JP2022086816A - 活性エネルギー線硬化性組成物 - Google Patents

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Mizuho Iwami
克信 望月
Katsunobu Mochizuki
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Abstract

【課題】特殊な構造の重合性アクリルポリマーを使用しなくても、耐候性、耐熱性及び力学物性に優れた硬化物を与える活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。【解決手段】側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート系重合体(A)、並びに、分子量が2,000以下の紫外線吸収剤(B1)及び/又は分子量が2,000以下の光安定剤(B2)を含む活性エネルギー線硬化性組成物。(A)成分が、反応性基を有しない(メタ)アクリレート系単量体(a1-1)に由来する構成単位と、反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)に由来する構成単位とを含む共重合体(a1)と、前記反応性基に反応する基と(メタ)アクリロイル基と有する化合物(a2)との反応物を含むことが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、耐候性、耐熱性及び力学物性に優れた硬化物を与える活性エネルギー線硬化性組成物に関し、塗料等のコーティング剤、及び接着剤等の用途に好適に使用できるものである。
紫外線または電子線等の活性エネルギー線で硬化する組成物は、熱硬化性組成物と比較して、低温硬化である、硬化に要するエネルギーが少ない、硬化時間が短く生産性が高いなどの利点があり、コーティング剤、接着剤等の幅広い分野で応用されている。
かかる活性エネルギー線硬化性組成物を外装用途に使用する場合、耐擦傷性、耐ひび割れ性、耐黄変性、光沢の保持といった屋外での耐候性及び耐久性に優れることが必要とされる。
従来、塗膜の耐候性を向上させるために、硬化性樹脂組成物中に低分子量の紫外線安定剤や紫外線吸収剤を添加することが一般的に行われているが、硬化塗膜の劣化は表面から発生し、紫外線安定剤や紫外線吸収剤が表層にブリードアウトするという問題があった。
かかるブリードアウトの問題を解決し、高硬度で耐擦傷性及び耐候性に優れた硬化塗膜を形成する方法として、例えば、特許文献1には、ピぺリジン骨格又はベンゾトリアゾール骨格のような特定構造を有する紫外線安定性単量体を繰り返し単位の一部として含み、かつ側鎖に重合性二重結合を有する重合性アクリルポリマーを紫外線又は電子線硬化させることが開示されている。
しかしながら、特許文献1の方法は、紫外線安定性基が重合性アクリルポリマー中に固定化されているので、ブリードアウトの問題は解決できるが、硬化膜の深さ方面に均一に紫外線安定性基が存在するために、硬化膜表面の耐候性が不十分であり、硬化膜の耐熱性及び力学物性にも劣るという問題があった。
特開2000-109523号公報
本発明は、特殊な構造を備えた重合性アクリルポリマーを使用しなくても、耐候性、耐熱性及び力学物性に優れた硬化物を与える活性エネルギー線硬化性組成物を提供するものである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート系重合体に、特定の値以下の分子量を備えた紫外線吸収剤又は光安定剤を添加することにより、耐候性、耐熱性及び力学物性に優れた硬化物を与える活性エネルギー線硬化性組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート系重合体(A)(以下、「(A)成分」ともいう)、並びに、分子量が2,000以下の紫外線吸収剤(B1)(以下、「(B1)成分」ともいう)及び/又は分子量が2,000以下の光安定剤(B2)(以下、「(B2)成分」ともいう)を含む活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
前記(A)成分は、反応性基を有しない(メタ)アクリレート系単量体(a1-1)に由来する構成単位と、反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)に由来する構成単位とを含む共重合体(a1)(以下、「共重合体(a1)」ともいう)と、前記反応性基に反応する基と(メタ)アクリロイル基と有する化合物(a2)(以下、「不飽和化合物(a2)」ともいう)との反応物を含むことが好ましい。
前記共重合体(a1)を構成する反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)は、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びイソシアネート基からなる群より選ばれた反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体であることが好ましい。
前記共重合体(a1)を構成する反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)は、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体であり、前記不飽和化合物(a2)は、カルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有するオリゴマーであることが好ましい。
前記不飽和化合物(a2)は、ガラス転移温度(Tg)が-30~-90℃の(メタ)アクリロイル基含有オリゴマー(a2-1)であることが好ましい。
本発明の他の実施形態としては、さらに、(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「(D)成分」ともいう)を含む組成物が好ましい。
本発明において、活性エネルギー線は電子線であることが好ましい。
本発明の組成物の用途としては、コーティング剤用活性エネルギー線硬化性組成物及び接着剤用活性エネルギー線硬化性組成物が好ましい。
本発明によれば、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート系重合体(A)を含む活性エネルギー線硬化性組成物に、(B1)成分及び/又は(B2)成分を添加することとしたので、(B1)成分又は(B2)成分が硬化物の表面からブリードアウトしたとしても、硬化物の深部からのブリードアウトは抑制されるため、耐候性、耐熱性及び力学物性に優れた硬化物が得られる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明は、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート系重合体(A)、並びに、(B1)成分及び/又は(B2)成分を含む活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
以下、(A)成分、(B1)成分、(B2)成分、活性エネルギー線硬化性組成物、及び使用方法について説明する。
尚、本発明において、「(メタ)アクリレート系重合体」とは、構成単位の主成分として(メタ)アクリレートを含有する重合体を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。
1.(A)成分
(A)成分は、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート系重合体である。 前記した通り、(メタ)アクリレート重合体とは、構成単位の主成分として(メタ)アクリレートを含有する重合体を意味し、全構成単量体単位中に、(メタ)アクリレートを80~100重量%含む重合体を意味する。
(A)成分としては、反応性基を有しない(メタ)アクリレート系単量体(a1-1)(以下、「単量体(a1-1)」ともいう)に由来する構成単位と、反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)(以下、「単量体(a1-2)」ともいう)に由来する構成単位とを含む共重合体(a1)と、前記反応基に反応する基と、(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(a2)(以下、「不飽和化合物(a2)」ともいう)との反応物が好ましい。
尚、単量体(a1-1)及び単量体(a1-2)における「反応性基」とは、(メタ)アクリロイル基以外の官能基を意味する。
即ち、(A)成分としては、共重合体(a1)を幹ポリマーとし、当該幹ポリマーの反応性基と、不飽和化合物(a2)の反応性基と反応させることにより得られた、(メタ)アクリロイル基を側鎖として結合させた重合体が好ましい。
以下、共重合体(a1)、不飽和化合物(a2)、(A)成分の製造方法、及び(A)成分の物性について説明する。
(1)共重合体(a1)
(A)成分の原料共重合体である共重合体(a1)は、単量体(a1-1)に由来する構成単位と、単量体(a1-2)に由来する構成単位とからなる共重合体である。
以下、単量体(a1-1)及び単量体(a1-2)について説明する。
(1-1)単量体(a1-1)
単量体(a1-1)は、反応性基を有しない(メタ)アクリレート系単量体(a1-1)である。
単量体(a1-1)の具体例としては、上記反応性基を備えない(メタ)アクリレート系単量体であれば特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;
N-(メタ)アクリロイルモルホリン;
(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;並びに
アクリロニトリル及びメタクロニトリル等が挙げられる。
本発明において、単量体(a1-1)として、特開2000-109523号公報に開示されるようなピぺリジン骨格又はベンゾトリアゾール骨格を有する(メタ)アクリレート系単量体を使用することは妨げられないが、使用しない方が好ましい。
(1-2)単量体(a1-2)
単量体(a1-2)は、反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体である。
単量体(a1-2)としては、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びイソシアネート基からなる群より選ばれた反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体が好ましい。
