JP4295639B2 - 抗酸化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の植物の抽出物を有効成分とする抗酸化剤に関する。
従来、乳液、クリーム、化粧水、パック、洗浄料、分散液、軟膏、液剤、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等の皮膚外用剤には、これらに所定の薬効を付与することを目的として種々の薬効成分が加えられている。例えば、シダ目の種々の科に属する植物の抽出物を有効成分とする皮膚外用剤が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。特許文献1及び2には、前記抽出物に美白効果があることが記載されているが、その他の効果についてはなんら記載されていない。たとえ同一の科に属する植物であっても、その抽出物の組成は多様であり、共通して特定の効果を奏することが知られている植物群について、他の効果を一様に示すというものではない。
近年、皮膚のトラブルの原因が種々解明され、それに伴い、皮膚外用剤、特に化粧料に対する消費者のニーズも細分化されつつある。例えば、活性酸素やフリーラジカルが、生体組織及び細胞の障害を引き起こし、ひいては様々な疾病や老化の原因となることが知られている。紫外線又は化学物質による刺激等、皮膚組織内において活性酸素が発生する環境下にあった皮膚を改善するには、それらの原因によって発生した活性酸素やフリーラジカルの作用を抑制又は防止するという抗酸化効果に特に優れた剤の提供が望まれる。
特開2003−95910号公報 特開2003−95911号公報
本発明は、優れた抗酸化効果を有する抗酸化剤を提供することを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するため、シダ目に属する特定の植物、即ち、ブレクナム カペンセ(Blechnum capense)、ブレクナム ディスカラー(Blechnum discolor)、プテリディウム エスクレンタム(Pteridium esculentum)及びフィマトソルス ディバーシフォリウス(Phymatosorus diversifolius)からなる群から選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分とする抗酸化剤を提供する。
又、他の観点から、本発明によって、前記植物の群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を適用することを含む、活性酸素及び/又はフリーラジカルが関与する酸化を抑制する方法;前記シダ目の植物の群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を適用することを含む、活性酸素及び/又はフリーラジカルの捕捉もしくは消去方法;前記シダ目の植物の群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を有効成分とする活性酸素及び/又はフリーラジカルの捕捉剤もしくは消去剤;前記シダ目の植物の群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を適用することを含む、過酸化脂質生成を抑制する方法;前記シダ目の植物の群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を有効成分とする過酸化脂質生成抑制剤;が提供される。
なお、本明細書において「抗酸化」の用語は、活性酸素やフリーラジカルによるこれらの障害を予防又は抑制するためにそれらの発生を未然に防ぐ作用のほか、生成した活性酸素やフリーラジカルを捕捉もしくは消去する、及び過酸化脂質の生成を抑制する作用などを含め、最も広義に解釈するものとする。
本発明によれば、皮膚外用剤の有効成分として利用可能な、優れた抗酸化作用を示す抗酸化剤を提供することができる。
本発明の抗酸化剤は、ブレクナム カペンセ(Blechnum capense)、ブレクナム ディスカラー(Blechnum discolor)、プテリディウム エスクレンタム(Pteridium esculentum)及びフィマトソルス ディバーシフォリウス(Phymatosorus diversifolius)からなる群から選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分とする。前記植物はシダ目に属し、ブレクナム カペンセ及びブレクナム ディスカラーはシダ目のシシガシラ科ヒリュウシダ属に、プテリディウム エスクレンタムはシダ目のコバイノシカグマ科ワラビ属に、フィマトソルス ディバーシフォリウスはシダ目のウラボシ科ヌカボシクリハラン属に属する。
