JP7225816B2 - 車両運転支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両運転支援装置に係り、特に走行経路を設定する車両運転支援装置に関する。
従来、車両の走行経路生成アルゴリズムとして、ポテンシャル法,スプライン補間関数,Aスター(A*),RRT,ステートラティス法等が知られている。そして、このようなアルゴリズムを用いた車両運転支援装置が提案されている。
ステートラティス法では、走行路に多数のグリッド点からなるグリッド領域が設定され、グリッド点を順次に連結することにより多数の経路候補が設定される。そして、これら経路候補から1つの走行経路が選択され、運転支援に用いられる。例えば、特許文献1には、グリッドマップ上の複数の走行経路を算出し、これらから経路コストに基づいて1つの走行経路を選択する車両運転支援装置が開示されている。
複数の走行経路のうち、経路コストが最も小さい走行経路が運転支援制御のために選択される。経路コストは、種々のファクタによって設定される複数のコストからなる。例えば、経路コストには、車両と障害物(他の車両、構造物等)との衝突をファクタとする衝突コストが含まれる。
衝突コストは、通常、他のコストよりも重みが高く設定される(例えば、衝突コストの重み係数が大きな値に設定される)。よって、衝突可能性のある走行経路は、車両が障害物と衝突する可能性が極めて低くても、経路コスト(衝突コスト)が大きく見積もられるため、選択肢から確実に排除される。
国際公開第2013/051081号パンフレット
一方、衝突ファクタ以外のファクタによるコストには、車両の加速度に関する加速度コストが含まれる。加速度に起因して乗員にはストレス又は負荷が掛かる。よって、特に疾患がある乗員に対しては、このような加速度に起因して大きなストレスが掛かることを回避すべきである。
しかしながら、上述のように加速度コストは、衝突コストよりも重みが低く設定される。例えば、車両前方への他の車両の急な割り込みの際には、衝突の可能性がわずかでもある走行経路は選択肢から排除される。このため、乗員に過大な加速度が掛かるような走行経路が選択され得る。よって、この場合、選択された走行経路よりも、排除された走行経路の方が、乗員への身体的負荷が低くなり得る。
したがって、乗員へ掛かる身体的負担の観点において、衝突可能性がわずかでもある走行経路が選択肢から排除される従来の選択手法には改善の余地があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、乗員の身体的負担がより小さい走行経路を選択することが可能な車両運転支援装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、車両の走行経路を設定する車両運転支援装置であって、走行路上に存在する障害物を検出する障害物検出センサと、検出された障害物を回避するように走行経路を設定するコントローラと、を備え、コントローラは、車両の位置及び速度を含む複数の経路候補を計算する経路候補計算処理と、複数の経路候補の各経路コストを計算する経路コスト計算処理と、経路コストに基づいて、複数の経路候補から1つの経路候補を選択経路として選択する経路選択処理と、を実行し、コントローラは、経路コスト計算処理において、各経路候補上に複数のサンプリング点を設定し、各経路候補について、経路候補を車両が走行することにより各サンプリング点で車両の乗員が受ける慣性力と、障害物と衝突したときに各サンプリング点で乗員が受ける反作用力と、障害物と車両とが各サンプリング点で衝突する衝突確率とを計算し、慣性力,反作用力及び衝突確率に基づいて、各サンプリング点で乗員が受ける外力を計算し、更に各経路候補における外力の合計値を経路コストとして計算するように構成されており、コントローラは、障害物を考慮することなく、車両の現在位置から目標到達位置までの車両の位置及び速度を含む目標経路を計算し、目標経路上に複数のサンプリング点を設定し、目標経路を車両が走行することにより各サンプリング点で乗員が受ける慣性力を計算し、更に目標経路における慣性力の合計値を目標経路コストとして計算するように構成されており、コントローラは、経路選択処理において、複数の経路候補のうち、経路コストと目標経路コストとの差が最も小さい経路候補を選択経路として選択するように構成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、コントローラは、複数の経路候補を計算し、これらの中から各経路候補の経路コストに基づいて1つの経路候補を選択する。本発明では、経路コスト計算処理において、経路候補上で乗員が受ける慣性力と、衝突時に受ける反作用力(又は衝撃力)と、衝突確率とに基づいて、候補経路を移動したときに乗員に掛かる外力の総和が経路コストとして計算される。この構成により、本発明では、従来とは異なり、衝突コストと加速度コストをそれぞれ重み付け(例えば、重み係数を付与)することなく、乗員に掛かる「力」として1つの判断基準により経路選択することができる。これにより、本発明では、乗員に掛かる身体的負荷として最適な経路を選択可能である。また、このように構成された本発明によれば、障害物とは無関係に車両が走行すべき目標経路が計算され、この目標経路の経路コスト(目標経路コスト)に最も近い経路コストを有する経路候補が選択される。これにより、本発明では、経路コストは低いが緩慢な運動特性を有するような経路候補が選択されることを回避することができる。
