JP6357673B2 - 新規な化合物、これを用いた重合体、硬化剤及び架橋剤 - Google Patents
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Description
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格の構造をより有用に活用できるように設計された新規な化合物及びこれを用いた重合体を提供することを目的とする。
[1]請求項1に記載の化合物は、下記式(C1)で表されることを要旨とする。
前記R5は、−CO−を含み、−OHを含まず、且つ、末端に重合性不飽和結合を有する炭素数2〜12の基であり、
前記少なくとも1つの基以外のR1〜R4は、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)又は1価の基であり、
前記1価の基は、ヒドロキシル基、グリシジルエーテル基、−O−CnH2n−OHで表される基(但しn=2〜12)、−O−(CnH2n−O)m−Hで表される基(但しn=2〜12、m=2〜6)、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、ハロゲン置換された炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン置換された炭素数3〜12のシクロアルキル基、ハロゲン置換された炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン置換された炭素数7〜12のアラルキル基、ハロゲン置換された炭素数2〜12のアルケニル基、ニトロ基、及び、アミノ基からなる群から選ばれる。
[3]請求項3に記載の化合物は、請求項1又は2に記載の化合物において、前記R5が、下記式(C2)、下記式(C5)又は下記式(C6)で表されることを要旨とする。
−CO−(CH2)n−C(R6)=CH2 ・・・(C2)
前記R6はH(水素原子)又はメチル基であり、前記式(C2)におけるnは、前記R6がHである場合にn=0〜9であり、前記R6がメチル基である場合にn=0〜8である。
−(CH2)n−OCO−C(R9)=CH2 ・・・(C5)
前記R9はH(水素原子)又はメチル基であり、前記式(C5)におけるnは、前記R9がHである場合にn=1〜9であり、前記R9がメチル基である場合にn=1〜8である。
−R10−CH2−OCO−C(R11)=CH2 ・・・(C6)
前記R10は、下記式(C61)又は下記式(C62)で表され、
−(C2H4−O−)n− ・・・(C61)
−(C3H6−O−)l− ・・・(C62)
前記R11はH(水素原子)又はメチル基であり、前記R11がHである場合に、前記式(C61)におけるnはn=1〜4であり、前記式(C62)におけるlはl=1〜2であり、前記R11がメチル基である場合に、前記式(C61)におけるnはn=1〜3であり、前記式(C62)におけるlはl=1〜2である。
前記R5は、−OHを含まず、且つ、末端に重合性不飽和結合を有する炭素数2又は3の基であり、
前記少なくとも1つの基以外のR1〜R4は、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)又は1価の基であり、
前記1価の基は、ヒドロキシル基、グリシジルエーテル基、−O−CnH2n−OHで表される基(但しn=2〜12)、−O−(CnH2n−O)m−Hで表される基(但しn=2〜12、m=2〜6)、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、ハロゲン置換された炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン置換された炭素数3〜12のシクロアルキル基、ハロゲン置換された炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン置換された炭素数7〜12のアラルキル基、ハロゲン置換された炭素数2〜12のアルケニル基、ニトロ基、及び、アミノ基からなる群から選ばれる。
[5]請求項5に記載の化合物は、請求項4に記載の化合物において、前記式(C1)中、R1〜R4のうちの2〜4つの基が−OR5で表されることを要旨とする。
[7]請求項7に記載の重合体は、請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の化合物を用いて得られたことを要旨とする。
[8]請求項8に記載の硬化剤は、請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の化合物を含むことを要旨とする。
[9]請求項9に記載の架橋剤は、請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の化合物を含むことを要旨とする。
