JP2016094499A - ビニル系重合体及びその製造方法、並びに、硬化性組成物 - Google Patents

ビニル系重合体及びその製造方法、並びに、硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】極めて低酸価であって使用に際する腐食の懸念が回避され、組成物として良好な均一性を示し、得られる塗膜等の耐着色性にも優れる低分子量ビニル系重合体及びその製造方法を提供する【解決手段】重量平均分子量が500〜7000、且つ、酸価が0.3mgKOH/g以下であるビニル系重合体であって、前記ビニル系重合体を製造する際の連鎖移動剤使用量が、前記ビニル系重合体を構成するビニル系単量体100質量部に対し、1質量部以下であるビニル系重合体。【選択図】なし

Description

本発明は、ビニル系重合体及びその製造方法、並びに、硬化性組成物に関する。詳しくは、低酸価かつ低分子量のビニル系重合体及びその製造方法、並びに、該ビニル系重合体を含む活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
ビニル系重合体、取分け、(メタ)アクリル酸エステル単量体を主な構成単位とする(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、エステル基に結合する置換基を選択することにより種々の機能を付与することができるため、塗料、粘着剤、接着剤、シーリング剤、並びに、可塑剤及び流動性改質剤等の添加剤等として、産業界において幅広く用いられている。
ところが、例えば粘接着等の用途においては、使用するビニル系重合体が酸基を有している際には、金属部材等に接触するような使用をすることにより腐食又は錆を発生させるという問題が生じるときがある。
このような状況の下、分子量が高く、粘接着剤として用いられるビニル系重合体として、酸の含有量の低いアクリル系ポリマーが提案されている(特許文献1及び2)。これらは、アクリル系ポリマーを構成する単量体成分中にカルボキシル基含有単量体を実質的に含まないようにすることにより、金属に対する耐腐食性に優れたものとするものである。
一方、ビニル系重合体を含む組成物も一般に広く使用されている。ビニル系重合体を組成物の配合原料として用いる場合、組成物の均一性及び取扱い性等の観点から、比較的分子量の低いビニル系重合体が使用されるのが一般的である。
低分子量のビニル系重合体に関して、特許文献3には、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする重合性単量体の重合物であり、重量平均分子量が50000以下であって、ガラス転移点が20℃未満である低分子量ポリマーが記載されている。特許文献3の製造例2では、アクリル酸ブチル及びアクリル酸メトキシエチルからなる単量体成分を重合して得た重量平均分子量7000の低分子量ポリマーが開示されている。また、特許文献4には、エチルアクリレートを重合させてなる重量平均分子量4800、数平均分子量2800の重合体が開示されている(実施例3)。さらに、特許文献5には、特定の連続重合方法によるマクロモノマーの製造方法が記載され、アクリル酸ブチルからなる重量平均分子量5660、5750の重合体(マクロモノマー)が開示されている(実施例2、比較例2)。
特開2013−18892号公報 特開2010−77287号公報 特開2002−241708号公報 特開2000−128911号公報 特開2002−363203号公報
上記の通り、特許文献1及び2に記載のアクリル系ポリマーは、粘着剤等の主成分として用いられるものであり、その重量平均分子量は数万〜百数十万程度と高く、組成物の配合原料として用いられるような重量平均分子量が数千程度以下の低分子量重合体に関する記載はない。
また、特許文献3及び4に具体的に開示された重合体は、酸基含有単量体を原料として使用することなく得られた、数千程度の重量平均分子量を有するものであるが、いずれも製造時に多量の連鎖移動剤が使用されており、連鎖移動剤に起因する着色、臭気及び腐食等の課題を有するものであった。
特許文献5に具体的に開示された重合体は、製造時に連鎖移動剤を用いておらず、上記の連鎖移動剤に起因する問題は生じない。しかし、これらは215℃の高温下での重合により得られたものである。エステル基を含む重合体をこのような高温下で製造した場合、意図的に酸基含有単量体を原料として使用していなくても、副反応である加水分解により、得られた重合体が少量の酸価を有することから、使用に際して腐食や錆の発生といった問題を有するものであった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、極めて低酸価であることから使用に際する腐食の懸念が回避され、組成物として良好な均一性を示し、得られる塗膜等の耐着色性にも優れる低分子量ビニル系重合体及びその製造方法、並びに、該ビニル系重合体を含む硬化性組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ビニル系重合体製造時の連鎖移動剤使用量を特定量以下とした、低酸価、且つ、低分子量の重合体であれば、均一な組成物が得られ、該組成物から形成される塗膜等の耐着色性も良好になることを見出した。さらに、オルトエステル化合物存在下、高温で重合を行うことにより、本発明のビニル系重合体を効率よく製造し得ることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。
本発明は以下の通りである。
〔1〕重量平均分子量が500〜7000、且つ、酸価が0.3mgKOH/g以下であるビニル系重合体であって、前記ビニル系重合体を製造する際の連鎖移動剤使用量が、前記ビニル系重合体を構成するビニル系単量体100質量部に対し、1質量部以下であるビニル系重合体。
