JP5939520B2 - 新規な化合物及びこれを用いた重合体 - Google Patents

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本発明は新規な化合物及びこれを用いた重合体に関し、更に詳しくは、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格を有する新規な化合物及びこれを用いた重合体に関する。
従来、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格を有する化合物群は、有機電界発光特性を示す材料として注目されている。そして、芳香環構造を有する嵩高な官能基によって置換された各種ジベンゾ[g,p]クリセン化合物群は、下記特許文献1〜4等に開示がある。
特開2002−237384号公報 特開2009−292807号公報 特開2004−182737号公報 国際公開第09/107549号パンフレット
しかし、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格の構造を利用した他の用途に活用される化合物の合成は進んでいない。そこで、本発明者らは、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格の特性を活かした新規な化合物の合成を試みるに至った。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格の構造を有機電界発光の機能を活用する以外の目的において、より有用に活用できるように設計された新規な化合物及びこれを用いた重合体を提供することを目的とする。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の化合物は、下記式(C1)で表される化合物であって、
下記R 〜R のうちの少なくともいずれかが、下記Nを含む1価の官能基であり、
前記Nを含む1価の官能基が、−NH であることを要旨とする。
Figure 0005939520
〔式(C1)中、R〜Rは、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
(1)R〜Rの全てがH(水素原子)である。
(2)Rが2位においてBrであり、Rが10位においてBrであり、且つR及びRがHである。
(3)前記Nを含む1価の官能基が−N(Ph)である。
(4)Rが3位においてヒドロキシル基であり、Rが11位においてヒドロキシル基であり、且つR及びRがHである。
(5)Rが3位においてメトキシ基であり、Rが11位においてメトキシ基であり、且つR及びRがHである。
(6)Rが3位においてトシル基であり、Rが11位においてトシル基であり、且つR及びRがHである。
請求項2に記載の化合物は、下記式(C1)で表される化合物であって、
下記R 〜R のうちの少なくともいずれかが、下記Nを含む1価の官能基であり、
前記Nを含む1価の官能基が、下記式(C2)で示されることを要旨とする。
Figure 0005939520
〔式(C1)中、R 〜R は、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
(1)R 〜R の全てがH(水素原子)である。
(2)R が2位においてBrであり、R が10位においてBrであり、且つR 及びR がHである。
(3)前記Nを含む1価の官能基が−N(Ph) である。
(4)R が3位においてヒドロキシル基であり、R が11位においてヒドロキシル基であり、且つR 及びR がHである。
(5)R が3位においてメトキシ基であり、R が11位においてメトキシ基であり、且つR 及びR がHである。
(6)R が3位においてトシル基であり、R が11位においてトシル基であり、且つR 及びR がHである。
Figure 0005939520
〔但し、式(C2)中、R 及びR は、各々独立に、炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキレン基である。〕
請求項3に記載の化合物は、下記式(C1)で表される化合物であって、
下記R 〜R のうちの少なくともいずれかが、下記Nを含む1価の官能基であり、
前記Nを含む1価の官能基が、−NO である化合物
Figure 0005939520
〔式(C1)中、R 〜R は、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
(1)R 〜R の全てがH(水素原子)である。
(2)R が2位においてBrであり、R が10位においてBrであり、且つR 及びR がHである。
(3)前記Nを含む1価の官能基が−N(Ph) である。
(4)R が3位においてヒドロキシル基であり、R が11位においてヒドロキシル基であり、且つR 及びR がHである。
(5)R が3位においてメトキシ基であり、R が11位においてメトキシ基であり、且つR 及びR がHである。
(6)R が3位においてトシル基であり、R が11位においてトシル基であり、且つR 及びR がHである。
請求項4に記載の化合物は、下記式(C1)で表される化合物であって、
下記R 〜R のうちの少なくともいずれかが、下記Oを含む1価の官能基であり、
前記Oを含む1価の官能基が、−OHである化合物
Figure 0005939520
〔式(C1)中、R 〜R は、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
(1)R 〜R の全てがH(水素原子)である。
(2)R が2位においてBrであり、R が10位においてBrであり、且つR 及びR がHである。
(3)前記Nを含む1価の官能基が−N(Ph) である。
(4)R が3位においてヒドロキシル基であり、R が11位においてヒドロキシル基であり、且つR 及びR がHである。
(5)R が3位においてメトキシ基であり、R が11位においてメトキシ基であり、且つR 及びR がHである。
(6)R が3位においてトシル基であり、R が11位においてトシル基であり、且つR 及びR がHである。
請求項5に記載の化合物は、下記式(C1)で表される化合物であって、
下記R 〜R のうちの少なくともいずれかが、下記Oを含む1価の官能基であり、
前記Oを含む1価の官能基が、下記式(C3)で示されることを要旨とする。
Figure 0005939520
〔式(C1)中、R 〜R は、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
(1)R 〜R の全てがH(水素原子)である。
(2)R が2位においてBrであり、R が10位においてBrであり、且つR 及びR がHである。
(3)前記Nを含む1価の官能基が−N(Ph) である。
(4)R が3位においてヒドロキシル基であり、R が11位においてヒドロキシル基であり、且つR 及びR がHである。
(5)R が3位においてメトキシ基であり、R が11位においてメトキシ基であり、且つR 及びR がHである。
(6)R が3位においてトシル基であり、R が11位においてトシル基であり、且つR 及びR がHである。
Figure 0005939520
〔但し、式(C3)中、R は炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキレン基である〕
請求項6に記載の化合物は、下記式(C1)で表される化合物であって、
下記R 〜R のうちの少なくともいずれかが、下記Sを含む1価の官能基であることを要旨とする。
Figure 0005939520
〔式(C1)中、R 〜R は、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
(1)R 〜R の全てがH(水素原子)である。
(2)R が2位においてBrであり、R が10位においてBrであり、且つR 及びR がHである。
(3)前記Nを含む1価の官能基が−N(Ph) である。
(4)R が3位においてヒドロキシル基であり、R が11位においてヒドロキシル基であり、且つR 及びR がHである。
(5)R が3位においてメトキシ基であり、R が11位においてメトキシ基であり、且つR 及びR がHである。
(6)R が3位においてトシル基であり、R が11位においてトシル基であり、且つR 及びR がHである。
請求項7に記載の化合物は、請求項6に記載の化合物において、前記Sを含む1価の官能基が、−SHであることを要旨とする。
請求項8に記載の化合物は、請求項6に記載の化合物において、前記Sを含む1価の官能基が、下記式(C82)で示されることを要旨とする。
Figure 0005939520
〔但し、式(C82)中、R 15 は炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキレン基である〕
請求項9に記載の化合物は、請求項6に記載の化合物において、前記Sを含む1価の官能基が、−S−CO−CH=CH であることを要旨とする。
請求項10に記載の化合物は、請求項6に記載の化合物において、前記Sを含む1価の官能基が、−S−CO−C(CH )=CH であることを要旨とする。
請求項11に記載の化合物は、請求項6に記載の化合物において、前記Sを含む1価の官能基が、−S−CH −CH(OH)−CH −O−CO−CH=CH であることを要旨とする。
請求項12に記載の化合物は、請求項6に記載の化合物において、前記Sを含む1価の官能基が、−S−CH −CH(OH)−CH −O−CO−C(CH )=CH であることを要旨とする。
請求項13に記載の化合物は、請求項6に記載の化合物において、前記Sを含む1価の官能基が、−S−CH −CH=CH であることを要旨とする。
請求項14に記載の化合物は、請求項6に記載の化合物において、前記Sを含む1価の官能基が、−S−CH −C(CH )=CH であることを要旨とする。
請求項15に記載の化合物は、下記式(C1)で表される化合物であって、
下記R 〜R のうちの少なくともいずれかが、下記Xであることを要旨とする。
Figure 0005939520
〔式(C1)中、R 〜R は、各々独立に、H(水素原子)、X(Cl、Br及びIから選ばれるハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
(1)R 〜R の全てがH(水素原子)である。
(2)R が2位においてBrであり、R が10位においてBrであり、且つR 及びR がHである。
(3)前記Nを含む1価の官能基が−N(Ph) である。
(4)R が3位においてヒドロキシル基であり、R が11位においてヒドロキシル基であり、且つR 及びR がHである。
(5)R が3位においてメトキシ基であり、R が11位においてメトキシ基であり、且つR 及びR がHである。
(6)R が3位においてトシル基であり、R が11位においてトシル基であり、且つR 及びR がHである。
請求項16に記載の化合物は、請求項15に記載の化合物において、前記Xが、Brであることを要旨とする。
請求項17に記載の化合物は、請求項15に記載の化合物において、前記Xが、Clであることを要旨とする。
請求項18に記載の重合体は、請求項1、2、4、5、及び、7乃至14のうちのいずれかの化合物を用いて得られたことを要旨とする。
本発明によれば、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格の構造を有機電界発光の機能を活用する以外の目的において、より有用に活用できる。
実施例2に係る化合物31のマススペクトルである。 実施例2に係る化合物32のマススペクトルである。 実施例2に係る化合物33のマススペクトルである。 実施例2に係る化合物34のマススペクトルである。 実施例3に係る化合物41のマススペクトルである。 実施例3に係る化合物42のマススペクトルである。 実施例3に係る化合物43のマススペクトルである。 実施例3に係る化合物44のマススペクトルである。 実施例4に係る化合物51のマススペクトルである。 実施例4に係る化合物52のマススペクトルである。 実施例4に係る化合物53のマススペクトルである。 実施例6に係る化合物71のマススペクトルである。 実施例6に係る化合物72のマススペクトルである。 実施例6に係る化合物73のマススペクトルである。 実施例6に係る化合物74のマススペクトルである。 実施例8に係る化合物91のマススペクトルである。 実施例8に係る化合物92のマススペクトルである。 実施例9に係る熱分析結果を示す多重チャートである。 実施例11に係る化合物74のH−NMRのチャートである。 実施例11に係る化合物74のH−NMRのチャートであって、図19の一部を拡大して示すチャートである。 実施例11に係る化合物74の13C−NMRのチャートである。 実施例11に係る化合物74の13C−NMRのチャートであって、図21の一部を拡大して示すチャートである。
