JP6363455B2 - GaN複合基板およびGaN自立基板の作製方法ならびにGaN複合基板 - Google Patents

GaN複合基板およびGaN自立基板の作製方法ならびにGaN複合基板 Download PDF

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Description

本発明は、GaN結晶からなる基板に関し、特にその製法に関する。
GaNなどの13族窒化物(III族窒化物)からなる13族窒化物半導体は、青色発光デバイス用材料として優れているほか、近年は、携帯電話などに用いられる高速電子デバイス用材料としても注目されている。これらのデバイスの特性は、13族窒化物半導体自体の品質に強い影響を受けるため、高品質(低転位)な13族窒化物半導体が求められている。係る13族窒化物半導体の低転位化を実現するべく、シリコン酸化物やシリコン窒化物などからなるマスクを用いた横方向選択成長により13族窒化物半導体の結晶成長時の転位挙動を制御する態様がすでに公知である(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。
また、従来の13族窒化物半導体は異種材料からなる下地基板上に結晶成長させて供されるのが一般的であったが、これに代わり、13族窒化物の単結晶自立基板を作製する手法についても、種々の方策が提案されている。その一つとして、後工程における剥離を可能とするべく、13族窒化物の厚膜を形成するに先立って、種基板上にマスクや異種材料層、あるいは空隙などを形成しておくという手法が、すでに公知である(例えば、特許文献1および非特許文献3参照)。さらには、マスク形成による剥離をNaフラックス法によって成長させた13族窒化物厚膜の自立基板化に適用した技術もすでに公知である(例えば、特許文献2ないし特許文献5参照)。
特開2008−162887号公報 特開2013−203617号公報 国際公開第2012/128378号 特許第5100919号公報 特開2010−163288号公報
Akira Usui, Haruo Sunakawa, Akira Sakai, and A. Atsushi Yamaguchi, "Thick GaN Epitaxial Growth with Low Dislocation Density by Hydride Vapor Phase Epitaxy", Jpn. J. App. Phys. Vol.36(1997), pp.L899-L902. Kelvin Linthicum, Thomas Gehrke, Darren Thomson, Eric Carison, Pradeep Rajagopal, Tim Smith, Dale Batchelor, and Robert Davis, "Pendeoepitaxy of galium nitride thin films", Applied Physics Letters 75, 196(1999), P.196-198. Yusuke Mori, Mamora Imade, and Mihoko Maruyama, "Growth of Bulk GaN Crystal by Na Flux Method"
特許文献2ないし特許文献5に開示された手法によれば、Naフラックス法により高品質なGaNの自立基板を作製することが可能ではあるが、さらなる低転位化が求められている。
しかしながら、非特許文献1や非特許文献2に開示されているようなシリコン酸化物やシリコン窒化物などからなるマスクを適用してNaフラックス法を行うと、マスクを構成するシリコン原子がフラックス中に溶解し、結晶成長が阻害されてしまうため、好ましくない。
また、特許文献1に開示された手法をNaフラックス法による厚膜成長に適用した場合、再現性よく剥離を行うことは難しいことが、本発明の発明者によって確認されている。
さらには、非特許文献3にはコアレッセンス部においては転位粒界は発生しないと記載されているものの、本発明の発明者が非特許文献3に開示された手法をNaフラックス法による厚膜成長に適用した場合、転位粒界が高頻度で発生した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、従来よりも低転位化されたGaN複合基板さらにはGaN自立基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の発明は、GaN複合基板の作製方法であって、下地基板の上にGaN層を(0001)面が基板面と平行になるようにエピタキシャル形成してなるテンプレート基板の上に多結晶アルミナ層を10nm〜200nmの厚みに形成するアルミナ層形成工程と、前記多結晶アルミナ層に対し複数の開口部を離散的に形成するとともに、前記GaN層に対し前記複数の開口部のそれぞれに連通する複数の凹部を形成することによって、それぞれにおいて一の前記開口部と一の前記凹部とが連通する複数の連通凹部を形成する連通凹部形成工程と、前記複数の開口部が形成された前記多結晶アルミナ層をマスク層とするとともに、前記複数の凹部が形成された前記GaN層を種結晶層として、Naフラックス法によって前記複数の凹部を成長の起点として前記マスク層の上面全体を覆うGaN厚膜層を形成する厚膜層形成工程と、を備え、前記連通凹部形成工程においては、前記開口部のピッチが20μm〜100μmであり、前記開口部の平面サイズが3μm〜15μmであり、前記平面サイズに対する前記ピッチの比が2以上10以下であり、前記凹部の深さが0.05μm以上であり、かつ、前記開口部の最近接方向が前記GaN層におけるa軸方向と合致するように、前記連通凹部を形成する、ことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明のGaN複合基板の作製方法であって、前記連通凹部形成工程においては、前記複数の開口部のそれぞれの形状が正六角形または円形である前記複数の連通凹部を、基板面に平行な面において所定の平面格子の格子点となる位置に形成する、ことを特徴とする。
