JP6343883B2 - 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、活性エネルギー線硬化型組成物は、硬化時の収縮が大きく、樹脂中に大きな残留応力が残るため、基材に対する密着性が悪い、あるいは、塗膜が硬くなりすぎて脆く割れやすい等の問題を有していた。このような問題を解決するため、可塑剤や粘着付与樹脂等を配合した組成物が検討されている。
上記相溶性の問題を解決する手段として、アクリル系高分子を配合した組成物も提案されている。特許文献1には、アクリル系高分子を可塑剤として含む活性放射線硬化型インク組成物が開示されている。
さらに、出願人は、前記特許文献2に記載のアクリル系高分子可塑剤を含む活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提案している(特許文献3)。
これに対し、特許文献2に記載の方法で合成された高分子化合物は、分子末端付近にビニリデン型不飽和基を有している。このため、得られた高分子化合物の前記不飽和基を利用して、他の重合性単量体とラジカル共重合させることで、経時による硬化物中からのブリードアウト抑制が期待される。ところが、特許文献2及び3に示される高分子化合物のビニリデン型不飽和基は、一般に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の成分として用いられる(メタ)アクリレート系化合物との共重合性が十分ではないため、硬化性等について改善の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、可塑剤成分等のブリードが抑制され、硬化物の強度、柔軟性及び耐久性に優れ、且つ、硬化性が良好な活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することである。
〔1〕エチレン性不飽和基含有化合物(A)、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含み、
前記エチレン性不飽和基含有化合物(A)は、多官能(メタ)アクリレートを含み、且つ、前記(B)を含まないものであり、
前記多官能(メタ)アクリレートは、ポリオールポリ(メタ)アクリレート、当該ポリオールポリ(メタ)アクリレートの原料アルコールのアルキレンオキサイド付加物又はカプロラクトン変性物のポリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性イソシアヌル酸のポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含み、
前記(B)のガラス転移温度が−85〜0℃であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
〔2〕前記(A)及び(B)の合計を100質量部としたときに、前記(A)を30〜90質量部、前記(B)を10〜70質量部含むことを特徴とする前記〔1〕に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
〔3〕前記(B)の重量平均分子量が、5,000〜20,000であることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
〔4〕前記(B)の末端重合性官能基がアクリロイル基であることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
本発明におけるエチレン性不飽和基含有化合物(A)(以下、「(A)成分」ともいう)は、分子内にエチレン性不飽和基を有する化合物である。前記エチレン性不飽和基としては、ビニル基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリルアミド基が挙げられる。
(A)成分としては、種々の化合物が使用可能である。具体的には、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチレン及びビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド並びにN−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
(メタ)アクリレートとしては、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「単官能(メタ)アクリレート」という〕及び分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「多官能(メタ)アクリレート」という〕が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、オリゴマーも使用することができ、具体的にはウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートは、(A)成分中に20〜100質量%含まれることが好ましく、より好ましくは50〜100質量%である。
片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー(B)(以下、「(B)成分」ともいう)は、ビニル系単量体を主な構造単位とする重合体であって、その片末端に(メタ)アクリロイル基を有するものである。
(B)成分の製造方法としては特に限定されないが、ビニル単量体の選択範囲が広い点、製造に重金属を必須とせず電子材料周辺の部材に適用しやすい点、安価に製造が行える点点において、以下に示す工程により得られることが好ましい。
第1工程;水酸基、カルボキシル基等の官能基を有する連鎖移動剤の存在下でビニル単量体を重合し、片末端に官能基を有する重合体を合成する工程。
第2工程;上記第1工程で得られた重合体の片末端に存在する官能基に対し、当該官能基と反応可能な官能基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させ、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマーを得る工程。
