以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る等価回路を示す図である。図1に示す等価回路1は、例えば、電子部品を用いた回路設計や分析のシミュレーションに用いられる回路であり、コンピュータにおいて実行される回路設計(分析)プログラムに適用される。
図1に示すように、等価回路1は、第1端子3a及び第2端子3bと、内部電極部(第1回路部)5a〜5dと、静電容量部(第2回路部)7a〜7fと、を備えている。図1に示す等価回路1は、図2に示すように、誘電体層101が積層されてなる素体102と、素体102内に配置された2層の第1内部電極104a,104c及び2層の第2内部電極104b,104dと、第1内部電極104a,104cに接続された第1端子電極106aと、第2内部電極104b,104dに接続された第2端子電極106bと、を備える積層型コンデンサ100の等価回路である。第1内部電極104a,104cと第2内部電極104b,104dとは、交互に配置されている。第1端子3aは、第1端子電極106aに相当し、第2端子3bは、第2端子電極106bに相当する。内部電極部5a〜5dは、第1内部電極104a,104c及び第2内部電極104b,104dに相当する。
内部電極部5a〜5dは、積層型コンデンサ100の内部電極104a〜104dを示している。内部電極部5a〜5dは、4つ設けられている。これは、積層型コンデンサ100において、内部電極104a〜104dが4層配置されていることを示している。内部電極部5a,5cは、第1端子3aに接続されている。つまり、内部電極部5a,5cは、第1内部電極104a,104cに相当する。内部電極部5b,5dは、第2端子3bに接続されている。つまり、内部電極部5b,5dは、第2内部電極104b,104dに相当する。
内部電極部5aは、インダクタンス素子(インダクタンス成分)L1と、抵抗素子R1と、を有している。インダクタンス素子L1と抵抗素子R1とは、直列に接続されており、RL直列回路を構成している。インダクタンス素子L1は、内部電極や接続導体などによる寄生インダクタンスを表している。抵抗素子R1は、内部電極や接続導体などの導体損失を表している。
内部電極部5bは、インダクタンス素子L2と、抵抗素子R2と、を有している。内部電極部5cは、インダクタンス素子L3と、抵抗素子R3と、を有している。内部電極部5dは、インダクタンス素子L4と、抵抗素子R4と、を有している。
静電容量部7a〜7fは、積層型コンデンサ100の静電容量を示している。静電容量部7a〜7fは、内部電極部5a〜5dの間に配置されている。具体的には、内部電極部5aと内部電極部5bとの間には、静電容量部7aと静電容量部7dとが配置されている。すなわち、静電容量部7a,7dは、内部電極部5a,5bにより発生する静電容量を表している。
同様に、内部電極部5bと内部電極部5cとの間には、静電容量部7bと静電容量部7eとが配置されている。すなわち、静電容量部7b,7eは、内部電極部5b,5cにより発生する静電容量を表している。内部電極部5cと内部電極部5dとの間には、静電容量部7cと静電容量部7fとが配置されている。すなわち、静電容量部7c,7fは、内部電極部5c,5dにより発生する静電容量を表している。各静電容量部7a〜7fは、キャパシタンス素子C1,C2,C3,C4,C5,C6をそれぞれ有している。
本実施形態では、内部電極部5a〜5dにおいて、インダクタンス素子L1〜L4間に相互インダクタンスが設定されている。詳細には、インダクタンス素子L1とインダクタンス素子L2との結合係数K1、インダクタンス素子L1とインダクタンス素子L3との結合係数K2、インダクタンス素子L1とインダクタンス素子L4との結合係数K3、インダクタンス素子L2とインダクタンス素子L3との結合係数K4、インダクタンス素子L2とインダクタンス素子L4との結合係数K5、及び、インダクタンス素子L3とインダクタンス素子L4との結合係数K6が設定されている。各結合係数K1〜K6は、実製品の積層型コンデンサの特性に応じて適宜設定される。