本発明では、前記シダ植物のいずれの部位の抽出物を用いてもよく、根、茎、幹、葉、胞子等いずれの部分の抽出物であってもよい。又、本発明には、前記シダ植物の2箇所以上の部分から得られた抽出物を混合して用いてもよく、あるいは2箇所以上の部分から異なる溶媒により抽出された抽出物を二種以上混合して用いてもよい。
前記シダ植物の抽出物は、シダ植物の根、茎、幹、葉、胞子等の1箇所又は2箇所以上を、適当な溶媒によって抽出し、溶媒を留去することによって得られる。これらの部分に乾燥、細切、圧搾、又は発酵などの適宜の処理を施した後、抽出処理等を施してもよい。抽出は、前記シダ植物を低温ないし加温下で溶媒中に所定の時間浸漬することによって実施できる。抽出溶媒としては特に限定されないが、例えば水;メチルアルコール、エチルアルコール等の低級1価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール;アセトン等のケトン類;エチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル等のエステル類;等の一種又は二種以上を用いることができる。
前記のシダ植物抽出物は、そのまま抗酸化剤の有効成分として用いてもよいし、適宜の期間そのまま放置し、熟成させた後に用いることもできる。必要ならば、効果に影響のない範囲で、さらに、濾過やイオン交換樹脂等による脱臭、脱色等の精製処理を施した後に用いることもできる。又、液体クロマトグラフィー等の分離手段を用いて、活性の高い画分のみを用いることもできる。
前記シダ植物の好ましい抽出方法の例としては、前記シダ植物を含水濃度0〜100体積%のエチルアルコールや1,3−ブチレングリコール又は水を用い、室温で、又は加温して1〜5日間抽出を行った後、濾過し、得られた濾液をさらに1週間程放置して熟成させ、再び濾過を行う方法が挙げられる。但し、抽出法はこれに限定されるものではない。
前記シダ植物抽出物は乾燥固形分を皮膚外用剤に用いる他に、抽出液をそのまま用いる、抽出液をスプレードライ等により乾燥させて粉末状として用いる、又は使用目的に合わせ、乾燥固形分又は粉末を適切な溶媒と混合し、液状、ペースト状、ゲル状として用いる等、いずれの形態で抗酸化剤の有効成分として用いてもよい。
本発明の抗酸化剤は、種々の用途に用いることができる。特に、皮膚外用剤に用いるのが好ましい。本発明の抗酸化剤を皮膚外用剤に用いる場合は、皮膚外用剤中におけるシダ植物抽出物の含有量は、好ましくは0.00001〜5質量%(以下単に「%」で示す)であり、より好ましくは0.001〜0.5%である。この範囲内であれば、前記シダ植物抽出物を安定に配合することができ、かつ高い抗酸化効果を発揮することができる。又、溶液として抽出物を使用する場合は、溶質であるシダ植物抽出物の含有量が上記範囲内であれば、その溶液濃度は何ら限定されるものではない。
本発明の抗酸化剤は、美白剤、他の抗酸化剤、抗炎症剤、細胞賦活剤及び紫外線防止剤から選ばれる薬効剤の一種又は二種以上とともに、皮膚外用剤に配合することができる。以下に、使用可能な美白剤、他の抗酸化剤、抗炎症剤、細胞賦活剤及び紫外線防止剤について例示する。なお、以下の具体例において、「誘導体」には形成可能なエステル、塩が含まれる。又、2以上の薬効を有する化合物については、各薬効剤の具体例として重複して例示した。
(美白剤)
美白剤としては、ビタミンC及びその誘導体(ジパルミチン酸L−アスコルビル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル等のL−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル、ビタミンCグルコシド等)、胎盤抽出物、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物、ヨクイニン(ハトムギ)抽出物、コガネバナ(オウゴン)抽出物、海藻抽出物(コンブ、マコンブ、ワカメ、ヒジキ、ヒバマタ、スジメ、トロロコンブ、カジメ、ツルアラメ、チガイソ、ホンダラワ、ジャイアントケルプ等の褐藻類;テングサ、オオキリンサイ、キリンサイ、ツノマタ、スギノリ、ウスバノリ、アサクサノリ、マツノリ、トサカマツ、フノリ、オゴノリ、カイメンソウ、イギス、エゴノリ等の紅藻類;クロレラ、アオノリ、ドナリエラ、クロロコッカス、アナアオサ、カワノリ、マリモ、シオグサ、カサノリ、フトジュズモ、タマジュズモ、ヒトエグサ、アオミドロ等の緑藻類;スピルリナ等の藍藻類等)、ビャクレン抽出物、センプクカ抽出物、ブドウ抽出物、コムギ抽出物、トマト抽出物、カロチノイド(カロチン、リコピン、アスタキサンチン等)、アガロース、オリゴサッカライド、ネオアガロビオース、ハイドロキノン及びその誘導体、システイン及びその誘導体、アスパラガス抽出物、アセロラ抽出物、イブキトラノオ抽出物、ノイバラ(エイジツ)抽出物、エゾウコギ抽出物、エンドウ豆抽出物、カミツレ抽出物、カムカム抽出物、ケイケットウ抽出物、オレンジ抽出物、キイチゴ抽出物、キウイ抽出物、クララ(クジン)抽出物、コーヒー抽出物、ゴマ油、エゴマ油、ゴカヒ抽出物、コメ抽出物、コメヌカ抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、サンペンズ(カワラケツメイ)抽出物、シャクヤク抽出物、シラユリ抽出物、クワ(ソウハクヒ)抽出物、トウキ抽出物、ブナノキ抽出物、ブナの芽抽出物、ブラックカラント抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ(マイカイ、ハマナス)抽出物、モッカ(ボケ)抽出物、ユキノシタ抽出物、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)、霊芝抽出物、微生物発酵代謝産物、大豆抽出物、糖蜜抽出物、羅漢果抽出物等が挙げられる。なお、抽出物の具体例においては、括弧内は植物の別名、生薬名等を示す。
これらの美白剤のうち、特に好ましいものとしては、ビタミンC及びその誘導体、胎盤抽出物、カンゾウ抽出物、ハトムギ(ヨクイニン)抽出物、コムギ抽出物、ビャクレン抽出物、海藻抽出物、茶抽出物が挙げられる。
(他の抗酸化剤)
抗酸化剤としては、ビタミンE及びその誘導体(dl−α(β、γ)−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、ユビキノン類等)、ビタミンA及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等のレチノール及びその誘導体、デヒドロレチナール等のレチナール及びその誘導体等)、カロチノイド(カロチン、リコピン、アスタキサンチン等)、ビタミンB及びその誘導体(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等)、ビタミンC及びその誘導体(ジパルミチン酸L−アスコルビル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル等のL−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル、ビタミンCグルコシド等)、ビタミンD及びその誘導体(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ジヒドロキシスタナール等)、ルチン及びその誘導体、チオタウリン、タウリン、ハイドロキノン及びその誘導体、ヒスチジン、カテキン及びその誘導体、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物、グルタチオン及びその誘導体、没食子酸及びその誘導体、コレステロール及びその誘導体、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、キュウリ抽出物、ケイケットウ抽出物、ゲンチアナ(リンドウ)抽出物、ゲンノショウコ抽出物、サンザシ抽出物、シャクヤク抽出物、イチョウ抽出物、コガネバナ(オウゴン)抽出物、ニンジン抽出物、マイカイカ(マイカイ、ハマナス)抽出物、サンペンズ(カワラケツメイ)抽出物、トルメンチラ抽出物、パセリ抽出物、ブドウ抽出物、ボタン(ボタンピ)抽出物、モッカ(ボケ)抽出物、メリッサ抽出物、ヤシャジツ(ヤシャ)抽出物、ユキノシタ抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、レタス抽出物、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)、微生物発酵代謝産物、海藻抽出物、霊芝抽出物、卵殻膜抽出物、胎盤抽出物、羅漢果抽出物等が挙げられる。なお、抽出物の具体例においては、括弧内は植物の別名、生薬名等を示す。
これらの他の抗酸化剤のうち、特に好ましいものとしては、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、ヤシャジツ抽出物、ユキノシタ抽出物、マイカイカ抽出物、スーパーオキサイドディスムターゼ、イチョウ抽出物、グルタチオン及びその誘導体、ヒスチジン、マンニトール、カロチノイドが挙げられる。