第3の発明は、第1または第2の発明のGaN複合基板の作製方法であって、前記連通凹部形成工程が、前記多結晶アルミナ層の上にNiマスクを形成するNiマスク形成工程と、RIEによって前記Niマスクの開口部において前記多結晶アルミナ層および前記GaN層を連続的にエッチングすることによって前記複数の連通凹部を形成するエッチング工程と、前記Niマスクを除去するNiマスク除去工程と、を備えることを特徴とする。
の発明は、第1ないし第のいずれかの発明の方法によってGaN複合基板を作製する複合基板作製工程と、前記複合基板作製工程によって作製した前記GaN複合基板を急速加熱することによって、前記GaN厚膜層のうち前記連通凹部に形成された第1の部分以外の部分である第2の部分を前記マスク層および前記第1の部分から分離させる分離工程と、を備え、前記第2の部分をGaN自立基板として得る、ことを特徴とする。
の発明は、GaN複合基板であって、下地基板の上に(0001)面が基板面と平行になるようにGaNからなる種結晶層をエピタキシャル形成してなるテンプレート基板と、前記テンプレート基板の上に多結晶アルミナにて形成されてなり、離散的に設けられた複数の開口部を有するマスク層と、GaNからなる厚膜層と、を備え、前記マスク層に設けられた前記複数の開口部と、前記種結晶層に設けられた、前記複数の開口部のそれぞれに連通する複数の凹部とによって、それぞれにおいて一の前記開口部と一の前記凹部とが連通する複数の連通凹部が形成されてなり、前記厚膜層が、前記複数の連通凹部内に埋設されてなる第1の部分と、前記第1の部分から連続するとともに前記マスク層の上面全体を覆う第2の部分とを有してなり、前記マスク層の厚みが10nm〜200nmであり、前記開口部のピッチが20μm〜100μmであり、前記開口部の平面サイズが3μm〜15μmであり、前記平面サイズに対する前記ピッチの比が2以上10以下であり、前記凹部の深さが0.05μm以上であり、前記開口部の最近接方向が前記種結晶層におけるa軸方向と合致してなる、ことを特徴とする。
の発明は、第の発明のGaN複合基板であって、前記厚膜層においては、前記第1の部分において転位密度が最も大きく、前記第1の部分から前記第2の部分の上面に向かうほど転位密度が小さいことを特徴とする。
の発明は、第または第の発明のGaN複合基板であって、前記厚膜層の前記第2の部分の上面における転位密度が9×10cm−2以上1×10cm−2未満である、ことを特徴とする。
の発明は、第ないし第のいずれかの発明のGaN複合基板であって、前記複数の開口部のそれぞれの形状が正六角形または円形であり、前記複数の連通凹部は、基板面に平行な面において所定の平面格子の格子点となる位置に配置されてなる、ことを特徴とする。
の発明は、第ないし第のいずれかの発明のGaN複合基板であって、前記厚膜層の前記第2の部分が、前記GaN複合基板を急速加熱した場合に前記マスク層および前記第1の部分から分離されることによる自立基板化が可能に設けられてなる、ことを特徴とする。
第1ないし第および第ないし第の発明によれば、表面における転位が従来よりも低減されてなるGaN厚膜層を備えてなり、かつ、一方主面における転位が従来よりも低減されてなるGaN自立基板を得ることができるGaN複合基板を得ることができる。
特に、第1ないし第の発明によれば、種結晶層に設けた凹部がGaN厚膜層の成長の起点となるので、GaN厚膜層の形成途中における転位の合体消失が生じやすくなり、GaN厚膜層の表面における転位が好適に低減される。また、マスク層を多結晶アルミナにて設けることで、マスク層がNaフラックスに溶解することが好適に抑制されてなる。
また、第および第9の発明によれば、一方主面における転位が従来よりも低減されてなるGaN自立基板を得ることができる。
より詳細には、第および第9の発明によれば、GaN厚膜層をNaフラックス法にて形成する場合、多結晶アルミナからなるマスク層はGaN厚膜層の成長の起点とはならない、という性質により、GaN厚膜層はマスク層から分離容易な状態に形成されるので、分離によるGaN自立基板化を容易に行うことができる。
複合基板10の構成を模式的に示す断面図である。 複合基板10の作製途中の様子を段階的に示す図である。 マスク層3の様子を例示する図である。 Naフラックス法によるGaN厚膜層4の形成の様子を模式的に示す断面図である。 GaN層2αの表面の様子を例示する図である。 GaN厚膜層4の表面の様子を示す図である。 複合基板10の自立基板化について説明するための図である。 自立基板4sの裏面SbのCL像の一例である。 自立基板4sの外観写真である。 比較例に係る複合基板110の構成を示す図である。 比較例に係る複合基板210の構成を示す図である。 比較例に係る試料aについて、GaN厚膜層4の表面のSEM像およびCL像を示す図である。
本明細書中に示す周期表の族番号は、1989年国際純正応用化学連合会(International Union of Pure Applied Chemistry:IUPAC)による無機化学命名法改訂版による1〜18の族番号表示によるものであり、13族とはアルミニウム(Al)・ガリウム(Ga)・インジウム(In)等を指し、14族とは、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)等を指し、15族とは窒素(N)・リン(P)・ヒ素(As)・アンチモン(Sb)等を指す。
<GaN複合基板の概要>