〔2〕前記ビニル系重合体が炭素数1〜8の分岐若しくは直鎖状アルキル基又は炭素数3〜8の脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、並びに、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル誘導体から選ばれる1種以上を構成単量体とする前記〔1〕に記載のビニル系重合体。
Figure 2016094499
(式中、R1は、水素またはメチル基、R2は、炭素数1〜4の分岐又は直鎖状のアルキレン基、R3は、炭素数1〜8の分岐又は直鎖状のアルキル基、nは1〜20の整数を表す。)
〔3〕前記ビニル系重合体が加水分解性シリル基及びシラノール基を含有しないものである前記〔1〕又は〔2〕に記載のビニル系重合体。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のビニル系重合体、エチレン性不飽和基含有化合物及び光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性組成物。
〔5〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のビニル系重合体の製造方法であって、前記ビニル系単量体100質量部に対し、オルトエステル化合物0.5〜80質量部存在下、120〜300℃の温度で重合することを特徴とするビニル系重合体の製造方法。
〔6〕前記オルトエステル化合物が、下記一般式(2)で示されるものであることを特徴とする前記〔5〕に記載のビニル系重合体の製造方法。
4C(OR53 (2)
(式中、R4は、水素または炭素数1〜4のアルキル基、R5は、炭素数1〜4のアルキル基であり、R5は、同一であっても異なっていてもよい。)
〔7〕撹拌槽式連続反応器を使用して、連続重合することを特徴とする前記〔5〕又は〔6〕に記載のビニル系重合体の製造方法。
本発明のビニル系重合体は、低酸価、且つ、低分子量であるために他の重合体等と混合した際には良好な相溶性を示す。このため、均一な組成物が得られるとともに、該組成物から形成される塗膜等の耐着色性に優れる。また、酸価が極めて低いため、金属材料に対して使用した際にも腐食等の懸念がない。
さらに、本発明の製造方法によれば、低酸価、且つ、低分子量のビニル系重合体を効率よく得ることが可能である。
以下、本発明を詳しく説明する。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味する。
<ビニル系重合体>
本発明のビニル系重合体は、ビニル系単量体を構成単量体とし、これを重合することにより得ることができる。ビニル系単量体としては、(メタ)アクリル系単量体を好適に用いることができ、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物、アミド基含有(メタ)アクリル系単量体、アミノ基含有(メタ)アクリル系単量体、及び水酸基含有(メタ)アクリル系単量体等が使用される。これらの内でも、その他の材料との相溶性の観点から、好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物である。
また、上記(メタ)アクリル系単量体以外にも、酢酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン及びスチレン等のその他のビニル系単量体を用いてもよい。
単量体成分全体に占める(メタ)アクリル系単量体の割合は、透明性及び耐候性等の観点から10〜100mol%の範囲であることが好ましく、30〜100mol%の範囲がより好ましく、50〜100mol%の範囲がさらに好ましく、70〜100mol%の範囲であることが最も好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル及び(メタ)アクリル酸ドデシル等の分岐状又は直鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸シクロプロピル、(メタ)アクリル酸シクロブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル及び(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル等の脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、その他の材料との相溶性の観点から、炭素数1〜8の分岐状若しくは直鎖状のアルキル基、又は炭素数3〜8の脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。

Figure 2016094499
(式中、R1は、水素またはメチル基、R2は、炭素数1〜4の分岐又は直鎖状のアルキレン基、R3は、炭素数1〜8の分岐又は直鎖状のアルキル基、nは1〜20の整数を表す。)
一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸ブトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びエトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルカルビトール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
アミド基含有(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリルアミド、tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
