調理容器として、ダッチオーブン用の専用鍋等、容量が大きな調理容器が用いられる場合においては、調理容器に大量の水を収容させる等に起因して、調理容器に収容される被調理物に含まれる水分量が多い場合がある。
そして、調理容器に収容される被調理物に含まれる水分量が多い場合には、下バーナ及び上バーナにて調理容器を加熱した際に、大量の水蒸気が調理容器から放出されて、放出された水蒸気がグリル庫の内部の上方部分に充満することになる。
水蒸気がグリル庫の内部の上方部分に充満すると、上バーナの二次燃焼に用いられる燃焼用の二次空気に含まれる水蒸気分圧が増加して、燃焼用の二次空気中の酸素濃度が低下するため、上バーナが燃焼不良を起こす虞がある。
したがって、大量の水蒸気が調理容器から放出される状態において、上バーナが燃焼不良状態で燃焼することを回避する必要がある。
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、本来構成を有効利用した簡素な構成にて、大量の水蒸気が調理容器から放出されることによって、上バーナが燃焼不良状態で燃焼することを適切に回避することができるグリルを提供する点にある。
本発明のグリルは、グリル庫の底部に設置されて前記グリル庫内に収納された調理容器を下方から加熱するブンゼン燃焼式の下バーナ、及び、前記グリル庫の天井部に設置されて前記調理容器を上方から加熱するブンゼン燃焼式の上バーナが設けられ、
前記調理容器の温度を検出する温度検出センサと、前記温度検出センサの検出情報に基づいて、前記下バーナ及び前記上バーナの燃焼作動を制御する運転制御部とが設けられたものであって、その第1特徴構成は、
前記運転制御部が、前記下バーナ及び前記上バーナを燃焼させて前記調理容器の加熱を開始した状態において、前記温度検出センサの検出情報に基づいて、前記調理容器の温度が設定判定温度上昇するのに要する時間が設定判定時間以上となる温度平衡状態であると判定したときには、前記上バーナの燃焼を停止させるように構成されている点にある。
すなわち、調理容器には被調理物として、肉、魚、野菜等の食材に加えて、水が収容されることがあるが、水は、肉や魚、野菜等の食材とは異なり、沸点に達すると、加熱を継続しても加熱による熱エネルギが水から水蒸気に変化するための潜熱に用いられることになるため、調理容器に収容した被調理物の水分量が多い場合には、下バーナ及び上バーナにて加熱される調理容器の温度上昇が緩やか又は無くなって、調理容器の温度が平衡することになる。
つまり、下バーナ及び上バーナを燃焼させて調理容器の加熱を開始した状態において、温度検出センサにて検出される調理容器の温度が平衡する状態になるか否かにより、調理容器に収容される被調理物に大量の水分が含まれるか否かが判定できるのである。
そして、調理容器に収容される被調理物に含まれる水分量が多い場合には、調理容器の加熱を継続すると、調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナの燃焼についての許容限度を超えて、上バーナの燃焼に悪影響を与える状態になる虞がある。
したがって、運転制御部が、下バーナ及び上バーナを燃焼させて調理容器の加熱を開始した状態において、温度検出センサの検出情報に基づいて、調理容器の温度が設定判定温度上昇するのに要する時間が設定判定時間以上となる温度平衡状態であると判定したときには、上バーナの燃焼を停止させることにより、上バーナが燃焼不良状態で燃焼することを未然に回避するのである。
しかも、調理容器を加熱制御するために設けられている温度検出センサの検出情報に基づいて、温度平衡状態を判定するようにしながら、温度平衡状態であると判定したときには、上バーナの燃焼を停止させるものであるから、本来的に備えられている温度検出センサの検出情報を利用した簡素な構成にて、上バーナが燃焼不良状態で燃焼することを適切に回避できるのである。
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、本来構成を有効利用した簡素な構成にて、大量の水蒸気が調理容器から放出されることによって、上バーナが燃焼不良状態で燃焼することを適切に回避することができるグリルを提供できる。
本発明のグリルの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
複数の調理メニューのうちから実行する調理メニューを指令する調理メニュー指令部が設けられ、
前記運転制御部が、前記調理メニュー指令部にて指令された前記調理メニューに基づいて、前記下バーナ及び前記上バーナの燃焼作動を制御するように構成され、
複数の前記調理メニューのうちに、前記調理容器に収納された被調理物から放出される水蒸気量が前記上バーナの燃焼についての許容限度を超えることが予測される設定水もの調理があり、
前記運転制御部が、
前記調理メニュー指令部にて前記設定水もの調理が指令された場合には、前記下バーナ及び前記上バーナを燃焼させて前記調理容器の加熱を開始した状態において、前記温度検出センサの検出情報に基づいて、前記調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が増加する状態になることが予測される設定基準状態になると、前記上バーナの燃焼を停止させ、かつ、前記下バーナの燃焼を継続するように構成され、且つ、
前記調理メニュー指令部にて前記設定水もの調理以外の前記調理メニューが指令された場合には、前記下バーナ及び前記上バーナを燃焼させて前記調理容器の加熱を開始した状態において、前記温度平衡状態であると判定したときには、前記上バーナの燃焼を停止させるように構成されている点にある。
すなわち、調理メニュー指令部にて調理メニューが指令されると、運転制御部が、指令された調理メニューに対応する加熱調理を行うために、下バーナ及び上バーナの燃焼作動を制御することになる。
例えば、指令された調理メニューが「ごはん(炊飯)」である場合には、その「ごはん(炊飯)」に対応する加熱調理を行うために、下バーナ及び上バーナの燃焼作動が制御され、また、指令された調理メニューが「トースト」である場合には、その「トースト」に対応する加熱調理を行うために、下バーナ及び上バーナの燃焼作動が制御されることになる。
そして、調理メニュー指令部から指令される調理メニューが、調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナの燃焼についての許容限度を超えることが予測される設定水もの調理である場合には、運転制御部が、下バーナ及び上バーナを燃焼させて調理容器の加熱を開始した状態において、調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が増加する状態になることが予測される設定基準状態になると、上バーナの燃焼を停止させ、かつ、下バーナの燃焼を継続することになる。
ちなみに、設定基準状態とは、例えば、温度検出センサにて検出される調理容器の温度が設定基準温度に上昇する状態である。
尚、調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナの燃焼についての許容限度を超える状態になることが予測されるとは、被調理物から放出される水蒸気量が上バーナの燃焼に悪影響を与える可能性があることが予測されることを意味するものであり、被調理物から放出される水蒸気量が、正確に、上バーナの燃焼不良状態を引き起こす程度に多量であることを意味するものではない。
つまり、設定水もの調理である調理メニューとしては、「ごはん(炊飯)」や「煮もの」等があるが、設定水もの調理に対する加熱調理を行う場合においては、調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が増加する状態になることが予測される設定基準状態になると、上バーナの燃焼を停止させ、かつ、下バーナの燃焼を継続することにより、加熱調理を継続しながらも、上バーナが燃焼不良状態で燃焼することが回避される。
ちなみに、設定水もの調理に対する加熱調理を行う際には、加熱調理を開始した時点から、上バーナの燃焼を停止させるようにすることが考えられるが、この場合には、加熱調理の初期においての加熱量が不足して、加熱調理時間が長くなる等の不利を招くものとなるため、設定水もの調理に対する加熱調理を行う場合においても、加熱調理を開始する際には、下バーナに加えて、上バーナをも燃焼させることになる。
また、調理メニュー指令部から指令される調理メニューが、設定水もの調理以外の調理メニューの場合には、運転制御部が、温度検出センサの検出情報に基づいて、調理容器の温度が設定判定温度上昇するのに要する時間が設定判定時間以上となる温度平衡状態であると判定したときには、上バーナの燃焼を停止させることになる。
つまり、設定水もの調理以外の調理メニューの場合には、通常、調理容器に収容される被調理物の水分量が多くなることはないと考えられるが、例えば、使用者が誤って、調理容器に多量の水分を貯留する状態で加熱調理を行う等、設定水もの調理以外の調理メニューにおいても、調理容器に収容される被調理物の水分量が多くなる虞がある。
そして、このような場合には、調理容器の温度が平衡する温度平衡状態が判定されて、上バーナの燃焼が停止されることにより、上バーナが燃焼不良状態で燃焼することが回避されることになる。