これらの中でも水酸基、カルボキシル基等の反応性官能基を有する連鎖移動剤を用いると、後述のエチレン性不飽和基を有する化合物と反応させることによって容易に片末端に(メタ)アクリロイル基を導入できるため、好ましい。
例えば反応性官能基がカルボキシル基である場合、エポキシ基を有するグリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等が好適に用いられる。反応性官能基が水酸基である場合、イソシアナト基を有する2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート等が好適に用いられる。
また、上記反応を促進するための触媒として、3級アミン、4級アンモニウム塩、金属触媒等を併用することができる。
これらの組み合わせの中でも片末端に水酸基を有する重合体にイソシアナト基を有する化合物を反応させることが、低温・短時間・微量触媒条件で反応を完結でき、硬化物の経時着色を抑制できる点から好ましい。
また活性エネルギー線硬化型樹脂組成物としての硬化性の観点から、(メタ)アクリロイル基の中でもアクリロイル基を有する化合物を用いるのが好ましい。
また、有機溶媒中の水分を除くためにオルト酢酸トリメチル、オルト蟻酸トリメチル等の脱水剤を添加することもできる。
また、本発明における(B)成分のガラス転移温度(Tg)は、−85〜20℃であり、好ましくは−80〜0℃であり、さらに好ましく−70〜−30℃である。Tgを20℃以下とすることにより、得られる硬化物に柔軟性が付与される。また、一般に、ビニル系単量体を主な構造単位とした場合、Tgは−85℃を下回ることはない。本発明では、ガラス転移温度は、示差走査熱量計において検出される吸熱ピークの中間点により測定される。
本組成物は、紫外線、可視光等の活性エネルギー線により硬化させる目的で、光重合開始剤(C)(以下、「C成分」ともいう)を加える必要がある。
(C)成分としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4-(2−ヒドロキシエトキシ)-フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパンー1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチループロピオニル)−ベンジル]−フェニル]−2−メチルプロパンー1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタンー1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルーフェニル)−ブタンー1−オン、アデカオプトマーN−1414((株)ADEKA製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパンー1−オン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル]オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O―ベンゾイルオキシム)]及びエタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O―アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;並びに
9−フェニルアクリジン及び1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
これらの化合物は、1種又は2種以上を併用することもできる。
本発明は、前記した(A)、(B)及び(C)の各成分を必須とするものであるが、必要に応じて種々の成分を含有してもよい。以下、その他の成分について説明する。
(1)有機溶剤
本発明の組成物は、有機溶剤を含有しない無溶剤系であってもよいし、または、塗工性を改善する等の目的で、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、(B)成分の製造に関連して上記した有機溶剤を使用できる。
有機溶剤の使用割合としては、適宜設定すれば良いが、組成物中に10〜90質量%が
好ましく、より好ましくは30〜80質量%である。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、より高い柔軟性を付与するために片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー(B)に該当しない可塑剤を併用することができる。
可塑剤としてはジオクチルフタレート(DOP)のようなフタル酸エステル化合物の他、重合性官能基を持たない(メタ)アクリル系共重合体、片末端に(メタ)アクリロイル基以外の重合性官能基を有する(メタ)アクリル系共重合体等が用いられる。一般に、重合性官能基を持たない可塑剤は経時で硬化物からブリードアウトが起きやすいが、本発明では、硬化組成物中に(B)成分が含まれていることによりブリードがある程度抑制される。
(メタ)アクリロイル基以外の重合性官能基を有する可塑剤を併用する場合、その使用量は(A)成分及び(B)成分の合計を100質量部としたときに、10質量部以下とすることが好ましい。(メタ)アクリロイル基以外の重合性官能基を有する可塑剤を10質量部以上用いると、硬化性の低下が起こる。
前記以外に、本発明の組成物には重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤、表面調整剤、密着性付与剤、レオロジーコントロール剤、ワックス、無機フィラー、有機フィラー等を添加することができる。
2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等のトリアジン化合物;
2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4'−メチルベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、4、4'−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、又は2、2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物等を挙げることができる。
<製造例1>