反応性基としてエポキシ基を有する単量体(a1-2)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
反応性基としてヒドロキシル基を有する単量体(a1-2)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε-カプロラクトン付加物等が挙げられる。
反応性基としてイソシアネート基を有する単量体(a1-2)としては、例えば、(メタ)アクリロキシエチルイソシアネートが挙げられ、具体的な製品としては、「カレンズMOI」、「カレンズAOI」(何れも商品名、昭和電工製)が挙げられる。
反応性基としてカルボキシル基を有する単量体(a1-2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、β―カルボキシエチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートの無水フタル酸付加物、ペンタエリスリトールトリアクリレートの無水コハク酸付加物、ジペンタエリスリトールトリアクリレートの無水コハク酸付加物、ジペンタエリスリトールトリアクリレートの無水フタル酸付加物等が挙げられる。
本発明において、単量体(a1-2)として、特開2000-109523号公報に開示されるようなピぺリジン骨格又はベンゾトリアゾール骨格を有する(メタ)アクリレート系単量体を使用することは妨げられないが、使用しない方が好ましい。
(1-3)共重合体(a1)の重合方法
上記不飽和化合物(a2)を反応させる前の共重合体(a1)の製造方法としては、特に制限はないが、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合等の公知の方法を用いることができる。
これらの中でも、重合体の製造が容易、かつ乳化剤等の不純物を含まない点で、塊状重合、溶液重合が好ましい。
(1-3-1)溶液重合
溶液重合法としては、使用する原料モノマーを有機溶媒に溶解し、熱重合開始剤を添加し、加熱攪拌する方法が挙げられる。溶液重合法でラジカル重合により合成する場合は、使用する原料モノマーを有機溶媒に溶解し、熱ラジカル重合開始剤を添加し、加熱攪拌することにより得られる。又、必要に応じて、重合体の分子量を調節するために連鎖移動剤を使用することができる。
溶液重合法に用いられる有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;並びにヘキサン、ヘプタン及びミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
熱重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル及びアゾビスシアノバレリックアシッド等のアゾ系開始剤;t-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジt-ブチルパーオキシド及びジクミルパーオキシド等の有機過酸化物;並びに過酸化水素-鉄(II)塩、ペルオキソ二硫酸塩-亜硫酸水素ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド-鉄(II)塩等が挙げられる。
熱重合開始剤の使用割合は、目標とする分子量に応じて適宜設定すれば良い。熱ラジカル重合開始剤の使用割合は、使用する全モノマーの合計100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましい。
(1-3-2)塊状重合
塊状重合法としては、特開昭57-502171号公報、特開昭59-6207号公報、特開昭60-215007号公報等に開示された公知の方法が挙げられる。
例えば、加圧可能な反応機を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、各単量体、及び必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応器へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法が挙げられる。
又、単量体混合物には、必要に応じて重合開始剤を配合することもできる。その配合する場合の配合量としては、単量体混合物100重量部に対して0.001~2重量部であることが好ましい。
圧力は、反応温度と使用する単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、反応に影響を及ぼさないが、所定の反応温度を維持できる圧力であればよい。
単量体混合物の滞留時間は、1~60分であることが好ましい。滞留時間が1分に満たない場合は単量体が十分に反応しない恐れがあり、滞留時間が60分を越える場合は、生産性が悪くなってしまうことがある。好ましい滞留時間は2~40分である。
共重合体(a1)を得るために用いる重合開始剤の例としては、所定の反応温度でラジカルを発生する開始剤であれば何でもよい。具体的には、ジ-t-ブチルパーオキシド、ジ-t-ヘキシルパーオキシド、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、クメンハイドロパーオキシド、t-ブチルハイドロパーオキシド等の有機過酸化物、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、4,4'-アゾビス(4-シアノバレリックアシッド)等のアゾ系化合物が挙げられる。重合開始剤はこれらの内の1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の使用量は、重合開始剤及び単量体の種類、所望する分子量、重合条件等により適宜調整することができるが、一般的には、使用する単量体100重量部に対して0.001~10重量部である。
共重合体(a1)の製造に有機溶媒を用いる場合、有機炭化水素系化合物が適当であり、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができる。(メタ)アクリレート共重合体をよく溶解しない有機溶媒では、反応器の壁にスケールが成長しやすく洗浄工程等で生産上の問題がおきやすい。
有機溶媒の使用量は、全ビニル単量体100重量部に対して、80重量部以下とすることが好ましい。80重量部以下とすることにより、短時間で高い転化率が得られる。より好ましくは、1~50重量部である。又、オルト酢酸トリメチル、オルト蟻酸トリメチル等の脱水剤を添加することもできる。
共重合体(a1)の製造には、公知の連鎖移動剤を使用してもよい。
反応器から抜き出された反応液は、そのまま次の工程に進むか、あるいは蒸留等により未反応単量体、有機溶媒、及び低分子量オリゴマー等の揮発性成分を留去することによって重合体を単離することができる。反応液から留去した未反応単量体、有機溶媒、及び低分子量オリゴマー等の揮発性成分の一部を原料タンクに戻すか又は直接反応器に戻し、再度重合反応に利用することもできる。
このように未反応単量体及び有機溶媒をリサイクルする方法は経済性の面から好ましい方法である。リサイクルする場合には、反応器内で望ましい単量体比と望ましい有機溶媒量を維持するように新たに供給する単量体混合物の混合比を決定する必要がある。
(1-3-3)共重合体(a1)の物性
共重合体(a1)の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)は、1,500~50,000が好ましく、1,500~40,000がより好ましく、さらに好ましくは、2,000~30,000、さらにより好ましくは、2,500~25,000、特に好ましくは3,000~15,000である。Mwが50000以下であることにより、得られる(A)成分は比較的高濃度でも低粘度化できるため、塗工性が良くなり、又、他の硬化性樹脂と混合した場合、相溶性が良くなる。Mwが1500以上であることにより、得られた(A)成分の硬化物は、耐候性、引張物性が優れたものとなる。
尚、本発明におけるMwとは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCという)によって測定された分子量をポリスチレン換算した値を意味する。
共重合体(a1)のTg(ガラス転移温度)については、特に制限はないが、通常-40℃以上90℃以下であり、0℃以上90℃以下であることが好ましい。0℃以上であることにより、硬化物の強度が優れたものとなり、90℃以下であることにより、硬化物の柔軟性が優れたものとなる。さらに好ましくは、30~80℃である。
尚、共重合体(a1)のTgは、これを構成する単量体の種類及び共重合比を適宜選択することにより調整することができる。
尚、本発明において、Tgとは、TA Instrument製(Q-100)等の示差走査熱量計を用いて得られた熱流束曲線のベースラインと変曲点での接線の交点から決定したものを意味する。熱流束曲線は窒素雰囲気下で試料約10mgを-100℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/分で300℃まで昇温し、引き続き-100℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/分で350℃まで昇温する条件で得られる。
特開2014-115538号公報に開示されているような通常の溶液重合法の場合、重合温度が比較的低温であるため、共重合反応性比の影響を受け、官能基の個数が重合体分子ごとに偏りを持つことになる。一方、高温重合の場合、共重合反応性比の影響が低くなり、かつ連続重合した場合、一定の重合体が生成し続けるため、分子ごとの官能基の個数の偏りは極めて小さくなる。
又、通常の溶液重合と高温重合を比較すると、同じ分子量の重合体を合成する場合、高温重合の方が、重合開始剤の使用量が少なくなり、開始剤残渣の量も少なくなるため、耐候性が良くなる。特に、電子線硬化の場合、硬化反応において光開始剤等の重合触媒を使用しないため、重合体に含まれる開始剤残渣の量は、耐候性の影響に顕著に表われる。
したがって、本発明で使用する共重合体(a1)は、一般的に、末端二重結合濃度が0.5meq/g以下のものが好ましく、0.4meq/g以下のものがより好ましい。末端二重結合濃度が0.5meq/g以下である場合、硬化速度の低下を抑制することができる。又、本発明において、共重合体(a1)として高温連続重合で得られたものを用いる場合、共重合体(a1)の末端二重結合濃度は、0.02meq/g以上0.5meq/g以下が好ましい。0.02meq/g以上であることにより、硬化時の急速な硬化が抑制され、残留応力が残りにくくなるため力学物性が良くなる。
(2)不飽和化合物(a2)
