以下に、本発明に係る計器装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係る計器装置の実施形態の1つを図1から図9に基づいて説明する。
本実施形態においては、車両の車室内に搭載される車両用計器装置を計器装置の一例として挙げる。例えば、車両用計器装置1は、インスツルメントパネル内やダッシュボード上に配置される。図1の符号1は、その車両用計器装置の一例を示している。この図1は、その車両用計器装置1における各構成を表した分解斜視図である。尚、この図1においては、図示の便宜上、その各構成の内の要部のみを図示している。また、この図1においては、図示の便宜上、第1ケース部材CA1と第2ケース部材CA2と中間ケース63と基板70について一部分のみを示している。
車両用計器装置1は、少なくとも1つの計器10と、その計器10を内部に収容して固定する収容部材(ケースCA)と、を備える。この例示の車両用計器装置1は、車両情報等の計測結果を示す複数種類の計器10をケースCAの内部に備えるものであるが、説明の便宜上、図2に示す1つの計器10を例に挙げて説明する。この例示では、計測結果としての車速を表示する速度計を計器10の具体例として挙げる。但し、以下に詳述する本実施形態の計器10は、計測対象が異なる他の計器にも適用可能である。他の計器としては、例えば、動力源(例えば内燃機関等の機関)の回転数を計測結果として示す回転計、電気自動車の電力消費等を計測結果として示すパワーメータなどが考えられる。尚、車両用計器装置1には、図示しないが、警告灯等の車両状態を示す情報の表示領域、車両の走行状態を示す表示領域、カーナビゲーションシステムにおける簡易的な案内情報を示す表示領域など、計器10以外の様々な情報が表示されるものもある。
計器10は、図1に示すように、指針20と、表示板30と、凸状目盛り40と、導光体50と、照明装置60と、基板70と、を備える。
指針20は、図1及び図2に示すように、計測結果に応じて駆動装置(図示略)が回転させる針である。この例示の指針20は、車速センサや車輪速センサ等の車速検出装置(図示略)の検出信号に応じて回転する。この指針20は、1つの針部材の成形体であってもよく、複数の部材の集合体であってもよい。例えば、複数の部材で構成する場合には、裏側(車室内側とは逆側)の部材の表面にホットスタンプ等で加飾加工を施し、その加飾層の色が車室内側で目視できるように構成してもよい。
この指針20の駆動装置は、図示しない回転機(少なくとも電動機として動作可能なもの)と、この回転機の出力軸に歯車群(図示略)等を介して連結された回転軸Pmと、を備える。例えば、この駆動装置は、基板70に形成された収容部71に後述する第2ケース部材CA2側から収容され、この基板70を介してケースCAに固定される。回転軸Pmは、その収容部71の貫通孔71a(図3)を介して、この計器10の目視者たる運転者側{つまり目視者の居る位置の側(以下、「目視位置側」という。)であって車室内側}に向けて延在させる。この回転軸Pmには、指針20の回転軸Pnが接続される。その回転軸Pnの延在方向は、回転軸Pmの軸線方向に一致させている。駆動装置は、車速検出装置の検出信号に応じて回転軸Pmを回転させることによって、この回転軸Pmと共に指針20を計測結果(計測した車速)に応じた位置まで回転させる。基板70には、車両用計器装置1における計器10等の各種機器の駆動回路が形成されている。その駆動回路には、電源(図示略)からの電力が供給される。尚、図3においては、図示の便宜上、指針20の針部分を省略している。
ここで、以下においては、特に言及しない限り、その指針20の回転中心軸R(回転軸Pn)に沿う方向を軸線方向といい、指針20の回転中心軸R周りの方向を周方向という。また、その軸線方向については、目視者である運転者側(目視位置側である車室内側)を前方といい、運転者側(車室内側)とは反対側を後方という。このため、以下においては、或る物体を境にした運転者側(車室内側)を前又は表と定義し、その物体を境にした運転者側(車室内側)とは反対側を後ろ又は裏と定義する。また、指針20の回転中心軸Rに直交する方向については、径方向といい、その中でも、内方に向けた側を径方向内側、外方に向けた側を径方向外側という。また、以下においては、環状を表す外形線の内、径方向内側の内周縁側の線を内周縁線といい、径方向外側の外周縁側の線を外周縁線という。更に、その内周縁線には、指針20の回転中心軸Rを中心にして周囲に配置された部材や部位を表す外形線の内の径方向内側の線のことも含む。また、外周縁線には、その部材や部位を表す外形線の内の径方向外側の線のことも含む。
