JP6343126B2 - 植物抽出物またはその溶液に含まれるスチルベン類の安定化方法、及び、スチルベン類を含有した植物抽出物またはその溶液 - Google Patents

植物抽出物またはその溶液に含まれるスチルベン類の安定化方法、及び、スチルベン類を含有した植物抽出物またはその溶液 Download PDF

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Description

本発明は、植物抽出物またはその溶液に含まれるスチルベン類の安定化方法、及び、スチルベン類を含有した植物抽出物またはその溶液に関する。
パッションフルーツは、トケイソウ科トケイソウ属(Passiflora)の果物である。パッションフルーツの種子抽出物は、シミ、ソバカス、日焼けなどによる色素沈着の原因となるメラニンの生成を抑制する効果があり、この抑制効果の有効成分は、パッションフルーツの種子抽出物に含まれるピセアタンノールであることが報告されている(特許文献1を参照)。
また、テンニンカは、フトモモ科テンニンカ属(Rhodomyrtus)の常緑低木である。テンニンカ抽出物は、紫外線ダメージ回復効果があり、この回復効果の有効成分は、テンニンカ抽出物に含まれるピセアタンノールであることが報告されている(特許文献2を参照)。
ブラシノキはフトモモ科ブラシノキ属(Callistemon)の常緑の木本である。マキバブラシノキ(Callistemon rigidus)抽出物はMMP-2の阻害作用を有することが明らかとなっており、この阻害作用の有効成分の一つは、マキバブラシノキ抽出物に含まれるピセアタンノールであることが報告されている(非特許文献1を参照)。
特開2009−102298号公報 特開2012− 46448号公報
佐々木健郎他、東北薬科大学研究誌、57、61−65(2010)
本発明は、植物抽出物またはその溶液に含まれるスチルベン類の安定化方法、及び、植物抽出物またはその溶液を提供することを目的とする。
本発明者等は、パッションフルーツの種子抽出物の溶液に含まれるスチルベン類は、時間の経過に伴って、別の化合物へと変換されることを見出した。さらに、パッションフルーツの種子抽出物の溶液に、EDTAなどのキレート剤とアスコルビン酸などの抗酸化剤とを加えると、スチルベン類が別の化合物へと変換されるのを抑制できることを見出した。本発明は、これらの発見に基づき、完成されたものである。
本発明に係る、植物抽出物またはその溶液に含まれるスチルベン類の安定化方法は、植物抽出物またはその溶液にキレート剤と抗酸化剤とを加える工程を含む。
植物抽出物の溶液に含まれるスチルベン類の安定化方法であることが好ましい。
植物抽出物が、パッションフルーツ種子抽出物、テンニンカ抽出物、または、ブラシノキ抽出物であることが好ましい。
スチルベン類が、ピセアタンノールまたはスキルプシンBであることが好ましい。また、溶液の溶媒が、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、または、これらから選択される2以上の溶媒の混合溶媒であることが好ましい。
キレート剤が、EDTA、または、メタリン酸であることが好ましく、抗酸化剤が、アスコルビン酸、ビタミンE、ローズマリー抽出物、カテキン類、フェルラ酸、ヤマモモ抽出物、または、ルチン類であることが好ましい。
安定化方法は、植物抽出物またはその溶液に、シクロデキストリンを加える工程を更に含んでいても良い。
植物抽出物が、植物から、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、または、これらから選択される2以上の溶媒の混合溶媒を溶媒として抽出された物であることが好ましい。
本発明に係るスチルベン類を含有した植物抽出物またはその溶液は、キレート剤と抗酸化剤とを含む。
植物抽出物またはその溶液を製造する工程で、キレート剤と抗酸化剤とが添加されても良い。
植物抽出物が、パッションフルーツ種子抽出物、テンニンカ抽出物、または、ブラシノキ抽出物であることが好ましい。
スチルベン類が、ピセアタンノールまたはスキルプシンBであることが好ましい。また、溶液の溶媒が、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、または、これらから選択される2以上の溶媒の混合溶媒であることが好ましい。
キレート剤が、EDTA、または、メタリン酸であることが好ましく、抗酸化剤が、アスコルビン酸、ビタミンE、ローズマリー抽出物、カテキン類、フェルラ酸、ヤマモモ抽出物、または、ルチン類であることが好ましい。
植物抽出物またはその溶液がシクロデキストリンをさらに含んでいても良い。植物抽出物が、植物から、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、または、これらから選択される2以上の溶媒の混合溶媒を溶媒として抽出された物であることが好ましい。
本発明によって、植物抽出物またはその溶液に含まれるスチルベン類の安定化方法、及び、植物抽出物またはその溶液を提供することが可能になった。
