JP5480618B2 - ダイスおよびそれを用いたシームレスベルトの製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明に係るシームレスベルトの製造方法は、上記のダイスを用いて溶融押し出しして樹脂チューブを成形する工程を有することを特徴とする。
ポリエーテルエーテルケトンと導電性カーボンブラックとを含有する樹脂組成物を円筒押出成形する一次加工工程;
該一次加工工程で得られる中空円筒状薄肉化チューブを、外嵌合する内型と内嵌合する外型で挟持押圧しつつ前記チューブに加熱処理を施す二次加工工程。
(ア)冷却マンドレルと接触する位置での樹脂チューブの表面温度が、290℃(融点−55℃)未満にならないこと;
(イ)最終チューブ膜厚に薄膜化されたチューブを冷却マンドレル最上端に接触させ、0.5秒以内に、150℃(Tg:ガラス転移温度)未満まで冷却すること。
上記方法により得られるチューブを広角X線回折法(XRD)により結晶化度測定を行い、結晶化度が10%以下のものを非晶と定義した。非晶のポリエーテルエーテルケトン樹脂組成物からなる薄膜化されたチューブは上記のようにチューブ表面を冷却することで得ることができる。
導電性フィラ−として、カーボンブラック(アセチレンブラック)を配合したポリエーテルエーテルケトン樹脂組成物を360℃のダイス出口から4kg/hで押出した例を示す。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂としては、図3に示すような、オキシ−1,4−フェニレン−オキシ−フェニレン−カルボニル−1,4−フェニレンの構成単位からなる物質を使用した。カーボンブラックの配合量は、15wt%であった。100℃に温度調節された冷却マンドレルは、ダイス下端から40mm位置に配置された。ダイスとして、図1に示す形態のものを用いた。ここで、スパイラル流路と環状流路との間に位置する連結流路内に、異物を除去するための中空円板状のフィルタとして、目開き20μmのメッシュを有する濾過面積100cm2のフィルタを用いた。ダイス出口幅1mmから押出されるポリエーテルエーテルケトン樹脂組成物を、冷却マンドレル下方に位置する引取装置により、引落率20(ダイス出口幅÷最終チューブ膜厚)で、50μmに薄膜化し、冷却固化することでエンドレスチューブを作製した。作製されたチューブの結晶化度は4%であった。押出成形で得られたこのチューブを、外嵌合する内型と内嵌合する外型で面圧10Kg/cm2で挟持・押圧しつつ、160℃で加熱処理を施す二次加工を行った。一次加工の押出成形時のフィルタ前後の差圧は、6Mpaであり、フィルタの機械的な許容強度圧の15Mpa以下であった。また、一次加工後に、得られた樹脂チューブの表面の異物に起因する凸部の最大高さは40μm以下であった。二次加工後には、異物に起因する凸部は観察されない、表面平滑性に優れたシームレスベルトが得られた。
実施例1に用いたフィルタを、目開き10μmのメッシュを有する濾過面積100cm2のフィルタに変えた以外は実施例1と同様にしてシームレスベルトを製造した。一次加工の押出成形時のフィルタ前後の差圧は、12Mpaであり、フィルタの機械的な許容強度圧の15Mpa以下であった。また、一次加工後に、得られた樹脂チューブ表面の異物に由来する凸部の最大高さは20μm以下であった。二次加工後には、異物に起因する凸部が観察されない、表面平滑性に優れたシームレスベルトが得られた。
図2に示した構造を有するダイスを用いた以外は実施例1と同様にしてシームレスベルトを作製した。ここで、フィルタ10としては、目開き20μmのメッシュを有する濾過面積1000cm2の円筒状のフィルタを用いた。ダイス出口幅1mmから押出されるポリエーテルエーテルケトン樹脂組成物を、冷却マンドレル下方に位置する引取装置により、引落率20(ダイス出口幅÷最終チューブ膜厚)で、50μmに薄膜化し、冷却固化することでエンドレスチューブを作製した。作製されたチューブの結晶化度は4%であった。押出成形で得られたこのチューブを、外嵌合する内型と内嵌合する外型で面圧10Kg/cm2で挟持・押圧しつつ、160℃で加熱処理を施す二次加工を行った。一次加工の押出成形時のフィルタ前後の差圧は、1Mpa以下であり、フィルタの機械的な許容強度圧の15Mpa以下であった。また、一次加工後に、得られた樹脂チューブの表面の異物に由来する凸部の最大高さは40μm以下であった。二次加工後には、異物に起因する凸部が観察されない、表面平滑性に優れたシームレスベルトが得られた。
実施例3で用いたフィルタを、目開き10μmのメッシュを有する濾過面積2000cm2の円筒状フィルタに変えた以外は実施例3と同様にしてシームレスベルトを製造した。一次加工の押出成形時のフィルタ前後の差圧は、1Mpa以下であり、フィルタの機械的な許容強度圧の15Mpa以下であった。また、一次加工後に得られた樹脂チューブの表面の異物に由来する凸部の最大高さは20μm以下であった。二次加工後には、異物に起因する凸部が観察されない、表面平滑性に優れたシームレスベルトが得られた。
図4に示した構造を有するダイスを用いた以外は実施例1と同様にしてシームレスベルトを作製した。図4に示したように、フィルタ10は不図示のギアポンプとダイスの間に配設されている。フィルタ10としては、目開き20μmのメッシュを有する濾過面積1000cm2の円盤形状のフィルタを用いた。一次加工の押出成形時のフィルタ前後の差圧は、1Mpa以下であり、フィルタの機械的な許容強度圧の15Mpa以下であった。しかし、一次加工後に得られた樹脂チューブ表面の異物に由来する凸部の最大高さは、100μmであった。この樹脂チューブを二次加工して得られたシームレスベルトの表面には、異物に由来する凸部が依然として残留していた。
比較例1において、フィルタとして、目開き10μmのメッシュを有する濾過面積2000cm2の円盤形状のフィルタを用いた以外は比較例1と同様にしてシームレスベルトを製造した。一次加工の押出成形時のフィルタ前後の差圧は、1Mpa以下であり、フィルタの機械的な許容強度圧の15Mpa以下であった。しかし、一次加工後に得られた樹脂チューブ表面の異物に由来する凸部の最大高さは約100μmであった。この樹脂チューブを二次加工して得たシームレスベルトの表面には、異物に由来する凸部が依然として残留していた。
Claims (5)
- 樹脂組成物を溶融押し出しして、樹脂チューブを成形するためのダイスであって、
熔融樹脂組成物の導入口と、
該導入口から導入された熔融樹脂組成物をチューブ形状に成形するための環状流路と、
該導入口から導入された熔融樹脂組成物を該環状流路の周方向に均一に導入するためのスパイラル流路と、
該スパイラル流路と該環状流路とを連結する連結流路とを備え、更に、
該連結流路内に、該熔融樹脂組成物に含まれる異物を除去するためのフィルタが配置されていることを特徴とするダイス。 - 前記フィルタの異物除去面が、該環状流路内の熔融樹脂組成物の流動方向と平行に配置されている請求項1に記載のダイス。
- 樹脂組成物を、請求項1または2に記載のダイスを用いて溶融押し出しして樹脂チューブを成形する工程を有することを特徴とする電子写真用のシームレスベルトの製造方法。
- 前記樹脂組成物が、導電性フィラーを含有する熱可塑性樹脂組成物である請求項3に記載の電子写真用のシームレスベルトの製造方法。
- 前記樹脂組成物が、カーボンブラックとポリエーテルエーテルケトンとを含む請求項3または4に記載のシームレスベルトの製造方法。
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