アミノ基含有(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート及びN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
水酸基含有(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル及びポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、上記の単量体以外に、架橋性単量体としてラジカル重合性の不飽和基を2個以上有する多官能ビニル系単量体を使用することができる。
多官能ビニル系単量体の具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオール類の多官能(メタ)アクリレート変性体;二官能ウレタン(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミドなどのビスアミド類、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明のビニル系重合体の酸価は、0.3mgKOH/g以下である。酸価が0.3mgKOH/g以下であることにより、金属に対する腐食作用が抑制されるとともに、他の重合体と混合した場合の相溶性も良好となる傾向がある。酸価の好ましい値は0.2mgKOH/g以下であり、より好ましくは0.1mgKOH/g以下である。尚、酸価はJIS K0070−1992に記載の中和滴定法に準じて測定することができる。
ここで、構成単量体として酸基を有する単量体又は加水分解性シリル基を有する単量体を使用した場合、得られるビニル系重合体の酸価の増加を招くこととなる。よって、本発明では、ビニル重合体の酸価を上記の範囲とするために構成単量体としてカルボキシル基及びスルホン酸基等の酸基を有する単量体を使用しないことが好ましい。これらに該当する具体的な単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸及びマレイン酸等のカルボキシル基含有ビニル系単量体、並びに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びスチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル系単量体などを挙げることができる。
また、構成単量体として加水分解性シリル基を有する単量体を使用した場合にも、得られるビニル系重合体の酸価が増加する。加水分解性シリル基含有単量体を構成単量体として用いた場合には、得られる重合体に加水分解性シリル基が導入され、これに起因するシラノール基が生じ得る。シラノール基は弱酸性を呈する官能基であり、ビニル重合体の酸価を増加させる一因となる。このため、本発明では、ビニル重合体が加水分解性シリル基及びシラノール基を有さないよう、構成単量体として加水分解性シリル基含有単量体を使用しないことが好ましい。
加水分解性シリル基とは、上記の通り加水分解反応によりシラノール基を生成する官能基であり、上記加水分解性シリル基含有単量体とは、加水分解性シリル基を1個以上有するビニル系単量体が該当する。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランンなどのビニルシラン類;アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピルなどの加水分解性シリル基含有アクリル酸エステル類;メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル、メタクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル、メタクリル酸ジメチルメトキシシリルプロピルなどの加水分解性シリル基含有メタクリル酸エステル類;トリメトキシシリルプロピルビニルエーテルなどの加水分解性シリル基含有ビニルエーテル類;トリメトキシシリルウンデカン酸ビニルなどの加水分解性シリル基含有ビニルエステル類などを挙げることができる。
ビニル系重合体の重量平均分子量は500〜7000であり、好ましくは800〜6000であり、より好ましくは900〜5000である。分子量が7000を超えると相溶性が不十分となる場合があり、配合した際に組成物が不均一となることがある。一方、分子量が500未満の場合はブリードアウトし易くなる点で好ましくない。尚、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定し、ポリスチレン換算の値として示される。
本発明では、上記の重量平均分子量を調整するために連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては公知の各種メルカプタン化合物を使用することができる。メルカプタン化合物の具体例としては、エチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等の水酸基含有メルカプタン等が挙げられる。
本発明では、ビニル系重合体の製造において、ビニル系重合体を構成するビニル系単量体100質量部に対する連鎖移動剤の使用量は、1質量部以下であることが必要である。連鎖移動剤の使用量が1質量部を超える場合、これに起因する着色、臭気及び腐食等の問題を生じる場合がある。
ビニル系重合体の常温における状態は、液状又は固形状のいずれでも構わないが、他の成分と配合して組成物とする際の取り扱いが容易である点から液状であることが好ましい。液状である場合、その粘度については特に制限されないが、作業性の観点から、25℃における粘度が50000mPa・s以下であることが好ましく、30000mPa・s以下であることがより好ましい。