本発明の化合物は、下記式(C1)で表される化合物である。
Figure 0005939520
〔式(C1)中、R〜Rは、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
(1)R〜Rの全てがH(水素原子)である。
(2)Rが2位においてBrであり、Rが10位においてBrであり、且つR及びRがHである。
(3)上記Nを含む1価の官能基が−N(Ph)である。
(4)Rが3位においてヒドロキシル基であり、Rが11位においてヒドロキシル基であり、且つR及びRがHである。
(5)Rが3位においてメトキシ基であり、Rが11位においてメトキシ基であり、且つR及びRがHである。
(6)Rが3位においてトシル基であり、Rが11位においてトシル基であり、且つR及びRがHである。
上記式(C1)においてR〜Rのうちのいずれ1つのみが置換基(X、Nを含む1価の官能基、Oを含む1価の官能基、又はSを含む1価の官能基)であって、他が水素原子である構造としては、下記式(C1−1)が挙げられる。
Figure 0005939520
〔式(C1−1)中、Rは、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又はS(硫黄原子)を含む1価の官能基である。〕
この式(C1−1)において、上記Rは1位、2位、3位及び4位のうちのいずれに置換されていてもよい。
上記式(C1)においてR〜Rのうちの2つが置換基(X、Nを含む1価の官能基、Oを含む1価の官能基、又はSを含む1価の官能基)であって、他が水素原子である構造としては、下記式(C1−2)、(C1−3)及び(C1−4)が挙げられる。
Figure 0005939520
〔式(C1−2)中、R及びRは、各々独立に、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又はS(硫黄原子)を含む1価の官能基である。〕
この式(C1−2)において、RとRとの置換位置の組合せとしては、[1,9]、[1,10]、[1,11]、[1,12]、[2,9]、[2,10]、[2,11]、[2,12]、[3,9]、[3,10]、[3,11]、[3,12]、[4,9]、[4,10]、[4,11]、[4,12]が挙げられる。
Figure 0005939520
〔式(C1−3)中、R及びRは、各々独立に、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又はS(硫黄原子)を含む1価の官能基である。〕
この式(C1−3)において、RとRとの置換位置の組合せとしては、[1,5]、[1,6]、[1,7]、[1,8]、[2,5]、[2,6]、[2,7]、[2,8]、[3,5]、[3,6]、[3,7]、[3,8]、[4,5]、[4,6]、[4,7]、[4,8]が挙げられる。
Figure 0005939520
〔式(C1−4)中、R及びRは、各々独立に、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又はS(硫黄原子)を含む1価の官能基である。〕
この式(C1−4)において、RとRとの置換位置の組合せとしては、[1,13]、[1,14]、[1,15]、[1,16]、[2,13]、[2,14]、[2,15]、[2,16]、[3,13]、[3,14]、[3,15]、[3,16]、[4,13]、[4,14]、[4,15]、[4,16]が挙げられる。
これらの式(C1−2)〜式(C1−4)の化合物では、RとRとは異なる置換基であってもよいが、同じ置換基であることができる。即ち、R及びRの両方がハロゲン原子であることができる。また、R及びRの両方がN(窒素原子)を含む1価の官能基であることができる。更に、R及びRの両方がO(酸素原子)を含む1価の官能基であることができる。また、R及びRの両方がS(硫黄原子)を含む1価の官能基であることができる。
上記式(C1)においてR〜Rのうちの3つが置換基(X、Nを含む1価の官能基、Oを含む1価の官能基、又はSを含む1価の官能基)であって、他が水素原子である構造としては、下記式(C1−5)が挙げられる。
Figure 0005939520
〔式(C1−5)中、R、R及びRは、各々独立に、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又はS(硫黄原子)を含む1価の官能基である。〕
この式(C1−5)において、R〜Rの置換位置の組合せとしては、[1,5,9]、[1,5,10]、[1,5,11]、[1,5,12]、[1,6,9]、[1,6,10]、[1,6,11]、[1,6,12]、[1,7,9]、[1,7,10]、[1,7,11]、[1,7,12]、[1,8,9]、[1,8,10]、[1,8,11]、[1,8,12]、[2,5,9]、[2,5,10]、[2,5,11]、[2,5,12]、[2,6,9]、[2,6,10]、[2,6,11]、[2,6,12]、[2,7,9]、[2,7,10]、[2,7,11]、[2,7,12]、[2,8,9]、[2,8,10]、[2,8,11]、[2,8,12]、[3,5,9]、[3,5,10]、[3,5,11]、[3,5,12]、[3,6,9]、[3,6,10]、[3,6,11]、[3,6,12]、[3,7,9]、[3,7,10]、[3,7,11]、[3,7,12]、[3,8,9]、[3,8,10]、[3,8,11]、[3,8,12]、[4,5,9]、[4,5,10]、[4,5,11]、[4,5,12]、[4,6,9]、[4,6,10]、[4,6,11]、[4,6,12]、[4,7,9]、[4,7,10]、[4,7,11]、[4,7,12]、[4,8,9]、[4,8,10]、[4,8,11]、[4,8,12]が挙げられる。
この式(C1−5)の化合物では、R〜Rは異なる置換基であってもよいが、同じ置換基であることができる。即ち、R〜Rの全てがハロゲン原子であることができる。また、R〜Rの全てがN(窒素原子)を含む1価の官能基であることができる。更に、R〜Rの全てがO(酸素原子)を含む1価の官能基であることができる。また、R〜Rの両方がS(硫黄原子)を含む1価の官能基であることができる。
上記式(C1)においてR〜Rのうちの4つすべてが置換基(X、Nを含む1価の官能基、Oを含む1価の官能基、又はSを含む1価の官能基)である構造としては、下記式(C1−6)が挙げられる。
Figure 0005939520
〔式(C1−6)中、R、R、R及びRは、各々独立に、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又はS(硫黄原子)を含む1価の官能基である。〕
この式(C1−6)において、R〜Rの置換位置の組合せとしては、[3,6,11,14]、[3,6,11,15]、[3,6,10,15]、[2,7,10,14]、[2,7,10,15]、[3,7,10,14]、[3,7,11,15]、[3,6,10,14]、[3,7,10,15]、[3,7,11,14]、[2,7,11,14]、[2,7,11,15]、[2,6,10,14]、[2,6,10,15]、[2,6,11,14]、[2,6,11,15]、等が挙げられる。
この式(C1−6)の化合物では、R〜Rは異なる置換基であってもよいが、同じ置換基であることができる。即ち、R〜Rの全てがハロゲン原子であることができる。また、R〜Rの全てがN(窒素原子)を含む1価の官能基であることができる。更に、R〜Rの全てがO(酸素原子)を含む1価の官能基であることができる。また、R〜Rの全てがS(硫黄原子)を含む1価の官能基であることができる。
[1]式(C1)におけるX(ハロゲン原子)について
上記式(C1)におけるX(ハロゲン原子)には、Br、I、Cl及びFが挙げられる。R〜Rのいずれの置換基もXである場合において、R〜Rは異なっていてもよいが、通常、同じハロゲン原子である。
即ち、例えば、X(ハロゲン原子)がBrであるブロモジベンゾ[g,p]クリセンとしては、モノブロモジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−7)}、ジブロモジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−8)、化合物(C1−9)及び化合物(C1−10)}、トリブロモジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−11)}、テトラブロモジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−12)}が挙げられる。
Figure 0005939520
また、X(ハロゲン原子)がIであるヨードジベンゾ[g,p]クリセンとしては、モノヨードジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−13)}、ジヨードジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−14)、化合物(C1−15)及び化合物(C1−16)}、トリヨードジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−17)}、テトラヨードジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−18)}が挙げられる。
Figure 0005939520
上記のようなジベンゾ[g,p]クリセンを構成する水素原子がX(ハロゲン原子)に置換されたハロゲン化ジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、様々な化合物を合成する際の中間体として有用である。
[2]式(C1)におけるNを含む1価の官能基について
上記式(C1)におけるR〜Rが、Nを含む1価の官能基である場合、この官能基としては、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格を構成する炭素原子にN(窒素原子)が直接結合した形態の官能基であることが好ましい。このようなNを含む1価の官能基としては、ニトロ基(−NO)、アミノ基(−NH)、ジアゾ基(−N )、下記式(C4)で表される官能基、下記式(C5)で表される官能基等が挙げられる。
Figure 0005939520
〔式(C4)のRは1価の有機基である。また、式(C5)のR及びR10は1価の有機基である。〕
上記式(C4)及び上記式(C5)におけるR〜R10の有機基としては、下記式(C6)で表されるエポキシ末端を有する1価の有機基が挙げられる。
Figure 0005939520
〔式(C6)のR11は、炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキレン基である。〕
即ち、上記式(C1)におけるNを含む1価の官能基としては、下記式(C2)で表される官能基が挙げられる。
Figure 0005939520
〔但し、式(C2)中のR及びRは、各々独立に、炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキレン基である。〕
従って、上記式(C1)において、Nを含む1価の官能基がニトロ基であるニトロジベンゾ[g,p]クリセンとしては、モノニトロジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−19)}、ジニトロジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−20)、化合物(C1−21)及び化合物(C1−22)}、トリニトロジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−23)}、テトラニトロジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−24)}が挙げられる。
Figure 0005939520
上記のようなニトロジベンゾ[g,p]クリセンは、様々な化合物を合成する際の中間体として有用であり、とりわけ後述するアミノジベンゾ[g,p]クリセンを得るための中間体として有用である。
また、上記式(C1)において、Nを含む1価の官能基がアミノ基であるアミノジベンゾ[g,p]クリセンとしては、モノアミノジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−25)}、ジアミノジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−26)、化合物(C1−27)及び化合物(C1−28)}、トリアミノジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−29)}、テトラアミノジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−30)}が挙げられる。
Figure 0005939520