尚、指針20は、その画像を液晶モニタ等の表示部(図示略)に表示させるものであってもよい。
表示板30は、指針20によって指し示される指標部を目視者に向けて表示したものである。その指標部は、円板状に成形された主要部分31に設ける。その円板状の主要部分31の中央には、同心の貫通孔32を形成する。その貫通孔32には、指針20の回転軸Pnが前側から挿入される。このため、その主要部分31と貫通孔32の中心は、指針20の回転中心軸R上に存在させることが望ましい。
指標部とは、計測結果を表したものである。この指標部としては、計測結果を数字や文字で表した第1指標部33aと、計測結果を目盛り(例えば、線、矩形又は台形の目盛り)で表した第2指標部33bと、が考えられる。この例示の表示板30は、図2に示すように、車速を数字で表した第1指標部33aと、車速を目盛りで表した第2指標部33bと、が設けられている文字板である。その第1指標部33aと第2指標部33bは、それぞれに指針20の回転中心軸Rを中心にして周方向に間隔を空けて複数設ける。この例示の第1指標部33aと第2指標部33bは、周方向において等間隔に配置している。また、この例示では、表示板30の前面に文字情報「km/h」等の文字情報部34も設けられている。
例えば、この表示板30は、光を透過させない合成樹脂等の高分子材料で成形することができる。この場合には、表示板30の前面(指標部表示面)に所望の色の指標部(第1指標部33a、第2指標部33b)や文字情報部34を印刷すればよい。また、この表示板30は、光を透過させる材料(以下、「光透過性材料」という。)で成形することができる。光透過性材料とは、透明又は半透明の材料(例えば合成樹脂等の高分子材料)である。この場合には、例えば、黒色や濃紺色等の暗色系のインクによって、透明の材料からなる表示板30の前面に、指標部や文字情報部34の形状を中抜きした印刷を施すことで、後述する表示板30の裏側の導光体50から出射された光が中抜き部分を透過し、目視者が指標部や文字情報部34の情報を認識することができる。
凸状目盛り40とは、指針20によって指し示される目盛りであって、前方(目視者側)に向けて突出させた立体状の目盛りである。この凸状目盛り40は、周方向に間隔を空けて表示板30の前方に複数配置する。この凸状目盛り40は、表示板30の第2指標部33bと同じように、計測結果(車速)を表すものであり、周方向において等間隔に配置している。この凸状目盛り40と第2指標部33bは、図2に示すように、周方向において交互に配置する。この例示では、各凸状目盛り40と表示板30の各第1指標部33aとがそれぞれに1つずつ対を成しており、その対毎に同じ計測結果(車速)を表している。
この凸状目盛り40は、光透過性材料で成形されている。但し、この凸状目盛り40は、後述する後方の照明装置60で光らせずとも視認できるように構成する場合、必ずしも光透過性を有せずともよく、周囲(表示板30等)との識別が可能な材料で成形したり、周囲との識別が可能な色の塗料又はインクを塗布したりしてもよい。
凸状目盛り40は、この例示において全て同じ形状に成形するが、異なる形状のものが混在していてもよい。この凸状目盛り40は、図4及び図5に示すように、突出方向における端面(前面であって、以下、「突出端面」という。)41を有する。図4は、図2に示す凸状目盛り40の拡大図である。図5は、図3に示す凸状目盛り40の拡大図である。その突出端面41は、1つの平面で構成してもよく、複数の平面の組み合わせ又は少なくとも1つずつの平面と曲面の組み合わせで構成してもよい。但し、この突出端面41の内の目盛り可視面41aについては、1つ又は複数の平面で構成する。尚、図4に示す2箇所のクロスハッチングは、その目盛り可視面41aの領域を説明するための図示の便宜上のものである。また、符号41bが指し示すハッチングについても、後述する連接面部
41bの領域を説明するための図示の便宜上のものである。
