JP2016094499A - ビニル系重合体及びその製造方法、並びに、硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
このような状況の下、分子量が高く、粘接着剤として用いられるビニル系重合体として、酸の含有量の低いアクリル系ポリマーが提案されている(特許文献1及び2)。これらは、アクリル系ポリマーを構成する単量体成分中にカルボキシル基含有単量体を実質的に含まないようにすることにより、金属に対する耐腐食性に優れたものとするものである。
低分子量のビニル系重合体に関して、特許文献3には、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする重合性単量体の重合物であり、重量平均分子量が50000以下であって、ガラス転移点が20℃未満である低分子量ポリマーが記載されている。特許文献3の製造例2では、アクリル酸ブチル及びアクリル酸メトキシエチルからなる単量体成分を重合して得た重量平均分子量7000の低分子量ポリマーが開示されている。また、特許文献4には、エチルアクリレートを重合させてなる重量平均分子量4800、数平均分子量2800の重合体が開示されている(実施例3)。さらに、特許文献5には、特定の連続重合方法によるマクロモノマーの製造方法が記載され、アクリル酸ブチルからなる重量平均分子量5660、5750の重合体(マクロモノマー)が開示されている(実施例2、比較例2)。
また、特許文献3及び4に具体的に開示された重合体は、酸基含有単量体を原料として使用することなく得られた、数千程度の重量平均分子量を有するものであるが、いずれも製造時に多量の連鎖移動剤が使用されており、連鎖移動剤に起因する着色、臭気及び腐食等の課題を有するものであった。
特許文献5に具体的に開示された重合体は、製造時に連鎖移動剤を用いておらず、上記の連鎖移動剤に起因する問題は生じない。しかし、これらは215℃の高温下での重合により得られたものである。エステル基を含む重合体をこのような高温下で製造した場合、意図的に酸基含有単量体を原料として使用していなくても、副反応である加水分解により、得られた重合体が少量の酸価を有することから、使用に際して腐食や錆の発生といった問題を有するものであった。
〔1〕重量平均分子量が500〜7000、且つ、酸価が0.3mgKOH/g以下であるビニル系重合体であって、前記ビニル系重合体を製造する際の連鎖移動剤使用量が、前記ビニル系重合体を構成するビニル系単量体100質量部に対し、1質量部以下であるビニル系重合体。
〔2〕前記ビニル系重合体が炭素数1〜8の分岐若しくは直鎖状アルキル基又は炭素数3〜8の脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、並びに、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル誘導体から選ばれる1種以上を構成単量体とする前記〔1〕に記載のビニル系重合体。
〔3〕前記ビニル系重合体が加水分解性シリル基及びシラノール基を含有しないものである前記〔1〕又は〔2〕に記載のビニル系重合体。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のビニル系重合体、エチレン性不飽和基含有化合物及び光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性組成物。
〔5〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のビニル系重合体の製造方法であって、前記ビニル系単量体100質量部に対し、オルトエステル化合物0.5〜80質量部存在下、120〜300℃の温度で重合することを特徴とするビニル系重合体の製造方法。
〔6〕前記オルトエステル化合物が、下記一般式(2)で示されるものであることを特徴とする前記〔5〕に記載のビニル系重合体の製造方法。
R4C(OR5)3 (2)
(式中、R4は、水素または炭素数1〜4のアルキル基、R5は、炭素数1〜4のアルキル基であり、R5は、同一であっても異なっていてもよい。)
〔7〕撹拌槽式連続反応器を使用して、連続重合することを特徴とする前記〔5〕又は〔6〕に記載のビニル系重合体の製造方法。
さらに、本発明の製造方法によれば、低酸価、且つ、低分子量のビニル系重合体を効率よく得ることが可能である。
本発明のビニル系重合体は、ビニル系単量体を構成単量体とし、これを重合することにより得ることができる。ビニル系単量体としては、(メタ)アクリル系単量体を好適に用いることができ、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物、アミド基含有(メタ)アクリル系単量体、アミノ基含有(メタ)アクリル系単量体、及び水酸基含有(メタ)アクリル系単量体等が使用される。これらの内でも、その他の材料との相溶性の観点から、好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物である。
また、上記(メタ)アクリル系単量体以外にも、酢酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン及びスチレン等のその他のビニル系単量体を用いてもよい。
単量体成分全体に占める(メタ)アクリル系単量体の割合は、透明性及び耐候性等の観点から10〜100mol%の範囲であることが好ましく、30〜100mol%の範囲がより好ましく、50〜100mol%の範囲がさらに好ましく、70〜100mol%の範囲であることが最も好ましい。