これらアミノジベンゾ[g,p]クリセンの合成方法は特に限定されない。例えば、実施例に示すように、ニトロジベンゾ[g,p]クリセンが有するニトロ基を還元してアミノ基にすることにより得ることができる。
上記のようなアミノジベンゾ[g,p]クリセンは、様々な化合物を合成する際の中間体として有用であり、とりわけ後述するヒドロキシルジベンゾ[g,p]クリセンや、グリシジルアミノジベンゾ[g,p]クリセン等の化合物を得るための中間体として有用である。
更に、アミノジベンゾ[g,p]クリセンは、(1)単量体{特に、化合物(C1−26)〜化合物(C1−30)}、(2)硬化剤{特に、化合物(C1−25)〜化合物(C1−30)}、(3)架橋剤{特に、化合物(C1−29)〜化合物(C1−30)}等として有用である。
とりわけ上記(1)単量体としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリウレアなどの重合体を得るための単量体として利用できる。即ち、これらの重合体を得る際に用いられるジアミン単量体等のアミノ基を供給する単量体として利用できる。アミノジベンゾ[g,p]クリセンは、アミノ基を供給する単量体として単用してもよいし、他のアミノ基を供給する単量体と併用してもよい。他のアミノ基を供給する単量体としては、例えば、ポリイミドにおけるジアミノベンゼンや4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等のジアミン単量体が挙げられる。また、ポリアミドにおけるヘキサメチレンジアミンやフェニレンジアミン等のジアミン単量体が挙げられる。
上記アミノジベンゾ[g,p]クリセンを単量体として利用した場合には、重合体の主鎖に共役縮合多環構造(ジベンゾ[g,p]クリセン骨格)を導入できる。このため、従来の汎用単量体を利用する場合に比べてガラス転移点が高く、高い耐熱性を得ることができる。また、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格同士のスタッキングによって、熱伝導性を向上させることができる。更に、大きな共役構造を持つジベンゾ[g,p]クリセン骨格は、剛直な分子で耐熱性が高い。それにも関わらず、ねじれた構造を呈して、溶媒等に対する溶解度は比較的高い。このため、他の単量体とのブレンドが容易であり、得られる重合体の特性を制御し易い。また、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格は、この骨格を構成する3位、6位、11位及び14位の各炭素原子が同一平面に配置されないねじれた構造を呈し、多種の光学異性体を有する。このために、上記ジベンゾ[g,p]クリセン化合物のなかから、異なる光学活性を有した化合物を併用することで、得られる重合体の靭性を向上させることができる。
更に、上記式(C1)において、Nを含む1価の官能基がジグリシジルアミノ基{エポキシ末端を含むアミノ基として式(C2)を有するとともに、式(C2)中のR及びRがいずれもメチレン基である官能基}であるジベンゾ[g,p]クリセン化合物としては、1つのジグリシジルアミノ基を有するジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−31)}、2つのジグリシジルアミノ基を有するジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−32)、化合物(C1−33)及び化合物(C1−34)}、3つのジグリシジルアミノ基を有するジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−35)}、4つのジグリシジルアミノ基を有するジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−36)}が挙げられる。
Figure 0005939520
これらジグリシジルアミノ基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物の合成方法は特に限定されない。例えば、実施例に示すように、アミノジベンゾ[g,p]クリセンが有するアミノ基をグリシジル化して得ることができる。
上記のジグリシジルアミノ基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、(1)単量体{特に、化合物(C1−32)〜化合物(C1−36)}、(2)硬化剤{特に、化合物(C1−31)}、(3)架橋剤{特に、化合物(C1−35)〜化合物(C1−36)}等として有用である。
とりわけ上記(1)としては、エポキシ重合体を得るための、エポキシ末端を供給する単量体(エポキシ単量体)や、エポキシ末端を供給するオリゴマー(エポキシオリゴマー)等として利用できる。ジグリシジルアミノ基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、エポキシ単量体やエポキシオリゴマーとして単用してもよいし、他のエポキシ単量体やエポキシオリゴマーと併用してもよい。他のエポキシ単量体やエポキシオリゴマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシオリゴマー、ビフェニル型エポキシオリゴマー、ナフタレン型エポキシオリゴマー、フルオレン型エポキシオリゴマー等が挙げられる。
上記ジグリシジルアミノ基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物を単量体やオリゴマーとして利用した場合には、エポキシ樹脂の主鎖に共役縮合多環構造(ジベンゾ[g,p]クリセン骨格)を導入できる。このため、従来の汎用単量体やオリゴマーを利用する場合に比べてガラス転移点が高く、高い耐熱性を得ることができる。また、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格同士のスタッキングによって、熱伝導性を向上させることができる。更に、大きな共役構造を持つジベンゾ[g,p]クリセン骨格は、剛直な分子で耐熱性が高い。それにも関わらず、ねじれた構造を呈して、溶媒等に対する溶解度は比較的高い。このため、他の単量体とのブレンドが容易であり、得られる重合体の特性を制御し易い。また、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格は、この骨格を構成する3位、6位、11位及び14位の各炭素原子が同一平面に配置されないねじれた構造を呈し、多種の光学異性体を有する。このために、上記ジベンゾ[g,p]クリセン化合物のなかから、異なる光学活性を有した化合物を併用することで、得られる重合体の靭性を向上させることができる。
[3]式(C1)におけるOを含む1価の官能基について
上記式(C1)におけるR〜Rが、Oを含む1価の官能基である場合、この官能基としては、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格を構成する炭素原子にO(酸素原子)が直接結合した形態の官能基であることが好ましい。このようなOを含む1価の官能基としては、ヒドロキシル基(−OH)、下記式(C7)で表される官能基等が挙げられる。
Figure 0005939520
〔式(C7)のR12は1価の有機基である〕
上記式(C7)におけるR12の有機基としては、下記式(C6)で表されるエポキシ末端を有する1価の有機基等が挙げられる。
Figure 0005939520
〔式(C6)のR11は、炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキレン基である。〕
即ち、上記式(C1)におけるOを含む1価の官能基としては、下記式(C3)で表される官能基が挙げられる。
Figure 0005939520
〔式(C3)のRは、炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキレン基である〕
上記式(C1)において、Oを含む1価の官能基がヒドロキシル基であるヒドロキシルジベンゾ[g,p]クリセンとしては、モノヒドロキシルジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−37)}、ジヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−38)、化合物(C1−39)及び化合物(C1−40)}、トリヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−41)}、テトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−42)}が挙げられる。
Figure 0005939520
これらのヒドロキシルジベンゾ[g,p]クリセンの合成方法は特に限定されない。例えば、実施例に示すように、(1)アミノジベンゾ[g,p]クリセンのアミノ基をジアゾ化してジアゾニウム塩を得た後に、得られたジアゾニウム塩を分解して得ることができる。また、(2)ジベンゾ[g,p]クリセンをスルホン化した後、得られたジベンゾ[g,p]クリセンスルホン酸塩をヒドロキシル化して得ることができる。
上記のヒドロキシルジベンゾ[g,p]クリセンは、(1)重合体のための単量体{特に、化合物(C1−38)〜化合物(C1−42)}、(2)硬化剤{特に、化合物(C1−37)〜化合物(C1−42)}、(3)架橋剤{特に、化合物(C1−41)〜化合物(C1−42)}等として有用である。
とりわけ上記(1)単量体として用いる場合には、例えば、エポキシ末端(−CO)を有する単量体、アミノ末端(−NH)を有する単量体、カルボキシル基末端(−COOH)を有する単量体等の他の単量体と共重合することができる。他の単量体は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
具体的には、ポリエステル、ポリエーテル系重合体(ポリエーテルケトン等)、ポリカーボネート、ポリウレタンなどの重合体を得るための単量体として利用できる。ヒドロキシルジベンゾ[g,p]クリセンは、ヒドロキシル基を供給する単量体として単用してもよいし、ヒドロキシル基を供給する他の単量体と併用してもよい。
上記ヒドロキシルジベンゾ[g,p]クリセンを単量体として利用した場合には、重合体の主鎖に共役縮合多環構造(ジベンゾ[g,p]クリセン骨格)を導入できる。このため、従来の汎用単量体を利用する場合に比べてガラス転移点が高く、高い耐熱性を得ることができる。また、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格同士のスタッキングによって、熱伝導性を向上させることができる。更に、大きな共役構造を持つジベンゾ[g,p]クリセン骨格は剛直な分子で耐熱性が高い。それにも関わらず、ねじれた構造を呈して、溶媒等に対する溶解度は比較的高い。このため、他の単量体とのブレンドが容易であり、得られる重合体の特性を制御し易い。また、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格は、この骨格を構成する3位、6位、11位及び14位の各炭素原子が同一平面に配置されないねじれた構造を呈し、多種の光学異性体を有する。このために、上記ジベンゾ[g,p]クリセン化合物のなかから、異なる光学活性を有した化合物を併用することで、得られる重合体の靭性を向上させることができる。
また、上記式(C1)において、Oを含む1価の官能基がグリシジルエーテル基{エポキシ末端を含むエーテル基として式(C3)を有するとともに、式(C3)中のRがメチレン基である官能基}であるジベンゾ[g,p]クリセン化合物としては、1つのグリシジルエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−43)}、2つのグリシジルエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−44)、化合物(C1−45)及び化合物(C1−46)}、3つのグリシジルエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−47)}、4つのグリシジルエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−48)}が挙げられる。
Figure 0005939520
これらのグリシジルエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物の合成方法は特に限定されない。例えば、実施例に示すように、ヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンが有するヒドロキシル基をグリシジル化して得ることができる。