図3は、図1に示す等価回路におけるインピーダンス及びESRの周波数特性のシミュレーション結果を示す図である。図4は、比較例の等価回路におけるインピーダンス及びESRの周波数特性のシミュレーション結果を示す図である。図3及び図4では、縦軸はインピーダンス[Ω]、ESR(等価直列抵抗)[Ω]を示し、横軸は周波数[Hz]を示している。また、図3及び図4では、実製品の積層型コンデンサのインピーダンスの実測値をG1、ESRの実測値をG2で示し、本実施形態の等価回路1におけるインピーダンスをG3,G5、ESRをG4,G6で示している。
図3に示すように、実製品の積層型コンデンサでは、グラフG1で示されるように、周波数が200MHz付近でインピーダンスが極小値となっている。これは、コンデンサの静電容量によるリアクタンスと等価直列インダクタンスによるインダクタンスとが打ち消し合い、合計のリアクタンス値がゼロになるためである。また、実製品の積層型コンデンサでは、グラフG2で示されるように、周波数が800MHz付近でESRのピークが発生している。これは、内部共振によるものである。これに対して、等価回路1では、グラフG3で示されるように、周波数が200MHz付近でインピーダンスが極小値となっており、グラフG4で示されるように、周波数800MHz付近でESRのピークが発生している。つまり、等価回路1では、実製品の積層型コンデンサの実測値と略同等の特性を得ることができる。
一方、図4に示すように、インダクタンス素子L1〜L4間において相互インダクタンスを設定していない(結合係数K1〜K6を0に設定した)回路では、グラフG5,G6で示されるように、実製品の積層型コンデンサの特性(グラフG1,G2)とは異なる特性を示している。比較例の等価回路では、実製品の積層型コンデンサで生じる内部共振現象が適切に再現されないため、実製品の積層型コンデンサとは異なる特性を示している。したがって、等価回路1のインダクタンス素子L1〜L4間において相互インダクタンス(結合係数K1〜K6)を設定することの有効性が確認された。
以上説明したように、本実施形態に係る等価回路1は、内部電極部5a〜5dを備えている。このように、等価回路1では、内部電極部(内部電極)を3以上(本実施形態では4個)備えることにより、ある所定の周波数において内部共振現象が生じる。このとき、各内部電極部5a〜5dには、通常よりも大きい電流(共振電流)が流れることになる。共振電流が損失を有する内部電極に流れると、等価回路1全体のインピーダンス特性において損失のピークとして現れる。したがって、図2に示すように、等価回路1では、実製品の積層型コンデンサの特性に近づけることができる。
また、本実施形態の等価回路1では、インダクタンス素子L1〜L4の間に相互インダクタンスが設定されている。これにより、等価回路1では、実製品の積層コンデンサにおいて生じる物理現象(内部電極間の電流のアンバランスや内部電極間で生じる共振現象)が実現可能となる。したがって、等価回路1では、実製品の積層型コンデンサの特性に近似する特性を得ることができる。
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る等価回路は、内部電極部5a〜5dの抵抗素子R1〜R4に替えて抵抗部(抵抗成分)10a〜10dを備える点で第1実施形態と異なっている。図5は、第2実施形態に係る等価回路における内部電極部の抵抗部の構成を示す回路図である。
図5に示すように、抵抗部(抵抗成分)10aは、インダクタンス素子Lh2〜Lh5と、抵抗素子Rh1〜Rh5と、を備えている。インダクタンス素子Lh2,Lh3,Lh4,Lh5は、この順番に直列に接続されている。インダクタンス素子Lh2の一端は、端子9aに接続されている。本実施形態では、インダクタンス素子Lh2〜Lh5を4個、抵抗素子Rh1〜Rh5を5個用いているが、インダクタンス素子及び抵抗素子の数は、設計に応じて適宜設定されればよい。