これらの中でも、その他の材料との相溶性の観点から、炭素数1〜8の分岐状若しくは直鎖状のアルキル基、又は炭素数3〜8の脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
多官能ビニル系単量体の具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオール類の多官能(メタ)アクリレート変性体;二官能ウレタン(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミドなどのビスアミド類、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
ここで、構成単量体として酸基を有する単量体又は加水分解性シリル基を有する単量体を使用した場合、得られるビニル系重合体の酸価の増加を招くこととなる。よって、本発明では、ビニル重合体の酸価を上記の範囲とするために構成単量体としてカルボキシル基及びスルホン酸基等の酸基を有する単量体を使用しないことが好ましい。これらに該当する具体的な単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸及びマレイン酸等のカルボキシル基含有ビニル系単量体、並びに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びスチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル系単量体などを挙げることができる。
加水分解性シリル基とは、上記の通り加水分解反応によりシラノール基を生成する官能基であり、上記加水分解性シリル基含有単量体とは、加水分解性シリル基を1個以上有するビニル系単量体が該当する。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランンなどのビニルシラン類;アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピルなどの加水分解性シリル基含有アクリル酸エステル類;メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル、メタクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル、メタクリル酸ジメチルメトキシシリルプロピルなどの加水分解性シリル基含有メタクリル酸エステル類;トリメトキシシリルプロピルビニルエーテルなどの加水分解性シリル基含有ビニルエーテル類;トリメトキシシリルウンデカン酸ビニルなどの加水分解性シリル基含有ビニルエステル類などを挙げることができる。
本発明では、ビニル系重合体の製造において、ビニル系重合体を構成するビニル系単量体100質量部に対する連鎖移動剤の使用量は、1質量部以下であることが必要である。連鎖移動剤の使用量が1質量部を超える場合、これに起因する着色、臭気及び腐食等の問題を生じる場合がある。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、本発明のビニル系重合体、エチレン性不飽和基含有化合物及び光重合開始剤を含む。エチレン性不飽和基含有化合物としては、本発明のビニル系重合体の構成単量体として記載したビニル系単量体を使用することができる。すなわち、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物、アミド基含有(メタ)アクリル系単量体、アミノ基含有(メタ)アクリル系単量体及び水酸基含有(メタ)アクリル系単量体等の(メタ)アクリル系単量体;酢酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン及びスチレン等のビニル系単量体;多官能ビニル系単量体等を使用することができる。エチレン性不飽和基含有化合物としては、上記の内でも(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物及び多官能ビニル系単量体が好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物中に占めるビニル系重合体及びエチレン性不飽和基含有化合物の総量は、10〜99.99質量%が好ましい。より好ましくは30〜99質量%であり、さらに好ましくは50〜95質量%であり、最も好ましくは70〜90質量%である。
光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4-(2−ヒドロキシエトキシ)-フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパンー1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチループロピオニル)−ベンジル]−フェニル]−2−メチルプロパンー1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタンー1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルーフェニル)−ブタンー1−オン、アデカオプトマーN−1414((株)ADEKA製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパンー1−オン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル]オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O―ベンゾイルオキシム)]及びエタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O―アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;並びに