その目盛り可視面41aとは、突出端面41の内、車両用計器装置1として組み立てられた後に目視者による視認が可能な領域のことであり、突出端面41の内の後述する環状部(環状の見返し)81よりも径方向内側の領域のことである。この目盛り可視面41aは、径方向内側に向かうにつれて突出量が小さくなる1つの傾斜面又は傾斜角の異なる複数の当該傾斜面を径方向に繋げた複合傾斜面で構成する。目盛り可視面41aを1つの傾斜面で構成する場合、この目盛り可視面41aは、例えば、径方向内側を上底とする台形状、径方向に延在させた矩形状又は径方向外側を底辺とする二等辺三角形に形成する。また、目盛り可視面41aを複数の傾斜面で構成する場合、この目盛り可視面41aは、例えば、最も径方向内側の傾斜面を同様の台形状、矩形状又は二等辺三角形に形成し、残りの傾斜面を同様の台形状又は矩形状に形成する。
具体的に、この例示の目盛り可視面41aは、後述する環状部81の環状可視面81a(見返し81の見返し可視面81a)の内周縁線を起点とし、径方向内側に向かうにつれて突出量が小さくなる第1傾斜面41a1と、この第1傾斜面41a1の径方向内側の端部を起点とし、径方向内側に向かうにつれて突出量が小さくなる第2傾斜面41a2と、によって構成されている。例えば、軸線方向に直交する平面を基準にした場合、この例示の第2傾斜面41a2は、第1傾斜面41a1よりも傾斜角が大きくなっている。ここで、この例示の凸状目盛り40は、環状可視面81aの内周縁線よりも径方向外側に、目盛り可視面41aに連なる当該目盛り可視面41aと同じ向きで且つ同じ傾斜角の連接面部41bを有している。つまり、第1傾斜面41a1には、環状可視面81aの内周縁線よりも径方向外側に、この第1傾斜面41a1と同じ向きで且つ同じ傾斜角の連接面部41bが繋がっている。その第1傾斜面41a1は、上記の如き台形状に形成する。この例示では、その連接面部41bを突出端面41における径方向外側の端部まで延在させ、かつ、突出端面41を第1傾斜面41a1と同一形状の台形状に形成している。また、第2傾斜面41a2は、第1傾斜面41a1の上底を下底とした上記の如き台形状に形成する。その第1傾斜面41a1と第2傾斜面41a2は、それぞれに等脚台形であり、高さに対する上底と下底との比を同じ大きさにしている。つまり、この例示では、目盛り可視面41aや突出端面41を前側から見た場合、これらの形状が比率の異なる同一形状の等脚台形になっている。
ここで、見栄えの向上を考慮した場合には、その第1傾斜面41a1と第2傾斜面41a2との境界線があまり目立たない方が好ましい。このため、例えば、この目盛り可視面41aにおいては、第2傾斜面41a2を目盛り可視面41aの内の径方向内側の端部のみに形成してもよい。換言するならば、その第2傾斜面41a2は、第1傾斜面41a1と後述する第1壁面42との間の面取り加工によって形成されたものであってもよい。また、この目盛り可視面41aにおいては、第1傾斜面41a1と第2傾斜面41a2とを曲面で繋ぐように形成してもよい。
更に、この凸状目盛り40は、前方に立設させた立設面であり、突出端面41におけるそれぞれの外形線に繋げる複数の壁面を有する。その壁面としては、径方向内側の第1壁面42と、径方向外側の第2壁面43と、周方向における一方の第3壁面(前側から見て時計回り方向に存在している壁面)44と、周方向における他方の第4壁面(前側から見て反時計回り方向に存在している壁面)45と、を有する。
ここで、この例示の第1壁面42は、軸線方向に対して突出端面41側を径方向外側に向けて僅かに傾けた傾斜面とする。また、第2壁面43は、軸線方向に対して突出端面41側を径方向内側に向けて僅かに傾けた第1傾斜面43aと、軸線方向に対して導光体50の裏面側を径方向内側に向けて僅かに傾けた第2傾斜面43bと、を有する。また、第3壁面44は、軸線方向に対して突出端面41側を反時計回り方向に僅かに傾けた傾斜面とする。また、第4壁面45は、軸線方向に対して突出端面41側を時計回り方向に僅かに傾けた傾斜面とする。見栄えを向上させるためには、目盛り可視面41aを軸線方向に投影した仮想空間内で第1から第4の壁面42−45をそれぞれに立設させることが望ましい。しかしながら、この凸状目盛り40は、後述するように導光体50と一体成形しており、成形型からの例えば軸線方向の型抜き作業性を考慮した場合、この例示のように第1から第4の壁面42−45を傾斜させることが望ましい。このため、その第1から第4の壁面42−45は、型抜き作業性を損なわない範囲内で、軸線方向に対する傾斜角を最も小さくする。これにより、この凸状目盛り40は、型抜き作業性を確保しつつ、見栄えの低下を抑えることができる。