(抗炎症剤)
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等)、アロエ抽出物、アシタバ抽出物、アルテア抽出物、アルニカ抽出物、イオウ及びその誘導体、イラクサ抽出物、インチンコウ(カワラヨモギ)抽出物、ウコン抽出物、キハダ(オウバク)抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、コンフリー(ヒレハリソウ)抽出物、スイカズラ(キンギンカ)抽出物、クレソン抽出物、サルビア(セージ)抽出物、ワレモコウ(ジユ)抽出物、シコン(ムラサキ)抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ニワトコ抽出物、ガマ(ホオウ)抽出物、ムクロジ抽出物、ユーカリ抽出物、ヨモギ抽出物、レンゲソウ抽出物、コンドロイチン硫酸及びその誘導体、酸化亜鉛等が挙げられる。なお、抽出物の具体例においては、括弧内は植物の別名、生薬名等を示す。
これらの抗炎症剤のうち、特に好ましいものとしては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、ビタミンB及びそれらの誘導体が挙げられる。
(細胞賦活剤)
細胞賦活剤としては、カロチノイド(カロチン、リコピン、アスタキサンチン等)、ビタミンA及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等のレチノール及びその誘導体;デヒドロレチナール等のレチナール及びその誘導体等)、ビタミンC及びその誘導体(ジパルミチン酸L−アスコルビル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル等のL−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル、ビタミンCグルコシド等)、ビタミンB及びその誘導体(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等)、リボ核酸及びその塩、デオキシリボ核酸及びその塩、α−及びγ−リノレン酸、キサンチン及びその誘導体(カフェイン等)、アミノ酸及びその誘導体(セリン、グルタミン酸、テアニン、ヒドロキシプロリン、ピロリドンカルボン酸等)、ドコサヘキサエン酸及びその誘導体、エイコサペンタエン酸及びその誘導体、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、アーモンド抽出物、アスパラガス抽出物、アンズ(キョウニン)抽出物、イチョウ抽出物、キハダ(オウバク)抽出物、オオムギ(バクガ)抽出物、キウイ抽出物、キュウリ抽出物、シイタケ抽出物、スギナ抽出物、センブリ抽出物、ダイズ抽出物、ナツメ(タイソウ)抽出物、ツボクサ抽出物、トウガラシ抽出物、トウキンセンカ抽出物、トマト抽出物、ニンニク抽出物、ニンジン抽出物、ヒノキチオール、ブクリョウ抽出物、ブドウ種子油、ブナノキ抽出物、ブナの芽抽出物、モモ抽出物、ユーカリ抽出物、ユリ抽出物、レタス抽出物、レモン抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、麦芽根抽出物、動物由来抽出物(イカスミ等軟体動物抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、魚肉抽出物、鶏冠抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物、胎盤抽出物、血清除蛋白抽出物、ラクトフェリン又はその分解物等)、酵母抽出物、微生物発酵代謝産物(乳酸菌、ビフィズス菌等由来)、霊芝抽出物等が挙げられる。なお、抽出物の具体例においては、括弧内は植物の別名、生薬名等を示す。
これらの細胞賦活剤のうち、特に好ましいものとしては、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンB及びそれらの誘導体、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、ピロリドンカルボン酸、鶏冠抽出物、血清除蛋白抽出物、酵母抽出物、微生物発酵代謝産物(乳酸菌、ビフィズス菌等由来)、霊芝抽出物等が挙げられる。
(紫外線防止剤)
