JP6354561B2 - 軌道判定方法、軌道設定装置、自動運転システム - Google Patents

軌道判定方法、軌道設定装置、自動運転システム Download PDF

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本発明は、自動運転システムで使用する軌道の可否を判定する技術に関する。
車両に搭載される自動運転システムにおいて、周囲の状況に応じて、走行制御の目標値となる計画軌道を設定する方法の一つとして、以下のものが知られている。
まず、周辺車両の予測軌道を考慮して、自車両の軌道候補を複数設定する。各軌道候補について、所定の安全条件を満たすか否かを評価し、安全条件を満たすものを計画軌道として選択する。また、安全条件を満たす軌道候補が存在しない場合は、安全条件を緩めて別の軌道候補を生成することが行われる。なお、安全条件としては、具体的には、乗員の快適性を確保するために課せられる物理条件、例えば、「加速度0.3G未満」「0.9G未満」などが考えられている(特許文献1参照)。
特開2009−64088号公報
しかしながら、従来技術は、軌道候補を評価する安全条件として、物理的な衝突危険性だけを考慮している。衝突危険性は、センシングの誤差や認識ミス、制御遅れ等のシステムの不安定性によってばらつくため、衝突危険性がないと評価された進路であるにも関わらず、他車両と接近し過ぎて衝突しそうになったり、衝突しないまでも、急激な制御を生じさせたりするという可能性があるという問題があった。
特に、従来技術では、計画軌道は、その設定の際に、自車両の乗り心地は考慮されているが、他車両の乗り心地は全く考慮されていない。即ち、自車両が計画軌道に従って走行制御を実行すると、他車両に急減速や急ハンドル等の急激な制御を強いる場合があり、その結果、他車両の乗り心地を劣化させてしまうという問題もあった。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、自動運転システムにおいて、他車両の快適性を損なうことなく、計画軌道を設定する技術を提供することを目的とする。
本発明の軌道判定方法は、車両に搭載される自動運転システムが実行する走行制御の目標値となる計画軌道を設定する際に、その計画軌道の候補として生成される軌道候補が、実施可能であるか否かを判定する方法である。そして、本発明の軌道判定方法では、自車両の周囲に存在する周辺車両の干渉領域である他車干渉領域を取得し、軌道候補が他車干渉領域の外部にある場合に、該軌道候補は実施可能であると判定する。なお、干渉領域とは、車両周囲の領域のうち、他車両が進入してきた場合に、予め設定された快適条件を満たす走行制御を維持することが不能な領域のことをいう。
また、本発明の軌道設定装置は、車両に搭載される自動運転システムが実行する走行制御の目標値となる計画軌道を設定するための装置であり、軌道候補生成部と、干渉領域取得部と、実施可否判定部と、第1計画軌道設定部とを備える。そして、軌道候補生成部は、予め設定された快適条件を満たす一つ以上の軌道候補を生成する。干渉領域取得部は、自車両の周囲に存在する周辺車両の干渉領域である他車干渉領域を取得する。実施可否判定部は、軌道候補生成部にて生成された軌道候補が、干渉領域取得部にて取得された他車干渉領域の外部にある場合に、その軌道候補は実施可能であると判定する。第1計画軌道設定部は、実施可否判定部にて実施可能であると判定された軌道候補の一つを計画軌道として設定する。
このように構成された本発明の軌道判定方法および軌道設定装置によれば、軌道候補の実施可否を、干渉領域を用いて判定するため、他車両の快適性を損なうことなく、自車両の計画軌道を設定することができる。
また、本発明の自動運転システムは、上述の軌道設定装置と、軌道設定装置によって設定された計画軌道に沿った走行制御を実行する自動運転実行部とを備える。
このように構成された本発明の自動運転システムによれば、上述の軌道設定装置によって設定された計画軌道に従って走行制御を実行することにより、自車および他車の快適性を損なうことなく効率的な交通流を実現することができる。
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
車両に搭載される自動運転システムの構成を示すブロック図である。 運転支援システムの全体構成を示すブロック図である。 第1実施形態において、車両情報申請の受信時に路側サーバが実行する処理を表す説明図である。 第1実施形態において、干渉領域問合せの受信時に路側サーバが実行する処理を表す説明図である。 第1実施形態において、侵害通知の受信時に路側サーバが実行する処理を表す説明図である。 軌道生成部が実行するメイン処理のフローチャートである。 軌道候補実施可否判定処理の詳細を表すフローチャートである。 軌道生成部が実行する侵害報知受信処理のフローチャートである。 干渉領域の調整による効果を示す説明図であり、(a)は干渉領域が縮小されない場合、(b)は干渉領域が縮小された場合を示す。 実施可能な軌道候補が存在しない状況での動作を示す説明図であり、(a)は侵害許容設定が無効である場合、(b)は侵害許容設定が有効(即ち例外車両)である場合を示す。 第2実施形態において、車両情報申請の受信時に路側サーバが実行する処理を表す説明図である。 第2実施形態において、干渉領域問合せの受信時に路側サーバが実行する処理を表す説明図である。 第2実施形態において、侵害通知の受信時に路側サーバが実行する処理を表す説明図である。 干渉領域の設定に関する説明図である。 実施可能な軌道候補が存在しない状況で動作を示す説明図であり、(a)が実施可能な軌道候補が存在しない状況を示す図、(b)がペナルティの算出に関する説明図、(c)が侵害車両にペナルティが加えられることを示す説明図である。 第3実施形態において、軌道生成部が実行するメイン処理のフローチャートである。 第3実施形態において、軌道生成部が実行する干渉領域情報管理処理のフローチャートである。 時系列情報として定義される干渉領域の説明図である。