第1壁面42は、突出端面41の外形線の内の第2傾斜面41a2の上底と繋がる立設面である。この第1壁面42は、突出量が小さいので、1つの平面又は曲面で構成することが望ましい。
第2壁面43は、車両用計器装置1として組み立てられた状態において、環状部(環状の見返し)81の後ろに隠れており、目視できないので、型抜き作業性を確保できるのであれば如何様な形状に形成してもよい。
第3及び第4の壁面44,45は、1つの平面で構成してもよく、複数の平面の組み合わせ又は少なくとも1つずつの平面と曲面の組み合わせで構成してもよい。第3壁面44は、突出端面41の外形線の内の一方の脚に相当する部分に繋がる立設面である。この第3壁面44は、目盛り可視面41aの外形線の内の一方の脚に相当する部分に繋がる立設面を有する。その立設面は、第1傾斜面41a1の一方の脚と第2傾斜面41a2の一方の脚とに繋がっている1つの平面である。第4壁面45は、突出端面41の外形線の内の他方の脚に相当する部分に繋がる立設面である。この第4壁面45は、目盛り可視面41aの外形線の内の他方の脚に相当する部分に繋がる立設面を有する。その立設面は、第1傾斜面41a1の他方の脚と第2傾斜面41a2の他方の脚とに繋がっている1つの平面である。この例示では、その目盛り可視面41aと繋がっている立設面を径方向外側に延在させることによって、それぞれに1つの平面からなる第3壁面44と第4壁面45を形成している。
導光体50は、光透過性材料で成形された板状のプリズムである。この導光体50は、その主要部分を表示板30と同等の直径の円板状に成形する。この導光体50は、表示板30の裏側に配置する。この導光体50の中央には、同心の貫通孔51を形成する。その貫通孔51には、指針20の回転軸Pnが前側から挿入される。このため、この導光体50の主要部分と貫通孔51の中心は、指針20の回転中心軸R上に存在させることが望ましい。
この例示では、凸状目盛り40と導光体50とを一体成形する。その凸状目盛り40は、導光体50の前面における外周縁部から前方に向けて突出させる。このため、表示板30の外周縁部には、各凸状目盛り40に1つずつ対応させた凸状目盛り40の挿入部35を形成する。つまり、表示板30は、各凸状目盛り40を目視者側に向けて突出させる挿入部35が当該凸状目盛り40毎に備えられた板状部材であるといえる。その挿入部35は、凸状目盛り40を表示板30の前面よりも目視者側に突出させる場所である。各挿入部35は、各凸状目盛り40を挿入し得る範囲内で、凸状目盛り40の各壁面(第1から第4の壁面42−45)とのそれぞれの間隔を狭めることが見栄えを向上させる上で望ましい。この挿入部35としては、例えば、貫通孔又は径方向内側を底部とする溝を形成すればよい。
照明装置60は、光透過性を有する凸状目盛り40や光透過性材料で成形された表示板30{つまり光透過性を有する指標部(第1指標部33a、第2指標部33b)や文字情報部34}に光を伝えるためのものである。即ち、ここで説明する照明装置60は、凸状目盛り40や表示板30の指標部及び文字情報部34が光透過性を有する場合に用意される。この照明装置60としては、例えば、導光体50の裏側に向けて光を出射するものもあれば、導光体50や凸状目盛り40の径方向外側部分に向けて光を出射するものもある。この例示では、導光体50の裏側に照明装置60を配置し、導光体50の裏側に向けて光を出射する。
この照明装置60は、光源61と拡散板62とを備える。この照明装置60においては、導光体50の裏側に拡散板62を配置し、拡散板62の裏側に光源61を配置する。つまり、この照明装置60においては、光源61の出射光を拡散板62の裏面に向けて出射させ、拡散板62を透過した入射光を導光体50の裏面に向けて出射させる。この照明装置60においては、その光源61と拡散板62との間に中間ケース63を配置している。
光源61は、その形態により、1つ又は複数配置する。この例示の光源61は、例えば、白色光、赤色光、青色光、緑色光等の明色系の光を発するLED(発光ダイオード)である。この光源61は、凸状目盛り40や表示板30の指標部の配置に合わせて、周方向に間隔を空けて基板70上に複数配置する。また、この光源61は、表示板30の文字情報部34の配置に合わせて設ける。この光源61は、イグニッションがオフのときに停止して、光の出射を止め(光源オフ)、イグニッションがオンのときに動作して、光を出射する(光源オン)。
