JP6693331B2 - オゾン発生器 - Google Patents
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Description
このようなオゾン発生器において、原料ガスから高濃度のオゾンを効率的に生成させるためには、出力の高い光源によって、原料ガスに高い強度の紫外線を照射することが必要である。
出力の高い光源は、光源自体が高い温度に発熱する。そのため、光源の近傍において生成したオゾンは、光源からの熱によって加熱されて熱分解してしまうので、結局、高濃度のオゾンを高い効率で生成することが困難である。
また、出力の高い紫外線光源としては、一般に、外部電極を有するエキシマランプが用いられている。このようなエキシマランプを用いた場合において、原料ガスが空気などの酸素および窒素を含むものであるときには、エキシマランプの点灯中に、外部電極と放電容器との間の空隙において窒素酸化物(NOx )が生成して混入する、という問題がある。
上記(イ)の構成においては、放電容器内の放電空間から内管に向かって放射された紫外線は、内管を透過した後、再度内管を透過して放電空間に入射され、更に、外管および原料ガス流通管の内管を透過することによって、原料ガスに照射される。
このように、放電空間から内管に向かって放射された紫外線は、放電容器および原料ガス流通管を合計で4度透過することになり、それぞれにおいて紫外線の一部が吸収されるため、原料ガスに照射されるまでに大きく減衰し、その結果、高い効率でオゾンを生成することが困難となる。
また、放電容器や原料ガス流通管を構成する透光性材料、例えば石英ガラスは、その温度の上昇に伴って、真空紫外線などの低波長域の紫外線の透過率が低下する性質を有する。すなわち、放電容器や原料ガス流通管は、紫外線の吸収によってその温度が上昇すると、透過率が低下する。そして、上述のように、紫外線が放電容器および原料ガス流通管を合計で4度透過すると、紫外線の減衰する量も相当に大きくなるため、安定した光量の紫外線を原料ガスに照射することが困難となる。
然るに、エキシマランプからの紫外線は、放電容器の内管内に挿入された原料ガス流通管を流通する原料ガスに照射される紫外線と、放電容器の外管を取り囲む原料ガス流通管を流通する原料ガスに照射される紫外線とに分割されるため、それぞれの原料ガスに対する紫外線の照射量が小さく、その結果、高濃度のオゾンを生成することが困難となる。
また、上記(ハ)の構成においては、オゾンは、放電容器の外管の外側および内管の内側の各々に原料ガス供給管を設けることが必要であるため、配管構造等が複雑となる。
前記原料ガス流路を流通する原料ガスに、前記透光性部材を介して紫外線を照射する紫外線光源と、
前記透光性部材における前記原料ガスに接触する面を冷却する冷却機構と
を備えてなり、
前記紫外線光源は、単管型の放電容器を有してなり、
前記透光性部材は、前記紫外線光源から離間して前記放電容器を取り囲み、当該放電容器と同方向に伸びる管状のものであり、
前記原料ガス流路機構は、前記透光性部材と、この透光性部材を包囲する、当該透光性部材の外径より大きい内径を有する管状の非透光性部材とを有してなり、
前記透光性部材と前記非透光性部材との間に前記原料ガス流路が形成されていることを特徴とする。
前記紫外線光源と前記透光性部材との間に、前記冷却用ガスが流通する冷却用ガス流路が形成されていることが好ましい。
また、前記冷却用ガスは不活性ガスよりなることが好ましい。
また、紫外線光源における放電容器内の放電空間から放射された紫外線は、当該放電容器および透光性部材を合計で2度透過して原料ガスに照射されるため、原料ガスに照射されるまでの紫外線の減衰量が小さい。しかも、単一の原料ガス流路機構を流通する原料ガスに紫外線が照射されるため、紫外線光源からの紫外線が分割されることもない。
従って、本発明のオゾン発生器によれば、高濃度のオゾンを高い効率で生成することができる。
