JP6356138B2 - 毛髪処理剤用キット及び毛髪処理方法 - Google Patents

毛髪処理剤用キット及び毛髪処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、化粧料用キット及び毛髪処理剤用キットに関する。より詳細には、A剤、B剤及びC剤を混合して化粧料及び毛髪処理剤を得る化粧料用キット及び毛髪処理剤用キット、並びに毛髪処理方法に関する。
従来、活性酸素やフリーラジカルによる酸化ストレスが、生活習慣病等の様々な疾患を引き起こすことが問題とされている。この問題を解決する方法の一つとして、非特許文献1において、水素が有する抗酸化作用を利用し、酸化ストレスを除去する方法が開示されている。
一方、水素は、常温・常圧において気体として存在し、分子の状態で存在する気体の中で最も軽い気体である。したがって、その発生後、直ちに空気中に拡散してしまうという問題点がある。また、仮に水素を水等に溶かして保存したとしても、時間の経過に伴い、水中の水素は徐々に失われてしまう。
上記問題点を解決するため、予め固体である物質内に水素を吸蔵する方法が考えられる。
特許文献1には、単体のマグネシウムと水素分子とを反応させ、粉末状のマグネシウム基水素化物を製造する方法が開示されている。前記粉末状のマグネシウム基水素化物は、予め水素を吸蔵しており、水と反応させることにより、効率的に水素が発生する。
他方、美容の分野において、活性酸素やフリーラジカルによる酸化ストレスが、直接皮膚や髪等へダメージを与えることにより、老化(エイジング)や炎症等が引き起こされることが問題とされている。例えば、髪をカラーリングする際に発生する活性酸素は、カラーリング後の髪のパサつきや、頭皮の炎症等を引き起こす。
そのため、同分野においても、水素が有する抗酸化作用は、健康増進や、アンチエイジング等の目的で応用されることが期待されている。
特許文献2には、微粒子化した水素化マグネシウムを含有させ、水と反応させることにより、水素が発生する粉末浴用化粧料が開示されている。しかしながら、この粉末浴用化粧料は、使用時に十分な水素を発生させるために大量の水が必要であり、また、粉末浴用化粧料の反応に使用する水は、お湯である必要がある。
特開2008−044832号公報 特開2012−171871号公報
Hydrogen acts as a therapeutic antioxidant by selectively reducing cytotoxic oxygen radicals. Nature Medicine 13 688-694(2007)
前述のように、近年、活性酸素やフリーラジカルによる酸化ストレスが問題視されており、これらを取り除く技術の更なる開発が期待されている。特に、美容分野の中でも毛髪処理における酸化ストレスによる損傷は深刻なものであるが、これに対応する技術は、まだまだ未熟である。
そこで、本発明では、皮膚や毛髪に対する活性酸素やフリーラジカルによる酸化ストレスを有効的に防止し得る新規な技術を提供することを主目的とする。
本発明者は、皮膚や毛髪を酸化ストレスから防御する方法について鋭意研究を行った結果、活性酸素やフリーラジカルを除去し得る物質として水素が非常に有効であることに着目し、水素を持続的に発生する方法を化粧料や毛髪処理に応用したところ、意外にも酸化ストレスから防御以上の効果があることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明では、まず、水素化マグネシウムを含有するA剤と、
水溶液が酸性を示す物質を含有するB剤と、
水を含有するC剤と、
からなる毛髪処理剤用キットを提供する。
本発明に係る毛髪処理剤用キットを用いて得られる毛髪処理剤としては、例えば、パーマ剤又は染毛剤が挙げられる。
本発明に係る毛髪処理剤用キットは、前記A剤と、前記B剤と、を予め混合しておいてもよい。
また、前記B剤と、前記C剤と、を予め混合しておいてもよい。
本発明に係る毛髪処理剤用キットは、前記A剤、前記B剤、及び前記C剤を、使用時に混合して毛髪処理剤を得ることができる。
本発明に係る毛髪処理剤用キットの前記B剤に含有させることができる前記水溶液が酸性を示す物質としては、例えば、クエン酸、塩化マグネシウム、過酸化水素等を挙げることができる。
次に、本発明では、水素化マグネシウムを含有するA剤を毛髪に接触させる接触工程(I)と、
水溶液が酸性を示す物質を含有するB剤を毛髪に接触させる接触工程(II)と、
水を含有するC剤を毛髪に接触させる接触工程(III)と、
を、同時又は順不同で行う毛髪処理方法を提供する。
本発明に係る毛髪処理方法では、前記接触工程(I)〜(III)を経た後に、毛髪を加熱する加熱工程(IV)を更に行うこともできる。
本発明に係る化粧料用キット及び毛髪処理剤用キットを用いれば、従来の技術に比べ、皮膚や毛髪に対する酸化ストレスの防止効果を飛躍的に向上させ、更に、皮膚や毛髪中の水分量を上昇させるといった新たな作用を実現させることができる。
実験例4において、水分量測定の結果を示す図面代用グラフである。 実験例4において、強度測定の結果を示す図面代用グラフである。 実験例4において、毛髪の写真撮影の結果を示す図面代用写真である。 実験例4において、毛髪のキューティクルの撮像結果を示す図面代用写真である。
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<1.化粧料用キット及び毛髪処理剤用キット>
本発明に係る化粧料用キット及び毛髪処理剤用キットは、大別して、(1)水素化マグネシウムを含有するA剤、(2)水溶液が酸性を示す物質を含有するB剤、(3)水を含有するC剤、からなる。そして、これらA剤、B剤及びC剤を、混合することにより化粧料又は毛髪処理剤が得られる。
本発明に用いるA剤中の水素化マグネシウムは、アルカリ金属水素化物と同様に、Mg2+とHとの結合からなるイオン結合型水素化物であり、マグネシウムを加熱状態で高圧水素と反応させることによって生成される。
水素化マグネシウムを生成する反応式は下記式(1)で表される。
水素化マグネシウムの粉末は、炭灰色で空気中では安定である一方、水中では水と反応して水素を放出しながら分解する。したがって、本発明に用いられるA剤中の水素化マグネシウムは、予めその内部に水素を吸蔵しており、C剤中の水と反応し、加水分解されることにより、水素を放出することが可能である。水素化マグネシウムが水と反応する反応式は下記式(2)式で表される。
水と接触することで水素を発生する物質は、従来から多数知られており、例えば、水素よりイオン化傾向の高いマグネシウム、アルミニウム等の金属;水素吸蔵サンゴ末、水素吸蔵シリカ等の水素吸蔵物質等が挙げられる。これらの物質は、本発明において、水素化マグネシウムの代わりに用いることも理論的には可能である。しかし、本発明に用いる水素化マグネシウムは、質量あたりの水素吸蔵量が7.6%(w/w)と、前記の水素吸蔵物質に比べ、その水素吸蔵量が非常に高い。また、加水分解反応によって、水素化マグネシウムから発生する水素のみならず、水を構成する水素原子をも水素として発生させることができるため、加水分解による水素発生量は、水素化マグネシウムの水素吸蔵量の2倍である15.2%(w/w)となる。そのため、水素よりイオン化傾向の高い金属を用いて水中から水素を発生させる場合や、水素吸蔵物質を水に溶解(分解)させて水素吸蔵物質中の水素を取り出す方法に比べ、はるかに高い水素の発生が期待できる。