拡散板62は、光源61からの入射光を減光及び散光させ、その減光及び散光させられた光を導光体50の裏面に向けて出射させる。この拡散板62は、光透過性材料で成形する。また、この拡散板62は、その主要部分を表示板30や導光体50と同等の直径の円板状に成形する。この拡散板62の中央には、同心の貫通孔62aを形成する。その貫通孔62aには、指針20の回転軸Pnが前側から挿入される。このため、この拡散板62の主要部分と貫通孔62aの中心は、指針20の回転中心軸R上に存在させることが望ましい。
中間ケース63は、導光体50と拡散板62とを収容する機能と共に、図示しない警告灯などに光源64の光を導くテルテールケースとしての機能を有している。この中間ケース63は、合成樹脂等の高分子材料で成形する。この中間ケース63には、導光体50と拡散板62とを収容する円形の収容部63aが形成されている。その収容部63aの内方には、前方に向かうにつれて径の大きくなる円錐部63bが形成されている。円錐部63bは、その中心を指針20の回転中心軸Rに一致させている。この円錐部63bの前端面の中央には、同心の貫通孔63cを形成する。その貫通孔63cには、指針20の回転軸Pnが前側から挿入される。このため、この貫通孔63cの中心は、指針20の回転中心軸R上に存在させることが望ましい。
この計器10は、図3に示すように、ケースCAの内部に収容され、この内部に固定されて車両用計器装置1の一部をなす。ケースCAは、前側に配置される第1ケース部材CA1と、後側に配置される第2ケース部材CA2と、を備えている。その第1ケース部材CA1と第2ケース部材CA2は、互いに爪部等のロック機構や螺子部材等で固定する。計器10は、その第1ケース部材CA1と第2ケース部材CA2とによって挟み込まれた状態で、第1ケース部材CA1と第2ケース部材CA2とによって形成された内部空間に配置される。
例えば、第2ケース部材CA2には、基板70が前側から配置され、爪部等のロック機構や螺子部材等で固定される。そして、この第2ケース部材CA2には、中間ケース63が基板70を覆うように前側から配置され、爪部等のロック機構や螺子部材等で固定される。
その中間ケース63の収容部63aには、拡散板62と導光体50がその順番で収容される。ここで、拡散板62の主要部分の外周縁部には、係合爪部62bや二股の位置決め爪部62c等が形成されている。また、導光体50の主要部分の外周縁部には、係合爪部52、位置決め孔部53や二股の位置決め爪部54等が形成されている。それぞれの係合爪部62b,52は、収容部63aにおける係合凹部63dに係合し、その収容部63aに拡散板62と導光体50を保持させる。一方、位置決め爪部62cは、その溝部分が収容部63aの位置決め凸部63eに係合し、その収容部63a内の所定の位置に拡散板62を位置決めする。また、導光体50については、位置決め孔部53を収容部63aの位置決め凸部63fに係合させると共に、位置決め爪部54の溝部分を収容部63aの位置決め凸部63gに係合させることによって、収容部63a内の所定の位置に位置決めする。
表示板30は、その導光体50を前側から覆うように配置する。この表示板30の主要部分31の外周縁部には、位置決め溝部31aや位置決め孔部31b等が形成されている。ここで、上記の位置決め凸部63f,63gは、中間ケース63の収容部63aの周囲に存在している前面よりも前方に突出させている。このため、この表示板30については、位置決め溝部31aを位置決め凸部63fに係合させると共に、位置決め孔部31bを位置決め凸部63gに係合させることによって、中間ケース63の前面における所定の位置に位置決めすることができる。
第1ケース部材CA1は、表示板30が中間ケース63に取り付けられている状態で第2ケース部材CA2に固定する。
指針20は、表示板30の前側から各貫通孔32,51,62a,63cに回転軸Pnを挿入し、駆動装置の回転軸Pmに接続する。この指針20は、第1ケース部材CA1と第2ケース部材CA2とを固定した後で回転軸Pmに接続してもよく、第1ケース部材CA1と第2ケース部材CA2とを固定する前に回転軸Pmに接続してもよい。