また、原料ガス流路を流通する原料ガスは、透光性部材によって紫外線光源と隔離されているため、紫外線光源として例えば外部電極を有するエキシマランプを使用したときでも、当該エキシマランプから生ずる副生成物が混入することがない。
また、原料ガス流路機構を、単管型の放電容器の外側に設けるだけでよいため、簡易な構造のオゾン発生器を構成することができる。
また、冷却用ガスとして不活性ガスを用いることにより、冷却用ガスによって紫外線光源からの紫外線が吸収されないため、オゾンの生成効率の低下を防止することができる。更に、紫外線光源として例えば外部電極を有するエキシマランプを使用したときには、エキシマランプの周辺が不活性ガス雰囲気となるため、当該エキシマランプから副生成物が生ずることを防止することができる。
図1は、本発明のオゾン発生器の一例における構成を、原料ガスが流通する方向に沿って切断した状態で示す説明用断面図である。図2は、図1に示すオゾン発生器をA−A線に沿って切断した部分を示す切断部端面図である。図3は、図1に示すオゾン発生器をB−B線に沿って切断した部分を示す切断部端面図である。
透光性部材11の材質は、後述するエキシマランプ20からの紫外線を透過し得るものであって、耐オゾン性を有するものであればよい。透光性部材11の材質の具体例としては、合成石英ガラス、溶融石英ガラス、水晶、フッ化マグネシウムなどが挙げられる。
非透光性部材15の材質は、耐オゾン性を有するものであればよい。非透光性部材15の材質の具体例としては、ステンレス鋼、鉄−クロム−アルミニウム−コバルト合金(カンタル)、アルミナなどが挙げられる。
内部電極25は、金属箔23および外部リード27を介して高電圧電源30に電気的に接続されている。また、外部電極26は、リード28を介して低電圧電源31に電気的に接続されている。
また、支持部材35には、後述する冷却用ガスが流通する複数(図示の例では8つ)のガス流通孔36が、当該支持部材35の周方向に沿って等間隔で並んだ状態で、当該支持部材35の厚み方向に貫通するよう形成されている。
エキシマランプ20の表面と透光性部材11の外周面との距離は、例えば5〜50mmである。
先ず、原料ガス供給手段および冷却機構を作動させる。これにより、非透光性部材15の原料ガス供給管部17から原料ガスが供給されて原料ガス流路P1を流通すると共に、透光性部材11の冷却用ガス供給管部13から冷却用ガスが供給されて冷却用ガス流路P2を流通する。この状態で、エキシマランプ20が点灯されると、当該エキシマランプ20からの紫外線が、透光性部材11を介して、原料ガス流路P1を流通する原料ガスに照射されることにより、当該原料ガス中の酸素が反応してオゾンが生成される。そして、生成したオゾンを含むガスが、非透光性部材15のオゾンガス排出管部18から排出される。
原料ガスの流量は、例えば0.05〜1000L/minであるが、エキシマランプ20や透光性部材11のサイズなどによっては、上記範囲外であってもよい。
このような冷却用ガスの具体例としては、窒素ガス、希ガスなどの不活性ガスが挙げられる。これらの中では、経済性の観点から、窒素ガスが好ましい。
冷却用ガスは常温であってもよいが、冷却されていることが好ましく、具体的には、冷却用ガスの温度は、−20〜10℃であることが好ましい。これにより、小さい流量の冷却用ガスによって効率的に透光性部材11を冷却することができる。
冷却用ガスの流量は、冷却用ガスの温度にもよるが、通常、1〜10L/minである。
また、エキシマランプ20における放電容器21内の放電空間から放射された紫外線は、当該放電容器21および透光性部材11を合計で2度透過して原料ガスに照射されるため、原料ガスに照射されるまでの紫外線の減衰量が小さい。しかも、単一の原料ガス流路機構10を流通する原料ガスに紫外線が照射されるため、エキシマランプ20からの紫外線が分割されることもない。
従って、上記のオゾン発生器によれば、高濃度のオゾンを高い効率で生成することができる。
