以下、図面を参照しながら本発明の歩行型耕耘機の一実施の形態の歩行型耕耘機についてその構成と動作を説明する。
図1は、本実施の形態における、歩行型耕耘機の全体左側面図であり、図2は、本実施の形態における歩行型耕耘機の部分平面図である。
尚、図1では、操作ハンドル60については右側の操作ハンドル部60Rを図示し、左側の操作ハンドル部60Lの図示を省略した。
また、図2では、左右一対の走行車輪2L、2R、耕耘装置40、及び操作ハンドル60の左右一対のグリップ部61L、61Rに設けられた各種レバー等の図示を省略した。
まず、主としてこれらの図面を用いて、本実施の形態の歩行型耕耘機1の構成を中心に説明する。
図1に示す通り、歩行型耕耘機1は、フロントフレーム10の上に搭載されたエンジン20と、フロントフレーム10の後部に固定されたトランスミッションケース30と、トランスミッションケース30の後部に連結された耕耘装置40と、トランスミッションケース30から左右方向に突き出した左右一対の車軸50L、50Rと、車軸50L、50Rに固定された左右一対の走行車輪2L、2Rと、トランスミッションケース30の上方から後方に向けて斜め上に向けて延びた、平面視で略Y字(図2参照)の操作ハンドル60等を備えている。フロントフレーム10の前部にはスタンド10aが設けられており、図1の状態は非作業状態を示している。作業時には点線で示すように、フロントフレーム10の空間内に回動収納される。
また、エンジン20の左側には、エンジン20からの駆動力をトランスミッションケース30側に伝達するベルト伝動機構(図示省略)と、エンジン20からの駆動力をトランスミッションケース30側に伝達するかしないかの切替を行う主クラッチ装置(図示省略)とを覆うベルトカバー70が設けられている。
また、トランスミッションケース30は、エンジン20からの駆動力を上述したベルト伝動機構を介して、左右一対の車軸50L、50Rから左右一対の走行車輪2L、2Rに伝達すると共に、耕耘装置40に設けられた耕耘軸(図示省略)、及び耕耘爪41に伝達する為の伝動機構を内蔵した構成である。
また、本実施の形態では、左側の車軸50Lに駐車ブレーキ装置100が設けられている。駐車ブレーキ装置100については、図3〜図8を用いて更に後述する。
また、本実施の形態では、右側の操作ハンドル部60Rの右グリップ部61R近傍において、主クラッチ操作レバー400と、主クラッチロックレバー500と、駐車ブレーキレバー600が纏めて配置されている(図1参照)。
主クラッチ操作レバー400は、主クラッチケーブル401により上述した主クラッチ装置(図示省略)と連結されており、エンジン20からの駆動力の伝達について主クラッチ装置を「入」状態にするか、又は「切」状態にするかの切替操作を行うレバーである。
また、主クラッチロックレバー500は、主クラッチ操作レバー400が「切」の位置にあるときは、作業者が主クラッチ操作レバー400を「入」の位置に切替操作することを常時牽制するレバーであり、作業者が解除操作を行うことにより、その牽制が解除可能となる構成である。
また、駐車ブレーキレバー600は、ブレーキケーブル601により駐車ブレーキ装置100と連結されており、左右一対の走行車輪2L、2Rの動きを停止させる駐車ブレーキ装置100の「作動」又は「解除」の切替操作を行うレバーである。
また、作業者が、主クラッチロックレバー500の牽制を解除して、主クラッチ操作レバー400を「入」の位置に操作した際、駐車ブレーキレバー600が「作動」の位置、即ち、駐車ブレーキ装置100が作動中であれば、駐車ブレーキレバー600は、作業者による主クラッチ操作レバー400の「入」の位置への操作に連動して、自動的に「解除」の位置に移動して、駐車ブレーキ装置100の作動を解除させる構成である。
尚、これら主クラッチ操作レバー400、主クラッチロックレバー500、及び駐車ブレーキレバー600については、図9(a)〜図12を用いて更に後述する。
次に、駐車ブレーキ装置100について、図3〜図6を参照しながら更に説明する。
図3は、駐車ブレーキ装置100の左側面図である。尚、図3では、図面を見易くするために、ブレーキドラム110については、その外周形状と内周形状を図示した。
また、図4は、トランスミッションケース30に取り付けられた駐車ブレーキ装置100を背面側から見た概略の部分断面図である。
また、図5は、ブレーキ部材120及びブレーキ部材取付ブラケット130等が組み立てられた状態を背面側から見た概略拡大図である。
また、図6(a)は、駐車ブレーキ装置100が取り付けられる、トランスミッションケース30の車軸軸受部(図示省略)を内側に保持する部分のケース軸受外周部31を中心に示した左側面部分拡大図であり、図6(b)は、ブレーキ取付具140を示した左側面拡大図であり、図6(c)は、図6(b)のブレーキ取付具140を背面側から見た拡大図である。