図1は、本発明の実施の形態に係る複合基板(GaN複合基板)10の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、複合基板10は、下地基板1と、種結晶層2と、複数の開口部(貫通孔)3hを有するマスク層3と、GaN厚膜層4とを主として備える。
複合基板10は、概略、下地基板1の一方主面上に種結晶層2を形成してなるテンプレート基板の該種結晶層2上にマスク層3を設けた後、係るマスク層3の開口部3hによって結晶成長状態を制御しつつ種結晶層2上にGaN厚膜層4を形成してなるものであるが、マスク層3の形成態様および種結晶層2の形状に特徴を有するものとなっている。
なお、複合基板10は、後述する態様にてGaN厚膜層4を分離することにより、GaN単結晶自立基板を得ることができるものであるほか、それ自体が種々のデバイス等を作製する際の基板となり得るものである。
下地基板1は、その主面上に上述の各層を好適に積層形成するためのものである。下地基板1としては、単結晶C面サファイア基板を用いるのが好適である。そのサイズには特段の制限はないが、取り扱いの容易さという点からは、直径が数インチ程度で、厚みが数百μm〜数mm程度のものが好適である。
種結晶層2は、GaNにて1000nm〜6000nm程度の厚みにエピタキシャル形成されてなる。より詳細には、種結晶層2は、下地基板1上にGaNにて20nm〜100nm程度の厚みに形成された低温バッファ層2Lの上に、(0001)面(C面)が下地基板1の基板面と略平行になる態様にて形成されてなる。
ただし、種結晶層2には、それぞれが基板法線方向(下地基板1の法線の方向)においてマスク層3の対応する開口部3hと連通する、複数の柱状の(有底筒状の)凹部2hが離散的に設けられてなる。これにより、本実施の形態に係る複合基板10は、それぞれの凹部2hと対応する開口部3hとが連通した有底筒状の凹部Hを複数備えるものとなっている。以降、係る凹部を連通凹部Hと称する。なお、凹部2hの底面は基板法線方向と直交してなる。
複数の開口部3hを有するマスク層3は、GaN厚膜層4の形成に際してマスクとして機能する層である。マスク層3は、種結晶層2の上に、アルミナ(Al)にて形成されてなる多結晶層である。なお、詳細は後述するが、マスク層3を設けるプロセスにおいて開口部3hを形成する際に、種結晶層2の凹部2hが併せて形成される。マスク層3は、10nm〜200nmの厚みに形成されてなるのが好ましい。係る場合、マスク層3はGaN厚膜層4を形成する際にマスクとして好適に機能する。なお、アルミナからなるマスク層3を用いるのは、シリコン酸化物やシリコン窒化物からなるマスクを用いる場合とは異なり、GaN厚膜層4をNaフラックス法にて形成する場合において、Naフラックスに溶解することがないからである。
なお、基板法線方向に垂直な断面(基板面に平行な面)における連通凹部Hの形状(凹部2hおよび開口部3hの形状)は、正多角形や円形などの等方的なものであることが好ましく、特に、正六角形であることが好ましい。
また、連通凹部Hは、基板面に平行な面において六方平面格子や正方平面格子などの平面格子をなすように(より具体的にはそれらの平面格子の格子点位置に)設けられるのが好ましい。係る場合において、連通凹部Hのピッチpは15μm〜100μmであればよく、20μm〜100μmであることが好ましい。連通凹部Hの平面サイズsは、1μm〜20μmであればよい。ここで、連通凹部Hの平面サイズとは、連通凹部Hの形状が正多角形の場合には、ある一辺とこれに対向する辺もしくは頂点との間の距離を意味し、連通凹部Hの形状が円形の場合には、直径を意味する。
GaN厚膜層4は、GaNからなる単結晶層であり、マスク層3の上面全体を覆う態様にて、20μm〜2000μmの厚みに形成されてなるほか、連通凹部Hに埋設された部位である初期成長部4aを有する。
GaN厚膜層4は、種結晶層2のうち、マスク層3で被覆されていない開口部3hの下方に位置する部位、つまりは凹部2hを起点として、初期成長部4aから順次に形成されてなる。それゆえ、本実施の形態においては、凹部2hの下地基板1に平行なC面である底面のみならず、凹部2hの側面もがGaN厚膜層4の成長の起点となっている点で、特徴的である。
GaN厚膜層4は、Naフラックス法によって形成されるのが好適である。GaN厚膜層4の厚みに特段の制限はなく、Naフラックス法によって形成可能な範囲で所望される厚みに形成されていればよい。
<複合基板10の作製手順と作用効果>
上述のような構成を有する本実施の形態に係る複合基板10は、その作製手順に特徴を有するとともに、係る作製手順に由来した作用効果を奏するものとなっている。以下、それらについて説明する。図2は、複合基板10の作製途中の様子を段階的に示す図である。
初めに、図2(a)に示すように、下地基板1上に、MOCVD法などの公知のエピタキシャル形成手法によって、低温バッファ層2Lと、均一な厚みのGaN層2αとを形成する。MOCVD法による場合であれば、少なくともGaについての有機金属(MO)原料ガスであるトリメチルガリウム(TMG)と、アンモニアガス(NHガス)と、水素ガスと、窒素ガスとをリアクタ内に供給可能に構成されてなる、公知のMOCVD炉を用いることができる。
具体的には、C面単結晶サファイア基板である下地基板1をMOCVD炉のサセプタ上に載置した状態で、所定の成長条件を与えることで、低温バッファ層2LおよびGaN層2αをこの順に成長させる。
例えば、以下のような条件で各層を成長させればよい。係る場合、GaN層2αが、(0001)面が下地基板1の基板面と略平行になる態様にてエピタキシャル形成される。
なお、本実施の形態において、15族/13族ガス比とは、13族原料であるTMGの供給量に対する15族原料であるアンモニアガスの供給量の比(モル比)である。
低温バッファ層2L:
形成温度(サセプタ加熱温度)→450℃〜550℃;
リアクタ内圧力→10kPa〜103kPa;
原料キャリアガス→水素;
15族/13族ガス比→1000〜2000;
厚み→20nm〜100nm。
GaN層2α:
形成温度→1000℃〜1200℃;
リアクタ内圧力→10kPa〜103kPa;
原料キャリアガス→水素;
15族/13族ガス比→1000〜3000;
厚み→1000nm〜6000nm。
続いて、図2(b)に示すように、GaN層2α上に、均一な厚みの多結晶アルミナ層3αを形成する。多結晶アルミナ層3αの形成は、電子ビーム真空蒸着法により行うのが好適である。
例えば、GaN層2αが形成された下地基板1を公知の電子ビーム蒸着装置のサセプタ上に載置した状態で、所定の成長条件を与えることで、多結晶アルミナ層3αをこの順に成長させる。
基板温度→100℃〜500℃;
装置内圧力→3×10−6Pa〜3×10−4Pa;
厚み→10nm〜200nm。
続いて、以上の手順にて得られたGaN層2αおよび多結晶アルミナ層3αに連通凹部H(開口部3hおよび凹部2h)を形成する。
まず、図2(c)に示すように、多結晶アルミナ層3αの上面に、連通凹部H形成用のマスクとして、金属Ni薄膜からなり、かつ複数の開口部5hを有するNiマスク5を形成する。開口部5hは、続くプロセスにて形成しようとする連通凹部Hの断面形状と同じ平面形状にて、多結晶アルミナ層3αの上面における連通凹部Hの形成対象領域RE1(図2(d))の上方位置に設けられる。
係るNiマスク5の形成は、フォトリソグラフィープロセスと真空蒸着法とを組み合わせることによって行うのが好適である。Niマスク5は、50nm〜500nm程度の厚みに形成すればよい。
Niマスク5における開口部5hの形成位置およびサイズを調整することで、連通凹部Hのピッチpおよびサイズ(平面サイズ)sを所望の条件に定めることができる。
係るNiマスク5の形成に続いて、図2(d)に矢印AR1にて示すように、連通凹部Hの形成対象領域RE1に対してRIE(反応性イオンエッチング)を行い、多結晶アルミナ層3αとGaN層2αとを連続的にエッチングすることによって連通凹部Hを形成する。
なお、連通凹部Hの深さは、エッチング条件を調整することによって種々に違えることが可能であるが、本実施の形態においては、種結晶層2に形成される凹部2hの深さが50nm〜5000nmとなるように、連通凹部Hを形成するのが好ましい。
連通凹部Hが形成されると、ウェットエッチング処理することにより、Niマスク5を除去する。エッチング液としては、例えば酢酸、硝酸、硫酸、燐酸、純水の混合液が適用可能であるほか、Niをエッチング可能なものであれば、市販のエッチング液が使用される態様であってもよい。これにより、図2(e)に示すように、凹部2hを有する種結晶層2および開口部3hを有するマスク層3が形成されたことになる。
図3は、マスク層3の様子を例示する図である。図3(a)は上面のレーザー顕微鏡像であり、図3(b)はそのA−A’断面における走査像であり、図3(c)は該マスク層3の設計サイズを示す図である。
図3においては、50nmの厚みに形成してなるとともに、開口部3h(連通凹部H)の平面形状が正六角形であるマスク層3を例示している。なお、係るマスク層3において、開口部3hは、基板面に平行な面において六方平面格子の格子点位置に設けられてなる。しかも、隣り合う開口部3h同士が最近接する方向(開口部最近接方向)が、種結晶層2をなすGaNのa軸方向と一致させられてなる。そして、基板面に平行な面において開口部最近接方向と直交する方向がm軸方向となっている。
図3(a)からは、開口部3h(連通凹部H)がほぼ、図3(c)に示すピッチp=30μm、サイズs=10μmという設計サイズの通りに形成されてなることが確認される。また、図3(b)の走査像と、マスク層3の厚みが50nmであるということから、連通凹部Hのうち、種結晶層2において凹部2hとなっている部分の深さが1μmであることも確認される。
上述した態様にて連通凹部Hを形成した後、最後に、Naフラックス法によってGaN厚膜層4を形成する。
例えば、下地基板1上に種結晶層2およびマスク層3を形成してなる積層構造体をアルミナるつぼの底に水平に配置したうえで、該アルミナるつぼ内に、金属ナトリウム、金属ガリウム、炭素を充填する。それぞれの充填量は、金属ナトリウムが10g〜30g、金属ガリウムが5g〜15g、炭素が50mg〜200mgであり、金属ガリウムがモル比で金属ナトリウムの5/100〜35/100程度、炭素がモル比で金属ナトリウムの0.3/100〜3/100程度であるのが好ましい。
係るアルミナるつぼを、内部に窒素ガスを導入可能な密閉容器内に入れた後、該密閉容器を、水平回転可能なステージを有するとともに窒素ガスを充填可能な加熱容器の当該ステージ上に載置する。
そして、ステージを断続的に水平回転させながら、密閉容器の温度を840℃〜880℃の所定温度とし、圧力を3.0MPa〜5.0MPaの所定値として30時間〜60時間保持する。
その後、室温まで自然冷却すると、アルミナるつぼの中から、マスク層3の上面にGaN厚膜層4が300μm〜600μmの厚みに形成されてなる積層構造体が得られる。
ただし、形成直後のGaN厚膜層4の表面には凹凸が存在する。そこで、研磨処理によって該表面を平坦化させることで、250μm〜550μm程度の厚みを有しかつ表面が平坦なGaN厚膜層4を得る。これにより、図2(f)および図1に示す複合基板10が得られる。
図4は、Naフラックス法によるGaN厚膜層4の形成の様子を模式的に示す断面図である。図4においては、成長途中段階におけるGaN層の結晶成長面4fを破線にて示している。