化合物は、下記式(C1)で表される。
少なくとも1つの基のR5は、末端に重合性不飽和結合を有する炭素数2〜12の基であり、
少なくとも1つの基以外のR1〜R4は、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)又は1価の基である。
即ち、本発明の化合物として後述する式(C1−1)〜式(C1−6)で表される化合物が含まれる。
また、式(C1−1)中、R2〜R4は、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)又は1価の基である。
式(C1−2)において、−OR51と−OR52との置換位置の組合せとしては、[1,9]、[1,10]、[1,11]、[1,12]、[2,9]、[2,10]、[2,11]、[2,12]、[3,9]、[3,10]、[3,11]、[3,12]、[4,9]、[4,10]、[4,11]、[4,12]が挙げられる。
式(C1−3)において、−OR51と−OR52との置換位置の組合せとしては、[1,5]、[1,6]、[1,7]、[1,8]、[2,5]、[2,6]、[2,7]、[2,8]、[3,5]、[3,6]、[3,7]、[3,8]、[4,5]、[4,6]、[4,7]、[4,8]が挙げられる。
式(C1−4)において、−OR51と−OR52との置換位置の組合せとしては、[1,13]、[1,14]、[1,15]、[1,16]、[2,13]、[2,14]、[2,15]、[2,16]、[3,13]、[3,14]、[3,15]、[3,16]、[4,13]、[4,14]、[4,15]、[4,16]が挙げられる。
式(C1−5)において、−OR51、−OR52及び−OR53の置換位置の組合せとしては、[1,5,9]、[1,5,10]、[1,5,11]、[1,5,12]、[1,6,9]、[1,6,10]、[1,6,11]、[1,6,12]、[1,7,9]、[1,7,10]、[1,7,11]、[1,7,12]、[1,8,9]、[1,8,10]、[1,8,11]、[1,8,12]、[2,5,9]、[2,5,10]、[2,5,11]、[2,5,12]、[2,6,9]、[2,6,10]、[2,6,11]、[2,6,12]、[2,7,9]、[2,7,10]、[2,7,11]、[2,7,12]、[2,8,9]、[2,8,10]、[2,8,11]、[2,8,12]、[3,5,9]、[3,5,10]、[3,5,11]、[3,5,12]、[3,6,9]、[3,6,10]、[3,6,11]、[3,6,12]、[3,7,9]、[3,7,10]、[3,7,11]、[3,7,12]、[3,8,9]、[3,8,10]、[3,8,11]、[3,8,12]、[4,5,9]、[4,5,10]、[4,5,11]、[4,5,12]、[4,6,9]、[4,6,10]、[4,6,11]、[4,6,12]、[4,7,9]、[4,7,10]、[4,7,11]、[4,7,12]、[4,8,9]、[4,8,10]、[4,8,11]、[4,8,12]が挙げられる。
式(C1−6)において、−OR51、−OR52、−OR53及び−OR54の置換位置の組合せとしては、[3,6,11,14]、[3,6,11,15]、[3,6,10,15]、[2,7,10,14]、[2,7,10,15]、[3,7,10,14]、[3,7,11,15]、[3,6,10,14]、[3,7,10,15]、[3,7,11,14]、[2,7,11,14]、[2,7,11,15]、[2,6,10,14]、[2,6,10,15]、[2,6,11,14]、[2,6,11,15]、等が挙げられる。
また、ジベンゾクリセングリシジルエーテル{上記式(A2)及び同様な多官能誘導体}を用いる場合には、そのグリシジルエーテル基(−O−CH2−C2H3O)が有するエポキシ環(−C2H3O)を開環させたうえで、重合性不飽和結合末端を付与して得ることができる。
式(C1)におけるR5は、末端に重合性不飽和結合を有する炭素数2〜12の基である。即ち、式(C1−2)〜式(C1−6)における、R51、R52、R53及びR54は、各々独立に末端に重合性不飽和結合を有する炭素数2〜12の基である。以下の説明におけるR5は、前述のR51、R52、R53及びR54についても共通する。
−CO−(CH2)n−C(R6)=CH2 ・・・(C2)
式(C2)のR6はH(水素原子)又はメチル基である。このR6がH(水素原子)である場合にnはn=0〜9である。また、R6がメチル基である場合にnはn=0〜8である。
−CO−CH=CH2 ・・・(C21)
また、上記式(2)においてn=0であり、R6がメチル基である場合、R5は下記式(C22)で表される。
−CO−C(CH3)=CH2 ・・・(C22)