ここで、この車両用計器装置1には、計器10の外周縁部を前側から覆う環状部81を設けている。その環状部81は、表示板30の外周縁部と各凸状目盛り40の径方向外側部分とを前側から覆うものであり、円環状に形成する。このため、環状部81の径方向内側の開口からは、表示板30と凸状目盛り40における環状部81で前側から覆われていない部分と指針20とが車室内側に露出される。つまり、表示板30においては、環状部81で前側から覆われた外周縁部よりも径方向内側の部分が露出しているので、指標部(第1指標部33a、第2指標部33b)や文字情報部34が車室内側に露出される。また、凸状目盛り40においては、環状部81で前側から覆われていない目盛り可視面41a等が車室内側に露出される。
この環状部81は、目視者が前側から目視可能な環状の可視面(以下、「環状可視面」という。)81aを有する。その環状可視面81aは、目盛り可視面41aと同じ向きに傾斜させた環状の1つの傾斜面として形成する。つまり、この環状可視面81aとは、径方向内側に向かうにつれて、例えば表示板30の前面からの前方に向けた突出量が小さくなる環状の傾斜面のことである。例えば、軸線方向に直交する平面を基準にした場合、この例示の環状可視面81aは、目盛り可視面41aよりも傾斜角が大きくなっている。
この環状部81は、具体的に、ケースCA(第1ケース部材CA1)に一体成形した環状の見返しとして構成してもよく、ケースCA(第1ケース部材CA1)とは別体の環状部材として構成してもよい。後者の場合には、その環状部材を第1ケース部材CA1に例えば嵌合固定する。この例示では、そのような環状部81として、前者の見返し81を設けている。
このように、この車両用計器装置1においては、各凸状目盛り40の目盛り可視面41aと環状部81の環状可視面81a(見返し81の見返し可視面81a)とを同一方向に向けて傾斜させている。このため、この車両用計器装置1は、各凸状目盛り40と環状部81との一体感が増し、見栄えが向上する。特に、この車両用計器装置1では、目視者側から見て、環状部81の環状可視面81aが各凸状目盛り40の径方向外側部分を前側から覆うことで、各凸状目盛り40の目盛り可視面41aの外周縁線と環状可視面81aにおける内周縁線とを一致させ、各凸状目盛り40の目盛り可視面41aと環状可視面81aとの間の境界線や段差、切れ目を極力減らしているので、各凸状目盛り40と環状部81との一体感が更に増しており、見栄えの更なる向上が可能になる。
ここで、例えば、表示板30と凸状目盛り40と導光体50は、それぞれに黒色や濃紺色等の暗色系の光透過性材料で成形する。また、ここでは、例えば透明の材料で成形された表示板30の前面に暗色系の前述した色印刷を設けると共に、凸状目盛り40と導光体50を暗色系の光透過性材料で成形してもよい。これらのように構成することによって、光源オフ時には、前方から凸状目盛り40に入射した外部光の反射光によって、凸状目盛り40が黒く見える。このため、光源オフ時には、凸状目盛り40の実像が見え難くなる。一方、光源オン時には、光源61からの出射光が拡散板62を介して導光体50に入射し、その入射光が凸状目盛り40を透過するので、凸状目盛り40が光る。よって、光源61がオフからオンになったときには、凸状目盛り40が明確に目視できるようになるの
で、この凸状目盛り40の視認性の向上と共に、見栄えが向上する。このように、この車両用計器装置1においては、光源オン時と光源オフ時とで凸状目盛り40の見栄えを向上させることができる。
その光源オン時には、この計器10の表示板30の指標部(第1指標部33a、第2指標部33b)及び文字情報部34と凸状目盛り40とが照明装置60から出射される光の色に見える。つまり、表示板30の指標部及び文字情報部34と凸状目盛り40は、光源オン時に、光源61の出射光の色と拡散板62の色との組み合わせに応じた色に見える。このため、この表示板30の指標部及び文字情報部34や凸状目盛り40の光源オン時における所望の色は、その組み合わせを変えることによって実現することができる。例えば、ここでは、光源61に白色光を出射させ、拡散板62を白色系の半透明の材料で成形する。これにより、光源オン時には、表示板30の指標部及び文字情報部34や凸状目盛り40が白く光って見える。また、その所望の色は、例えば、所望の色からなるフィルム等の有色の光透過性部材を導光体50と拡散板62との間や表示板30と導光体50との間に配置することによって実現してもよい。例えば、表示板30の指標部は、指標部と導光体50との間にオレンジ色のフィルムを配置することによって、光源オン時にオレンジ色に光って見える。