<活性エネルギー線硬化性組成物>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、本発明のビニル系重合体、エチレン性不飽和基含有化合物及び光重合開始剤を含む。エチレン性不飽和基含有化合物としては、本発明のビニル系重合体の構成単量体として記載したビニル系単量体を使用することができる。すなわち、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物、アミド基含有(メタ)アクリル系単量体、アミノ基含有(メタ)アクリル系単量体及び水酸基含有(メタ)アクリル系単量体等の(メタ)アクリル系単量体;酢酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン及びスチレン等のビニル系単量体;多官能ビニル系単量体等を使用することができる。エチレン性不飽和基含有化合物としては、上記の内でも(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物及び多官能ビニル系単量体が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物では、ビニル系重合体及びエチレン性不飽和基含有化合物の割合は、各々の質量を基準にして1/99〜99/1が好ましい。より好ましくは10/90〜90/10であり、さらに好ましくは20/80〜80/20である。
活性エネルギー線硬化性組成物中に占めるビニル系重合体及びエチレン性不飽和基含有化合物の総量は、10〜99.99質量%が好ましい。より好ましくは30〜99質量%であり、さらに好ましくは50〜95質量%であり、最も好ましくは70〜90質量%である。
本組成物は、紫外線、可視光等の活性エネルギー線により硬化させる目的で、光重合開始剤を加える必要がある。
光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4-(2−ヒドロキシエトキシ)-フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパンー1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチループロピオニル)−ベンジル]−フェニル]−2−メチルプロパンー1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタンー1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルーフェニル)−ブタンー1−オン、アデカオプトマーN−1414((株)ADEKA製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパンー1−オン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル]オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O―ベンゾイルオキシム)]及びエタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O―アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;並びに
9−フェニルアクリジン及び1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
これらの化合物は、1種又は2種以上を併用することもできる。
光重合開始剤の配合割合としては、ビニル系重合体及びエチレン性不飽和基含有化合物の合計量100質量部に対して、0.01〜10質量部となることが好ましい。光重合開始剤の配合割合を0.01質量部以上とすることにより、適量な紫外線又は可視光線量で組成物を硬化させることができ生産性を向上させることができ、一方10質量部以下とすることで、硬化物の耐候性や透明性に優れたものとすることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、前記した成分以外にも必要に応じて種々の成分を含有してもよい。以下、その他の成分について説明する。
(1)有機溶剤
本発明の組成物は、有機溶剤を含有しない無溶剤系であってもよいし、または、塗工性を改善する等の目的で、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、重合体(B)の製造に関連して上記した有機溶剤を使用できる。
有機溶剤の使用割合としては、適宜設定すれば良いが、組成物中に10〜90質量%が
好ましく、より好ましくは30〜80質量%である。
(2)その他の成分
前記以外に、本発明の組成物には重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤、表面調整剤、密着性付与剤、レオロジーコントロール剤、ワックス、無機フィラー、有機フィラー等を添加することができる。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、並びに種々のフェノール系酸化防止剤が好ましいが、イオウ系二次酸化防止剤、リン系二次酸化防止剤等を添加することもできる。
紫外線吸収剤としては、2−(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物;
2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等のトリアジン化合物;
2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4'−メチルベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、4、4'−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、又は2、2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物等を挙げることができる。