本実施の形態の駐車ブレーキ装置100は、図3、図4に示す通り、ブレーキドラム110と、ブレーキ部材120と、ブレーキ部材取付ブラケット130から構成されている。
ブレーキドラム110は、ブレーキドラム本体111と、そのブレーキドラム本体111をホイルパイプ52Lに固定ピン112aで固定するブレーキドラム固定パイプ112とが、互いに溶接固定されて一体的に構成されている。そして、ブレーキドラム本体111は、ブレーキドラム固定パイプ112が中心部を貫通する、側面視で円形の鍔状部111aを有すると共に、鍔状部111aの外周部が左側の車軸50Lに沿う方向、即ち車軸50Lの軸方向に平行に曲げられてリング状の壁111bを成す構成である。
即ち、ブレーキドラム110は、左側の車軸50Lと共に回動する構成である。
メンテナンスを行うときには、固定ピン112aを外すことにより、ブレーキドラム110は、左側の車軸50Lから容易に取り外すことが出来る。
尚、左側の車軸50Lは、トランスミッションケース30から突き出した駆動車軸51Lに、走行車輪2Lの固定位置を変更可能に等間隔で配置された複数のトレッド調整用貫通孔52Laを有する中空のホイルパイプ52Lが嵌め合わされて、固定ピン50Laで固定されている。右側の車軸50Rについても、左側の車軸50Lと同様の構成である。
また、ブレーキ部材120は、主として図3〜図5に示す通り、(1)ブレーキシュー121a、121bが外周面に固定されると共に、当該外周面がブレーキドラム本体111のリング状の壁111bの内周面111c(ブレーキシュー121a、121bの当たり面)に沿った円弧状のブレーキシュー固定板122a、122b(図7(b)参照)と、(2)それらブレーキシュー固定板122aと122bの一端部を回動可能に連結する連結部材123と、(3)それらブレーキシュー固定板122aと122bの他端部122aa、122bbの間に回動可能に配置され、それら他端部122aaと122bbの間隔を広げたり狭めたりする為のカム124a(図4、図7(b)参照)を先端側に有し、カム124aを回動させる為のブレーキアーム124bが後端側に固定された回動軸部材124と、(4)ブレーキシュー固定板122aの他端部122aaとブレーキシュー固定板122bの他端部122bbとの間の間隔が狭まる方向に常に付勢力を作用させる為に、両端の一方端がブレーキシュー固定板122aに保持され、他方端がブレーキシュー固定板122bに保持されたブレーキシュー制御用スプリング125等から構成されている。ブレーキシュー制御用スプリング125は、カム124aが回動していないときに、確実にブレーキを非作動状態にするものである。
カム124aは、側面視で、四隅が滑らかな曲線形状(R形状)を成した略長方形状の板状部材である(図7(a)、図7(b)参照)。
また、ブレーキ部材取付ブラケット130は、主として図3〜図5に示す通り、側面視で外形が円形状であって、その外周部には左側面に開口を有する溝部131が全周に亘って設けられ、中心部に円形状の孔132が形成されたドーナツ状の円板であり、連結部材123が円形状の孔132の下方側に固定されることにより、ブレーキシュー固定板122aと122bとを回動可能に保持すると共に、円形状の孔132の上方側で回動軸部材124を回動可能に保持する構成である。
尚、上述した固定ピン50Laは、固定ピン112aより短くし、ブレーキシュー制御用スプリング125に干渉しない長さに設定されている。
また、ブレーキアーム124bは、引っ張りバネとしてのブレーキスプリング126を介してブレーキケーブル601に連結されている。また、ブレーキケーブル601は、図3に示す通り、側面視で、略コの字形状を成したブレーキケーブル受け部127により保持されている。また、ブレーキケーブル受け部127は、略コの字形状の両端の開放部127a側が下方に傾いて、操作ハンドル60(図1参照)の傾斜に沿った方向に傾斜した状態で、フロントフレーム10を補強するために溶接された補強プレート11の左側面上に対して、略コの字形状の両端の開放部127aが溶接固定されている。
これにより、ブレーキ部材120はブレーキ部材取付ブラケット130に対して、一体的に組み付けられた構成を成している(図5参照)。
そして、ブレーキ部材120が一体的に組み付けられたブレーキ部材取付ブラケット130は、ブレーキ取付具140を介してトランスミッションケース30に固定されている(図4参照)。
ブレーキ取付具140は、図4、図6(b)、図6(c)に示す通り、円筒状部材141と、円筒状部材141の両端の内の左側の外周に設けられた略円形状の第1固定プレート142と、円筒状部材141の両端の内の右側の外周に設けられた板状の第2固定プレート143と、から構成されている。