上記のグリシジルエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、(1)重合体のための単量体{特に、化合物(C1−44)〜化合物(C1−48)}、(2)硬化剤{特に、化合物(C1−43)〜化合物(C1−48)}、(3)架橋剤{特に、化合物(C1−47)〜化合物(C1−48)}等として有用である。
とりわけ上記(1)としては、エポキシ重合体を得るための、エポキシ末端を供給する単量体(エポキシ単量体)や、エポキシ末端を供給するオリゴマー(エポキシオリゴマー)等として利用できる。グリシジルエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、エポキシ単量体やエポキシオリゴマーとして単用してもよいし、他のエポキシ単量体やエポキシオリゴマーと併用してもよい。他のエポキシ単量体やエポキシオリゴマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシオリゴマー、ビフェニル型エポキシオリゴマー、ナフタレン型エポキシオリゴマー、フルオレン型エポキシオリゴマー等が挙げられる。
上記グリシジルエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物を単量体やオリゴマーとして利用した場合には、エポキシ樹脂の主鎖に共役縮合多環構造(ジベンゾ[g,p]クリセン骨格)を導入できる。このため、従来の汎用単量体やオリゴマーを利用する場合に比べてガラス転移点が高く、高い耐熱性を得ることができる。また、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格同士のスタッキングによって、熱伝導性を向上させることができる。更に、大きな共役構造を持つジベンゾ[g,p]クリセン骨格は、剛直な分子で耐熱性が高い。それにも関わらず、ねじれた構造を呈して、溶媒等に対する溶解度は比較的高い。このため、他の単量体とのブレンドが容易であり、得られる重合体の特性を制御し易い。また、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格は、この骨格を構成する3位、6位、11位及び14位の各炭素原子が同一平面に配置されないねじれた構造を呈し、多種の光学異性体を有する。このために、上記ジベンゾ[g,p]クリセン化合物のなかから、異なる光学活性を有した化合物を併用することで、得られる重合体の靭性を向上させることができる。
[4]式(C1)におけるSを含む1価の官能基について
上記式(C1)におけるR〜Rが、Sを含む1価の官能基である場合、この官能基としては、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格を構成する炭素原子にS(硫黄原子)が直接結合した形態の官能基であることが好ましい。このようなSを含む1価の官能基としては、チオール基(−SH)が挙げられる。
Sを含む1価の官能基がチオール基であるジベンゾ[g,p]クリセン化合物としては、1つのチオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物{化合物(C1−49)}、2つのチオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物{化合物(C1−50)、化合物(C1−51)及び化合物(C1−52)}、3つのチオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物{化合物(C1−53)}、4つのチオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物{化合物(C1−54)}が挙げられる。
Figure 0005939520
これらのチオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物の合成方法は特に限定されない。例えば、ジベンゾ[g,p]クリセンをスルホン化した後、得られた化合物のスルホン酸基を、スルホニルハロゲン基(−SOX)にし、更に、得られた化合物のスルホニルハロゲン基をチオール基にして得ることができる(スキームS10参照)。また、スキームS10におけるジベンゾ[g,p]クリセンスルホン酸に対して、トリフェニルホスフィン及びヨウ素を作用させることで、スルホニルハロゲン基を介することなく、直接的にスルホン酸基をチオール基にすることができる。
Figure 0005939520
上記のチオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、(1)重合体のための単量体{特に、化合物(C1−50)〜化合物(C1−54)}、(2)硬化剤{特に、化合物(C1−49)〜化合物(C1−54)}、(3)架橋剤{特に、化合物(C1−53)〜化合物(C1−54)}等として有用である。
とりわけ、単量体として用いる場合には、例えば、エポキシ末端(−CO)を有する単量体、アミノ末端(−NH)を有する単量体、カルボキシル基末端(−COOH)を有する単量体等の他の単量体と共重合することができる。他の単量体は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記のチオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物を単量体として利用した場合に、重合体の主鎖に共役縮合多環構造(ジベンゾ[g,p]クリセン骨格)を導入できることは、ヒドロキシルジベンゾ[g,p]クリセンを単量体として利用した場合と同様である。また、その効果についても、ヒドロキシルジベンゾ[g,p]クリセンを単量体として利用した場合と同様である。
また、チオール基を有する化合物は一般に臭気を有するが、上記のチオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物はほとんど臭気を有さない。このため、生活用品の構成材料等、臭気を有さないことが要求される分野における利用に有用である。また、このチオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、上述のように、単量体、硬化剤及び架橋剤として利用できる他、光酸発生剤を合成するための合成原料として利用することができる。
上記式(C1)におけるR〜Rが、Sを含む1価の官能基である場合、チオール基(−SH)以外の官能基としては、下記式(C8)で表される官能基等が挙げられる。
Figure 0005939520
〔式(C8)のR13は1価の有機基である〕
上記式(C8)におけるR13の有機基としては、下記式(C81)で表されるエポキシ末端を有する1価の有機基等が挙げられる。
Figure 0005939520
〔式(C81)のR14は、炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキレン基である。〕
即ち、上記式(C1)におけるSを含む1価の官能基としては、下記式(C82)で表される官能基が挙げられる。
Figure 0005939520
〔式(C82)のR15は、炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキレン基である〕
上記式(C82)として、R15がメチレン基(−CH−)であるグリシジルチオエーテル基(−S−CH−CO)が上げられる。
Sを含む1価の官能基が、グリシジルチオエーテル基であるジベンゾ[g,p]クリセン化合物としては、1つのグリシジルチオエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−55)}、2つのグリシジルチオエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−56)、化合物(C1−57)及び化合物(C1−58)}、3つのグリシジルチオエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−59)}、4つのグリシジルチオエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン{化合物(C1−60)}が挙げられる。
Figure 0005939520
これらのグリシジルチオエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物の合成方法は特に限定されない。例えば、チオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物のチオール基をグリシジル化して得ることができる。具体的には、後述する〈実施例8〉におけるヒドロキシル基のグリシジル化と同様に、エピクロロヒドリンを作用させることでチオール基をグリシジル化できる。
上記のグリシジルチオエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、(1)重合体のための単量体{特に、化合物(C1−56)〜化合物(C1−60)}、(2)硬化剤{特に、化合物(C1−55)〜化合物(C1−60)}、(3)架橋剤{特に、化合物(C1−59)〜化合物(C1−60)}等として有用である。
とりわけ上記(1)としては、エポキシ重合体を得るための、エポキシ末端を供給する単量体(エポキシ単量体)や、エポキシ末端を供給するオリゴマー(エポキシオリゴマー)等として利用できる。グリシジルチオエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、エポキシ単量体やエポキシオリゴマーとして単用してもよいし、他のエポキシ単量体やエポキシオリゴマーと併用してもよい。他のエポキシ単量体やエポキシオリゴマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシオリゴマー、ビフェニル型エポキシオリゴマー、ナフタレン型エポキシオリゴマー、フルオレン型エポキシオリゴマー等が挙げられる。
上記グリシジルチオエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物を単量体やオリゴマーとして利用した場合には、エポキシ樹脂の主鎖に共役縮合多環構造(ジベンゾ[g,p]クリセン骨格)を導入できることは、ヒドロキシルジベンゾ[g,p]クリセンを単量体として利用した場合と同様である。また、その効果についても、ヒドロキシルジベンゾ[g,p]クリセンを単量体として利用した場合と同様である。
更に、グリシジルチオエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物及びこれを単量体として含む重合体(オリゴマー等)は、とりわけ金属に対する接着力に優れた接着剤に用いることができる。
上記式(C1)におけるR〜Rが、Sを含む1価の官能基であり、且つ、上記式(C8)で表される官能基としては、上記式(C8)におけるRが、末端に重合性不飽和結合を有する1価の基(以下、この末端に重合性不飽和結合を有する1価の基は、単に「重合性不飽和基」という)である場合が挙げられる。この重合性不飽和基の炭素数は特に限定されないが、通常、炭素数2〜12である。
具体的には、上記のチオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物である化合物(C1−49)〜化合物(C1−54)を用いて、これらの化合物が有するチオール基を利用して、重合性不飽和基を得ることができる。
また、同様に、グリシジルチオエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物である化合物(C1−55)〜化合物(C1−60)を用いて、これらの化合物が有するグリシジルチオエーテル基を利用して、重合性不飽和基を得ることができる。
以下、これらの化合物を用いて、重合性不飽和基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物を得る方法について説明する。
チオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物(C1−49)〜化合物(C1−54)にアクリロイルハライドを反応させることで、重合性不飽和基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物が得られる(スキームS11参照)。スキーム(S11)中のX−CO−CH=CH(但し、Xはハロゲン原子)はアクリロイルハライドを表す。アクリロイルハライドは、チオール基と反応して、アクリロイル基を付与できる。上記アクリロイルハライドとしては、アクリロイルクロライド及びアクリロイルブロマイドが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
Figure 0005939520
