JP6420106B2 - 環構造を有するジカルボン酸モノエステルの製造方法、ジカルボン酸モノエステルアミン塩、ジカルボン酸モノエステルを用いた液晶化合物の製造方法 - Google Patents
環構造を有するジカルボン酸モノエステルの製造方法、ジカルボン酸モノエステルアミン塩、ジカルボン酸モノエステルを用いた液晶化合物の製造方法 Download PDFInfo
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上記のジカルボン酸モノエステルを対応するジカルボン酸から製造する方法については、例えば、特許文献1〜8で見られるように、多くが開示されてきている。
すなわち、本発明は以下の<1>〜<17>を提供するものである。
<1>環構造と上記環構造に直接置換したカルボキシル基と上記環構造に直接置換したオキシカルボニル基とを有するジカルボン酸モノエステルの製造方法であって、
上記環構造と上記環構造に直接置換した2つのカルボキシル基を有するジカルボン酸のエステル化反応物から上記ジカルボン酸モノエステルをアミン塩として単離することを含む、製造方法。
<2>上記環構造と上記環構造に直接置換した2つのカルボキシル基とを有する上記ジカルボン酸のエステル化反応を行うこと、
上記エステル化反応後のエステル化反応物にアミンを加えること、
上記ジカルボン酸モノエステルのアミン塩を単離すること、
単離したアミン塩を脱塩して、上記ジカルボン酸のモノエステルを得ること
を含む<1>に記載の製造方法。
上記エステル化反応後のエステル化反応物を分液工程に付して得られた有機層を無機塩基水溶液で洗浄することを含む
<2>に記載の製造方法。
<4>上記有機層の溶媒を除去すること、上記溶媒除去後のエステル化反応物に有機溶媒を加えること、および得られる溶液に上記アミンを加えることを含む<3>に記載の製造方法。
<5>上記環構造が、置換基を有していてもよい5〜18員環の脂肪族炭化水素環、置換基を有していてもよい5〜18員環の芳香族炭化水素環、または置換基を有していてもよい5〜18員環の芳香族複素環である<1>〜<4>のいずれか一項に記載の製造方法。
<6>上記環構造が、置換基を有していてもよい5〜10員環の脂肪族炭化水素環である<5>に記載の製造方法。
<7>上記環構造に直接置換した2つのカルボキシル基を有するジカルボン酸がトランス−1,4−シクロヘキサジカルボン酸である<6>に記載の製造方法。
<8>上記モノエステルのオキシカルボニル基が、以下式XI:
式中、Lは、単結合、または炭素数1から12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を示し、
A2は、単結合、置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基、または置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を示し、
Spは単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−、−OC(=O)O−,−C(=O)N(T)−,−N(T)C(=O)−,または−CF2−で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、Tは、水素原子または−Sp−Qを表し、
Qは水素原子、フッ素原子もしくは以下の式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示す<1>〜<7>のいずれか一項に記載の製造方法。
<10>Qがそれぞれ独立に式(Q−1)で表される基または式(Q−2)で表される基である<8>または<9>に記載の製造方法。
<11>上記アミンが、以下式XII:
式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1から10の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数2から10の直鎖もしくは分岐のアルケニル基、および炭素数3から10のシクロアルキル基よりなる群より選択されるいずれかの置換基を表すか、またはR1およびR2もしくはR1、R2およびR3は、結合して環状構造を形成していてもよい<1>〜<10>のいずれか一項に記載の製造方法。
<12>R3が水素原子であり、R1およびR2は同時に水素原子ではない、<11>に記載の製造方法。
<13>R1が水素原子でありかつR2がtert−ブチル基であるか、またはR1およびR2のいずれもシクロへキシル基である<12>に記載の製造方法。
<14>以下式Xで表されるジカルボン酸モノエステルアミン塩:
A1は、置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基、または置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を示し、
A2は、単結合、置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基、または置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を示し、
Lは、単結合、または炭素数1から12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を示し、
Spは単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−、−OC(=O)O−,−C(=O)N(T)−,または−N(T)C(=O)−で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、Tは、水素原子または−Sp−Qを表し、
Qは水素原子もしくは以下の式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示し;
<15>R3が水素原子であり、R1およびR2は同時に水素原子ではない、<14>に記載のジカルボン酸モノエステルアミン塩。