第1固定プレート142には略等間隔で4箇所に内周面に雌ねじが切られたブレーキ部材取付ブラケット固定用下孔142aが形成されている。
また、第2固定プレート143には、トランスミッションケース30の左右ケースの合わせ部に形成された合わせボルトを通す孔部の内、3箇所の孔部30a、30b、30cと、当該第2固定プレート143との間に生じた隙間に配置する為の筒状の3つのスペーサー143a、143b、143cがそれぞれ対応する位置に固定されている。
そして、ブレーキ取付具140は、トランスミッションケース30の車軸軸受部(図示省略)を内側に保持する部分のケース軸受外周部31に円筒状部材141の右側の端部が嵌め込まれると共に、第2固定プレート143が、トランスミッションケース30を構成する左右のケースを合わせて固定する合わせボルトの内、孔部30a、30b、30cに通される合わせボルト32を兼用してトランスミッションケース30に固定される構成である。
尚、兼用する合わせボルト32の間の取付角度、即ち、図6(a)、図6(b)に示す通り、孔部30aと30cとの間の車軸軸芯中心角Aは120度以上とした。
これにより、ブレーキ取付具140は、合わせボルト32を兼用してトランスミッションケース30に固定されており、ブレーキ部材120が一体的に組み付けられたブレーキ部材取付ブラケット130は、ブレーキ取付具140を構成する第1固定プレート142に対して、ブレーキ部材取付ブラケット固定用下孔142aを利用して、固定ねじ130aで着脱可能に固定される構成である(図5参照)。
これにより、駐車ブレーキ装置100を車軸50L上に配置することで、ブレーキドラム110等の大きさの制限が少なくなることから、ブレーキ容量の設定が容易になる。
また、駐車ブレーキ装置100をトランスミッションケース30の側面に配置することで、走行車輪2L、2Rのトレッド調整が容易に出来る。
また、ブレーキアーム124bが、側面視で、補強プレート11と重なる位置に配置された構成により、外部の物体が引っ掛かったりすることが防止出来る。
また、ブレーキケーブル受け部127のブレーキケーブル601を保持する部分が、側面視で、補強プレート11からはみ出した位置にあり、略コの字形状の両端の開放部127aのみが補強プレート11に対して溶接固定された構成であるが、ブレーキケーブル受け部127が側面視で、略コの字形状であるので、強固な受け部を実現出来る。
また、ブレーキスプリング126を、ブレーキケーブル受け部127の略コの字形状の中に配置した為、ブレーキスプリング126が保護されて、予期せぬブレーキの誤作動を防止出来る。
また、ブレーキスプリング126を、ブレーキケーブル受け部127の略コの字形状の中に配置した為、ブレーキスプリング126を覆う構造となり、外部からの引っ掛かりによるブレーキスプリング126の外れを防止出来る。
また、ブレーキ部材120が一体的に組み付けられたブレーキ部材取付ブラケット130は、ブレーキ取付具140を介してトランスミッションケース30に固定されている為、ブレーキ部材120を交換する等のメンテナンスが、合わせボルト32を外すことなく、固定ねじ130aを外すことで容易に行える。
また、トランスミッションケース30の車軸軸受部(図示省略)を内側に保持する部分のケース軸受外周部31に、ブレーキ取付具140を固定することにより、ブレーキシュー121a、121bとブレーキドラム110との同芯が確保し易く、ブレーキシュー121a、121bが、ブレーキドラム110の内周面へ片当たりすること等が防止でき、ブレーキ能力を最大限に発揮出来る。また、片当たりが防止出来るので、ブレーキ鳴きを防止出来る。
また、合わせボルト32を兼用した、図6(a)、図6(b)に示す、孔部30aと30cとの間の車軸軸芯中心角Aを120度以上としたことにより、ブレーキ取付具140の車軸50Lに対する傾きが防止出来、片当たりを防止出来る。
また、ブレーキ取付具140をトランスミッションケース30に固定するボルトを、合わせボルト32と兼用した為、ボルトの本数を最小に出来、コストダウンを図ることが出来る。
また、固定ピン50Laは、図3に示す通り、ブレーキシュー制御用スプリング125と回動方向で干渉しない長さに設定されている為、ホイルパイプ52Lを固定ピン50Laで駆動車軸51Lに固定した後、ブレーキ部材120が一体的に組み付けられたブレーキ部材取付ブラケット130を、ブレーキ取付具140に固定ねじ130aで着脱可能に固定することが出来、組み立てが容易となる。
また、上述した通り、固定ピン50Laは、ブレーキシュー制御用スプリング125と干渉しない長さに設定されているので、例えば外側の位置など、どこにでも配置出来、駆動車軸51Lの曲げ強度が向上する。
また、ブレーキアーム124bにおけるブレーキスプリング126の連結部124b1は、路面から離れた位置に配置し、車軸50Lの上方に配置した為、路面の水や異物の浸入を防止出来る。