要するに、本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、調理メニュー指令部から指令される調理メニューが設定水もの調理である場合及び設定水もの調理以外の調理メニューの場合のいずれにおいても、上バーナが燃焼不良状態で燃焼することを適切に回避することができるグリルを提供できる。
本発明のグリルの第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記運転制御部が、前記調理メニュー指令部にて前記設定水もの調理以外の前記調理メニューが指令された場合には、前記下バーナ及び前記上バーナを燃焼させて前記調理容器の加熱を開始した状態において、前記温度平衡状態であると判定したときには、前記上バーナの燃焼停止に加えて、前記下バーナの燃焼を停止させるように構成されている点にある。
すなわち、調理容器の温度が設定判定温度上昇するのに要する時間が設定判定時間以上となる温度平衡状態であると判定した場合には、運転制御部が、上バーナの燃焼停止に加えて、下バーナの燃焼を停止させることになる。
つまり、調理容器の温度について温度平衡状態であると判定したときには、下バーナの燃焼を継続して、加熱調理を継続させるようにすることが考えられる。
しかしながら、温度変更状態であると判定される場合には、例えば、使用者が誤って、調理容器に多量の水分を貯留する状態で加熱調理を開始する等、被調理物が調理容器に適正状態で収容されていない可能性が高い。
そして、被調理物が調理容器に適正状態で収容されていない場合に、加熱調理を継続すると、被調理物(食材)を損傷するだけで、適正通り加熱調理できない虞があるため、上バーナの燃焼停止に加えて、下バーナの燃焼も停止させることにより、調理容器に収容した被調理物(食材)の損傷を抑制するのである。
要するに、本発明の第3特徴構成は、上記第2特徴構成による作用効果に加えて、調理容器に収容した被調理物(食材)の損傷を抑制できるグリルを提供できる。
本発明のグリルの第4特徴構成は、上記第3特徴構成に加えて、
前記運転制御部が、前記上バーナ及び前記下バーナの燃焼を停止させた際に、前記調理容器に収容された被調理物の水分量が許容量を超える状態であることを報知する報知処理を実行するように構成されている点にある。
すなわち、調理容器の温度について温度平衡状態であると判定して、上バーナ及び下バーナの燃焼を停止した際に、運転制御部が、調理容器に収容された被調理物の水分量が許容量を超える状態であることを報知する報知処理を実行することになる。
このように、報知処理を実行することにより、使用者に対して、調理容器に収容した被調理物(食材)の収容状態の確認を促すことができる。
したがって、使用者は、調理容器に収容した被調理物(食材)の収容状態を確認して、例えば、被調理物を適正状態で調理容器に収容して、加熱調理を再開する等、上バーナ及び下バーナの燃焼が停止したことに対する適切な処置を良好に行うことができる。
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第3特徴構成による作用効果に加えて、上バーナ及び下バーナの燃焼が停止したことに対する適切な処置を良好に行うことができるグリルを提供できる。
本発明のグリルの第5特徴構成は、上記第2〜第4特徴構成のいずれかに加えて、
前記運転制御部が、前記下バーナ及び前記上バーナを燃焼させて前記調理容器の加熱を開始した状態において、前記温度平衡状態を判定する前に、前記温度検出センサの検出情報に基づいて、前記調理容器の温度が水の沸点に対応する温度に上昇する以前における前記調理容器の温度上昇勾配を求めて、求めた温度上昇勾配に基づいて、前記設定判定温度又は前記設定判定時間を定めるように構成されている点にある。
すなわち、温度平衡状態を判定する前に、調理容器の温度が水の沸点に対応する温度に上昇する以前における調理容器の温度上昇勾配が求められて、求めた温度上昇勾配に基づいて、設定判定温度又は設定判定時間が定められるため、温度平衡状態であるか否かを的確に判定できるものとなる。
つまり、調理容器の温度が水の沸点に対応する温度に上昇する以前における調理容器の温度上昇勾配は、調理容器に収容されている被調理物の水分量が多いほど緩やかな勾配となるものであるから、例えば、温度上昇勾配が緩やかな場合ほど、設定判定温度を小さく又は設定判定時間を長くすることにより、温度平衡状態であるか否かを的確に判定できるのである。
また、温度上昇勾配が、調理容器に収容されている被調理物の水分量が多量である場合には、調理容器に収容されている被調理物の水分量が小量である場合に較べて、温度上昇勾配が緩やかになるから、温度上昇勾配が緩やかな範囲となる場合には、調理容器に収容されている被調理物の水分量が多量である可能性が高いため、例えば、温度上昇勾配が緩やかなほど設定判定温度を小さく又は設定判定時間を長くする際に、設定判定温度を小さくする割合や設定判定時間を長くする割合を、温度上昇勾配が急な範囲となる場合よりも小さくして、温度平衡状態であることを速やかに判定できるようにすることができる。
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、上記第2〜第4特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、温度平衡状態であるか否かを的確に判定できるグリルを提供できる。
本発明のグリルの第6特徴構成は、上記第5特徴構成に加えて、
前記運転制御部が、前記下バーナ及び前記上バーナを燃焼させて前記調理容器の加熱を開始した状態において、前記温度検出センサにて検出される前記調理容器の温度が判定用設定低温度から判定用設定高温度に上昇するまでの経過時間を、前記温度上昇勾配として求めるように構成されている点にある。
すなわち、調理容器の温度が水の沸点に対応する温度に上昇する以前における調理容器の温度上昇勾配が、温度検出センサにて検出される調理容器の温度が判定用設定低温度から判定用設定高温度に上昇するまでの経過時間として求められることになる。
尚、判定用設定低温度及び判定用設定高温度は、調理容器の温度が水の沸点に対応する温度に上昇する以前における調理容器の温度上昇勾配を求めるものである以上、水の沸点に対応する温度よりも低い温度に設定されることは勿論である。
そして、温度検出センサにて検出される調理容器の温度が判定用設定低温度に達したことや判定用設定高温度に達したことは、的確に認識できるものであるから、調理容器の温度が判定用設定低温度から判定用設定高温度に上昇するまでの経過時間を、調理容器の温度上昇勾配として的確に求めることができるのであり、その結果、調理容器の温度上昇勾配を的確に求めることができる。
要するに、本願発明の第6特徴構成によれば、上記第5特徴構成による作用効果に加えて、調理容器の温度上昇勾配を的確に求めることができるグリルを提供できる。
本発明のグリルの第7特徴構成は、上記第5又は第6特徴構成に加えて、
前記運転制御部が、前記調理メニュー指令部にて前記設定水もの調理以外の前記調理メニューが指令された場合に、前記温度上昇勾配が前記調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が前記上バーナの燃焼についての許容限度を超える状態になることが予測される設定基準勾配以下であるときには、前記下バーナ及び前記上バーナの燃焼を停止させるように構成されている点にある。
すなわち、調理容器には被調理物として、肉、魚、野菜等の食材に加えて、水が収容されることがあるが、水の比熱は、肉、魚、野菜等の食材に較べて高いものであるから、下バーナ及び上バーナを燃焼させて調理容器の加熱を開始した状態において、調理容器の温度が水の沸点に対応する温度に上昇する以前における調理容器の温度上昇勾配は、調理容器に収容される被調理物に含まれる水分量が多いほど低くなる傾向となる。
そして、調理容器の加熱を継続すると、調理容器に収容される被調理物に含まれる水分量が多いほど、調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が多くなる。
したがって、運転制御部が、下バーナ及び上バーナを燃焼させて調理容器の加熱を開始した状態において、温度検出センサの検出情報に基づいて、調理容器の温度が水の沸点に対応する温度に上昇する以前における調理容器の温度上昇勾配を求めて、求めた温度上昇勾配が調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナの燃焼についての許容限度を超える状態になることが予測される設定基準勾配以下であるときには、上バーナ及び下バーナの燃焼を停止させることにより、上バーナが燃焼不良状態で燃焼することを未然に回避し、しかも、被調理物の損傷を抑制できるのである。
ちなみに、上述の如く、調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナの燃焼についての許容限度を超える状態になることが予測されるとは、被調理物から放出される水蒸気量が上バーナの燃焼に悪影響を与える可能性があることが予測されることを意味するものであり、被調理物から放出される水蒸気量が、正確に、上バーナの燃焼不良状態を引き起こす程度に多量であることを意味するものではない。
つまり、温度平衡状態を判定する前に求める調理容器の温度上昇勾配を、設定基準勾配と対比することにより、調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナの燃焼についての許容限度を超える状態になることが予測される場合には、調理容器の温度平衡状態を判定することなく、直ちに、上バーナ及び下バーナの燃焼を停止させることにより、上バーナが燃焼不良状態で燃焼することを適切に回避し、しかも、被調理物の損傷を適切に抑制できるのである。
