JP6365096B2 - 紫外線照射式オゾン生成装置 - Google Patents
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オゾンを工業的に生成する方法の一として、例えば紫外線ランプを用いた光化学反応方式が知られている。光化学反応方式は、酸素を含有する原料ガスに紫外線を照射し、酸素が紫外線を吸収して発生するオゾン生成反応を用いてオゾンを生成するものである。このような光化学反応方式においては、原料ガスとして窒素、酸素を含有するガスを用いても、例えば無声放電方式のように窒素酸化物が生成されることがなく、また放電は放電空間でのみ発生するので発生オゾンに電極起因の粉塵が混入しないという利点がある。
特許文献1に記載されているオゾン発生装置は、管状のエキシマランプを包囲するように、二重管構造のオゾン導通管を配置し、エキシマランプの電極とオゾン導通管内に供給される原料ガスとを隔離する構成とされることが記載されている。また、エキシマランプとして1MHz〜20MHzの高周波発光型のものを用い、オゾン導通管の外周に紫外線反射部材を施す構成とされること、および、エキシマランプを空冷することが記載されている。
また、エキシマランプの電極とオゾン導通管内に供給される原料ガスとが隔離されてエキシマランプの外表面とオゾン導通管のエキシマランプと対向する表面との間に空間が設けられているため、オゾン生成に寄与する紫外線の損失が発生する。すなわち、エキシマランプから放出される紫外線が当該空間内の空気中の酸素によって吸収されるため、オゾン導通管内部に到達し、オゾン導通管内部でオゾン生成に寄与する紫外線の強度が減少してしまう。従って、オゾンを高い効率(高濃度)で生成することができない、という問題がある。
当該エキシマランプの外側管の外周面と当該外套管の内周面との間に形成された第1の空間および当該エキシマランプの内側管の内部に形成された第2の空間のうちの一方の空間が冷却媒体である冷却水が流通される冷却媒体流通空間とされると共に他方の空間が当該エキシマランプからの紫外線が照射されることによりオゾンが生成されるオゾン生成用原料ガスが流通されるオゾン生成空間とされており、
前記エキシマランプにおける当該冷却媒体流通空間内に位置される一方の電極が、接地されていることを特徴とする。
前記外套管の内周面および外周面の一方における少なくとも一部に、前記エキシマランプから放出される紫外線を反射する外套管反射部材が設けられた構成とされていることが好ましい。
また、前記外套管を冷却する冷却手段を具えた構成とされていることが好ましい。
前記エキシマランプにおける外側管の内周面の少なくとも一部に、当該エキシマランプから放出される紫外線を反射する反射部材が設けられた構成とされていることが好ましい。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る紫外線照射式オゾン生成装置の一構成例を概略的に示す、ランプ中心軸に沿った断面図である。図2は、図1におけるA−A線断面図である。図3は、図1に示す紫外線照射式オゾン生成装置の一部を示す部分拡大図である。
この紫外線照射式オゾン生成装置は、一方向に長尺な二重管構造のエキシマランプ20と、このエキシマランプ20が内部に挿通状態で配置された、エキシマランプ20のランプ中心軸Lcに沿って延びる円筒状の外套管35とを具えている。
外套管35としては、例えば石英管などを用いることができる。
紫外線遮光部材30は、例えばアルミニウム等の金属からなる金属膜により構成されており、外側管22と内側管23との接合部Tを含む例えばゲッター室S2を区画する壁の内面に設けられている。このような構成とされていることにより、後述するように、エキシマランプ20が冷却された状態で動作されたとしても、機械的強度が幾分劣る外側管22と内側管23との接合部Tにおいて、紫外線による歪みに起因してエキシマランプ20が破損することを確実に抑制することができる。
他方のランプホルダー部材17における周壁には、他方のランプホルダー部材17の内部空間に連通する流体流通管18が外部筐体10の外部に突出して径方向外方に延びるよう設けられている。
冷却媒体としては、例えば水、純水、フロン系冷媒、ハイドロカーボン冷媒等の絶縁性冷媒、空気(エア)などを用いることができる。
エキシマランプ20からの紫外線は、オゾン生成空間R1を流通されるオゾン生成用原料ガスGに吸収されるため、紫外線の強度は、径方向外方(外套管35側)に向かって進行するにつれて減衰する。すなわち、オゾン生成用原料ガスGに照射される紫外線強度は、径方向に分布(バラツキ)が生じるため、外套管35の内周面近傍位置を流通されるオゾン生成用原料ガスGはオゾン生成にほとんど寄与しない。然るに、撹拌部材45がオゾン生成空間R1内に設けられていることにより、オゾン生成用原料ガスGが屈曲した流通路に沿って流通されてオゾン生成空間R1内で撹拌されることとなるので、オゾン生成用原料ガスGを効率よくオゾン生成に寄与させることができる。