また、原料ガス流路P1を流通する原料ガスは、透光性部材11によってエキシマランプ20と隔離されているため、エキシマランプ20から生ずる窒素酸化物などの副生成物が混入することがない。
また、原料ガス流路機構10を、エキシマランプ20における単管型の放電容器21の外側に設けるだけでよいため、簡易な構造のオゾン発生器を構成することができる。
また、冷却用ガスとして不活性ガスを用いることにより、冷却用ガスによってエキシマランプ20からの紫外線が吸収されないため、オゾンの生成効率の低下を防止することができる。更に、エキシマランプ20の周辺が不活性ガス雰囲気となるため、当該エキシマランプ20から副生成物が生ずることを防止することができる。
図1〜図3に示す構成に従い、下記の仕様のオゾン発生器を作製した。
透光性部材:材質=合成石英ガラス(「Suprasil F−310」, 信越石英株式会社製),内径=37mm,外径=40mm,長さ=450mm
非透光性部材:材質=ステンレス鋼(SUS316),内径=44mm,外径=48mm,長さ=500mm
紫外線光源:種類=単管型の放電容器を有するキセノンエキシマランプ,外径=18.5mm,発光長=400mm,放電容器の材質=合成石英ガラス(「Suprasil F−310」,信越石英株式会社製)、放電容器の肉厚=2mm
また、オゾン発生器を作動させてから250秒間経過するまでの排出ガスの最大オゾン濃度φmax に対する、オゾン発生器を作動させてから250秒間経過後の排出ガスのオゾン濃度φの維持率[(φ/φmax )×100]を求めたところ、52%であった。
[オゾン発生器の作動条件]
原料ガス:種類=空気,流量=30L/min
冷却用ガス:種類=常温の窒素ガス,流量=5L/min
実施例1で作製したオゾン発生器を、冷却用ガスの流量を10L/minに変更したこと以外は、実施例1と同様の条件で作動させ、排出されるガスのオゾン濃度を経時的に測定した。結果を図5に示す。
また、オゾン発生器を作動させてから250秒間経過するまでの排出ガスの最大オゾン濃度φmax に対する、オゾン発生器を作動させてから250秒間経過後の排出ガスのオゾン濃度φの維持率[(φ/φmax )×100]を求めたところ、80%であった。
透光性部材を設けなかったこと以外は、実施例1と同様の仕様のオゾン発生器を作製した。このオゾン発生器の非透光性部材内に、原料ガスとして流量が30L/minの空気を流通させながら、当該オゾン発生器を作動させ、排出されるガスのオゾン濃度を経時的に測定した。結果を図5に示す。
また、オゾン発生器を作動させてから250秒間経過するまでの排出ガスの最大オゾン濃度φmax に対する、オゾン発生器を作動させてから250秒間経過後の排出ガスのオゾン濃度φの維持率[(φ/φmax )×100]を求めたところ、3%であった。
図4の構成に従い、下記の仕様のオゾン発生器を作製した。
紫外線光源(40):種類=二重管型の放電容器を有するキセノンエキシマランプ,外管(41)の外径=18.5mm,外管(41)の内径:14.5mm, 内管(42)の外径:9.5mm,内管(42)の内径:5.5mm,発光長=400mm,放電容器の材質=合成石英ガラス(「Suprasil F−310」、信越石英株式会社製)
透光性部材(11):材質=合成石英ガラス(「Suprasil F−310」, 信越石英株式会社製),内径=37mm,外径=40mm,長さ=450mm
原料ガス供給管(51):材質=合成石英ガラス(「Suprasil F−310」,信越石英株式会社製),内径=2mm,外径=4mm,長さ=500mm
また、図4において、43は、放電容器における外管(41)の外周面に設けられた低圧側電極、44は、放電容器における内管(42)の内周面に設けられた高圧側電極、48は、低圧側電極(43)を低電圧電源(31)に電気的に接続するリード、49は、高圧側電極(44)を高圧圧電源(30)に電気的に接続するリード、P3は、原料ガス供給管(51)による原料ガス流路である。その他の符号は、図1に示すオゾン発生器と同様であり、それらは、参考例1において実施例1に係るオゾン発生器と同様の仕様である。