図4に示すように、GaN厚膜層4は、凹部2hを起点として、より詳細には凹部2hの底面と底面近傍の側部とを起点として、結晶成長していく。そして、連通凹部H内に初期成長部4aを形成した後は、マスク層3の上面を覆いさらにはその厚みを増していく。Naフラックス法による結晶成長の場合、気相法による場合と違って、アルミナからなるマスク層3の上面(マスク層3とGaN厚膜層4との界面I)は成長の起点とはならないため、GaN厚膜層4はあくまで、初期成長部4aから順次に成長し、マスク層3の上面に広がっていく。これはすなわち、マスク層3によってGaN厚膜層4の形成過程が制御されていることを意味する。
また、係るGaN厚膜層4の成長の際、凹部2hにおける種結晶層2との界面から多数の転位dが生じ、GaN厚膜層4内を伝播していく。それゆえ、初期成長部4aにおいては転位密度が高いものの、多くの転位d(d1)は、成長途中の段階でコアレッセンス部などで互いに合体消失する。しかも、平坦な種結晶層の表面にマスクが形成され、マスクの貫通口の底部が成長起点とされる場合や、上面が平坦な凸部が形成され、該上面が成長起点とされる場合など、成長起点が基板法線方向に垂直な面のみとなっておりそれゆえに転位が基板法線方向に伝播しやすい従来技術の場合とは異なり、本実施の形態の場合、凹部2hの底面に加えこれに直交する側面もが成長の起点となっているので、係る凹部2hの側面から伝播する転位dと底面から伝播する転位dとが合体消失する機会が多い。それゆえ、本実施の形態の場合、最終的にGaN厚膜層4の上面にまで貫通する転位d(d2)は、限定的なものとなっている。
しかも、上述したようにGaN厚膜層4はマスク層3の上面からは成長しないので、マスク層3から転位dが伝播することもない。
その結果として、本実施の形態に係る複合基板10においては、GaN厚膜層4は、初期成長部4aにおいて転位密度が最も大きく、その表面(ガリウム面)側(上面側)に向かうほど転位密度が小さいという特徴を有するものとなっている。
図5は、連通凹部Hの形成によってマスク層3となる多結晶アルミナ層3αを形成する前の、種結晶層2となるGaN層2αの表面の様子を例示する図であり、図6は、GaN厚膜層4の表面の様子を示す図である。図5(a)および図6(a)がそれぞれSEM(走査電子顕微鏡)像であり、図5(b)および図6(b)がそれぞれのCL(カソードルミネッセンス)像である。なお、CL像では、暗点が層表面に存在する欠陥(ほとんどが転位である)を表している。
図5(a)および図6(a)のSEM像を対比すると、GaN層2αおよびGaN厚膜層4の表面の状態には差はなく、いずれもほぼ平坦であると見受けられる。これに対して、図5(b)および図6(b)のCL像を対比すると、前者には多数の暗点が密に存在しているのに対して、後者では離散的で数も少ない。このことは、GaN厚膜層4において転位が低減されていることを指し示している。
例えば、種結晶層2や初期成長部4aの転位密度が1×10cm−2以上である場合においても、GaN厚膜層4の表面(ガリウム面)における転位密度は1×10cm−2未満にまで低減されてなる。なお、転位密度はCL測定によって評価可能である。
すなわち、アルミナからなるマスク層3を設け、かつ、種結晶層2にマスク層3の開口部3hと連通する凹部2hを設けたうえで、Naフラックス法によりGaN厚膜層4を形成するという手順で作製することで、本実施の形態に係る複合基板10は、その表面における低転位化が実現されてなるものといえる。
<自立基板化>
次に、上述の態様にて得られた複合基板10から自立基板を得る態様、すなわち自立基板化について説明する。図7は、複合基板10の自立基板化について説明するための図である。
自立基板化は、複合基板10を急速加熱装置(RTA炉)にて、以下の条件に従って、急速加熱することにより行える。
加熱雰囲気 → 窒素ガスフロー;
昇温速度 → 5℃/秒〜50℃/秒;
最高温度 → 800℃〜1200℃;
最高温度保持時間 → 10秒〜100秒;
冷却 → 自然冷却。
上述したように、マスク層3の上面は成長の起点とはならないため、図7(a)に示す複合基板10においてマスク層3とGaN厚膜層4とは界面Iにおいて互いに接触はしているものの、両者の結合は弱い。それゆえ、係る条件にて複合基板10を加熱すると、GaN厚膜層4はマスク層3から容易に剥離される。また、係る剥離に伴い、界面Iに沿ってGaN厚膜層4に亀裂I1が伸展し、初期成長部4aの分離が生じる。その結果として、初期成長部4a以外のGaN厚膜層4が分離される。すなわち、アルミナからなるマスク層3を含んで構成された複合基板10は、内部に空隙を含まずとも、自立基板化に適した構成を有するものであるともいえる。
初期成長部4aが分離されたGaN厚膜層4の当該分離面(裏面)を研磨処理することで、図7(b)に示すGaNの自立基板4sが得られる。
なお、係る自立基板4sを好適に得るには、開口部最近接方向をGaNのa軸方向とし、連通凹部Hのピッチpを20μm〜100μmとし、サイズsを、3μm〜15μmとし、深さを0.05μm以上とすることが好ましい。
好適に得られた自立基板4sの一方主面(表面)Saは、GaN厚膜層4の表面(ガリウム面)であったことから、その転位密度は上述したように1×10cm−2未満となっている。
一方で、マスク層3および初期成長部4aと接触もしくは連続していた他方主面(裏面)Sbは、窒素面であるが、他方主面Sbにおいては、図7(b)に示すように、分離前に初期成長部4aをなしていた領域REaとマスク層3と接していた領域REbとでは転位の存在状態が異なっている。具体的には、領域REaが、領域REbよりも相対的に転位密度の高い高転位密度領域となっている。図8は、このことを示す、自立基板4sの裏面SbのCL像の一例である。図8に示すCL像においては、暗点が偏在している箇所が六方格子の格子点位置近傍に存在することが確認され、これは、領域REaの存在位置と合致する。