尚、式(C1−7)〜式(C1−12)における下記式(C21−1)で表される基の置換位置の組合せは、各々前述の式(C1−1)〜式(C1−6)における−OR5と同様である。
−O−CO−CH=CH2 ・・・(C21−1)
尚、式(C1−13)〜式(C1−18)における下記式(C22−1)で表される基の置換位置の組合せは、各々前述の式(C1−1)〜式(C1−6)における−OR5と同様である。
−O−CO−C(CH3)=CH2 ・・・(C22−1)
−CO−(CH2)n−CH=CH2 ・・・(C23)
また、式(C2)においてn≧1であり、R6がメチル基である場合、上記R5は式(C24)で表される。但し、n=1〜8である。
−CO−(CH2)n−C(CH3)=CH2 ・・・(C24)
−(CH2)n−OCO−C(R9)=CH2 ・・・(C5)
式(C5)のR9はH(水素原子)又はメチル基であり、R9がH(水素原子)である場合にn=1〜9であり、R9がメチル基である場合にn=1〜8である。
−R10−CH2−OCO−C(R11)=CH2 ・・・(C6)
但し、式(C6)中のR10は、下記式(C61)又は下記式(C62)で表される。
−(C2H4−O−)n− ・・・(C61)
−(C3H6−O−)l− ・・・(C62)
式(C6)のR11はH(水素原子)又はメチル基である。R11がH(水素原子)である場合にn=1〜4であり、l=1〜2である。また、R11がメチル基である場合にn=1〜3であり、l=1〜2である。
−(C2H4−O−)n−CH2−OCO−CH=CH2 ・・・(C61−1)
式(C6)中のR10が式(C61)で表され、式(C6)中のR11がメチル基である場合、上記R5は式(C61−2)で表される。但し、n=1〜3である。
−(C2H4−O−)n−CH2−OCO−C(CH3)=CH2
・・・(C61−2)
−(C3H6−O−)l−CH2−OCO−CH=CH2 ・・・(C62−1)
式(C6)中のR10が式(C62)で表され、式(C6)中のR11がメチル基である場合、上記R5は式(C62−2)で表される。但し、l=1〜2である。
−(C3H6−O−)l−CH2−OCO−C(CH3)=CH2
・・・(C62−2)
−CH2−CH(OH)−CH2−OCO−(CH2)n−C(R7)=CH2
・・・(C3)
式(C3)のR7はH(水素原子)又はメチル基である。このR7がH(水素原子)である場合にnはn=0〜6である。また、R7がメチル基である場合にnはn=0〜5である。
−CH2−CH(OH)−CH2−OCO−CH=CH2 ・・・(C31)
また、上記式(C3)においてn=0であり、R7がメチル基である場合、R5は下記式(C32)で表される。
−CH2−CH(OH)−CH2−OCO−C(CH3)=CH2 ・・(C32)
尚、式(C1−19)〜式(C1−24)における−OR5、即ち、下記式(C31−1)で表される基の置換位置の組合せは、各々前述の式(C1−1)〜式(C1−6)における場合と同様である。
−O−CH2−CH(OH)−CH2−OCO−CH=CH2 ・・(C31−1)
尚、式(C1−25)〜式(C1−30)における下記式(C32−1)で表される基の置換位置の組合せは、各々前述の式(C1−1)〜式(C1−6)における−OR5と同様である。
−O−CH2−CH(OH)−CH2−OCO−C(CH3)=CH2
・・・(C32−1)
−CH2−CH(OH)−CH2−OCO−(CH2)n−CH=CH2
・・・(C33)
また、式(C3)においてn≧1であり、R7がメチル基である場合、上記R5は式(C34)で表される。但し、n=1〜5である。
−CH2−CH(OH)−CH2−OCO−(CH2)n−C(CH3)=CH2
・・・(C34)
−(CH2)n−CH(OH)−CH2−OCO−C(R12)=CH2・・(C7)
式(C7)のR12はH(水素原子)又はメチル基である。R12がH(水素原子)である場合にn=1〜7であり、R12がメチル基である場合にn=1〜6である。
−R13−CH2−CH(OH)−CH2−OCO−C(R14)=CH2・・(C8)
但し、式(C8)中のR13は、下記式(C81)又は下記式(C82)で表される。
−(C2H4−O−)n− ・・・(C81)
−(C3H6−O−)l− ・・・(C82)
式(C8)のR14はH(水素原子)又はメチル基である。R14がH(水素原子)である場合にn=1〜3であり、l=1〜2である。また、R14がメチル基である場合にn=1〜2であり、l=1である。
−(C2H4−O−)n−CH2−CH(OH)−CH2−OCO−CH=CH2
・・・(C81−1)
式(C8)中のR13が式(C81)で表され、式(C8)中のR14がメチル基である場合、上記R5は式(C81−2)で表される。但し、n=1〜2である。
−(C2H4−O−)n−CH2−CH(OH)−CH2−OCO−C(CH3)=CH2
・・・(C81−2)
−(C3H6−O−)l−CH2−CH(OH)−CH2−OCO−CH=CH2