本発明において、好ましくは、コントローラは、選択経路上を走行するように、車両の速度制御及び/又は操舵制御を含む走行挙動制御処理を更に実行する。
本発明において、好ましくは、外力は、反作用力と衝突確率の積と、慣性力との和である。
このように構成された本発明によれば、衝突により乗員に掛かる反作用力(又は衝撃力)自体は大きくても衝突確率が小さければ、乗員に掛かる外力の合計値(すなわち、経路コスト)も小さく見積もられる。したがって、本発明では、衝突可能性が低い経路候補を積極的に排除することなく、より多くの経路候補の中から、乗員に対して掛かる外力が適切な経路候補を選択可能となる。
本発明において、好ましくは、経路候補は、車両が所定の距離又は所定の時間長さにわたって走行するように設定される。
このように構成された本発明によれば、車両の実際の走行に関連する所定の区間についてのみ経路候補を計算する。これにより、本発明では、時間経過に伴う交通状況の変化に応じて、新たな経路候補を繰り返し計算することが可能となる。
本発明の車両運転支援装置によれば、乗員の身体的負担がより小さい走行経路を選択することが可能となる。
本発明の実施形態における車両運転支援装置の構成図である。 本発明の実施形態における走行経路の説明図である。 本発明の実施形態における運転支援制御処理のフローチャートである。 本発明の実施形態における運転支援制御処理の簡略化された動作例の説明図である。 本発明の実施形態における候補経路コストの計算例である。 本発明の実施形態における経路選択処理の説明図である。 本発明の実施形態における経路選択処理の説明図である。 本発明の実施形態における経路選択処理の説明図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両運転支援装置について説明する。まず、図1を参照して、車両運転支援装置の構成について説明する。図1は、車両運転支援装置の構成図である。
本実施形態の車両運転支援装置100は、車両1(図2等参照)のための走行経路を算出し、この走行経路を用いた運転支援制御を提供するように構成されている。車両運転支援装置100は、ステートラティス法を用いて複数の経路候補を計算し、これらの中からそれぞれの経路候補の経路コストに基づいて1つの経路候補を選択する。
図1に示すように、車両1に搭載された車両運転支援装置100は、車両制御装置又はコントローラ(ECU)10と、複数のセンサ及びスイッチと、複数の制御装置とを備えている。複数のセンサ及びスイッチには、車載カメラ21,レーダ22,車両の挙動を検出する複数の挙動センサ(車速センサ23,加速度センサ24,ヨーレートセンサ25)及び複数の挙動スイッチ(操舵角センサ26,アクセルセンサ27,ブレーキセンサ28),測位システム29,ナビゲーションシステム30が含まれる。また、複数の制御装置には、エンジン制御装置31,ブレーキ制御装置32,ステアリング制御装置33が含まれる。
また、他のセンサ及びスイッチとして、車両1に対する周辺構造物の距離及び位置を測定する周辺ソナー、車両1の4箇所の角部における周辺構造物の接近を測定するコーナーレーダ、車両1の車室内を撮像するインナーカメラを含んでいてもよい。この場合、ECU10は、これらセンサ及びスイッチから測定信号/データを受信する。
ECU10は、プロセッサ11,プロセッサ11が実行する各種プログラムを記憶するメモリ12,入出力装置等を備えたコントローラ(コンピュータ装置)により構成される。ECU10は、複数のセンサ及びスイッチから受け取った信号に基づき、エンジン制御装置31,ブレーキ制御装置32,ステアリング制御装置33に対して、それぞれエンジン装置,ブレーキ装置,ステアリング装置を適宜に作動させるための要求信号を出力可能に構成されている。
ECU10は、センサ及びスイッチから各種情報を取得し、これら情報に基づいて、車両1が走行する走行路に関する走行路情報を演算する。走行路情報には、走行路自体の形状に関する情報や、走行路上の対象物(又は障害物)に関する情報が含まれる。走行路形状に関する情報には、走行路の形状(直線、カーブ、カーブ曲率)、走行路幅、車線数、各車線幅等が含まれる。対象物に関する情報には、車両1に対する対象物の相対位置及び相対速度、対象物の属性(種類,移動方向)等が含まれる。
また、ECU10は、走行路情報に基づいて走行路上に仮想のグリッド領域(図2参照)を設定する。このグリッド領域は、複数のグリッド点を有する。各グリッド点により、走行路上の位置が特定される。
ECU10は、グリッド領域内の複数のグリッド点を用いた経路探索により複数の経路候補を演算する。本実施形態では、経路探索方法としてステートラティス法を採用している。ステートラティス法では、あるグリッド点から車両1の進行方向前方の任意のグリッド点へ経路が枝分かれしていく。よって、各経路候補は、複数のグリッド点を順次に通過するように設定される。各経路候補は、各グリッド点を通過する時間を表す時間情報,各グリッド点での速度・加速度等に関する速度情報,その他車両運動に関する情報等も含む。
ECU10は、複数の経路候補から経路コストに基づいて1つの走行経路を選択する。そして、ECU10は、選択した走行経路に沿って車両1を走行させるように、車両制御装置31,32,33に対して、要求信号を出力する。