また、オゾン発生器を作動させてから250秒間経過するまでの排出ガスの最大オゾン濃度φmax に対する、オゾン発生器を作動させてから250秒間経過後の排出ガスのオゾン濃度φの維持率[(φ/φmax )×100]を求めたところ、41%であった。
[オゾン発生器の作動条件]
原料ガス:種類=空気,流量(二つの原料ガス流路P1,P3の合計の流量)=30L/min(原料ガス流路P1の流量=29.65L/min,原料ガス流路P3の流量=0.35L/min)
冷却用ガス:種類=常温の窒素ガス,流量=5L/min
紫外線光源:総放射強度が実施例1における紫外線光源の総放射強度と同じになるように設定
透光性部材を設けなかったこと以外は、参考例1と同様の仕様のオゾン発生器を作製した。このオゾン発生器の非透光性部材内に、原料ガスとして流量が30L/minの空気を流通させながら、オゾン発生器から排出されるガス総量におけるオゾン濃度を経時的に測定した。結果を図5に示す。
また、オゾン発生器を作動させてから250秒間経過するまでの排出ガスの最大オゾン濃度φmax に対する、オゾン発生器を作動させてから250秒間経過後の排出ガスのオゾン濃度φの維持率[(φ/φmax )×100]を求めたところ、2%であった。
これに対して、比較例1に係るオゾン発生器においては、透光性部材が設けられていないため、エキシマランプからの熱によって加熱されて熱分解してしまうので、高濃度のオゾンを高い効率で生成することができなかった。
また、参考例1〜2に係るオゾン発生器においては、エキシマランプからの紫外線が、放電容器の内管内に挿入された原料ガス流通管を流通する原料ガスに照射される紫外線と、放電容器の外管を取り囲む原料ガス流通管を流通する原料ガスに照射される紫外線とに分割されるため、それぞれの原料ガスに対する紫外線の照射量が小さく、高濃度のオゾンを生成することができなかった。
11 透光性部材
12 端壁
13 冷却用ガス供給管部
14 冷却用ガス排出管部
15 非透光性部材
16 端壁
16a 開口
17 原料ガス供給管部
18 オゾンガス排出管部
20 エキシマランプ
21 放電容器
22 封止部
23 金属箔
25 内部電極
26 外部電極
27 外部リード
28 リード
30 高電圧電源
31 低電圧電源
35 支持部材
36 ガス流通孔
40 紫外線光源
41 外管
42 内管
43 低圧側電極
44 高圧側電極
48,49 リード
51 原料ガス供給管
P1,P3 原料ガス流路
P2 冷却用ガス流路
Claims (3)
- 紫外線を透過する透光性部材を有する、酸素を含む原料ガスが流通する原料ガス流路を形成する原料ガス流路機構と、
前記原料ガス流路を流通する原料ガスに、前記透光性部材を介して紫外線を照射する紫外線光源と、
前記透光性部材における前記原料ガスに接触する面を冷却する冷却機構と
を備えてなり、
前記紫外線光源は、単管型の放電容器を有してなり、
前記透光性部材は、前記紫外線光源から離間して前記放電容器を取り囲み、当該放電容器と同方向に伸びる管状のものであり、
前記原料ガス流路機構は、前記透光性部材と、この透光性部材を包囲する、当該透光性部材の外径より大きい内径を有する管状の非透光性部材とを有してなり、
前記透光性部材と前記非透光性部材との間に前記原料ガス流路が形成されていることを特徴とするオゾン発生器。 - 前記冷却機構は、冷却用ガスによって前記透光性部材を冷却するものであり、
前記紫外線光源と前記透光性部材との間に、前記冷却用ガスが流通する冷却用ガス流路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のオゾン発生器。 - 前記冷却用ガスは不活性ガスよりなることを特徴とする請求項2に記載のオゾン発生器。
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