また、ブレーキアーム124bが、操作ハンドル60の後上がりの傾斜に対して、略垂直方向に配置したので、ブレーキケーブル601の屈曲箇所が少なく、また、駐車ブレーキレバー600の操作力を効率的に伝えることが出来るので、軽いレバー操作力を提供出来る。
次に、図7(a)、図7(b)を用いて、駐車ブレーキ装置100の動作を説明する。
図7(a)は、駐車ブレーキレバー600(図1参照)が「解除」の位置にあるときの駐車ブレーキ装置100の状態を示す説明図であり、図7(b)は、駐車ブレーキレバー600(図1参照)が「作動」の位置にあるときの駐車ブレーキ装置100の作動状態を示す説明図である。
駐車ブレーキレバー600(図1参照)が「解除」の位置にあるときは、図7(a)に示す通り、ブレーキアーム124bは、図中において上下方向に配置された状態であり、カム124aは、その略長方形状の長辺が上下方向に向いた位置にあり、且つ、ブレーキシュー制御用スプリング125の引っ張り力の作用により、ブレーキシュー固定板122aの他端部122aa(図7(a)中のカム124aの左側の長辺に接する部分)(図7(b)の符号122aa参照)とブレーキシュー固定板122bの他端部122bb(図7(a)中のカム124aの右側の長辺に接する部分)(図7(b)の符号122bb参照)との間隔は最も狭くなっている。
これにより、ブレーキシュー121aと121bは、ブレーキドラム本体111のリング状の壁111bの内周面111cとの間に一定の隙間を保つことが出来るので、ブレーキは作動せず、「解除」の状態にある。
これに対して、駐車ブレーキレバー600(図1参照)が「作動」の位置に移動するときは、図7(b)に示す通り、ブレーキアーム124bは、図中において回動軸部材124を中心にして矢印B方向に回動する。
これにより、カム124aは、その略長方形状の長辺が同様に矢印B方向に回動するので、ブレーキシュー固定板122aの他端部122aaとブレーキシュー固定板122bの他端部122bbは、ブレーキシュー制御用スプリング125の引っ張り力に反して、連結部材123を中心として矢印C方向及び矢印D方向に回動し、互いに離れる方向に等距離押し広げられる。
これにより、ブレーキシュー121aと121bは、ブレーキドラム本体111のリング状の壁111bの内周面111cに押しつけられて、ブレーキが「作動」の状態になる。
また、上記構成により、左側の車軸50Lの回りに設けられている操作部材は、駐車ブレーキ装置100、ブレーキケーブル601、及びブレーキスプリング126等であるので、これらを取り外せば、車軸ロータが取り付けられ、車軸耕耘が可能となる。
尚、上記実施の形態では、ブレーキドラム本体111のリング状の壁111bの端縁部111b1と、ブレーキ部材取付ブラケット130の外周部に形成された溝部131との間に隙間が生じる構成であったが、これに限らず例えば、図8に示す通り、ブレーキドラム本体111のリング状の壁111bの端縁部111b2を広げる方向に曲げたラビリンス構造とすることで、ブレーキ部材取付ブラケット130の外周部に形成された溝部131との間に隙間が生じない構成としても良い。これにより、ブレーキドラム110に水や異物の混入を防止出来、ブレーキ性能が維持され、安全性が確保出来る。ここで、図8は、ブレーキドラム本体111の別の構成例を示す為の、駐車ブレーキ装置100を背面側から見た概略の部分断面図である。
次に、図9(a)〜図12を用いて、主クラッチ操作レバー400、主クラッチロックレバー500、及び駐車ブレーキレバー600について、更に説明する。
図9(a)は、右側の操作ハンドル部60Rに設けられた、主クラッチ操作レバー400、主クラッチロックレバー500、及び駐車ブレーキレバー600を示す平面図であり、図9(b)は、図9(a)の左側面図であり、図9(c)は、駐車ブレーキレバー600の板状部610とその近傍の部分拡大図である。尚、図9(c)では、図面を見易くするために駐車ブレーキレバー本体620の図示を省略した。
また、図10(a)は、主クラッチロックレバー500を説明するための左側面図であり、図10(b)は、主クラッチロックレバー500を右側後方から前方を見たときの概略斜視図である。
また、図11(a)は、駐車ブレーキレバー600を説明するための左側面図であり、図11(b)は、駐車ブレーキレバー600を左側前方から後方を見たときの概略斜視図である。
また、図12は、駐車ブレーキレバー600の回動範囲を説明するための左側面図である。
主クラッチ操作レバー400は、図9(a)、図9(b)に示す通り、右側の操作ハンドル部60Rにおいて右グリップ部61Rの前方に左右方向に配置された第1回動軸410によって、当該主クラッチ操作レバー400の前端部402が回動可能に軸支されると共に、当該前端部402に主クラッチケーブル401が連結されていることにより、ベルトカバー70で覆われた主クラッチ装置(図示省略)側に常時引っ張られている構成である。