車載カメラ21は、車両1の周囲を撮像し、撮像した画像データを出力する。ECU10は、画像データに基づいて対象物(例えば、車両、歩行者、道路、区画線等)を特定する。なお、ECU10は、交通インフラや車々間通信等によって、車載通信機器を介して外部から対象物の情報を取得してもよい。これにより、対象物の種類,相対位置,移動方向等が特定される。車載カメラ21は、障害物検知センサである。
レーダ(ミリ波レーダ)22は、対象物(特に、他の走行車両、駐車車両、歩行者等)の位置及び速度を測定する測定装置であり、車両1の周囲へ向けて電波(送信波)を送信し、対象物により送信波が反射されて生じた反射波を受信する。そして、レーダ22は、送信波と受信波に基づいて、車両1と対象物との間の距離(例えば、車間距離)や車両1に対する対象物の相対速度を測定する。なお、本実施形態において、レーダ22に代えて、レーザレーダや超音波センサ等を用いて対象物との距離や相対速度を測定するように構成してもよい。また、複数のセンサを用いて、位置及び速度測定装置を構成してもよい。レーダ22は、障害物検知センサである。
車速センサ23は、車両1の絶対速度を検出する。
加速度センサ24は、車両1の加速度(前後方向の縦加減速度、横方向の横加速度)を検出する。
ヨーレートセンサ25は、車両1のヨーレートを検出する。
操舵角センサ26は、車両1のステアリングホイールの回転角度(操舵角)を検出する。
アクセルセンサ27は、アクセルペダルの踏み込み量を検出する。
ブレーキセンサ28は、ブレーキペダルの踏み込み量を検出する。
測位システム29は、GPSシステム及び/又はジャイロシステムであり、車両1の位置(現在車両位置情報)を検出する。
ナビゲーションシステム30は、内部に地図情報を格納しており、ECU10へ地図情報を提供することができる。ECU10は、地図情報及び現在車両位置情報に基づいて、車両1の周囲(特に、進行方向前方)に存在する道路、交差点、交通信号、建造物等を特定する。地図情報は、ECU10内に格納されていてもよい。
エンジン制御装置31は、車両1のエンジンを制御するコントローラ(コンピュータ装置)である。ECU10は、車両1を加速又は減速させる必要がある場合に、エンジン制御装置31に対して、エンジン出力の変更を要求するエンジン出力変更要求信号を出力する。本実施形態では、エンジンは動力駆動源であり、内燃機関(ガソリンエンジン,ディーゼルエンジン等)、電気モータを含む。
ブレーキ制御装置32は、車両1のブレーキ装置を制御するためのコントローラ(コンピュータ装置)である。ECU10は、車両1を減速させる必要がある場合に、ブレーキ制御装置32に対して、車両1への制動力の発生を要求するブレーキ要求信号を出力する。
ステアリング制御装置33は、車両1のステアリング装置を制御するコントローラ(コンピュータ装置)である。ECU10は、車両1の進行方向を変更する必要がある場合に、ステアリング制御装置33に対して、操舵方向の変更を要求する操舵方向変更要求信号を出力する。各制御装置のコンピュータ装置は、メモリ内のプログラムをプロセッサが実行することにより、各種の処理を行うように構成されている。
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態による運転支援制御処理について説明する。図2は走行経路の説明図、図3は運転支援制御処理のフローチャートである。
図2では、車両1は走行路5上を走行している。図3の運転支援制御処理は、所定時間毎に繰り返し実行される(例えば、0.05~0.2秒毎)。車両1は、この運転支援制御処理により計算された走行経路に沿って走行することが可能である。図2では、車両1の進路上に他の車両3が停止しており、車両1が進路変更しない場合には、車両1は車両3と衝突する可能性がある。
運転支援制御処理が開始されると、ECU10は、複数のセンサ及びスイッチから各種情報を取得し、走行路情報を演算する情報取得処理を実行する(ステップS11)。
次に、図2に示すように、ECU10は、走行路情報に基づいて、グリッド点設定処理を実行する(ステップS12)。グリッド点設定処理において、ECU10は、先ず走行路5の形状(即ち、走行路5の延びる方向,走行路幅等)を特定し、走行路5上にグリッド点Gn(n=1,2,・・・N)を含むグリッド領域40を設定する。
グリッド領域40は、走行路5に沿って車両1の周囲から車両1の所定距離前方まで延びる。この距離(縦方向長さ)Lは、車両1の現在の車速に基づいて計算される。本実施形態では、距離Lは、現在の車速(V)で所定の固定時間t(例えば、3秒)に走行すると予想される距離である(L=V×t)。しかしながら、距離Lは、所定の固定距離(例えば、100m)であってもよいし、車速(及び加速度)の関数であってもよい。また、グリッド領域40の幅Wは、走行路5の幅に設定される。
グリッド領域40は、走行路5の延伸方向Xと幅方向(横方向)Yとに沿ってそれぞれ延びる複数のグリッド線によって多数の矩形のグリッド区画に分割される。X方向とY方向のグリッド線の交点がグリッド点Gnである。グリッド点GnのX方向の間隔、及びY方向の間隔は、それぞれ固定値に設定される。本実施形態では、例えば、X方向のグリッド間隔は10m、Y方向のグリッド間隔は0.875mである。しかしながら、グリッド間隔を、車速等に応じて可変値としてもよい。