不飽和化合物は、上記共重合体(a1)を構成する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)に由来する前記反応性基に反応する基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(a2)であれば特に限定されないが、上記共重合体(a1)を構成する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)に由来する前記反応性基に反応する基と(メタ)アクリロイル基とを有するオリゴマー(a2-1)(以下、「不飽和オリゴマー(a2-1)」ともいう)が好ましく、Tgが-30~-90℃の不飽和オリゴマー(a2-1)がより好ましい。不飽和オリゴマー(a2-1)の(メタ)アクリロイル基としては、アクリロイル基が好ましい。
尚、本発明においてオリゴマーとは、分子量250以上2,000以下の化合物を意味する。
上記のとおり、(A)成分は、上記重合方法等により得られた共重合体(a1)における反応性基を、不飽和化合物(a2)の反応性基と反応させることにより得られる。より具体的には、上記反応性基を有する共重合体(a1)に、上記反応性基を介して、不飽和化合物(a2)を化学的に結合させて付加することにより得られる。
共重合体(a1)が反応性基としてエポキシ重合体又はヒドロキシル基を有する共重合体の場合、不飽和化合物(a2)としては、上記反応性基と反応する官能基としてカルボキシル基又はイソシアネート基を有する化合物が使用できる。
カルボキシル基を有する不飽和化合物(a2)としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、アクリル酸のγ-ブチロラクトン付加物、及びアクリル酸のδ-バレロラクトン付加物等が挙げられる。
その他の具体例としては、(メタ)アクリル酸のε-カプロラクトン付加物等の不飽和オリゴマー(a2-1)が挙げられる。
アクリル酸のε-カプロラクトン付加物は市販されており、アロニックスM-5300〔東亞合成(株)製商品名、Tg=-78℃、ポリカプロラクトン鎖長≒2〕等が挙げられる。
イソシアネート基を有する不飽和化合物(a2)としては、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチルイソシアネート及び片末端がイソシアネート基であるウレタン(メタ)アクリレート等の不飽和オリゴマー(a2-1)が挙げられる。
片末端がイソシアネート基であるウレタンアクリレートは、ジオールとジイソシアネートを反応させて両末端にイソシアネート基を有する化合物を製造し、これと水酸基含有アクリレートを反応させた化合物が挙げられる。この場合、ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソアネート等が挙げられ、ジオールとしては、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。水酸基含有アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。
当該化合物の製造方法としては、例えば、ジオクチルスズ等のスズ系触媒存在下、有機溶媒中でジイソシアネート類とジオール類を反応させて両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマーを得た後、重合禁止剤存在下、水酸基含有(メタ)アクリレート類を反応させる方法等が挙げられる。
共重合体(a1)が反応性基としてイソシアネート基又はカルボキシル基を有する共重合体の場合、不飽和化合物(a2)としては、上記反応性基と反応する官能基として、ヒドロキシル基を有する化合物が使用できる。
ヒドロキシル基を有する不飽和化合物(a2)としては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、及び4-ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート等が挙げられる。
その他の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε-カプロラクトン付加物等のヒドロキアルキル(メタ)アクリレートのε-カプロラクトン付加物、(メタ)アクリル酸のポリプロピレングリコール付加物、(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコール付加物、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルのポリ(3-ヒドロキシブチレート)付加物、及び(メタ)アクリル酸のポリテトラメチレングリコール付加物等の不飽和オリゴマー(a2-1)が挙げられる。
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε-カプロラクトン付加物は市販されており、プラクセルFA2D〔2-ヒドロキシエチルアクリレートのε-カプロラクトン付加物、ダイセル(株)製、商品名、以下同様。分子量344、Tg=-78℃〕、FA5(2-ヒドロキシエチルアクリレートのε-カプロラクトン付加物。分子量689)、FM2D(2-ヒドロキシエチルメタクリレートのε-カプロラクトン付加物、分子量358)、FM3(2-ヒドロキシエチルメタクリレートのε-カプロラクトン付加物、分子量473)、FM5(2-ヒドロキシエチルメタクリレートのε-カプロラクトン付加物、分子量701)等が挙げられる。
アクリル酸のポリプロピレングリコール付加物としては、Tg=-75℃の化合物が例示され、アクリル酸のポリエチレングリコール付加物としては、Tg=-41℃の化合物が例示され、アクリル酸2-ヒドロキシエチルのポリ(3-ヒドロキシブチレート)付加物としては、Tg=-40℃の化合物が例示され、及びアクリル酸のポリテトラメチレングリコール付加物としては、Tg=-84℃の化合物が例示される。
不飽和オリゴマー(a2-1)としては、開環カプロラクトン構造を含む不飽和オリゴマー(以下、「カプロラクトン系不飽和オリゴマー」ともいう)が好ましく、Tgが-30~-90℃のカプロラクトン系不飽和オリゴマーがより好ましい。当該化合物を使用して得られる(A)成分を含む組成物は、その硬化物が伸び率に優れたものとなる点で好ましい。
当該化合物の具体例としては、前記で挙げた化合物が例示される。
カルボキシル基を有するカプロラクトン系不飽和オリゴマー(a2-1)としては、例えば、上記した(メタ)アクリル酸のε-カプロラクトン付加物等が挙げられる。
ヒドロキシル基を有するカプロラクトン系不飽和オリゴマー(a2-1)としては、例えば、上記した2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε-カプロラクトン付加物等のヒドロキアルキル(メタ)アクリレートのε-カプロラクトン付加物等が挙げられる。
(3)(A)成分の製造方法
(A)成分は、共重合体(a1)の反応性基と、不飽和化合物(a2)における前記反応性基と反応性を有する基とを反応させることより製造することが好ましい。尚、この反応を、以下、「変性反応」ということもある。
すなわち、共重合体(a1)に不飽和化合物(a2)を付加する反応としては、反応性基としてエポキシ基又はヒドロキシル基を有する共重合体(a1)に、カルボキシル基を有する不飽和化合物(a2)を反応させる方法、及び、反応性基としてイソシアネート基又はカルボキシル基を有する共重合体(a1)に、ヒドロキシル基を有する不飽和化合物(a2)を反応させる方法が挙げられる。
これらのうち、反応性基としてエポキシ基を有する共重合体(a1)に、カルボキシル基を有する不飽和化合物(a2)を反応させる方法が好ましい。
共重合体(a1)と不飽和化合物(a2)の反応割合としては、製造する(A)成分の種類等に応じて適宜設定すれば良い。
共重合体(a1)が有する反応性基の1モルに対して、不飽和化合物(a2)が有する反応性基が、0.5~1.5モルが好ましく、より好ましくは0.8~1.2モル、さらに好ましくは0.9~1.1モルである。
エポキシ基を有する共重合体(a1)に、カルボキシル基を有する不飽和化合物(a2)を反応させて付加する方法としては、エポキシ基を有する共重合体(a1)、カルボキシル基を有する不飽和化合物(a2)、触媒、及び有機溶媒を混合した状態で、60~120℃に加熱し、5~30時間程度加熱する方法が挙げられる。
エポキシ基を有する共重合体(a1)とカルボキシル基を有する不飽和化合物(a2)の反応割合としては、エポキシ基を有する共重合体(a1)のエポキシ基1モルに対して、カルボキシル基を有する不飽和化合物(a2)のカルボキシル基が0.5~1.5モルが好ましく、より好ましくは0.8~1.2、さらに好ましくは0.9~1.1である。
触媒としては、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンが挙げられる。これらのうちで、硬化物の耐熱性試験後の着色が少ないという点で、トリフェニルホスフィンを使用することが好ましい。
触媒の添加量は、エポキシ基を有する共重合体(a1)及びカルボンキシル基を有する不飽和化合物(a2)の合計量に対して、0.5~5重量%程度が好ましい。
有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。尚、エポキシ基を有する共重合体(a1)が液状である場合には、有機溶媒無添加で変性反応を行うこともできる。
ヒドロキシル基を有する共重合体(a1)に、カルボキシル基を有する不飽和化合物(a2)を反応させる方法としては、一般的な脱水エステル化の方法が挙げられる。ヒドロキシル基を有する共重合体(a1)、カルボキシル基を有する不飽和化合物(a2)、触媒、及び溶媒を混合した状態で、100~120℃で加熱し、有機溶媒及び生成する水を共沸脱水することにより反応を進行させる方法が挙げられる。
触媒としては、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及び硫酸が挙げられ、触媒の使用量としては、反応させる水酸基のモル数に対して、0.05~5mol%用いられる。
有機溶媒としては、脱水エステル化反応で生成する水との溶解度が低く、水を共沸させて留去しながら反応を進行できる有機溶媒を使用することが好ましい。好ましい有機溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン及びキシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素、並びにメチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトンが挙げられる。溶媒の割合は、反応液全量に対して30~70重量%が好ましい。