9−フェニルアクリジン及び1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
これらの化合物は、1種又は2種以上を併用することもできる。
(1)有機溶剤
本発明の組成物は、有機溶剤を含有しない無溶剤系であってもよいし、または、塗工性を改善する等の目的で、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、重合体(B)の製造に関連して上記した有機溶剤を使用できる。
有機溶剤の使用割合としては、適宜設定すれば良いが、組成物中に10〜90質量%が
好ましく、より好ましくは30〜80質量%である。
前記以外に、本発明の組成物には重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤、表面調整剤、密着性付与剤、レオロジーコントロール剤、ワックス、無機フィラー、有機フィラー等を添加することができる。
2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等のトリアジン化合物;
2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4'−メチルベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、4、4'−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、又は2、2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物等を挙げることができる。
次に、本発明のビニル系重合体の製造方法について説明する。本発明のビニル系重合体は、溶液重合、塊状重合、分散重合等の公知の重合方法により得ることができる。容易に分子量が制御できるという観点より、溶液重合または塊状重合が好ましい。重合温度としては、120℃〜300℃が好ましい。この範囲の温度で重合することにより、連鎖移動剤の使用量が少量であっても分子量の低いビニル系重合体を得やすくなるとともに、後述するオルトエステル化合物による脱水が効果的に進行する。より好ましくは、150〜290℃であり、さらに好ましくは、180〜270℃である。反応プロセスとしては、バッチ式、セミバッチ式、連続重合のいずれでもよいが、生成する重合体の組成および分子量の均一性の点で、連続重合が好ましい。
例えば、加圧可能な反応器に、加圧下で所定温度に設定した後、各単量体および必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応器へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法が挙げられる。反応器としては特別の制約はなく公知の反応器を使用することができるが、組成の均一な重合体を得やすい点から攪拌槽式連続反応器が好ましい。
圧力は、反応温度と使用する単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、反応に影
響を及ぼさないが、前記反応温度を維持できる圧力であればよい。
単量体混合物の滞留時間は、1〜60分であることが好ましい。滞留時間が1分に満たない場合は単量体が充分に反応しない恐れがあり、未反応単量体が60分を越える場合は、生産性が悪くなってしまうことがある。好ましい滞留時間は2〜40分である。
重合開始剤を配合する場合の配合量としては、単量体混合物100質量部に対して0.001〜3質量部であることが好ましい。
溶媒の使用量は、全構造単量体100質量部に対して、80質量部以下とすることが好ましい。80質量部以下とすることにより、短時間で高い転化率が得られる。より好ましくは、1〜50質量部である。
オルトエステル化合物としては、水と反応してエステル結合を生成する化合物であれば特に制限はないが、好ましくは一般式(2)で表される化合物である。
R4C(OR5)3 (2)
(式中、R4は、水素または炭素数1〜4のアルキル基、R5は、炭素数1〜4のアルキル基であり、R5は、同一であっても異なっていてもよい。)
本発明の製造方法では、上記オルトエステル化合物と上記有機溶媒とを併用して用いてもよい。この場合、オルトエステル化合物と有機溶媒の総量は、ビニル系重合体の全構造単量体100質量部に対して、80質量部以下とすることが短時間で高い転化率が得られる点で好ましい。より好ましくは、1〜50質量部である。
このように未反応単量体および溶剤をリサイクルする方法は経済性の面から好ましい方法である。リサイクルする場合には、反応器内で望ましい単量体比と望ましい溶剤量を維持するように新たに供給する単量体混合物の混合比を決定する必要がある。