同様に、チオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物(C1−49)〜化合物(C1−54)にメタクリロイルハライドを反応させても、重合性不飽和基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物が得られる(スキームS12参照)。スキーム(S12)中のX−CO−C(CH)=CH(但し、Xはハロゲン原子)はメタクリロイルハライドを表す。メタクリロイルハライドは、チオール基と反応して、メタクリロイル基を付与できる。上記メタクリロイルハライドとしては、メタクリロイルクロライド及びメタクリロイルブロマイドが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
Figure 0005939520
また、グリシジルチオエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物(C1−55)〜化合物(C1−60)に、アクリル酸を反応させることで重合性不飽和基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物が得られる(スキームS13参照)。スキーム(S13)中のCH=CH−COOHはアクリル酸を表す。アクリル酸は、グリシジルチオエーテル基が有するエポキシ環を開環させたうえで、アクリロイルオキシ基(−OCO−CH=CH)を付与できる。
Figure 0005939520
同様に、グリシジルチオエーテル基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物(C1−55)〜化合物(C1−60)に、メタクリル酸を反応させることで重合性不飽和基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物が得られる(スキームS14参照)。スキーム(S14)中のCH=C(CH)−COOHはメタクリル酸を表す。メタクリル酸は、グリシジルチオエーテル基が有するエポキシ環を開環させたうえで、メタクリロイルオキシ基{−OCO−C(CH)=CH}を付与できる。
Figure 0005939520
更に、チオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物(C1−49)〜化合物(C1−54)に、グリシジルアクリレートを反応させることで、重合性不飽和基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物が得られる(スキームS15参照)。スキーム(S15)中のCH=CH−CO−O−CH−COはグリシジルアクリレートを表す。グリシジルアクリレートは、チオール基と反応して、アクリロイル基を付与できる。
Figure 0005939520
同様に、チオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物(C1−49)〜化合物(C1−54)に、グリシジルメタクリレートを反応させても、重合性不飽和基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物が得られる(スキームS16参照)。スキーム(S16)中のCH=C(CH)−CO−O−CH−COはグリシジルメタクリレートを表す。グリシジルメタクリレートは、チオール基と反応して、メタクリロイル基を付与できる。
Figure 0005939520
また、チオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物(C1−49)〜化合物(C1−54)に、ハロゲン化プロペン(3−クロロ−1−プロペン、3−ブロモ−1−プロペン等)を反応させることで、重合性不飽和基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物が得られる(スキームS17参照)。スキーム(S17)中のX−CH−CH=CH(但し、Xはハロゲン原子)はハロゲン化プロペンを表す。ハロゲン化プロペンは、チオール基に対して、2−プロペニル基(−CH−CH=CH)を付与できる。
Figure 0005939520
同様に、チオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物(C1−49)〜化合物(C1−54)に、ハロゲン化メチルプロペン(3−クロロ−2−メチル−1−プロペン、3−ブロモ−2−メチル−1−プロペン等)を反応させても、重合性不飽和基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物が得られる(スキームS18参照)。スキーム(S18)中のX−CH−C(CH)=CH(但し、Xはハロゲン原子)はハロゲン化メチルプロペンを表す。ハロゲン化メチルプロペンは、チオール基に対して、2−メチル−2−プロペニル基{−CH−C(CH)=CH}を付与できる。
Figure 0005939520
上記スキーム(S11)〜(S18)によって得られる重合性不飽和基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、チオール基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物と同様に、重合体のための単量体、硬化剤、及び架橋剤等として有用である。また、単量体として利用した場合に、重合体の主鎖に共役縮合多環構造(ジベンゾ[g,p]クリセン骨格)を導入できること、及び、それによる効果についても、ヒドロキシルジベンゾ[g,p]クリセンを単量体として利用した場合と同様である。
更に、これらの重合性不飽和基を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物を単量体とし用いた重合体は、とりわけ光学材料として有用である。このような、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格に直接結合されたチオエーテル基(−S−)を有する単量体を用いた重合体は、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格に直接結合されたエーテル基(−O−)を有する単量体を用いた重合体に比べて、屈折率の高い光学材料を得ることができる。
尚、本明細書では、前述の式(C1)から除かれる(1)〜(6)の各形態のうち、(3)における−N(Ph)は、アミノ基(−NH)を構成する2つの水素原子の両方がフェニル基(−C)で置換されたジフェニルアミノ基を意味する。
また、本発明の重合体は、上記本発明の化合物を用いて得られたことを特徴とする。
本発明のジベンゾ[g,p]クリセン骨格を有する化合物を単量体として利用した場合には、得られる重合体の主鎖に共役縮合多環構造(ジベンゾ[g,p]クリセン骨格)を導入できる。ジベンゾ[g,p]クリセン骨格が導入された重合体は、従来の汎用単量体のみを利用して得られた重合体に比べて高いガラス転移温度を得ることができる。即ち、高い耐熱性を有する重合体とすることができる。
また、得られる重合体には、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格同士のスタッキング構造が存在することによって、熱伝導性に優れた重合体とすることができる。
更に、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格を有する重合体は、この骨格を構成する3位、6位、11位及び14位の各炭素原子が同一平面に配置されないねじれた構造を呈し、多種の光学異性体を有する。このために、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格を有する本発明の化合物のなかから、異なる光学活性を有した化合物を併用することで、高い靱性の重合体を得ることができる。
上記本発明の重合体としては、とりわけ、式(C6)及び/又は式(81)を含む本発明のジベンゾ[g.p]クリセン化合物と、アミノ基、ヒドロキシル基、及び、カルボキシル基から選ばれる少なくとも1種の基を有する共重合可能な単量体と、の重合体(共重合体)が例示される。
即ち、式(C6)及び/又は式(81)を含む本発明のジベンゾ[g,p]クリセン化合物としては、式(C2)、式(C3)及び/又は式(C82)で示されるグリシジル末端を有する基が挙げられる。このような基を有する本発明の化合物としては、式(C1−31)〜式(C1−36)に示す化合物が挙げられる。具体的には、後述する実施例において示す化合物51、化合物52及び化合物53が例示される。加えて、式(C1−43)〜式(C1−48)に示す化合物が挙げられる。具体的には、後述する実施例において示す化合物91及び化合物92が例示される。更に、式(C1−55)〜式(C1−60)に示す化合物が挙げられる。
一方、上記のアミノ基、ヒドロキシル基、及び、カルボキシル基から選ばれる少なくとも1種の基を有する共重合可能な単量体としては、各種エポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤が挙げられる他、本発明の化合物のうち、式(C1−25)〜式(C1−30)に示す化合物が挙げられる。具体的には、後述する実施例において示す化合物41、化合物42、化合物43及び化合物44が例示される。加えて、式(C1−37)〜式(C1−42)に示す化合物が挙げられる。具体的には、後述する実施例において示す化合物71、化合物72、化合物73及び化合物74が例示される。更に、式(C1−49)〜式(C1−54)に示す化合物が挙げられる。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。尚、以下では、ジベンゾ[g.p]クリセンを単に「ジベンゾクリセン」又は「DBC」という。
〈実施例1〉ブロモジベンゾクリセン(DBCのブロモ体)の製造
下記スキーム(S1)に示す合成を下記(1−1)〜(1−4)の工程に従って行い、ブロモジベンゾクリセン(DBCのブロモ体)を得た。
Figure 0005939520
(1−1)メカニカル撹拌装置及び環流冷却管を備えた容量5Lの四つ口フラスコに、DBC(化合物10)30g(0.0913mol)と、クロロホルム900g(和光純薬工業株式会社製)と、を仕込み、室温で撹拌してDBCをクロロホルム中に溶解した。尚、上記DBC(分子量328.41)は、社内合成品であり、HPLC分析による純度は99.8%である。
(1−2)上記(1−1)の内容物を、氷塩浴(−5℃)を用いて2℃まで冷却し、その状態において、5%Br−CHCl溶液(臭素のクロロホルム溶液)950gを、滴下ポンプ(PTFEダイヤフラムポンプ)を用いて1時間かけて滴下した。撹拌を継続しながら、滴下終了後から1時間毎にHPLC分析を用いて反応追跡を行い、ジブロモジベンゾクリセン(化合物22)の増加量が、トリブロモジベンゾクリセン(化合物23)の増加量を、下回った時点で1NのNaHSO水溶液(1mol/LのNaHSO水溶液)を620g添加して反応を停止した。
尚、上記5%Br−CHCl溶液は、クロロホルム(和光純薬工業株式会社製)に臭素を溶解して予め調製した溶液である。950gの5%Br−CHCl溶液には、臭素(分子量158.91)49.6g(0.311mol)が含まれている。
(1−3)上記(1−2)の操作後に、9%NaHCO水溶液526.6gを加えて内容物を中和し、得られた内容物を三回水洗した。即ち、蒸留水450gを添加して撹拌を行い、容量5Lの分液ロートに内容物を移し替えて静置した後、分離された水相を廃棄した。次いで、分液ロート内に残した有機相に新たな蒸留水450gを添加し、撹拌・静置後に水相を廃棄した。その後、更に新たな蒸留水450gを用いて同操作を1回行って水相を廃棄し、有機相を残した。エバポレーターで減圧濃縮して、この有機相から溶媒を除去し、白色固体43.3g得た(収率:97%)。
(1−4)上記(1−3)の操作で得られた白色固体を液体クロマトグラフ質量分析(以下、単に「LC/MS分析」という)に供した結果、モノブロモジベンゾクリセン(化合物21)が9.4%、ジブロモジベンゾクリセン(化合物22)が77%、トリブロモジベンゾクリセン(化合物23)が12%、含まれたブロモジベンゾクリセン(DBCのブロモ体)の混合物であった。
尚、LC/MS分析は、液体クロマトグラフ質量分析計(Agilent Technologies社製、型式「6220 Accurate−Mass TOF LC/MS」)を用いて行った。以下のLC/MS分析においても同様である。
〈実施例2〉ニトロジベンゾクリセン(DBCのニトロ体)の製造
下記スキーム(S2)に示す合成を下記(2−1)〜(2−5)の工程に従って行い、ニトロジベンゾクリセンを得た。
Figure 0005939520
(2−1)メカニカル撹拌装置及び環流冷却管を備えた容量300mLの四つ口フラスコに、DBC(化合物10)6.67g(0.0203mol)と、クロロホルム200g(和光純薬工業株式会社製)と、を仕込み、水浴(26℃)中で撹拌してDBCをクロロホルム中に完全に溶解させた。尚、DBC(分子量328.41)は、社内合成品であり、HPLC分析による純度は99.8%である。