要するに、本発明の第7特徴構成によれば、上記第5又は第6特徴構成による作用効果に加えて、上バーナが燃焼不良状態で燃焼することを適切に回避し、しかも、被調理物の損傷を適切に抑制できるグリルを提供できる。
本発明のグリルの第8特徴構成は、上記第7特徴構成に加えて、
前記運転制御部が、前記上バーナ及び前記下バーナの燃焼を停止させた際に、前記調理容器に収容された被調理物の水分量が許容量を超える状態であることを報知する報知処理を実行するように構成されている点にある。
すなわち、調理容器の温度上昇勾配が、調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナの燃焼についての許容限度を超える状態になることが予測される設定基準勾配以下であるとして、上バーナ及び下バーナの燃焼を停止した際に、運転制御部が、調理容器に収容された被調理物の水分量が許容量を超える状態であることを報知する報知処理を実行することになる。
このように、報知処理を実行することにより、使用者に対して、調理容器に収容した被調理物(食材)の収容状態の確認を促すことができる。
したがって、使用者は、調理容器に収容した被調理物(食材)の収容状態を確認して、例えば、被調理物を適正状態で調理容器に収容して、加熱調理を再開する等、上バーナ及び下バーナの燃焼が停止したことに対する適切な処置を良好に行うことができる。
要するに、本発明の第8特徴構成によれば、上記第7特徴構成による作用効果に加えて、上バーナ及び下バーナの燃焼が停止したことに対する適切な処置を良好に行うことができるグリルを提供できる。
本発明のグリルの第9特徴構成は、上記第7又は第8特徴構成に加えて、
前記上バーナ及び前記下バーナの火力が変更調節自在に構成され、
前記設定基準勾配が、前記前記上バーナ及び前記下バーナの火力に応じて設定されている点にある。
すなわち、調理容器の温度上昇勾配と対比する設定基準勾配が、上バーナ及び下バーナの火力に応じて設定されているから、求めた調理容器の温度上昇勾配と設定基準勾配とを対比する際に、調理容器の温度上昇勾配を求めたときの上バーナ及び下バーナの火力に応じた設定基準勾配と、調理容器の温度上昇勾配とを対比させることができる。
したがって、求めた調理容器の温度上昇勾配と設定基準勾配とを対比する際に、調理容器の温度上昇勾配と、その温度上昇勾配を求めたときの上バーナ及び下バーナの火力に応じた設定基準勾配とを対比させることにより、調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナの燃焼についての許容限度を超える状態になる可能性があることを、適切に判定することができる。
つまり、調理容器の温度上昇勾配は、調理容器に収容された被調理物の水分量が同じであっても、上バーナ及び下バーナの火力が大きいほど、急勾配になる傾向となるが、調理容器の温度上昇勾配と対比する設定基準勾配を、調理容器の温度上昇勾配を求めたときの上バーナ及び下バーナの火力に応じた設定基準勾配にすることにより、調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナの燃焼についての許容限度を超える状態になる可能性があることを、上バーナ及び下バーナの火力の変動に拘わらず適切に判定することができるのである。
要するに、本発明の第9特徴構成によれば、上記第7又は第8特徴構成による作用効果に加えて、調理容器に収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナの燃焼についての許容限度を超える状態になる可能性があることを、上バーナ及び下バーナの火力の変動に拘わらず適切に判定することができるグリルを提供できる。
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(ガスコンロの全体構成)
図1に示すように、コンロ本体Hの上面部に、左右一対のコンロバーナ1を備え、コンロ本体Hの内部にグリルG(図2参照)を備えるガスコンロが構成されている。
このガスコンロは、キッチンカウンタに形成したコンロ装着口に上方から挿入して組付ける、いわゆるビルトインタイプとして構成されるものであって、コンロ本体Hの上部の周縁部には、キッチンカウンタに載置する鍔部が形成されている。
コンロ本体Hの上部には、ガラス製の天板2が装備され、そして、天板2の後部側箇所には、グリルGの調理排気を排出するためのグリル排気口3が形成されている。
また、天板2の上部には、コンロバーナ1にて加熱される鍋等の被加熱物を載置するための五徳4が、左右のコンロバーナ1の夫々に対応して設けられている。
尚、コンロバーナ1の中央部には、図1に示すように、鍋等の被加熱物の存在及び被加熱物の底壁温度を検出するコンロバーナセンサ1Aが設けられている。
コンロ本体Hの上部に装備した天板2の手前側箇所には、左右のコンロバーナ1の夫々に対する左右一対のコンロ用操作具5が、上方に離脱自在に設けられ、コンロ本体Hの前面部の右側箇所には、グリルGに対するグリル用設定操作部6が、下方側を支点にした前後揺動により開閉自在に設けられている。尚、図1は、グリル用設定操作部6の開き状態を例示する。
ちなみに、一対のコンロ用操作具5の夫々は、前後や左右のスライド操作及び左右の回転操作により、点火及び消火の指令、目標火力の指令、目標温度に維持する自動温度調理の指令等、各種の指令情報を指令するように構成されている。
グリル用設定操作部6は、複数の指令スイッチを備えて、それらの複数の指令スイッチの操作により、後述する加熱調理用のグリルバーナAに対する点火及び消火の指令、目標火力の指令、調理モードの指令等、各種の指令情報を指令するように構成されており、その詳細は後述する。
(グリルの構成)
グリルGには、図2及び図3に示すように、前部及び後部が開口する筒状に形成されたグリル庫7(図4参照)が備えられ、被調理物を加熱調理するための調理容器Kを支持し且つグリル扉8(図1参照)を前端部に備えた調理容器支持部Lが、グリル庫7に対して出退自在に設けられている。
本実施形態においては、調理容器Kとして、上部が開放した開放式調理容器としてのグリル皿9(図4参照)、及び、蓋40を着脱自在な蓋装着式調理容器としての調理鍋41(図5参照)を装備する場合を例示する。尚、図2及び図3は、グリル皿9を装備した場合を示す。
ちなみに、グリル皿9の容量は、例えば、450mlであり、調理鍋41の容量は、例えば、1500mlである。
グリル庫7の底部には、グリル庫7内に収納された調理容器Kを下方から加熱する下バーナ10が設置され、グリル庫7の天井部には、グリル庫7内に収納された調理容器Kを上方から加熱する上バーナ11が設置されている。つまり、本実施形態においては、加熱調理用のグリルバーナAとして、下バーナ10と上バーナ11とが設けられている。
グリル庫7の後部には、燃焼ガスや加熱される被調理物から排出されるガス類等からなる調理排気をグリル排気口3に導く排気通路Eを形成する排気通路形成部Dが設けられている。
下バーナ10は、図2に示すように、円筒状の下バーナ本体部10Aと、その下バーナ本体部10Aに接続される下バーナ混合管部10Bとを備え、下バーナ本体部10Aには、周方向に沿って炎孔Fが形成されている。つまり、下バーナ10は、炎孔Fを環状に備える形態に構成されている。
そして、下バーナ10は、燃料ガスが下バーナ用噴出ノズル12から下バーナ混合管部10Bの端部に噴出供給される際に、一次空気がエジェクタ作用によって下バーナ混合管部10Bの内部に供給されることにより、一次空気と燃料ガスとの混合ガスを上述の炎孔Fに供給して一次燃焼させ、かつ、グリル庫7の底部や側壁部等に形成した空気孔(図示せず)等からグリル庫7の内部に取り入れられた外気を二次空気として用いて二次燃焼させる、いわゆるブンゼン燃焼式バーナとして構成されている。
尚、このような構成の下バーナ10は、コンロバーナ1の構成と同様であり、コンロバーナ1を転用して構成されている。
下バーナ10の内部には、図2及び図3に示すように、調理容器Kの温度を検出する温度検出センサとして、調理容器Kの底壁温度を検出する容器温度検出センサ13が装備されている。
この容器温度検出センサ13の検出情報は、後述する運転制御部W(図9参照)に入力される。
尚、調理容器支持部Lの出退に連動して容器温度検出センサ13を昇降させて、調理容器支持部Lがグリル庫7の内部の収納位置及びその近くに位置するときには、容器温度検出センサ13を調理容器Kの底壁部に接触させる上昇位置に位置させ、調理容器支持部Lが収納位置の近くの位置からグリル庫7の前方側に突出されるときには、容器温度検出センサ13を調理容器Kの底壁部から下方側に離れる下降位置に位置させるように構成されているが、本実施形態においては、調理容器支持部Lの出退に連動して容器温度検出センサ13を昇降させる機構についての詳細な説明は省略する。
上バーナ11は、下向きの平板状の火炎を形成する輻射式バーナであり、図3に示すように、平板状の上バーナ本体部11Aと、その上バーナ本体部11Aに接続される上バーナ混合管部11Bとを備え、上バーナ本体部11Aの下面部に燃焼炎形成部が形成されている。