更に、この車両用計器装置1においては、各凸状目盛り40と環状部81における少なくとも環状可視面81a(見返し81における少なくとも見返し可視面81a)を同系色に構成することが望ましい。例えば、上記の例示に合わせるのであれば、環状部81における少なくとも環状可視面81aは、各凸状目盛り40と同様の暗色系にする。この環状可視面81aの色は、材料そのものの色であってもよく、塗布された塗料の色であってもよい。これにより、この車両用計器装置1では、光源オフ時に各凸状目盛り40と環状部81とが目視者側から見て同系色になっており、各凸状目盛り40と環状部81との一体感が増すことになるので、光源オフ時の見栄えが向上する。一方、光源オン時の一体感と見栄えの向上を求める場合には、凸状目盛り40の光源オン時の色に合わせて、環状部81における少なくとも環状可視面81aの色を設定すればよい。
また更に、この車両用計器装置1には、環状部(見返し)81の外周縁部に、環状部81の説明で例示した後者の環状部材とは異なる環状部材(リング部材)82を設ける。その環状部材82は、合成樹脂等の高分子材料又はアルミニウム等の金属材料によって成形し、両面テープ(図示略)等で環状部(見返し)81の外周縁部に固定する。
この環状部材82は、環状部81の外周縁部を前側から覆うと共に、目視者側から見て環状可視面81aの外周縁線に一致させた内周縁線を有する。この環状部材82は、更に、その内周縁線を起点とした径方向外側に、目視者が前側から目視可能な環状の可視面(環状可視面)82aを有する。その環状可視面82aは、目盛り可視面41a及び環状部81の環状可視面81a(見返し81の見返し可視面81a)と同じ向きに傾斜させた環状の1つの傾斜面として形成する。つまり、この環状部材82の環状可視面82aとは、径方向内側に向かうにつれて、例えば表示板30の前面からの前方に向けた突出量が小さくなる環状の傾斜面のことである。例えば、軸線方向に直交する平面を基準にした場合、この例示における環状部材82の環状可視面82aは、環状部81の環状可視面81a(見返し81の見返し可視面81a)よりも傾斜角が小さくなっている。
このように、この車両用計器装置1においては、各凸状目盛り40の目盛り可視面41aと環状部81の環状可視面81a(見返し81の見返し可視面81a)だけでなく、環状部材82の環状可視面82aについても同一方向に向けて傾斜させている。このため、この車両用計器装置1は、環状部材82を設けた場合に、各凸状目盛り40と環状部81と環状部材82との一体感が増し、見栄えが向上する。特に、この車両用計器装置1では、目視者側から見て、環状部81の環状可視面81a(見返し81の見返し可視面81a)が各凸状目盛り40の径方向外側部分を前側から覆い、かつ、環状部材82の環状可視面82aが環状部81の外周縁部を前側から覆っている。従って、この車両用計器装置1では、目視者側から見て、各凸状目盛り40の目盛り可視面41aと環状可視面81aとの間の境界線や段差、切れ目が極力減らされ、かつ、環状部81の環状可視面81aと環状部材82の環状可視面82aとの間の境界線や段差、切れ目が極力減らされるので、各凸状目盛り40と環状部81と環状部材82との一体感が更に増し、見栄えの更なる向上が可能になる。
この車両用計器装置1においては、各凸状目盛り40と環状部81における少なくとも環状可視面81a(見返し81における少なくとも見返し可視面81a)を同系色に構成するだけでなく、環状部材82における少なくとも環状可視面82aについても各凸状目盛り40等と同系色に構成してもよい。これにより、この車両用計器装置1では、光源オフ時に各凸状目盛り40と環状部81と環状部材82とが目視者側から見て同系色になっており、各凸状目盛り40と環状部81と環状部材82との一体感が増すことになるので、光源オフ時の見栄えが向上する。一方、光源オン時の一体感と見栄えの向上を求める場合には、凸状目盛り40の光源オン時の色に合わせて、環状部81における少なくとも環状可視面81aの色と環状部材82における少なくとも環状可視面82aの色を設定すればよい。尚、この車両用計器装置1においては、環状部材82における少なくとも環状可視面82aの色を各凸状目盛り40と環状部81における少なくとも環状可視面81aとは別系等の色にすることで、同一方向に傾斜させた一体感による見栄えの向上効果と共に、商品性を高めることもできる。