光安定性剤としては、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N′−ジホルミルヘキサメチレンジアミン、ビス(1,2,6,6−)ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、等の低分子量ヒンダードアミン化合物;N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N′−ジホルミルヘキサメチレンジアミン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート等の高分子量ヒンダードアミン化合物等のヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。
本発明の組成物は、前述の原料を、常温または加熱下で、従来公知の方法により混合することにより得られる。組成物の粘度には、特に制限はないが、25℃において、200〜20,000mPasとなることが好ましい。粘度がこの範囲になることにより、平滑な塗工が可能になる。
<ビニル系重合体の製造方法>
次に、本発明のビニル系重合体の製造方法について説明する。本発明のビニル系重合体は、溶液重合、塊状重合、分散重合等の公知の重合方法により得ることができる。容易に分子量が制御できるという観点より、溶液重合または塊状重合が好ましい。重合温度としては、120℃〜300℃が好ましい。この範囲の温度で重合することにより、連鎖移動剤の使用量が少量であっても分子量の低いビニル系重合体を得やすくなるとともに、後述するオルトエステル化合物による脱水が効果的に進行する。より好ましくは、150〜290℃であり、さらに好ましくは、180〜270℃である。反応プロセスとしては、バッチ式、セミバッチ式、連続重合のいずれでもよいが、生成する重合体の組成および分子量の均一性の点で、連続重合が好ましい。
高温連続重合法としては、特開昭57−502171号公報、特開昭59−6207号公報および特開昭60−215007号公報等に開示された公知の方法に従えば良い。
例えば、加圧可能な反応器に、加圧下で所定温度に設定した後、各単量体および必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応器へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法が挙げられる。反応器としては特別の制約はなく公知の反応器を使用することができるが、組成の均一な重合体を得やすい点から攪拌槽式連続反応器が好ましい。
圧力は、反応温度と使用する単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、反応に影
響を及ぼさないが、前記反応温度を維持できる圧力であればよい。
単量体混合物の滞留時間は、1〜60分であることが好ましい。滞留時間が1分に満たない場合は単量体が充分に反応しない恐れがあり、未反応単量体が60分を越える場合は、生産性が悪くなってしまうことがある。好ましい滞留時間は2〜40分である。
また、単量体混合物には、必要に応じて重合開始剤を配合することもできる。重合開始剤の例としては、所定の反応温度でラジカルを発生する開始剤であれば何でもよい。具体的には、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)などのアゾ系化合物が挙げられる。
重合開始剤を配合する場合の配合量としては、単量体混合物100質量部に対して0.001〜3質量部であることが好ましい。
上記の通り、ビニル系重合体の製造は、有機溶媒中で行う溶液重合、又は無溶剤で行う塊状重合の何れかを採用することが好ましい。この中でも、塊状重合が好ましいが、有機溶媒を用いる場合は、有機炭化水素系化合物が適当であり、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が例示され、これらの1種または2種以上を用いることができる。得られるビニル系重合体を十分に溶解しない溶剤では、反応器の壁にスケールが成長しやすく洗浄工程等で生産上の問題がおきやすい。好ましい溶剤としては、連鎖移動能があり分子量制御がしやすいという点で、イソプロピルアルコール等の2級アルコール、メチルエチルケトンが好ましく、最も好ましいのはイソプロピルアルコール等の2級アルコールである。尚、これらは混合して用いてもよい。
溶媒の使用量は、全構造単量体100質量部に対して、80質量部以下とすることが好ましい。80質量部以下とすることにより、短時間で高い転化率が得られる。より好ましくは、1〜50質量部である。
本発明の製造方法は、オルトエステル化合物の存在下で重合反応を行うことが好ましい。重合反応によりビニル系重合体を製造する際には、反応系に存在する水分等の影響により(メタ)アクリル酸エステル化合物又はビニル系重合体に導入されたエステル部分の加水分解が生じ、カルボキシル基が生成する場合がある。このような場合には、結果として得られるビニル系重合体の酸価が増大することとなる。オルトエステル化合物の存在下で重合反応を行うことにより、上記の加水分解に起因する酸価の上昇を抑制することができる。これは、オルトエステル化合物が水と反応し、反応系中の水分濃度を低減させる作用を有すること起因するものと考えられる。
オルトエステル化合物としては、水と反応してエステル結合を生成する化合物であれば特に制限はないが、好ましくは一般式(2)で表される化合物である。
4C(OR53 (2)