以下に本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1.1.構成]
図2に示す運転支援システムは、各車両に搭載される自動運転システム10と、インフラとして設置される路側システム20とを備える。ここでは、自動運転システム10は全ての車両に搭載されているものとする。
[1.2.路側システム]
路側システム20は、中継器21と、路側サーバ22と、情報センター23とを備える。
中継器21は、道路に沿って複数設けられ、道路を走行する車両との路車間通信を行う。
路側サーバ22は、所定の道路区間毎に設けられ、その道路区間内に配置された各中継器21を介して、自動運転の支援に必要な情報である支援情報を送受信する。なお、支援情報は、車種毎に予め設定された干渉領域に関する情報である干渉領域情報と、路車間通信により存在が確認された車両毎に登録される登録情報とで構成される。
情報センター23は、車両メーカによって登録された干渉領域情報を各路側サーバ22に提供する機能を有すると共に、車両が道路区間を跨いて移動する際に、その車両に関する登録情報を、路側サーバ22間で引き継がせる機能を有する。
[1.2.1.干渉領域情報]
干渉領域情報は、車両を識別する識別子をkとして、干渉領域Rおよび危険領域Aの範囲を表す範囲情報と、干渉領域Rの大きさを表す領域量Vとで構成される。範囲情報には、車両前方に広がる領域の長さと後方に広がる領域の長さとが少なくとも含まれている。以下では、干渉領域R,危険領域Aと記載した場合、その範囲情報を表すものとする。また、領域量Vは、本実施形態では干渉領域Rの面積を表すものとする。
干渉領域Rは、車両周辺の領域のうち、他車両が進入してきた時に、自動運転システム10による走行制御では、予め設定された快適条件を維持できない領域のことをいう。また、危険領域Aは、他車両が進入してきた場合、自動運転システム10が最大限に走行制御を行っても衝突の危険がある領域のことをいう。なお、以下では、領域内に進入した車両を出現車両ともいう。
干渉領域Rの設定は、例えば、以下のように行う。まず、自動運転システム10の制御反応の大きさを表す干渉指数を用い、自車両の前後に、様々な車間状態で出現車両が現れた時の干渉指数を求め、干渉指数がある閾値以上となる車間状態の範囲を、干渉領域Rとして設定する。なお、車間状態は、例えば、自車速度、出現車速度、自車両と出現車両との車間距離等で表現する。また、干渉指数は、例えば、車両の挙動を表現するパラメータの一つであるジャーク(加速度の時間変化)の絶対値を用いる。干渉指数は、車載の計測器での計測結果から求めてもよいし、シミュレーションによって求めてもよい。ここでは、干渉指数が、閾値(例えば、2[m/s])未満となることを快適条件とし、干渉指数が閾値以上となる範囲を干渉領域として設定する。つまり、車両の加速度は、車両の乗員には身体にかかる慣性力として感じられ、それが急激に変化すると、乗員は不快になったり、気分が悪くなったりする。このためジャークを、快適条件を規定するパラメータとして使用することができる。なお、ジャークと乗り心地の関係は、例えば「自動車の加減速と乗り心地の関係に関する研究」人間工学36(4)、191−200、2000−08−15等に記載されている。
なお、干渉領域は、自動運転システム10による制御の安定性によって変化する。即ち、自動運転システム10による制御は、周辺車両の位置などを検知するセンサやその検知結果を処理するCPUの性能が高いほど安定性が向上し、その安定性が高いほど、干渉領域は狭くなる。
[1.2.2.路側サーバでの処理]
次に、路側サーバ22が、車両との路車間通信により実現する機能について説明する。なお、路側サーバ22は、CPU,ROM,RAMを中心に構成されたマイクロコンピュータ(マイコン)221と、情報センター23との通信や中継器21を介した車両との通信を行う通信機222と、車両から提供される情報に基づく登録情報や情報センター23から提供される干渉領域情報からなる支援情報を記憶する支援情報記憶部223を少なくとも備えている。
[1.2.2.1.車両情報申請]
まず、車両が、自車両に関する情報を、路側サーバ22に申請する場合について説明する。この場合、図3に示すように、車両は路側サーバ22に対して「車両情報申請」を送信する。この「車両情報申請」には、送信元車両を識別するための車両IDと、送信元車両の位置や進行方向を表す位置情報とが少なくとも含まれている。
路車間通信により路側サーバ22が車両から「車両情報申請」を受信すると、路側サーバ22のマイコン221は、S110にて、「車両情報申請」に示された車両IDが支援情報記憶部223に登録済みであるか否かを判断する。車両IDが登録済みでなければ(S110:NO)、S120に進む。一方、車両IDが登録済みであれば(S110:YES)、S120をスキップしてS130に進む。
S120では、支援情報記憶部223に、車両IDを登録して、S130に進む。このとき、車両IDに対応づけて、車両IDから特定される車種の干渉領域情報、車両IDの登録時刻を記憶すると共に、「車両情報申請」に示された位置情報を記憶するための領域を確保する。
S130では、「車両情報申請」に示された位置情報で、支援情報記憶部223に記憶された車両IDに関する位置情報を更新する。
なお、図示は省略するが、支援情報記憶部223に登録された車両IDは、例えば、その車両IDへのアクセスが一定時間以上継続してなかった場合に消去される。また、道路区間の境界に位置する中継器21にて、その道路区間から出る方向に移動中の車両からの「車両情報申請」を受信した場合、路側サーバ22は、その車両IDに関する登録情報を、移動先の道路区間を統括する路側サーバ22に転送して、その登録情報を引き継がせる。
[1.2.2.2.干渉領域問合せ]