その他、水素化マグネシウムの代わりに、水素水を用いることも理論的には可能である。しかし、水素水を用いる場合、十分な効果が得られる量の水素を使用するためには、大量の水素水が必要になり、化粧料や毛髪処理剤の他の有効成分が薄まってしまい、その効果の発揮を妨げる可能性が高い。一方、水素化マグネシウムは、常温で固体として存在し、化粧料や毛髪処理剤中の水分で十分に加水分解が進行し、前記の通り大量の水素を発生するため、化粧料や毛髪処理剤の本来の効果を十分に発揮させつつ、水素による効果をも十分に得ることが可能である。
さらに、水素化マグネシウムは無害な物質であり、水素生成後のMg(OH)は医薬品にも利用されているように安全な物質である。これらの点から、水素を発生させる化合物が水素化マグネシウムであれば、より安全に水素発生材の製造、輸送、使用等を行うことが可能である。
一方、上記式(2)の反応は、反応に伴って水素化マグネシウムの表面がMg(OH)で覆われてしまい、徐々に反応性が悪くなるという問題点がある。また、反応時の温度は、常温よりも高温である必要がある。
上記問題点を解決するため、B剤中に水溶液が酸性を示す物質を含有させ、反応溶液を酸性とすることで、上記式(2)の反応が常温においても効率的に水素を発生させることが可能となる。
本発明に係る化粧料用キットを用いて得られる化粧料としては、例えば、クリーム、乳液、化粧水、ジェル、パック、マスク、クレンジングオイル、マッサージオイル等のスキンケア製品、アイライナー、マスカラ、アイブロー、リップライナー、ファンデーション、化粧下地等のメーキャップ製品、ボディーソープ、洗顔料等の洗浄用製品、制汗剤、シャンプー、リンス、トリートメント、コンディショナー、ヘアクリーム、ヘアセット剤、育毛剤等の毛髪用化粧料等が挙げられる。
本発明に係る化粧料用キットは、A剤、B剤及びC剤を、使用時に混合することを特徴とする。A剤、B剤及びC剤を、使用時に混合することで、A剤中の水素化マグネシウムとC剤中の水との加水分解反応が進行している間に、皮膚や毛髪に化粧料を塗布することができる。そのため、発生した水素を、ダイレクトに皮膚や毛髪に吸収させることが可能である。
また、本発明に係る化粧料用キットから得られる化粧料は、皮膚や毛髪に塗布した後も、A剤中の水素化マグネシウムとC剤中の水との加水分解反応が持続的に進行するため、発生した水素を持続的に皮膚や毛髪に吸収させ続けることが可能である。
更に、本発明に係る化粧料用キットは、水と反応性の高い水素化マグネシウムをA剤とC剤とに分けて保存しているため、長期間保存した際にも水素化マグネシウムは安定であり、水素を効率よく吸蔵しておくことが可能である。
本発明に係る毛髪処理剤用キットを用いて得られる毛髪処理剤は、様々な形態で調製可能であり、特に限定されるものではないが、例えば、クリーム状、ローション状、ジェル状、ペースト状、粉末状、固形状、泡状、スプレー状等あり、泡状にするには、主としてLPG、DME、ヘキサン等の噴射剤を配合し、またノンガスの泡状タイプとしてもよい。具体的には、パーマ剤、縮毛矯正剤、染毛剤、染毛料等が挙げられる。
前記染毛剤は、いわゆる医薬部外品であり、例えば、おしゃれ染め用ヘアカラー、白髪染め用へアカラー等の永久染毛剤が挙げられる。また、髪色の色素を除去して髪色を変化させるヘアブリーチ等の脱色剤、脱染剤等も、染毛剤の一種である。
前記染毛料としては、例えば、ヘアマニキュア、カラーシャンプー、カラーリンス等の半永久染毛料、カラースプレー、カラースティック等、一時的に染毛してシャンプー等で洗い流せる一時染毛料等が挙げられる。
これらの毛髪処理剤を用いて毛髪の処理を行うと、毛髪や頭皮には必ずダメージが伴う。従来の技術では、毛髪処理の前や後に、毛髪や頭皮をダメージから保護又は回復させるためにトリートメントなどの処理を行うことが一般的であった。しかし、本発明に係る毛髪処理剤用キットから得られる毛髪処理剤は、毛髪処理剤中にダメージから保護及び回復させる機能を持つ水素が存在する。そのため、毛髪処理中に毛髪や頭皮の保護を同時に行うことができるため、従来の方法に比べて、毛髪処理時のダメージを飛躍的に防止することができる。
また、後述する実施例に示すように、本発明に係る毛髪処理剤用キットから得られる毛髪処理剤は、毛髪処理の効果を向上させることができる。即ち、従来の毛髪処理剤を用いた場合に比べ、本発明に係る毛髪処理剤用キットを用いて得られる毛髪処理剤を用いて毛髪処理を行った場合の方が、パーマ効果や縮毛矯正効果、染毛の発色性などの毛髪処理効果が向上する。
更に、後述する実施例に示すように、本発明に係る毛髪処理剤用キットから得られる毛髪処理剤は、毛髪処理の持続性も向上させることができる。即ち、従来の毛髪処理剤を用いた場合に比べ、本発明に係る毛髪処理剤用キットから得られる毛髪処理剤を用いて毛髪処理を行った場合の方が、パーマ持続性や縮毛矯正持続性及び染色持続性などの毛髪処理の持続性が向上する。
本発明は、前記毛髪処理剤の中でも、パーマ剤、縮毛矯正剤及び染毛剤に用いることが好ましい。パーマ剤、縮毛矯正剤及び染毛剤を用いて毛髪の処理を行う際は、活性酸素が発生する。この活性酸素が毛髪の内部や表面及び頭皮の内部や表面に存在すると、毛髪や頭皮のダメージが進行する。しかし、本発明に係る毛髪処理剤用キットから得られる毛髪処理剤を用いれば、活性酸素が発生したと同時に、毛髪処理剤中の水素が活性酸素を除去するため、活性酸素による毛髪や頭皮のダメージを、ほぼ確実に防止することができる。
また、毛髪処理剤中の水素が、発生した活性酸素を除去する際、水素と酸素が結合して水を生成するため、毛髪や頭皮内の水分量を向上させることができる。即ち、本発明に係る毛髪処理剤用キットから得られる毛髪処理剤は、毛髪や頭皮のダメージに伴う水分量低下を防止するだけでなく、発生した活性酸素を用いて新たな水を生成するため、毛髪処理前の毛髪や頭皮の水分量を維持するだけでなく、処理後の毛髪や頭皮の水分量を上昇させることが可能である。即ち、活性酸素を発生する毛髪処理剤に本発明に係る毛髪処理剤用キットから得られる毛髪処理剤を用いれば、新たな水を発生させるという有利な効果を得ることができる。
本発明に係る毛髪処理剤用キットを構成するA剤、B剤及びC剤は、予め混合した状態でもよいが、本発明では特に、A剤及びC剤の混合は使用時に行うことが好ましい。即ち、A剤、B剤及びC剤を全て別々に保存し、使用時に混合する形態、A剤及びB剤は予め混合した状態で使用時にC剤を加えて混合する形態、B剤及びC剤は予め混合した状態で使用時にA剤を加えて混合する形態、のいずれかの形態に設計することが好ましい。A剤及びC剤の混合を使用時に行うことで、A剤中の水素化マグネシウムとC剤中の水との加水分解反応が進行している最中に毛髪や頭皮に毛髪処理剤を塗布することができる。そのため、発生した水素を、ダイレクトに毛髪や頭皮に吸収させることが可能である。
また、A剤及びC剤の混合を使用時に行うことで、毛髪処理剤を毛髪や頭皮に塗布した後も、A剤中の水素化マグネシウムとC剤中の水との加水分解反応が持続的に進行するため、発生した水素を持続的に毛髪や頭皮に吸収させ続けることが可能である。