抵抗素子Rh1は、その一端がインダクタンス素子Lh2の一端(端子9a)に接続され、その他端が端子9bに接続されている。抵抗素子Rh2は、その一端がインダクタンス素子Lh2の他端で且つインダクタンス素子Lh3の一端に接続され、その他端が端子9bに接続されている。すなわち、インダクタンス素子Lh2の両端部に対して、抵抗素子Rh1及び抵抗素子Rh2の一端が接続されている。抵抗素子Rh3は、その一端がインダクタンス素子Lh3の他端で且つインダクタンス素子Lh4の一端に接続され、その他端が端子9bに接続されている。抵抗素子Rh4は、その一端がインダクタンス素子Lh4の他端で且つインダクタンス素子Lh5の一端に接続され、その他端が端子9bに接続されている。抵抗素子Rh5は、その一端がインダクタンス素子Lh5の他端に接続され、その他端が端子9bに接続されている。2つのインダクタンス素子と1つの抵抗素子は、T型回路を構成している。抵抗部10b〜10dについても、抵抗部10aと同様の構成を有している。
図6は、図5に示す抵抗部を備えた等価回路におけるインピーダンス及びESRの周波数特性のシミュレーション結果を示す図である。図6では、縦軸はインピーダンス[Ω]、ESR(等価直列抵抗)[Ω]を示し、横軸は周波数[Hz]を示している。図6では、実製品の積層型コンデンサのインピーダンスの実測値をG1、ESRの実測値をG2で示し、本実施形態の等価回路におけるインピーダンスをG7、ESRをG8で示している。
図6に示すように、内部電極部5a〜5dにおいて抵抗部10a〜10dを備える等価回路では、グラフG7,G8で示されるように、周波数が1GHz以下の帯域において、実製品の積層型コンデンサの実測値(グラフG1,G2)と略同等の特性を得られており、周波数800MHz付近で生じるESRのピークもモデル化が図られている。周波数が1GHz以上の帯域において実測値と差異が生じている点について、実製品の積層型コンデンサでは、多数の内部電極が設けられており、内部電極間において高次の共振が生じている。本実施形態の等価回路では、内部電極部5a〜5dにより4層の内部電極を備えた構成となっているため、1次共振のみがモデル化されている。そのため、本実施形態の等価回路において内部電極部の数を増やすことにより、周波数が1GHz以上の帯域においても実測値に近づけることが可能となる。
以上説明したように、第2実施形態に係る等価回路では、抵抗部10a〜10dは、直列に接続されたインダクタンス素子Lh2〜Lh5と、抵抗素子Rh1〜Rh5とから構成されている。実製品の積層型コンデンサでは、高周波になるほど、表皮効果により導体の抵抗が増加する。本実施形態では、内部電極で生じる損失をより詳細に実現するために、抵抗部10a〜10dを、インダクタンス素子Lh2〜Lh5及び抵抗素子Rh1〜Rh5により構成している。これにより、表皮効果を考慮した等価回路を構成できる。したがって、高周波における抵抗成分が大きくなり、実製品の積層型コンデンサの特性に更に近似させることができる。
[第3実施形態]
続いて、第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る等価回路は、静電容量部7a〜7fのキャパシタンス素子C1〜C6に替えて静電容量回路12a〜12fを備える点で第1実施形態と異なっている。この等価回路において、内部電極部5a〜5dの構成は、第2実施形態と同様である。すなわち、内部電極部5a〜5dは、抵抗部10a〜10dを備えている。図7は、第3実施形態に係る等価回路の静電容量部の静電容量回路の構成を示す回路図である。
図7に示すように、静電容量回路12a〜12fは、キャパシタンス素子(第1容量素子)Cf1と、CR直列回路14a〜14eと、を備えている。CR直列回路14aは、キャパシタンス素子(第2容量素子)Cf2と、抵抗素子Rf2とが直列に接続されている。同様に、CR直列回路14b〜14eは、キャパシタンス素子Cf3〜Cf6と、抵抗素子Rf3〜Rf6とが直列に接続されている。CR直列回路14a〜14eは、1以上設けられており、本実施形態では、5個設けられている。CR直列回路の数は、設計に応じて適宜設定されればよい。
キャパシタンス素子Cf1とCR直列回路14a〜14eとは、並列に接続されている。詳細には、キャパシタンス素子Cf1は、その一端が端子15aに接続され、その他端が端子15bに接続されている。CR直列回路14aは、キャパシタンス素子Cf2の一端が端子15aに接続され、抵抗素子Rf2の他端が端子15bに接続されている。CR直列回路14b〜14eについても同様である。