反応後、水又はアルカリ水溶液により酸を除去することが一般的である。
イソシアネート基を有する共重合体(a1)に、ヒドロキシル基を有する不飽和化合物(a2)を反応させて付加する方法としては、イソシアネート基を有する共重合体(a1)及びヒドロキシル基を有する不飽和化合物(a2)と混合後、必要に応じて、ジブチルスズジラウレート等の硬化触媒を添加し、60~100℃に加熱する方法が挙げられる。
カルボキシル基を有する共重合体(a1)に、ヒドロキシル基を有する不飽和化合物(a2)を反応させて付加する方法としては、共重合体(a1)とヒドロキシル基を有する不飽和化合物(a2)を混合後、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、Nafion-H等の触媒を加え、場合によって、トルエン等の有機溶媒の存在下80~120℃に加熱し、エステル化反応を進行させるとともに生成する水を留去する方法が挙げられる。
さらに、反応後に残留した触媒は、水洗、アルカリ中和、イオン交換樹脂、触媒除去用ケミカルフィルター、及びろ過等の方法を一つ又は二つ以上組み合わせることにより除去できる。
又、上記何れの変性反応の場合も、ゲル化を抑制する目的、又は、変性物の貯蔵安定性を向上させる目的で、重合禁止剤を添加することが好ましい。
重合禁止剤としては、メトキシフェノール、ハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。硬化物の着色抑制の観点から、ジブチルヒドロキシトルエンを用いることが特に好ましい。
(4)(A)成分の物性(アクリル当量及び分子量)
(A)成分のアクリル当量は、3000g/eq以下が好ましい。(A)成分のアクリル当量のより好ましい範囲を順に記載すると、150g/eq以上2500g/eq以下であり、300g/eq以上2000g/eq以下であり、400g/eq以上1400g/eq以下、700g/eq以上1000g/eq以下である。
アクリル当量が150g/eq以上であることにより、硬化物の伸び率、柔軟性を確保することができ、3000g/eq以下であることにより、硬化物の強度及び耐候性を確保することができ、又硬化速度を良好に維持できる。
本発明において、アクリル当量(g/eq)は、(メタ)アクリロイル基1当量(eq)あたりの重量(g)を表し、数値が大きくなるほど(メタ)アクリロイル基の濃度は低くなり、数値が小さくなるほど(メタ)アクリロイル基の濃度は高くなる。
アクリル当量は以下の式で求められる。以下の式中、(A)成分の(メタ)アクリロイル基のモル数は、上記変性反応で共重合体(a1)に付加した不飽和化合物(a2)の(メタ)アクリルロイル基のモル数であり、上記変性反応後に混在する未反応の不飽和化合物(a2)に由来する(メタ)アクリロイル基は除外される。
Figure 2022086816000001
(A)成分の分子量は、Mwで、2,000~60,000が好ましく、2,000~50,000がより好ましい。
Mwが2,000以上であることにより、硬化物が耐候性、引張物性が優れたものとなり、60,000以下であることにより、比較的高濃度でも低粘度化できるため、塗工性に優れ、又、他の硬化性化合物と混合した場合、相溶性優れたものとなる。(A)成分のMwとしては、より好ましい範囲を順に記載すると、3,000~50,000であり、3,000~40,000であり、3,000~30,000であり、4,000~20,000である。
又、成分(A)の数平均分子量(以下、「Mn」という)としては、1,000~30,000が好ましい。
Mnが1,000以上であることにより、硬化物が耐候性、引張物性が優れたものとなり、30,000以下であることにより、比較的高濃度でも低粘度化できるため、塗工性に優れ、又、他の硬化性化合物と混合した場合、相溶性に優れたものとなる。(A)成分のMnより好ましい範囲を順に記載すると、1,500~15,000であり、2,000~10,000であり、2,500~7,000である。
尚、本発明におけるMnとは、GPCによって測定された分子量をポリスチレン換算した値を意味する。
2.(B1)成分
(B1)成分は、分子量が2,000以下の紫外線吸収剤である。
(B1)成分としては、分子量2,000以下の化合物であれば特に限定されない。(B1)成分の分子量としては、好ましくは100~1,500、より好ましくは100~1,000である。分子量が2,000を超えると、(B1)成分が表面に析出しにくくなり、硬化物表面の耐候性が不十分となる。
(B1)成分の具体例としては、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、及びアクリロニトリル系紫外線吸収剤等を挙げることができる。
これらの中でも、紫外線吸収能力が高く、紫外線等の高エネルギーに対しても劣化しにくいトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、具体的には、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]フェノール、1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリ[{3,5-ビス-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル}メチル]及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等を挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、具体的には、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチルl-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、C7-C9-アルキル-3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオンエーテル、2-[5-クロロ-(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、β-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル]-プロピオン酸ポリエチレングリコール300エステル、ビス{β-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル]-プロピオン酸}-ポリエチレングリコール300エステル、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3-[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル等を挙げることができる。
(B1)成分は、目的に応じて、単独で使用しても、又は二種以上を組み合わせて使用しても良い。
(B1)成分の添加割合は、(A)成分100重量部に対して、後記(D)成分を配合する場合は、(A)成分及び(D)成分の合計100重量部に対して、(B1)成分の純分として、0.1~20重量部が好ましく、より好ましくは1~10重量部、さらに好ましくは1~5重量部である。
(B1)成分の添加割合を0.1重量部以上とすることで、硬化膜の耐候性改善効果をより良好にすることができ、20重量部以下とすることで、得られる硬化膜の変色防止効果、又は力学物性の悪化防止効果をより良好にすることができる。
3.(B2)成分
(B2)成分は、分子量が2,000以下の光安定剤である。
(B2)成分としては、分子量2,000以下の化合物であれば特に限定されない。(B2)成分の分子量は、好ましくは100~1,500、より好ましくは100~1,000である。分子量が2,000を超えると、(B2)成分が表面に析出しにくくなり、硬化物表面の耐候性が不十分となる。
(B2)成分は、紫外線の作用によりラジカルが発生した場合に、そのラジカルを捕獲して不活性化させることができ、硬化膜の光酸化劣化の進行を抑制することができる。(B2)成分は、こうした効果を奏するものであれば特に限定されない。
(B2)成分としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましく、この光安定剤は、酸化反応を引き起こすフリーラジカルが生じた場合、そのフリーラジカルを触媒的に捕捉し、安定化させることができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2’-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン)、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、デカン二酸ビス[2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)ピペリジン-4-イル]、2-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-2-ブチルプロパン二酸ビス[1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル]、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン、デカン二酸1-メチル10-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)、セバシン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)等を挙げることができる。
(B2)成分は、目的に応じて、単独で使用しても、又は二種以上を組み合わせて使用しても良い。
(B2)成分の添加割合は、(A)成分100重量部に対して、後記(D)成分を配合する場合は、(A)成分及び(D)成分の合計100重量部に対して、(B2)成分の純分として、0.1~20重量部が好ましく、より好ましくは1~10重量部、さらに好ましくは1~5重量部である。
(B2)成分の添加割合を0.1重量部以上とすることで、硬化膜の耐候性改善効果をより良好にすることができ、20重量部以下とすることで、硬化膜の変色防止効果、又は力学物性の悪化防止効果を良好にすることができる。
4.活性エネルギー線硬化性組成物
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、少なくとも(A)成分、並びに、(B1)成分及び/又は(B2)成分を含む。(B1)成分及び(B2)成分は、目的に応じて、一方のみを使用してもよく、又は、(B1)成分及び(B2)成分の両方を組み合わせて使用してもよい。尚、耐候性の点からは、(B1)成分及び(B2)成分の両方を組み合わせて使用することが好ましい。