一方、一方の外套管ホルダー部材11に設けられた流体流通管(原料ガス流入管)12,13からオゾン生成空間R1に流入されたオゾン生成用原料ガスGが、オゾン生成空間R1内を屈曲した流通路に沿って流通されると共に、内側管23の内部に配置された流体流通管(冷却媒体流入管)40から冷却媒体流通空間R2に流入された冷却媒体である例えば冷却水(図1および図3において、便宜上、斜線を付した矢印で示す。)Wが内側管23の内周面および流体流通管40の外周面に沿って流通されてエキシマランプ20が冷却される。例えば、放電用ガスとしてキセノンガスが封入され、放電空間S1の軸方向の長さが170mmであるエキシマランプ20を、周波数が80kHz、電圧が4kVp-pの高周波交流電圧を印加して点灯させた場合に、冷却水により冷却しない場合であれば、200〜300℃となる外側管22の温度を、冷却水Wを流通させてエキシマランプ20を冷却することにより100℃程度の比較的低温に維持することができる。
図4は、本発明の第2実施形態に係る紫外線照射式オゾン生成装置の一構成例を概略的に示す、ランプ中心軸に沿った断面図である。図5は、図4におけるA−A線断面図である。図6は、図5に示す紫外線照射式オゾン生成装置の一部を示す部分拡大図である。
この紫外線照射式オゾン生成装置は、上記第1実施形態に係る紫外線照射式オゾン生成装置において、エキシマランプ20の外側管22の外周面と外套管35の内周面との間に形成された第1の空間が冷却媒体流通空間R2とされていると共に、エキシマランプ20の内側管23の内部に形成された第2の空間がオゾン生成空間R1とされている構成とされた他は、基本的な構成は、第1実施形態に係る紫外線照射式オゾン生成装置と同一である。図4乃至図6において、図1乃至図3に示す紫外線照射式オゾン生成装置と同一の構成部材には、同一の符号が付してあり、その説明を省略する。
また、外套管35を構成する材料としては、例えばステンレス鋼などの導電性材料で構成されていてもよい。
この反射部材50は、第1実施形態に係る紫外線照射式オゾン生成装置における第1の反射部材36および第2の反射部材38を構成するものと同様の拡散ミラーにより構成されている。
一方、内側管23の内部に配置された流体流通管(原料ガス流入管)40から流入されたオゾン生成用原料ガスGがオゾン生成空間R1内を屈曲した流通路に沿って流通されると共に、一方の外套管ホルダー部材11に設けられた流体流通管(冷却媒体流入管)12,13から冷却媒体流通空間R2に流入された冷却水(図4および図6において、便宜上、斜線を付した矢印で示す。)Wが、外套管35の内周面および外側管22の外周面に沿って流通されてエキシマランプ20が冷却される。
冷却手段55は、例えば、外套管35をその外周面側から冷却風Fにより冷却する冷却ファンにより構成されている。外套管35を冷却する方法としては、円筒状の冷却管を、エキシマランプ20の外周面の周囲を覆うよう外套管35の内部に配置し、あるいは、外套管35の外周面の周囲を覆うよう配置し、当該冷却管に冷却媒体(例えば冷却水)を流通させることによりオゾン生成空間R1を冷却するようにしてもよい。
このような構成とされていることにより、オゾン生成空間R1内で生成されたオゾンの熱分解が生ずることを確実に抑制することができ、オゾンを一層高い効率で生成することができる。
また、紫外線遮光部材が金属膜により構成されている場合において、当該金属膜を放電空間S1内で発生した不純ガスを吸着する金属材料によって形成することにより、ゲッターとしても機能するように構成されていてもよい。このような構成の紫外線遮光部材は、外側管22と内側管23とを封着することにより放電空間S1を形成した後に、ゲッター室S2に配置した例えばバリウムなどの蒸発型ゲッター部材を高周波加熱等によって加熱することにより、バリウムを外側管22と内側管23との接合部Tを含む壁の内面領域に蒸着して形成することができる。
図1乃至図3に示す構成を参照して、本発明に係る紫外線照射式オゾン生成装置を作製した。この紫外線照射式オゾン生成装置は、第1の反射部材(36)としてシリカ粒子とアルミナ粒子との混合体からなる拡散ミラーを用いた。また、この紫外線照射式オゾン生成装置は、第2の反射部材(38)および撹拌部材(45)を有さないものである。エキシマランプ(20)としては、外側管(22)の外径がφ27mm、外套管(35)の内径がφ36mm、放電空間(S1)の軸方向の長さが170mmであるキセノンエキシマランプを用いた。
この紫外線照射式オゾン生成装置を用いて、図9に示すオゾン濃度測定系を構成し、80kHz、4kVp-pの高周波高電圧を外側電極(25)および内側電極(26)の両電極間に印加してエキシマランプ(20)を点灯させると共に、冷却水(W)をエキシマランプ(20)の冷却媒体流通空間(R2)に3リットル/minの流量で供給した。オゾン生成用原料ガスの供給量を下記表1に従って変更して、紫外線照射式オゾン生成装置により生成されるオゾンの濃度を測定した。結果を下記表1に示す。
図9において、60は紫外線照射式オゾン生成装置、61は電源装置、62は、オゾン生成用原料ガスである5atmの圧縮空気(乾燥空気)の供給圧力(供給量)を調整するレギュレータ、63は、オゾン生成空間に流入される原料ガスの流量を測定する流量計、64は、紫外線照射式オゾン生成装置(60)より排出されるガス中のオゾン濃度を測定するオゾンモニターである。