本発明の一実施形態に係る、ピセアタンノールの残存率の変化を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る、スキルプシンBの残存率の変化を示すグラフである。 本発明の別の実施形態に係る、ピセアタンノールの残存率の変化を示すグラフである。 本発明の別の実施形態に係る、スキルプシンBの残存率の変化を示すグラフである。 本発明のさらに別の実施形態に係る、ピセアタンノールの残存率を示すグラフである。 本発明のまた別の実施形態に係る、ピセアタンノールの残存率を示すグラフである。
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、および、そのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をこれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==キレート剤と抗酸化剤とを含む、スチルベン類を含有した植物抽出物またはその溶液==
本発明の一実施形態は、キレート剤と抗酸化剤とを含む、スチルベン類を含有した植物抽出物またはその溶液である。このような構成とすることによって、抽出物またはその溶液に含まれるスチルベン類が別の化合物へと変換されるのを抑制し、その安定性を向上させることができるため、植物抽出物またはその溶液を、スチルベン類の濃度を高濃度に保ったまま、長期間保存することができる。
スチルベン類とは、スチルベン骨格を基本とした化合物の総称であり、例えば、スチルベン、ピセアタンノール、スキルプシンA、スキルプシンB、スキルプシンC、ラポンチゲニン、イソラポンチゲニン、プテロスチルベン、レスベラトロール、オキシレスベラトロール、ピセイド、アストリンジン、ラポンチシン、及び、ε-ビニフェリンなどが挙げられる。スチルベン類は、単量体、二量体などの多量体、または、配糖体であっても良い。スチルベン類の分子量は、特に限定されないが、例えば、2000以下であっても良く、1000以下であることが好ましく、600以下であることがより好ましい。
Figure 0006343126
また、植物の種類は、スチルベン類を含む植物であれば特に限定されず、パッションフルーツ(例えば、Passiflora edulis、Passiflora alata、Passiflora amethystine、Passiflora antioquiensis、Passiflora biflora、Passiflora buonapartea、Passiflora capsularis、Passiflora cearensis、Passiflora coccinea、Passiflora cochinchinesis、Passiflora filamentosa、Passiflora herbertiana、Passiflora laurifolia、Passiflora ligularis、Passiflora lunata、Passiflora lutea、Passiflora maliformis、Passiflora mixta、Passiflora mucronata、Passiflora mollissima、Passiflora nibiba、Passiflora organensis、Passiflora pallida、Passiflora parahypensis、Passiflora pedeta、Passiflora pinnatistipula、Passiflora popenovii、Passiflora quadrangularis、Passiflora riparia、Passiflora rubra、Passiflora serrate、Passiflora tiliaefolia、Passiflora tripartite、Passiflora villosa、Passiflora warmingiiなど)(例えば種子)、テンニンカ(例えば、Rhodomyrtus tomentosaなど)、ブラシノキ(例えば、Callistemon rigidusなど)(例えば茎)、カラガナチベチカ(Caragana tibetica)(例えば茎)、イタドリ(Fallopia japonica)(例えば根)、落花生(Arachis hypogaea)、ブドウ(Vitaceae)(例えば果実)、ブルーベリー(Cyanococcus)(例えば果実)、
ディアベリー(Vaccinium stamineum)(例えば果実)などが挙げられるが、例えば、ピセアタンノールを高濃度で含むことが知られている、パッションフルーツ、テンニンカ、または、ブラシノキであることが好ましい。テンニンカである場合には、植物全体のうち、どの部分であっても良いが、例えば、果実、花、種子、葉、枝、樹皮、幹、茎、または、根であっても良く、果実であることが好ましい。