なお、図2では、走行路5が直線区間であるため、グリッド領域40及びグリッド区画が矩形状に設定されている。しかしながら、本実施形態では、走行路の延伸方向がX方法、幅方向がY方向に設定されるため、走行路が曲線区間を含む場合には、グリッド領域及びグリッド区画は矩形にはならない。なお、車両1の運動特性等を考慮して、車両1が通過不能なグリッド点Gnを除去してもよい。
次に、ECU10は、目標経路演算処理を実行する(ステップS13)。この目標経路演算処理において、ECU10は、まず目標経路を計算する目標経路計算処理を実行する(ステップS13a)。目標経路の計算において、ECU10は、外部信号に応じて、グリッド領域40内の所定のグリッド点GTを目標到達位置PEに設定すると共に、目標到達位置PE(GT)での目標速度を設定する。外部信号は、例えば、ナビゲーションシステム30から送信される目的地(パーキングエリア等)への誘導指示信号である。
そして、ECU10は、車両1の現在位置PSと目標到達位置PEとの間を、メモリ12に記憶された所定の経路曲線パターン(Y=F(X))でフィッティングすることにより、目標経路RTの位置情報を計算する。F(X)は、例えば5次関数で表現される。また、ECU10は、現在位置PSでの現在速度が目標到達位置PEにおいて目標速度まで変化するように、メモリ12に記憶された所定の速度変化パターンに適合するように、目標経路RT上の速度変化プロファイルを計算する。例えば、速度変化パターンが等加速度で速度変化するパターンである場合には、車両1の速度は、現在速度から目標速度まで線形的に変化する。
また、ECU10は、目標経路RT上に所定の間隔で複数のサンプリング点SPを設定し、各サンプリング点SPでの速度情報を計算する。隣り合うサンプリング点SPの間隔は、X方向において等間隔(例えば、0.2m毎)になるように設定される。なお、サンプリング点SPを目標経路RTに沿って等間隔に設定してもよい。
図2では、外部信号を受信していないので、目標到達位置PEは走行路5に沿って車両1の前方位置に設定され、目標速度は現在速度に設定される。したがって、図2では、車両1が現在の挙動を維持した状態(一定速度)で走行路5を走行するように目標経路RTが設定される。なお、図2では、障害物(車両3)が車両1の前方に存在するが、障害物は目標経路RTの計算において考慮されない。
また、目標経路演算処理において、ECU10は、目標経路RTの経路コストを計算する目標経路コスト計算処理を実行する(ステップS13b)。本実施形態では、目標経路RTの経路コストは、車両1の運動(すなわち、車両1の加速度)によって、乗員に対して掛かる負荷又は外力FTに基づいて計算される。この場合の外力FTは慣性力Fiである。慣性力Fiは、座席に着座した乗員(主に上半身)の質量に対して加速度が作用することにより生じる力であり、質量(m)と加速度(a)との積である(Fi=m×a)。なお、慣性力Fiは、ベクトル値である。
したがって、ECU10は、各サンプリング点SPにおいて、慣性力Fi(又はFT)を計算する。そして、ECU10は、目標経路RT上のすべてのサンプリング点SPでの慣性力Fi(絶対値)の合計値を経路コスト(目標経路コスト)ETとして算出する。なお、図2では、車両1は、直線経路である目標経路RTを一定速度(a=0)で走行するので、目標経路コストETはゼロとなる(ET=0)。
なお、目標経路は、外部信号による要求に基づいて設定される理想的な経路である。すなわち、目標経路は、同じ目標到達位置に到達する多数の経路のうち、最適な運動特性を有する経路として設定される。したがって、目標経路は、必ずしも目標経路コストETがゼロ又は最小値となる経路ではない。
なお、正常な意識状態では、乗員は、慣性力Fiに応答して、慣性力Fiを打ち消すように、姿勢を維持するための姿勢維持力Fh(ベクトル値)を作用させる。よって、姿勢維持力Fhを考慮する場合には、経路コストの計算において、慣性力Fiから姿勢維持力Fhを差し引いた値の合計値を経路コストとしてもよい。姿勢維持力Fhは、例えば、方向にかかわらず一定の最大値(例えば、0.1Gに相当する値。ただし、Gは重力加速度。)を有することができる。
次に、ECU10は、経路候補演算処理を実行する(ステップS14)。この経路候補演算処理において、ECU10は、まず複数の経路候補RCm(m=1,2,3・・・)を計算する経路候補計算処理を実行する(ステップS14a)。この処理は、従前のステートラティス法を用いた経路候補の計算と同様である。
経路候補の計算の概略を説明する。ECU10は、車両1の現在位置PS(始点)からグリッド領域40内の各グリッド点Gn(終点)までの経路候補を作成する。また、ECU10は、終点における速度情報を設定する。グリッド領域40において、車両1から最も遠い端部に位置する複数のグリッド点Gnに対しては、例えば、現在速度又は指定速度で走行するように速度情報が設定され、最遠端部以外の複数のグリッド点Gnに対しては、速度ゼロの速度情報が設定される。
始点と終点は、1又は複数のグリッド点Gnを介して、又はグリッド点Gnを介さないで、連結される。ECU10は、各経路候補について、目標経路と同様に、グリッド点間を経路曲線パターンでフィッティングすることにより位置情報を計算し、速度変化パターンに適合するように速度変化プロファイルを計算する。さらに、ECU10は、各経路候補について、目標経路と同様に、サンプリング点SPを設定し、各サンプリング点SPでの速度情報を計算する。図2には、多数の経路候補のうち、3つの経路候補RC1,RC2,RC3のみが示されている。なお、本実施形態では、各経路候補RCmは、始点から固定時間(例えば、3秒)後の到達位置までの経路である。