次に、車両が、自車両の周辺に存在する周辺車両の干渉領域を、路側サーバ22に問い合わせる場合について説明する。この場合、図4に示すように、車両は路側サーバ22に対して「干渉領域問合せ」を送信する。この「干渉領域問合せ」には、送信元車両の車両IDと、問合せ対象となる周辺車両の識別に必要な周辺車両識別情報とが少なくとも含まれている。また、周辺車両識別情報は、送信元車両と周辺車両との相対的な位置関係が少なくとも含まれる。
路車間通信により路側サーバ22が車両から「干渉領域問合せ」を受信すると、路側サーバ22のマイコン221は、S210にて、「干渉領域問合せ」に示された車両IDに基づき、送信元車両Cの干渉領域の総申請量Sを算出する。具体的には、車両IDに対応づけられた干渉領域の領域量Vと、その車両IDの登録時刻とに基づき、登録からの経過時間で領域量Vを積分することで送信元車両の総申請量(自車領域量)Sを求める。ここでは、領域量Vが一定値であるため、領域量Vに経過時間を乗じた結果が総申請量Sとなる。
続くS220では、「干渉領域問合せ」に示された周辺車両識別情報に基づいて、周辺車両Cの車両IDを特定し、その特定した車両IDに基づき、S210の場合と同様の手法で、周辺車両の総申請量(他車領域量)Sを求める。なお、周辺車両Cの車両IDを特定する際には、支援情報記憶部223に登録されている送信元車両Cの位置情報と周辺車両識別情報とから、周辺車両Cの推定位置を求め、この推定位置に近い位置情報を有する登録情報に対応づけられた車両IDを検索することで行う。
続くS230では、先に求めた総申請量S,Sに基づき、周辺車両の干渉領域Rを調整する。具体的には、周辺車両の干渉領域のうち車両前方に広がる領域の長さを前方領域長rf、車両後方に広がる領域の長さを後方領域長rrとし、例えば、(1)(2)式を用いて調整する。
つまり、送信元車両Cの総申請量Sより周辺車両Cの総申請量Sの方が小さい場合、周辺車両の干渉領域Rとして登録情報がそのまま用いられる。逆に、送信元車両Cの総申請量Sより周辺車両Cの総申請量Sの方が大きい場合、周辺車両Cの干渉領域Rは、両総申請量の比S/Sを乗じた大きさに縮小されたものが用いられる。
そして、路側サーバ22は、「干渉領域問合せ」の送信元車両Cに対して「干渉領域通知」を送信する。この「干渉領域通知」には、送信元車両Cの車両IDと、申請対象となった周辺車両Cの調整された干渉領域Rが含まれている。
[1.2.2.3.侵害通知]
次に、車両が周辺車両の干渉領域を侵害する計画軌道を採用する場合について説明する。この場合、図5に示すように、車両は路側サーバ22に対して「侵害通知」を送信する。この「侵害通知」には、送信元車両の車両IDと、被侵害車両の識別に必要な被侵害車両識別情報とが少なくとも含まれている。被侵害車両識別情報は、上述した周辺車両識別情報と同様のものである。
路車間通信により路側サーバ22が車両から「侵害通知」を受信すると、路側サーバ22のマイコン221は、S310にて、「侵害通知」に示された被侵害車両識別情報に基づいて、先のS220で説明したものと同様の手法を用いて、被侵害車両の車両IDを特定し取得する。
そして、路側サーバ22は、周辺車両に対して「侵害報知」を送信する。「侵害報知」には被侵害車両の車両IDが少なくとも含まれている。これにより、被侵害車両は、自車両の干渉領域が他車両によって侵害されることを事前に知ることができる。
[1.3.自動運転システム]
次に、各車両に搭載された自動運転システム10について説明する。
自動運転システム10は、図1に示すように、環境データ取得部11と、車両挙動データ取得部12と、通信部13と、設定保持部14と、軌道生成部15と、自動運転実行部16とを備える。
環境データ取得部11は、車両周辺を撮影するように設置されたカメラ、レーダ波(超音波やミリ波など)を利用して車両周辺の物標の位置や相対速度を検出するレーダセンサ、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System )衛星からの信号を受信して3次元の位置情報等を生成するGPS受信機、時間帯,天候,周囲に存在するインフラの状態などを検出するセンサ或いはこれらの状態を外部から取得する通信機等を介して、自車両の走行に影響を与える可能性のある各種環境データを繰り返し取得し、軌道生成部15に出力する。なお、環境データには、カメラやレーダセンサからの情報を処理することによって得られる周辺車両の位置や速度なども含まれるものとする。
車両挙動データ取得部12は、車速、加速度、ヨーレートなど車両の挙動を表すデータや、ステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダルなど車両の挙動に影響を与える操作の状態を検出する各種車載センサの出力を繰り返し取得し、軌道生成部15に出力する。
通信部13は、路車間通信機からなり、路側システム20との通信を介して自動運転に必要な情報の登録や取得を行う。
設定保持部14は、自動運転に関する各種設定を保持する。ここでは、図示しない装置によって別途設定される自動運転の目的地に至る経路である計画経路、および計画経路に従った計画軌道(後述する)を設定できない場合に、周辺車両の干渉領域を侵害することを許容するか否かの設定である侵害許容設定、自車両が救急車等の例外車両であるか否かの設定である例外車両設定が、少なくとも含まれている。
軌道生成部15は、CPU15a,ROM15b,RAM15cを備えた周知のマイクロコンピュータからなり、ROM15bに記憶されたプログラムを実行することで、自動運転の走行制御に使用する計画軌道を生成する処理等を実行し、生成した計画軌道を自動運転実行部16に供給する。
自動運転実行部16は、軌道生成部15で生成された計画軌道に従って、スロットル、ブレーキ、ステアリング等を用いた走行制御を実行する。
[1.3.1.処理]