図8は、図7に示す静電容量回路を備えた等価回路におけるインピーダンス及びESRの周波数特性のシミュレーション結果を示す図である。図8では、縦軸はインピーダンス[Ω]、ESR(等価直列抵抗)[Ω]を示し、横軸は周波数[Hz]を示している。図8では、実製品の積層型コンデンサのインピーダンスの実測値をG9、ESRの実測値をG10で示し、本実施形態の等価回路におけるインピーダンスをG11、ESRをG12で示している。
図8に示すように、静電容量回路12a〜12fを備える等価回路では、グラフG11,G12で示されるように、周波数が1GHzの以下の帯域において、実製品の積層型コンデンサの実測値(グラフG9,G10)と略同等の特性を得られている。実測値では、20MHz付近においてESRのピークが発生しているが、この等価回路においても、20MHz付近においてESRのピークが発生している。また、周波数が1MHz以下の帯域において、実製品の積層型コンデンサでは、誘電損失によりESRが周波数に反比例する特性を有しているが、この等価回路においても、実製品の積層型コンデンサと同様の特性が得られている。
以上説明したように、第3実施形態に係る等価回路では、静電容量部7a〜7fの静電容量回路12a〜12fは、キャパシタンス素子Cf1とCR直列回路14a〜14eとが並列に接続された構成を有している。このように静電容量回路12a〜12fを構成することにより、誘電損失を考慮することが可能となり、低周波側における静電容量の成分を大きく且つ抵抗成分を小さくできる。また、この等価回路では、内部電極で生じる損失をより詳細に実現するために、抵抗部10a〜10dを設けている。したがって、この等価回路では、内部電極において生じる表皮効果による損失と、誘電体によって生じる誘電体損の影響を考慮しているため、実製品の積層コンデンサの特性をより詳細にモデル化することができる。
[第4実施形態]
続いて、第4実施形態について説明する。図9は、第4実施形態に係る等価回路を示す図である。図9に示すように、等価回路20は、第1端子22a、第2端子22b、第3端子22c及び第4端子22dと、内部電極部23a〜23d、内部電極部24a〜24d、内部電極部26a〜26d及び内部電極部28a〜28dと、静電容量部29a〜29c、静電容量部30a〜30c、静電容量部32a〜32c、静電容量部34a〜34c及び静電容量部36a〜36cと、を備えている。
図9に示す等価回路20は、図10に示すように、誘電体層201が積層されていると共に直方体形状を成し、長手方向で対向する一対の端面202a,202b、幅方向で対向する一対の側面202c,202d及び高さ方向で対向する一対の主面202e,202fを有する素体202と、素体202内に配置された第1〜第4内部電極204a〜204dと、第1内部電極204a及び第3内部電極204cに接続され且つ素体202の端面202a,202bにそれぞれ配置された第1端子電極206a及び第3端子電極206cと、第2内部電極204b及び第4内部電極204dに接続され且つ素体202の側面202c,202dにそれぞれ配置された第2端子電極206b及び第4端子電極206dと、を備える貫通型コンデンサ200の等価回路である。第1端子22aは、第1端子電極206aに相当し、第2端子22bは、第2端子電極206bに相当する。第3端子22cは、第3端子電極206cに相当し、第4端子22dは、第4端子電極206dに相当する。
この貫通型コンデンサ200では、第1端子電極206a及び第3端子電極206cが第1内部電極204a及び第3内部電極204cを介して導通しており、第2端子電極206b及び第4端子電極206dが第2内部電極204b及び第4内部電極204dを介して導通しており、第1端子電極206a及び第3端子電極206cと第2端子電極206b及び第4端子電極206dとの間にて静電容量を有している。貫通型コンデンサ200は、第1端子電極206aと第3端子電極206cとの間に信号を通し、第2端子電極206bと第4端子電極206dを回路のグランドに接続して使用される。これにより、貫通型コンデンサ200では、第1端子電極206aと第3端子電極206cを通過する信号成分に含まれる高周波ノイズが第2端子電極206b及び第4端子電極206dを介してグランドに流れるため、第1端子電極206a及び第3端子電極206cを通過する高周波ノイズを除去できる。