(2−2)温度26℃の状態の上記(2−1)の内容物に、67.5%HNO水溶液(硝酸水溶液)7.58g(HNOを0.0812mol含有)を、ピペットで5分間かけて滴下した。この滴下で内容物は発熱し、液温は28℃に上昇した。更に、滴下終了から約10分間で液色は微黄色から黒褐色へと変化した。内容物の温度が26〜27℃の状態で撹拌を継続し、滴下終了から約15分後には黄橙色固体が析出し始め、時間経過とともに析出物は増加し、滴下終了から2時間で内容物はスラリー状となった。
尚、この(2−2)の操作で得られた析出物をLC/MS分析に供した結果、モノニトロジベンゾクリセン(化合物31)が主成分であり、ジニトロジベンゾクリセン(化合物32)の生成はほとんど認められない。モノニトロジベンゾクリセン(化合物31)を合成する観点では、反応系を25℃以下に維持することが好ましい。
(2−3)上記(2−2)の操作で利用した水浴を温度65℃の湯浴に替え、還流反応(内温59℃)を4時間行った。内容物は、黄色のスラリー粒子が微細化とともに、LC/MS分析により検出されるジニトロジベンゾクリセン(化合物32)の比率が増加し、ジニトロジベンゾクリセン(化合物32)の生成が進行していることが確認された。このジニトロジベンゾクリセン(化合物32)の生成を促進させるために、67.5%HNO水溶液(硝酸水溶液)1.89g(HNOを0.0203mol含有)を更に追加して、還流反応を1時間継続し、反応を終了した。
(2−4)撹拌しながら、上記(2−3)の操作を行った内容物の温度が25℃となるまで冷却した後、ブフナーロートとNo.2ろ紙とを用いて固液分離を行い、固形物を取り出した。次いで、得られた固形物から酸分を除去する目的でメタノール50gを利用して洗浄を行った後、温度60℃且つ10mmHgの減圧下で12時間乾燥し、黄色粉末7g(収率82%)を得た。
(2−5)上記(2−4)の操作で得られた黄色粉末をLC/MS分析に供した結果、モノニトロジベンゾクリセン(化合物31)が1.0%、ジニトロジベンゾクリセン(化合物32)が95%、トリニトロジベンゾクリセン(化合物33)が1.0%、含まれたニトロジベンゾクリセン(DBCのニトロ体)の混合物であった。
上記各化合物のマススペクトルを図1(化合物31)、図2(化合物32)、図3(化合物33)に示した。更に、混合物から微量検出されたテトラニトロジベンゾクリセン(化合物34)のマススペクトルを図4(化合物34)に示した。
Figure 0005939520
〈実施例3〉アミノジベンゾクリセン(DBCのアミン体)の製造
下記スキーム(S3)に示す合成を下記(3−1)〜(3−4)の工程に従って行い、アミノジベンゾクリセンを得た。
Figure 0005939520
(3−1)マグネット式撹拌装置及び環流冷却管を備えた容量200mLの三つ口フラスコに、上記(2−5)で得られたニトロジベンゾクリセンの混合物3(化合物31、化合物32及び化合物33を含む)2.0gと、5%Pd/C(50%水湿潤パラジウム炭素)0.2g(乾燥質量換算)と、テトラヒドロフラン(THF)30gと、を仕込み、湯浴(65℃)中で撹拌して、内容物を60℃まで昇温させた。
(3−2)上記(3−1)の内容物に、80%ヒドラジン水溶液(水にヒドラジン・一水和物を溶解した液)2.39g{ヒドラジン(NHNH)を0.0382mol含有)を、ピペットで5分間かけて滴下した。この滴下により、内容物は黄色スラリー状態から赤褐色の液体に緩やかに変化した。また、この際に窒素ガスの発生と、発熱(還流)が観測された。その後、内容物の温度が63℃の状態において、撹拌をしながら2時間還流を継続し、反応を終了した。
(3−3)上記(3−2)の操作を行った内容物の温度が35℃となるまで冷却した。その後、Pd/Cの除去を目的として、ブフナーロートとNo.5Cろ紙と少量のラヂオライト(ろ過助剤)と、を用い、温度約30℃で固液分離を行って、赤褐色の液体を取り出した。次いで、この赤褐色溶液を、濃縮装置を備えた容量100mLの三口フラスコに仕込み、内温約45℃においてアスピレ−ターで減圧しながら液量(テトラヒドロフラン)が約半分となるまで減容し、濃縮した赤褐色溶液を得た。
更に、再沈殿を目的として、室温において、容量300mLのビーカー内で撹拌している蒸留水120gに、上記(3−3)までに得られた赤褐色溶液をピペットで滴下した。この滴下によって黄赤色の固形分が析出された。上記ビーカー内の撹拌を30分間継続して停止し、内容物をブフナーロートとNo.2ろ紙とを用いて固液分離し、黄橙色の固形分を得た。得られた固形分を、温度60℃且つ10mmHgの減圧下で12時間乾燥して黄橙色粉末1.5g(収率88%)を得た。
(3−4)上記(3−3)の操作で得られた黄橙色粉末をLC/MS分析に供した結果、モノアミノジベンゾクリセン(化合物41)が4.0%、ジアミノジベンゾクリセン(化合物42)が94%、含まれたアミノジベンゾクリセンの混合物であった。
尚、アミノ基の置換数が多いトリアミノジベンゾクリセンは液相(THF+水)へ溶解し易いものと考えられる一方、アミノ基の置換数が少ないモノアミノジベンゾクリセンは液相(THF+水)への溶解量が少ないものと考えられる。このため、この上記(3−3)の操作においてトリアミノジベンゾクリセンは水相へ溶出したものと考えられる。
上記各化合物のマススペクトルを図5(化合物41)、図6(化合物42)に示した。更に、混合物から微量検出されたトリアミノジベンゾクリセン(化合物43)のマススペクトルを図7(化合物43)に、テトラアミノジベンゾクリセン(化合物44)のマススペクトルを図8(化合物44)に示した。
Figure 0005939520
〈実施例4〉グリシジルアミノジベンゾクリセン(DBCのグリシジルアミン体)の製造
下記スキーム(S4)に示す合成を下記(4−1)〜(4−3)の工程に従って行い、グリシジルアミノジベンゾクリセンを得た。
Figure 0005939520
(4−1)マグネット式撹拌装置及び環流冷却管を備えた容量300mLの四つ口フラスコに、上記(3−4)で得られたアミノジベンゾクリセンの混合物4(化合物41及び化合物42を含む)10.85gと、エタノール(和光純薬工業株式会社製)27gと、エピクロロヒドリン(関東化学株式会社製)67.2g(0.726mol)と、を仕込み、湯浴を用いて保温しながら、内温80℃で6時間撹拌を行いながら反応させた。これにより、内容物は赤褐色の溶液に変化した。
(4−2)次いで、湯浴中で撹拌を継続しながら内温を60℃まで降温させた後、50%NaOH水溶液(水酸化ナトリウム水溶液)10.67g(NaOHを0.267mol含有)を、ピペットで上記(4−1)の内容物に対して5時間かけて滴下した。その後、撹拌を3時間継続して停止した。
次いで、アスピレ−ターで減圧しながら溶媒(エタノール+水)を除去した後、トルエン100gを添加して内容物を溶解して、蒸留水50gを用いた水洗を三回行い、水洗浄後の有機相を、温度100℃且つ1mmHgの減圧下で溶媒を除去して、赤褐色塊状物12.1g(収率68%)を得た。
(4−3)上記(4−2)の操作で得られた赤褐色塊状物のエポキシ当量を下記の方法により測定した結果、エポキシ当量は121g/eqであった(収率68%)。
更に、上記各化合物のマススペクトルを図9(化合物51)、図10(化合物52)に示した。また、混合物から微量検出されたトリス(ジグリシジルアミノ)ジベンゾクリセン(化合物53)のマススペクトルを図11(化合物53)に示した。
Figure 0005939520
〈実施例5〉ジベンゾクリセンのジアゾニウム塩の製造
下記スキーム(S5)に示す合成を下記(5−1)〜(5−2)の工程に従って行い、ジベンゾクリセンのジアゾニウム塩を得た。
Figure 0005939520
(5−1)マグネット式撹拌装置を備えるとともにアルミホイルで遮光した、容量100mLの三つ口フラスコに、上記(3−4)で得られたアミノジベンゾクリセンの混合物4(化合物41及び化合物42を含む)1.0gと、蒸留水30gと、98%HSO(和光純薬工業株式会社製)1.61g(0.156mol)と、を仕込み、氷浴中で撹拌して、内温が3℃になるまで冷却した。
(5−2)次いで、亜硝酸ナトリウム0.404g(5.86×10−3mol含有)を40%NaNO水溶液(亜硝酸ナトリウム水溶液)として、ピペットで上記(5−1)の内容物に対して1分間かけて滴下した。滴下により内容物は赤色に変化した。その後、内温3℃のまま2時間撹拌を継続して停止した。内容物は、赤褐色の析出物であるジベンゾクリセンのジアゾニウム塩を含んだスラリーが得られた。
その後、得られたスラリーに、アミド硫酸(和光純薬工業株式会社製)0.041g(4.18×10−4mol)を投入して亜硝酸成分を分解した(KIでんぷん紙により亜硝酸成分の消失を確認した)。
〈実施例6〉ヒドロキシジベンゾクリセンの製造(1)
下記スキーム(S6)に示す合成を下記(6−1)〜(6−2)の工程に従って行い、ヒドロキシジベンゾクリセンを得た。
Figure 0005939520
(6−1)マグネット式撹拌装置を備えた容量200mLの三つ口フラスコに投入した蒸留水を、沸騰湯浴上で撹拌した。この蒸留水に、上記(5−2)までに得られたジベンゾクリセンのジアゾニウム塩を含んだスラリー(混合物6)をピペットを用いて滴下した。この滴下により、ジアゾニウム塩の分解による窒素ガスの発生及び固体の析出が確認された。滴下後内温100℃で1時間撹拌して反応を継続させた後、内容物を内温25℃まで冷却した。
その後、ブフナーロートとNo.2ろ紙とを用いて固液分離を行い、固形物を取り出した。次いで、得られた固形物から酸分を除去する目的で蒸留水を利用して洗浄を行った後、温度70℃且つ10mmHgの減圧下で12時間乾燥し、黒灰色粉末1g(収率99%)を得た。
(6−2)上記(6−1)の操作で得られた黒灰色粉末をLC/MS分析に供した結果、モノヒドロキシジベンゾクリセン(化合物71)が30%、ジヒドロキシジベンゾクリセン(化合物72)が47%、含まれたヒドロキシジベンゾクリセンの混合物であった。
更に、上記各化合物のマススペクトルを図12(化合物71)、図13(化合物72)に示した。また、混合物から微量検出されたトリヒドロキシジベンゾクリセン(化合物73)のマススペクトルを図14(化合物73)に、テトラヒドロキシジベンゾクリセン(化合物74)のマススペクトルを図15(化合物74)に示した。
Figure 0005939520
〈実施例7〉ヒドロキシジベンゾクリセンの製造(2)
ジベンゾクリセン(化合物10)を用いて下記スキーム(S7)に示す合成によってジベンゾクリセンスルホン酸カルシウム塩(混合物8)を得た。更に、得られたジベンゾクリセンスルホン酸カルシウム塩(混合物8)を用いて下記スキーム(S8)に示す合成によってヒドロキシジベンゾクリセン(混合物7’)を得た。
以下、(7−1)及び(7−2)において各々詳しく説明する。
Figure 0005939520
Figure 0005939520
(7−1)ジベンゾクリセンスルホン酸カルシウム塩の製造
(7−11)メカニカル撹拌装置を備えた容量1Lの四つ口フラスコに、DBC(化合物10)20g(0.06mol)と、95%硫酸(和光純薬工業株式会社製)200g(1.94mol)と、を仕込み、湯浴を用いて保温しながら内温80℃で2時間撹拌しながら反応させた。その結果、内容物は、均一な灰色粘調液体となった。
尚、上記DBC(分子量328.41)は、社内合成品であり、HPLC分析による純度は99.8%である。
(7−12)上記(7−11)で得られた内容物が含まれたフラスコを氷浴で冷却しながら、蒸留水400gを添加した。尚、この添加の際には、発熱により内温が40℃を超えないように、測温しながら40℃以下の内温を維持しながら添加を行った。
次いで、上記蒸留水を添加したフラスコに、粉末状の水酸化カルシウム(和光純薬工業株式会社製)154.4g(2.08mol)を添加した。尚、この添加の際には、発熱により内温が45℃を超えないように、測温しながら45℃以下の内温を維持しながら添加を行った。この添加によって、硫酸カルシウムが白色固体として析出するとともに、内容物はスラリーとなった。また、その液性はアルカリ性であった。
(7−13)上記(7−12)得られたスラリーをステンレス製ブフナーロートとNo.2ろ紙を用いた吸引ろ過を行って得られたろ液(淡黄色の液体)を回収した。更に、固形分残渣(主として硫酸カルシウム)を350gの蒸留水で洗浄し、その洗浄液も回収し、上記ろ液とともに上記濾液とともにロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮した。その結果、淡黄色粉状固体であるジベンゾクリセンスルホン酸カルシウム塩を36.5g得た(収率82.7%)。ジベンゾクリセンスルホン酸カルシウム塩は、(7−2)で後述するヒドロキシジベンゾクリセンのLC/MS分析の結果から、98%が4置換ジベンゾクリセンスルホン酸塩(化合物81)であり、残部が3置換ジベンゾクリセンスルホン酸塩である混合物8であると考えられる。
(7−2)ヒドロキシジベンゾクリセンの製造