軌道生成部15のCPU15aが実行するメイン処理を、図6のフローチャートに沿って説明する。なお、本処理は、予め設定された周期で繰り返し起動される。
本処理が起動すると、CPU15aは、まず、S400にて、環境データ取得部11から自車両の位置や進行方向を表す位置情報を取得し、その位置情報と自車両の車両IDを載せた「車両情報申請」を送信する(図3参照)。これにより、自車両の情報が路側サーバ22の支援情報記憶部に登録され、以後、その登録内容が、周期的に更新されることになる。
続くS410では、自動運転実行部16による走行制御の目標値となる計画起動を設定するタイミングであるか否かを判断する。計画起動の設定タイミングでなければ(S410:NO)、本処理を一旦終了する。計画起動の設定タイミングであれば(S410:YES)、S420に進む。
S420では、環境データ取得部11からの情報に基づいて、自車両の周囲に存在する周辺車両を検知する。
続くS430では、検知した周辺車両および設定保持部14に保持された計画経路に従って、計画軌道の候補となる軌道候補を生成する。軌道候補は、予め設定された快適条件を満たし、且つ、周辺車両の危険領域(ここでは、実際の領域サイズが分からないので固定サイズ)に進入することがないように、複数の経路を生成する。なお、快適条件としては、例えば、自動運転実行部16が実行する走行制御によって発生するジャークが、所定の閾値を越えないこと等を用いることができる。
続くS440では、設定保持部14に保持された例外車両設定に従って、自車両が例外車両であるか否かを判断する。自車両が例外車両である場合(S430:YES)、S450にて、先のS430にて生成された全ての軌道候補を実施可能であると判定してS490に進む。自車両が例外車両ではない場合(S430:NO)S460に進む。
S460では、自車両の車両IDと、先のS420で検知された周辺車両に関する周辺車両識別情報とを載せた「干渉領域問合せ」を送信する(図4参照)。
続くS470では、「干渉領域通知」を受信するまで待機し、「干渉領域通知」を受信すると(S470:YES)、S480に進む。
S480では、「干渉領域通知」に示された周辺車両の干渉領域を用いて、先のS430にて生成された各軌道候補の実施可否を判定する軌道候補実施可否判定処理を実行して、S490に進む。
S490では、先のS450またはS480にて実施可能であると判定された軌道候補の中から、実際に実施する計画起動を選択し、これを自動運転実行部16に出力して、本処理を終了する。
次に、先のS480で実行する軌道候補実施可否判定処理の詳細を、図7のフローチャートに沿って説明する。
本処理が起動すると、CPU15aは、まずS510にて、周辺車両毎かつ軌道候補毎に干渉領域侵害量を算出する。干渉領域侵害量は、例えば、干渉領域内に存在する軌道候補の長さで表す。
続くS520では、算出された干渉領域侵害量が0であり、他車両の干渉領域を侵害しない軌道候補を実施可能な軌道候補として抽出する。
続くS530では、設定保持部14に保持された侵害許容設定に従って、侵害許容設定が有効であるか否か、即ち、干渉領域を侵害する計画軌道の設定を許容するか否かを判断する。侵害許容設定が有効ではない場合(S530:NO)、即ち、自車両が例外車両ではない場合、本処理を終了する。侵害許容設定が有効である場合(S530:YES)、即ち、自車両が例外車両である場合、S540に進む。
S540では、先のS520にて実施可能な軌道候補が抽出されているか否かを判断する。実施可能な軌道候補が一つでも抽出されていれば(S540:YES)、本処理を終了する。実施可能な軌道候補が一つも抽出されていなければ(S540:NO)、S550に進む。
S550では、計画軌道が設定されなければ、目的地に至る計画経路の変更が必要となる状況であるか否かを判断する。例えば、片道2車線の道路で走行車線を走行中に、計画経路に従って右折するには、追越車線に車線変更をする必要があるが、そのための計画軌道を設定できないような状況をいう。そして、計画経路の変更を要する状況でなければ(S550:NO)、本処理を終了する。計画経路の変更を要する状況であれば(S550:YES)、S560に進む。
S560では、軌道候補のうち、先のS520で算出された干渉領域侵害量が最小となるものを実施可能な軌道候補として選択する。
続くS570では、S560で選択された軌道候補によって干渉領域が侵害される車両を被侵害車両として、自車両の車両IDと、被侵害車両を識別するための被侵害車両識別情報とを載せた「侵害通知」を送信して(図5参照)、本処理を終了する。
次に、CPU15aが上述のメイン処理とは別途実行する侵害報知受信処理を図8に示すフローチャートに沿って説明する。本処理は周期的に起動する。
CPU15aは、本処理が起動すると、まずS610では、通信部13を介して「侵害報知」を受信したか否かを判断する。「侵害報知」を受信していなければ(S610:NO)、本処理を終了する。侵害報知を受信していれば(S610:YES)、S620に進む。
S620では、「侵害報知」に示された車両IDから、自車両が被侵害車両であるか否かを判断する。自車両が被侵害車両でなければ(S620:NO)、本処理を終了する。自車両が被侵害車両であれば(S620:YES)、S630に進む。
S630では、他車両による干渉領域の侵害に対処するための制御の実行を、自動運転実行部16に指示して、本処理を終了する。指示を受けた自動運転実行部16は、侵害に対処する制御として、例えば、減速などを行う。
[1.4.動作]
以下では、計画軌道の設定を行う車両を計画車両という。
<シーン1>
計画車両Cの軌道候補が周辺車両Cの干渉領域Rや危険領域Aを侵害する状況を想定する。図9(a)に示すように、計画車両Cの総申請量Sが、周辺車両Cの総申請量S以上である場合、周辺車両の干渉領域Rはデフォルトの大きさとなり、実施可能な軌道候補が存在しないため、その結果、計画軌道を設定することができない。