キレート剤と抗酸化剤とを含む、スチルベン類を含有した植物抽出物またはその溶液の使用方法は特に限定されないが、ヒト及びヒト以外の動物や、それらの細胞などを対象として使用でき、食品、医薬、医薬部外品、試薬、または、化粧品などに用いることができる。
植物抽出物またはその溶液を使用する際は、植物抽出物が粉末などの固体であれば、再度溶液にしてもよく、植物抽出物の溶液であれば、さらに濃縮や希釈をしてもよく、および/または、ゼリー状、プリン状またはクリーム状などの半固体にしてもよく、どのような最終の使用形状にするかは、当業者が適宜決めることができる。
==スチルベン類を含有した植物抽出物またはその溶液の製造方法==
本発明で用いるスチルベン類を含有した植物抽出物またはその溶液は、植物から抽出された成分を含有し、この成分の少なくとも一部としてスチルベン類を含む。
植物抽出物の具体的な製造方法として、公知の方法を用いることができ、例えば、植物を、乾燥した後に、破砕、粉砕、または、切断などし、溶媒を用いて抽出することによって抽出液を得、さらに、抽出液から溶媒を留去することによって、植物抽出物を製造しても良い。
抽出に用いる溶媒の種類は、当業者であれば適切に選択することができるが、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、2−プロパノール、1,4−ジオキサン、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、または、これらから選択される2以上の溶媒の混合溶媒であっても良く、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、または、これらから選択される2以上の溶媒の混合溶媒であることが好ましく、水、エタノール、または、水およびエタノールの混合溶媒であることがより好ましい。混合溶媒を用いる場合の、各溶媒の混合比は特に限定されないが、例えば水およびエタノールの混合溶媒を用いる場合には、水とエタノールとの体積比は、1:99〜99:1であっても良く、3:97〜80:20であることが好ましく、5:95〜50:50であることがより好ましく、10:90〜40:60であることが特に好ましい。
溶媒として、水、または、水との混合溶媒を用いる場合には、熱水、または、熱水との混合溶媒であることが好ましい。水、または、水との混合溶媒は塩を含んでいても良く、塩を含む溶媒の例として、バッファー(緩衝液)であっても良い。バッファーのpHは、特に限定されず、酸性、中性、または、アルカリ性のいずれであっても良いが、酸性であることが好ましく、pH6以下の酸性であることがより好ましく、pH1〜pH5の酸性であることがさらに好ましい。バッファーに用いる塩の種類は特に限定されず、例として、クエン酸塩、リンゴ酸塩、リン酸塩、酢酸塩および炭酸塩などが挙げられる。
抽出液から溶媒を留去する方法は、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、減圧留去、凍結乾燥、または、スプレードライ(噴霧乾燥)であっても良いが、凍結乾燥、または、スプレードライであることが好ましく、スプレードライであることがより好ましい。
植物抽出物の形状は、特に限定されず、例えば粉体などの固体状、アモルファス状、または、オイル状であっても良いが、抽出に用いた溶媒は実質的に除去されている。
また、植物抽出物は、スチルベン類以外の植物から抽出された成分を含んでも良い。
植物抽出物は、含まれるスチルベン類の安定性が著しく損なわれない限り、植物抽出物以外の物質を含んでいても良いが、例えば、ウィルスや生きた細胞は含まないことが好ましい。
植物抽出物中には、植物抽出物が由来する植物から抽出されたスチルベン類以外に、別途抽出または合成されたスチルベン類が添加されていても良い。
なお、植物がパッションフルーツの場合、植物抽出物は、パッションフルーツの果肉の抽出物を含んでいても良く含まなくても良いが、実質的に含まないことが好ましい。
植物抽出物の溶液を製造する方法は、特に限定されず公知の方法を用いることができるが、例えば、植物抽出物を希釈することによって製造しても良く、もしくは、植物抽出物の少なくとも一部を溶媒で溶解することによって製造しても良い。または、植物抽出物を製造する過程で得られる抽出液を、そのまま、植物抽出物の溶液として用いても良く、もしくは、抽出液を希釈、濃縮、もしくは濃縮及び希釈したものを、植物抽出物の溶液として用いても良い。このように、植物抽出物の溶液の形状は、植物抽出物及び溶媒を実質的に含んでいれば特に限定されず、例えば澄んだ溶液、濁りや沈殿が生じた溶液(懸濁液)、または、スラリー状であっても、本明細書では、植物抽出物の溶液に含まれるものとする。