更に、A剤及びC剤の混合を使用時に行うことで、水と反応性の高い水素化マグネシウムをA剤とC剤とに分けて保存することになるため、長期間保存した際にも水素化マグネシウムは安定であり、水素を効率よく吸蔵しておくことが可能である。
なお、予めA剤及びC剤を混合して保存する場合には、過度に加水分解反応が進行しないよう、また、発生した水素が放出されないように、例えばアルミ包装などを用いて密封包装した状態で提供することが好ましい。
本発明に係る毛髪処理剤用キットから得られる毛髪処理剤は、パーマ剤、縮毛矯正剤及び染毛剤の第1剤及び/又は第2剤に配合することができる。また、パーマ剤の第1剤処理と第2剤処理との中間に用いる酸リンスに配合することも可能である。更に、処理に必要な全ての剤に配合することも可能である。本発明では特に、パーマ剤、縮毛矯正剤及び染毛剤の第1剤として用いることが好ましい。第1剤は、毛髪を膨潤させて薬液や染料などを毛髪内に浸透させる機能を有するため、本発明に係る毛髪処理剤用キットから得られる毛髪処理剤を第1剤に配合することにより、発生した水素を効率的に毛髪内部まで浸透させることができるからである。
なお、パーマ剤、縮毛矯正剤及び染毛剤の第1剤、第2剤及び酸リンスに配合する他の成分としては、通常パーマ剤、縮毛矯正剤及び染毛剤、その他通常毛髪処理剤分野で用いられる任意成分を本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。例えば、第1剤には各種アルカリ剤を、第2剤には過酸化水素、臭素酸又は臭素酸ナトリウム等の臭素酸の塩等を、酸リンス剤には第1剤に配合される各種アルカリ剤を中和するための酸を、配合することができる。
以下、本発明に係るA剤、B剤及びC剤について、詳細に説明する。
(1)A剤
A剤は、水素化マグネシウムを含有する。
本発明に用いられるA剤中の水素化マグネシウムは、その入手方法に特に制限はないが、例えば、特許第4083786号公報や、特許第4425990号公報に開示されている方法によって、効率的に製造することが可能である。
具体的には、特許第4083786号公報に開示されているように、マグネシウムを主成分とする原料粉体を、封入容器内に封入した水素ガス雰囲気中に保持しておき、その封入容器内の水素ガス雰囲気の圧力を所定圧力に維持しつつ、その封入容器内の水素ガス雰囲気の温度を、単体のマグネシウム及び水素分子が化合して水素化マグネシウムが生成する反応と逆反応との平衡曲線上の前記所定圧力に対応する温度よりも高温で、かつ、その温度からの温度差が所定値以内である温度に、所定の第1期間維持することによって、前記原料粉体表面の被膜を除去し、次に、その封入容器内の水素ガス雰囲気の温度を、室温へ戻さずに、前記平衡曲線上の前記所定圧力に対応する温度よりも低温で、かつ、その温度からの温度差が所定値以内である温度に、所定の第2期間維持することによって、前記原料粉体から水素化マグネシウムを製造する。この方法によれば、水素化率の高い水素化マグネシウムを効率的に製造することができる。
また、特許第4425990号公報に開示されているように、粉体原料のかわりに、マグネシウムを主成分とする薄片を複数集積して圧縮した圧縮物を作成し、これを水素ガス雰囲気中で水素ガスとを反応させてもよい。この方法によれば、マグネシウムを主成分とする薄片から製造するので、粉塵爆発を起こす可能性がある粉体原料から製造する方法に比べ、より安全に、水素化率の高い水素化マグネシウムを効率的に製造することができる。
なお、水素化率とは、水素化マグネシウムの分子量(=26)とマグネシウムの分子量(=24)に従って、理想的に吸蔵され得る水素量に対する百分率であり、水素化マグネシウムの製造時に水素吸蔵前後の質量を測定して、下記数式(1)のようにして求められる。
上記の方法などにより得られる水素化マグネシウムは、通常その水素化率は70〜100%程度、より好ましくは90〜100%程度である。また、水素化マグネシウムは他の水素吸蔵合金と比べ、水素化率が高く、化学的劣化に対しても安定である。したがって、輸送、供給、貯蔵等の作業性の面において扱いやすく、非常に優れた水素吸蔵体である。
一方、水素化マグネシウムは、水と反応性を有するので、湿気等によって徐々に分解してしまう。したがって、本発明に係るA剤中に吸湿用成分を含有させ、湿気等を防ぐことも可能である。
前記吸湿用成分としては、水分を吸収する作用を有するものを含有すればよく、例えば、シリカ、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、アルミナ、五酸化二リン、珪藻土、ゼオライト等が挙げられる。
また、本発明に用いられる水素化マグネシウムの平均粒径は、特に限定されないが、20μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
なお、平均粒径とは、水素化マグネシウムの粒度分布を測定して得られた50wt%径である。50wt%径とは、50%累積度数の粒径である。つまり、粒径が小さい水素化マグネシウム粒子から順に累積し、その累積値が50%に達したときの粒径である。
本発明に係る化粧料用キット及び毛髪処理剤用キットにおける水素化マグネシウムの含有量は、本発明の効果を損なわない限り自由に設定することが可能である。本発明では特に、水素化マグネシウムの含有量を、0.01〜5質量%に設定することが好ましい。水素化マグネシウムの含有量を、0.01質量%以上に設定することにより、十分な量の水素を持続的に発生させることができる。また、5質量%以下に設定することにより、皮膚や毛髪に残存する未反応の水素化マグネシウムの量を低減させることができる。
(2)B剤
B剤は、水溶液が酸性を示す物質を含有する。
本発明に用いられるB剤中の水溶液が酸性を示す物質は、一般的に化粧料や毛髪処理剤等に用いられ、少量では人体に影響のない物質であり、水溶液とした時に酸性を示す物質であれば、公知の物質を1種又は2種以上自由に選択して用いることができる。
例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等の直鎖脂肪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、サリチル酸、没食子酸、トロパ酸、アスコルビン酸、グルコン酸等のオキシ酸、クエン酸等の有機酸;リン酸、スルファミン酸、ホウ酸、メタホウ酸、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、酸性へキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸カリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸化ホウ素等の無機酸;塩化アルミニウム、四塩化チタン、五塩化アンチモン、塩化亜鉛、塩化スズ、塩化マグネシウム等のルイス酸触媒;硝酸カリウム、次亜塩素酸、亜塩素酸、過酸化水素等の酸化剤等が挙げられる。
水溶液が酸性を示す物質として酸を用いる場合、前記酸の中でも、有機酸が好ましく、クエン酸が最も好ましい。
水溶液が酸性を示す物質としてルイス酸触媒を用いる場合、前記ルイス酸触媒の中でも、塩化マグネシウムが最も好ましい。