そして、主クラッチ操作レバー400は、その前端部402から後端部403に向けて斜め上方に傾斜している。
これにより、作業者が右手で主クラッチ操作レバー400を右グリップ部61Rと共に握ったり握るのを止めたりすることで、主クラッチ操作レバー400は、矢印E方向に回動する。
即ち、主クラッチ操作レバー400を握ることにより、主クラッチケーブル401が後方に引っ張られて主クラッチ装置が「入」状態となり、エンジン20からの駆動力がトランスミッションケース30側に伝達され、また、主クラッチ操作レバー400を握るのを止めることにより、主クラッチケーブル401が前方に引っ張られて主クラッチ装置が「切」状態となり、エンジン20からの駆動力がトランスミッションケース30側に伝達されなくなる構成である。
ここで、主クラッチ操作レバー400を、図9(b)中で時計方向に回動させる為には、主クラッチロックレバー500を同時又は先行して操作することで、当該主クラッチロックレバー500が主クラッチ操作レバー400の動きを阻止している状態(即ち、牽制している状態)を解除する必要がある。この点については更に後述する。
尚、図1に示す通り、右側の操作ハンドル部60Rの右グリップ部61Rの下方、及び左側の操作ハンドル部60Lの左グリップ部61Lの下方には、右サイドクラッチ操作レバー62Rと、左サイドクラッチ操作レバー62Lがそれぞれ回動可能に設けられている。作業者が右手で右サイドクラッチ操作レバー62Rを右グリップ部61Rと共に握ることで、トランスミッションケース30内の右側サイドクラッチが切り状態となる。機体を右側に旋回させるときに前記操作を行う。同様に機体を左側に旋回させるときに作業者が左手で左サイドクラッチ操作レバー62Lを左グリップ部61Lと共に握ることで、トランスミッションケース30内の左側サイドクラッチが切り状態となる。
次に、主クラッチロックレバー500は、図9(a)、図10(a)に示す通り、主クラッチ操作レバー400が設けられた右側の操作ハンドル部60Rの、平面視で右側に配置されている。
また、主クラッチロックレバー500は、図9(a)、図10(a)、図10(b)に示す通り、主クラッチ操作レバー400が設けられた右側の操作ハンドル部60Rの右側面に立設されたピン部材510と、ピン部材510に挿入された圧縮バネ部材520と、主クラッチ操作レバー400が設けられた右側の操作ハンドル部60Rの下面に一端側521が固定された基板530と、基板530上に回動可能に配置されたロックプレート540と、ロックプレート540に固定された主クラッチロック操作ノブ550等から構成されている。
上記構成において、圧縮バネ部材520をピン部材510を軸にして組み付ける構成としたことにより、操作ハンドル部60Rの側面など、平面でないところでも、平面を確保する為の土台を形成することなく、組み付けることが出来る。
また、基板530は、その他端側532が、右側の操作ハンドル部60Rの下面から右側に水平に張り出すと共に、その張り出した部位にピン部材510と直交する方向に回動支持軸533が設けられ、且つ、その回動支持軸533に平行にストッパーピン534が立設されている。
また、ロックプレート540は、平面視で、略への字状の板状部材であり、略への字の曲がり部分が、回動支持軸533により回動可能に支持されていると共に、圧縮バネ部材520が、略への字の長辺部541を常時、矢印F方向に押すことにより、略への字の短辺部542の上端部542aが常に主クラッチ操作レバー400の前端部402の下方に位置する構成である。
また、金属製のロックプレート540の当該上端部542aの形状は、樹脂製の主クラッチ操作レバー400の前端部402の下面側縁部402aの形状に沿った形状とするべく構成されている。
これにより、作業者が右手で主クラッチ操作レバー400を下方に押さえ込む操作をしたとき、ロックプレート540の上端部542aが主クラッチ操作レバー400の下面側縁部402aに当たり、主クラッチ操作レバー400の「入」の位置への操作を常時、阻もうとする(即ち、牽制する)。
これに対して、作業者が右手の人差し指等で、主クラッチロック操作ノブ550を左方向に押さえることにより、ロックプレート540の長辺部541が圧縮バネ部材520の押圧力に逆らって押さえられ、ロックプレート540の短辺部542が回動支持軸533を中心として、平面視で、時計方向に回動して、ロックプレート540の短辺部542の上端部542aが、主クラッチ操作レバー400の前端部402の下方から外側に移動するので、主クラッチ操作レバー400の「入」の位置への操作は阻まれることが無くなり(即ち、上記牽制が解除される)、主クラッチ操作レバー400を「入」の位置へ移動させることが出来る構成である。