紫外線防止剤としては、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン及びその誘導体(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム等)、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。又、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機粉体は微粒子のものを用いるとより高い効果が発揮される。
これらの紫外線防止剤のうち、特に好ましいものとしては、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子酸化亜鉛が挙げられる。
前記美白剤等の他の薬効剤の皮膚外用剤における好ましい配合量の範囲は、薬効剤の種類により相違するが、一般的には、以下に示す範囲(なお、抽出物を溶液のまま用いる場合は、乾燥固形分としてその範囲であればよい)とすることが好ましい。この範囲であれば、シダ植物抽出物を有効成分とする本発明の抗酸化剤と組み合わせた場合、製剤及び製剤中の前記シダ植物抽出物の経時安定性に影響を及ぼすことがなく、より高い抗酸化効果を発揮させることができる。
前記美白剤の配合量は、好ましくは0.00001〜5%であり、より好ましくは0.0001〜3%の範囲である。抽出物を溶液のまま用いる場合は、乾燥固形分としてこの範囲であればよい。前記他の抗酸化剤の配合量は、好ましくは0.00001〜5%、より好ましくは0.0001〜3%の範囲である。前記抗炎症剤の配合量は、0.00001〜5%の範囲が好ましく、より好ましくは0.0001〜3%の範囲である。前記細胞賦活剤の配合量としては、好ましくは0.00001〜5%、より好ましくは0.0001〜3%の範囲である。前記紫外線防止剤の配合量としては、好ましくは0.001〜20%、より好ましくは0.01〜10%の範囲である。
これらの美白剤、抗酸化剤、抗炎症剤、細胞賦活剤及び紫外線防止剤は、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
皮膚外用剤の配合形態の例としては、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、パック、美容液、洗浄料、メーキャップ化粧料、分散液、軟膏、液剤、エアゾール剤、貼布剤、パップ剤、リニメント剤等のいずれの形態の化粧料であっても外用医薬品等であってもよい。
又、前記皮膚外用剤には、本発明の抗酸化剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料や医薬部外品、外用医薬品等の製剤に使用される成分、水(精製水、温泉水、深層水等)、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、植物・動物・微生物由来の抽出物、活性酸素除去剤、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等を必要に応じて加えることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
[例1:シダ植物抽出物の製造]
表1に示した、種々のシダ植物の葉及び茎の混合物各500gに、精製水、50vol%含水エチルアルコール及びエチルアルコールをそれぞれ3L加え、室温又は加温して1日間抽出を行った後、濾過し、得られた濾液中の溶媒を留去して乾固し、固形分である各シダ植物の精製水抽出物、50vol%含水エチルアルコール抽出物、エチルアルコール抽出物を得た。
[例2:抗酸化作用の評価]
スーパーオキサイドディスムターゼ(以下SODと呼ぶ)はスーパーオキサイドを消去する働きのある生体内抗酸化酵素であるが、その他の物質の有する、この酵素と同様の作用をSOD様作用という。SOD様作用はスーパーオキサイドの消去率にて測定され、その値が高いほどSOD様作用が高いといえる。例1で調製した種々の抽出物について、SOD様活性を測定した結果を下記表1に示す。又、比較例として既にSOD様作用があることが知られているオウゴン抽出物についても同様の試験を行った。
なお、オウゴン抽出物は、オウゴンの全草10gに、含水濃度70vol%エチルアルコール100mLを加え、室温にて3日間抽出を行ったのち濾過し、溶媒を留去して乾固し、固形分であるオウゴンの70voL%エチルアルコール抽出物を得た。
(測定方法)