また、図9は、自立基板4sの外観写真である。図9からは、自立基板4sが透明なウェハとして得られていることがわかる。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、Naフラックス法にてGaN厚膜層を形成するにあたって、マスク層をアルミナにて設け、かつ、種結晶層となるGaN層にマスク層の開口部と連通する凹部を設けておくことで、表面における転位密度が1×10cm−2未満にまで低減されたGaN厚膜層を得ることができる。さらには、該GaN厚膜層を容易に自立基板化することができる。
マスク層3となる多結晶アルミナ層3αの形成条件および連通凹部Hの形成条件を種々に違えて全16種類の複合基板10を作製した(試料1、2−1〜2−4、3−1〜3−4、4−1〜4−4、5、6、7)。また、比較例として、マスク層3(多結晶アルミナ層3α)を設けず、凹部2hを有する種結晶層2の上にGaN厚膜層4を形成してなる複合基板110(試料a)と、連通凹部Hを形成する際にマスク層3に開口部3hを設けるものの凹部2hを形成しなかった(GaN層2αのままとした)複合基板210(試料b)とを作製した。図10は複合基板110の構成を示す図であり、図11は複合基板210の構成を示す図である。
初めに、全ての試料に共通に、テンプレート基板を用意した。具体的にはまず、下地基板1として、直径2.5インチ、厚み630μmの単結晶C面サファイア基板を用意した。そして、用意した下地基板1上に、MOCVD法により、以下の条件に従って、低温バッファ層2LとしてのGaN層および連通凹部H形成後に種結晶層2となるGaN層2αを順に形成することにより、テンプレート基板を作製した。
低温バッファ層2L:
形成温度→500℃;
リアクタ内圧力→100kPa;
15族/13族ガス比→1400;
厚み→30nm。
GaN層2α:
形成温度→1100℃;
リアクタ内圧力→100kPa;
15族/13族ガス比→2000;
厚み→3000nm。
GaN層2αの表面はいずれも平滑な鏡面となっており、該表面の欠陥密度をCL測定により評価したところ、約1×10/cmであった。この段階で試料1について得たGaN層2αの表面のSEM像およびCL像が図5に示したものである。
続いて、試料aを除き、得られたテンプレート基板のGaN層2αの上に、電子ビーム真空蒸着法により、多結晶アルミナ層3αを成膜した。その際、基板温度は300℃、装置内圧力は2×10−4Paとした。なお、厚みについては、試料4−1〜4−4においてそれぞれ5nm、10nm、200nm、400nmとしたほかは、全て50nmとした。ただし、多結晶アルミナ層3αの厚みを400nmに設定した試料4−4については、多結晶アルミナ層3αにクラックが生じ、剥離してしまったため、以降の処理の対象から除外した。
試料4−4以外については、続いて、以下のそれぞれ公知の手法を順次に行うことで、連通凹部H(開口部3hおよび凹部2h)を形成した。Niマスク5の厚みはいずれも100nmとした。
洗浄→乾燥→レジスト塗布→プリベーク→露光→現像→Ni真空蒸着→レジスト剥離(リフトオフ)→洗浄→RIE→Ni除去(ウェットエッチング)→洗浄。
係る場合においては、Niマスク5の開口形状、開口部ピッチ、および開口部サイズを違えることで、連通凹部Hの(開口部3hの)開口形状、開口部ピッチp、および、開口部サイズsを違えた。また、連通凹部HのRIEにおけるエッチング量(エッチング時間)を違えることで、種結晶層2における凹部2hの深さを違えた。また、試料によっては、開口部近接方向についても違えた。
より詳細には、試料1の凹部形成条件(開口部形状:六角形、p=30μm、s=10μm、開口部最近接方向:a軸、凹部2hの深さ=1μm)を基準とし、他の試料においては少しずつ試料1と条件を違えた。具体的には、試料2−1〜2−4においては開口部サイズsをそれぞれ1μm、3μm、15μm、20μmとした。また、試料3−1〜3−4においては開口部ピッチpをそれぞれ15μm、20μm、100μm、200μmとした。また、試料5では凹部2hの深さを0.05μmとした。また、試料6では開口部最近接方向をm軸方向とした。試料7では開口部形状を円形とした。また、比較例である試料aではGaN層2αの上面にNiマスク5が形成されるようにした。同じく比較例である試料bでは開口部3hのみが形成され、凹部2hは形成されないようにした。その他の条件は全て、試料1と同じとした。
続いて、連通凹部Hの形成によって得られたマスク層3の上に(試料aのみ種結晶層2の上に)、Naフラックス法により、GaN厚膜層4を形成した。GaN厚膜層4の形成条件は、試料によらず同じとした。
具体的には、まず、あらかじめアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、アルミナるつぼ(内径φ86mm)の底に連通凹部H形成後の試料を水平に配置したうえで、金属ナトリウム20g、金属ガリウム10g、炭素78mg(Ga/Naモル比は16.5/100、C/Naモル比は、0.75/100)をアルミナるつぼ内に充填した。アルミナるつぼをステンレス製の内容器に入れ、さらに該内容器を外容器内に入れ、外容器の本体部の開口を窒素導入パイプの付いた蓋体で閉じた。この外容器を、耐圧容器内部の加熱空間に設けられてなり、かつ、あらかじめ真空ベークしてある回転可能な円盤状のステージの上に設置し、耐圧容器に蓋をして密閉した。
なお、耐圧容器は、上下面が円板である円筒形状に形成され、内部にヒータカバーで囲まれた加熱空間となっている。加熱空間は、ヒータカバーの側面に配置された上段ヒータ、中段ヒータ、および、下段ヒータと、ヒータカバーの底面に配置された底部ヒータとによって、温度調節が可能とされてなる。また、ヒータカバーの周囲には断熱材が設けられてなり、これによって加熱空間の断熱性が高められている。さらには、耐圧容器は、窒素ガス配管を通じて窒素ガスボンベから窒素が供給可能とされてなるとともに、真空引き配管を通じて真空ポンプにより減圧可能とされてなる。なお、窒素ガス配管は、加熱空間の内部にも開口しており、加熱空間への窒素ガスの供給流量は、マスフローコントローラによって調整可能となっている。