同じ状況であっても、図9(b)に示すように、計画車両Cの総申請量Sが、周辺車両Cの総申請量Sより小さい場合、総申請量の比S/Sに応じて 周辺車両Cの干渉領域Rが縮小される。これにより、デフォルトの干渉領域では実施不能と判定された軌道候補が実施可能となる。
<シーン2>
次に、総申請量に応じた干渉領域の調整が行われた結果、実施可能な軌道候補が存在せず、しかも、計画経路に従った自動運転を実現するためには、軌道候補のいずれかを実施する必要がある状況を想定する。
この状況で、計画車両Cの侵害許容設定が無効である場合、図10(a)に示すように、全ての軌道候補が実施不能となる。
一方、計画車両Cの侵害許容設定が有効、即ち、例外車両である場合、図10(b)に示すように、被侵害車両Cの干渉領域Rを侵害する軌道候補が実施可能となる。このとき、計画車両Cは「侵害報知」を路側システム20に送信し、被侵害車両Cは、路側システム20から「侵害報知」を受信することによって、計画車両Cによる干渉領域の侵害に対して、事前に侵害に対処する制御を実行する。
[1.5.効果]
以上説明したように、運転支援システム1によれば、自動運転による走行制御の目標値となる計画軌道が、周辺車両の干渉領域を侵害しないように設定される。このため、自車の挙動によって、周辺車両の快適性が損なわれることを抑制することができる。
また、運転支援システム1では、各車両の干渉領域の総申請量に応じて、総申請量の小さい車両が優先されるように干渉領域の大きさを調整している。なお、干渉領域は、自動運転システムの安定性が高いほど小さくなるため、安定性の高い自動運転システム10が搭載された車両や、自動運転システム10の使用時間が短い車両が優先されることになる。その結果、安定性の低い自動運転システム10が搭載された車両によって、安定性の高い自動運転システム10が搭載された車両の行動が強く制限されることを抑制することができ、効率的な交通流を実現することができる。
また、運転支援システム1では、例外車両については他車両の干渉領域を侵害する軌道を走行できるため、例外車両を優先的に走行させることができる。その際に、干渉領域が侵害される被侵害車両は、事前に報知を受けることにより、干渉領域の侵害に対処する制御を事前に実行することができ、不快な制御が引き起こされることを抑制することができる。
[2.第2実施形態]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
前述した第1実施形態では、情報センター23に干渉領域情報を登録し、路側サーバ22は、情報センター23から提供される干渉領域情報を利用している。これに対し、第2実施形態では、各車両から提供される干渉領域情報を利用する点で第1実施形態とは相違する。
[2.1.路側システム]
本実施形態の路側システム20において、情報センター23は、第1実施形態のものと比較して、干渉領域情報の登録および路側サーバ22への干渉領域情報の提供を行う機能が省略されている以外は、第1実施形態のものと同様である。
以下、路側サーバ22が行う処理の相違点について説明する。なお、第1実施形態と同じ内容のステップには、同一のステップ番号を付与し、説明を簡略化する。
まず、車両が、自車両に関する情報を、路側サーバ22に申請する場合について説明する。この場合、図11に示すように、車両は路側サーバ22に対して「車両情報申請」を送信する。この「車両情報申請」には、車両ID、位置情報に加えて、干渉領域情報が少なくとも含まれている。
路車間通信により車両から「車両情報申請」を受信すると、マイコン221は、S110にて、受信した「干渉領域申請」に示された車両IDは、支援情報記憶部223に登録済みであるか否かを判断する。車両IDが登録済みでなければ(S110:NO)、S125にて、支援情報記憶部223に、車両IDおよび干渉領域情報を登録して、S135に進む。このとき、支援情報記憶部223には、「車両情報申請」に示された位置情報を記憶する領域、および送信元車両の干渉領域の大きさを表す領域量の累積値である総申請量を記憶する領域を、車両IDに対応づけて確保する。一方、車両IDが登録済みであれば(S110:YES)、S125をスキップしてS135に進む。
S135では、「車両情報申請」に示された情報を用いて、支援情報記憶部223に記憶された位置情報および総申請量を更新する。総申請量の更新は、記憶されている総申請量に「車両情報申請」に示された領域量を加えることで行う。
なお、使用されていない車両IDに関する登録情報の消去や、路側サーバ22間での登録情報の引継ぎは第1実施形態の場合と同様である。
次に、車両が、自車両の周辺に存在する周辺車両の干渉領域を、路側サーバ22に問い合わせる場合について説明する。この場合、図12に示すように、車両は路側サーバ22に対して「干渉領域問合せ」を送信する。この「干渉領域問合せ」は、第1実施形態同様に、車両ID、周辺車両識別情報が少なくとも含まれている。
路車間通信により車両から「干渉領域問合せ」を受信すると、マイコン221は、S215にて、「干渉領域問合せ」に示された車両IDに基づき、支援情報記憶部223から送信元車両の総申請量Sを取得する。
続くS225では、「干渉領域問合せ」に示された周辺車両識別情報に基づいて、周辺車両の車両IDを特定し、その特定した車両IDに基づき、支援情報記憶部223から周辺車両の総申請量Sを取得する。
続くS230では、先に取得した総申請量S,Sに基づき、周辺車両の干渉領域Rを調整する。
そして、路側サーバ22は、「干渉領域問合せ」の送信元車両に対して「干渉領域通知」を送信する。
次に、車両が周辺車両の干渉領域を侵害する計画軌道を採用する場合について説明する。この場合、図13に示すように、車両は路側サーバ22に対して「侵害通知」を送信する。この「侵害通知」には、車両ID、被侵害車両識別情報に加えて侵害経路情報が少なくとも含まれている。