また、経路候補演算処理において、ECU10は、得られた経路候補RCmの経路コストを計算する候補経路コスト計算処理を実行する(ステップS14b)。本実施形態では、各経路候補RCmの経路コストの計算において、ECU10は、各サンプリング点SPについて、車両1の運動による慣性力Fi,障害物との衝突確率Pc,及びこの衝突により乗員が受ける衝撃力Fc(又は衝突に対する反作用力)を計算し、これらの値に基づいて乗員に掛かる外力FCを計算する。そして、ECU10は、経路候補RCm上のすべてのサンプリング点SPでの外力FC(絶対値)の合計値を、経路候補RCmの経路コスト(候補経路コスト)EPmとして算出する。慣性力Fiは、目標経路における慣性力と同様である。また、衝撃力Fcは、ベクトル値である。
経路候補RCmの各サンプリング点における外力FCは、以下の式で表される。
FC=(Fi+Fc)×Pc+Fi×(1-Pc)
右辺第1項は衝突時における外力を表し、右辺第2項は非衝突時における外力を表す。この式は、以下の式のように簡略化される。
FC=Fc×Pc+Fi
また、目標経路の経路コストの計算と同様に、慣性力又は外力を打ち消す方向の姿勢維持力Fhを考慮して、候補経路コストを計算してもよい。
衝撃力Fcの計算は、従来と同様であり、車両1が障害物(例えば、他の車両)と衝突した時に乗員に掛かる力である。概略的には、ある速度で移動中の乗員が、衝突期間において所定の運動量を失ったと仮定して衝撃力Fcが計算される。ECU10は、例えば、車両1と障害物とが所定の反発係数で弾性衝突すると仮定した所定の衝突モデルに基づいて、乗員に掛かる衝撃力Fcを計算する。ECU10は、衝突モデルを用いて、相対速度及び障害物の種類等に応じて、衝突の際の車両1の移動距離又は衝突期間を計算する。また、ECU10は、走行路情報及びメモリ12内のテーブルに基づいて、障害物の速度、障害物の種類(乗用車、トラック等)に基づく障害物の質量、障害物に対する車両1の衝突角度、障害物に対する衝突後の車両1の反射角度等を計算する。メモリ12内には、障害物の種類に対する障害物の重量,車両1の車重,乗員の重量等が設定されたテーブルが記憶されている。さらに、ECU10は、経路候補における車両1の速度情報等を用いる。
また、衝突確率Pcは、車載カメラ21及びレーダ22により検出された障害物の位置精度と、経路候補RCm上の車両1の位置精度に基づいて計算される。障害物及び車両1の位置精度は、2次元の確率密度関数で表すことができる。これらの確率密度関数から衝突確率Pcが算出される。
理解の容易のため1次元(x軸上で車両1及び障害物が運動すると仮定)の場合の衝突確率Pcの計算方法について説明する。
まず、車両1の予想位置をx軸上のμ1、分散をσ1 2としたとき、車両1の位置の確率密度関数Pveh(x)は、以下の式1で表される。
Figure 0007225816000001
また、障害物の観測位置をx軸上のμ2、分散をσ2 2としたとき、障害物の位置の確率密度関数Pobj(x)は、以下の式2で表される。
Figure 0007225816000002
上記式1,式2に基づいて、車両1が位置Xのときに障害物と衝突する衝突確率Pc(X)は、以下の式3で表される。ただし、s=(車両1の長さ+障害物の長さ)/2である。
Figure 0007225816000003
したがって、車両1が障害物とx軸上の任意の位置で衝突する衝突確率Pcは、以下の式4で表される。ただし、車両1は正規分布N(μ1,σ1 2)、障害物はN(μ2,σ2 2)で分布しているとする。
Figure 0007225816000004
ECU10は、車載カメラ21及びレーダ22を障害物の位置検出に用いることを前提として、車両1の経路候補RCm上の予想位置(サンプリング点SP),障害物の観測位置に応じて、正規分布の分散等を設定する。したがって、経路候補RC上で車両1が現在位置よりも遠くに位置するほどσ1が大きくなり、車両1からより遠くに障害物が位置するほどσ2が大きくなる。
なお、図2に示された経路候補RC1,RC2では、車両1は、衝突を回避するため障害物3の後方に急停止する経路である。このため、各経路候補において、衝突確率は低いが、急減速による慣性力が大きく見積もられるため、候補経路コストEP1,EP2は大きな値となる。一方、経路候補RC3では、車両1は、障害物3の側方を通過するため、レーンチェンジを行う。この場合、レーンチェンジに起因して慣性力が生じるが、衝突確率は極めて小さくなるため、候補経路コストEP3は、小さな値となる。
次に、ECU10は、経路選択処理を実行する(ステップS15)。この経路選択処理において、ECU10は、すべての経路候補RCmのうち、候補経路コストEPmと目標経路コストETとの差が最も小さい経路候補RCmを選択経路として選択する。仮に、図2の例において、3つの経路候補RC1,RC2,RC3のみが計算されていた場合には、目標経路コストET(=ゼロ)との差が最も小さい、経路候補RC3が選択されることになる。
なお、最小の候補経路コストを有する経路候補が、必ずしも最良の運動特性を有する経路ではない。したがって、本実施形態では、経路選択処理において、最小の候補経路コストを有する経路候補が選択されるのではなく、目標経路コストに最も近い候補経路コストを有する経路候補が選択される。しかしながら、本実施形態の改変例として、経路選択処理において、最小の候補経路コストを有する経路候補を選択するように構成してもよい。