また、本発明では、一般的な毛髪処理剤に含まれる過酸化水素等の酸化剤を、水溶液が酸性を示す物質として用いることも可能である。
本発明に係る化粧料用キット及び毛髪処理剤用キットにおける水溶液が酸性を示す物質の含有量は、本発明の効果を損なわない限り自由に設定することが可能である。本発明では特に、水溶液が酸性を示す物質の含有量を、前記A剤に含有する水素化マグネシウム1に対して重量比で0.5〜5に設定することが好ましい
(3)C剤
C剤は、水を含有する。
本発明に用いられるC剤中の水は、一般的に化粧料や毛髪処理剤等に用いられ、入手が容易な水である。また、単一成分であっても、混合成分であってもよい。
前記水は、原水、水道水、蒸留水、精製水、純水、脱イオン水、淡水、硬水、軟水等が挙げられる。
(4)その他
さらに、本発明に係る化粧料用キット及び毛髪処理剤キットの各剤は、公知方法により調製でき、通常用いられる成分で本発明の効果を妨げない範囲において、例えば、保湿剤、界面活性剤(アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等)、油分(炭化水素油、合成エステル油、シリコーン油、液体油脂、固体油脂、ロウ類等)、高級脂肪酸、高級アルコール、粉末成分、水溶性高分子(天然、半合成、合成)、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、糖類(単糖、オリゴ糖、多糖)、有機アミン、pH調製剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、その他の配合可能成分等を、必要に応じて適宜配合することができる。ただし、これらの例示に限定されるものでない。
保湿剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、グルコース、マルトース、マルチトール、ショ糖、フラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール、デンプン分解糖還元アルコール、ポリグリセリン誘導体、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等);N−アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N−アシルグルタミン酸塩(例えば、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POEアルキルエーテルカルボン酸;POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POEアルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POEソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等);POEグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEモノオレエート等);POE脂肪酸エステル類(例えば、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POEアルキルエーテル類(例えば、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POPアルキルエーテル類(例えば、POE・POPセチルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等);POEミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POEソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POEプロピレングリコール脂肪酸エステル;POEアルキルアミン;POE脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油等が挙げられる。
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、カポックロウ、サトウキビロウ、ジョジョバロウ、セラックロウ等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、赤色201号、赤色227号、赤色220号、赤色230号、赤色231号、赤色232号、橙色205号、橙色207号、黄色202号、黄色203号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、青色202号、青色203号、青色205号、かっ色201号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、橙色402号、黄色402号、黄色403号、黄色406、黄色407号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、黒色401号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられる。
天然の水溶性高分子としては、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリントガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系水溶性高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグリカン、ブルラン等の微生物系水溶性高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系水溶性高分子等が挙げられる。
半合成水溶性高分子としては、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系水溶性高分子;メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系水溶性高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系水溶性高分子等が挙げられる。
合成水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(カーボポール)等のビニル系水溶性高分子;ポリエチレングリコール20,000、同4,000,000、同600,000等のポリオキシエチレン系水溶性高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等の共重合系水溶性高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系水溶性高分子のほか、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
無機の水溶性高分子としては、ベントナイト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
