と最小値との差を求めた。この測定をベルトの周方向に8箇所行い、前記差の最大値を二軸で張架時の軸方向真直度とした。結果を表1に示す。
G1:二軸で張架時の軸方向真直度が1.0mm以下
G2:二軸で張架時の軸方向真直度が1.0mmより大きく2.0mm以下
G3:二軸で張架時の軸方向真直度が2.0mmより大きい
得られた無端ベルトを画像形成装置(富士ゼロックス社製のDocuPrint CP200W)の中間転写ベルトとして組み込み、温度22℃湿度55%RHの環境下においてハーフトーン画像(マゼンタ40%をのせた画像)をA4縦用紙で3枚出力し、目視により下記評価基準で転写性の判定を行った。結果を表1に示す。
G1:画像に濃度ムラなし
G2:画像に軽い濃度ムラあり
G3:画像に濃度ムラあり
G4:画像抜けあり
得られた無端ベルトを画像形成装置(富士ゼロックス社製のDocuPrint CP200W)の中間転写ベルトとして組み込み、温度22℃湿度55%RHの環境下において低濃度画像(マゼンタ5%画像)でA4縦用紙を連続1000枚出力後に、A4縦用紙の前半部分のみにハーフトーン画像(マゼンタ40%をのせた画像)を3枚出力してその3枚のA4縦用紙の後半部分にトナー汚れがあるかどうかを目視により確認した。
また、トナー汚れの無い場合については、無端ベルト表面を観察し、無端ベルト表面にトナーが付着しているかどうかも観察した。結果を表1に示す。
G1:記録媒体にトナー汚れもなく、無端ベルト表面のトナー付着もない
G2:記録媒体にトナー汚れはないが、無端ベルト表面にトナー付着あり
G3:記録媒体に微少なトナー汚れあり
G4:記録媒体にひどいトナー汚れあり
11 投入口
12 加熱筒
13 スクリュー
20 口金
22 流路
23 出口孔
30、60 冷却装置
32、62、64 冷却部材
32A 第1の冷却部
32B 第2の冷却部
34 外周面
36、76 接触開始領域
38、78 接触終了領域
42、52、72、74 空洞
44、54 供給管
46、56 排出管
70 支持部材
100 管状体製造装置
110 押出装置
F 溶融体
P 樹脂材料
Claims (4)
- 押出装置に設けられた口金から押し出される溶融した熱可塑性樹脂を含む管状の溶融体を第1の冷却温度で冷却する第1の冷却部材であって、前記第1の冷却部材の外周面が前記溶融体の内周面に接触することで前記溶融体を冷却する第1の冷却部材と、
前記第1の冷却部材と離間して設けられ、前記第1の冷却部材により冷却された前記溶融体を、前記第1の冷却温度よりも低い第2の冷却温度で冷却する第2の冷却部材であって、前記第2の冷却部材の外周面が前記溶融体の内周面に接触することで前記溶融体を冷却する第2の冷却部材と、
前記第1の冷却部材を冷却する第1の冷媒を前記第1の冷却温度に冷却して前記第1の冷却部材に供給し、かつ、前記第2の冷却部材を冷却する第2の冷媒を、前記第1の冷却温度よりも低い前記第2の冷却温度に冷却して前記第2の冷却部材に供給する冷却機と、
を備える冷却装置。 - 前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、前記第1の冷却温度がTg−15(℃)以上Tg(℃)以下であり、かつ、前記第2の冷却温度がTg−15(℃)未満である、請求項1に記載の冷却装置。
- 溶融した熱可塑性樹脂を含む溶融体を口金から管状に押し出す押出装置と、
前記口金から管状に押し出された前記溶融体の内周面に接触して前記溶融体を冷却する、請求項1又は請求項2に記載の冷却装置と、
を有する管状体の製造装置。 - 溶融した熱可塑性樹脂を含む溶融体を口金から管状に押し出す押出工程と、
前記押出工程によって管状に押し出された前記溶融体を、請求項1又は請求項2に記載の冷却装置における前記第1の冷却部材の外周面及び前記第2の冷却部材の外周面に接触させて、前記溶融体を冷却する冷却工程と、
を有する管状体の製造方法。
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