JP6209360B2 - ピセアタンノール溶液、及び、ピセアタンノール溶液の安定化方法 - Google Patents

ピセアタンノール溶液、及び、ピセアタンノール溶液の安定化方法 Download PDF

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Description

本発明は、ピセアタンノール溶液、及び、ピセアタンノール溶液の安定化方法に関する。
ピセアタンノールは、スチルベン類の化合物であって、例えば、トケイソウ科トケイソウ属(Passiflora)の果物であるパッションフルーツの種子に含まれており、シミ、ソバカス、日焼けなどによる色素沈着の原因となるメラニンの生成を抑制する効果があることが報告されている(特許文献1を参照)。
また、テンニンカは、フトモモ科テンニンカ属(Rhodomyrtus)の常緑低木である。テンニンカ抽出物は、紫外線ダメージ回復効果があり、この回復効果の有効成分は、テンニンカ抽出物に含まれるピセアタンノールであることが報告されている(特許文献2を参照)。
ブラシノキはフトモモ科ブラシノキ属(Callistemon)の常緑の木本である。マキバブラシノキ(Callistemon rigidus)抽出物はMMP-2の阻害作用を有することが明らかとなっており、この阻害作用の有効成分の一つは、マキバブラシノキ抽出物に含まれるピセアタンノールであることが報告されている(非特許文献1を参照)。
特開2009−102298号公報 特開2012− 46448号公報
佐々木健郎他、東北薬科大学研究誌、57、61−65(2010)
本発明は、ピセアタンノール溶液、及び、ピセアタンノール溶液の安定化方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、ピセアタンノールは、溶液中において不安定であり、時間の経過に伴って別の化合物へと変換され、減衰することを見出した。さらに、ピセアタンノール溶液に、キレート剤を加えると、ピセアタンノールの減衰を抑制できることを見出した。本発明は、これらの発見に基づき、完成されたものである。
本発明に係るピセアタンノール溶液は、キレート剤を含む。
溶液の溶媒が、含水溶媒であっても良く、水、または、水とエタノールおよび/または1,3−ブチレングリコールとの混合溶媒であることが好ましい。これらの場合において、溶液のpHが1〜8であることが好ましく、溶液のpHが2〜5であることがより好ましい。
溶液の溶媒がクエン酸−リン酸バッファーであって、溶液のpHが2〜4であることが好ましい。または、溶液の溶媒が酢酸バッファーであって、溶液のpHが3〜5であることが好ましい。
キレート剤が、EDTA、または、メタリン酸であることが好ましい。
溶液は、抗酸化剤をさらに含んでいても良く、抗酸化剤が、アスコルビン酸であっても良い。
本発明に係るピセアタンノール溶液の安定化方法は、溶液にキレート剤を加える工程を含む。
溶液の溶媒が、含水溶媒であっても良く、水、または、水とエタノールおよび/または1,3−ブチレングリコールとの混合溶媒であることが好ましい。これらの場合において、溶液のpHが1〜8であることが好ましく、溶液のpHが2〜5であることがより好ましい。
溶液の溶媒がクエン酸−リン酸バッファーであって、溶液のpHが2〜4であることが好ましい。または、溶液の溶媒が酢酸バッファーであって、溶液のpHが3〜5であることが好ましい。
キレート剤が、EDTA、または、メタリン酸であることが好ましい。
安定化方法は、溶液に抗酸化剤を加える工程をさらに含んでも良く、抗酸化剤が、アスコルビン酸であっても良い。
本発明によって、ピセアタンノール溶液、及び、ピセアタンノール溶液の安定化方法を提供することが可能になった。
本発明の一実施形態に係る、ピセアタンノールの残存率の変化を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る、加温開始から10日後のピセアタンノールの残存率を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る、加温開始から20日後のピセアタンノールの残存率を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、および、そのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をこれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==キレート剤を含むピセアタンノール溶液==