(A)成分としては、常温で固体のもの、及び、常温で無溶剤液状のものの何れも使用できるが、常温で固体のものが好ましい。常温で固体の(A)成分は、適宜、有機溶媒と混合して使用することができる。
本発明の組成物の粘度としては、使用する用途及び目的等に応じて適宜設定すれば良い。好ましい粘度は、100~20,000mPa・sであり、より好ましくは200~8,000mPa・sである。
本発明において粘度とは、E型粘度計(コーンプレート型粘度計)により25℃で測定した値を意味する。
尚、組成物全量に対する常温で固体の成分の割合は、30重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましい。
本発明の組成物は、その硬化物が引張強度及び伸び等の引張物性、耐熱性、並びに耐候性に優れるという効果を奏する。
引張物性において、破断強度としては、20MPa以上が好ましく、30MPa以上がより好ましい。
次に、伸び率としては、2%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。
抗張積としては、60MPa以上が好ましく、150MPa以上がより好ましく、200MPa以上が更により好ましい。破断強度と伸び率は、一般的にトレードオフの関係にあるため、抗張積(破断強度×伸び率/2)が高いほど引張物性に優れる。
本発明の組成物は、前記(A)成分、並びに、前記(B1)成分及び/又は前記(B2)成分を必須とするものであるが、上記のとおり、必要に応じて溶媒(以下、「(C)成分」ともいう)及びその他の種々の成分を配合することができる。
配合できる(C)成分以外のその他の成分としては、(D)成分(すなわち、(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物)、光重合開始剤(以下、「(E)成分」ともいう)が挙げられる。
以下、(C)~(E)成分、及びこれ以外のその他の成分についてについて説明する。
尚、以下において、(A)成分及び(D)成分を「硬化性成分」という。
(1)(C)成分
本発明の組成物は、基材への塗工性を改善する等の目的で、(C)成分である溶媒を含有することができる。
(C)成分としては、有機溶媒及び水が挙げられ、有機溶媒が好ましい。
以下、有機溶媒及び水について説明する。
(1-1)有機溶媒
有機溶媒は、同じ化合物であっても、反応系で使用される場合は、「有機溶媒」と表記され、塗料等の組成物で使用される場合は、「有機溶剤」と表記されるものであり、本発明ではこれらをまとめて「有機溶媒」と表記する。
有機溶媒の具体例としては、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びシクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;
メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-(メトキシメトキシ)エタノール、2-イソプロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-イソペンチルオキシエタノール、2-ヘキシルオキシエタノール、2-フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、ビス(2-エトキシエチル)エーテル及びビス(2-ブトキシエチル)エーテル等のエーテル系溶媒;
アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、ジエチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、ジ-n-プロピルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;
酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セロソルブ等のエステル系溶媒;
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、前記した化合物の1種又は2種以上用いることができる。
有機溶媒は、(A)成分を希釈するために別途添加しても良く、又、(A)成分の製造で使用する有機溶媒を分離することなくそのまま使用しても良い。
有機溶媒の配合割合は、組成物の粘度や使用目的等を考慮し、適宜設定すれば良いが、(A)成分及び(C)成分の合計100重量部に対して、後記(D)成分を配合する場合は、(A)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100重量部に対して、70重量部以下が好ましく、60重量部以下がより好ましく、50重量部以下がさらにより好ましく、40重量部以下がさらにより一層好ましく、15~40重量部が特に好ましい。
(1-2)水
本発明の組成物は、(C)成分として水を含有することができる。
(C)成分として水を含有する場合、(A)成分が水中に分散してなる組成物が好ましい。
(A)成分を水中に分散させる方法(以下、「水性化」ともいう)は、常法に従えば良い。
(A)成分の製造において、共重合体(a1)と不飽和化合物(a2)の反応を有機溶媒中で行った場合は、その後、水性化を行い(A1)成分の水分散体とする方法等が挙げられる。
より具体的な水性化の方法としては、上記反応で得られた(A)成分の有機溶媒溶液に、水及び界面活性剤(分散剤)を添加して、撹拌及び混合して(A)成分を水中に分散させ、減圧加熱により有機溶媒を除去する方法等が挙げられる。
他の水性化の方法としては、予め単離された(A)成分に対して、水及び界面活性剤を添加して撹拌することにより行うこともできる。
(A)成分が有機溶媒を含んだ混合液である場合には、上述のとおり、減圧加熱や蒸留により有機溶媒を留去することが一般的である。
又、(A)成分(又はその有機溶媒混合液)が水に不溶の場合には、水及び界面活性剤を添加しても、(A)成分が沈殿し、系の均一性が保てず、均質な分散体が得られない場合がある。
そのような場合には、水及び界面活性剤を添加する前、又は同時に、水溶性有機溶媒を添加して水分散体とし、その後、水溶性有機溶媒を蒸留により留去することもできる。
界面活性剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、及び両性イオン性乳化剤等の各種の乳化剤を用いることができ、これらの中でも、ノニオン性界面活性剤が特に好ましい。
界面活性剤の添加割合としては、成分(A)の合計量を100重量部に対して、界面活性剤の純分として、0.5~15重量部が好ましく、より好ましくは1~10重量部、さらに好ましくは2~7重量部である。
水溶性有機溶媒としては、炭素数1~4のアルキルアルコール類、ケトン又はケトアルコール類、ポリアルキレングリコール類、アルキレン基が2~6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類、低級アルキルエーテル類、ピロリドン類、及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられる。
(2)(D)成分
本発明の組成物には、組成物全体の粘度を低下させる目的や、その他の物性を調整する目的で、必要に応じて、(D)成分(すなわち、(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物)を含有してもよい。
(D)成分の具体例としては、単量体(a1-1)、単量体(a1-2)、単量体(a1-1)及び(a1-2)以外の(メタ)アクリレート(以下、「その他(メタ)アクリレート」という)、及びN-ビニル-2-ピロリドン等が挙げられる。
その他(メタ)アクリレートとしては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「単官能(メタ)アクリレート」という)や2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(「以下、「多官能(メタ)アクリレート」という)等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、о-フェニルフェノールEO変性(n=1~4)(メタ)アクリレート、p-クミルフェノールEO変性(n=1~4)(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、о-フェニルフェニル(メタ)アクリレート、p-クミルフェニル(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルホルムアミド、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタルイミド等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ポリエステル骨格を有するウレタンアクリレート等のウレタン(メタ)アクリレート及びポリカーボネート骨格を有するウレタンアクリレート等のウレタン(メタ)アクリレート;
ビスフェノールA EO変性(n=1~2)ジ(メタ)アクリレート、及びビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール骨格を有するジ(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=5~14)ジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=5~14)ジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(n=3~16)ジ(メタ)アクリレート、及びポリ(1-メチルブチレングリコール)(n=5~20)ジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;
1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジオールのジ(メタ)アクリレート;
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;
トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等の脂環式骨格を有するジ(メタ)アクリレート;
イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、及びε-カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート骨格を有する(メタ)アクリレート;
グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリ(メタ)アクリレート;並びに
グリセリンアルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド付加物のトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンアルキレンオキサイド付加物のトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
尚、上記においてEO変性とは、エチレンオキサイド変性を意味し、nはアルキレンオキサイド単位の繰返し数を意味する。
多官能(メタ)アクリレートとしては、これら化合物の中でも、ウレタン(メタ)アクリレート及びイソシアヌレート骨格を有する(メタ)アクリレートが好ましい。
(D)成分としては、前記した化合物の1種のみを使用しても、2種以上を併用しても良い。
(D)成分の配合量は、目的に応じて適宜設定すれば良く、得られる硬化物の柔軟性を低下させない量であれば良いが、(A)成分の100重量部に対して1~70重量部が好ましく、より好ましくは1~50重量部、さらに好ましくは、1~25重量部である。
(3)(E)成分
本発明の組成物は、活性エネルギー線として紫外線及び可視光線を用いる場合、(E)成分(光重合開始剤)を含有してもよい。
尚、活性エネルギー線として電子線を使用する場合は、必ずしも(E)成分を配合する必要はないが、硬化性改良のため必要に応じて(E)成分を少量配合することもできる。
(E)成分としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-1-(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)]フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、アデカオプトマーN-1414((株)ADEKA製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4-(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル-2-ベンゾフェノン、1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルフォニル)プロパン-1-オン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、N,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン及び4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6-ジメトキシベンゾ
イル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルチオキサントン、3-[3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イル]オキシ]-2-ヒドロキシプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド及びフロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン、10-ブチル-2-クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2-オクタンジオン1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]及びエタノン1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;
2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4-ジ(p-メトキシフェニル)-5-フェニルイミダゾール二量体及び2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;並びに
9-フェニルアクリジン及び1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
これらの化合物は、1種又は2種以上を併用することもできる。
(E)成分の配合割合としては、(A)成分100重量部に対して、前記(D)成分を含む場合には、(A)成分及び(D)成分の合計量100重量部に対して、0.01~10重量部が好ましく、より好ましくは0.1~5重量部である。
(E)成分の配合割合を0.01重量部以上とすることにより、適量な紫外線又は可視光線量で組成物を硬化させることができ、生産性を向上させることができ、一方10重量部以下とすることで、硬化物の耐候性や透明性に優れたものとすることができる。
(4)前記以外のその他の成分
前記以外のその他の成分としては、目的に応じて種々の成分を配合することができる。
本発明の組成物をコーティング剤として使用する場合においては、例えば、重合禁止剤又は/及び酸化防止剤、耐光性向上剤、無機粒子、表面改質剤、顔料、染料、及び粘着性付与剤等が挙げられる。
以下、その他の成分のうち、重合禁止剤又は/及び酸化防止剤について説明する。
<重合禁止剤又は/及び酸化防止剤>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、保存安定性を向上させるために、重合禁止剤又は/及び酸化防止剤を含有することができる。
重合禁止剤は、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、並びに種々のフェノール系酸化防止剤が好ましいが、イオウ系二次酸化防止剤、リン系二次酸化防止剤等であってもよい。
これら重合禁止剤又は/及び酸化防止剤の総配合量は、(A)成分100重量部に対して、(D)成分を含む場合には、(A)成分及び(D)成分の合計量100重量部に対して、0.001~3重量部であることが好ましく、より好ましくは0.01~0.5重量部である。
5.使用方法
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、目的に応じて種々の使用方法を採用することができる。
例えば、本発明の組成物をコーティング剤として使用する場合は、基材に組成物を塗工し、有機溶媒を含む場合は、加熱により組成物中の有機溶媒を蒸発させた後、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法が挙げられる。
又、本発明の組成物を接着剤として使用する場合、基材に組成物を塗工し、有機溶媒を含む場合は、加熱により組成物中の有機溶媒を蒸発させた後、別の基材と貼り合せた後、さらに活性エネルギー線を照射して硬化させる方法が挙げられる。
本発明の組成物が適用できる基材としては、種々の材料に適用でき、無機材料、プラスチック、及び紙等が挙げられる。
無機材料としては、ガラス、金属、モルタル、コンクリート及び石材等が挙げられる。
金属としては、鋼板、アルミ及びクロム等の金属、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化インジウムスズ(ITO)等の金属酸化物等が挙げられる。
プラスチックの具体例としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ABS樹脂、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース及びジアセチルセルロース等のセルロースアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET樹脂」という)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ノルボルネン等の環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。プラスチックとしては熱可塑性プラスチックが好ましく、その具体例としては、PET樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン及びポリエチレン等が例示でき、PET樹脂が好ましい。
基材としては、これら材料の中でも、金属及びプラスチックが好ましい。
基材の形状は特に限定されず、シート状、フィルム状、及び板状等の何れであってもよい。
組成物の塗工方法としては、目的に応じて適宜選択すれば良く、従来公知のバーコート、アプリケーター、ドクターブレード、ナイフコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、リップコーター、グラビアコーター及びマイクログラビアコーター等で塗工する方法が挙げられる。
本発明の組成物は有機溶媒を含む場合、基材に塗工した後、加熱・乾燥させ、有機溶媒を蒸発させることが好ましい。
乾燥温度は、適用する基材が変形等の問題を生じない温度以下であれば特に限定されるものではない。好ましい加熱温度としては、40~100℃である。乾燥時間は適用する基材及び加熱温度によって適宜設定すれば良く、好ましくは0.5~20分である。
基材に対する組成物硬化膜の膜厚は、目的に応じて適宜設定すればよい。硬化膜の厚さとしては、使用する基材や製造した硬化膜を有する基材の用途に応じて選択すればよいが、1~100μmであることが好ましく、2~40μmであることがより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させるのに用いる活性エネルギー線としては、電子線、紫外線及び可視光線等が挙げられる。
これらのうち、紫外線は、比較的簡便な装置で硬化でき、短時間、低エネルギー照射で硬化できる点で好ましい。
電子線は、必ずしも(E)成分(光重合開始剤)を添加する必要がなく、硬化物の耐熱性、耐候性が優れる点で好ましい。
紫外線照射装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線(UV)無電極ランプ、及び発光ダイオード(LED)等が挙げられる。
活性エネルギー線照射における、線量、照射量、照射強度等の照射条件については、使用する組成物、基材及び目的等に応じて適宜選定すればよい。
紫外線を使用する場合の一例として高圧水銀ランプを使用する場合を挙げると、UV-A領域の照射エネルギーで100~8,000mJ/cmが好ましく、200~3,000mJ/cmがより好ましい。