増粘剤としては、カラヤガム、キャロブガム、デキストリン、ペクチン酸ナトリウム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等);3−(4’−メチルベンジリデン)−d,L−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー;2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール;2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D−グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D−エリトロース、D−エリトルロース、D−トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L−アラビノース、D−キシロース、L−リキソース、D−アラビノース、D−リボース、D−リブロース、D−キシルロース、L−キシルロース等);六炭糖(例えば、D−グルコース、D−タロース、D−ブシコース、D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ガラクトース、L−マンノース、D−タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2−デオキシ−D−リボース、6−デオキシ−L−ガラクトース、6−デオキシ−L−マンノース等);アミノ糖(例えば、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D−グルクロン酸、D−マンヌロン酸、L−グルロン酸、D−ガラクツロン酸、L−イズロン酸等)等が挙げられる。
オリゴ糖としては、例えば、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α−トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ−アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
pH調製剤としては、例えば、乳酸−乳酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
その他、配合が可能な成分として、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
<2.毛髪処理方法>
本発明に係る毛髪処理方法は、少なくとも、接触工程(I)〜(III)を、同時又は順不同で行う方法である。また、必要に応じて、加熱工程(IV)を更に行うこともできる。以下、各工程について、詳細に説明する。なお、各工程で用いるA剤、B剤、及びC剤の詳細は、前述した化粧料用キット及び毛髪処理剤用キットで用いられるA剤、B剤、及びC剤と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
(1)接触工程(I)
接触工程(I)は、水素化マグネシウムを含有するA剤を毛髪に接触させる工程である。
本発明に係る毛髪処理方法の接触工程(I)では、毛髪に水素化マグネシウムを接触させることができれば、その具体的な方法は特に限定されず、自由に設定することができる。例えば、水素化マグネシウムを含有するA剤を、クリーム状、ローション状、ジェル状、ペースト状、粉末状、固形状、泡状、スプレー状に調製し、これを毛髪に塗布する方法等が挙げられる。泡状にする場合は、主としてLPG、DME、ヘキサン等の噴射剤を配合し、またノンガスの泡状タイプとしてもよい。
また、パーマ剤及び染毛剤のような公知の毛髪処理剤に、水素化マグネシウムを混合し、これを毛髪に塗布することで、接触工程(I)を行うことも可能である。
(2)接触工程(II)
接触工程(II)は、水溶液が酸性を示す物質を含有するB剤を毛髪に接触させる工程である。
本発明に係る毛髪処理方法の接触工程(II)では、毛髪に水溶液が酸性を示す物質を接触させることができれば、その具体的な方法は特に限定されず、自由に設定することができる。例えば、水溶液が酸性を示す物質を含有するB剤を、クリーム状、ローション状、ジェル状、ペースト状、粉末状、固形状、泡状、スプレー状に調製し、これを毛髪に塗布する方法等が挙げられる。泡状にする場合は、主としてLPG、DME、ヘキサン等の噴射剤を配合し、またノンガスの泡状タイプとしてもよい。
また、パーマ剤及び染毛剤のような公知の毛髪処理剤に、水溶液が酸性を示す物質を混合し、これを毛髪に塗布することで、接触工程(II)を行うことも可能である。更に、パーマ剤及び染毛剤のような公知の毛髪処理剤には、水溶液が酸性を示す物質が使用されているものも多いため、水溶液が酸性を示す物質を含有する公知の毛髪処理剤を、本発明のB剤として用いることも可能である。
(3)接触工程(III)
接触工程(III)は、水を含有するC剤を毛髪に接触させる工程である。
本発明に係る毛髪処理方法の接触工程(III)では、毛髪に水を接触させることができれば、その具体的な方法は特に限定されず、自由に設定することができる。例えば、水を含有するC剤を、クリーム状、ローション状、ジェル状、ペースト状、粉末状、固形状、泡状、スプレー状に調製し、これを毛髪に塗布する方法等が挙げられる。泡状にする場合は、主としてLPG、DME、ヘキサン等の噴射剤を配合し、またノンガスの泡状タイプとしてもよい。
また、パーマ剤及び染毛剤のような公知の毛髪処理剤に、水を混合し、これを毛髪に塗布することで、接触工程(III)を行うことも可能である。更に、パーマ剤及び染毛剤のような公知の毛髪処理剤には、ほぼ確実に水が使用されているため、水を含有する公知の毛髪処理剤を、本発明のC剤として用いることも可能である。
その他、例えば、本発明に係る毛髪処理方法を行う前に、プレシャンプーや霧吹き等で毛髪を濡らし、毛髪が濡れている状態で本発明に係る毛髪処理方法を行うことで、実質的に接触工程(III)を行ったと同一の効果を得ることも可能である。
以上説明した接触工程(I)〜(III)は、全てを同時に行うことができる。例えば、水を含む公知の毛髪処理剤に、水素化マグネシウムと、水溶液が酸性を示す物質を添加し、これを毛髪に塗布することで、接触工程(I)〜(III)を実質的に同時に行うことができる。また、水溶液が酸性を示す物質と、水と、を含む公知の毛髪処理剤に、水素化マグネシウムを添加し、これを毛髪に塗布することで、接触工程(I)〜(III)を実質的に同時に行うことができる。
また、接触工程(I)〜(III)は、順不同に行うことができる。例えば、水を含む公知の毛髪処理剤を毛髪に塗布する前又は塗布した後に、水素化マグネシウムを含有するA剤と、水溶液が酸性を示す物質を含有するB剤とを、順不同で毛髪に塗布することができる。この際、水素化マグネシウムを含有するA剤と、水溶液が酸性を示す物質を含有するB剤とを、予め混合した状態で毛髪に塗布してもよい。また、水溶液が酸性を示す物質と、水と、を含む公知の毛髪処理剤を毛髪に塗布する前又は塗布した後に、水素化マグネシウムを含有するA剤を毛髪に塗布することもできる。