本発明の一実施形態は、キレート剤を含むピセアタンノール溶液である。ピセアタンノール溶液をこのような構成とすることによって、溶液中のピセアタンノールが別の化合物へと変換されるのを抑制し、その安定性を飛躍的に向上させることができる。このため、例えば、ピセアタンノール溶液を、その濃度を高く保ったまま、長期間保存することができる。
キレート剤を含むピセアタンノール溶液を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、ピセアタンノールを溶媒に溶かすことによってピセアタンノール溶液を調製し、調製した溶液にキレート剤を添加することによって製造しても良い。ピセアタンノールの濃度は、特に限定されないが、例えば、0.0001mg/mL〜100mg/mLであっても良く、0.005mg/mL〜100mg/mLであることが好ましく、0.001mg/mL〜100mg/mLであることがさらに好ましい。
ピセアタンノールは、パッションフルーツ(例えば、Passiflora edulis、Passiflora alata、Passiflora amethystine、Passiflora antioquiensis、Passiflora biflora、Passiflora buonapartea、Passiflora capsularis、Passiflora cearensis、Passiflora coccinea、Passiflora cochinchinesis、Passiflora filamentosa、Passiflora herbertiana、Passiflora laurifolia、Passiflora ligularis、Passiflora lunata、Passiflora lutea、Passiflora maliformis、Passiflora mixta、Passiflora mucronata、Passiflora mollissima、Passiflora nibiba、Passiflora organensis、Passiflora pallida、Passiflora parahypensis、Passiflora pedeta、Passiflora pinnatistipula、Passiflora popenovii、Passiflora quadrangularis、Passiflora riparia、Passiflora rubra、Passiflora serrate、Passiflora tiliaefolia、Passiflora tripartite、Passiflora villosa、Passiflora warmingiiなど)(例えば種子)、テンニンカ(例えば、Rhodomyrtus tomentosaなど)、ブラシノキ(例えば、Callistemon rigidusなど)(例えば茎)、カラガナチベチカ(Caragana tibetica)(例えば茎)、イタドリ(Fallopia japonica)(例えば根)、落花生(Arachis hypogaea)、ブドウ(Vitaceae)(例えば果実)、ブルーベリー(Cyanococcus)(例えば果実)、ディアベリー(Vaccinium stamin
eum)(例えば果実)などの天然物由来であっても良く、合成品であっても良い。ピセアタンノールは、例えば、市販品を購入することによって入手できる。
ピセアタンノールの安定化に用いるキレート剤の種類は、特に限定されないが、例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ピロリン酸、メタリン酸、グリシン、ソルビトール、及び、これらから選択される2以上のキレート剤の混合物であっても良く、EDTA、メタリン酸、及び、これらの混合物であることがより好ましい。なお、ピロリン酸とは、Hで表される二リン酸のことであり、メタリン酸とは、Hn+2n3n+1で表されるnが3以上の縮合リン酸のことである。
キレート剤が酸である場合には、遊離酸であっても良く、塩であっても良い。例えば、キレート剤としてEDTAを用いる場合には、遊離のEDTAであっても良く、EDTAの塩であっても良く、また、キレート剤として、メタリン酸を用いる場合には、遊離のメタリン酸であっても良く、メタリン酸の塩であっても良い。EDTAの塩の具体例として、EDTA・2Naが挙げられ、また、メタリン酸の塩の具体例として、グラハム塩が挙げられる。