0.05mol/L 炭酸ナトリウム緩衝液(pH10.2)2.4mLに基質溶液[3.0mmol/L キサンチン(0.05mol/L 炭酸ナトリウム緩衝液に溶解)]0.1mL、3.0mmol/L EDTA 0.1mL、0.15%(w/v)ウシ血清アルブミン 0.1mL、0.75mmol/L ニトロブルーテトラゾリウム 0.1mL及び0.3mg/mLの各被験試料0.1mLを混合し、25℃で10分間放置した。次いで、酵素溶液[キサンチンオキシダーゼ溶液(精製水にて約0.04units/mLに希釈)]0.1mLを加えて反応を開始し、25℃で20分間インキュベートした後、6mmol/L 塩化第二銅0.1mLを加えて反応を停止する。次いで560nmにおける吸光度(A)を測定した。
対照には被験試料のかわりに精製水を加えた試料の吸光度(B)、また各試料のブランクには、6mmol/L 塩化第二銅0.1mLを加えて反応停止後に、キサンチンオキシダーゼ0.1mLを添加した試料の吸光度(C)を測定し、下記数式1より、スーパーオキサイド阻害率を算出した。その結果を表1に示す。
式1
スーパーオキサイド阻害率(%)={B−(A−C)}/B × 100
Figure 0004295639
なお、結果の例として各植物の50vol%含水エチルアルコール抽出物の結果を示したが、各植物の各溶媒による抽出物のいずれも、SOD様作用を有していた。表1に示す結果から、シダ目に属する特定の植物の50vol%含水エチルアルコール抽出物は、SOD様作用を示し、優れた抗酸化効果を有することがわかった。この結果から、前記植物の抽出物を含有する皮膚外用剤は、肌に供給することによって、皮膚細胞組織の酸化を防止、健康的な肌に維持する効果を有することが示された。
[例3:シダ植物抽出物の製造]
ブレクナム ディスカラーの葉及び茎の混合物各500gに、表2に示した各抽出溶媒をそれぞれ3L加え、室温又は加温して1日間抽出を行った後、ろ過して得られたろ液中の溶媒を留去して乾固し、固形分であるブレクナム ディスカラーの各溶媒抽出物を得た。
[例4:DPPH阻害率の測定]
Diphenyl−2−pierylhydrazyl(以下、DPPHという)は、ラジカル状態で517nmの極大吸収を持つ化合物である。DPPH阻害率とは、DPPHに抗酸化物質を添加して還元した際の、DPPHの517nmにおける吸光度の減少率であり、この値によって、抗酸化物質の抗酸化能を評価することができる。DPPH阻害率が大きいほど、抗酸化能が高い。
上記例3で調製したブレクナム ディスカラーの各溶媒抽出物について、DPPH阻害率を測定した結果を表2に示す。また、比較例として既にDPPH阻害作用があることが知られているカミツレ抽出物についても同様の試験を行った。
なお、カミツレ抽出物は、カミツレの全草10gに、含水濃度70vol%エチルアルコール100mLを加え、室温にて3日間抽出を行った後、ろ過し、溶媒を留去して乾固し、固形分であるカミツレの70voL%エチルアルコール抽出物を得た。
(測定方法)
試験溶液の調製:DPPHをエチルアルコールに溶解させ、濃度500μmol/LのDPPHのエチルアルコール溶液を調製した。その溶液0.5mLに、例3で製造した各試験試料1mgを0.1mol/L(pH5.5)で溶解したサンプル溶液1mLと、エチルアルコール1mLとを加えて、DPPHの最終濃度が100μmol/Lである試験溶液を調製した。
活性測定:マイクロプレートに、前記100μmol/L−DPPH含有の試験溶液2.5mLを加えて、プレートミキサーで混和し、20分間室温で反応後、517nmの吸光度(A)をマイクロプレートリーダーで測定した。なお、対照には、被試験試料を溶解していない0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)1mLを加えた試験溶液の吸光度(B)を、また各試験溶液の吸光度(C)をそれぞれ測定し、下記数式2より、DPPH阻害率を算出した、その結果を表2に示す。
式2
DPPH阻害率(%)={B−(A−C)}/B×100
Figure 0004295639
表2に示す結果から、ブレクナム ディスカラーの各種溶媒の抽出物は、高いDPPH阻害率を示し、優れた抗酸化効果を有することがわかった。この結果から、前記植物の抽出物を含有する皮膚外用剤は、肌に供給することによって、皮膚細胞組織の酸化を防止、健康的な肌に維持する効果を有することが示された。
なお、例4では、ブレクナム ディスカラーの各種溶媒の抽出物についての結果のみを示したが、表1の結果に示す様に、ブレクナム カペンセ、プテリディウム エスクレンタム及びフィマトソルス ディバーシフォリウスも、ブレクナムディスカラーと同様、SOD様作用を有しているので、これらの植物抽出物についても同等のDPPH阻害率が得られるものと推定される。