更に、公知の毛髪処理剤を毛髪に塗布する前又は塗布した後に、水素化マグネシウムを含有するA剤と、水溶液が酸性を示す物質を含有するB剤と、水を含有するC剤とを、同時又は順不同で毛髪に塗布することも可能である。A剤、B剤、及びC剤を、同時に毛髪に塗布する場合、そのまま塗布すること可能であるし、その場で混合して塗布することもできる。また、A剤、B剤、及びC剤が予め混合されたものを塗布することも可能である。
(4)加熱工程(IV)
加熱工程(IV)は、前記接触工程(I)〜(III)を経た後に、毛髪を加熱する工程である。通常、前記接触工程(I)〜(III)を行い、所定時間の放置工程を経て、その後、毛髪から毛髪処理剤をシャンプー等で除去した後に、この加熱工程(IV)を行う。加熱工程(IV)は、本発明において必須の工程ではないが、後述する通り、毛髪中の水分をより向上させるためには、加熱工程(IV)を行うことが好ましい。
加熱工程(IV)における加熱温度は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、加熱に用いる機器や目的などに応じて自由に設定することができる。本発明において、加熱工程(IV)における加熱温度は、60〜230℃が好ましく、100〜230℃がより好ましく、180〜220℃が更に好ましい。この理由は、以下の通りである。
本発明では、後述する実施例で示す通り、前記接触工程(I)〜(III)を経た後に、毛髪を加熱することで、毛髪中の水分量が上昇するという結果が得られているが、加熱温度を60℃以上に設定することで、より確実に毛髪中の水分量を上昇させることができる。また、加熱温度を230℃以下に設定することで、熱による毛髪のダメージを防止することができる。更に、後述する実施例で示す通り、加熱温度は、高温にするほど、毛髪中の水分量を上昇させることが可能である。
加熱工程(IV)における加熱方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、通常の毛髪処理で用いられている加熱処理機器等を、自由に選択して用いることができる。例えば、ヘアドライヤー、ホットカーラー、ヒーター、ヘアアイロンなどの発熱型器具を用いることができる。
加熱工程(IV)は、2段階で加熱を行うことも可能である。例えば、毛髪から毛髪処理剤をシャンプー等で除去した後に、まずは、ドライヤー等で毛髪表面上の水分を蒸発させた後、更に、ヘアアイロン等を用いて、より高温で加熱を行うことで、毛髪中の水分量をより効果的に上昇させることもできる。
(5)毛髪処理方法の具体的なフロー
以下、本発明に係る毛髪処理方法の具体的なフローについて、一例を挙げながら説明する。
[プレシャンプー]
本発明に係る毛髪処理方法では、実際の毛髪処理の前に、毛髪表面に付着した汚れや整髪料等を除去するために、プレシャンプーを行うことができる。このプレシャンプーは、本発明に係る毛髪処理方法においては、必須の工程ではないが、例えば、毛髪にシリコーンオイル等が付着している場合には、行った方が好ましい。プレシャンプーを行うことで、毛髪処理効果をより向上させることができる。
[毛髪処理剤の調製]
行う毛髪処理の種類に応じて、毛髪処理剤の調製を行う。より具体的には、例えば、本発明のA剤、B剤、及びC剤の全て又は一部を、パーマ剤第1剤及び/又はパーマ剤第2剤に混合して毛髪処理剤(パーマネント処理剤)を調製したり、A剤、B剤、及びC剤の全て又は一部を、染毛剤第1剤及び/又は染毛剤第2剤に混合して毛髪処理剤(染毛剤)を調製したりすることができる。このように、パーマ剤や染毛剤に本発明のA剤、B剤、及びC剤の全て又は一部を混合することにより、パーマネント処理やヘアカラー処理を施しながら、該処理によって生じる活性酸素を毛髪処理剤中の水素によって除去して毛髪や頭皮のダメージを防止すると同時に、水素と活性酸素との結合により、毛髪中の水分量が高まり、髪質の改善を行うことができる。
また、パーマネント処理やヘアカラー処理等の通常の毛髪処理を目的とせず、髪質改善のみを目的とする場合には、本発明のA剤、B剤、及びC剤の全て又は一部にその他必要な添加剤を加えて混合することにより、毛髪処理剤(髪質改善剤)を調製することもできる。この場合、その他の添加剤としては、酸化剤を配合することが好ましい。前述の通り、本発明に係る毛髪処理方法では、活性酸素が生じる状態において、水素と活性酸素との結合により、毛髪中の水分量が高まり、髪質の改善を行うことができるため、敢えて、毛髪処理中に活性酸素を発生させるような酸化剤を用いることが好ましい。
この場合の酸化剤としては、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等の臭素酸塩;過ホウ酸ナトリウム等の過ホウ酸塩;過酸化水素等が挙げられる。
[毛髪処理剤の塗布]
次に、毛髪処理剤の毛髪への塗布を行う。毛髪処理剤の毛髪への塗布方法は、毛髪処理剤の種類に応じて、常法に従って行うことができる。例えば、パーマネント処理の場合、所望の形状に毛髪を固定した状態で、パーマ剤第1剤を塗布後、必要に応じて放置、リンス等を行い、更にパーマ剤第2剤を塗布する方法を用いることができる。また、ヘアカラー処理の場合、前記の毛髪処理剤の調製で調製された染毛剤第1剤と染毛剤第2剤との混合剤を、そのまま毛髪に塗布する方法を用いることができる。
この際、本発明のA剤、B剤、及びC剤は、その全て又は一部をパーマ剤や染毛剤等の毛髪処理剤に混合した状態で、毛髪に塗布することもできるし、パーマ剤や染毛剤等を塗布する前及び/又は塗布した後に、本発明のA剤、B剤、及びC剤の全部又は一部を含む毛髪処理剤を、更に重ねて毛髪に塗布することもできる。
毛髪処理剤の塗布は、毛髪が濡れている状態で行うことが好ましい。毛髪が濡れている状態で毛髪処理剤を塗布することにより、毛髪処理剤をより均一に塗布することができる。また、毛髪が濡れていることで、水を含有するC剤を毛髪に接触させる接触工程(III)をわざわざ行うことなく、実質的に同等の効果を得ることができる。
[放置]
毛髪処理剤の毛髪への塗布後、そのままの状態で所定時間、放置を行う。放置することで、毛髪の表面や毛髪内部、頭皮において、A剤中の水素化マグネシウムとC剤中の水との加水分解反応が持続的に進行し、水素が発生する。そして、この水素が毛髪の表面や毛髪内部、頭皮における活性酸素と結合して水を発生し、毛髪や頭皮の水分量を向上させることができる。
放置を行う時間は特に限定されず、毛髪処理の目的や髪質、毛髪及び/又は頭皮のダメージの程度などに応じて、自由に設定することができる。例えば、ヘアカラー処理の場合は、5〜30分放置することが好ましく、10〜20分放置することがより好ましい。
なお、放置の際、毛髪処理剤の種類等に応じて、適宜、加熱を行うことも可能である。
[毛髪処理剤の除去]
適宜、放置を行った後、毛髪表面に存在する毛髪処理剤を除去する。毛髪処理剤の除去方法は、特に限定されず、例えば、水、シャンプー剤、リンス剤、などを用いて除去することができる。
毛髪処理剤の除去を行った後は、適宜、トリートメント等の処理を行うことも自由である。
[乾燥処理]
毛髪処理剤の除去を行った後、毛髪表面に残った水分を乾燥処理する。乾燥処理の方法は特に限定されず、常法に従って、例えば、タオルドライ後、ヘアドライヤーを用いて乾燥する方法が挙げられる。
乾燥処理においては、自然乾燥による乾燥を行うことも可能であるが、前述した通り、前記接触工程(I)〜(III)を経た後に、毛髪を加熱した方が、毛髪中の水分量が向上するため、本発明においては、加熱による乾燥処理を行うことが好ましい。