そして、上バーナ11は、燃料ガスが上バーナ用噴出ノズル14から上バーナ混合管部11Bの端部に噴出供給される際に、一次空気がエジェクタ作用によって上バーナ混合管部11Bの内部に供給されることにより、一次空気と燃料ガスとの混合ガスを上述の燃焼炎形成部に供給して一次燃焼させ、かつ、グリル庫7の底部や側壁部等に形成した空気孔(図示せず)等からグリル庫7の内部に取り入れられた外気を二次空気として用いて二次燃焼させる、いわゆるブンゼン燃焼式バーナとして構成されている。
尚、図8に示すように、下バーナ10及び上バーナ11の夫々に対して、点火装置としての点火プラグP、及び、着火状態検出装置として、熱電対等を用いて構成される着火センサRが装備され、コンロバーナ1についても、同様に、点火プラグP及び着火センサRが装備されている。
(調理容器支持部の具体構成)
図3に示すように、グリル庫7の左右の側壁部7sの底部側部分に、長手方向をグリル庫7の前後方向に向けた姿勢で固定設置される状態で固定レール15が設けられ、その固定レール15に対してグリル庫7の前後方向に移動自在に支持される中間レール16、及び、その中間レール16に対してグリル庫7の前後方向に移動自在に支持される可動レール17を備えたスライドレール式の案内機構Bが設けられている(図4参照)。
そして、図4に示すように、左右に並ぶ一対の可動レール17の先端部に、グリル扉8を装着するための扉支持板18が取付けられ、グリル扉8が、扉支持板18の前面側に当て付けた状態で、扉支持板18に装着されるように構成されている(図2参照)。
図2〜図4に示すように、グリル庫7の底壁部を上方から覆う板状のカバー体19が、下バーナ10及び左右のスライドレール式の案内機構Bを覆う状態で設けられ、下バーナ10の下バーナ本体部10Aが、カバー体19の中央部の開口を通して上方に突出するように構成されている。
図4及び図5に示すように、グリル皿9及び調理鍋41の前縁部及び後縁部を載置支持する形態に棒状材を曲げ加工して構成された容器支持枠21が設けられている。
そして、図4及び図6に示すように、容器支持枠21の前端部が、扉支持板18に上下揺動自在に支持されている。つまり、容器支持枠21の前端部に設けた被支持部21sが、扉支持板18の背面部に設けた係止片18Aに係止支持されている。
また、図4及び図5に示すように、容器支持枠21の後端部には、カバー体19の左右両端部の上部に載置する状態で設けたレール枠22に対して摺動自在に載置される被載置部21aが設けられている。尚、被載置部21aは、棒状材をU字状に曲げ加工して構成されている。
すなわち、容器支持枠21が、前端部が扉支持板18に支持され、かつ、後端部がレール枠22に支持される形態で設けられている。
容器支持枠21は、グリル皿9及び調理鍋41を着脱自在に支持する載置支持部として機能するものであって、容器支持枠21には、グリル皿9及び調理鍋41が選択的に付け替えられる形態で装着されることになる。
すなわち、調理容器支持部Lが、グリル扉8及びグリル皿9を載置支持する容器支持枠21を主要部として構成され、そして、グリル扉8を装着する扉支持板18及び容器支持枠21が、左右のスライドレール式の案内機構B及びレール枠22にて、グリル庫7に対して出退自在に支持されるように構成されている。
尚、グリル庫7の内部を清掃するときには、調理容器支持部Lをグリル庫7の前方に突出させ、その突出状態において、グリル皿9及び調理鍋41を容器支持枠21から取り外すことにより、カバー体19の上面部等、グリル庫7の内部を良好に清掃できることになる。
ちなみに、図5に示すように、調理鍋41に装着される蓋40には蒸気孔40aが形成されている。そして、蓋40を装着した調理鍋41は、調理容器支持部Lをグリル庫7に収納した状態において、蒸気孔40aがグリル庫7の後方側箇所に位置する状態となるように容器支持枠21に載置することになる。
つまり、調理容器支持部Lをグリル庫7に収納した状態において、蒸気孔40aがグリル庫7の後方側箇所に位置する状態となるようにすることにより、蒸気孔40aから排出される蒸気が迅速に排気通路Eに導かれるようにして、蒸気孔40aから排出される蒸気が、グリル庫7の内部に充満することを極力抑制することになる。
(排気通路の具体構成)
図2〜図4に示すように、グリル庫7の後部に、グリル庫7の下側部分においてはグリル庫横幅方向の中央側部分を開口し、かつ、グリル庫7の上側部分においてはグリル庫横幅方向の全幅に亘って開口する形態で排気出口Uが開口され、排気通路形成部Dが、排気通路Eを排気出口Uに連通させる形態で形成するように構成されている。
説明を加えると、グリル庫7の後部における下側部分の左右両側部には、グリル庫7の後壁を形成する後板23が設けられている。
そして、グリル庫7の前後方向視にて、グリル庫7の後部における下側部分には、左右の後板23の間に位置する開口部分がグリル庫7の底壁部7dの上方側に位置する状態で形成され、グリル庫7の後部における上側部分には、グリル庫7の左右の側壁部7s及びグリル庫7の上部壁7uにて囲まれた開口部分が形成されている。
したがって、排気出口Uが、グリル庫7の後部の下側部分において左右の後板23の間に位置する開口部分と、グリル庫7の後部の上側部分においてグリル庫7の左右の側壁部7s及びグリル庫7の上部壁7uにて囲まれた開口部分とを合わせた開口として構成されている。
図2に示すように、排気通路形成部Dが、グリル庫7の後部における下側部分に接続する下側形成部分Dsと、グリル庫7の後部における上側部分に接続する上側形成部分Duとを備える形態に構成されている。
下側形成部分Ds及び上側形成部分Duは、複数の部材を組み付けて形成されるものであるが、本実施形態においては、下側形成部分Ds及び上側形成部分Duについての詳細な説明を省略する。
ちなみに、下側形成部分Dsの内部には、排気通路Eを上下方向で区画する板状の通路区画材24が配設され、また、上側形成部分Duの内部には、ラス網等を用いて構成される多孔状の消炎部材25が配設されている。
尚、排気通路形成部Dの下側形成部分Dsに、排気通路Eの内部温度を検出する排気温度センサ26が、通路区画材24を貫通する状態で設けられている。
この排気温度センサ26は、通路区画材24の上方側部分の温度を排気通路Eの内部温度として検出するように構成され、排気温度センサ26の検出情報は、後述する運転制御部W(図9参照)に入力される。
(燃料ガス供給構成)
図8に示すように、メタンガスを主成分とする都市ガス等の燃料ガスが供給される元ガス供給路28に、一対のコンロバーナ1に対する一対のコンロ用分岐路29、及び、グリル用分岐路30が接続されている。
元ガス供給路28に、ガスコンロ全体に対する燃料ガスの供給を断続する元ガス弁31が配置され、一対のコンロ用分岐路29の夫々に、コンロバーナ1の火力を調節するためのコンロバーナ用ガス量調節弁32が設けられている。
グリル用分岐路30に、下バーナ10及び上バーナ11に対するガス燃料の供給圧力を設定圧に調整するガバナ33が設けられ、ガバナ33にて設定圧に調整されたガス燃料を下バーナ10に導く下バーナ用供給路34、及び、ガバナ33にて設定圧に調整されたガス燃料を上バーナ11に導く上バーナ用供給路35が設けられている。
下バーナ用供給路34には、下バーナ10の火力を調節するための下バーナ用ガス量調節弁36が設けられ、上バーナ用供給路35には、上バーナ11の火力を調節するための上バーナ用ガス量調節弁37が設けられている。
ちなみに、下バーナ用ガス量調節弁36及び上バーナ用ガス量調節弁37は、燃料ガスの供給開度を全閉開度から最大開度に亘って変更するものであり、下バーナ10や上バーナ11の燃焼を停止する際には、下バーナ用ガス量調節弁36及び上バーナ用ガス量調節弁37を、全閉開度(閉状態)にする。
(調理容器の検出構成)
図2及び図3に示すように、グリル皿9を容器支持枠21に載置した状態において、グリル皿9の後端部の存在を検出する存否検出センサSが、調理容器支持部Lをグリル庫7の内部の設定収納位置に収納した状態において、グリル皿9の後端部に接当する形態で、グリル庫7の後板23に設けられている。
また、図6に示すように、蓋40を装着した調理鍋41を容器支持枠21に載置した状態において、調理容器支持部Lをグリル庫7の内部の収納位置に収納すると、存否検出センサSが、蓋40からグリル庫後方側に延出された被検知部40H(図5参照)に接当するように構成されている。
蓋40から延出される被検知部40Hは、図5及び図6に示すように、上方側に伸びた後に外方側に向けて延出され、その延出部の端部から下方に伸びる形態に形成されるものであって、蓋40を調理鍋41に装着した状態において、調理鍋41の周縁部を上方側から迂回する形態で位置するように構成されている。
ちなみに、容器支持枠21に調理鍋41を載置した際に、蓋40が調理鍋41に装着されていないときには、調理容器支持部Lをグリル庫7の内部の収納位置に収納した状態において、存否検出センサSが調理鍋41に接当しないことになる。
つまり、存否検出センサSが、グリル皿9の後端部のうちの横端側部分(本実施形態では左側に相当する部分)や、調理鍋41に装着される蓋40に設けた被検知部40Hに接当する形態で設けられている。
ちなみに、存否検出センサSの検出情報は、後述する運転制御部W(図9参照)に入力される。
(グリル用設定操作部の詳細)
図9に示すように、グリル用設定操作部6の指令情報が運転制御部Wに入力されて、運転制御部Wが、グリル用設定操作部6の指令情報に基づいて、上バーナ11及び下バーナ10の燃焼を制御するように構成されている。