(7−21)ニッケル製の容積100mlである筒状容器に85%水酸化カリウム粒(和光純薬工業株式会社製)14.0g(0.212mol)を投入し、ホットプレート(400℃)上で熱溶融させた。続いて、上記(7−1)で得られたジベンゾクリセンスルホン酸カルシウム塩(混合物8)4.0g(0.0055mol)を添加した。この添加に際しては、ジベンゾクリセンスルホン酸カルシウム塩を、30分間でかけて上記のニッケル製筒状容器に投入するとともに、投入時にステンレス製さじで撹拌することによって反応を促した。更に、ジベンゾクリセンスルホン酸カルシウム塩の添加終了後30分間撹拌を継続した。その結果、赤褐色の粘調な液体が得られた。
(7−22)上記(7−22)で得られた赤褐色の粘調な液体(上記ニッケル製筒状容器の内容物)は、熱いうちにステンレス製の容積200mlカップに注ぎ入れて冷却固化した。続いて、このステンレス製カップに蒸留水40gを添加して固形物を水溶させて赤褐色のやや濁った液体を得た。
次いで、上記赤褐色の液体を、ガラス製の容積200mlビーカーに移し、マグネット式撹拌装置を用いて撹拌しながら、35%塩酸(和光純薬工業株式会社)を添加して褐色固体を含む内容物を得た。この添加に際しては、pHメーターでpH計測を行いながら内容物のpHがpH3となるまで添加を継続した。上記褐色固体は、中和時点で析出されるのが確認された。
(7−23)その後、上記(7−22)までに得られた内容物に、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)30gを添加しながら撹拌して上記褐色固体を溶解した。そして、得られた液体を静置して有機相と水相とに分離させた後、有機相を分取した。分取した有機層は、ガラス製ロートとNo.2ろ紙でろ過して不溶物を除去した後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮し、褐色粉状固体1.6gを得た(収率73.9%)。上記操作で得られた褐色粉状固体をLC/MS分析に供した結果、褐色粉状固体の98%は4置換ヒドロキシジベンゾクリセン(化合物74)であり、残部は3置換ヒドロキシジベンゾクリセンである混合物7’であった。
(7−3)実施例7の効果
先に実施例1〜実施例3及び実施例6において示したように、DBCにニトロ基を導入し、導入したニトロ基をアミノ基に還元し、得られたアミノ基をジアゾ化した後、得られたジアゾニウム塩を分解してヒドロキシDBCを得ることができる。この場合には、2置換されたヒドロキシDBCが主成分となる。一方、実施例7の方法では、先の方法に比べて工程数を少なく抑えることができるとともに、4置換されたヒドロキシDBCを主成分として得やすいことが分かる。これらの方法は適宜目的に応じて使い分けることができる。
〈実施例8〉ジベンゾクリセングリシジルエーテルの製造
上記実施例7で得られたヒドロキシジベンゾクリセン(混合物7’)を用いて下記スキーム(S9)に示す合成を行ってジベンゾクリセングリシジルエーテル(混合物9)を得た。
Figure 0005939520
(8−1)マグネット式撹拌装置及び環流冷却管を備えた容量50mLの四つ口フラスコに、実施例7で得られたヒドロキシジベンゾクリセン(混合物7’)1.0g(約0.0255mol)と、エタノール(和光純薬工業株式会社製)10gと、エピクロロヒドリン(関東化学株式会社製)30g(0.324mol)と、を仕込み、湯浴を用いて保温しながら、内温40℃で撹拌した。
(8−2)次いで、湯浴中で撹拌を継続して内温を40℃に保ちながら、上記(8−1)で得られた内容物に、粉状の水酸化ナトリウム0.43g(0.011mol含有)を2時間かけて添加した。添加終了後も、撹拌を1時間継続して行い、褐色の不均一溶液を得た。その後、アスピレ−ターで減圧しながら、得られた褐色の不均一溶液から溶媒(エタノール及びエピクロロヒドリン)を除去した。次いで、この溶媒が除去された内容物にメチルイソブチルケトン(MIBK)10gを添加して撹拌した後、ガラス製ロートとNo.2ろ紙を用いて不溶物を除去した。
(8−3)その後、ロータリーエバポレーターを用いて温度80℃且つ1mmHgの減圧下で、不溶物が除去された液体から溶媒を除去して、黄色油状物1.4g(収率82.8%)を得た。上記操作で得られた黄色油状物をLC/MS分析に供した結果、黄色油状物の98%が4置換ジベンゾクリセングリシジルエーテル(化合物91)であり、残部は3置換ジベンゾクリセングリシジルエーテル(化合物92)である、混合物9であった。
4置換ジベンゾクリセングリシジルエーテル(化合物91)のマススペクトルを図16に、3置換ジベンゾクリセングリシジルエーテル(化合物92)のマススペクトルを図17に、各々示した。
〈実施例9〉エポキシ樹脂の評価
(1)硬化エポキシ樹脂の作製
下記表1に示す〈実施例9−1〉〜〈実施例9−4〉のエポキシ樹脂用単量体とエポキシ樹脂用硬化剤との組合せによって硬化エポキシ樹脂を作製し、これらの硬化エポキシ樹脂について熱特性を測定した。
Figure 0005939520
〈実施例9−1〉
上記実施例4で得られたグリシジルアミノジベンゾクリセン(グリシジルアミノDBC、化合物51−53の混合物)を単量体とし、ジアミノジフェニルメタン(DDM)を硬化剤として、反応当量が1:1となるように測り取り乳鉢で粉砕混合した。次いで、得られた粉末混合物をアルミ皿上で、温度150℃下で溶融混合した。更に、真空脱泡を行った後、150℃で30分間、200℃で30分間維持して、硬化された茶褐色の樹脂塊状物を得た。
〈実施例9−2〉
上記実施例8で得られたジベンゾクリセングリシジルエーテル(DBCグリシジルエーテル、化合物91−化合物92の混合物)を単量体とし、ジアミノジフェニルメタン(DDM)を硬化剤として、反応当量が1:1となるように測り取り乳鉢で粉砕混合した。その後、実施例9−1と同条件で硬化して、淡黄色の樹脂塊状物を得た。
〈実施例9−3〉
上記実施例8で得られたジベンゾクリセングリシジルエーテル(DBCグリシジルエーテル、化合物91−化合物92の混合物)を単量体とし、実施例3で得られたアミノジベンゾクリセン(アミノDBC、化合物41−化合物44の混合物)を硬化剤として、反応当量が1:1となるように測り取り乳鉢で粉砕混合した。その後、実施例9−1と同条件で硬化して、淡黄色の樹脂塊状物を得た。
〈実施例9−4〉
上記実施例8で得られたジベンゾクリセングリシジルエーテル(DBCグリシジルエーテル、化合物91−化合物92の混合物)を単量体とし、実施例7で得られた
ヒドロキシジベンゾクリセン(ヒドロキシDBC、化合物73−化合物74の混合物)を硬化剤として、反応当量が1:1となるように測り取り乳鉢で粉砕混合した。その後、実施例9−1と同条件で硬化して、淡黄色の樹脂塊状物を得た。
(2)硬化エポキシ樹脂の評価
上記〈実施例9−1〉〜〈実施例9−4〉で得られた各硬化エポキシ樹脂から各3mgずつを秤量して、各々DSC測定用のアルミニウムクリンプセルに充填した。その後、示差走査熱量測定装置(株式会社島津製作所製、型式「DSC−50」)を用いて、室温から昇温速度10℃/分で450℃まで加熱を行った際の熱特性を測定した。得られたDSC分析チャートを多重表示した多重チャートを図18に示した。
この図18の結果から、〈実施例9−1〉の硬化エポキシ樹脂は、温度210.93℃に、〈実施例9−2〉の硬化エポキシ樹脂は、温度335.98℃に、〈実施例9−3〉の硬化エポキシ樹脂は、温度321.95℃に、〈実施例9−4〉の硬化エポキシ樹脂は、温度368.24℃及び温度382.27℃に、各々熱特性の変化点が認められた。
このうち、〈実施例9−1〉〈実施例9−2〉及び〈実施例9−3〉は、いずれのチャートでも加熱過程において熱分解ピークに至るまでの間に有意な熱特性の変化を示さないことから、上記の熱特性の変化点は、熱分解開始温度であると考えられる。即ち、熱分解開始温度は、〈実施例9−1〉で温度210.93℃、〈実施例9−2〉で温度335.98℃、〈実施例9−3〉で321.95℃であると考えられる(表1参照)。
尚、〈実施例9−1〉〜〈実施例9−3〉の硬化エポキシ樹脂のDSCチャートには、ガラス転移点や融点などを読み取ることができる有意な吸熱挙動が認められないことから、これらの硬化エポキシ樹脂では、上記熱分解開始領域にガラス転移及び融解が重なっているか、又は、ガラス転移及び融解を示さない硬化物である場合がある。
一方、〈実施例9−4〉では、温度368.24℃から開始される吸熱挙動が認められ、これはガラス転移点であると考えられる。即ち、〈実施例9−4〉のガラス転移点は368.24℃である。更に、上記吸熱挙動の後に熱分解ピークが認められることから、〈実施例9−4〉の熱分解開始温度は、温度382.27℃である。
(3)実施例9の効果
一般的なビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂を、ジアミノジフェニルメタン(DDM)を硬化剤として硬化させた硬化エポキシ樹脂のガラス転移温度は170℃以下である。このことから、本発明の化合物を単量体に用いた本発明の重合体(〈実施例9−1〉〜〈実施例9−4〉)は、いずれも通常考えられるエポキシ樹脂に比べて極めて高い耐熱特性を有していることが分かる。
とりわけ、〈実施例9−4〉に示す硬化エポキシ樹脂が示すガラス転移温度は368.2℃と非常に高い。このガラス転移温度は、現在知られているエポキシ樹脂として最も高い耐熱性を有すると考えられるナフタレン骨格エポキシ樹脂が呈するガラス転位温度350℃よりも更に高い温度である。このことから、本発明の化合物が、耐熱樹脂の単量体及び硬化剤等として著しく優れた特性を示すことが分かる。当然のことながら、単量体及び硬化剤は、本発明の化合物を用いて種々変更・組み合わせることが可能である。
更に、図18の多重チャートの結果から、〈実施例9−1〉に用いた単量体であるグリシジルアミノDBCは2置換体を主成分とするのに対して、〈実施例9−2〉に用いた単量体であるDBCグリシジルエーテルは4置換体を主成分とする。この違いに起因して、置換数が多いジベンゾクリセン化合物を用いた方がより高い耐熱性が得られているものと考えられる。
同様に、〈実施例9−3〉に用いた硬化剤であるアミノDBCは2置換体を主成分とするのに対して、〈実施例9−4〉に用いた硬化剤であるヒドロキシDBCは4置換体を主成分とする。この違いに起因して、置換数が多いジベンゾクリセン化合物を用いた方がより高い耐熱性が得られているものと考えられる。
〈実施例10〉チオール基を有するジベンゾクリセン化合物の製造
(10−1)ジベンゾクリセンスルホン酸の製造
メカニカル撹拌装置を備えた容量300mlの四つ口フラスコに、実施例7の「ヒドロキシジベンゾクリセンの製造(2)」における(7−13)までに得られた混合物8(ジベンゾクリセンスルホン酸カルシウム塩、スキームS7参照)20g(0.0276mol)と、イオン交換水80gを仕込み80℃で溶解させた。続いて25℃まで冷却した後、35%塩酸(和光純薬工業社製)62.5g(0.60mol)を仕込み、更に、塩化カルシウム(和光純薬工業社製)を固体の析出が始まるまで添加した。その後、ブフナーロートとNo.2ろ紙とを用いて固液分離を行い、固形物を取り出した。次いで、温度90℃且つ10mmHgの減圧下で12時間乾燥し、白色粉末であるジベンゾクリセンスルホン酸を13.3g(収率74%)得た(スキームS19参照)。
Figure 0005939520
(10−2)スルホニルクロライド基を有するジベンゾクリセン化合物の製造
メカニカル撹拌装置を備えた容量300mlの四つ口フラスコに、上記(10−1)で得られたジベンゾクリセンスルホン酸10g(0.015mol)と、塩化チオニル(和光純薬工業社製)53.5g(0.45mol)と、N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製)5gと、を仕込み、湯浴を用いて保温しながら内温80℃で12時間撹拌を行った。その後、20mmHgの減圧下で余剰の塩化チオニルを留去した。その結果、褐色固体であるスルホニルクロライド基を有するジベンゾクリセン化合物を9.8g(収率90%)得た(スキームS20参照)。
Figure 0005939520
(10−3)チオール基を有するジベンゾクリセン化合物の製造
メカニカル撹拌装置を備えた容量500mlの四つ口フラスコに、上記(10−2)で得られたスルホニルクロライド基を有するジベンゾクリセン化合物5.5g(0.0076mol)と、アセトニトリル(関東化学社製)250gと、亜鉛末(本荘ケミカル社製)24.8g(0.38mol)と、を仕込んだ。次いで、水浴を用いて冷却しながら内温40℃で35%塩酸(和光純薬工業社製)83.4g(0.80mol)を2時間かけてフラスコに撹拌しながら滴下した。更に、湯浴を用いて保温しながら内温70℃で8時間撹拌を継続した。その後、内容物を室温まで冷却した後、不溶解物をろ過により取り除いて溶液を得た。次いで、得られた溶液が、その半量となるまで減圧濃縮した後、イオン交換水100gを添加して固形物を析出させた。その後、ブフナーロートとNo.2ろ紙とを用いて固液分離を行った。その結果、褐色粉状固体であるチオール基を有するジベンゾクリセン化合物1.8gを(収率53%)得た(スキームS21参照)。