[加熱処理]
毛髪表面に残った水分を乾燥処理した後、本発明に係る毛髪処理方法では、更に毛髪を加熱することが好ましい。前述した通り、前記接触工程(I)〜(III)を経た後に、毛髪を加熱した方が、毛髪中の水分量が向上するからである。
乾燥処理において、加熱による乾燥処理を行った場合には、更なる加熱処理を行う必要はないが、前述の通り、毛髪にダメージを与えない範囲内で、より高温で加熱した方が、毛髪中の水分量が向上することから、加熱による乾燥処理後であっても、更に高温での加熱処理を行うことが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<実験例1>
実験例1では、本発明に係る化粧料用キット及び毛髪処理剤用キットから得られる化粧料及び毛髪処理剤について、水素の発生効果及び水素発生の持続効果を検討した。
(1)化粧料及び毛髪処理剤の調製
[実施例1]美容液
下記表1に示す配合で、A剤、B剤及びC剤を調製した後、A剤、B剤、及びC剤を混合することにより美容液を調製した。
[実施例2]クリーム
下記表2に示す配合で、A剤、B剤及びC剤を調製した後、A剤、B剤、及びC剤を混合することによりクリームを調製した。
[実施例3]ローション
下記表3に示す配合で、A剤、B剤及びC剤を調製した後、A剤、B剤、及びC剤を混合することによりローションを調製した。
[実施例4]パーマ剤第1剤
下記表4に示す配合で、A剤、B剤及びC剤を調製した後、A剤、B剤、及びC剤を混合することによりパーマ剤第1剤を調製した。
[実施例5]パーマ剤第2剤
下記表5に示す配合で、A剤、B剤及びC剤を調製した後、A剤、B剤、及びC剤を混合することによりパーマ剤第2剤を調製した。
[実施例6]染毛剤第1剤
下記表6に示す配合で、A剤、B剤及びC剤を調製した後、A剤、B剤、及びC剤を混合することにより染毛剤第1剤を調製した。
[実施例7]染毛剤第2剤
下記表7に示す配合で、A剤、B剤及びC剤を調製した後、A剤、B剤、及びC剤を混合することにより染毛剤第2剤を調製した。
[実施例8]染毛剤
前記実施例6で調製した染毛剤第1剤と、前記実施例7で調製した染毛剤第2剤と、を混合し、染毛剤を調製した。
[比較例1]美容液
前記表1に示す配合中、A剤を配合せずに、実施例1と同様の方法により美容液を調製した。
[比較例2]美容液
前記表1に示す配合中、B剤を配合せずに、実施例1と同様の方法により美容液を調製した。
[比較例3]ローション
前記表3に示す配合中、A剤を配合せずに、実施例3と同様の方法によりローションを調製した。
[比較例4]パーマ剤第1剤
前記表4に示す配合中、A剤を配合せずに、実施例4と同様の方法によりパーマ剤第1剤を調製した。
[比較例5]パーマ剤第2剤
前記表5に示す配合中、A剤及びC剤の代わりに活性水素水5mL(商品名「クリスタル水素水」(株式会社ココシス製)、以下同じ)を配合し、実施例5と同様の方法によりパーマ剤第2剤を調製した。
[比較例6]染毛剤第1剤
前記表6に示す配合中、A剤を配合せずに、実施例6と同様の方法により染毛剤第1剤を調製した。
[比較例7]染毛剤第2剤
前記表7に示す配合中、A剤及びC剤の代わりに活性水素水5mLを配合し、実施例7と同様の方法により染毛剤第2剤を調製した。
[比較例8]染毛剤
前記比較例6で調製した染毛剤第1剤と、前記比較例7で調製した染毛剤第2剤と、を混合し、染毛剤を調製した。
(2)水素の発生効果及び水素発生の持続効果の検討
前記で調製した各化粧料及び毛髪処理剤調製直後に、メチレンブルー試薬(和光純薬株式会社製)を滴下し、その呈色変化を調べた。また、青色に呈色したものに関しては、青色が消失するまでの時間を測定した。
結果を下記表8に示す。
※1:徐々に呈色を示したが非常に薄い呈色であった。
※2:非常に薄い呈色のまま消失せず。
表8に示す通り、実施例1〜8は、メチレンブルーを滴下直後から全て青色に呈色した。従って、実施例1〜8は、調製後すぐに水素の発生が開始することが分かった。また、呈色反応は、平均して549.5分間(9時間以上)持続した。この結果から、本発明に係る化粧料用キット及び毛髪処理剤用キットから得られる化粧料及び毛髪処理剤は、調製直後から水素が発生し、その後も約9時間以上も継続して水素が発生し続けることが分かった。
一方、A剤も水素水も配合しない比較例1、3、4及び6は、メチレンブルーを滴下しても呈色反応が全く見られなかった。B剤を配合しない比較例2は、メチレンブルー滴下直後には呈色反応が見られなかったが、徐々に呈色を示した。しかし、その呈色は非常に薄いものであった。また、非常に薄い呈色のまま、13時間後も消失しなかった。A剤とC剤の代わりに水素水を配合した比較例5、7及び8は、メチレンブルーを滴下直後に呈色反応を示したが、呈色反応は3分後には全て消失していた。この結果から、A剤を配合した場合であってもB剤を配合しなければ、水素化マグネシウムの加水分解反応の進行が非常に遅く緩やかであることが分かった。また、水素水を配合することにより水素を発生させることは可能であるが、継続的に水素を発生させるのは困難であることが分かった。
<実験例2>
実験例2では、本発明に係る毛髪処理剤用キットから得られる毛髪処理剤をパーマ剤に配合した場合に、毛髪の水分量がどのように変化するかを調べた。
(1)パーマ処理
前記実験例1で調製した実施例4と比較例4のパーマ剤第1剤を、同一の被験者の毛髪の左右にそれぞれ塗布し、直径7.0mmのロッドに均一に巻きつけ、15分間放置した。その後、36℃のぬるま湯を用いて中間洗浄し、前記実験例1で調製した実施例5と比較例5のパーマ剤第2剤を、同一の被験者の毛髪の左右にそれぞれ塗布し、15分間放置した。その後、36℃のぬるま湯を用いて洗浄し、タオルドライ後にドライヤーを用いて乾燥した。
(2)水分量の測定
第1剤を塗布する前とパーマ処理後の毛髪中の水分量を、赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所製FD-610、以下同じ)を用いて測定した。
(3)結果
結果を下記表9に示す。
表9に示す通り、実施例4及び5のパーマ剤を用いてパーマ処理を行った場合、処理前よりも処理後の方が、毛髪中の水分量が増加することが分かった。一方、比較例4及び5のパーマ剤を用いてパーマ処理を行った場合、従来からのパーマ処理と同様に、処理前に比べ処理後の方が、毛髪中の水分量が低下していた。
また、比較例4及び5のパーマ剤を用いてパーマ処理を行った場合に比べ、実施例4及び5のパーマ剤を用いてパーマ処理を行った場合の方が、ウェーブ効果が強く、その持続性も高かった。
<実験例3>
実験例3では、本発明に係る毛髪処理剤用キットから得られる毛髪処理剤を染毛剤に配合した場合に、毛髪の水分量がどのように変化するかを調べた。
(1)染毛処理
前記実験例1で調製した実施例6と比較例6の染毛剤第1剤と、実施例7と比較例7の染毛剤第2剤とを混合し、同一の被験者の毛髪の左右にそれぞれ塗布し、15分間放置した。その後、36℃のぬるま湯を用いて洗浄し、タオルドライ後にドライヤーを用いて乾燥した。
(2)水分量の測定
染毛剤を塗布する前と染毛処理後の毛髪中の水分量を、赤外線水分計を用いて測定した。
(3)結果