電子線を使用する場合は、加速電圧が50~300kVであり、吸収線量が10~1,000kGyとなるよう照射することが好ましい。
本発明の組成物は、種々の用途に使用することができる。
その具体例としては、コーティング剤、接着剤、インキ、及びフィルム等が挙げられ、コーティング剤及び接着剤として好ましく使用することができる。
コーティング剤の具体的用途としては、各種塗料、加飾フィルム及びトップコート剤等が挙げられる。
コーティング剤のより具体的な用途としては、ハードコート用途が挙げられる。この場合の基材としては、偏光子保護フィルム及び反射防止フィルムに用いられるプラスチックフィルム、並びに、家電製品及び自動車内外装部品に用いられる樹脂成型品等が挙げられる。
又、コーティング剤の他の用途としては、コンクリート等の無機基材、又は木材のコーティング剤として使用することができ、土木及び建築用途における外壁及び構成材料等のコーティングに使用することができる。
コーティング剤の他の用途としては、金属基材のコーティング剤として好ましく使用することができ、PDP(プラズマディスプレイパネル)用電極保護材、電動自転車用基板回路保護材及びリチウムイオン電池等に用いる電極保護コーティング剤、及び自動車内外装部材のコーティング剤に使用できる。
以下に、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。尚、下記において「部」とは、重量部を意味する。
又、製造例及び実施例における分子量、Tg、酸価、固形分、及び粘度は、下記の方法に従い測定した。
<分子量測定>
ゲル浸透クロマトグラフ装置(型式名「HLC-8320」、東ソー(株)製)を用いて、下記の条件よりポリスチレン換算によるMw(重量平均分子量)及びMn(数平均分子量)を得た。
○測定条件
カラム:東ソー(株)製TSKgel SuperMultiporeHZ-M×4本
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI
<Tgの測定>
共重合体(a1)のTgは示差走査熱量計(DSC)にて以下の条件で測定した。
○測定条件
DSC:TA Instrument製(Q-100)
昇温温度:10℃/分
測定雰囲気:窒素
<酸価の測定>
JIS K0070、酸価測定に準じて実施した。すなわち、サンプルを滴定量が約10mLになるように秤量し、テトラヒドロフラン約50mLに希釈した後、滴定液として0.1NのKOH/エタノール溶液により、自動滴定装置COM-1600ST(平沼産業(株)製)を用いて滴定を実施した。
<固形分>
150℃、1時間、通風乾燥機で乾燥することにより、重量減少から固形分を求めた。
<アクリル当量>
有機溶媒成分を除く原料の使用重量(g)を、使用した不飽和化合物(a2)のモル数で割った値をアクリル当量(g/eq)とした。
1.製造例
(1)製造例1
オイルジャケットを備えた容量1000mLの加圧式攪拌槽型反応器の温度を263℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、メチルメタクリレート(以下、「MMA」という)70部、エチルアクリレート(以下、「EA」という)10部、グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」という)20部、溶媒として、メチルエチルケトン(以下、「MEK」という)12部、オルト酢酸トリメチル(日宝化学製、商品名「MOA」、以下、「MOA」という)3部、重合開始剤としてジ-t-ヘキシルパーオキサイド(日油製、商品名「パーヘキシルD」、以下、「DTHP」という)1部からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。
反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケットの温度を制御することにより、反応温度を187~189℃に保持した。
単量体混合物の供給開始から温度が安定した時点を、反応液の採取開始点とし、これから37分間反応を継続した結果、1.78kgの単量体混合液を供給し、1.78kgの反応液を回収した。その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離してエポキシ基を有する(メタ)アクリレート重合体(以下、「共重合体a1-1」という)を1.08kg得た。
共重合体a1-1のポリスチレン換算によるMw、Tgを表1に示す。
次いで、共重合体a1-1(100部)、重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン(以下、「BHT」という)(0.11部)、不飽和化合物(a2)としてアクリル酸(以下、「AA」という)(11.2部、共重合体a1-1のエポキシ基の1.05当量の酸価に相当)及び有機溶媒として酢酸ブチル(47.9部)を1Lフラスコに投入し、5%酸素窒素混合ガスをバブリングさせながら、液温を95℃に昇温し、共重合体a1-1を溶解させた。
均一に溶解させた後、反応触媒としてトリフェニルホスフィン(以下、「TPP」という)(0.56部)を添加し、内温95℃を保ちながら12時間攪拌した。さらにTPP(0.56部)を添加し、12時間反応させた。その後、酸価測定を行い、3.6mgKOH/gであることを確認し、反応を終了した。
その結果、共重合体a1-1のAA付加物である重合体A-1を含む酢酸ブチル溶液を得た。
重合体A-1溶液の固形分、酸価、ポリスチレン換算によるMn、Mw、アクリル当量(g/eq)を表2に示す。
(2)製造例2~12、比較製造例1
表1および2に示す条件に変更した以外は、製造例1と同様な操作により、側鎖にアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート重合体A-2~12及びA‘-1を得た。
尚、表1にけるM-5300とは、後記で定義した通りである。
(3)製造例13
表1および2に示す条件に変更した以外は、製造例1と同様な操作により、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系重合体(以下、「共重合体a1-11」という)を得た。
尚、表1におけるMOIとは、後記で定義した通りである。
そして、共重合体a1-11(100部)、重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン(0.12部)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(以下、「HEA」という)(24.7部、重合体a1-11のイソシアネート基の1.0当量の水酸基価に相当)、触媒としてジブチルスズジラウレート(0.03部)、酢酸ブチル(64.3部)を1Lフラスコに投入し、5%酸素窒素混合ガスをバブリングさせながら、液温を80℃に昇温し、共重合体a1-11を溶解させた。
引き続き、80℃を保ちながら6時間攪拌し、ATR法赤外分光光度計(Perkin Elmer社製Spectrum100)を用いて、2200cm-1のイソシアネートによる吸収が消失していることを確認し、反応を終了した。その結果、共重合体a1-11のHEA付加物(アクリレート変性体)である重合体A-13を含む酢酸ブチル溶液を得た。
(4)製造例14
表1および2に示す条件に変更した以外は、製造例13と同様な操作により、共重合体a1-11のFA-2D付加物(アクリレート変性体)である重合体A-14を得た。
尚、表2にけるFA-2Dとは、後記で定義した通りである。
Figure 2022086816000002

表1における略号は、下記を意味する。尚、下記においては、前記で既に定義したものについても、重複して記載しているものもある。
・MMA:メチルメタクリレート
・BA:ブチルアクリレート
・EA:エチルアクリレート
・GMA:グリシジルメタクリレート
・MOI:2-イソシアネートエチルメタクリレート〔カレンズMOI(商品名)、昭和電工(株)製〕
・HALS:4-メタクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン
・UVA:2-[ 2' -ヒドロキシ-5' -(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール
・MEK:メチルエチルケトン
・MOA:オルト酢酸トリメチル〔MOA(商品名)、日宝化学製〕
・DTHP:ジ-t-ヘキシルパーオキサイド〔パーヘキシルD(商品名)、日油製〕
Figure 2022086816000003
表2における略号は、下記を意味する。尚、下記においては、前記で既に定義したものについても、重複して記載しているものもある。
・AA:アクリル酸
・M-5300:アクリル酸のε-カプロラクトン付加物〔アロニックスM-5300(商品名)、東亞合成(株)製、カプロラクトンの平均重合度:2、数平均分子量:300、Tg:-78℃、酸価:186mgKOH/g〕
・HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
・FA-2D:2-ヒドロキシエチルアクリレートのε-カプロラクトン付加物〔プラクセルFA2D(商品名)、ダイセル(株)製、カプロラクトンの平均重合度:2、数平均分子量:344、Tg:-78℃、水酸基価:163mgKOH/g〕
・TPP:トリフェニルホスフィン
・DBTDL:ジブチルスズジラウレート
・BHT:ジブチルヒドロキシトルエン
2.実施例1~28、比較例1~2(紫外線硬化性組成物)
表3および4に示す原料を使用し、表3および4に示す量比に従い撹拌・混合して紫外線硬化性組成物を調製し、下記に従い評価した。それらの結果を表3および4に示す。
(1)硬化物の引張物性の評価(UV硬化系)
基剤フィルムとして、ルミラーT-60(商品名、東レ(株)製PETフィルム、膜厚;100μm)を用意し、その両端にテープを貼り、当該基材フィルムの表面にバーコータ#0を用いて、乾燥後の膜厚が60~80μmになるように前記実施例及び比較例で得られた紫外線硬化性組成物を塗布した。次いで、通風乾燥機で、90℃、10分乾燥させ、組成物の乾燥塗膜を有する塗工フィルムを得た。
次いで、アイグラフィックス(株)製高圧水銀ランプを用いて、空気雰囲気下、集光式で、UVA照度が500mW/cm、1回あたりの照射量が800mJ/cmになるように調節し、塗工フィルムをコンベアで当該光照射下を2回通過させた。
次いで、硬化膜を有するフィルムを1cm幅の短冊状に切り出したのち、硬化膜を基材フィルムから剥離した。
引張試験機(オートグラフAGS-J、(株)島津製作所製)を用いて、この硬化膜の引張速度5mm/分の条件下での破断伸び率(%)及び破断強度(単位:MPa)を測定した。
(2)耐熱性の評価