植物抽出物を溶解もしくは希釈する溶媒、または、抽出液を希釈する際に用いる溶媒の種類は、特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、2−プロパノール、1,4−ジオキサン、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、または、これらから選択される2以上の溶媒の混合溶媒であっても良く、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、または、これらから選択される2以上の溶媒の混合溶媒であることが好ましく、水、エタノール、または、水およびエタノールの混合溶媒であることがより好ましい。混合溶媒を用いる場合の、各溶媒の混合比は特に限定されない。水、または、水との混合溶媒は、塩を含んでいても良く、塩を含む溶媒の例として、バッファー(緩衝液)であっても良い。バッファーのpHは、特に限定されず、酸性、中性、または、アルカリ性のいずれであっても良いが、酸性であることが好ましく、pH6以下の酸性であることがより好ましく、pH1〜pH5の酸性であることがさらに好ましい。バッファーに用いる塩の種類は特に限定されず、例として、クエン酸塩、リンゴ酸塩、リン酸塩、酢酸塩および炭酸塩などが挙げられる。
なお、植物抽出物の溶液の形状は、上述したように、濁りや沈殿が生じた溶液(懸濁液)であっても良いが、この場合には、沈殿や濁りは、例えばろ過、遠心分離、または、デカンテーションなどの方法により除去することが好ましい。
==植物抽出物またはその溶液に含まれるスチルベン類の安定化方法==
本発明の一実施形態である、植物抽出物またはその溶液に含まれるスチルベン類の安定化方法は、植物抽出物またはその溶液にキレート剤と抗酸化剤とを加える工程を含む。
このように、植物抽出物またはその溶液に、キレート剤と抗酸化剤とを加えることによって、スチルベン類が別の化合物へ変換されるのを抑制することができる。即ち、スチルベン類の安定性を向上させることができる。
植物抽出物またはその溶液に、キレート剤と抗酸化剤を加えるタイミングは特に限定されず、上述したように植物抽出物またはその溶液を製造する工程の途中で、キレート剤と抗酸化剤を添加しても良く、植物抽出物またはその溶液を製造した後で、キレート剤と抗酸化剤を添加しても良い。また、キレート剤と抗酸化剤とは、同時に添加しても良いが、両方の相乗的効果が発揮される限り、別々に添加しても良い。
抗酸化剤と組み合わせてスチルベン類の安定性を向上させることができるキレート剤は、特に限定されず、例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ピロリン酸、メタリン酸、グリシン、及び、これらから選択される2以上のキレート剤の混合物が挙げられ、EDTA、ピロリン酸、メタリン酸、及び、これらから選択される2以上の混合物であることが好ましく、EDTA、メタリン酸、及び、これらから選択される2以上の混合物であることがより好ましく、EDTA、メタリン酸、及び、これらの混合物であることがさらに好ましい。なお、ピロリン酸とは、Hで表される二リン酸のことであり、メタリン酸とは、Hn+2n3n+1で表されるnが3以上の縮合リン酸のことである。
キレート剤が酸である場合には、遊離酸であっても良く、塩であっても良い。例えば、キレート剤としてEDTAを用いる場合には、遊離のEDTAであっても良く、EDTAの塩であっても良く、また、キレート剤として、メタリン酸を用いる場合には、遊離のメタリン酸であっても良く、メタリン酸の塩であっても良い。EDTAの塩の具体例として、EDTA・2Naが挙げられ、また、メタリン酸の塩の具体例として、グラハム塩が挙げられる。
植物抽出物またはその溶液中のキレート剤濃度は、スチルベン類の安定性や、植物抽出物またはその溶液の用途を考慮しながら、当業者は適宜適切に設定することができるが、例えば、0.0001重量%〜50重量%であっても良いが、0.001重量%〜10重量%であることが好ましい。また、植物抽出物の原料となった植物の乾燥体の重量に対して、0.000001重量%〜10000重量%であっても良いが、0.00001重量%〜5000重量%であることが好ましい。
キレート剤と組み合わせてスチルベン類の安定性を向上させることができる抗酸化剤は、特に限定されず、例えば、アスコルビン酸、ビタミンE、ローズマリー抽出物、カテキン類、フェルラ酸、ヤマモモ抽出物、ルチン類、及び、これらから選択される2以上の抗酸化剤の混合物が挙げられ、アスコルビン酸、ビタミンE、フェルラ酸、ルチン類、及び、これらから選択される2以上の混合物であることが好ましく、アスコルビン酸であることがより好ましい。
なお、カテキン類は、抗酸化作用を有する限り特に限定されないが、例えば、エピガロカテキンガレートであっても良く、エピガロカテキンガレートを含有するテアビゴであっても良い。また、ルチン類は、抗酸化作用を有する限り特に限定されないが、例えば、酵素処理イソクエルシトリンやグルコシルルチンであっても良く、ルチン類を含有するサンメリンAO−3000であっても良い。
アスコルビン酸は、光学活性体であっても良く、ラセミ及び/またはジアステレオマー混合物であっても良いが、光学活性体であることが好ましく、L−アスコルビン酸であることがより好ましい。アスコルビン酸は、遊離酸であっても良く、塩であっても良いが、遊離酸であることが好ましい。