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器、窒素ガス導入管および温度計を備えたガラス製フラスコに、ビニル単量体としてアクリル酸ブチル(以下、「BA」という)100部、連鎖移動剤として2−メルカプトエタノール酸1.3部、及び重合溶剤として酢酸ブチル(以下、「BAC」という)80部を仕込み、窒素気流下で90℃に加熱攪拌した。別容器にてBAC20部に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(日本ファインケム製、商品名「ABN−E」)0.5部を添加、溶解して重合開始剤溶液を調整し、フラスコ内溶液を90℃に保ったままこの重合開始剤溶液を3時間かけてフラスコへ滴下した。さらに3時間加熱攪拌を継続することにより重合を完結させ、片末端に水酸基を有する重合体を得た。
窒素気流を空気バブリングに切り替えて、引き続き同じフラスコ内にメトキシフェノール0.02部、ジオクチルスズジラウレート(日東化成製、商品名「ネオスタンU−810」)0.01部、変性剤として2−イソシアナトエチルアクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズAOI」)2.3部を加えて90℃で3時間加熱した後に室温まで冷却し、片末端にアクリロイル基を有するマクロモノマーB1のBAC溶液を得た。
この溶液を圧力3kPaの減圧下で100℃に加熱することでBACを除去し、高粘度液状物としてマクロモノマーB1を得た。
得られたマクロモノマーB1の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)=11,500であった。また、このマクロモノマーB1のTgは−55℃であった。
単量体、連鎖移動剤および変性剤を表1に示す通り用いた以外は製造例1と同様の操作を行い、マクロモノマーB2〜B9を得た。
得られたマクロモノマーB2〜B9の物性値について表1に示す。
単量体、連鎖移動剤および変性剤を表1に示す通り用い、さらに、重合終了後、ジオクチルスズジラウレート0.01部をテトラブチルアンモニウムブロミド1.0部に置き換え、110℃で8時間反応させた以外は製造例1と同様の操作を行い、マクロモノマーB10を得た。
得られたマクロモノマーB10の物性値について表1に示す。
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器、窒素ガス導入管および温度計を備えたガラス製フラスコに、ビニル単量体としてBA100部、連鎖移動剤として2−メルカプトエタノール1.3部、及び重合溶剤としてBAC80部を仕込み、窒素気流下で90℃に加熱攪拌した。別容器にてBAC20部に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(日本ファインケム製、商品名「ABN−E」)0.5部を添加、溶解して重合開始剤溶液を調整し、フラスコ内溶液を90℃に保ったままこの重合開始剤溶液を3時間かけてフラスコへ滴下した。さらに3時間加熱攪拌を継続することにより重合を完結させ、片末端に水酸基を有する重合体C1のBAC溶液を得た。
この溶液を圧力3kPaの減圧下で100℃に加熱することでBACを除去し、高粘度液状物として重合体C1を得た。
得られた重合体C1の物性値について表2に示す。
単量体および連鎖移動剤を表2に示す通り用いた以外は比較製造例1と同様の操作を行い、重合体C2を得た。
得られた重合体C2の物性値について表2に示す。
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器、窒素ガス導入管および温度計を備えたガラス製フラスコに、ビニル単量体としてBA90部、メタクリル酸グリシジル10部、連鎖移動剤として2−メルカプトエタノール1.3部、及び重合溶剤としてBAC80部を仕込み、窒素気流下で90℃に加熱攪拌した。別容器にてBAC20部に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(日本ファインケム製、商品名「ABN−E」)0.5部を添加、溶解して重合開始剤溶液を調整し、フラスコ内溶液を90℃に保ったままこの重合開始剤溶液を3時間かけてフラスコへ滴下した。さらに3時間加熱攪拌を継続することにより重合を完結させ、片末端に水酸基を有する重合体のBAC溶液を得た。
窒素気流を空気バブリングに切り替えて、引き続き同じフラスコ内にメトキシフェノール0.02部、テトラブチルアンモニウムブロミド1.0部、変性剤としてアクリル酸5.1部を加えて110℃で3時間加熱した後に室温まで冷却し、分子内に複数のメタクリロイル基を有する重合体C3のBAC溶液を得た。
この溶液を圧力3kPaの減圧下で100℃に加熱することでBACを除去し、高粘度液状物として重合体C3を得た。
得られた重合体C3の物性値について表2に示す。
単量体、連鎖移動剤および変性剤を表2に示す通り用いた以外は比較製造例3と同様の操作を行い、重合体C4を得た。
得られた重合体C4の物性値について表2に示す。
単量体、連鎖移動剤および変性剤を表2に示す通り用いた以外は製造例1と同様の操作を行い、重合体C5及びC6を得た。
得られた重合体C5及びC6の物性値について表2に示す。
オイルジャケットを備えた容量1,000mLの加圧式攪拌槽型反応器のジャケット温度を248℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、BA100部、重合溶媒として、イソプロピルアルコール4.2部、メチルエチルケトン12.2部、重合開始剤としてジt−ブチルパーオキサイド1.0部からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケット温度を制御することにより、反応器の内温を239〜241℃に保持した。反応器内温が安定してから36分後の時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して、未反応モノマー等の揮発成分を除去し、片末端にビニリデン型不飽和結合を有する重合体C7を得た。
得られた重合体C7の物性値について表2に示す。
BA:アクリル酸n−ブチル
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