溶液中のキレート剤濃度は、ピセアタンノールの安定性や、キレート剤を含むピセアタンノール溶液の用途を考慮しながら、当業者は適宜設定することができるが、例えば、0.0001重量%〜50重量%であっても良いが、0.001重量%〜10重量%であることが好ましい。また、溶液中のピセアタンノールの重量に対して、0.00001重量%〜1000000重量%であっても良く、0.0001重量%〜100000重量%であることが好ましい。
本発明に係る溶液の溶媒は、ピセアタンノールが溶解すれば特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、2-プロパノール、1,4-ジオキサン、ヘキサン、クロロホルム、シクロロメタン、または、これらから選択される2以上の溶媒の混合溶媒であっても良く、含水溶媒であることが好ましい。含水溶媒として、例えば、水、または、水と、メタノール、エタノール、アセトン、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、2-プロパノール、および、1,4-ジオキサンからなる群から選択される1以上の溶媒との混合溶媒であっても良く、水、または、水とエタノールおよび/または1,3−ブチレングリコールとの混合溶媒であることが好ましく、水、または、水とエタノールとの混合溶媒であることがより好ましく、水であることがさらに好ましい。混合溶媒を用いる場合の、各溶媒の混合比は特に限定されないが、例えば水およびエタノールの混合溶媒を用いる場合には、水とエタノールとの体積比は、1:99〜99:1であっても良く、3:97〜80:20であることが好ましく、5:95〜50:50であることがより好ましく、10:90〜40:60であることが特に好ましい。含水溶媒は、塩を含むバッファー(緩衝液)であっても良い。バッファーに用いる塩の種類は特に限定されず、例として、クエン酸塩、リンゴ酸塩、リン酸塩、酢酸塩および炭酸塩などが挙げられるが、クエン酸塩、リン酸塩、または、酢酸塩であることが好ましい。バッファーの濃度は、特に限定されないが、例えば0.001M〜1Mであっても良く、0.01M〜0.5Mであることが好ましく、0.01M〜0.3Mであることがより好ましい。
溶媒が含水溶媒である場合の溶液のpHは、特に限定されず、酸性、中性、または、アルカリ性のいずれであっても良いが、酸性または中性であることが好ましく、pH1〜pH8の酸性または中性であることがより好ましく、pH1〜pH6の酸性であることがさらに好ましく、pH2〜pH5の酸性であることがいっそう好ましい。また、溶媒がクエン酸−リン酸バッファーである場合には、pH2〜pH4であることがより好ましく、pH2.2〜pH3.6であることがさらに好ましい。溶媒が酢酸バッファーである場合には、pH3〜pH5であることがより好ましく、pH3.2〜4.6であることがおさらに好ましい。
キレート剤を含むピセアタンノール溶液は、抗酸化剤をさらに含んでも良い。このような構成にすることによって、ピセアタンノール溶液が抗酸化剤を含むがキレート剤を含まない場合に比べて、ピセアタンノールの安定性が飛躍的に向上する。
抗酸化剤の種類は、特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸、ビタミンE、ローズマリー抽出物、カテキン類、フェルラ酸、ヤマモモ抽出物、ルチン類、及び、これらから選択される2以上の抗酸化剤の混合物が挙げられ、アルコルビン酸、ビタミンE、フェルラ酸、ルチン類、及び、これらから選択される2以上の混合物であることが好ましく、アスコルビン酸であることがより好ましい。なお、アスコルビン酸は、光学活性体であっても良く、ラセミ及び/またはジアステレオマー混合物であっても良いが、光学活性体であることが好ましく、アスコルビン酸であることがより好ましい。
なお、カテキン類は、抗酸化作用を有する限り特に限定されないが、例えば、エピガロカテキンガレートであっても良く、エピガロカテキンガレートを含有するテアビゴ(登録商標)であっても良い。また、ルチン類は、抗酸化作用を有する限り特に限定されないが、例えば、酵素処理イソクエルシトリンやグルコシルルチンであっても良く、これを含有するサンメリンAO−3000(登録商標)であっても良い。
アスコルビン酸は、光学活性体であっても良く、ラセミ及び/またはジアステレオマー混合物であっても良いが、光学活性体であることが好ましく、L−アスコルビン酸であることがより好ましい。アルコルビン酸は、遊離酸であっても良く、塩であっても良いが、遊離酸であることが好ましい。