植物抽出物またはその溶液中の抗酸化剤濃度は、スチルベン類の安定性や、植物抽出物またはその溶液の用途を考慮しながら、当業者は適宜適切に設定することができるが、例えば、0.0001重量%〜50重量%であっても良いが、0.001重量%〜10重量%であることが好ましい。また、植物抽出物の原料となった植物の乾燥体の重量に対して、0.000001重量%〜10000重量%であっても良いが、0.00001重量%〜5000重量%であることが好ましい。
植物抽出物またはその溶液に、シクロデキストリンを更に加えても良い。シクロデキストリンの種類は、特に限定されないが、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、または、γ−シクロデキストリンであっても良く、α−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリンであることが好ましく、α−シクロデキストリンであることがさらに好ましい。植物抽出物またはその溶液中のシクロデキストリン濃度は、スチルベン類の安定性や、植物抽出物またはその溶液の用途を考慮しながら、当業者は適宜適切に設定することができるが、例えば、0.0001重量%〜50重量%であっても良いが、0.001重量%〜10重量%であることが好ましい。また、植物抽出物の原料となった植物の乾燥体の重量に対して、0.000001重量%〜10000重量%であっても良いが、0.00001重量%〜5000重量%であることが好ましい。
シクロデキストリンを加えることによって、植物抽出物またはその溶液中のスチルベン類の安定性がさらに向上する。加えるシクロデキストリンの種類によって、安定性が向上するスチルベン類の種類が異なり、例えば、α−シクロデキストリンを加えると、スチルベン類のうち、ピセアタンノールの安定性が向上する。また、β−シクロデキストリンを加えると、スチルベン類のうち、ピセアタンノール及びスキルプシンBの安定性が向上する。
植物抽出物またはその溶液に、シクロデキストリンを加えるタイミングは特に限定されず、上述したように植物抽出物またはその溶液を製造する工程の途中で、シクロデキストリンを添加しても良く、植物抽出物またはその溶液を製造した後で、シクロデキストリンを添加しても良い。
このように、本発明に係る安定化方法によって、植物抽出物またはその溶液に含まれるスチルベン類を安定化することができる。この結果、植物抽出物またはその溶液に、スチルベン類を、長期間、高濃度で存在させることが可能となった。
なお、本発明に係る安定化方法を参照することによって、本発明に係るキレート剤と抗酸化剤とを含む植物抽出物またはその溶液を製造することができる。
==植物抽出物またはその溶液においてスチルベン類を安定化するキレート剤と抗酸化剤との組み合わせを選択する方法==
植物抽出物またはその溶液に含まれるスチルベン類を安定化するのに用いるキレート剤は、キレート剤として知られる公知の物質の中から適宜選択することができる。即ち、当業者であれば、公知のキレート剤の中から、抗酸化剤と組み合わせることによって、スチルベン類の安定性を向上させることができる物を、例えば本願実施例のような安定性試験を行うことによって、容易に、そして、適切に選択することができる。
同様に、植物抽出物またはその溶液に含まれるスチルベン類を安定化するのに用いる抗酸化剤は、抗酸化剤として知られる公知の物質の中から適宜選択することができる。即ち、当業者であれば、公知の抗酸化剤の中から、キレート剤と組み合わせることによって、スチルベン類の安定性を向上させることができる物を、例えば本願実施例のような安定性試験を行うことによって、容易に、そして、適切に選択することができる。
本発明の一実施形態である、植物抽出物またはその溶液においてスチルベン類を安定化するキレート剤と抗酸化剤との組み合わせを選択する方法は、植物抽出物またはその溶液に、キレート剤と抗酸化剤とを添加する工程と、キレート剤と抗酸化剤とが添加された植物抽出物またはその溶液において、スチルベン類の濃度を調べる工程とを含む方法によって、キレート剤と抗酸化剤との組み合わせがスチルベン類を安定化するかどうかを調べる工程と、スチルベン類を安定化したキレート剤と抗酸化剤の組み合わせを選択する工程と、を含む。
ここで用いる植物抽出物またはその溶液は、「植物抽出物またはその溶液の製造方法」及び「植物抽出物またはその溶液に含まれるスチルベン類の安定化方法」を参照することによって製造できる。
候補として添加するキレート剤と抗酸化剤とは、公知のものから、適宜選択できる。
スチルベン類の濃度は、HPLC、GC、MS、TLC、または、NMRなどの公知の方法によって測定できるので、経時的に、キレート剤と抗酸化剤とを添加した植物抽出物またはその溶液中のスチルベン類の濃度を測定し、キレート剤と抗酸化剤とを添加しない植物抽出物またはその溶液中のスチルベン類の濃度と比較することによって、そのキレート剤と抗酸化剤との組み合わせがスチルベン類を安定化するかどうかを調べることができる。そして、実際に安定化した組み合わせを選択し、植物抽出物またはその溶液に添加することによって、上述したような様々な用途に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、下記の実施例は本発明の範囲を限定するために記載されるものではない。