尚、ロックプレート540の短辺部542が回動支持軸533を中心として、平面視で、時計方向に回動したとき、ストッパーピン534に当たって止まる構成である。
上記構成により、作業者が、主クラッチロックレバー500を右手の指で押さえる操作をしない限り、主クラッチ操作レバー400を「入」の位置に切り替えることが出来ないので、不意に主クラッチ操作レバー400が「入」の位置に切り替わるという誤操作を防止出来る。
また、金属製のロックプレート540の上端部542aが、樹脂製の主クラッチ操作レバー400の下面側縁部402aの形状に沿った形状に構成されているので、双方の当たる部分が点接触ではなく線接触又は面接触になり、樹脂製の主クラッチ操作レバー400の破損や摩耗が抑制される。
また、作業者が、主クラッチロックレバー500を右手の指で押さえる操作を止めることで、圧縮バネ部材520の反発力で主クラッチロックレバー500は元の位置(主クラッチ操作レバー400の「入」の位置への操作を牽制する位置)に戻る。
次に、駐車ブレーキレバー600は、図9(a)、図11(a)に示す通り、主クラッチ操作レバー400が設けられた右側の操作ハンドル部60Rの、平面視で左側に配置されている。
また、駐車ブレーキレバー600は、図9(a)、図11(a)、図11(b)に示す通り、ブレーキケーブル601を連結する為のブレーキケーブル連結ピン611が立設されると共に主クラッチ操作レバー400の第1回動軸410を回動中心として兼用した、平面視で主クラッチ操作レバー400の前端部402の左側に回動可能に配置された板状部610と、板状部610に一端部が溶接固定されると共に他端部に駐車ブレーキノブ621が取り付けられた駐車ブレーキレバー本体620とから構成されている。
そして、板状部610には、駐車ブレーキレバー600の操作範囲を規定する第1障壁部612と第2障壁部613が形成されている。
作業者が右手の親指で駐車ブレーキノブ621を下方に押さえて、左側面視で時計方向回り(図11(a)の矢印G方向参照)に回動させたとき、右側の操作ハンドル部60Rの左側面から水平左方向に突き出して設けられているブレーキレバーストッパーピン63の下面に、第1障壁部612(図12の二点鎖線で表した第1障壁部612参照)が当たり回動が停止され、駐車ブレーキ装置100が、「作動」(図7(b)参照)から「解除」(図7(a)参照)に切り替えられる構成である。
一方、作業者が右手で駐車ブレーキノブ621を上方に引き上げて、左側面視で反時計方向回りに(図12の矢印H方向参照)回動させたとき、ブレーキレバーストッパーピン63に、第2障壁部613(図12の実線で表した第2障壁部613、図11(a)参照)が当たり回動が停止され、駐車ブレーキ装置100が、「解除」(図7(a)参照)から「作動」(図7(b)参照)に切り替えられる構成である。
尚、駐車ブレーキレバー600が「作動」の位置に切り替えられた後は、駐車ブレーキノブ621は、右グリップ部61Rの左側上方に位置しているので、駐車ブレーキ装置100が作動中に機体の押し引き操作が必要になったとき、作業者は左右一対のグリップ部61L、61Rを握ったまま、駐車ブレーキノブ621を右手の親指で下方に押して解除することが出来る。
ここで、ブレーキケーブル601は、上述した駐車ブレーキ装置100に設けられたブレーキシュー制御用スプリング125やブレーキスプリング126の働きにより、矢印I方向(図11(a)参照)に常時付勢されている。その為、駐車ブレーキノブ621を時計方向回り(図11(a)の矢印G方向参照)に回動させるとき、ブレーキケーブル連結ピン611がブレーキケーブル601を矢印I方向とは反対の方向に引っ張る一定の区間では、作業者は、矢印I方向への付勢力に対抗する為の力を駐車ブレーキノブ621に加える必要があるが、その一定の区間を過ぎると、駐車ブレーキレバー本体620が支点越えするので、作業者が力を加えなくても矢印I方向への付勢力の作用により、板状部610は駐車ブレーキレバー本体620と共に勢いよく時計方向回りに回動して、駐車ブレーキ装置100の作動は解除される。
次に、駐車ブレーキ装置100を「作動」させる位置にある駐車ブレーキレバー600が、主クラッチ操作レバー400の「入」の位置への切替操作に連動して、駐車ブレーキ装置100の「作動」を「解除」させる位置に切り替わる構成について、図9(a)、図9(b)、図9(c)を用いて説明する。
駐車ブレーキレバー600の板状部610には、ブレーキケーブル連結ピン611が立設された面と反対側の面に連動ピン630が立設されている。
一方、主クラッチ操作レバー400の前端部402の左右側面には、第1回動軸410が貫通する孔部を取り囲む位置に、外側に向けて突き出した左右一対の土手部420L、420Rが形成されている。