溶液中の抗酸化剤濃度は、ピセアタンノールの安定性や、キレート剤と抗酸化剤とを含むピセアタンノール溶液の用途を考慮しながら、当業者は適宜設定することができるが、例えば、0.0001重量%〜50重量%であっても良く、0.001重量%〜10重量%であることが好ましい。また、溶液中のピセアタンノールの重量に対して、0.00001重量%〜1000000重量%であっても良く、0.0001重量%〜100000重量%であることが好ましい。
本発明に係るピセアタンノール溶液は、ピセアタンノールの安定性を著しく低下させない限り、上述した以外の物質を含んでいても良いが、例えば、ウィルスや生きた細胞は含まないことが好ましい。
本発明に係るピセアタンノール溶液の使用方法は、特に限定されないが、ヒト及びヒト以外の動物や、それらの細胞などを対象として使用でき、溶液にはピセアタンノールが長時間に渡って高濃度で含まれることから、食品、医薬、試薬、化粧品、医薬部外品などに効率的に用いることができる。
また、本発明に係るピセアタンノール溶液を使用する際は、溶液をさらに濃縮・希釈してもよく、および/または、ゼリー状、プリン状またはクリーム状などの半固体や固体にしてもよく、どのような最終の使用形状にするかは、当業者が適宜決めることができる。
==ピセアタンノール溶液の安定化方法==
本発明の一実施形態は、ピセアタンノール溶液にキレート剤を加える工程を含む、ピセアタンノール溶液の安定化方法である。このような構成にすることによって、溶液中のピセアタンノールが別の化合物へ変換されるのを抑制し、その安定性を飛躍的に向上させることができる。このため、例えば、ピセアタンノール溶液を、その濃度を高く保ったまま、長期間保存することができる。
本発明に係る安定化方法は、例えば、上述の「キレート剤を含むピセアタンノール溶液」の欄を参照しながら、具体的に実施することができる。
==ピセアタンノール溶液を安定化するキレート剤を選択する方法==
ピセアタンノール溶液を安定化するのに用いるキレート剤は、キレート剤として知られる公知の物質の中から適宜選択することができる。即ち、当業者であれば、公知のキレート剤の中から、ピセアタンノール溶液の安定性を向上させることができるものを、例えば本願実施例のような安定性試験を行うことによって、容易に、そして、適切に選択することができる。
本発明の一実施形態である、ピセアタンノール溶液を安定化するキレート剤を選択する方法は、ピセアタンノール溶液にキレート剤を添加する工程と、キレート剤が添加されたピセアタンノール溶液において、ピセアタンノールの濃度を調べる工程とを含む方法によって、キレート剤がピセアタンノール溶液を安定化するかどうかを調べる工程と、ピセアタンノール溶液を安定化したキレート剤を選択する工程とを含む。
ピセアタンノールの濃度は、HPLC、GC、MS、TLC、または、NMRなどの公知の方法によって測定できるので、経時的に、キレート剤を添加した溶液中のピセアタンノールの濃度を測定し、キレート剤を添加していない溶液中のピセアタンノールの濃度と比較することによって、そのキレート剤がピセアタンノールを安定化するかどうかを調べることができる。そして、実際に安定化したキレート剤を選択し、ピセアタンノール溶液に添加することによって、上述したような様々な用途に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、下記の実施例は本発明の範囲を限定するために記載されるものではない。
[実施例1]
ピセアタンノール(純度98%以上、東京化成製)を、pH3.5の0.14Mクエン酸−0.11Mリン酸バッファーに室温で溶解させることによって、0.1mg/mLのピセアタンノール水溶液を調製した。
このピセアタンノール水溶液を用いて、キレート剤、及び/または、抗酸化剤による、ピセアタンノールの安定性試験を行った。
上述したピセアタンノール水溶液(試験1)、ピセアタンノール水溶液にキレート剤であるEDTA・2Na(株式会社同仁化学研究所製)を0.37重量%の濃度で添加した溶液(試験2)、ピセアタンノール水溶液にキレート剤であるメタリン酸ナトリウム(グラハム塩、和光純薬工業製)を0.1重量%の濃度で添加した溶液(試験3)、ピセアタンノール水溶液に抗酸化剤であるL−アスコルビン酸(和光純薬工業製)を0.1重量%の濃度で添加した溶液(試験4)、ピセアタンノール水溶液に、0.37重量%の濃度でEDTA・2Na及び0.1重量%の濃度でL−アスコルビン酸を添加した溶液(試験5)、並びに、ピセアタンノール水溶液に、0.1重量%の濃度でメタリン酸ナトリウム及び0.1重量%の濃度でL−アスコルビン酸を添加した溶液(試験6)の6種類の水溶液を調製した。