[実施例1]
パッションフルーツ(Passiflora edulis)の種子を破砕し、含水エタノール(水:エタノール=20:80(v/v))で抽出した。含水エタノール抽出液を、適量にまで濃縮した後、スプレードライすることによって、パッションフルーツ種子抽出物を粉体として得た。得られた抽出物の組成を調べたところ、抽出物はピセアタンノール及びスキルプシンBをはじめとするスチルベン類を含有していた。
この抽出物を用いて、キレート剤であるEDTA、及び/または、抗酸化剤であるL−アスコルビン酸による、スチルベン類の安定性試験を行った。
パッションフルーツ種子抽出物を、pH3.5の0.14Mクエン酸−0.11Mリン酸バッファーに室温にて溶解させることによって、0.5重量%の抽出物水溶液を得た。抽出物水溶液(試験1)、抽出物水溶液に0.37重量%でEDTA・2Na(株式会社同仁化学研究所製)を添加した溶液(試験2)、抽出物水溶液に0.10重量%でL−アスコルビン酸(和光純薬工業製)を添加した溶液(試験3)、及び、抽出物水溶液に0.37重量%でEDTA・2Na及び0.10重量%でL−アスコルビン酸を添加した溶液(試験4)の4種類の水溶液を調製した。
これら4種類の水溶液を、それぞれ50℃の恒温器中で7日間加温した。加温を始める直前、並びに、加温開始から2日後及び7日後に、各水溶液について、ピセアタンノールの量及びスキルプシンBの量を、下記の条件のHPLCを用いて測定した。
[HPLC条件]
・カラム:Mightysil RP-18 GP250-10 径10 mm、長さ250 mm(関東化学株式会社製)
・カラム温度:40℃
・溶出条件:流速3mL/min、0%メタノール−100%純水 → 30%メタノール−70%純水(グラジエント、10min)
・UV検出:280nm
加熱を始める直前のピセアタンノールの量を100とした場合の、加温開始から2日後及び7日後のピセアタンノールの量の測定結果を表1及び図1に、加熱を始める直前のスキルプシンBの量を100とした場合の、加温開始から2日後及び7日後のスキルプシンBの量の測定結果を表2及び図2に示す。
Figure 0006343126
Figure 0006343126
表1及び図1が示すように、EDTAのみを添加した試験2では、何も添加していない試験1に比べ、ごく僅かにピセアタンノールの残存率が向上した。一方で、L−アスコルビン酸のみを添加した試験3では、何も添加していない試験1に比べ、ピセアタンノールの残存率が7日後では3割近く減少していた。これらの結果に対し、EDTAとL−アスコルビン酸との両方を添加した試験4では、ピセアタンノールの残存率が飛躍的に向上し、2日後で97%、7日後でも88%が残存していた。
また、スキルプシンBの残存率をまとめた表2及び図2が示すように、EDTAのみを添加した試験2では、何も添加していない試験1に比べ、僅かにスキルプシンBの残存率が向上した。L−アスコルビン酸のみを添加した試験3では、何も添加していない試験1と、同程度の残存率となった。これらの結果に対し、EDTAとL−アスコルビン酸との両方を添加した試験4では、スキルプシンBの残存率が飛躍的に向上し、7日後では、何も添加していない試験1に比べて4倍の残存率となった。
このように、スチルベン類を含有する溶液に、キレート剤であるEDTAと抗酸化剤であるL−アスコルビン酸とを添加することによって、スチルベン類の安定性が飛躍的に向上した。
[実施例2]
実施例1で得たスチルベン類を含有するパッションフルーツ種子抽出物を用いて、メタリン酸塩及び/またはアスコルビン酸による、スチルベン類の安定性試験を行った。即ち、実施例1では、キレート剤としてEDTAを用いたが、実施例2ではEDTAの代わりにメタリン酸ナトリウムを用いて、安定性試験を行った。
パッションフルーツ種子抽出物を、pH3.5の0.1M酢酸バッファーに室温にて溶解させることによって、0.5重量%の抽出物水溶液を得た。抽出物水溶液(試験1)、抽出物水溶液に0.11重量%でメタリン酸ナトリウム(グラハム塩、和光純薬工業製)を添加した溶液(試験2)、抽出物水溶液に0.10重量%でL−アスコルビン酸を添加した溶液(試験3)、及び、抽出物水溶液に0.11重量%でメタリン酸ナトリウム及び0.10重量%でL−アスコルビン酸を添加した溶液(試験4)の4種類の水溶液を調製した。
これら4種類の水溶液を、それぞれ50℃の恒温器中で5日間加温した。加温を始める直前、及び、加温開始から5日後に、各溶液について、ピセアタンノールの量及びスキルプシンBの量を、実施例1と同じ条件にてHPLCにより測定した。加熱を始める直前のピセアタンノールの量を100とした場合の、加温開始から5日後のピセアタンノールの量の測定結果を表3及び図3に、加熱を始める直前のスキルプシンBの量を100とした場合の、加温開始から5日後のスキルプシンBの量の測定結果を表4及び図4に示す。