・・・(C82−1)
式(C8)中のR13が式(C82)で表され、式(C8)中のR14がメチル基である場合、上記R5は式(C82−2)で表される。
−C3H6−O−−CH2−CH(OH)−CH2−OCO−C(CH3)=CH2
・・・(C82−2)
−(CH2)n−C(R8)=CH2 ・・・(C4)
式(C4)のR8はH(水素原子)又はメチル基である。このR8がH(水素原子)である場合にnはn=0〜10である。また、R8がメチル基である場合にnはn=0〜9である。
−CH2−CH=CH2 ・・・(C41)
また、上記式(C4)においてn=0であり、R8がメチル基である場合、R5は下記式(C42)で表される。
−CH2−C(CH3)=CH2 ・・・(C42)
尚、式(C1−31)〜式(C1−36)における下記式(C41−1)で表される基の置換位置の組合せは、各々前述の式(C1−1)〜式(C1−6)における−OR5と同様である。
−O−CH2−CH=CH2 ・・・(C41−1)
−(CH2)n−CH=CH2 ・・・(C43)
また、式(C4)においてn≧1であり、R8がメチル基である場合、上記R5は式(C44)で表される。但し、n=1〜9である。
−(CH2)n−C(CH3)=CH2 ・・・(C44)
−R15−CH2−C(R16)=CH2 ・・・(C9)
但し、式(C9)中のR15は、下記式(C91)又は下記式(C92)で表される。
−(C2H4−O−)n− ・・・(C91)
−(C3H6−O−)l− ・・・(C92)
式(C9)のR16はH(水素原子)又はメチル基である。R16がH(水素原子)である場合にn=1〜4であり、l=1〜3である。また、R16がメチル基である場合にn=1〜4であり、l=1〜2である。
−(C2H4−O−)n−CH2−CH=CH2 ・・・(C91−1)
式(C9)中のR15が式(C91)で表され、式(C9)中のR16がメチル基である場合、上記R5は式(C91−2)で表される。但し、n=1〜4である。
−(C2H4−O−)n−CH2−C(CH3)=CH2 ・・(C91−2)
−(C3H6−O−)l−CH2−CH=CH2 ・・・(C92−1)
式(C9)中のR15が式(C92)で表され、式(C9)中のR16がメチル基である場合、上記R5は式(C92−2)で表される。但し、l=1〜2である。
−(C3H6−O−)l−CH2−C(CH3)=CH2 ・・(C92−2)
本発明の化合物において、式(C1)中、R1〜R4のうち−OR5以外の基は、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)又は1価の基である。
上記1価の基として、ジベンゾクリセン骨格に直接結合されたO(酸素原子)を含む1価の基が挙げられる。具体的には、ヒドロキシル基(−OH)、グリシジルエーテル基(−O−CH2−C2H3O)、−O−CnH2n−OHで表される基(但しn=2〜12、具体的には、−O−C2H4−OH、−O−C3H6−OH、−O−C4H8−OH等}、−O−(CnH2n−O)m−Hで表される基(但しn=2〜12、m=2〜6、具体的には、−O−(C2H4−O−)m−H、−O−(C3H6−O−)m−H、−O−(C4H8−O−)m−H等}などが挙げられる。
また、上記1価の基として、ジベンゾクリセン骨格に直接結合されたN(窒素原子)を含む1価の基が挙げられる。具体的には、ニトロ基(―NO2)、及び、アミノ基(−NH2)等が挙げられる。
上記式(C1)で表される本発明のジベンゾ[g,p]クリセン骨格を有する各化合物は、単量体、硬化剤、及び架橋剤等として有用である。
とりわけ、単量体としては、重合体を得るための、重合性末端を供給する単量体や、重合性末端を供給するオリゴマー等として利用できる。本発明の各化合物は、単量体やオリゴマーとして単用してもよいし、他の重合性不飽和結合を有する単量体やオリゴマーと併用してもよい。
本発明の重合体は、上記本発明の化合物を用いて得られたことを特徴とする。即ち、本発明の化合物は、重合に際してどのように利用してもよいが、例えば、前述のように、単量体、硬化剤、及び、架橋剤等として利用できる。
また、得られる重合体には、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格同士のスタッキング構造が存在することによって、熱伝導性に優れた重合体とすることができる。
更に、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格を有する重合体は、この骨格を構成する3位、6位、11位及び14位の各炭素原子が同一平面に配置されないねじれた構造を呈し、多種の光学異性体を有する。このために、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格を有する本発明の化合物のなかから、異なる光学活性を有した化合物を併用することで、高い靱性の重合体を得ることができる。