(式中、R4は、水素または炭素数1〜4のアルキル基、R5は、炭素数1〜4のアルキル基であり、R5は、同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルトギ酸トリイソプロピル、オルトギ酸トリn−プロピル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリイソプロピル、オルト酢酸トリn−プロピル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルトプロピオン酸トリイソプロピル、オルトプロピオン酸トリn−プロピル、オルトブタン酸トリメチル、オルトブタン酸トリエチル、オルトブタン酸トリイソプロピル、オルトブタン酸トリn−プロピル、オルトイソブタン酸トリメチル等が挙げられる。これらの内でも、オルトギ酸トリメチル、オルト酢酸トリメチルが脱水反応性の高さから好ましい。
オルトエステル化合物の使用量は、ビニル系重合体を構成するビニル系単量体100質量部に対し、0.5〜80質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜50質量部である。オルトエステル化合物を0.5質量部以上使用することにより、加水分解を抑制し、ビニル系重合体の酸価を低減する効果が得られる。また、80質量部以下であれば、重合時の単量体濃度の低下による重合速度の低下、及び重合反応時間の増加という弊害を回避することができる。
本発明の製造方法では、上記オルトエステル化合物と上記有機溶媒とを併用して用いてもよい。この場合、オルトエステル化合物と有機溶媒の総量は、ビニル系重合体の全構造単量体100質量部に対して、80質量部以下とすることが短時間で高い転化率が得られる点で好ましい。より好ましくは、1〜50質量部である。
本発明の製造方法では、ビニル系単量体、オルトエステル化合物、オルトエステル化合物以外の有機溶剤は、反応器に供給される前に、モレキュラーシーブ等の脱水剤により脱水処理されてもよい。
反応器から抜き出された反応液は、そのまま次の工程に進むか、あるいは蒸留等により未反応単量体、溶剤、および低分子量オリゴマー等の揮発性成分を留去することによって重合体を単離することができる。反応液から留去した未反応単量体、溶剤、および低分子量オリゴマーなどの揮発性成分の一部を原料タンクに戻すかまたは直接反応器に戻し、再度重合反応に利用することもできる。
このように未反応単量体および溶剤をリサイクルする方法は経済性の面から好ましい方法である。リサイクルする場合には、反応器内で望ましい単量体比と望ましい溶剤量を維持するように新たに供給する単量体混合物の混合比を決定する必要がある。
上記のようにして得られるビニル系重合体は、塗料、粘着剤、接着剤及びシーリング剤等の添加剤等として各種重合体等へ添加することができる。また、その際、必要に応じて、架橋剤、可塑剤、充填剤、硬化触媒、安定剤、酸化防止剤及び乳化剤等のその他の添加剤を配合してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。尚、以下において「部」及び「%」は、特に断らない限り質量部及び質量%を意味する。
<実施例1>
オイルジャケットを備えた容量1,000mLの加圧式攪拌槽型反応器のジャケット温度を239℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、アクリル酸n−ブチル(100部)、重合溶媒として、イソプロピルアルコール(4.2部)、メチルエチルケトン(12.2部)、オルト酢酸トリエチル(3.0部)、重合開始剤としてジt−ブチルパーオキサイド(1.0部)からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケット温度を制御することにより、反応器の内温(重合温度)を232±1℃に保持した。反応器内温が安定してから36分後の時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して、未反応モノマー等の揮発成分を除去し、ビニル系重合体A1を得た。GPCを測定した結果、ポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」という)が4,000であり、25℃におけるE型粘度が、2,200mPa・s、JIS K0070に記載の方法に準じて測定した酸価が、0.03mgKOH/gであった。
<実施例2〜10、比較例1〜3>
供給組成、及び内温を表1のように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ビニル系重合体A2〜A10及びビニル系重合体C1〜C3を得た。得られた各重合体の物性を表2に示す。
Figure 2016094499
表1において用いた化合物の詳細を以下に示す。
BA:アクリル酸ブチル
EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
MMA:メタクリル酸メチル
MEA:アクリル酸2−メトキシエチル
M−120:アクリル酸2−エチルヘキシルカルビトール(東亞合成社製、商品名:アロニックスM−120)
LA:アクリル酸ラウリル
DM:n−ドデシルメルカプタン
MOA:オルト酢酸トリメチル
OFM:オルトギ酸トリメチル
EOA:オルト酢酸トリエチル
IPA:イソプロピルアルコール
MEK:メチルエチルケトン
DTBP:ジt−ブチルパーオキサイド
(尚、「アロニックス」は、東亞合成株式会社の登録商標である。)
<実施例11〜20、比較例4〜5>
ビニル系重合体、エチレン性不飽和基含有化合物及び光重合開始剤を、表2に示す配合で配合した後、東レ(株)製フィルム「ルミラー50−T60」(表面未処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ50μm、以下「ルミラー」という)に膜厚が50μmになるように、アプリケータを用いて塗布した。