路車間通信により路側サーバ22が車両から「侵害通知」を受信すると、路側サーバ22のマイコン221は、S310にて、「侵害通知」に示された被侵害車両識別情報に基づいて、被侵害車両の車両IDを支援情報記憶部223から取得し、周辺車両に対して「侵害報知」を送信する。
更に、S320では、他車両の干渉領域を侵害したペナルティとして、送信元車両の総申請量を増加させる更新を行う。具体的には、先に説明したS215,S225と同様の手法で、送信元車両および侵害車両に関する情報(総申請量、干渉量、位置情報)を支援情報記憶部223から取得する。そして、「侵害通知」に示された侵害経路情報に従い、侵害経路が被侵害車両の干渉領域と重ならないように、被侵害車両の干渉領域を縮小させるのに必要な被侵害車両の総申請量Sに対する調整量ΔSを求める。この調整量ΔSをペナルティ値として、送信元車両の総申請量Sに加算する。
[2.2.自動運転システム]
自動運転システム10は、軌道生成部15が実行する処理の一部が第1実施形態とは異なる。
具体的には、図6で説明したS400にて、「車両情報申請」を送信する際に、これに載せる干渉領域情報を生成して送信する点、図7で説明したS570にて「侵害通知」を送信する際に、通知内容に侵害経路情報を含める点が異なる。
そして、本実施形態では、S400にて生成される干渉領域の範囲は、一定ではなく、天候、昼夜、進行方向(逆光か否か)等の環境や、道路形状、道路勾配、路面状態、路面ペイント状態等道路特性などの周囲状況に応じて変化させる。これは、周囲の明るさによって車間距離のセンシング誤差が変化したり、道路の滑りやすさによって自動運転実行部16の走行制御で実現可能な加減速度が変化したりすることにより、自動運転システム10による制御の安定性も変化するからである。
具体的には、以下の条件で干渉領域を調整することが考えられる。即ち、天候や道路形状が同じであっても、路面が乾燥している場合(図14(a)参照)より濡れている場合(図14(b)参照)に干渉領域を大きくする。また、路面状態や道路形状が同じであっても、天候が晴れの場合(図14(b)参照)より雨の場合(図14(c)参照)に干渉領域を大きくする。また、天候や路面状態が同じであっても道路形状が直線の場合(図14(c)参照)より曲線の場合(図14(d)参照)に干渉領域を大きくする。
なお、干渉領域の範囲だけでなく、危険領域の範囲も同様に変化させてもよい。
[2.3.動作]
先に説明した図10と同様に、総申請量に応じた干渉領域の調整が行われた結果、実施可能な軌道候補が存在せず、しかも、計画経路に従った自動運転を実現するためには、軌道候補のいずれかを実施する必要がある状況を想定する。
この状況で、計画車両Cの侵害許容設定が無効である場合、図15(a)に示すように、全ての軌道候補が実施不能となる。
一方、計画車両Cの侵害許容設定が有効である場合、図15(b)に示すように、被侵害車両Cの干渉領域を侵害する軌道候補が実施可能となる。このとき、計画車両Cは「侵害報知」を路側システム20に送信し、被侵害車両Cは、路側システム20から「侵害報知」を受信することによって、計画車両Cによる干渉領域の侵害に対して、事前に侵害に対処する制御を実行する。
また、計画車両の侵害経路が被侵害車両の干渉領域に重ならないようにするために必要な仮総申請量S+ΔSを求め、実際の総申請量Sとの差分である調整量ΔSを、図15(c)に示すように、計画車両の総申請量に加えることで、計画車両にペナルティを与える。
[2.4.効果]
以上説明したように、本実施形態では、周辺車両の干渉領域を侵害する計画軌道が設定された場合、その計画軌道を設定した計画車両の総申請量を増加させること、即ち、干渉領域を調整する際の優先度を下げることによって、計画車両にペナルティを与える。これにより、必要に応じて、強制的に所望の軌道を実施する機能を実現することができるため、システムの柔軟性を高めることができる。しかも、ペナルティによって、その機能の乱用を抑制することができる。
[3.第3実施形態]
第3実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
前述した第1実施形態では、干渉領域を用いた計画軌道の設定を、路側システム20を介した路車間通信を利用することで実現している。これに対し、第3実施形態では、路側システム20を省略し、車車間通信を利用することで実現している点で相違する。
[3.1.構成]
本実施形態において、自動運転システム10を構成する通信部13は、車車間通信機を備える。また、軌道生成部15は、自車両の干渉領域情報や総申請量を保持するように構成されている。
[3.2.処理]
軌道生成部15のCPU15aが実行する処理について説明する。但し、第1実施形態の処理とは、一部の処理が異なるだけである。このため、同じ処理内容については同一のステップ番号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
まず、メイン処理は、図16に示すように、第1実施形態におけるメイン処理(図6参照)と比較して、S400が省略され、S475が追加されている。
即ち、本実施形態では、路側サーバ22に情報を送信する必要がないため、S400が省略されている。また、路側サーバ22で行っていた、総申請量に基づく干渉領域の調整処理を、各車両で実行するためにS475が挿入されている。従って、S475での処理は、S230での処理と同様である。
また、S460の「干渉領域問合せ」、S570(図7参照)の「侵害通知」の送信は、車車間通信によって、周辺車両に対して送信される。また、S470では、問い合わせ対象の全ての周辺車両からの応答が得られるまで待機する。
次に、侵害報知受信処理は、図8に示したものと同様である。但し、「侵害報知」は、車車間通信により、侵害車両から直接受信することになる。
次に、CPU15aがメイン処理や侵害報知受信処理とは別途実行する干渉領域情報管理処理を、図17のフローチャートに沿って説明する。本処理は、自動運転システム10の動作している間、繰り返し起動される。なお、この処理は、路側サーバ22が行っていた処理を車両側で行うための処理である。