上記本発明の化合物と共重合可能なそれ(本発明の化合物)以外の化合物としては、例えば、脂肪族ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物、不飽和有機酸、不飽和有機酸エステル化合物、ハロゲン化ビニル化合物等が挙げられる。
不飽和有機酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸等が挙げられる。
不飽和有機酸エステル化合物としては、上記不飽和有機酸の、アルキルエステル、アルコキシエステル、ヒドロキシル基含有エステル、アミノ基含有エステル、及びアミド基含有エステル等が挙げられる。
ジベンゾクリセンを用いて、下記スキーム(S11)に示す合成により、ジベンゾクリセンスルホン酸カルシウム塩を得た。更に、得られたジベンゾクリセンスルホン酸カルシウム塩を用いてヒドロキシジベンゾクリセンを得た(詳細は特願2012−77951に記載)。
尚、FT−NMR測定における測定条件は、以下の通りである。
観測周波数; 1H−NMRが600MHz、13C−NMRが150MHz
測定溶媒 ; DMSO−d6
測定温度 ; 300K
化学シフト基準 ; 1H;2.50ppm、13C;39.50ppm
上記合成例1で得られたヒドロキシジベンゾクリセンを用いて下記スキーム(S12)に示す合成によってジベンゾクリセングリシジルエーテルを得た(詳細は特願2012−77951に記載)。
前述の合成例1で得られたヒドロキシジベンゾクリセンを用いて、下記スキーム(S13)に示す合成によって、式(C1)中のR5が式(C21)で表されるジベンゾクリセン誘導体を製造した。
後述する合成例1で得られたヒドロキシジベンゾクリセンを用いて、下記スキーム(S14)に示す合成によって、式(C1)中のR5が式(C22)で表されるジベンゾクリセン誘導体を製造した。
後述する合成例2で得られたジベンゾクリセングリシジルエーテルを用いて、下記スキーム(S15)に示す合成によって、式(C1)中のR5が式(C31)で表されるジベンゾクリセン誘導体を製造した。
また、m/zが761.2550であるピークが認められた。この結果、生成物の分子量が760.2520(Exact Mass)と特定された(測定条件により付加されたプロトン相当を上記ピーク値から差し引いた値)。よって、下記式(C1−21a)等で表される2置換化合物が確認された。尚、2置換化合物には、前述の式(C1−20)、式(C1−21)及び式(C1−22)の形態で表される各異性体が含まれるものと考えられる。
また、m/zが905.2982であるピークが認められた。この結果、生成物の分子量が904.2942(Exact Mass)と特定された(測定条件により付加されたプロトン相当を上記ピーク値から差し引いた値)。よって、下記式(C1−24)で表される4置換化合物が確認された。
後述する合成例2で得られたジベンゾクリセングリシジルエーテルを用いて、下記スキーム(S16)に示す合成によって、式(C1)中のR5が式(C32)で表されるジベンゾクリセン誘導体を製造した。
また、m/zが789.2888であるピークが認められた。この結果、生成物の分子量が788.2833(Exact Mass)と特定された(測定条件により付加されたプロトン相当を上記ピーク値から差し引いた値)。よって、下記式(C1−27a)等で表される2置換化合物が確認された。尚、2置換化合物には、前述の式(C1−26)、式(C1−27)及び式(C1−28)の形態で表される各異性体が含まれるものと考えられる。
また、m/zが961.3716であるピークが認められた。この結果、生成物の分子量が960.3568(Exact Mass)と特定された(測定条件により付加されたプロトン相当を上記ピーク値から差し引いた値)。よって、下記式(C1−30)で表される4置換化合物が確認された。
後述する合成例1で得られたヒドロキシジベンゾクリセンを用いて、下記スキーム(S17)に示す合成によって、式(C1)中のR5が式(C4)で表されるジベンゾクリセン誘導体を製造した。
即ち、例えば、ジベンゾクリセンをニトロ化して得られたニトロジベンゾクリセンに、触媒下でヒドラジンを作用させてアミノジベンゾクリセンを得る。更に、アミノジベンゾクリセンに、酸の存在下で亜硝酸ナトリウムを作用させて、ジベンゾクリセンのジアゾニウム塩を得る。更に、得られたジアゾニウム塩を分解することでヒドロキシジベンゾクリセンを得ることができる(特願2012−77951に記載)。このようにして、得られたヒドロキシジベンゾクリセンは、ヒドロキシル基により1置換されたヒドロキシジベンゾクリセン、及び、2置換されたヒドロキシジベンゾクリセンを主生成物とする(前述の合成例1により得られるヒドロキシジベンゾクリセンは4置換された化合物を主生成物とする)。このため、1置換及び/又は2置換されたジベンゾクリセン誘導体を目的とする場合には、上記工程により得られるヒドロキシジベンゾクリセンを利用することができる。