<16>R1が水素原子でありかつR2がtert−ブチル基であるか、またはR1およびR2のいずれもシクロへキシル基である<15>に記載のジカルボン酸モノエステルアミン塩。
<17>液晶化合物の製造方法であって、<1>〜<13>のいずれか一項に記載の方法により得られた上記ジカルボン酸モノエステルと水酸基を有する化合物とを脱水縮合することを含む製造方法。
本発明は環構造と上記環構造に直接置換したカルボキシル基と上記環構造に直接置換したオキシカルボニル基とを有するジカルボン酸モノエステルの製造方法に関する。
上記環構造は芳香族環であっても脂肪族であってもよい。また、単環であっても、2以上の環を含む縮合環であってもよい。また、環構造は炭素原子のみで環が構成されている構造であってもよく、炭素原子以外の原子を含んで環が構成されている構造であってもよい。例えば、窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選択される原子を1個または2個以上含んでいてもよい。環を構成する原子の数としては、特に限定されないが、5〜18程度であればよく、5〜10が好ましく、5〜7がより好ましく、6が特に好ましい。環構造の例としては、5〜18員環の脂肪族炭化水素環、5〜18員環の芳香族炭化水素環または5〜18員環の芳香族複素環が挙げられる。これらのうち、5〜18員環の脂肪族炭化水素環が特に好ましい。
以下に、環構造の例を示すが、これらに限定されるものではない。
オキシカルボニル基は特に限定されないが、以下式XIで表される基であることが好ましい。
Lは、単結合、または炭素数1から12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を示す。アルキレン基の例としては上記のアルキル基例のそれぞれから任意の水素原子を除いて得られる基を挙げることができる。Lは、単結合であることが好ましい。
A2は、単結合、置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基、または置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を示す。トランス−1,4−シクロヘキシレン基、または1,4−フェニレン基が置換基を有するときの置換基としては、メチル基またはアセチル基が好ましく、置換数は1つであることが好ましい。A2は、無置換のトランス−1,4−シクロヘキシレン基、または無置換の1,4−フェニレン基であることがより好ましい。
Qは水素原子、フッ素原子もしくは以下の式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示す。
また、Qがフッ素原子であるとき、Spは−CF2−を1つまたは2つ以上含む連結基であることが好ましく、−(CH2)m(CF2)n−(m、nはそれぞれ独立して1〜10の整数を示す)であることが好ましい。
環構造と上記環構造に直接置換したカルボキシル基と上記環構造に直接置換したオキシカルボニル基とを有するジカルボン酸モノエステルの一例は、以下の一般式Iで表される化合物である。
本発明は上記ジカルボン酸モノエステルに対応するジカルボン酸のエステル化反応を経て、ジカルボン酸モノエステルを製造する方法に関する。本発明の製造方法に用いられるジカルボン酸の好ましい例としては以下の式IIで表されるジカルボン酸が挙げられる。
本発明の製造方法に用いられるアミンとしては特に限定されないが、以下式XII:
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
ジカルボン酸からジカルボン酸モノエステルを得るためのエステル化反応は、ジカルボン酸およびアルコールの脱水縮合反応となる。上記ジカルボン酸モノエステルを得る際のアルコールとしては、例えば以下式XI−2で表されるアルコールを用いればよい。
本発明の製造方法は、エステル化反応物からジカルボン酸モノエステルをアミン塩として単離することを含む。
本発明者らは、驚くべきことに、環構造と上記環構造に直接置換した2つのカルボキシル基を有するジカルボン酸のエステル化反応物から、アミンを用いることによりジカルボン酸モノエステルがアミン塩として効率良く単離できることを見出した。これによって、カラムクロマトグラフィーを用いた精製や再沈殿、洗浄、乾燥を繰り返す煩雑な精製を行う必要性が排除される。
すなわち、別の観点からは、本発明は、環構造と上記環構造に直接置換した2つのカルボキシル基を有するジカルボン酸のエステル化反応物からジカルボン酸モノエステルを精製する方法にも関する。
本発明の製造方法により得られるジカルボン酸モノエステルはさらに残ったカルボキシル基等で他の化合物と反応することができるため、種々の化合物の合成の出発原料として用いることができる。特に上記式Iで表されるジカルボン酸モノエステルでQが重合性基であるものは末端に重合性基を有するため、カルボキシル基においてさらにエステル化反応した化合物は重合性の化合物となり、種々のポリマー形成のためのモノマーとして有用である。典型的には、本発明の製造方法により得られるジカルボン酸モノエステルと水酸基を有する化合物とを脱水縮合することにより、液晶化合物、重合性液晶化合物などの化合物の合成が可能である。例えば、特許文献1に記載のモノカルボン酸M1も本発明の製造方法にて合成可能であるため、本製造方法で合成したアミン塩の脱塩後に得られるモノカルボン酸M1は、特許文献1と同様の使用が可能である。また、以下の一例の反応式を示すように、メソゲン部位該当化合物1当量に対して2当量で脱水縮合して、重合性液晶化合物を製造することができる。メソゲン部位該当化合物は、環構造を1つまたは2つ以上含む化合物であって、いずれかの環構造(好ましくは末端にある環構造)に直接置換した水酸基を2つ有する化合物であればよい。脱水縮合方法については、上記のエステル化反応を参照することができる。
1.3−1.6(m,13H),1.7−1.8(m,4H),2.0−2.2(m,4H),2.2−2.4(m,1H),4.1(t,2H),4.2(t,2H),5.8(dd,1H),6.1(dd,1H),6.4(dd,1H)
1.1−1.5(m,16H),1.7−2.2(m,17H),2.2−2.4(m,1H),3.1−3.2(m,2H),4.1(t,2H),4.2(t,2H),5.8(dd,1H),6.1(dd,1H),6.4(dd,1H)