CPU15aは、本処理が起動すると、まずS810では、予め設定された情報更新タイミングであるか否かを判断する。情報更新タイミングであれば(S810:YES)S820に進み、情報更新タイミングでなければ(S810:NO)S840に進む。
S720では、自車両の干渉領域を求める。具体的には、第2実施形態のS400での処理と同様に、環境データ取得部11からの情報に基づいて特定される環境や道路特性等に基づいて、干渉領域の範囲を変化させる。
続くS830では、S820で求めた干渉領域と、その干渉領域の領域量V(ここでは面積)を用いて、領域量Vの総申請量Sを更新して、本処理を一旦終了する。なお、総申請量Sは、自動運転システム10が起動される毎または予め設定された期間毎にリセットされるようにしてもよいし、外部からの特別な指令によってリセットされるようにしてもよい。
一方、S840では、車車間通信により「干渉領域問合せ」を受信したか否かを判断する。受信していなければ(S840:NO)、そのまま本処理を一旦終了し、受信していれば(S840:YES)、S850に進む。
S850では、自車両の車両ID、および先のS830で更新される干渉領域、総申請量Sを示した「干渉領域通知」を、車車間通信により「干渉領域通知」の送信元車両に対して送信し、本処理を一旦終了する。
[3.3.効果]
以上説明したように、本実施形態では、第1および第2実施形態における路側サーバ22の処理を車両側で実現しているため、第1および第2実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。特に、本実施形態では、インフラである路側システム20を必要としないため、簡易に実現することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
(1)上記実施形態では、干渉領域の調整を、領域量の積分値(累積値)である総申請量の比に応じて行っているがこれに限るものではない。例えば、総申請量の差に応じて行うようにしてもよい。また、総申請量の代わりに領域量を用いてもよい。
(2)上記実施形態では、総申請量は単調に増加するが、自動運転システム10を長時間連続して使用しても、総申請値が大きくなり過ぎることがないように、総申請量に上限値を設けたり、減衰係数を適用したりしてもよい。
(3)上記実施形態では、干渉領域の調整に、干渉領域の総申請量を用いているが、危険領域の総申請量も考慮し、例えば、両総申請量の重みづけ加算した値等を用いてもよい。
(4)上記実施形態では、周辺車両も含めて全て自動運転を実施している状況を仮定しているが、自動運転を実施していない車両が含まれていてもよい。この場合、自動運転を実施していない車両の干渉領域の設計においては、上述の[1.2.1.干渉領域情報]の欄で説明しているものと同じ方法を用い、自動運転システム10を人間のドライバーモデルに従う制御に置き換えた上で、自動運転の場合の干渉領域と同様な方法で求め、軌道候補の可否判断に用いることもできる。ドライバーモデルとしては、例えば「通常走行から緊急時に至るドライバの運転動作モデル」豊田中央研究所R&Dレビュー Vol.33 No.1(1998,3) pp.23-30等に記載されている。
(5)上記実施形態では、干渉領域は、現時刻での領域として定義されているがこれに限るものではない。例えば、図18に示すように、現時刻(t=0)から将来の所定の時刻(t=T)に至る各時点での状態を表す時系列情報として定義されていてもよい。そして、時系列情報は、その時点で設定されている車両Cの計画軌道に沿って移動する領域を表すようにしてもよい。
この場合、車両Cの時刻tにおける干渉領域の時系列情報をR(t)で表すものとすると、干渉領域の申請量Vは、例えば、干渉領域の時系列情報が時空間内で占める体積を求める(3)式で定義することができる。
なお、このように定義された干渉領域を用いて侵害量を求める(S510参照)場合、周辺車両毎、軌道候補毎に加えて、干渉領域の時系列情報毎に侵害量を求めればよい。
(6)上記第1および第2実施形態では、中継器21および路側サーバ22を介して路車間通信により制御に必要な情報を得ているが、携帯電話などの通信機能を利用して、路側サーバ22の機能を兼ね備えた情報センター23と直接通信することで必要な情報を得るように構成してもよい。
(7)上記実施形態では、車車間や路車間の通信速度が十分に早いものと仮定して説明したが、通信速度が低速である場合、以下のようにしてもよい。即ち、車車間や路車間の通信速度の限界を考慮して、干渉領域や軌道候補を装置間で通信する時に、予めそれらをデータ圧縮しておくことで通信量を削減する処理を設けてもよい。例えば類似の干渉領域や軌道候補に対してインデックス付けしておき、通信が必要な干渉領域や領域候補が該当するインデックスのみを通信してもよい。このとき、インデックスの付与方法として、特願2012-123542に記載のような自動車データの記号化手法を用いてもよい。
(8)上記実施形態における一つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を一つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
(9)本発明は、軌道設定方法、軌道設定装置、自動運転システムの他、当該軌道設定装置や自動運転システムを構成要素とするシステム、当該軌道設定装置や自動運転システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体など、種々の形態で実現することもできる。
1…運転支援システム 10…自動運転システム 11…環境データ取得部 12…車両挙動データ取得部 13…通信部 14…設定保持部 15…軌道生成部 16…自動運転実行部 20…路側システム 21…中継器 22…路側サーバ 23…情報センター 221…マイクロコンピュータ(マイコン) 222…通信機 223…支援情報記憶部