ステージは、内部磁石を有する回転シャフトと連結されており、回転シャフトは、その周囲を、耐圧容器の下面と一体化された筒状のケーシングによって覆われている。さらに、ケーシングの外周には筒状の外部磁石が設けられており、図示しないモータによって外部磁石が回転するのに伴って内部磁石が回転することで、回転シャフトひいてはステージが回転する。
GaN厚膜層4の形成にあたっては、耐圧容器内を真空ポンプにて0.1Pa以下まで真空引きした。続いて、上段ヒータ、中段ヒータ、下段ヒータ、および、底部ヒータの設定温度をそれぞれ860℃、860℃、870℃、870℃とすることにより加熱空間の温度を865℃に保ちながら、加熱空間内の圧力が4.0MPaとなるまで窒素ガスボンベから窒素ガスを導入した。
係る状態で、ステージを回転させることで、外容器を中心軸周りに30rpmの速度にて時計回りに断続的に計40時間回転させ続けた。その際には、加速時間=1秒、保持時間=15秒、減速時間=1秒、停止時間=0.5秒とした。
その後、室温まで自然冷却したのち、耐圧容器の蓋を開けて中からアルミナるつぼを取り出した。アルミナるつぼにエタノールを投入し、金属ナトリウムをエタノールに溶かしたあと、GaN厚膜層4が形成された積層構造体を回収した。試料3−4を除き、該積層構造体においては、約500μmのGaN厚膜層4が成長していた。なお、試料3−4については、GaN厚膜層4がマスク層3の上面にて会合せず、マスク層3の全面を覆わなかったため、以降の処理および評価は行わなかった。
GaN厚膜層4を、表面が平坦でかつ厚みが400μmとなるよう研磨処理した。これにより、複合基板10が得られた。
得られた複合基板10について、GaN厚膜層4の表面の欠陥密度(事実上、転位密度とみなせる)をCL測定により評価した。なお、この段階で試料1について得たGaN厚膜層4の表面のSEM像およびCL像が図6に示したものである。一方、図12は、比較例に係る試料aについて、GaN厚膜層4の表面のSEM像およびCL像を示す図である。図12(a)に示すSEM像における試料aのGaN厚膜層4表面の様子は、図6(a)で示した試料1の様子と差異はないが、図12(b)に示すCL像では、図6(b)で示した試料1の場合よりも多くの暗点が観察される。係る差異は、試料1の表面は試料aの表面よりも低転位化されていることを示している。
さらに、得られた複合基板10からGaN厚膜層4を(厳密には初期成長部4a以外を)分離させる自立基板化を試みた。具体的には、急速加熱装置(RTA炉)による以下の条件での急速加熱およびその後自然冷却によるGaN厚膜層4の分離(剥離)と、剥離が行えたGaN厚膜層4を対象とした裏面の研磨とを行った。研磨処理後に得られる自立基板4sの厚みは300μmとした。
加熱雰囲気 → 窒素ガスフロー;
昇温速度 → 10℃/秒;
最高温度 → 1000℃;
最高温度保持時間 → 30秒。
なお、係る処理により得られた試料1に係る自立基板4sの裏面SbのCL像が図8に示したものである。
全ての試料について、マスク層3となる多結晶アルミナ層3αの形成条件および連通凹部Hの形成条件と、開口部ピッチpと開口部サイズとの比p/sと、GaN厚膜層4の表面欠陥密度と、自立基板化の結果を表1に示す。また、自立基板化が不可な試料についてはその理由についても表1に示している。
なお、表1において「六角形」とは正六角形を意味しており、また、「開口部近接方向」とは開口部最近接方向を意味している。
表1からは、ともに比較例である試料aおよび試料bではGaN厚膜層4における表面欠陥密度が1×10/cm以上であるのに対し、GaN厚膜層4が形成された試料については試料4−1を除いて、表面欠陥密度が9×10cm−2以上1×10/cm未満(9×10cm−2以下)であることが確認される。
係る結果は、マスク層3の厚みを10nm以上200nm以下とし、種結晶層2の凹部2hの深さを0.05μm以上とし、連通凹部H(開口部3h)のピッチpを15μm以上100μm以下とした場合には、少なくとも、開口部サイズsが1μm以上20μm以下の場合に、GaN厚膜層4の表面における転位密度が1×10/cm未満である複合基板10が得られることを意味している。また、表1からは、開口部3hの形状は正六角形でも円形でもよいことが確認される。
さらに、表1に示すように、比較例以外で自立基板化が行えたものは、試料1、2−2、2−3、3−2、3−3、4−2、4−3、5、7であった。他の試料については、GaN厚膜層4の剥離(分離)が行えないか、剥離(分離)時にクラックが発生した。なお、自立基板化が行えた試料における表面欠陥密度は2×10cm−2以上1×10/cm未満(9×10cm−2以下)であった。
係る結果は、マスク層3の厚みを10nm以上200nm以下とし、種結晶層2の凹部2hの深さを0.05μm以上とし、連通凹部H(開口部3h)のピッチpを20μm以上100μm以下とし、開口部のサイズsを3μm以上15μm以下とし、かつ、比p/sを2以上10以下とし、さらに開口部最近接方向をGaNのa軸方向と合致させた場合には、複合基板10からの自立基板化を好適に行うことができ、一方主面における転位密度が1×10/cm未満である自立基板をえることができることを意味している。
1 下地基板
2 種結晶層
2α GaN層
2L 低温バッファ層
2h (種結晶層の)凹部
3 マスク層
3α 多結晶アルミナ層
3h (マスク層の)開口部
4 GaN厚膜層
4a (GaN厚膜層の)初期成長部