オイルジャケットを備えた容量1,000mLの加圧式攪拌槽型反応器のジャケット温度を239℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、アクリル酸n−ブチル(100部)、重合溶媒として、イソプロピルアルコール(4.2部)、メチルエチルケトン(12.2部)、オルト酢酸トリエチル(3.0部)、重合開始剤としてジt−ブチルパーオキサイド(1.0部)からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケット温度を制御することにより、反応器の内温(重合温度)を232±1℃に保持した。反応器内温が安定してから36分後の時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して、未反応モノマー等の揮発成分を除去し、ビニル系重合体A1を得た。GPCを測定した結果、ポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」という)が4,000であり、25℃におけるE型粘度が、2,200mPa・s、JIS K0070に記載の方法に準じて測定した酸価が、0.03mgKOH/gであった。
供給組成、及び内温を表1のように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ビニル系重合体A2〜A10及びビニル系重合体C1〜C3を得た。得られた各重合体の物性を表2に示す。
BA:アクリル酸ブチル
EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
MMA:メタクリル酸メチル
MEA:アクリル酸2−メトキシエチル
M−120:アクリル酸2−エチルヘキシルカルビトール(東亞合成社製、商品名:アロニックスM−120)
LA:アクリル酸ラウリル
DM:n−ドデシルメルカプタン
MOA:オルト酢酸トリメチル
OFM:オルトギ酸トリメチル
EOA:オルト酢酸トリエチル
IPA:イソプロピルアルコール
MEK:メチルエチルケトン
DTBP:ジt−ブチルパーオキサイド
(尚、「アロニックス」は、東亞合成株式会社の登録商標である。)
ビニル系重合体、エチレン性不飽和基含有化合物及び光重合開始剤を、表2に示す配合で配合した後、東レ(株)製フィルム「ルミラー50−T60」(表面未処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ50μm、以下「ルミラー」という)に膜厚が50μmになるように、アプリケータを用いて塗布した。
次いで、紫外線照射装置(ECS−401GX、アイグラフィックス(株)製)を用いて、積算光量が2000mJ/cm2となるように塗布面に紫外線を照射した。
紫外線照射条件:
80W/cm集光型高圧水銀灯
ランプ高さ10cm
コンベアスピードは、1パス当たりの照射量が500mJ/cm2になるように調節。
得られた硬化物について、支持フィルムである「ルミラー」が付いた状態で、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製NDH2000)を用いて、ヘイズを評価した。結果を表2に示す。
得られた硬化物のうち、外観が透明であったものについて、支持フィルムである「ルミラー」が付いた状態で、紫外線フェードメーター(スガ試験機(株)製紫外線ロングライフフェードメーターFAL−5H型)で500時間処理(耐光性試験)した前後でのイエローインデックス(以下、「YI」という)の変化(ΔYI)で耐着色性の評価を行った。
尚、YIは、分光色差計(日本電色工業(株)製SE6000)を用いて実施した。結果を表2に示す。
M−1200:二官能ウレタンアクリレート(東亞合成社製、商品名:アロニックスM−1200)
M−402:ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(東亞合成社製、商品名:アロニックスM−402)
Irgacure184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、商品名:Irgacure184)
(尚、「アロニックス」は、東亞合成株式会社の登録商標である。)
比較例1は、構成単量体に酸基を有する単量体を含まないものの、重合反応時にオルトエステル化合物を使用していないため、得られたビニル重合体の酸価は実施例に比較して高いものであった。また、比較例2は連鎖移動剤の使用量が1質量部を超えているもの(2質量部)、比較例3は重量平均分子量が本発明で規定する上限である7000を超えているものである。
Claims (7)
- 重量平均分子量が500〜7000、且つ、酸価が0.3mgKOH/g以下であるビニル系重合体であって、前記ビニル系重合体を製造する際の連鎖移動剤使用量が、前記ビニル系重合体を構成するビニル系単量体100質量部に対し、1質量部以下であるビニル系重合体。
- 前記ビニル系重合体が加水分解性シリル基及びシラノール基を含有しないものである請求項1又は2に記載のビニル系重合体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のビニル系重合体、エチレン性不飽和基含有化合物及び光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のビニル系重合体の製造方法であって、前記ビニル系単量体100質量部に対し、オルトエステル化合物0.5〜80質量部存在下、120〜300℃の温度で重合することを特徴とするビニル系重合体の製造方法。
- 前記オルトエステル化合物が、下記一般式(2)で示されるものであることを特徴とする請求項4に記載のビニル系重合体の製造方法。
R4C(OR5)3 (2)
(式中、R4は、水素または炭素数1〜4のアルキル基、R5は、炭素数1〜4のアルキル基であり、R5は、同一であっても異なっていてもよい。) - 撹拌槽式連続反応器を使用して、連続重合することを特徴とする請求項5又は6に記載のビニル系重合体の製造方法。
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