そして、図9(c)に示す通り、主クラッチ操作レバー400を、「入」の位置に切り替える操作をしたとき、左側の土手部420Lが第1回動軸410を軸芯として時計回り方向(図9(c)の矢印G参照)に回動すると共に、その段差部420Laが、連動ピン630に当たり、矢印J方向に移動させる構成である。
これにより、板状部610が、強制的に第1回動軸410を軸芯として矢印G方向に回動させられて、上述した一定の区間を過ぎると、駐車ブレーキレバー本体620が支点越えするので、板状部610は駐車ブレーキレバー本体620と共に勢いよく時計方向回りに回動して、第2障壁部612がブレーキレバーストッパーピン63に当たって当該回動が停止し、駐車ブレーキ装置100の作動は解除される。
上述した通り、駐車ブレーキレバー600の回動軸を主クラッチ操作レバー400の第1回動軸410と兼用する構成としたことで、軸数を減らすことが出来る。
また、駐車ブレーキレバー600と主クラッチ操作レバー400は同軸による回動が可能となり、双方の連動が容易に行える。
また、主クラッチ操作レバー400を「入」の位置に切り替えて、歩行型耕耘機1を走行開始させたとき、その切替操作に連動して、駐車ブレーキ装置100の作動が強制的に解除されるので、駐車ブレーキ装置100が作動を続けながら走行することがなく、駐車ブレーキ装置100に負荷をかけることを防止出来る。
また、上記の通り、右側の操作ハンドル部60Rにおいて、主クラッチ操作レバー400、主クラッチロックレバー500、及び駐車ブレーキレバー600を纏めて配置した構成により、主クラッチ操作レバー400と主クラッチロックレバー500、或いは主クラッチ操作レバー400と駐車ブレーキレバー600、という互いに関連するレバーを並べることで、操作性が向上すると共に、構造がコンパクトに出来る。
次に、右側の操作ハンドル部60Rに設けられた、主クラッチ操作レバー400、主クラッチロックレバー500、及び駐車ブレーキレバー600を覆うパネル700について、図13(a)〜図14を用いて説明する。
図13(a)は、本実施の形態の歩行型耕耘機1のパネル700の平面図であり、図13(b)は、図13(a)に示したパネル700の左側面図である。
図14は、パネル700を左後方の上方から前方側を見たときの斜視図である。
第1回動軸410の前方であって、右側の操作ハンドル部60Rの上面に、側面視でL字形状のパネル取付ステー710が溶接固定されている。
そのパネル取付ステー710に対してパネル700が締結部材720で固定されており、主クラッチ操作レバー400、主クラッチロックレバー500、及び駐車ブレーキレバー600を覆う構成である。
パネル700には、平面視で、主クラッチ操作レバー400の前端部402の周辺に対応する位置に、第1切り欠き部701が設けられており、主クラッチ操作レバー400が「切」の位置にあるときに、パネル700と干渉しない構成になっている(図13(a)、図14参照)。
また、パネル700には、主クラッチロックレバー500との干渉を避けるべく、平面視で、第1切り欠き部701の右側に第2切り欠き部702が設けられており、駐車ブレーキレバー600との干渉を避けるべく、平面視で、第1切り欠き部701の左側に第3切り欠き部703が設けられている(図13(a)、図14参照)。
更に、パネル700には、主クラッチケーブル401との干渉を避けるべく、平面視で、第1切り欠き部701の前方に第4切り欠き部704が設けられている(図13(a)参照)。
これにより、右側の操作ハンドル部60Rに設けられた、主クラッチ操作レバー400、主クラッチロックレバー500、及び駐車ブレーキレバー600が丸見えの状態を回避出来、パネル700を配置することで、デザイン性が向上する。
また、これにより、レバーやノブ等の操作部以外の可動部分や突出したピン類、プレート類がパネル700で覆われるので、作業者の手が直接触れることがなく、事故防止が出来て安全性が向上する。
次に、上述した歩行型耕耘機1に搭載された操作ハンドル60に代えて、操作ハンドルの位置を上下方向に変更できる高さ調節レバー170を備え第2の操作ハンドル160を備えた第2の歩行型耕耘機の構成と動作について、図15、図16(a)〜図16(c)を用いて説明する。
図15は、操作ハンドルの位置を上下方向に変更できる第2の操作ハンドル160が取り付けられた第2の歩行型耕耘機3の概略の左側面図であり、エンジンや耕耘装置の図示を省略した。
また、図1で説明した歩行型耕耘機1と同様の構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