[例5:化粧水の調製]
下記成分(1)〜(6)を混合溶解した溶液と、成分(7)〜(10)を混合溶解した溶液とを混合して、均一にし、化粧水を調製した。
(成分) (%)
(1) グリセリン 10.0
(2) 1,3−ブチレングリコール 6.0
(3) ブレクナム ディスカラーの
50vol%含水ブチレングリコールの抽出物*1 0.5
(4) クエン酸 0.1
(5) クエン酸ナトリウム 0.3
(6) 精製水 残量
(7) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.5
(8) エチルアルコール 8.0
(9) 防腐剤 適量
(10) 香料 適量
*1 例3で製造したもの
[例6:乳液の調製]
下記成分(13)〜(17)を加熱混合して、70℃に維持した混合物に、成分(1)〜(12)を加熱混合して、70℃に維持した混合物を加えて、混合し、均一に乳化した。この乳化物を冷却後、(18)〜(23)を加え、均一に混合して乳液を得た。
(成分) (%)
(1) モノステアリン酸ソルビタン 0.3
(2) モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.1
(3) 親油型モノステアリン酸グリセリル 0.2
(4) ステアリン酸 0.5
(5) セタノール 0.5
(6) スクワラン 3.0
(7) 流動パラフィン 4.0
(8) トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
(9) メチルポリシロキサン 1.0
(10) 水素添加大豆リン脂質 0.1
(11) 酢酸dl−α−トコフェロール*1 0.05
(12) 防腐剤 適量
(13) カルボキシビニルポリマー水溶液(1.0%) 10.0
(14) 水酸化ナトリウム 0.05
(15) グリセリン 5.0
(16) 1,3−ブチレングリコール 7.0
(17) 精製水 残量
(18) エチルアルコール 5.0
(19) フィマトソルス ディバーシフォリウスの
50vol%含水エチルアルコール抽出物*2 0.1
(20) ニンジン抽出物*3 3.0
(21) リン酸−L−アスコルビルマグネシウム*4 0.1
(22) 多孔質シリカ 3.0
(23) 香料 適量
*1 エーザイ社製
*2 例1で調製したもの
*3 一丸ファルコス社製
*4 日光ケミカルズ社製
[例7:クリームの調製]
下記成分(1)〜(6)及び(11)を混合し、加熱した70℃に維持した混合物に、成分(7)、(8)及び(13)を(14)に加え、加熱して70℃に維持した混合物を加え、乳化した。この乳化物を冷却後、(9)、(10)及び(12)を加えて、クリームを調製した。
(成分) (%)
(1) スクワラン 20.0
(2) ミツロウ 5.0
(3) 精製ホホバ油 5.0
(4) グリセリンモノステアレート 2.0
(5) ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
(6) ソルビタンモノステアレート 2.0
(7) グリセリン 5.0
(8) 1,3−ブチレングリコール 10.0
(9) ブレクナム カペンセの
50vol%含水エチルアルコール抽出物*1 3.0
(10) プテリディウム エスクレンタムの
50vol%含水エチルアルコール抽出物*2 3.0
(11) パルミチン酸レチノール*3 0.005
(12) トウキンセンカ抽出物*4 0.2
(13) 防腐剤 適量
(14) 精製水 残量
*1 例1で製造したもの
*2 例1で製造したもの
*3 シグマ社製
*4 一丸ファルコス社製
例5、6及び7で製造した化粧料はいずれも安定であり、且つ肌に供給することによって、皮膚細胞組織の酸化を防止、健康的な肌に維持する効果を有する化粧料であった。
本発明の抗酸化剤は、優れた抗酸化能を有するとともに、植物抽出物であるので安全性にも優れる。従って、化粧料、医薬部外品、医薬等の皮膚外用剤等に好ましく用いられる。

Claims (4)

  1. フィマトソルス ディバーシフォリウス(Phymatosorus diversifolius)抽出物を有効成分とする抗酸化剤。
  2. ブレクナム ディスカラー(Blechnum discolor)の抽出物を有効成分とする抗酸化剤
  3. スーパーオキサイド阻害能を有する請求項1又は2に記載の抗酸化剤
  4. DPPH阻害能を有する請求項1又は2に記載の抗酸化剤
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