これら6種類の水溶液を、50℃の恒温器中で20日間加温した。加温を始める直前、並びに、加温開始から5日後、10日後及び20日後に、各水溶液について、ピセアタンノールの量を下記の条件のHPLCにより測定した。
[HPLC条件]
・カラム:Mightysil RP-18 GP250-10 径10 mm、長さ250 mm(関東化学株式会社製)
・カラム温度:40℃
・溶出条件:流速3mL/min、0%メタノール−100%純水 → 30%メタノール−70%純水(グラジエント、10min)
・UV検出:280nm
加温を始める直前のピセアタンノールの量を100とした場合の、試験1〜試験6の測定結果を表1に示す。さらに、試験1〜試験3の結果については図1に、試験1〜試験6の加温開始から10日後の結果については図2に、及び、試験1〜試験6の加温開始から20日後の結果については図3に、グラフとしても示す。
Figure 0006209360
表1及び図1が示すように、ピセアタンノール水溶液にキレート剤を添加した試験2及び試験3では、添加したキレート剤の種類に関わらず、キレート剤を添加していない試験1に比べて、ピセアタンノールの安定性が著しく向上し、加温開始から20日後であっても残存率は100%を保っていた。
また、表1、並びに、図2及び図3が示すように、ピセアタンノール水溶液に抗酸化剤であるアスコルビン酸を添加した試験4では、抗酸化剤を添加していない試験1に比べて、ピセアタンノールの安定性が低下した。しかし、ピセアタンノール水溶液に抗酸化剤を添加した場合であっても、さらに、キレート剤を添加することによって、ピセアタンノールの安定性が著しく向上した。
具体的には、抗酸化剤のみを添加した試験4では、加温開始から5日後には、ピセアタンノールの残存率が40%であったのに対し、キレート剤であるEDTAまたはメタリン酸をさらに添加した試験5及び試験6では、残存率は97%〜98%とほぼ100%に近い値を保っていた。加温開始から10日後には、試験4での残存率は23%とさらに低下したのに対し、試験5及び試験6での残存率はほぼ100%を保ったままであった。また、加温開始から20日後では、試験4での残存率は7%と、ピセアタンノールがほとんど残存していない状態だったのに対し、試験5では88%、また、試験6では52%と、試験5及び試験6のいずれの場合であっても、試験4の7倍以上の量が残存していた。
[実施例2]
ピセアタンノールを、pH2.2(試験1)、pH2.6(試験2)、pH3.0(試験3)、pH3.2(試験4)、pH3.4(試験5)、または、pH3.6(試験6)のクエン酸−リン酸バッファーに室温で溶解させることによって、6種類の0.1mg/mLピセアタンノール水溶液を調製した。各pHのクエン酸−リン酸バッファーは、0.2Mクエン酸一水和物水溶液と0.4Mリン酸水素二ナトリウム・十二水和物水溶液とを、各pHとなるように混合した後に、2倍希釈することによって調製した。
これら6種類の各pHのピセアタンノール水溶液について、各pHのピセアタンノール水溶液そのもの(無添加群)、各pHのピセアタンノール水溶液にEDTA・2Naを0.37重量%の濃度で添加した水溶液(EDTA添加群)、及び、各pHのピセアタンノール水溶液にメタリン酸ナトリウム(グラハム塩)を0.1重量%の濃度で添加した水溶液(メタリン酸添加群)を、それぞれ調製した。即ち、合計18種類の水溶液を調製した。
これら18種類の水溶液を、50℃の恒温器中で17日間加温した。加温を始める直前、並びに、加温開始から10日後及び17日後に、各水溶液について、ピセアタンノールの量を実施例1と同じ条件のHPLCにより測定した。
加温を始める直前のピセアタンノールの量を100とした場合の、加温開始から10日後の結果を表2に、そして、加温開始から17日後の結果を表3に示す。
Figure 0006209360
Figure 0006209360
表2が示すように、加温開始から10日後には、試験1〜試験6のいずれにおいても、キレート剤を添加していない無添加群と、キレート剤を添加したEDTA群及びメタリン酸添加群との間で、ピセアタンノールの残存率に有意な差が生じた。さらに、表3が示すように、加温開始から17日後には、試験1〜試験6のいずれにおいても、キレート剤を添加していない無添加群と、キレート剤を添加したEDTA群及びメタリン酸添加群との間の、ピセアタンノールの残存率の差はより顕著となった。