Figure 0005939520
(10−4)上記(10−3)の操作で得られた褐色粉状固体を、LC/MS分析に供した結果、褐色粉状固体は、チオール基を4つ有するジベンゾクリセン化合物(C1−54)(精密質量:456.0135)98質量%と、残部としてチオール基を3つ有するジベンゾクリセン化合物(C1−53)(精密質量:424.0414)と、を含む混合物であった。
〈実施例11〉ヒドロキシDBCにおけるヒドロキシル基の付加状態の観察
実施例7(7−23)までに得られた混合物7’(ヒドロキシジベンゾクリセン)のうち、その主成分である4置換ヒドロキシジベンゾクリセン(化合物74)のヒドロキシル基の付加数及び付加位置の観察を以下の方法により行った。
フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR装置:Bruker Biospin社製、形式「AVANCE III−600 with Cryo Probe」)を用い、H−NMR及び13C−NMRの測定を行うとともに構造解析を行った。また、得られたH−NMRのチャートを図19に、図19の一部を拡大したチャートを図20に示した。更に、13C−NMRのチャートを図21に、図21の一部を拡大したチャートを図22に示した。
このFT−NMR測定における測定条件は、以下の通りである。
観測周波数;H−NMRが600MHz、13C−NMRが150MHz
測定溶媒 ;CDCl、DMSO−d
測定温度 ;300K
化学シフト基準 ;CDCl H;7.25ppm、13C;77.05ppm
;DMSO−d H;2.50ppm、13C;39.50ppm
高速液体クロマトグラフ装置(株式会社島津製作所製、型式「Prominence LC−20A」)を用いて下記条件において実施例7で得られた化合物74の異性体分離を行った。
カラム;インタクト株式会社製 形式「Cadenza CD−C18 4.6×150」、カラム温度;40℃、移動相;メタノール(A)及び0.01%ギ酸(B)、グラジエント;A:B=6:4、流量;1mL/分、検出器;UV254nm。
その結果、上記H−NMRスペクトルの積分曲線から、ヒドロキシル基の付加数は、ジベンゾクリセン構造に対して平均4個と求められた。即ち、化合物74は、4置換ヒドロキシジベンゾクリセンであることが確認された。
更に、H−NMRスペクトルのピークパターンから、ヒドロキシル基は、1位、2位、4位、5位、8位、9位、12位及び13位の位置には付加されていないことが分かった。従って、化合物74は、ヒドロキシル基の付加位置が[3,6,11,14]、[3,6,11,15]、[3,6,10,15]、[2,7,10,14]、[2,7,10,15]、[3,7,10,14]、[3,7,11,15]のである7種の異性体の全部又はその一部の混合物である確認された。
更に、得られたクロマトグラムから、化合物74に係るピークが4種(ピーク1;保持時間4.425、ピーク2;保持時間4.842、ピーク3;保持時間5.062、ピーク4;保持時間5.419)認められた。このことから、化合物74は、上記7種の異性体のうちの少なくとも4種以上が含まれた混合物であることが確認された。
尚、本発明においては、上記の具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。

Claims (18)

  1. 下記式(C1)で表される化合物であって、
    下記R 〜R のうちの少なくともいずれかが、下記Nを含む1価の官能基であり、
    前記Nを含む1価の官能基が、−NH である化合物
    Figure 0005939520
    〔式(C1)中、R〜Rは、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
    (1)R〜Rの全てがH(水素原子)である。
    (2)Rが2位においてBrであり、Rが10位においてBrであり、且つR及びRがHである。
    (3)前記Nを含む1価の官能基が−N(Ph)である。
    (4)Rが3位においてヒドロキシル基であり、Rが11位においてヒドロキシル基であり、且つR及びRがHである。
    (5)Rが3位においてメトキシ基であり、Rが11位においてメトキシ基であり、且つR及びRがHである。
    (6)Rが3位においてトシル基であり、Rが11位においてトシル基であり、且つR及びRがHである。
  2. 下記式(C1)で表される化合物であって、
    下記R 〜R のうちの少なくともいずれかが、下記Nを含む1価の官能基であり、
    前記Nを含む1価の官能基が、下記式(C2)で示される化合物
    Figure 0005939520
    〔式(C1)中、R〜Rは、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
    (1)R〜Rの全てがH(水素原子)である。
    (2)Rが2位においてBrであり、Rが10位においてBrであり、且つR及びRがHである。
    (3)前記Nを含む1価の官能基が−N(Ph)である。
    (4)Rが3位においてヒドロキシル基であり、Rが11位においてヒドロキシル基であり、且つR及びRがHである。
    (5)Rが3位においてメトキシ基であり、Rが11位においてメトキシ基であり、且つR及びRがHである。
    (6)Rが3位においてトシル基であり、Rが11位においてトシル基であり、且つR及びRがHである。
    Figure 0005939520
    〔但し、式(C2)中、R 及びR は、各々独立に、炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキレン基である。〕
  3. 下記式(C1)で表される化合物であって、
    下記R 〜R のうちの少なくともいずれかが、下記Nを含む1価の官能基であり、
    前記Nを含む1価の官能基が、−NO である化合物
    Figure 0005939520
    〔式(C1)中、R〜Rは、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
    (1)R〜Rの全てがH(水素原子)である。
    (2)Rが2位においてBrであり、Rが10位においてBrであり、且つR及びRがHである。
    (3)前記Nを含む1価の官能基が−N(Ph)である。
    (4)Rが3位においてヒドロキシル基であり、Rが11位においてヒドロキシル基であり、且つR及びRがHである。
    (5)Rが3位においてメトキシ基であり、Rが11位においてメトキシ基であり、且つR及びRがHである。
    (6)Rが3位においてトシル基であり、Rが11位においてトシル基であり、且つR及びRがHである。
  4. 下記式(C1)で表される化合物であって、
    下記R 〜R のうちの少なくともいずれかが、下記Oを含む1価の官能基であり、
    前記Oを含む1価の官能基が、−OHである化合物
    Figure 0005939520
    〔式(C1)中、R〜Rは、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
    (1)R〜Rの全てがH(水素原子)である。
    (2)Rが2位においてBrであり、Rが10位においてBrであり、且つR及びRがHである。
    (3)前記Nを含む1価の官能基が−N(Ph)である。
    (4)Rが3位においてヒドロキシル基であり、Rが11位においてヒドロキシル基であり、且つR及びRがHである。
    (5)Rが3位においてメトキシ基であり、Rが11位においてメトキシ基であり、且つR及びRがHである。
    (6)Rが3位においてトシル基であり、Rが11位においてトシル基であり、且つR及びRがHである。
  5. 下記式(C1)で表される化合物であって、
    下記R 〜R のうちの少なくともいずれかが、下記Oを含む1価の官能基であり、
    前記Oを含む1価の官能基が、下記式(C3)で示される化合物
    Figure 0005939520
    〔式(C1)中、R〜Rは、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
    (1)R〜Rの全てがH(水素原子)である。
    (2)Rが2位においてBrであり、Rが10位においてBrであり、且つR及びRがHである。
    (3)前記Nを含む1価の官能基が−N(Ph)である。
    (4)Rが3位においてヒドロキシル基であり、Rが11位においてヒドロキシル基であり、且つR及びRがHである。
    (5)Rが3位においてメトキシ基であり、Rが11位においてメトキシ基であり、且つR及びRがHである。
    (6)Rが3位においてトシル基であり、Rが11位においてトシル基であり、且つR及びRがHである。
    Figure 0005939520
    〔但し、式(C3)中、R は炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキレン基である〕
  6. 下記式(C1)で表される化合物であって、
    下記R 〜R のうちの少なくともいずれかが、下記Sを含む1価の官能基である化合物
    Figure 0005939520
    〔式(C1)中、R〜Rは、各々独立に、H(水素原子)、X(ハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
    (1)R〜Rの全てがH(水素原子)である。
    (2)Rが2位においてBrであり、Rが10位においてBrであり、且つR及びRがHである。
    (3)前記Nを含む1価の官能基が−N(Ph)である。
    (4)Rが3位においてヒドロキシル基であり、Rが11位においてヒドロキシル基であり、且つR及びRがHである。
    (5)Rが3位においてメトキシ基であり、Rが11位においてメトキシ基であり、且つR及びRがHである。
    (6)Rが3位においてトシル基であり、Rが11位においてトシル基であり、且つR及びRがHである。
  7. 前記Sを含む1価の官能基が、−SHである請求項に記載の化合物。
  8. 前記Sを含む1価の官能基が、下記式(C82)で示される請求項6に記載の化合物
    Figure 0005939520
    〔但し、式(C82)中、R 15 は炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキレン基である〕
  9. 前記Sを含む1価の官能基が、−S−CO−CH=CH である請求項6に記載の化合物。
  10. 前記Sを含む1価の官能基が、−S−CO−C(CH )=CH である請求項6に記載の化合物。
  11. 前記Sを含む1価の官能基が、−S−CH −CH(OH)−CH −O−CO−CH=CH である請求項6に記載の化合物。
  12. 前記Sを含む1価の官能基が、−S−CH −CH(OH)−CH −O−CO−C(CH )=CH である請求項6に記載の化合物。
  13. 前記Sを含む1価の官能基が、−S−CH −CH=CH である請求項6に記載の化合物。
  14. 前記Sを含む1価の官能基が、−S−CH −C(CH )=CH である請求項6に記載の化合物。
  15. 下記式(C1)で表される化合物であって、
    下記R 〜R のうちの少なくともいずれかが、下記Xである化合物
    Figure 0005939520
    〔式(C1)中、R〜Rは、各々独立に、H(水素原子)、X(Cl、Br及びIから選ばれるハロゲン原子)、N(窒素原子)を含む1価の官能基、O(酸素原子)を含む1価の官能基、又は、S(硫黄原子)を含む1価の官能基である。但し、下記(1)〜(6)のいずれかである場合を除く。〕
    (1)R〜Rの全てがH(水素原子)である。
    (2)Rが2位においてBrであり、Rが10位においてBrであり、且つR及びRがHである。
    (3)前記Nを含む1価の官能基が−N(Ph)である。
    (4)Rが3位においてヒドロキシル基であり、Rが11位においてヒドロキシル基であり、且つR及びRがHである。
    (5)Rが3位においてメトキシ基であり、Rが11位においてメトキシ基であり、且つR及びRがHである。
    (6)Rが3位においてトシル基であり、Rが11位においてトシル基であり、且つR及びRがHである。
  16. 前記Xが、Brである請求項15に記載の化合物。
  17. 前記Xが、Clである請求項15に記載の化合物。
  18. 請求項1、2、4、5、及び、7乃至14のうちのいずれかに記載の化合物を用いて得られたことを特徴とする重合体。
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