C−1:アクリル酸2−メトキシエチル(東亞合成製「アクリックスC−1」)
MMA:メタクリル酸メチル
GMA:メタクリル酸グリシジル
MPA:3−メルカプトプロピオン酸
MTG:2−メルカプトエタノール
MOI:メタクリル酸2−イソシアナトエチル(昭和電工製「カレンズMOI」)
AOI:アクリル酸2−イソシアナトエチル(昭和電工製「カレンズAOI」)
AA:アクリル酸
(A)成分、(B)成分及び光開始剤(C)、及びその他成分を表3に示す割合で配合し、均一に混合することにより、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。得られた各組成物について、以下に記載する評価方法により各種性能を評価した。
アプリケーターを用いて、各組成物をガラス板に膜厚が50μmになるように塗布した。その後、紫外線照射装置(ECS−401GX、アイグラフィックス(株)製)を用いて、以下の条件により紫外線を照射した。紫外線を1回照射するごとに指触により塗膜表面を観察し、指に液状物が付着しなくなった照射回数(パス回数)により、硬化性を評価した。
紫外線照射条件:
80W/cm集光型高圧水銀灯
ランプ高さ10cm
コンベアスピードは、1パス当たりの照射量が100mJ/cm2になるように調節。
硬化後の塗膜を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。
○:外観上透明である
△:僅かな白濁が観察される
×:明らかな白濁が観察される
アプリケーターを用いて、各組成物を幅300mm×長さ300mmの東レ(株)製フィルム「ルミラー50−T60」(表面未処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ50μm、以下「ルミラー」という)に膜厚が50μmになるように塗布した。 次いで、前記紫外線照射装置を用いて、積算光量が3000mJ/cm2となるように塗布面に紫外線を照射した。その後、ルミラーから硬化物を剥がし、15mm×150mmのサンプルを切り出した。このサンプルを、引張試験機((株)島津製作所製オートグラフAGS−J)を用いて、引張速度:50mm/分の条件で引張試験を行い、破断強度を求めた。
バーコーターを用いて、各組成物を易接着PETフィルム(コスモシャインA4300、膜厚:100μm、東洋紡(株)製)に膜厚が10μmになるように塗布した。次いで、前記紫外線照射装置を用いて、積算光量が3000mJ/cm2となるように塗布面に紫外線を照射した。その後、100mm×50mmの大きさに切り出し、JIS K5600−5−1に従って耐屈曲性試験を実施した。屈曲させた時に、割れまたは剥がれが生じた時の円筒の直径により柔軟性を評価した。
硬化後の塗膜を60℃の乾燥機中で1ヶ月保管した後に取り出し、硬化物表面を以下の基準に従って評価した。
○:加熱前と変化がない
△:塗膜表面にわずかに液状物が浮き出している
×:塗膜表面に明らかに液状物が浮き出し、タックがある
××:塗膜表面がほぼ完全に液状物で覆われている
硬化後の塗膜を60℃の乾燥機中で1ヶ月保管した後に取り出し、硬化物を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。なお、表面にブリード成分があったサンプルに関しては、これをふき取った後に評価した。
○:着色が観察されない
△:僅かに着色がある
×:明らかな着色がある
M−211B:ビスフェノールAのエチレンオキシド変性ジアクリレート(東亞合成製、商品名「アロニックス M−211B」)
Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(BASF製、商品名「Irgacure184」)
DOP:ジオクチルフタレート
また、(B)成分として末端にメタクリロイル基を有するマクロモノマーを用いた実施例8及び9に比較して、末端にアクリロイル基を有するマクロモノマーを用いた他の実施例の方が、その硬化性が良好であった。
比較例3及び4は、末端ではなく、主鎖途中にアクリロイル基を有する重合体を配合した組成物の実験例であるが、硬化物の柔軟性に劣る結果となった。Tgの高い(B)成分を用いた比較例5及び6も同様であった。
また、末端にビニリデン型重合性不飽和基を有する重合体を用いた比較例7は、その硬化性に劣るものであった。
Claims (4)
- エチレン性不飽和基含有化合物(A)、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含み、
前記(A)は、多官能(メタ)アクリレートを含み、且つ、前記(B)を含まないものであり、
前記多官能(メタ)アクリレートは、ポリオールポリ(メタ)アクリレート、当該ポリオールポリ(メタ)アクリレートの原料アルコールのアルキレンオキサイド付加物又はカプロラクトン変性物のポリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性イソシアヌル酸のポリ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含み、
前記(B)のガラス転移温度が−85〜0℃であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。 - 前記(A)及び(B)の合計を100質量部としたときに、前記(A)を30〜90質量部、前記(B)を10〜70質量部含むことを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
- 前記(B)の重量平均分子量が、5,000〜20,000であることを特徴とする請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
- 前記(B)の末端重合性官能基がアクリロイル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013156224A JP6343883B2 (ja) | 2013-07-29 | 2013-07-29 | 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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