図7に示すように、グリル用設定操作部6には、オートメニューを選択するオートメニュー選択スイッチ45、調理モードを選択する調理モード選択スイッチ46、火加減を設定する火力調節スイッチ47、グリルバーナAに対する点火及び消火を指令する点消火スイッチ48、タイマー調理を設定する時間設定スイッチ49、入力された情報の取り消しを指令する取消スイッチ50、及び、チャイルドロックスイッチ51が備えられている。
オートメニュー選択スイッチ45は、押し操作により、「オートメニュー」を指令するものであり、そして、押し操作されるごとに、「オートメニュー」の調理メニューとして、「トースト」、「鶏もも焼き」、「ホイル焼き」、「魚:切り身」、「魚:姿焼き」、及び、「ごはん」の調理メニューに順次切換えるように構成されている。尚、「ごはん」とは、炊飯を意味するものである。
ちなみに、「オートメニュー」を実行する際には、オートメニュー選択スイッチ45を操作して調理メニューを選択した後に、点消火スイッチ48を操作する、あるいは、点消火スイッチ48を操作した直後に、オートメニュー選択スイッチ45を操作して調理メニューを選択することになる。
そして、運転制御部Wが、オートメニュー選択スイッチ45にて選択された複数の調理メニューの夫々について、予め設定されている加熱調理用情報に基づいて、上バーナ11及び下バーナ10の火力を自動的に調節しながら、自動的に加熱調理を行い、且つ、加熱調理が終了すると、上バーナ11及び下バーナ10を自動的に消火する全自動加熱調理を実行するように構成されている。
調理モード選択スイッチ46は、押し操作により、「調理モード」を指令するものであり、そして、押し操作されるごとに、「調理モード」の調理メニューとして、「焼く」、「あたためる」、「ノンフライ」、「煮る」、「蒸す」、及び、「パン」の調理メニューに順次切換えるように構成されている。
ちなみに、「調理モード」を実行する際には、調理モード選択スイッチ46を操作して調理メニューを選択した後に、点消火スイッチ48を操作する、あるいは、点消火スイッチ48を操作した直後に、調理モード選択スイッチ46を操作して調理メニューを選択することになる。
そして、運転制御部Wが、調理モード選択スイッチ46にて選択された複数の調理メニューの夫々について、予め設定されている加熱調理用情報に基づいて、上バーナ11及び下バーナ10の火力を自動的に調節しながら、自動的に加熱調理を行うように構成されている。
尚、「調理モード」においては、加熱調理を停止する際には、点消火スイッチ48を操作して、上バーナ11及び下バーナ10を消火させることになる。
したがって、本実施形態においては、グリル用設定操作部6は、「オートメニュー」及び「調理モード」が備える複数の調理メニューのうちから実行する調理メニューを指令する調理メニュー指令手段として機能することになる。
ちなみに、オートメニューの「ごはん」や、調理モードの「煮る」、「蒸す」、「パン」の調理メニューは、調理鍋41を用いて行う調理メニューであり、オートメニューや調理モードにおけるその他の調理メニューは、グリル皿9を用いて行う調理メニューである。
そして、オートメニューの「ごはん」及び調理モードの「煮る」、「蒸す」が、調理鍋41に多量の水を貯留するため、調理容器Kとして調理鍋41に収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナ11の燃焼についての許容限度を超えることが予測される設定水もの調理に相当することになる。
尚、被調理物から放出される水蒸気量が上バーナ11の燃焼についての許容限度を超えることが予測されるとは、被調理物から放出される水蒸気量が上バーナ11の燃焼に悪影響を与える可能性があることが予測されることを意味するものであり、被調理物から放出される水蒸気量が、正確に、上バーナ11の燃焼不良状態を引き起こす程度に多量であることを意味するものではない。
火力調節スイッチ47は、グリルバーナAの火力(火加減)を、「強」、「中」、「弱」の3段階に切換えるものである。具体的には、グリルバーナAの燃焼状態において、火力調節スイッチ47を押し操作するごとに、 グリルバーナAの火力を、「強」、「中」、「弱」の順に切換えるように構成されている。
ちなみに、グリルバーナAの火力が「強」の状態とは、上バーナ11及び下バーナ10の火力が「強」の状態であり、グリルバーナAの火力が「中」の状態とは、上バーナ11の火力が「弱」で且つ下バーナ10の火力が「強」の状態であり、グリルバーナAの火力が「弱」の状態とは、上バーナ11の火力が「強」で且つ下バーナ10の火力が「弱」の状態である。
上バーナ11は、「強」のときには、872W(750Kcal/h)を出力し、「弱」のときには、814W(700Kcal/h)を出力するように構成されている。
また、下バーナ10は、「強」のときには、1454W(1250Kcal/h)を出力し、「弱」のときには、349W(300Kcal/h)を出力するように構成されている。
点消火スイッチ48は、押し操作されるごとに、点火指令と消火指令とを交互に指令するものであり、グリルバーナAを点火させるときや消火するときに押し操作されることになる。
尚、点消火スイッチ48は、上述の如く、「オートメニュー」及び「調理モード」が備える複数の調理メニューを実行する際に操作されることになるが、加えて、後述する「タイマー調理」を実行する際に、グリルバーナAを点火させるときに操作され、さらには、「オートメニュー」、「調理モード」及び「タイマー調理」を用いずに、手動操作により加熱調理を行う(以下、「手動調理」と呼称)ときにも、グリルバーナAを点火させるときや消火するときに押し操作されることになる。
時間設定スイッチ49は、加熱調理時間を設定するものであって、その設定された加熱調理時間が表示部49Aに表示されることになる。
運転制御部Wは、時間設定スイッチ49にて加熱調理時間が設定された後に、点消火スイッチ48にてグリルバーナAが点火された場合や、点消火スイッチ48にてグリルバーナAが点火された直後に、時間設定スイッチ49にて加熱調理時間が設定された場合において、加熱調理時間が経過すると、グリルバーナAを自動的に消火する「タイマー調理」を実行するように構成されている。
取消スイッチ50は、オートメニュー選択スイッチ45に指令された情報、調理モード選択スイッチ46にて指令された情報、及び、時間設定スイッチ49にて指令された情報を取り消す際に、押し操作されることになる。
また、チャイルドロックスイッチ51は、3秒に亘って押し操作することにより、グリル用設定操作部6による操作を無効にする「チャイルドロック状態」に設定することができる。
尚、「チャイルドロック状態」を解除するには、チャイルドロックスイッチ51を、再び、3秒に亘って押し操作することになる。
(運転制御部の制御について)
運転制御部Wは、マイクロコンピュータを備えて、グリルGを備えたガスコンロの全体に対する運転を制御するものであるが、以下の説明においては、グリルGに備えた下バーナ10及び上バーナ11に対する燃焼制御を説明して、コンロバーナ1に対する燃焼制御は省略する。
運転制御部Wは、図9に示すように、上述したグリル用設定操作部6からの指令情報に基づいて、下バーナ10及び上バーナ11に対する燃焼を制御するものである。
例えば、点消火スイッチ48の操作により点火指令が指令されると、元ガス弁31、下バーナ用ガス量調節弁36、及び、上バーナ用ガス量調節弁37を操作して、下バーナ10及び上バーナ11に燃料ガスを供給する状態とし、加えて、下バーナ10及び上バーナ11に対する点火プラグPを作動させかつ着火センサRにて着火を検出する点火処理を実行することになる。
また、点消火スイッチ48の操作により消火指令が指令されると、元ガス弁31、下バーナ用ガス量調節弁36、及び、上バーナ用ガス量調節弁37を閉状態に操作して、下バーナ10及び上バーナ11を消火する消火処理を実行することになる。
また、下バーナ10及び上バーナ11の燃焼状態において、火力調節スイッチ47の操作により火力の変更が指令されると、下バーナ用ガス量調節弁36及び上バーナ用ガス量調節弁37を操作して、下バーナ10及び上バーナ11の火力を「強」、「中」、「弱」に変更調節する火力調節処理を実行することになる。
また、自動調理制御として、「オートメニュー」の調理メニューや、「調理モード」の調理メニューが指令された場合には、予め設定された加熱調理用情報に基づいて、上バーナ11及び下バーナ10の火力を自動的に調節しながら、自動的に加熱調理を行うことになり、そして、「オートメニュー」の調理メニューが指令された場合には、定められた加熱調理が終了すると、下バーナ10及び上バーナ11を自動的に消火することになる。
また、「タイマー調理」が指令された場合には、加熱調理時間が経過すると、下バーナ10及び上バーナ11を自動的に消火することになる。
また、運転制御部Wは、存否検出センサSの検出情報に基づいて、下バーナ10及び上バーナ11の燃焼を制御するように構成されている。
すなわち、運転制御部Wは、例えば、グリル用設定操作部6から点火指令が指令されたときに、存否検出センサSの検出情報に基づいて、グリル皿9や蓋40の被検知部40Hの存在が検出されない非存在状態であると判定したときには、非存在状態に対応する非存在用処理を実行するように構成されている。
具体的には、点火処理を実行せずに、警報ブザー等の警報装置55を作動させる警報処理を実行するように構成されている。
つまり、グリル皿9を容器支持枠21に載置せずに、調理容器支持部Lをグリル庫7の設定収納位置に収納した状態や、グリル皿9を容器支持枠21に載置した調理容器支持部Lをグリル庫7の適正な設定収納位置に収納しない状態のときには、存否検出センサSの検出情報に基づいて、グリル皿9の存在が検出されない状態であることが判定されて、点火処理の実行が牽制されることになる。