即ち、ピセアタンノール水溶液のpHが2.2〜3.6のいずれの場合であっても、水溶液にキレート剤を添加することによって、ピセアタンノールの安定性が著しく向上した。
[実施例3]
ピセアタンノールを、pH3.2(試験1)、pH3.4(試験2)、pH3.6(試験3)、pH3.8(試験4)、pH4.0(試験5)、pH4.2(試験6)、pH4.4(試験7)、または、pH4.6(試験8)の酢酸バッファーに室温で溶解させることによって、8種類の0.1mg/mLピセアタンノール水溶液を調製した。各pHの酢酸バッファーは、0.4M酢酸水溶液と0.4M酢酸ナトリウム水溶液とを、各pHとなるように混合した後に、2倍希釈することによって調製した。
これら8種類の各pHのピセアタンノール水溶液について、各pHのピセアタンノール水溶液そのもの(無添加群)、各pHのピセアタンノール水溶液にEDTA・2Naを0.37重量%の濃度で添加した水溶液(EDTA添加群)、及び、各pHのピセアタンノール水溶液にメタリン酸ナトリウム(グラハム塩)を0.1重量%の濃度で添加した水溶液(メタリン酸添加群)を、それぞれ調製した。即ち、合計24種類の水溶液を調製した。
これら24種類の水溶液を、50℃の恒温器中で6日間加温した。加温を始める直前、及び、加温開始から6日後に、各水溶液について、ピセアタンノールの量を実施例1と同じ条件のHPLCにより測定した。
加温を始める直前のピセアタンノールの量を100とした場合の、加温開始から6日後の結果を表4に示す。
Figure 0006209360
表4が示すように、加温開始6日後には、試験1〜試験8のいずれにおいても、キレート剤を添加していない無添加群と、キレート剤を添加したEDTA群及びメタリン酸添加群との間で、ピセアタンノールの残存率に顕著な差が生じた。
即ち、ピセアタンノール水溶液のpHが3.2〜4.6のいずれの場合であっても、水溶液にキレート剤を添加することによって、ピセアタンノールの安定性が著しく向上した。

Claims (12)

  1. EDTAまたはメタリン酸を含む、ピセアタンノール溶液であって、
    前記溶液のpHが2.2〜4.2であることを特徴とする、ピセアタンノール溶液
  2. 前記溶液の溶媒が、含水溶媒であることを特徴とする、請求項1に記載の溶液。
  3. 前記溶液の溶媒が、水、または、水とエタノールおよび/または1,3−ブチレングリコールとの混合溶媒であることを特徴とする、請求項1または2に記載の溶液。
  4. 前記溶液の溶媒がクエン酸−リン酸バッファーであって、前記溶液のpHが2.2〜3.6であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶液。
  5. 前記溶液の溶媒が酢酸バッファーであって、前記溶液のpHが3.2〜4.2であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶液。
  6. アスコルビン酸をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の溶液。
  7. ピセアタンノール溶液の安定化方法であって、前記溶液のpHを2.2〜4.2に調整し、前記溶液にEDTAまたはメタリン酸を加える工程を含む、安定化方法。
  8. 前記溶液の溶媒が、含水溶媒であることを特徴とする、請求項に記載の安定化方法。
  9. 前記溶液の溶媒が、水、または、水とエタノールおよび/または1,3−ブチレングリコールとの混合溶媒であることを特徴とする、請求項またはに記載の安定化方法。
  10. 前記溶液の溶媒がクエン酸−リン酸バッファーであって、前記溶液のpHが2.2〜3.6であることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載の安定化方法。
  11. 前記溶液の溶媒が酢酸バッファーであって、前記溶液のpHが3.2〜4.2であることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載の安定化方法。
  12. 前記溶液にアスコルビン酸を加える工程をさらに含むことを特徴とする、請求項7〜1のいずれか1項に記載の安定化方法。
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