次に、ECU10は、車両1が選択経路上を走行するように運転制御処理を実行し(ステップS16)、処理を終了する。ECU10は、運転制御処理において、装置31,32,33に対してそれぞれ要求信号を出力する。
次に、図4及び図5を参照して、本実施形態の運転支援制御処理の動作の概略について説明する。図4は簡略化された動作例の説明図、図5は候補経路コストの計算例である。なお、図4では、理解の容易のため1次元(X軸上で車両1及び障害物が運動すると仮定)の例を示す。
図4A~図4Cにおいて、車両1は走行路5上を走行しており、前方に車両3が停止している。この状況において、図4A,図4B,図4Cにおいて、3秒間にわたる経路候補RC1,RC2,RC3が計算されている。経路候補RC1,RC2,RC3では、それぞれ一定の加速度「-0.8G」,「-0.4G」,「0G(等速)」が設定されている。この場合、図4Aでは、車両1は車両3の後方で車両3から遠い位置に急停止する。図4Bでは、車両1は車両3の後方近傍に停止する。図4Cでは、車両1は等速走行するため車両3に衝突する。なお、障害物3を考慮せずに計算される目標経路は、経路候補RC3と同じである。
図5には、t秒後(t=1,2,3)の慣性力Fi,衝撃力Fc,衝突確率Pcが示されている。さらに、図5には、3秒間の間に車両1が障害物3に衝突する合計衝突確率(ΣPc)と、各経路候補の候補経路コストEPの時間平均値が示されている。
図5を参照すると、経路候補RC1は、合計衝突確率はほぼゼロであり、候補経路コストEP1の時間平均値は約350(N)である。また、経路候補RC2は、合計衝突確率は約2%であり、候補経路コストEP2の時間平均値は約180(N)である。また、経路候補RC3は、合計衝突確率は約99%であり、候補経路コストEP3の時間平均値は約770(N)である。
目標経路コストETは、ゼロとなる。したがって、図4に示された3つの経路候補RC1,RC2,RC3から選択される選択経路は、経路コストがゼロに最も近い経路候補RC2となる。
なお、従来技術に係る経路コストの計算では、上述のように衝突コストの重みが大きく見積もられる。このため、従来技術では、経路候補RC2のように衝突可能性がある経路候補の経路コストは大きくなる。したがって、従来は、3つの経路候補から衝突可能性がほぼゼロである経路候補RC1が選択され、衝突可能性がある経路候補RC2が選択されることはなかった。
しかしながら、本実施形態の車両運転支援装置100では、乗員に掛かる負荷(又は外力)という観点から、力の単位のみを用いて経路コストを計算するように構成されている。このため、本実施形態では、従来のように衝突コストを他のコストと比べて過度に重み付けすることがなくなるため、乗員に対する身体的負担が低い経路候補を選択することができる。
次に、図6~図8を参照して、本実施形態の運転支援制御処理の他の動作例について説明する。図6~図8は選択経路の説明図である。図6~図8では、車両1は一定速度で走行車線を走行しており、右隣の追越車線へレーンチェンジ可能である。
図6は、他の車両3が車両1の前方を走行している例である。図6Aは、他の車両3が車両1と同様な大きさの車両である場合であり、図6Bは、他の車両3が車両1よりも大きな車両(例えば、トラック,バス)である場合である。
図6において、目標経路RTは、3秒間にわたって一定速度で走行するように設定されている。よって、目標経路コストETはゼロである。また、図6A及び図6Bでは、計算された多数の経路候補のうち、同じ経路候補RC1,RC2,RC3がそれぞれ示されている。なお、経路候補RC1は、目標経路RTと同一である。
経路候補RC2では、車両1が減速するため、3秒後の到達位置が目標経路RTの到達位置よりも車両1の現在位置に近くなる。一方、経路候補RC3では、車両1は追越車線へ車線変更する。
図6Aの場合、経路候補RC1では、慣性力はゼロであり、前方の車両3も走行しているので、衝突確率はほぼゼロである。よって、候補経路コストEP1は、小さな値となる。また、経路候補RC2では、衝突確率はゼロであるが、減速(縦加速度)により慣性力が増加する。よって、候補経路コストEP2は、中程度の大きさの値となる。また、経路候補RC3では、衝突確率がゼロであるが、車線変更(横加速度)により慣性力が増加する。よって、候補経路コストEP3は、比較的大きな値となる。よって、図6Aでは、経路候補RC1が選択経路として選択される(EP1<EP2<EP3)。
一方、図6Bの場合、経路候補RC1では、衝突確率はほぼゼロであるが、他の車両3の重量が大きいため、衝撃力が大きく見積もられる。よって、候補経路コストEP1は、中程度の大きさの値となる。また、経路候補RC2では、減速(縦加速度)により慣性力は増加するが、衝突確率はゼロである。よって、候補経路コストEP2は小さな値となる。また、経路候補RC3では、上述のように、候補経路コストEP3は、比較的大きな値となる。よって、図6Bでは、経路候補RC2が選択経路として選択される(EP2<EP1<EP3)。
本実施形態では、図6Aの例から分かるように、前方車両との衝突に起因する衝撃力の大きさを考慮することにより、衝突確率が非ゼロである経路候補が選択され得る。
次に、図7は、他の車両3が車線変更により車両1の前方に移動する例である。図7Aは、他の車両3と車両1との車間距離が長い場合であり、図7Bは、車間距離が短い場合である。図7においても、図6と同様に、経路候補RC1(目標経路RT),経路候補RC2,経路候補RC3が示されている。