図16(a)は、高さ調節レバー170を調節可能位置に移動させたときの拡大平面図であり、図16(b)は、図16(a)に示した高さ調節レバー170を矢印Kに沿って見たときの図であり、図16(c)は、図16(b)に示した高さ調節レバー170を矢印L方向に回動させて、第2の操作ハンドル160の高さを固定した状態を示す図である。
高さ調節レバー170は、図16(a)、図16(b)に示す通り、高さ調節用カム171と、高さ調節用カム171に固定されたレバー把持部172と、高さ調節用カム171が回動軸173を介して回動可能に連結された貫通用ボルト174と、回動軸173を回動可能に支持する回動軸支持部173a等から構成されている。
また、貫通用ボルト174は、先端部が板状に圧縮された左右一対の操作ハンドルパイプ161L、161Rと、当該左右一対の操作ハンドルパイプ161L、161Rの先端部の内側にそれぞれ溶接固定された左右一対の第1菊座162L、162Rと、ハンドル取付ステー180の外側に溶接固定された左右一対の第2菊座181L、181Rと、にそれぞれ設けられた貫通孔を全て貫通して、その貫通用ボルト174の先端部174aがナット175で固定されている。
尚、回動軸173を回動可能に支持する回動軸支持部173aは、右側の操作ハンドルパイプ161Rの板状に圧縮された端部に溶接固定されているので、高さ調節レバー170は、回動軸支持部173aを介して、右側の操作ハンドルパイプ161Rの板状に圧縮された端部に回動可能に固定されている構成である。
更に、第1菊座162L、162Rと、第2菊座181L、181Rは互いに対向する面に、貫通孔の中心から外周に向けて放射状に延びる凹凸部190が形成されている。
そして、高さ調節レバー170を調節可能位置に移動させた状態(図16(a)、図16(b)参照)では、それら対向する面に形成された凹凸部190の間に隙間191が生じる構成であり、この隙間191が生じている間は、左右一対の操作ハンドルパイプ161L、161Rは、貫通用ボルト174を回動中心として、上下に回動可能であるので(図15の矢印M参照)、第2の操作ハンドル160の高さを所望の位置に調節出来る。
一方、図16(b)に示す通り、高さ調節レバー170を矢印L方向に回動させると(図16(c)参照)、高さ調節用カム171の突部171aが、右側の操作ハンドルパイプ161Rの板状に圧縮された端部を常時押さえる方向に作用するので、右側の第1菊座162Rと第2菊座181Rとの間に生じていた隙間191(図16(b)参照)と、左側の第1菊座162Lと第2菊座181Lとの間に生じていた隙間191は無くなって、対向する凹凸部190が互いに噛み合うことで、第2の操作ハンドル160の高さは固定される。
これにより、高さ調節レバー170をワンタッチで操作出来るので、第2の操作ハンドル160の高さ調節が容易になる。
また、回動軸173の軸芯からの高さ調節用カム171の各部の半径r1、r2、r3(図16(b)参照)を、r2<r3<r1としたことにより、高さ調節レバー170は、矢印L方向への回動は可能であるが、矢印N方向(図16(b)参照)への回動は困難であり、高さ調節レバー170が下方(図16(b)参照)に垂れ下がることが防止出来る。
尚、上記実施の形態では、駐車ブレーキ装置100が左側の車軸50Lに設けられている場合について説明したが、これに限らず例えば、右側の車軸50Rに設けられていても良いし、或いは、両側の車軸50L、50Rに設けられていても良い。
また、上記実施の形態では、主クラッチ操作レバー400、主クラッチロックレバー500、及び駐車ブレーキレバー600が、右側の操作ハンドル部60Rに纏めて設けられている場合について説明したが、これに限らず例えば、左側の操作ハンドル部60Lに纏めて設けられていても良い。
また、上記実施の形態では、主クラッチロックレバー500が、主クラッチ操作レバー400が設けられた側の操作ハンドルの右側に配置され、且つ、駐車ブレーキレバー600が、主クラッチ操作レバー400が設けられた側の操作ハンドルの左側に配置された構成について説明したが、これに限らず例えば、主クラッチロックレバー500が、主クラッチ操作レバー400が設けられた側の操作ハンドルの左側に配置され、且つ、駐車ブレーキレバー600が、主クラッチ操作レバー400が設けられた側の操作ハンドルの右側に配置された構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、トランスミッションケース30から左右の方向に突き出した車軸50L、50Rの左右の何れか一方又は両方に駐車ブレーキ装置100が設けられた構成と、主クラッチ操作レバー400と、主クラッチロックレバー500と、駐車ブレーキレバー600とが、操作ハンドル60の左側又は右側の何れか一方に纏めて配置された構成の両方を兼ね備えた歩行型耕耘機について説明したが、これに限らず例えば、前者又は後者の何れか一方の構成を備えていない歩行型耕耘機であっても良い。