次いで、紫外線照射装置(ECS−401GX、アイグラフィックス(株)製)を用いて、積算光量が2000mJ/cm2となるように塗布面に紫外線を照射した。
紫外線照射条件:
80W/cm集光型高圧水銀灯
ランプ高さ10cm
コンベアスピードは、1パス当たりの照射量が500mJ/cm2になるように調節。
(ヘイズの測定)
得られた硬化物について、支持フィルムである「ルミラー」が付いた状態で、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製NDH2000)を用いて、ヘイズを評価した。結果を表2に示す。
(耐着色性の評価)
得られた硬化物のうち、外観が透明であったものについて、支持フィルムである「ルミラー」が付いた状態で、紫外線フェードメーター(スガ試験機(株)製紫外線ロングライフフェードメーターFAL−5H型)で500時間処理(耐光性試験)した前後でのイエローインデックス(以下、「YI」という)の変化(ΔYI)で耐着色性の評価を行った。
尚、YIは、分光色差計(日本電色工業(株)製SE6000)を用いて実施した。結果を表2に示す。
Figure 2016094499
表2において用いた化合物の詳細を以下に示す。
M−1200:二官能ウレタンアクリレート(東亞合成社製、商品名:アロニックスM−1200)
M−402:ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(東亞合成社製、商品名:アロニックスM−402)
Irgacure184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、商品名:Irgacure184)
(尚、「アロニックス」は、東亞合成株式会社の登録商標である。)
実施例1〜10で得られたビニル系重合体A1〜A10は本発明によるビニル系重合体の具体例である。これらは酸基を有する化合物を構成単量体として使用しておらず、また、オルトエステル化合物を使用して高温で重合されているためにカルボキシル基の副生が抑制され、その酸価は0.02〜0.12mgKOH/gの範囲の極めて低い値となっている。
比較例1は、構成単量体に酸基を有する単量体を含まないものの、重合反応時にオルトエステル化合物を使用していないため、得られたビニル重合体の酸価は実施例に比較して高いものであった。また、比較例2は連鎖移動剤の使用量が1質量部を超えているもの(2質量部)、比較例3は重量平均分子量が本発明で規定する上限である7000を超えているものである。
また、実施例11〜20は本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の具体例である。組成物の均一性に優れるため塗膜のヘイズ値は十分低く、耐光性試験後の耐着色性(ΔYI)も良好である。これに対し、連鎖移動剤の使用量が多いビニル重合体C2を用いた比較例4は耐光性が十分でなく、ΔYIが増加する結果となった。比較例5はビニル系重合体の分子量が高いために均一な組成物が得られず、ヘイズ値が高い結果が得られた。
本発明のビニル系重合体は、低酸価、且つ、低分子量であるために他の重合体等と混合した際には良好な相溶性を示す。このため、均一な組成物が得られるとともに、該組成物から形成される塗膜等の耐着色性に優れる。また、酸価が十分低いため、金属材料に対して使用した際にも腐食等の懸念がない。このため、本発明のビニル系重合体を含む組成物は、塗料、粘着剤、接着剤、シーリング剤、並びに、可塑剤及び流動性改質剤等の用途に広く適用が可能である。

Claims (7)

  1. 重量平均分子量が500〜7000、且つ、酸価が0.3mgKOH/g以下であるビニル系重合体であって、前記ビニル系重合体を製造する際の連鎖移動剤使用量が、前記ビニル系重合体を構成するビニル系単量体100質量部に対し、1質量部以下であるビニル系重合体。
  2. 前記ビニル系重合体が炭素数1〜8の分岐若しくは直鎖状アルキル基又は炭素数3〜8の脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、並びに、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル誘導体から選ばれる1種以上を構成単量体とする請求項1に記載のビニル系重合体。
    Figure 2016094499
    (式中、R1は、水素またはメチル基、R2は、炭素数1〜4の分岐又は直鎖状のアルキレン基、R3は、炭素数1〜8の分岐又は直鎖状のアルキル基、nは1〜20の整数を表す。)
  3. 前記ビニル系重合体が加水分解性シリル基及びシラノール基を含有しないものである請求項1又は2に記載のビニル系重合体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のビニル系重合体、エチレン性不飽和基含有化合物及び光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のビニル系重合体の製造方法であって、前記ビニル系単量体100質量部に対し、オルトエステル化合物0.5〜80質量部存在下、120〜300℃の温度で重合することを特徴とするビニル系重合体の製造方法。
  6. 前記オルトエステル化合物が、下記一般式(2)で示されるものであることを特徴とする請求項4に記載のビニル系重合体の製造方法。
    4C(OR53 (2)
    (式中、R4は、水素または炭素数1〜4のアルキル基、R5は、炭素数1〜4のアルキル基であり、R5は、同一であっても異なっていてもよい。)
  7. 撹拌槽式連続反応器を使用して、連続重合することを特徴とする請求項5又は6に記載のビニル系重合体の製造方法。
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