図7Aの場合、経路候補RC1では、慣性力はゼロであるが、衝突確率が比較的大きな値となる。よって、候補経路コストEP1は、比較的大きな値となる。また、経路候補RC2では、減速(縦加速度)により慣性力が増加するが、衝突確率がゼロに近い小さな値である。よって、候補経路コストEP2は、小さな値となる。また、経路候補RC3では、衝突確率がゼロであるが、車線変更(横加速度)により慣性力が増加する。よって、候補経路コストEP3は、中程度の大きさの値となる。よって、図7Aでは、経路候補RC2が選択経路として選択される(EP2<EP3<EP1)。
一方、図7Bの場合、経路候補RC1では、衝突確率が大きな値となる。よって、候補経路コストEP1は、大きな値となる。また、経路候補RC2では、衝突確率が比較的大きくなるので、候補経路コストEP2は中程度の大きさの値となる。また、経路候補RC3では、衝突確率がゼロであるため、候補経路コストEP3は比較的小さな値となる。よって、図7Bでは、経路候補RC3が選択経路として選択される(EP3<EP2<EP1)。
本実施形態では、図7Aの例から分かるように、前方車両との衝突確率が非ゼロである経路候補が選択され得る。
次に、図8は、他の車両3が車線変更により車両1の前方に移動する例である。この例では、更に別の車両4が追越車線を走行している。図8Aは、車両4(例えば、100km/h)が車両1(例えば、75km/h)を大きな相対速度(25km/h)で追い抜こうとしている場合である。一方、図8Bは、車両4(例えば、80km/h)が車両1を小さな相対速度(例えば、5km/h)で追い抜こうとしている場合である。図8においても、図6及び図7と同様に、経路候補RC1(目標経路RT),経路候補RC2,経路候補RC3が示されている。
図8Aの場合、経路候補RC1では、車両1が車両3と衝突する衝突確率が極めて大きくなる。よって、候補経路コストEP1は、非常に大きな値となる。また、経路候補RC2では、減速(縦加速度)により慣性力が増加すると共に、車両3との衝突確率が比較的大きい。よって、候補経路コストEP2は、大きな値となる。また、経路候補RC3では、車両3との衝突確率は小さくなるが、後方からの車両4との衝突確率が比較的大きくなる。よって、候補経路コストEP3も、非常に大きな値となる。よって、図8Aでは、いずれの候補経路コストEP1~EP3も大きな値を有するが、これらのうち最も目標経路コスト(ET=0)に近い値を有する経路候補RC2が選択経路として選択される(EP2<EP3<EP1)。
一方、図8Bの場合、経路候補RC1では、上述のように候補経路コストEP1が非常に大きな値となる。また、経路候補RC2では、上述のように候補経路コストEP2は大きな値となる。また、経路候補RC3では、車両3との衝突確率は小さくなり、後方からの車両4との衝突確率も小さい。よって、候補経路コストEP3は、比較的大きな値となる。よって、図8Bでは、いずれの候補経路コストEP1~EP3も大きな値を有するが、これらのうち最も小さな値を有する経路候補RC3が選択経路として選択される(EP3<EP2<EP1)。
本実施形態では、図8A,図8Bの例から分かるように、いずれの経路候補も衝突確率が非ゼロである場合であっても、最良の経路候補を選択することができる。
次に、本実施形態の車両運転支援装置の作用について説明する。
本実施形態において、車両1の走行経路を設定する車両運転支援装置100は、走行路5上に存在する障害物3を検出する障害物検出センサ(車載カメラ21,レーダ22)と、検出された障害物3を回避するように走行経路を設定するコントローラ(ECU10)と、を備え、コントローラは、車両1の位置及び速度を含む複数の経路候補RCmを計算する経路候補計算処理(S14a)と、複数の経路候補RCmの各候補経路コストEPmを計算する経路コスト計算処理(S14b)と、候補経路コストEPmに基づいて、複数の経路候補RCmから1つの経路候補を選択経路として選択する経路選択処理(S15)と、を実行し、コントローラは、経路コスト計算処理(S14b)において、各経路候補RCm上に複数のサンプリング点SPを設定し、各経路候補RCmについて、経路候補RCmを車両1が走行することにより各サンプリング点SPで車両1の乗員が受ける慣性力Fiと、障害物3と衝突したときに各サンプリング点SPで乗員が受ける反作用力(衝撃力)Fcと、障害物3と車両1とが各サンプリング点SPで衝突する衝突確率Pcとを計算し、慣性力Fi,反作用力Fc及び衝突確率Pcに基づいて、各サンプリング点SPで乗員が受ける外力を計算し、更に各経路候補RCmにおける外力の合計値を候補経路コストEPmとして計算するように構成されている。
本実施形態では、コントローラは、複数の経路候補を計算し、これらの中から各経路候補の経路コストに基づいて1つの経路候補を選択する。本実施形態では、経路コスト計算処理において、経路候補上で乗員が受ける慣性力Fiと、衝突時に受ける反作用力(又は衝撃力)Fcと、衝突確率Pcとに基づいて、候補経路を移動したときに乗員に掛かる外力の総和が経路コストとして計算される。この構成により、本実施形態では、従来とは異なり、衝突コストと加速度コストをそれぞれ重み付け(例えば、重み係数を付与)することなく、乗員に掛かる「力」として1つの判断基準により経路選択することができる。これにより、本実施形態では、乗員に掛かる身体的負荷として最適な経路を選択可能である。