Claims (14)

  1. 車両に搭載される自動運転システムが実行する走行制御の目標値となる計画軌道を設定する際に、該計画軌道の候補として生成される軌道候補が、実施可能であるか否かを判定する軌道判定方法であって、
    車両周囲の領域のうち、他車両が進入してきた場合に、予め設定された快適条件を満たす走行制御を維持することが不能な領域を干渉領域として、
    自車両の周囲に存在する周辺車両の干渉領域である他車干渉領域を取得し、前記軌道候補が前記他車干渉領域の外部にある場合に、該軌道候補は実施可能であると判定し、
    該判定では、前記他車干渉領域の大きさを表す領域量である他車領域量が自車両の干渉領域である自車干渉領域の大きさを表す領域量である自車領域量より大きい場合、前記他車領域量と前記自車領域量との比または差に従って縮小した前記他車干渉領域を、判定対象とすることを特徴とする軌道判定方法。
  2. 車両に搭載される自動運転システムが実行する走行制御の目標値となる計画軌道を設定する軌道設定装置であって、
    予め設定された快適条件を満たす一つ以上の軌道候補を生成する軌道候補生成部(S430)と、
    車両周囲の領域のうち、他車両が進入してきた場合に、前記快適条件を満たす走行制御を維持することが不能な領域を干渉領域として、自車両の周囲に存在する周辺車両の干渉領域である他車干渉領域を取得する干渉領域取得部(S460〜S470)と、
    前記軌道候補生成部にて生成された軌道候補が、前記干渉領域取得部にて取得された他車干渉領域の外部にある場合に、該軌道候補は実施可能であると判定する実施可否判定部(S480)と、
    前記実施可否判定部にて実施可能であると判定された前記軌道候補の一つを前記計画軌道として設定する第1計画軌道設定部(S490)と、
    前記他車干渉領域の大きさを表す領域量である他車領域量が自車両の干渉領域である自車干渉領域の大きさを表す領域量である自車領域量より大きい場合、前記他車領域量と前記自車領域量との比または差に従って、前記他車干渉領域を縮小する領域調整部(S475)と、
    を備え
    前記実施可否判定部は、前記領域調整部にて調整された干渉領域を、判定対象とすることを特徴とする軌道設定装置。
  3. 前記領域量として、前記干渉領域の大きさの時間積分値を用いることを特徴とする請求項2に記載の軌道設定装置。
  4. 前記実施可否判定部にて、実施可能な軌道候補が存在しないと判定され、且つ、該軌道候補が、予め設定された特定目的を実現するためのものである場合、前記他車干渉領域と干渉する前記軌道候補の一つを前記計画軌道として設定する第2計画軌道設定部(S540〜S560)を備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の軌道設定装置。
  5. 前記第2計画軌道設定部によって前記計画軌道が設定された場合、ペナルティとして自車両の前記領域量を増大させることを特徴とする請求項4に記載の軌道設定装置。
  6. 前記特定目的は、前記自動運転システムにて設定された目的地に至る計画経路に従うために必要な計画軌道を設定することであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の軌道設定装置。
  7. 前記第2計画軌道設定部の作動を外部からの設定に従って許可または禁止する作動設定部(S530)を備えることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載
    の軌道設定装置。
  8. 前記第2計画軌道設定部によって前記計画軌道が設定された場合、前記他車干渉領域への進入を周囲の車両に報知すると共に、他車両から前記自車干渉領域への進入を報知された場合に、他車両の進入による自車両の乗り心地の低下を緩和するための車両制御を指示する干渉対処部(S570,S610〜S630)を備えることを特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載の軌道設定装置。
  9. 前記干渉領域取得部は、路車間通信を用いて、車種毎に予め設定された前記干渉領域に関する情報を提供するサーバから、他車両の干渉領域を取得することを特徴とする請求項2ないし請求項8のいずれか1項に記載の軌道設定装置。
  10. 自車両に関する情報を、路車間通信を用いて前記サーバに登録する情報登録部(S400)を備えることを特徴とする請求項9に記載の軌道設定装置。
  11. 自車両の状況に応じた干渉領域を設定する干渉領域設定部(S820〜S830)と、
    前記干渉領域設定部によって設定された干渉領域に関する情報を、外部からの要求に応じて提供する情報提供部(S840〜S850)と、
    を備え、
    前記干渉領域取得部は、車車間通信を用いて、前記周辺車両から前記他車干渉領域を取得することを特徴とする請求項2ないし請求項10のいずれか1項に記載の軌道設定装置。
  12. 前記干渉領域は、現時点から所定時間が経過するまでの間に、該干渉領域に係る車両の計画軌道に沿って設定される時系列情報として定義されていることを特徴とする請求項2ないし請求項11のいずれか1項に記載の軌道設定装置。
  13. 前記干渉領域や前記軌道候補は、予め記号化されているものを用いることを特徴とする請求項2ないし請求項12のいずれか1項に記載の軌道設定装置。
  14. 請求項2ないし請求項13のいずれか1項に記載の軌道設定装置(15)と、
    前記軌道設定装置によって設定された計画軌道に沿った走行制御を実行する自動運転実行部(16)と、
    を備えることを特徴とする自動運転システム。
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