Figure 0006343126
Figure 0006343126
表3及び図3が示すように、メタリン酸ナトリウムのみを添加した試験2では、何も添加していない試験1に比べ、僅かにピセアタンノールの残存率が向上した。一方で、L−アスコルビン酸のみを添加した試験3では、何も添加していない試験1に比べ、ピセアタンノールの残存率が4割減少していた。これらの結果に対し、メタリン酸ナトリウムとL−アスコルビン酸との両方を添加した試験4では、ピセアタンノールの残存率が飛躍的に向上し、5日後でも93%が残存していた。
また、スキルプシンBの残存率をまとめた表4及び図4が示すように、メタリン酸ナトリウムのみを添加した試験2では、何も添加していない試験1に比べ、僅かにスキルプシンBの残存率が向上した。L−アスコルビン酸のみを添加した試験3では、何も添加していない試験1と、同程度の残存率となった。これらの結果に対し、メタリン酸ナトリウムとEDTAとL−アスコルビン酸との両方を添加した試験4では、スキルプシンBの残存率が飛躍的に向上し、5日後では、何も添加していない試験1に比べて2倍以上の残存率となった。
このように、キレート剤としてEDTAではなくメタリン酸塩を用いた場合であっても、キレート剤と抗酸化剤とを添加することによって、溶液中のスチルベン類の安定性が飛躍的に向上した。
[実施例3]
実施例1で得たスチルベン類を含有するパッションフルーツ種子抽出物を用いて、キレート剤としてEDTAを使用し、そして、抗酸化剤として種々の物質を使用することによる、スチルベン類の安定性試験を行った。即ち、実施例1では、抗酸化剤としてアスコルビン酸を用いたが、実施例3ではアスコルビン酸の他にも種々の抗酸化剤となる物質を用いて、安定性試験を行った。
パッションフルーツ種子抽出物を、pH3.5の0.14Mクエン酸−0.11Mリン酸バッファーに室温にて溶解させることによって、0.5重量%の抽出物水溶液を得た。抽出物水溶液(試験1)、抽出物水溶液に0.37重量%でEDTA・2Naを添加した溶液(試験2)、抽出物水溶液に0.37重量%でEDTA・2Na及び0.10重量%で抗酸化剤となる物質を添加した溶液(試験3〜試験10)、並びに、抽出物水溶液に0.37重量%でEDTA・2Na、0.10重量%で抗酸化剤となる化合物、及び、1.0重量%でα−シクロデキストリンを添加した溶液(試験11及び試験12)を調製した。
試験3〜試験10で用いた抗酸化剤となる物質は、それぞれ、L−アスコルビン酸(試験3)、ビタミンE(試験4)、ローズマリー抽出物(試験5)、テアビゴ(登録商標、エピガロカテキンガレートを含有、試験6)、フェルラ酸(試験7)、ヤマモモ抽出物(試験8)、サンメリンAO−3000(登録商標、酵素処理イソクエルシトリンを含有、試験9)、並びに、L−アスコルビン酸及びビタミンEの等重量混合物(試験10)である。また、試験11及び試験12で用いた抗酸化剤となる化合物は、ビタミンE(試験11)、並びに、L−アスコルビン酸及びビタミンEの等重量混合物(試験12)である。
これら12種類の水溶液を、それぞれ50℃の恒温器中で2日間加温した。加温を始める直前、及び、加温開始から2日後に、各溶液について、ピセアタンノールの量及びスキルプシンBの量を、実施例1と同じ条件にてHPLCにより測定した。加熱を始める直前のピセアタンノール及びスキルプシンBの量を100とした場合の、加温開始から2日後のピセアタンノール及びスキルプシンBの量の測定結果を表5に示す。また、試験1〜試験9のピセアタンノールの測定結果については、図5にも示す。
Figure 0006343126
表5及び図5が示すように、キレート剤であるEDTAと各種抗酸化剤とを添加した試験3〜試験9では、いずれの試験においても、何も添加していない試験1に比べ、ピセアタンノール及びスキルプシンBの残存率が向上した。特に、アスコルビン酸、ビタミンE、フェルラ酸、及び、サンメリンAO−3000を使用した、試験3、試験4、試験7、及び、試験9では、EDTAのみを添加した試験2と比べても、ピセアタンノール及びスキルプシンBの残存率が向上した。
加えて、表5が示すように、抗酸化剤としてアスコルビン酸及びビタミンEの2種類を添加した試験10及び試験12においても、ピセアタンノール及びスキルプシンBの残存率が向上した。また、キレート剤及び抗酸化剤の他に、α−シクロデキストリンを添加した試験11及び試験12においては、α−シクロデキストリンを添加していない試験4及び試験10に比べて、ピセアタンノールの残存率がさらに向上した。
このように、抗酸化剤としてアスコルビン酸ではなく、抗酸化剤となる種々の物質を用いた場合であっても、キレート剤と抗酸化剤とを添加することによって、溶液中のスチルベン類の安定性が向上した。さらに、抗酸化剤の中から特に優れた効果を奏するものを、実施例3のような安定性試験を行うことによって、当業者であれば適切に選択することができる。実施例3では、特に優れた効果を奏する抗酸化剤の例として、アスコルビン酸、ビタミンE、フェルラ酸、及び、サンメリンを挙げた。