内部電極部23a〜23d、内部電極部24a〜24d、内部電極部26a〜26d及び内部電極部28a〜28dは、貫通型コンデンサ200の内部電極204a〜204dを示している。内部電極部23a〜23d、内部電極部24a〜24d、内部電極部26a〜26d及び内部電極部28a〜28dは、それぞれ4つ設けられている。これは、貫通型コンデンサ200において、内部電極204a〜204dが4層配置されていることを示している。
内部電極部23a、内部電極部24a、内部電極部26a及び内部電極部28aは、第1内部電極204aに相当する。内部電極部23a及び内部電極部26aは、第1端子22a及び第3端子22cに接続されている。内部電極部23b、内部電極部24b、内部電極部26b及び内部電極部28bは、第2内部電極204bに相当する。内部電極部24b及び内部電極部28bは、第2端子22b及び第4端子22dに接続されている。
内部電極部23c、内部電極部24c、内部電極部26c及び内部電極部28cは、第3内部電極204cに相当する。内部電極部23c及び内部電極部26cは、第1端子22a及び第3端子22cに接続されている。内部電極部23d、内部電極部24d、内部電極部26d及び内部電極部28dは、第4内部電極204dに相当する。内部電極部24d及び内部電極部28dは、第2端子22b及び第4端子22dに接続されている。
内部電極部23aは、インダクタンス素子L11と、抵抗部R11と、を有している。インダクタンス素子L11と抵抗部R11とは、直列に接続されており、RL直列回路を構成している。内部電極部23bは、インダクタンス素子L12と、抵抗部R12と、を有している。内部電極部23cは、インダクタンス素子L13と、抵抗部R13と、を有している。内部電極部23dは、インダクタンス素子L14と、抵抗部R14と、を有している。
内部電極部24aは、インダクタンス素子L21と、抵抗部R21と、を有している。インダクタンス素子L21と抵抗部R21とは、直列に接続されており、RL直列回路を構成している。内部電極部24bは、インダクタンス素子L22と、抵抗部R22と、を有している。内部電極部24cは、インダクタンス素子L23と、抵抗部R23と、を有している。内部電極部24dは、インダクタンス素子L24と、抵抗部R24と、を有している。
内部電極部26aは、インダクタンス素子L31と、抵抗部R31と、を有している。インダクタンス素子L31と抵抗部R31とは、直列に接続されており、RL直列回路を構成している。内部電極部26bは、インダクタンス素子L32と、抵抗部R32と、を有している。内部電極部26cは、インダクタンス素子L33と、抵抗部R33と、を有している。内部電極部26dは、インダクタンス素子L34と、抵抗部R34と、を有している。
内部電極部28aは、インダクタンス素子L41と、抵抗部R41と、を有している。インダクタンス素子L41と抵抗部R41とは、直列に接続されており、RL直列回路を構成している。内部電極部28bは、インダクタンス素子L42と、抵抗部R42と、を有している。内部電極部28cは、インダクタンス素子L43と、抵抗部R43と、を有している。内部電極部28dは、インダクタンス素子L44と、抵抗部R44と、を有している。
図11(a)に示すように、抵抗部R11〜R14,R31〜R34のそれぞれは、抵抗素子Rh11〜Rh15と、インダクタンス素子Lh12〜Lh15と、を備えている。インダクタンス素子Lh12,Lh13,Lh14,Lh15は、この順番に直列に接続されている。インダクタンス素子Lh12の一端は、端子40aに接続されている。