4f (GaN厚膜層の)結晶成長面
4s 自立基板
5 Niマスク
5h (Niマスクの)開口部
10、110、210 複合基板
H (種結晶層の凹部とマスク層の開口部からなる)連通凹部
I (マスク層とGaN厚膜層の)界面

Claims (9)

  1. GaN複合基板の作製方法であって、
    下地基板の上にGaN層を(0001)面が基板面と平行になるようにエピタキシャル形成してなるテンプレート基板の上に多結晶アルミナ層を10nm〜200nmの厚みに形成するアルミナ層形成工程と、
    前記多結晶アルミナ層に対し複数の開口部を離散的に形成するとともに、前記GaN層に対し前記複数の開口部のそれぞれに連通する複数の凹部を形成することによって、それぞれにおいて一の前記開口部と一の前記凹部とが連通する複数の連通凹部を形成する連通凹部形成工程と、
    前記複数の開口部が形成された前記多結晶アルミナ層をマスク層とするとともに、前記複数の凹部が形成された前記GaN層を種結晶層として、Naフラックス法によって前記複数の凹部を成長の起点として前記マスク層の上面全体を覆うGaN厚膜層を形成する厚膜層形成工程と、
    を備え
    前記連通凹部形成工程においては、
    前記開口部のピッチが20μm〜100μmであり、
    前記開口部の平面サイズが3μm〜15μmであり、
    前記平面サイズに対する前記ピッチの比が2以上10以下であり、
    前記凹部の深さが0.05μm以上であり、
    かつ、
    前記開口部の最近接方向が前記GaN層におけるa軸方向と合致するように、
    前記連通凹部を形成する、
    ことを特徴とするGaN複合基板の作製方法。
  2. 請求項1に記載のGaN複合基板の作製方法であって、
    前記連通凹部形成工程においては、前記複数の開口部のそれぞれの形状が正六角形または円形である前記複数の連通凹部を、基板面に平行な面において所定の平面格子の格子点となる位置に形成する、
    ことを特徴とするGaN複合基板の作製方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のGaN複合基板の作製方法であって、
    前記連通凹部形成工程が、
    前記多結晶アルミナ層の上にNiマスクを形成するNiマスク形成工程と、
    RIEによって前記Niマスクの開口部において前記多結晶アルミナ層および前記GaN層を連続的にエッチングすることによって前記複数の連通凹部を形成するエッチング工程と、
    前記Niマスクを除去するNiマスク除去工程と、
    を備えることを特徴とするGaN複合基板の作製方法。
  4. GaN自立基板を作製する方法であって、
    請求項1ないし請求項のいずれかに記載の方法によってGaN複合基板を作製する複合基板作製工程と、
    前記複合基板作製工程によって作製した前記GaN複合基板を急速加熱することによって、前記GaN厚膜層のうち前記連通凹部に形成された第1の部分以外の部分である第2の部分を前記マスク層および前記第1の部分から分離させる分離工程と、
    を備え、
    前記第2の部分をGaN自立基板として得る、
    ことを特徴とするGaN自立基板の作製方法。
  5. 下地基板の上に(0001)面が基板面と平行になるようにGaNからなる種結晶層をエピタキシャル形成してなるテンプレート基板と、
    前記テンプレート基板の上に多結晶アルミナにて形成されてなり、離散的に設けられた複数の開口部を有するマスク層と、
    GaNからなる厚膜層と、
    を備え、
    前記マスク層に設けられた前記複数の開口部と、前記種結晶層に設けられた、前記複数の開口部のそれぞれに連通する複数の凹部とによって、それぞれにおいて一の前記開口部と一の前記凹部とが連通する複数の連通凹部が形成されてなり、
    前記厚膜層が、前記複数の連通凹部内に埋設されてなる第1の部分と、前記第1の部分から連続するとともに前記マスク層の上面全体を覆う第2の部分とを有してなり、
    前記マスク層の厚みが10nm〜200nmであり、
    前記開口部のピッチが20μm〜100μmであり、
    前記開口部の平面サイズが3μm〜15μmであり、
    前記平面サイズに対する前記ピッチの比が2以上10以下であり、
    前記凹部の深さが0.05μm以上であり、
    前記開口部の最近接方向が前記種結晶層におけるa軸方向と合致してなる、
    ことを特徴とするGaN複合基板。
  6. 請求項に記載のGaN複合基板であって、
    前記厚膜層においては、前記第1の部分において転位密度が最も大きく、前記第1の部分から前記第2の部分の上面に向かうほど転位密度が小さい
    ことを特徴とするGaN複合基板。
  7. 請求項または請求項に記載のGaN複合基板であって、
    前記厚膜層の前記第2の部分の上面における転位密度が9×10cm−2以上1×10cm−2未満である、
    ことを特徴とするGaN複合基板。
  8. 請求項ないし請求項のいずれかに記載のGaN複合基板であって、
    前記複数の開口部のそれぞれの形状が正六角形または円形であり、
    前記複数の連通凹部は、基板面に平行な面において所定の平面格子の格子点となる位置に配置されてなる、
    ことを特徴とするGaN複合基板。
  9. 請求項ないし請求項のいずれかに記載のGaN複合基板であって、
    前記厚膜層の前記第2の部分が、前記GaN複合基板を急速加熱した場合に前記マスク層および前記第1の部分から分離されることによる自立基板化が可能に設けられてなる、
    ことを特徴とするGaN複合基板。
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