ところで、環状部(見返し)81は、各凸状目盛り40の突出端面41の径方向外側部分を前側から覆うものである。このため、周方向で隣り合う凸状目盛り40の間においては、環状部81の内周縁部と表示板30の前面との間に隙間ができてしまう。そこで、環状部81の内周縁部には、周方向で隣り合うそれぞれの凸状目盛り40の間に、表示板30の前面に向けて突出させた突出片部83を設ける(図2、図6)。その突出片部83は、環状部81を軸線方向に投影した仮想空間内に配置されるよう軸線方向へ突出させてもよく、その仮想空間よりも径方向内側に突出させるよう環状部81の環状可視面81aと同一方向に傾斜させてもよい。この例示では、環状部81についての成形型からの軸線方向の型抜き作業性と見栄えを考慮して、後者の突出片部83を設けている。このため、その突出片部83は、その型抜き作業性を損なわない範囲内で、軸線方向に対する傾斜角を最も小さくする。これにより、この環状部81は、型抜き作業性を確保しつつ、見栄えの低下を抑えることができる。
周方向で隣り合う突出片部83の間には、凸状目盛り40の径方向外側部分が収容される溝部83aとしての隙間が形成される。つまり、この環状部(見返し)81は、凸状目盛り40における径方向外側部分の収容領域であり、目視位置側から目視者が目視可能な溝部83aを凸状目盛り40毎に有している。この例示の溝部83aは、突出片部83を上記の仮想空間よりも径方向内側に突出させているので、環状部81の環状可視面81aの内周縁線よりも径方向内側に延在している。この例示では、図7に示すように、環状部81の裏側に、溝部83aの壁面を構成しつつ、周方向で隣り合う突出片部83同士を連結させる連結部83bを設けている。
ここで、溝部83aにおける環状可視面81aの内周縁線よりも径方向内側部分は、図2や図4に示すように、僅かではあるが前側から目視可能である。このため、表示板30における凸状目盛り40の挿入部35の幅(周方向の幅)W1よりも溝部83aにおける目視可能な径方向内側部分の幅(周方向の幅)W2の方が小さい場合、光源オン時には、凸状目盛り40が自らの形状通り(つまり矩形状や台形状等)に光って見えず、径方向外側部分に溝部83aの幅W2に応じた段差ができた状態で光って見えてしまう(例えば図8のハッチング部分)。よって、この場合には、光源オン時の凸状目盛り40の形状に目視者が違和感を覚えてしまう可能性があり、また、見栄えの低下を招いてしまう可能性もある。また、上記の仮想空間内に配置されるように突出片部83を軸線方向へと突出させたとしても、目視者は、溝部83aの径方向内側部分を僅かではあるが前側から目視できる可能性がある。このため、目視者は、環状可視面81aの内周縁線よりも径方向内側に延在させた溝部83aと同じように、光源オン時に違和感を覚えてしまう可能性がある。また、この場合も、その溝部83aは、見栄えの低下を招いてしまう可能性もある。
そこで、溝部83aは、その目視可能な部分(径方向内側部分)の幅W2が挿入部35の幅W1以上の大きさとなるように形成する。この幅W1,W2の設定と共に、前側から見た挿入部35の形状と凸状目盛り40の形状(具体的には目盛り可視面41aの形状)とを縮尺の違いのみで一致させておくことによって、光源オン時には、例えば図9のハッチング部分で示すように、凸状目盛り40が自らの形状通り(矩形状や台形状等)に光って見えるようになる。従って、この車両用計器装置1は、光源オン時の凸状目盛り40の形状について、目視者の違和感を解消することができ、また、見栄えの低下を抑えることができる。ここで、その溝部83aの形成に際して、挿入部35の幅W1については、前側から見て溝部83aにおける目視可能な径方向内側部分に存在している挿入部35の内、最も広い幅を用いることが望ましい。また、溝部83aの幅W2については、前側から見て溝部83aにおける目視可能な径方向内側部分の内、最も狭い幅を用いることが望ましい。
以上示したように、この車両用計器装置1(計器装置)においては、照明装置60を動作させた状態で目視者側から計器10を見た際に、凸状目盛り40が自らの形状通りに光って見えるようになるので、見栄えを向上させることができる。