抵抗素子Rh11は、その一端がインダクタンス素子Lh12の一端(端子40a)に接続され、その他端が端子40bに接続されている。抵抗素子Rh12は、その一端がインダクタンス素子Lh12の他端で且つインダクタンス素子Lh13の一端に接続され、その他端が端子40bに接続されている。抵抗素子Rh13は、その一端がインダクタンス素子Lh13の他端で且つインダクタンス素子Lh14の一端に接続され、その他端が端子40bに接続されている。抵抗素子Rh14は、その一端がインダクタンス素子Lh14の他端で且つインダクタンス素子Lh15の一端に接続され、その他端が端子40bに接続されている。抵抗素子Rh15は、その一端がインダクタンス素子Lh15の他端に接続され、その他端が端子40bに接続されている。2つのインダクタンス素子と1つの抵抗素子は、T型回路を構成している。
図11(b)に示すように、抵抗部R21〜R24,R41〜R44は、抵抗素子Rh21〜Rh25と、インダクタンス素子Lh22〜Lh25と、を備えている。インダクタンス素子Lh22,Lh23,Lh24,Lh25は、この順番に直列に接続されている。インダクタンス素子Lh22の一端は、端子42aに接続されている。
抵抗素子Rh21は、その一端がインダクタンス素子Lh22の一端(端子42a)に接続され、その他端が端子42bに接続されている。抵抗素子Rh22は、その一端がインダクタンス素子Lh22の他端で且つインダクタンス素子Lh23の一端に接続され、その他端が端子42bに接続されている。抵抗素子Rh23は、その一端がインダクタンス素子Lh23の他端で且つインダクタンス素子Lh24の一端に接続され、その他端が端子42bに接続されている。抵抗素子Rh24は、その一端がインダクタンス素子Lh24の他端で且つインダクタンス素子Lh25の一端に接続され、その他端が端子42bに接続されている。抵抗素子Rh25は、その一端がインダクタンス素子Lh25の他端に接続され、その他端が端子42bに接続されている。2つのインダクタンス素子と1つの抵抗素子は、T型回路を構成している。
ここで、貫通型コンデンサ200の内部電極204a〜204dは、長方形形状を呈している。そのため、内部電極204a〜204dの長手方向と幅方向とでは、回路パラメータが異なる。本実施形態では、内部電極部23a〜23d及び内部電極部26a〜26dは、内部電極の長手方向(横方向)に対する回路パラメータである。内部電極部24a〜24d及び内部電極部28a〜28dは、内部電極の幅方向(縦方向)に対する回路パラメータである。
静電容量部29a〜29c、静電容量部30a〜30c、静電容量部32a〜32c、静電容量部34a〜34c及び静電容量部36a〜36cは、貫通型コンデンサの静電容量を示している。静電容量部29a、静電容量部30a、静電容量部32a、静電容量部34a及び静電容量部36aは、第1内部電極と第2内部電極との静電容量を示している。静電容量部29b、静電容量部30b、静電容量部32b、静電容量部34b及び静電容量部36bは、第2内部電極と第3内部電極との静電容量を示している。静電容量部29c、静電容量部30c、静電容量部32c、静電容量部34c及び静電容量部36cは、第3内部電極と第4内部電極との静電容量を示している。
各静電容量部29a〜29cは、静電容量回路C11,C12,C13をそれぞれ有している。各静電容量部30a〜30cは、静電容量回路C21,C22,C23をそれぞれ有している。各静電容量部32a〜32cは、静電容量回路C31,C32,C33をそれぞれ有している。各静電容量部34a〜34cは、静電容量回路C41,C42,C43をそれぞれ有している。各静電容量部36a〜36cは、静電容量回路C51,C52,C53をそれぞれ有している。
静電容量回路C11〜C13、静電容量回路C21〜C23、静電容量回路C31〜C33、静電容量回路C41〜C43及び静電容量回路C51〜53は、図7に示す静電容量回路12aと同様の構成を有している。すなわち、静電容量回路C11〜C13、静電容量回路C21〜C23、静電容量回路C31〜C33、静電容量回路C41〜C43及び静電容量回路C51〜53のそれぞれは、キャパシタンス素子Cf1と、CR直列回路14a〜14eと、を備えている。CR直列回路14aは、キャパシタンス素子Cf2と、抵抗素子Rf2とが直列に接続されている。同様に、CR直列回路14b〜14eは、キャパシタンス素子Cf3〜Cf6と、抵抗素子Rf3〜Rf6とが直列に接続されている。