抗酸化剤は、単一種類を用いた場合であっても複数種類を組み合わせた場合であっても、スチルベン類の安定性が向上した。キレート剤及び抗酸化剤の他に、α−シクロデキストリンを添加することによって、溶液中のピセアタンノールの安定性がさらに向上した。
[実施例4]
実施例1で得たスチルベン類を含有するパッションフルーツ種子抽出物を用いて、抗酸化剤としてアスコルビン酸を使用し、そして、キレート剤として種々の物質を使用することによる、スチルベン類の安定性試験を行った。即ち、実施例1では、キレート剤としてEDTAを用いたが、実施例4ではEDTAの他にも種々のキレート剤となる物質を用いて、安定性試験を行った。
パッションフルーツ種子抽出物を、pH3.5の0.14Mクエン酸−0.11Mリン酸バッファーに室温にて溶解させることによって、0.5重量%の抽出物水溶液を得た。抽出物水溶液(試験1)、抽出物水溶液に0.10重量%でL−アスコルビン酸を添加した溶液(試験2)、並びに、抽出物水溶液に0.10重量%でL−アスコルビン酸、及び、各種濃度でキレート剤となる物質を添加した溶液(試験3〜試験7)を調製した。
試験3〜試験7で用いたキレート剤となる物質及びその濃度は、それぞれ、0.37重量%EDTA・2Na(試験3)、0.45重量%ピロリン酸(試験4)、0.45重量%メタリン酸(試験5)、0.90重量%フィチン酸(試験6)、及び、1.5重量%グリシン(試験7)である。
これら7種類の水溶液を、それぞれ50℃の恒温器中で4日間加温した。加温を始める直前、及び、加温開始から4日後に、各溶液について、ピセアタンノールの量及びスキルプシンBの量を、実施例1と同じ条件にてHPLCにより測定した。加熱を始める直前のピセアタンノール及びスキルプシンBの量を100とした場合の、加温開始から4日後のピセアタンノール及びスキルプシンBの量の測定結果を表6に示す。また、ピセアタンノールの測定結果については、図6にも示す。
Figure 0006343126
表6及び図6が示すように、抗酸化剤であるアスコルビン酸と各種キレート剤とを添加した試験3〜試験7では、フィチン酸を用いた試験6を除いて、アスコルビン酸のみを添加した試験2よりも、ピセアタンノール及びスキルプシンBの残存率が向上した。特に、EDTA、及び、メタリン酸を使用した、試験3及び試験5では、抗酸化剤もキレート剤も加えていない試験1と比べても、ピセアタンノール及びスキルプシンBの残存率が向上した。
このように、キレート剤としてEDTAではなく、キレート剤となる種々の候補物質を用いた場合であっても、実施例4のような安定性試験を行うことによって、抗酸化剤と組み合わせて、溶液中のスチルベン類の安定性を向上させることができるキレート剤を、当業者であれば適切に選択することができる。実施例4では、候補となるキレート剤の例として、EDTA、ピロリン酸、メタリン酸、フィチン酸及びグリシンを挙げた。さらに、同じく安定性試験を行うことによって、キレート剤の中から優れた効果を奏する物を、当業者であれば適切に選択することができる。実施例4では、優れた効果を奏するキレート剤として、EDTA、ピロリン酸、メタリン酸及びグリシンを挙げ、特に優れた効果を奏するキレート剤として、EDTA及びメタリン酸を挙げた。

Claims (6)

  1. パッションフルーツ種子抽出物、テンニンカ抽出物、または、ブラシノキ抽出物またはその溶液を含む食品に含まれるピセアタンノールまたはスキルプシンBの安定化方法であって、前記食品にEDTAまたはメタリン酸と抗酸化剤とを加える工程を含み、前記抗酸化剤が、アスコルビン酸、ビタミンE、ローズマリー抽出物、カテキン類、フェルラ酸、ヤマモモ抽出物、または、ルチン類である、安定化方法。
  2. 前記溶液の溶媒が、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、または、これらから選択される2以上の溶媒の混合溶媒であることを特徴とする、請求項1に記載の安定化方法。
  3. 前記植物抽出物またはその溶液にシクロデキストリンを加える工程を更に含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の安定化方法。
  4. パッションフルーツ種子抽出物、テンニンカ抽出物またはブラシノキ抽出物、またはそれらの溶液、EDTAまたはメタリン酸、及び抗酸化剤を含み、前記抗酸化剤が、アスコルビン酸、ビタミンE、ローズマリー抽出物、カテキン類、フェルラ酸、ヤマモモ抽出物、または、ルチン類である、食品。
  5. 前記溶液の溶媒が、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、または、これらから選択される2以上の溶媒の混合溶媒であることを特徴とする、請求項4に記載の食品。
  6. シクロデキストリンをさらに含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の食品。
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