実験例1において作製した紫外線照射式オゾン生成装置において、外套管(35)の内周面に拡散ミラーを設けることに代えて、外套管(35)の外周面に光輝アルミニウムミラーよりなる第1の反射部材を設けたことの他は、実験例1において作製したものと同一の構成を有する紫外線照射式オゾン生成装置を作製した。この紫外線照射式オゾン生成装置について、実験例1と同様の方法により、生成されるオゾンの濃度を測定した。結果を下記表1に示す。
実験例1において作製した紫外線照射式オゾン生成装置において、外套管(35)を冷却する冷却ファンを設けたことの他は、実験例1において作製したものと同一の構成を有する紫外線照射式オゾン生成装置(図7参照。)を作製した。この紫外線照射式オゾン生成装置について、実験例1と同様の方法により、生成されるオゾンの濃度を測定した。結果を下記表1に示す。ここに、冷却ファンにより供給する冷却風の風量は2.4m3 /minとした。
11 一方の外套管ホルダー部材
12,13 流体流通管
14 他方の外套管ホルダー部材
15 流体流通管
16 一方のランプホルダー部材
16a,16b 保持部材
17 他方のランプホルダー部材
18 流体流通管
20 エキシマランプ
21 放電容器
22 外側管
23 内側管
24 突出部
25 外側電極
26 内側電極
30,30a 紫外線遮光部材
31 ゲッター部材
35 外套管
36 第1の反射部材
38 第2の反射部材
40 流体流通管
45 撹拌部材
50 反射部材
55 冷却手段
60 紫外線照射式オゾン生成装置
61 電源装置
62 レギュレータ
63 流量計
64 オゾンモニター
F 冷却風
G オゾン生成用原料ガス
Lc ランプ中心軸
R1 オゾン生成空間
R2 冷却媒体流通空間
S1 放電空間
S2 ゲッター室
T 接合部
W 冷却水
Claims (8)
- 同軸上に配置された外側管と内側管とを有し、当該外側管の内周面と当該内側管の外周面との間にエキシマ発光用ガスが封入された放電空間が形成された、誘電体材料よりなる放電容器を具えており、当該外側管の外周面に外側電極が設けられると共に当該内側管の内周面に内側電極が設けられたエキシマランプと、当該エキシマランプが内部に挿通状態で配置された、当該エキシマランプのランプ中心軸に沿って延びる外套管とを具えており、
当該エキシマランプの外側管の外周面と当該外套管の内周面との間に形成された第1の空間および当該エキシマランプの内側管の内部に形成された第2の空間のうちの一方の空間が冷却媒体である冷却水が流通される冷却媒体流通空間とされると共に他方の空間が当該エキシマランプからの紫外線が照射されることによりオゾンが生成されるオゾン生成用原料ガスが流通されるオゾン生成空間とされており、
前記エキシマランプにおける当該冷却媒体流通空間内に位置される一方の電極が、接地されていることを特徴とする紫外線照射式オゾン生成装置。 - 前記第1の空間がオゾン生成空間とされると共に、前記第2の空間が冷却媒体流通空間とされており、
前記外套管の内周面および外周面の一方における少なくとも一部に、前記エキシマランプから放出される紫外線を反射する外套管反射部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射式オゾン生成装置。 - 前記エキシマランプにおける内側管の外周面の少なくとも一部に、当該エキシマランプから放出される紫外線を反射する内側管反射部材が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の紫外線照射式オゾン生成装置。
- 前記第1の空間が冷却媒体流通空間とされると共に、前記第2の空間がオゾン生成空間とされており、
前記エキシマランプにおける外側管の内周面の少なくとも一部に、当該エキシマランプから放出される紫外線を反射する反射部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射式オゾン生成装置。 - 前記外套管を冷却する冷却手段を具えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の紫外線照射式オゾン生成装置。
- 前記オゾン生成空間内には、当該オゾン生成空間に供給されるオゾン生成用原料ガスの流れを、当該オゾン生成用原料ガスが当該オゾン生成空間内において混合されるよう、撹拌する撹拌部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の紫外線照射式オゾン生成装置。
- 前記エキシマランプを構成する放電容器における軸方向の少なくとも一方の端部には、内側管と外側管とが気密に接合された接合部が形成されており、当該接合部に向かう紫外線を遮光する紫外線遮光部材が当該放電空間の内部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の紫外線照射式オゾン生成装置。
- 前記紫外線遮光部材は、放電空間を画成する壁の内面における前記接合部を含む領域に設けられた、放電空間内で発生した不純ガスを吸着する金属材料による金属膜により構成されており、ゲッターとしても機能することを特徴とする請求項7に記載の紫外線照射式オゾン生成装置。
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