本実施形態では、内部電極部23a〜23d及び内部電極部26a〜26dにおいて、インダクタンス素子L11〜L14及びL31〜L34間に相互インダクタンスが設定されている。内部電極部24a〜24d及び内部電極部28a〜28dにおいて、インダクタンス素子L21〜L24及びL41〜L44間に相互インダクタンスが設定されている。各インダクタンス素子間の結合係数は、実製品の貫通型コンデンサの特性に応じて適宜設定される。
図12は、図9に示す等価回路におけるSパラメータの周波数特性のシミュレーション結果を示す図である。図12では、縦軸はSパラメータ[dB]を示し、横軸は周波数[Hz]を示している。図12では、実製品の貫通型コンデンサのSパラメータの実測値をG13で示し、本実施形態の等価回路20におけるSパラメータをG14で示している。
ここで、Sパラメータの測定方法について説明する。図13は、Sパラメータの測定回路を示す図である。図13では、等価回路20を貫通型コンデンサに適用した場合について示している。図13に示すように、貫通型コンデンサのSパラメータを測定する場合には、第1端子22aをポートP1に接続し、第3端子22cをポートP2に接続する。第2端子22b及び第4端子22dは、グランドに接続する。Sパラメータとして、ポートP1からポートP2への伝送特性S21を測定した。結果を図12に示す。
図12に示すように、等価回路20では、グラフG14に示されるように、極小値において実製品の貫通型コンデンサ(グラフG13)と多少の差異はあるものの、実製品の貫通型コンデンサと近似する伝送特性が得られている。
図14は、図9に示す等価回路におけるインピーダンス及びESRの周波数特性のシミュレーション結果を示す図である。図14では、縦軸はインピーダンス[Ω]、ESR[Ω]を示し、横軸は周波数[Hz]を示している。図14では、実製品の貫通型コンデンサのインピーダンスの実測値をG15、ESRの実測値をG16で示し、本実施形態の等価回路20におけるインピーダンスをG17、ESRをG18で示している。
ここで、貫通型コンデンサのインピーダンス及びESR特性の測定方法について説明する。図15は、インピーダンス及びESRの測定回路を示す図である。図15では、等価回路20を貫通型コンデンサに適用した場合について示している。図15に示すように、インピーダンス及びESRを測定する場合には、第1端子22a及び第3端子22cを測定端子mcに接続し、第2端子22b及び第4端子22dをグランドに接続する。測定端子mcとグランドとの間のインピーダンス及びESRを測定した。
図14に示すように、等価回路20では、グラフG17,G18で示されるように、1GHz以下の周波数帯域において、実製品の貫通型コンデンサの実測値(グラフG15,G16)に近似する特性を得られている。
以上説明したように、本実施形態に係る等価回路20は、貫通型コンデンサ200の構成を有している。貫通型コンデンサ200では、第2端子電極206b及び第4端子電極206dをグランドに接続すると、第2端子電極206b及び第4端子電極206dに接続された第2内部電極204b及び第4内部電極204dでは、第2端子電極206bと第4端子電極206dとに向かって、同じ大きさで互いに逆方向のノイズ電流が流れる。このとき、第2端子電極206bに向かう電流により生じる磁束と、第4端子電極206dに向かう電流により生じる磁束とは、互いに打ち消し合う。これにより、貫通型コンデンサ200では、ESL(等価直列インダクタンス)を低減することができる。本実施形態に係る等価回路20は、貫通型コンデンサ200の構成をモデル化しており、インダクタンス素子L11〜L14,L21〜L24,L31〜L34,L41〜L44間において相互インダクタンスを設定している。これにより、等価回路20では、貫通型コンデンサ200と同等の特性を得ることができ、貫通型コンデンサ200における磁束の打ち消しの効果のモデル化を図れる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、4層の内部電極を有する積層型コンデンサ(貫通型コンデンサ)の構成を一例に説明したが、内部電極の数は設計に応じて適宜設定されればよい。