同様に、調理鍋41を容器支持枠21に載置せずに、調理容器支持部Lをグリル庫7の設定収納位置に収納した状態、調理鍋41を容器支持枠21載置した際に、蓋40を調理鍋41に装着しない状態で、調理容器支持部Lをグリル庫7の設定収納位置に収納した状態、及び、蓋40を調理鍋41に装着しても、調理容器支持部Lをグリル庫7の適正な設定収納位置に収納しない状態のときには、存否検出センサSの検出情報に基づいて、蓋40の被検知部40Hの存在が検出されない状態であることが判定されて、点火処理の実行が牽制されることになる。
また、運転制御部Wは、排気温度センサ26の検出情報に基づいて、下バーナ10及び上バーナ11の燃焼を制御するように構成されている。
すなわち、運転制御部Wは、例えば、下バーナ10及び上バーナ11の燃焼中において、排気温度センサ26の検出温度が設定上限値を超えると、下バーナ10及び上バーナ11の燃焼を停止させるために消火処理を実行し、加えて、警報ブザー等の警報装置55を作動させる警報処理を実行するように構成されている。
つまり、被調理物の過熱等により、排気温度センサ26の検出温度が設定上限値を超えると、下バーナ10及び上バーナ11の燃焼が停止されることになる。
(水もの対応制御)
上述の如く、オートメニューの「ごはん」及び調理モードの「煮る」、「蒸す」は、調理鍋41に多量の水を貯留するため、調理容器Kとして調理鍋41に収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナ11の燃焼についての許容限度を超えることが予測される「設定水もの調理」に相当することになる。
運転制御部Wは、グリル用設定操作部6にて「設定水もの調理」が指令された場合に、後述する設定基準状態になると、上バーナ11の燃焼を停止させ、かつ、下バーナ10の燃焼を継続するバーナ調整処理や、グリル用設定操作部6にて設定水もの調理以外の調理メニューが指令された場合に、調理容器Kに収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナ11の燃焼についての許容限度を超えることが予測される「水もの調理物」であると判定すると、上バーナ11及び下バーナ10の燃焼を停止するバーナ停止処理、及び、調理容器Kに収容された被調理物の水分量が許容量を超える状態であることを報知する報知処理を、水もの対応制御として実行するように構成されている。
すなわち、運転制御部Wが、グリル用設定操作部6にて「設定水もの調理」が指令された場合には、下バーナ10及び上バーナ11を燃焼させて調理容器Kの加熱を開始した状態において、容器温度検出センサ13の検出情報に基づいて、調理容器Kに収容された被調理物から放出される水蒸気量が増加する状態になることが予測される設定基準状態になると、上バーナ11の燃焼を停止させ、かつ、下バーナ10の燃焼を継続する処理を、バーナ調整処理として実行するように構成されている。
つまり、調理容器Kに収容された被調理物を加熱した際、大量の水蒸気が調理容器Kの外部に放出されると、上バーナ11に供給される燃焼用2次空気に含まれる水蒸気分圧の増加により、燃焼用2次空気中の酸素濃度が低下することに起因して、上バーナ11の燃焼不良に至る不都合が発生する虞があるが、そのような不都合の発生を未然に防止するのである。
本実施形態においては、設定基準状態が、容器温度検出センサ13にて検出される調理容器Kの温度、つまり、容器温度検出センサ13の検出温度が、設定基準温度(例えば、78℃)に上昇した状態に設定されている。
尚、設定基準温度は、水の沸点に対応する温度よりも低い温度があればよいが、多量の水蒸気発生状態になる以前に上バーナ11の燃焼を停止するためには、90℃以下や、90℃未満の温度に設定することが好ましいものであり、本実施形態においては、78℃に設定するものである。
ちなみに、「設定水もの調理」について自動加熱調理を行うために定められるグリルバーナAの燃焼制御内容は、容器温度検出センサ13にて検出される調理容器Kの温度が設定基準温度(例えば、78℃)に上昇すると、上バーナ11の燃焼が停止されることを条件として、予め定められている。
また、運転制御部Wが、グリル用設定操作部6にて設定水もの調理以外の調理メニューが指令された場合には、下バーナ10及び上バーナ11を燃焼させて調理容器Kの加熱を開始した状態において、調理容器Kに収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナ11の燃焼についての許容限度を超えることが予測される「水もの調理物」である判定したときには、上バーナ11の燃焼を停止させ、加えて、下バーナ10の燃焼を停止する処理を、バーナ停止処理として実行するように構成されている。
ちなみに、設定水もの調理以外の調理メニューが指令された場合とは、「オートメニュー」の「トースト」、「鶏もも焼き」、「ホイル焼き」、「魚:切り身」、「魚:姿焼き」が指令された場合、「調理モード」の「焼く」、「あたためる」、「ノンフライ」、「パン」が指令された場合、「タイマー調理」が指令された場合、及び、「手動調理」が指令された場合に相当する。
運転制御部Wは、「水もの調理物」であると判定して、上バーナ11及び下バーナ10の燃焼を停止させた際には、報知処理として、音声式報知装置等の報知装置56を作動させて、調理容器Kに収容された被調理物の水分量が許容量を超える状態であることを報知する処理を実行するように構成されている。
尚、報知装置56の報知作動の具体的内容としては、「調理容器の水分量が過剰です」等、報知内容を具体的に示すことが好ましいものである。
すなわち、上述した「設定水もの調理」を行う場合以外においては、通常は、調理容器Kには多量の水分を貯留する状態で加熱調理を行うことはないが、使用者が誤って、調理容器Kに多量の水分を貯留する状態で加熱調理を行った場合には、「水もの調理物」であることが判別されて、下バーナ10及び上バーナ11の燃焼が停止されて、上バーナ11の燃焼不良に至る不都合の発生を未然に防止することになる。
つまり、本実施形態においては、調理容器Kとしてのグリル皿9及び調理鍋41のいずれかを用いて加熱調理することになるが、大量の水を貯留可能な調理鍋41を用いて加熱調理を行う際に、使用者が誤って、調理鍋41に多量の水分を貯留する状態で加熱調理を行う虞があり、このような場合には、「水もの調理物」であることが判別されて、下バーナ10及び上バーナ11の燃焼が停止されて、上バーナ11の燃焼不良に至る不都合の発生が未然に防止されることになる
尚、「水もの調理物」であると判定したときには、下バーナ10の燃焼を継続するようにしてもよいが、本実施形態では、調理容器Kに収容した被調理物(食材)に与える損傷(ダメージ)を極力少なくするために、上バーナ11の燃焼停止に加えて、下バーナ10の燃焼も停止させる。
そして、報知処理を実行することにより、使用者に、調理容器Kに収容されている被調理物(食材)の収容状態の確認を促すようにする。
本実施形態においては、運転制御部Wが、調理容器Kに収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナ11の燃焼についての許容限度を超えることが予測される「水もの調理物」であるか否かの判定を、第1判定処理、第2判定処理、及び、第3判定処理によって、3段階に亘って順次実行し、第1判定処理、第2判定処理、及び、第3判定処理のいずれかによって、「水もの調理物」であると判定すると、上バーナ11及び下バーナ10の燃焼を停止し、かつ、調理容器Kに収容された被調理物の水分量が許容量を超える状態であることを報知する報知処理を実行するように構成されている。
すなわち、第1判定処理によって、「水もの調理物」であると判定したときには、上バーナ11及び下バーナ10の燃焼が停止されるため、第2判定処理及び第3判定処理が実行されることはないが、第1判定処理によって、「水もの調理物」であると判定されないときには、第2判定処理が実行されることになり、第2判定処理によって、「水もの調理物」であると判定したときには、上バーナ11及び下バーナ10の燃焼が停止されるため、第3判定処理が実行されることはないが、第2判定処理によって、「水もの調理物」であると判定されないときには、第3判定処理が実行されることになる。
(第1判定処理)
運転制御部Wは、第1判定処理として、下バーナ10及び上バーナ11を燃焼させて調理容器Kの加熱を開始した状態において、容器温度検出センサ13にて検出される調理容器Kの温度が水の沸点に対応する温度に上昇する以前における調理容器Kの温度の温度上昇勾配を求めて、求めた温度上昇勾配が調理容器Kに収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナ11の燃焼についての許容限度を超える状態になることが予測される設定基準勾配以下であるか否かを判定する処理を実行することになる。
具体的には、容器温度検出センサ13にて検出される調理容器Kの温度が判定用設定低温度(例えば、77℃)から判定用設定高温度(例えば、90℃)に上昇するまでの経過時間FTを、温度上昇勾配として求めて、求めた温度上昇勾配(経過時間FT)が調理容器Kに収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナ11の燃焼についての許容限度を超える状態になることが予測される設定基準勾配(判別時間)以下であるか否かを判定する処理を実行することになる。