Claims (9)
- 下記式(C1)で表される化合物。
前記R5は、−CO−を含み、−OHを含まず、且つ、末端に重合性不飽和結合を有する炭素数2〜12の基であり、
前記少なくとも1つの基以外のR1〜R4は、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)又は1価の基であり、
前記1価の基は、ヒドロキシル基、グリシジルエーテル基、−O−CnH2n−OHで表される基(但しn=2〜12)、−O−(CnH2n−O)m−Hで表される基(但しn=2〜12、m=2〜6)、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、ハロゲン置換された炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン置換された炭素数3〜12のシクロアルキル基、ハロゲン置換された炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン置換された炭素数7〜12のアラルキル基、ハロゲン置換された炭素数2〜12のアルケニル基、ニトロ基、及び、アミノ基からなる群から選ばれる。 - 前記式(C1)中、R1〜R4のうちの2〜4つの基が−OR5で表される請求項1に記載の化合物。
- 前記R5が、下記式(C2)、下記式(C5)又は下記式(C6)で表される請求項1又は2に記載の化合物。
−CO−(CH2)n−C(R6)=CH2 ・・・(C2)
前記R6はH(水素原子)又はメチル基であり、前記式(C2)におけるnは、前記R6がHである場合にn=0〜9であり、前記R6がメチル基である場合にn=0〜8である。
−(CH2)n−OCO−C(R9)=CH2 ・・・(C5)
前記R9はH(水素原子)又はメチル基であり、前記式(C5)におけるnは、前記R9がHである場合にn=1〜9であり、前記R9がメチル基である場合にn=1〜8である。
−R10−CH2−OCO−C(R11)=CH2 ・・・(C6)
前記R10は、下記式(C61)又は下記式(C62)で表され、
−(C2H4−O−)n− ・・・(C61)
−(C3H6−O−)l− ・・・(C62)
前記R11はH(水素原子)又はメチル基であり、前記R11がHである場合に、前記式(C61)におけるnはn=1〜4であり、前記式(C62)におけるlはl=1〜2であり、前記R11がメチル基である場合に、前記式(C61)におけるnはn=1〜3であり、前記式(C62)におけるlはl=1〜2である。 - 下記式(C1)で表される化合物。
前記R5は、−OHを含まず、且つ、末端に重合性不飽和結合を有する炭素数2又は3の基であり、
前記少なくとも1つの基以外のR1〜R4は、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)又は1価の基であり、
前記1価の基は、ヒドロキシル基、グリシジルエーテル基、−O−CnH2n−OHで表される基(但しn=2〜12)、−O−(CnH2n−O)m−Hで表される基(但しn=2〜12、m=2〜6)、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、ハロゲン置換された炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン置換された炭素数3〜12のシクロアルキル基、ハロゲン置換された炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン置換された炭素数7〜12のアラルキル基、ハロゲン置換された炭素数2〜12のアルケニル基、ニトロ基、及び、アミノ基からなる群から選ばれる。 - 前記式(C1)中、R1〜R4のうちの2〜4つの基が−OR5で表される請求項4に記載の化合物。
- 得られる重合体の熱伝導性を向上させるための熱伝導性向上用単量体である請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の化合物。
- 請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の化合物を用いて得られたことを特徴とする重合体。
- 請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の化合物を含むことを特徴とする硬化剤。
- 請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の化合物を含むことを特徴とする架橋剤。
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