1.3−1.6(m,17H),1.7−1.9(m,4H),1.9−2.2(m,5H),2.4−2.6(m,1H),3.9(t,2H),4.2(t,2H),5.8(dd,1H),6.1(dd,1H),6.4(dd,1H),6.8−7.0(m,4H)
1.1−1.5(m,20H),1.7−2.3(m,17H),2.4−2.6(m,1H),3.0−3.2(m,2H),4.0(t,2H),4.2(t,2H),5.9(dd,1H),6.1(dd,1H),6.4(dd,1H),6.9−7.0(m,4H)
1.3−1.5(m,13H),1.9−2.1(m,5H),2.2−2.4(m,1H),2.5−2.7(m,2H),4.4(t,2H),4.9(brs,3H)
Claims (13)
- 環構造と前記環構造に直接置換したカルボキシル基と前記環構造に直接置換したオキシカルボニル基とを有するジカルボン酸モノエステルの製造方法であって、
前記環構造と前記環構造に直接置換した2つのカルボキシル基とを有するジカルボン酸のエステル化反応を行うこと、
前記エステル化反応後のエステル化反応物にアミンを加えること、
前記ジカルボン酸モノエステルのアミン塩を単離すること、
単離したアミン塩を脱塩して、前記ジカルボン酸のモノエステルを得ること
を含み、
前記ジカルボン酸が式IIで表される製造方法;
- 前記アミンを加える前に、
前記エステル化反応後のエステル化反応物を分液工程に付して得られた有機層を無機塩基水溶液で洗浄することを含む
請求項1に記載の製造方法。 - 前記有機層の溶媒を除去すること、前記溶媒除去後のエステル化反応物に有機溶媒を加えること、および得られる溶液に前記アミンを加えることを含む請求項2に記載の製造方法。
- 前記環構造が、置換基を有していてもよい5〜18員環の脂肪族炭化水素環、置換基を有していてもよい5〜18員環の芳香族炭化水素環、または置換基を有していてもよい5〜18員環の芳香族複素環である請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記環構造が、置換基を有していてもよい5〜10員環の脂肪族炭化水素環である請求項4に記載の製造方法。
- 前記環構造に直接置換した2つのカルボキシル基を有するジカルボン酸がトランス−1,4−シクロヘキサジカルボン酸である請求項5に記載の製造方法。
- 前記モノエステルのオキシカルボニル基が、以下式XI:
式中、Lは、単結合、または炭素数1から12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を示し、
A2は、単結合、置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基、または置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を示し、
Spは炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数3から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において一部の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−、−OC(=O)O−,−C(=O)N(T)−,−N(T)C(=O)−,または−CF2−で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、Tは、水素原子または−Sp−Qを表し、
Qは水素原子、フッ素原子もしくは以下の式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示す請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- Lが単結合を示し、Spが炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数3から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において一部の−CH2−が−O−,−C(=O)O−,−OC(=O)−で置換された基からなる群から選択される連結基である請求項7に記載の製造方法。
- Qがそれぞれ独立に式(Q−1)で表される基または式(Q−2)で表される基である請求項7または8に記載の製造方法。
- 前記アミンが、以下式XII:
式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1から10の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数2から10の直鎖もしくは分岐のアルケニル基、および炭素数3から10のシクロアルキル基よりなる群より選択されるいずれかの置換基を表すか、またはR1およびR2もしくはR1、R2およびR3は、結合して環状構造を形成していてもよい請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。 - R3が水素原子であり、R1およびR2は同時に水素原子ではない、請求項10に記載の製造方法。
- R1が水素原子でありかつR2がtert−ブチル基であるか、またはR1およびR2のいずれもシクロへキシル基である請求項11に記載の製造方法。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法により前記ジカルボン酸モノエステルを得ること、および
得られた前記ジカルボン酸モノエステルと環構造を1つまたは2つ以上含む化合物であって、いずれかの環構造に直接置換した水酸基を2つ有するメソゲン部位該当化合物とを脱水縮合することを含む、
前記ジカルボン酸モノエステルのカルボキシル基において前記メソゲン部位該当化合物の前記水酸基が、メソゲン部位該当化合物1当量に対してジカルボン酸モノエステル2当量で脱水縮合した構造を有する液晶化合物の製造方法。
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