設定基準勾配が、図11に示すように、上バーナ11及び下バーナ10の火力に応じて設定されている。
すなわち、本実施形態においては、上バーナ11及び下バーナ10の火力が「強」の状態のとき、並びに、上バーナ11の火力が「弱」で且つ下バーナ10の火力が「強」の状態のときには、設定基準勾配(判別時間)が35秒以上に設定され、そして、上バーナ11の火力が「強」で且つ下バーナ10の火力が「弱」の状態のときには、設定基準勾配(判別時間)が100秒以上に設定される。
尚、本実施形態では、上バーナ11の火力の「強」と火力の「弱」との差が小さいため、上バーナ火力/下バーナ火力が「弱/強」のときの設定基準勾配(判別時間)が、上バーナ火力/下バーナ火力が「強/強」のときの設定基準勾配(判別時間)と同じ値に設定されるが、上バーナ火力/下バーナ火力が「弱/強」のときの設定基準勾配(判別時間)を、上バーナ火力/下バーナ火力が「強/強」のときの設定基準勾配(判別時間)とは異なる値に設定してもよい。
すなわち、通常、調理容器Kに収容される被調理物のうち、水の比熱は、肉や魚、野菜など他の被調理物の比熱に較べて高いものであるから、大きさや材質が既知であるような特定の調理容器Kを用いる場合には、所定の火力における調理容器Kの温度上昇勾配によって、調理容器Kに収容される被調理物に大量の水が含まれるか否かが判定可能である。
第1判定処理は、所定の火力における調理容器Kの温度上昇勾配によって、調理容器Kに収容される被調理物に大量の水が含まれているか否か、つまり、被調理物が「水もの調理物」であるか否かの判定を行うものである。
そして、第1判定処理にて、「水もの調理物」であると判定された場合には、加熱の継続によって調理容器Kから上バーナ11の燃焼に悪影響を与える程度の大量の水蒸気が発生する蓋然性が高いと予測できるのである。
(第2判定処理)
運転制御部Wは、下バーナ10及び上バーナ11を燃焼させて調理容器Kの加熱を開始した状態において、第1判定処理を実行した後に、第2判定処理を実行することになる。
運転制御部Wは、第2判定処理として、第1判定処理を実行してから、調理容器Kの加熱を開始したのちの経過時間が後述する設定基準時間に達するまでの間において、容器温度検出センサ13の検出情報に基づいて、調理容器Kの温度が設定判定温度上昇するのに要する時間を求めて、求めた時間が設定判定時間以上となる温度平衡状態であるか否かを判定する処理を実行することになる。
そして、調理容器Kの温度が水の沸点に対応する温度に上昇する以前における調理容器Kの温度上昇勾配は、調理容器Kに収容されている被調理物の水分量が多いほど緩やかな勾配となるものであるから、例えば、温度上昇勾配が緩やかな場合ほど、設定判定温度を小さく又は設定判定時間を長くすることにより、温度平衡状態であるか否かを的確に判定できる。
また、温度上昇勾配が、調理容器Kに収容されている被調理物の水分量が多量である場合には、調理容器Kに収容されている被調理物の水分量が小量である場合に較べて、温度上昇勾配が緩やかになるから、温度上昇勾配が緩やかな範囲となる場合には、調理容器Kに収容されている被調理物の水分量が多量である可能性が高いため、例えば、温度上昇勾配が緩やかなほど設定判定温度を小さく又は設定判定時間を長くする際に、設定判定温度を小さくする割合や設定判定時間を長くする割合を、温度上昇勾配が急な範囲となる場合よりも小さくして、温度平衡状態であることを速やかに判定できるようにすることができる。
本実施形態においては、設定判定温度が1℃に設定され、運転制御部Wが、設定判定時間FSを、第1判定処理において求めた温度上昇勾配(経過時間FT)に基づいて定めるように構成されている。
具体的には、図12に示すように、下バーナ10及び上バーナ11の火力と、経過時間FT(温度上昇勾配)とに基づいて、演算用係数FSTが求められる。ちなみに、演算用係数FSTは、実験によって求めた値である。
そして、設定判定時間FSが、経過時間FTと演算用係数FSTとの積によって求められるように構成されている。
つまり、本実施形態においては、下バーナ10及び上バーナ11の火力と経過時間FTの大きさとに応じた演算用係数FSTを求めて、求めた演算用係数FSTと経過時間FTとの積によって設定判定時間FSを定めることにより、温度平衡状態であるか否かを的確に判定できるように構成されている。
尚、本実施形態では、上バーナ11の火力の「強」と火力の「弱」との差が小さいため、上バーナ火力/下バーナ火力が「弱/強」のときの演算用係数FSTが、上バーナ火力/下バーナ火力が「強/強」のときの演算用係数FSTと同じ値に設定されるが、上バーナ火力/下バーナ火力が「弱/強」のときの演算用係数FSTを、上バーナ火力/下バーナ火力が「強/強」のときの演算用係数FSTとは異なる値に設定してもよい。
すなわち、通常、調理容器Kに収容される被調理物のうち、水は、肉や魚、野菜など他の被調理物とは異なり、沸点に達すると、加熱を継続しても加熱による熱エネルギが水か水蒸気に変化する相変化のための潜熱に用いられることとなり、温度上昇が緩やか又は無くなって、温度が平衡することになる。
したがって、容器温度検出センサ13の検出温度が平衡するか否かによって、調理容器Kに収容される被調理物に大量の水が含まれるか否かが判定できるのである。
第2判定処理は、容器温度検出センサ13の検出温度が1℃上昇するのに要する時間が、設定判定時間FS以上であるか否かによって、調理容器Kに収容された水の沸騰によって調理容器Kの温度が平衡状態になっている温度平衡状態であるか否かを判定するものである。
つまり、第2判定処理は、温度平衡状態であるか否かによって、調理容器Kに収容される被調理物に大量の水が含まれているか否か、つまり、被調理物が「水もの調理物」であるか否かの判定を行うものである。
そして、第2判定処理にて、「温度平衡状態」であると判定された場合には、加熱の継続によって調理容器Kから上バーナ11の燃焼に悪影響を与える程度の大量の水蒸気が発生する蓋然性が高いと予測できるのである。
(第3判定処理)
運転制御部Wは、下バーナ10及び上バーナ11を燃焼させて調理容器Kの加熱を開始した状態において、調理容器Kの加熱を開始したのちの経過時間が設定基準時間に達すると、第3判定処理を実行することになる。
設定基準時間は、加熱開始からの経過時間が調理容器Kに水を満杯で貯留したと仮定したときに貯留した水が沸騰することが予測される時間として定められることになり、具体的には、設定基準時間は、図13に示すように、下バーナ10及び上バーナ11の火力に応じて設定されることになる。
運転制御部Wは、第3判定処理として、下バーナ10及び上バーナ11を燃焼させて調理容器Kの加熱を開始した状態において、加熱開始からの経過時間が設定基準時間に達したときに、容器温度検出センサ13にて検出される調理容器Kの温度を読み込んで、調理容器Kの温度が沸騰判定用温度以下となる水貯留状態であるか否かを判定する処理を実行するように構成されている。
尚、本実施形態においては、図13に示すように、沸騰判定用温度が、130℃に設定されているが、沸騰判定用温度は、例えば、110℃等、100℃以上の適宜の温度に設定できる。
すなわち、通常、調理容器Kに収容される被調理物のうち、水は、肉や魚、野菜など他の被調理物とは異なり、沸点に達すると、加熱を継続しても加熱による熱エネルギが水から水蒸気に変化する相変化のための潜熱に用いられることとなり、調理容器Kの温度上昇が緩やか又は無くなって、調理容器Kの温度が平衡することになるので、加熱開始からの経過時間が調理容器Kに水を満杯で貯留したと仮定したときに貯留した水が沸騰することが予測される基準時間に達したときに、容器温度検出センサ13の検出温度が沸騰判定用温度以下であるか否かによって、調理容器Kに収容される被調理物に大量の水が含まれるか否かが判定できるのである。
第3判定処理は、加熱開始からの経過時間が調理容器Kに水を満杯で貯留したと仮定したときに貯留した水が沸騰することが予測される基準時間に達したときに、容器温度検出センサ13の検出温度が沸騰判定用温度以下であるか否かによって、調理容器Kに収容される被調理物に大量の水が含まれる水貯留状態であるか否かを判定するのである。
つまり、第3判定処理は、加熱開始からの経過時間が基準時間に達したときに、容器温度検出センサ13の検出温度が沸騰判定用温度以下であるか否かによって、調理容器Kに収容される被調理物に大量の水が含まれている「水貯留状態」あるか否か、つまり、被調理物が「水もの調理物」であるか否かの判定を行うものである。
そして、第3判定処理にて、「水貯留状態」であると判定された場合には、加熱の継続によって調理容器Kから上バーナ11の燃焼に悪影響を与える程度の大量の水蒸気が発生する蓋然性が高いと予測できるのである。
(水もの対応制御のフローチャート)
上述の通り、運転制御部Wは、水もの対応制御として、グリル用設定操作部6にて「設定水もの調理」が指令された場合に、設定基準状態になると、上バーナ11の燃焼を停止させ、かつ、下バーナ10の燃焼を継続するバーナ調整処理や、グリル用設定操作部6にて設定水もの調理以外の調理メニューが指令された場合に、「水もの調理物」であると判定すると、上バーナ11及び下バーナ10の燃焼を停止するバーナ停止処理、及び、調理容器Kに収容された被調理物の水分量が許容量を超える状態であることを報知する報知処理を実行することになり、以下、水もの対応制御について、図10のフローチャートに基づいて説明を加える。