結果を下記表10に示す。
表10に示す通り、実施例6及び7の染毛剤を用いて染毛処理を行った場合、処理前よりも処理後の方が、毛髪中の水分量が増加することが分かった。一方、比較例6及び7の染毛剤を用いて染毛処理を行った場合、従来からの染毛処理と同様に、処理前に比べ処理後の方が、毛髪中の水分量が低下していた。
また、比較例6及び7の染毛剤を用いて染毛処理を行った場合に比べ、実施例6及び7の染毛剤を用いて染毛処理を行った場合の方が、染毛処理後の発色が良好であり、その持続効果も高かった。
<実験例4>
実験例4では、公知の毛髪処理剤を用いた毛髪処理の工程において、本発明に係る毛髪処理を併用した場合に、毛髪の水分量、強度、及び外観がどのように変化するかを調べた。なお、公知の毛髪処理剤としては、染毛剤(ヘアカラー剤)の第1剤としてモルトベーネプロフェッショナル株式会社製のアデイロ(登録商標)カラーを、第2剤として1.8%過酸化水素水(株式会社ソワン製)を用いた。
(1)染毛処理
染毛剤第1剤及び第2剤を混合し、これに水素化マグネシウム0.3gを添加し、混合して毛髪処理剤を調製した。調製した毛髪処理剤を、プレシャンプーを行った被験者3名の毛髪全体に塗布し、そのまま15分放置した。その後、36℃のぬるま湯を用いて洗浄し、タオルドライ後にドライヤーを用いて乾燥した。その後、200℃のアイロンを用いて加熱処理を行った。
(2)水分量の測定
染毛処理を行う前と染毛処理後の毛髪中の水分量を、赤外線水分計を用いて測定した。
(3)強度の測定
染毛処理を行う前と染毛処理後の毛髪それぞれについて、デジタルフォースゲージDS2(株式会社イマダ製)を用いて、強度測定を行った。
(4)毛髪の観察
染毛処理を行う前と染毛処理後の毛髪それぞれについて、肉眼及び電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製miMiniscope TM3000(登録商標))を用いて、毛髪表面の観察を行った。
(5)結果
それぞれの被験者における水分量測定の結果を下記表11に、その平均値を図1に示す。また、それぞれの被験者における強度測定の結果を下記表12に、その平均値を図2に示す。更に、それぞれの被験者の毛髪を写真撮影した結果を図3に、それぞれの被験者の毛髪のキューティクルについて、電子顕微鏡を用いて撮像した結果を図4に示す。なお、図4には、参考のために、理想的なキューティクルの撮像写真を併記した。
表11及び図1に示す通り、処理前の水分量と比較して、処理後の水分量は、飛躍的に上昇していることが証明された。また、表12及び図2に示す通り、処理前の毛髪強度と比較して、処理後の毛髪強度も、上昇していることが証明された。なお、表12の被験者2では、毛髪強度が若干低下しているが、測定に用いた毛髪の部位が異なる等の誤差であると考えられる。
更に、図3に示す通り、毛髪の外観についても、処理前に比べて処理後の方が、明らかに良好であることが分かった。加えて、図4に示す通り、毛髪のキューティクルについても、処理前に比べて処理後の方が、明らかにキメが整い、理想的なキューティクルに近づく(キューティクルが再生する)ことが分かった。
<実験例5>
実験例5では、加熱工程の有無及びその温度によって、毛髪の水分量がどのように変化するかを調べた。
(1)発泡性エアゾール毛髪処理剤の調製
エアゾール用アルミ容器に、液化石油ガス(LPG)と共に、POE硬化ヒマシ油:2.0質量%、ミリスチン酸イソプロピル:1.0質量%、水素化マグネシウム:2.0質量%、クエン酸:2.0質量%、1,3−ブチレングリコール:5.0質量%、エタノール:10.0質量%、精製水:残余、を充填し、発泡性エアゾール毛髪処理剤を調製した。
(2)染毛処理
実験例4で用いた公知の染毛剤と同一の染毛剤を、プレシャンプーを行った被験者3名の毛髪全体に塗布し、その上から、前記で調製した発泡性エアゾール毛髪処理剤を毛髪全体に塗布し、そのまま15分放置した。その後、36℃のぬるま湯を用いて洗浄し、タオルドライ後に、被験者1は自然乾燥を行った。被験者2はドライヤーを用いて乾燥した。被験者3は、ドライヤーを用いて乾燥した後、200℃のアイロンを用いて加熱処理を行った。
(3)水分量の測定
それぞれの被験者について、染毛処理を行う前と染毛処理後の毛髪中の水分量を、赤外線水分計を用いて測定した。
(4)結果
それぞれの被験者における水分量測定の結果を下記表13に示す。
表13に示す通り、毛髪処理前の水分量と比べて毛髪処理後の水分量は、自然乾燥であっても上昇するが、ドライヤーを用いて乾燥を行った方がより上昇率が高いことが分かった。また、ドライヤー乾燥後、更にアイロンによる加熱処理を行うことで、水分量が顕著に上昇することも分かった。
本発明に係る化粧料用キット及び毛髪処理剤用キットは、使用時において十分な水素を確保でき、酸化ストレスを除去することを可能とする。また、長期保存時の安定性も高い。
本発明に係る化粧料用キットは、使用を継続することにより、リフトアップ効果、引き締め効果、たるみ・しわの予防効果を皮膚に与えることが可能である。そのため、本発明に係る化粧料用キットは、健康増進や、アンチエイジング等の目的で、幅広い分野において応用することができる。
また、本発明に係るA剤、B剤及びC剤の主成分は、毛髪処理剤用キットとした際に、毛髪処理剤中の他の薬剤や染料等に影響を与えないため、パーマ効果や染毛の際の発色に影響を与えることはない。むしろ、前記実施例に示すように、その効果及び持続性を向上させることができる。そのため、本発明に係る毛髪処理剤用キットを使用した場合、毛髪処理と、水素による酸化ストレスの除去処理とを、一体的に行うことが可能である。よって、従来技術と比較し、染毛処理時に与える髪や頭皮等に対するダメージは軽減され、かつ、一回の処理で同時にヘアケアまで行うことが可能となる。

Claims (8)

  1. 水素化マグネシウムを含有するA剤と、
    水溶液が酸性を示す物質を含有するB剤と、
    水を含有するC剤と、
    からなる毛髪処理剤用キット。
  2. 前記毛髪処理剤は、パーマ剤又は染毛剤である請求項1記載の毛髪処理剤用キット。
  3. 前記A剤と、前記B剤と、が予め混合された請求項1又は2に記載の毛髪処理剤用キット。
  4. 前記B剤と、前記C剤と、が予め混合された請求項1又は2に記載の毛髪処理剤用キット。
  5. 前記A剤、前記B剤、及び前記C剤を、使用時に混合して毛髪処理剤を得る請求項1から4のいずれか一項に記載の毛髪処理剤用キット。
  6. 前記水溶液が酸性を示す物質は、クエン酸、塩化マグネシウム、及び過酸化水素から選択される一以上の物質である請求項1から5のいずれか一項に記載の毛髪処理剤用キット。
  7. 水素化マグネシウムを含有するA剤を毛髪に接触させる接触工程(I)と、
    水溶液が酸性を示す物質を含有するB剤を毛髪に接触させる接触工程(II)と、
    水を含有するC剤を毛髪に接触させる接触工程(III)と、
    を、同時又は順不同で行う毛髪処理方法。
  8. 前記接触工程(I)〜(III)を経た後に、
    毛髪を加熱する加熱工程(IV)、
    を、更に行う請求項7記載の毛髪処理方法。
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