基剤フィルムとしてコスモシャインA-4300(商品名、東洋紡(株)製易接着PETフィルム、膜厚;50μm)を用意し、その両端にテープを貼り、当該基材フィルムの表面にバーコータ#0を用いて、乾燥後の膜厚が50~60μmになるように前記実施例及び比較例で得られた紫外線硬化性組成物を塗布した。次いで、通風乾燥機で、90℃、10分乾燥させ、組成物の乾燥塗膜を有する塗工フィルムを得た。
次いで、アイグラフィックス(株)製高圧水銀ランプを用いて、空気雰囲気下、集光式で、UVA照度が500mW/cm、1回あたりの照射量が800mJ/cmになるように調節し、塗工フィルムをコンベアで当該光照射下を2回通過させた。
得られた硬化膜を有するフィルムを、90℃の通風乾燥機で300時間加熱し、加熱前後の色差、ヘイズを測定した。
<色差の測定>
日本電色工業(株)製分光色彩計SE-2000(商品名)を用いて、黄色度(YI)を測定した(YIは下式の通り)。ΔYIは3.5以下が好ましい。
YI = 100(1.28X-1.06Z)/Y (X,Y,Zは色座標系)
ΔYI = YI-YI (YIは加熱試験前のYIを示す)
<ヘイズの測定>
日本電色工業(株)製NDH2000(商品名)を用いて測定を行い、加熱前後のヘイズの差(Δヘイズ)を評価した。Δヘイズは7.0以下が好ましい。
(3)耐候性の評価
基材フィルムとしてゼオノアZF14-100(商品名、日本ゼオン(株)製シクロオレフィンポリマー、膜厚;100μm)を用意し、その両端にテープを貼り、当該基材フィルムの表面にバーコータ#0を用いて、乾燥後の膜厚が50~60μmになるように前記実施例及び比較例で得られた紫外線硬化性組成物を塗布した。次いで、通風乾燥機で、90℃、10分乾燥させ、組成物の乾燥塗膜を有する塗工フィルムを得た。
次いで、上記(1)の引張物性の評価と同様に、高圧水銀ランプを用いて紫外線照射を行った。
次いで、メタルウェザーメーター(ダイプラ・ウィンテス社製「DAIPLA METAL WEATHER KU-R5NCI-A」(商品名))に入れ、促進耐候試験を行った。条件は照射63℃、70%RH、照度80mW/cmとし、2時間に1回2分間のシャワーで、300時間試験を実施した。
試験前後の色差、ヘイズを上記(2)の耐熱性の評価と同様に評価した。
Figure 2022086816000004
Figure 2022086816000005
表3及び4における略号は、下記を意味する。
・Tinuvin928:2-(2H-Benzotriazol-2-yl)-6-(1-methyl-1-phenylethyl)-4-(1,1,3,3-tetramethylbutyl)phenol〔Tinuvin 928(商品名)、BASFジャパン製、分子量:441.6、融点:109-113℃〕
・Tinuvin400:2-[4-[(2-Hydroxy-3-dodecyloxypropyl)oxy]-2-hydroxyphenyl]-4,6-bis(2,4-dimethylphenyl)-1,3,5-triazine 及び2-[4-[(2-Hydroxy-3-tridecyloxypropyl)oxy]-2-hydroxyphenyl]-4,6-bis(2,4-dimethylphenyl)-1,3,5-triazine(約85%)、1-methoxy-2-propanol(約15%)〔Tinuvin 400(商品名)、BASFジャパン製、分子量:647、動粘度:~11700mPa・s/20℃〕
・Tinuvin479:ヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系 紫外線吸収剤〔Tinuvin 479(商品名)、BASFジャパン製、融点:68-102℃〕
・Tinuvin249:中性タイプヒンダードアミン系光安定剤〔Tinuvin 249(商品名)、BASFジャパン製、分子量:約482、動粘度:626mPa・s/20℃、融点:-46℃〕
・Tinuvin123: Decanedioic acid, bis(2,2,6,6-tetramethyl-1-(octyloxy)-4-piperidinyl)ester, reaction products with 1,1-dimethylethylhydroperoxide and octane〔Tinuvin 123(商品名)、BASFジャパン製、分子量:737、動粘度:~6300mPa・s/20℃〕
・M-215:イソシアヌル酸エチレンオキサイド3モル付加物のジアクリレート〔アロニックスM-215(商品名)、東亞合成(株)製〕
・M-1200:ポリエステル系ウレタンアクリレート(Mw=4,500)〔アロニックスM-1200(商品名)、東亞合成(株)製〕
・Omni184:1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン〔Omnirad184(商品名)、IGM RESINS B.V.社製〕
表3の結果から、以下のことがわかる。
実施例1~28の組成物は、いずれも耐候性に優れ、引張物性及び耐熱性にも優れていた。
これに対し、UVA及びHALSを共重合して得られた重合体A’-1を含む比較例1の組成物は、硬化物表面の耐候性が不十分であった。又、ウレタンアクリレートに(B1)成分及び(B2)成分を含む比較例2の組成物は、耐熱性及び耐候性の点で劣っていた。
実施例4~9から、(A)成分の分子量が大きい程、破断強度、耐熱性及び耐候性が向上する傾向があった。
UVA、及びHALSをそれぞれ単独で使用した実施例20~24の組成物と、これらを併用した実施例4の組成物との対比から、これらを併用した場合の方が耐候性に優れていた。
不飽和化合物(a2)としてAA等の低分子量化合物を用いた(A)成分を含む組成物(例えば、実施例1及び3)より、不飽和化合物(a2)としてM5300等のオリゴマーを用いた(A)成分を含む組成物(例えば、実施例2及び4)の方が、引張物性(特に伸び率)の点で優れていた。
3.実施例29~56、比較例3~4(電子線硬化性組成物)
表5及び6に示す原料を使用し、表5及び6に示す量比に従い撹拌・混合して電子線硬化性組成物を調製した。
平滑なガラス板上の両端にテープを貼り、前記実施例及び比較例で得られた電子線硬化性組成物を、バーコータ#0を用いて、乾燥後の膜厚が60~80μmになるように塗布し、通風乾燥機で、90℃、10分乾燥させ、組成物の乾燥塗膜を有する塗工フィルムを得た。
次いで、塗工フィルムに対して、(株)NHVコーポレーション製の電子線照射装置により、加速電圧150kV、線量150kGy(ビーム電流及び搬送速度で調節)、酸素濃度300ppm以下の条件下で電子線照射を行い、硬化物を得た。
硬化物をガラス板から剥離して、実施例1~28と同様に、硬化物の引張物性、耐熱性及び耐候性の評価を実施した。それらの結果を表5及び6に示す。表5及び6の略号は、表3及び4と同様である。
表5及び6の結果から、電子線硬化性組成物も紫外線硬化性組成物と同様の傾向が見られたが、電子線硬化性組成物の方が耐熱性及び耐候性の点で優れていることがわかる。
Figure 2022086816000006
Figure 2022086816000007
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、硬化物が優れた耐候性、耐熱性、及び力学物性を有するものであり、塗料等のコーティング剤、及び接着剤に好適に用いられる。

Claims (9)

  1. 側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート系重合体(A)(以下、「(A)成分」という)、並びに、分子量が2,000以下の紫外線吸収剤(B1)及び/又は分子量が2,000以下の光安定剤(B2)を含む活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. 前記(A)成分が、反応性基を有しない(メタ)アクリレート系単量体(a1-1)に由来する構成単位と、反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)に由来する構成単位とを含む共重合体(a1)(以下、「共重合体(a1)」という)と、前記反応性基に反応する基と(メタ)アクリロイル基と有する化合物(a2)(以下、「不飽和化合物(a2)」という)との反応物を含む、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 前記共重合体(a1)を構成する反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)が、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びイソシアネート基からなる群より選ばれた反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体である、請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. 前記共重合体(a1)を構成する反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)が、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体であり、前記不飽和化合物(a2)がカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有するオリゴマーである、請求項1~3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 前記不飽和化合物(a2)が、ガラス転移温度(Tg)が-30~-90℃の(メタ)アクリロイル基含有オリゴマー(a2-1)である、請求項1~4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  6. さらに、下記(D)成分を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
    (D)成分:(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物
  7. 活性エネルギー線が電子線である、請求項1~6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物を含むコーティング剤用活性エネルギー線硬化性組成物。
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物を含む接着剤用活性エネルギー線硬化性組成物。
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