水もの対応制御は、下バーナ10及び上バーナ11の燃焼を開始した際に、既に、オートメニュー、調理モード、タイマー調理が設定されている場合には、直ちに開始されることになり、そして、下バーナ10及び上バーナ11の燃焼を開始した際に、未だ、オートメニュー、調理モード、タイマー調理が設定されていない場合には、調理モード設定用の待時間が経過してから開始されることになる。
つまり、上述の如く、オートメニュー、調理モード、タイマー調理は、下バーナ10及び上バーナ11の燃焼を開始した直後に設定されることがあるため、下バーナ10及び上バーナ11の燃焼を開始した際に、未だ、オートメニュー、調理モード、タイマー調理が設定されていない場合には、「水もの対応制御」は、調理モード設定用の待時間が経過してから開始されることになる。
先ず、設定水もの調理であるか否かが判定され(#1)、設定水もの調理である場合には、次に、容器温度検出センサ13の検出温度が設定基準温度(例えば、78℃)に上昇した設定基準状態であるかを判定し(#11)、設定基準状態である場合には、上バーナ11の燃焼を停止させ、かつ、下バーナ10の燃焼を継続するバーナ調整処理が実行される。
#1にて、設定水もの調理でないと判定した場合には、続いて、第1判定処理を実行する。この第1判定処理は、上述の如く、容器温度検出センサ13の検出温度が判定用設定低温度(例えば、77℃)から判定用設定高温度(例えば、90℃)に上昇するまでの経過時間FTを温度上昇勾配として求めて、求めた経過時間FT(温度上昇勾配)が調理容器Kに収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナ11の燃焼についての許容限度を超える状態になることが予測される設定基準勾配(判別時間)以下であるか否かを判定する処理である。
次に、第1判定処理の結果に基づいて、温度上昇勾配(経過時間FT)が設定基準勾配(判別時間)以下であったか否かが判別され(#3)、設定基準勾配以下であると判別された場合には、上バーナ11及び下バーナ10の燃焼を停止するバーナ停止処理(#9)が実行され、続いて、調理容器Kに収容された被調理物の水分量が許容量を超える状態であることを報知する報知処理(#10)が実行される。
#3にて、設定基準勾配以下でないと判別された場合には、第2判定処理が実行される(#4)。この第2判定処理は、上述の如く、容器温度検出センサ13の検出情報に基づいて、調理容器Kの温度が設定判定温度上昇するのに要する時間を求めて、求めた時間が設定判定時間FS以上となる温度平衡状態であるか否かを判定する処理である。
次に、第2判定処理の結果に基づいて、温度平衡状態であるか否かが判別され(#5)、温度平衡状態であると判別された場合には、上バーナ11及び下バーナ10の燃焼を停止するバーナ停止処理(#9)が実行され、続いて、調理容器Kに収容された被調理物の水分量が許容量を超える状態であることを報知する報知処理(#10)が実行される。
#5にて、温度平衡状態でないと判別された場合には、次に、調理容器Kの加熱を開始したのちの経過時間が設定基準時間に達しているか否かが判別され(#6)、設定基準時間に達していない場合には、#4の第2判定処理及び#5の判別処理が繰り返されることになる。
#6にて、調理容器Kの加熱を開始したのちの経過時間が設定基準時間に達していると判別された場合には、第3判定処理が実行される(#7)。この第3判定処理は、上述の如く、加熱開始からの経過時間が設定基準時間に達したときに、容器温度検出センサ13にて検出される調理容器Kの温度を読み込んで、調理容器Kの温度が沸騰判定用温度(例えば、130℃)以下となる水貯留状態であるか否かを判定する処理である。
次に、第3判定処理の結果に基づいて、水貯留状態であるか否かが判別され(#8)、水貯留状態であると判別された場合には、上バーナ11及び下バーナ10の燃焼を停止するバーナ停止処理(#9)が実行され、続いて、調理容器Kに収容された被調理物の水分量が許容量を超える状態であることを報知する報知処理(#10)が実行される。
以上の通り、本実施形態においては、「設定水もの調理」である場合には、容器温度検出センサ13の検出温度が設定基準温度(例えば、78℃)に上昇した設定基準状態になると、上バーナ11の燃焼を停止させ、かつ、下バーナ10の燃焼を継続するバーナ調整処理が実行されるものであるから、調理容器Kに収容した被調理物から多量の蒸気が放出されることにより、上バーナ11が不良燃焼状態で燃焼することが回避できる。
同様に、グリル用設定操作部6にて設定水もの調理以外の調理メニューが指令された場合には、下バーナ10及び上バーナ11を燃焼させて調理容器Kの加熱を開始した状態において、調理容器Kに収容された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナ11の燃焼についての許容限度を超える状態になることが予測される「水もの調理物」である判定したときには、上バーナ11の燃焼を停止させ、加えて、下バーナ10の燃焼を停止させるから、上バーナ11が不良燃焼状態で燃焼すること回避することができ、加えて、調理容器Kに多量の水分が存在する不適正状態で加熱調理を継続することが回避できる。
また、「水もの調理物」であると判定されて、上バーナ11及び下バーナ10の燃焼が停止される場合には、調理容器Kに収容された被調理物の水分量が許容量を超える状態であることを報知する報知処理が実行されるから、使用者(調理者)は、調理容器Kに多量の水分を貯留した不適正な状態であると認識して、例えば、調理容器Kに適量の水分を貯留した適正な状態で加熱調理を再開する等、上バーナ11及び下バーナ10の燃焼が停止される場合に対する処置を良好に行うことができる。
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、調理容器Kとして、開放式調理容器としてのグリル皿9の一例、及び、蓋40が装着される蓋装着式調理容器としての調理鍋41の一例を例示したが、調理容器Kとしては、各種のものを使用できる。
(2)上記実施形態では、調理容器Kの温度を検出する温度検出センサとして、調理容器Kの底部の温度を検出する容器温度検出センサ13を例示したが、例えば、温度検出センサにて調理容器Kの側壁の温度を検出させるようにする等、温度検出センサの具体構成は各種変更できる。
(3)上記実施形態では、設定水もの調理が指令された場合において、下バーナ10の燃焼を継続させた状態で上バーナ11の燃焼を停止させるための設定基準状態として、容器温度検出センサ13の検出温度が設定基準温度(例えば、78℃)に上昇した状態に設定する場合を例示したが、設定基準状態を、例えば、第2判定処理の判定条件と同じ条件、つまり、容器温度検出センサ13の検出情報に基づいて、調理容器Kの温度が設定判定温度上昇するのに要する時間が設定判定時間以上となる温度平衡状態に設定する等、設定基準状態は、種々の状態に設定できるものである。
(4)上記実施形態では、調理容器Kの温度上昇勾配を、下バーナ10及び上バーナ11を燃焼させて調理容器Kの加熱を開始した状態において、容器温度検出センサ13にて検出される調理容器Kの温度が判定用設定低温度(例えば、77℃)から判定用設定高温度(例えば、90℃)に上昇するまでの経過時間FTとして求める場合を例示したが、例えば、設定時間が経過する間における調理容器Kの温度の上昇量を求めるようにする等、温度上昇勾配を求める構成は種々変更できる。
(5)上記実施形態では、第2判定処理において、温度平衡状態を判定する前に求めた調理容器Kの温度上昇勾配に基づいて、設定判定時間を変更して定める場合を例示したが、温度上昇勾配に基づいて、設定判定温度を変更して定める形態で実施してもよい。
(6)上記実施形態では、第1判定処理、第2判定処理、及び、第3判定処理によって、調理容器Kに収容した被調理物が水もの調理物であると判定したときには、上バーナ11の燃焼停止に加えて、下バーナ10の燃焼をも停止する形態で実施したが、上バーナ11の燃焼を停止し、かつ、下バーナ10の燃焼を継続させて、調理容器Kに収容した被調理物の加熱調理を継続させる形態で実施してもよい。
(7)上記実施形態においては、第1判定処理、第2判定処理、及び、第3判定処理を順次実行させる場合を例示したが、第1判定処理及び第3判定処理を省略する形態や、第3判定処理を省略する形態で実施してもよい。
(8)上記実施形態においては、複数の調理メニューのうちに、調理容器Kに収納された被調理物から放出される水蒸気量が上バーナ11の燃焼についての許容限度を超えることが予測される設定水もの調理がある場合を例示したが、複数の調理メニューのうちに、設定水もの調理がない場合にも、本発明は適用できる。
(9)上記実施形態においては、複数の調理メニューのうちに、設定水もの調理がある場合において、設定水もの調理のときには、設定基準状態になると、上バーナの燃焼を停止させ、かつ、下バーナの燃焼を継続するように構成する場合を例示したが、設定水もの調理のときに、第1判定処理、第2判定処理、及び、第3判定処理のいずれかによって、水もの調理物であると判定すると、上バーナの燃焼を停止させ、かつ、下バーナの燃焼を継続するように構成する形態で実施してもよい。
(10)上記実施形態では、グリルGが、ガスコンロに装備される場合を例示したが、本発明のグリルGは、グリル専用機を構成する場合にも適用できるものである。
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。