また、コントローラ(ECU10)は、選択経路上を走行するように、車両1の速度制御及び/又は操舵制御を含む運転制御処理(S16)を更に実行する。具体的には、ECU10は、エンジン制御装置31,ブレーキ制御装置32を介して車両1のエンジン,ブレーキ装置へ要求信号を出力して速度制御を実行すると共に、ステアリング制御装置33を介してステアリング装置へ要求信号を出力して操舵制御を実行する。
また、具体的には、外力は、反作用力Fcと衝突確率Pcの積と、慣性力Fiとの和(Fc×Pc+Fi)である。すなわち、本実施形態では、衝突により乗員に掛かる反作用力(又は衝撃力)Fc自体は大きくても衝突確率Pcが小さければ、乗員に掛かる外力の合計値(すなわち、経路コスト)も小さく見積もられる。したがって、本実施形態では、衝突可能性が低い経路候補を積極的に排除することなく、より多くの経路候補の中から、乗員に対して掛かる外力が適切な経路候補を選択可能となる。
また、コントローラ(ECU10)は、障害物3を考慮することなく、車両1の現在位置PSから目標到達位置PEまでの車両1の位置及び速度を含む目標経路RTを計算し、目標経路RT上に複数のサンプリング点SPを設定し、目標経路RTを車両1が走行することにより各サンプリング点SPで乗員が受ける慣性力Fiを計算し、目標経路RTにおける慣性力Fiの合計値を目標経路コストETとして計算するように構成されており、コントローラは、経路選択処理(S15)において、記複数の経路候補RCmのうち、候補経路コストEPmと目標経路コストETとの差が最も小さい経路候補RCmを選択経路として選択するように構成されている。
このように、本実施形態では、障害物とは無関係に車両1が走行すべき目標経路が計算され、この目標経路の経路コスト(目標経路コストET)に最も近い経路コストを有する経路候補が選択される。これにより、本実施形態では、経路コストは低いが緩慢な運動特性を有するような経路候補が選択されることを回避することができる。
また、経路候補RCmは、車両1が所定の距離(例えば、100m)又は所定の時間長さ(例えば、3秒)にわたって走行するように設定される。このように、本実施形態では、車両1の実際の走行に関連する所定の区間についてのみ経路候補RCmを計算する。これにより、本実施形態では、時間経過に伴う交通状況の変化に応じて、新たな経路候補を繰り返し計算することが可能となる。
1 車両
3、4 車両(障害物)
5 走行路
10 ECU(コントローラ)
11 プロセッサ
12 メモリ
21 車載カメラ
22 レーダ
40 グリッド領域
100 車両運転支援装置
EP 候補経路コスト
ET 目標経路コスト
Fi 慣性力
Fc 衝撃力(反作用力)
Pc 衝突確率
RC 経路候補
RT 目標経路

Claims (4)

  1. 車両の走行経路を設定する車両運転支援装置であって、
    走行路上に存在する障害物を検出する障害物検出センサと、
    検出された障害物を回避するように前記走行経路を設定するコントローラと、を備え、
    前記コントローラは、
    前記車両の位置及び速度を含む複数の経路候補を計算する経路候補計算処理と、
    前記複数の経路候補の各経路コストを計算する経路コスト計算処理と、
    前記経路コストに基づいて、前記複数の経路候補から1つの経路候補を選択経路として選択する経路選択処理と、を実行し、
    前記コントローラは、前記経路コスト計算処理において、
    各経路候補上に複数のサンプリング点を設定し、
    各経路候補について、前記経路候補を前記車両が走行することにより各サンプリング点で前記車両の乗員が受ける慣性力と、前記障害物と衝突したときに各サンプリング点で前記乗員が受ける反作用力と、前記障害物と前記車両とが各サンプリング点で衝突する衝突確率とを計算し、前記慣性力,前記反作用力及び前記衝突確率に基づいて、各サンプリング点で前記乗員が受ける外力を計算し、更に各経路候補における前記外力の合計値を前記経路コストとして計算するように構成されており、
    前記コントローラは、
    前記障害物を考慮することなく、前記車両の現在位置から目標到達位置までの前記車両の位置及び速度を含む目標経路を計算し、
    前記目標経路上に複数のサンプリング点を設定し、
    前記目標経路を前記車両が走行することにより各サンプリング点で前記乗員が受ける慣性力を計算し、更に前記目標経路における前記慣性力の合計値を目標経路コストとして計算するように構成されており、
    前記コントローラは、前記経路選択処理において、
    前記複数の経路候補のうち、前記経路コストと前記目標経路コストとの差が最も小さい経路候補を前記選択経路として選択するように構成されている、車両運転支援装置。
  2. 前記コントローラは、前記選択経路上を走行するように、前記車両の速度制御及び/又は操舵制御を含む運転制御処理を更に実行する、請求項1に記載の車両運転支援装置。
  3. 前記外力は、前記反作用力と前記衝突確率の積と、前記慣性力との和である、請求項1に記載の車両運転支援装置。
  4. 前記経路候補は、前記車両が所定の距離又は所定の時間長さにわたって走行するように設定される、請求項1に記載の車両運転支援装置。
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