JP2021080342A - 没食子酸又は没食子酸結合化合物を含有する液剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定性が向上した、没食子酸又は没食子酸結合化合物を含有する液剤を提供する。【解決手段】没食子酸又は没食子酸結合化合物、並びにN−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩を含有する液剤。【選択図】なし

Description

本発明は、没食子酸又は没食子酸結合化合物を含有する安定な液剤に関する。
没食子酸や分子内にガロイル基を有する没食子酸結合化合物は、食品や医薬品に広く配合されるポリフェノールの一種である。ポリフェノールは、抗酸化作用等の生体に対して有益な生理活性を有しているが、一方で、ラジカル、pH及び加熱による温度変化により容易に酸化される不安定な分子であるため、液剤として保存することで、ポリフェノールの分解、沈殿の発生及び溶液の変色等を引き起こすことが知られている。
このポリフェノールの酸化に対して、抗酸化剤の添加やL−アスコルビン酸を添加してpHを5以下に調整する方法(特許文献1)等が提案されている。また、複数の抗酸化剤を組み合わせることにより、ポリフェノールの安定化を図ることも検討されており、例えばアスコルビン酸とα−トコフェロールの抗酸化効果は相乗効果を示す代表的な組み合わせであるとされている(非特許文献1及び2)。これは個々の効果だけではなく、α−トコフェロールがラジカルを消去して生成した反応体をアスコルビン酸が還元し、α−トコフェロールへと再生するためであると考えられている。
しかし、抗酸化剤の組み合わせ次第では、アスコルビン酸とα−トコフェロールのように相乗効果を示すものもあれば、一方で相殺効果による抗酸化効果の減弱も起こり得るため、複数の抗酸化剤を組み合わせることで必ずしもポリフェノールの酸化を抑制できるとは限らず、ポリフェノールの安定性を向上できるとは言えない。
特開2006−191851号公報
Packer JE, Slater TF, Willson RL. Direct observation of a free radical interaction between vitamin E and vitamin C. Nature. 1979 Apr 19;278(5706):737-8. Niki E, Noguchi N, Tsuchihashi H, Gotoh N. Interaction among vitamin C, vitamin E, and beta-carotene. Am J Clin Nutr. 1995 Dec;62(6 Suppl):1322S-1326S.
本発明は、安定性が向上した、没食子酸又は没食子酸結合化合物を含有する液剤を提供することに関する。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、没食子酸又は没食子酸結合化合物を含有する液剤に、N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩を配合することにより、当該化合物の液剤中での安定性が向上することを見出した。
即ち、本発明は以下の1)〜7)に係るものである。
1)没食子酸又は没食子酸結合化合物、並びにN−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩を含有する液剤。
2)さらに塩化カルシウムを含有する、1)の液剤。
3)N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩を、没食子酸又は没食子酸結合化合物とそれぞれ等モル濃度以上5倍モル濃度以下含む、1)又は2)の液剤。
4)没食子酸又は没食子酸結合化合物が、没食子酸又はその塩、二没食子酸又はその塩、没食子酸の低級アルキルエステル、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、ペンタガロイルグルコース、グルコガリン、タンニン酸、ガロイルベルゲニン、ガロイルアルブチン及びN2,N6−ビス[N2,N6−ビス(3,4,5−トリヒドロキシベンゾイル)−リシル]−N−(2−アミノエチル)−リジンアミドエピガロカテキンガレートから選ばれる1種以上である、1)〜3)のいずれかの液剤。
5)液剤中での没食子酸又は没食子酸結合化合物の安定化方法であって、N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩を添加する工程を含む、方法。
6)N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩を、没食子酸又は没食子酸結合化合物とそれぞれ等モル濃度以上5倍モル濃度以下含むように添加する、5)の方法。
7)N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩を有効成分とする、没食子酸又は没食子酸結合化合物を含有する液剤の安定化剤。
本発明によれば、塩没食子酸又は没食子酸結合化合物を含む食品や医薬品の安定性が向上することから、製造工程管理や品質管理が容易となり、食品業界及び医薬品業界に大きく貢献できる。
没食子酸溶液における各種抗酸化剤の安定化効果。 没食子酸含有液剤の安定性評価(目視検査結果)。 没食子酸含有液剤の安定性評価(吸光度比較)。 没食子酸含有液剤の安定性評価(ガロイル基の定量値の比較)。 エピガロカテキンガレート含有液剤の安定性評価(目視検査結果)。 エピガロカテキンガレート含有液剤の安定性評価(吸光度比較)。 没食子酸エチル含有液剤の安定性評価(目視検査結果)。
以下に本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明において、「液剤」とは、水を含有する水性液剤を意味し、水溶液剤、懸濁剤、乳剤等の何れでもよいが、水溶液剤であるのが好ましい。
本発明の液剤は、没食子酸又は没食子酸結合化合物、並びにN−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩を含有する液剤であり、没食子酸又は没食子酸結合化合物の安定性が向上した液剤である。
本発明において、「安定性」とは没食子酸又は没食子酸結合化合物の酸化に対する安定性を意味し、安定性が向上したとは、没食子酸又は没食子酸結合化合物の酸化が抑制され、沈殿の発生や着色が抑制されることを指す。
後述する実施例に示すとおり、N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩は、液剤中の没食子酸又は没食子酸結合化合物の安定化に有用である。したがって、N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩は、液剤中での没食子酸又は没食子酸結合化合物を安定化するための安定化剤となり得、これを液剤中に配合することにより没食子酸又は没食子酸結合化合物の安定化を図ることができる。
本発明において、「没食子酸結合化合物」とは、没食子酸が化学的に結合した化合物であり、具体的には没食子酸がエステル結合又はアミド結合した化合物、すなわち分子内にガロイル基を有する化合物を意味する。没食子酸結合化合物としては、例えば二没食子酸、没食子酸の低級アルキル(炭素数1〜6)エステル(例えば、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル等)、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、ペンタガロイルグルコース、グルコガリン、タンニン酸、ガロイルベルゲニン、ガロイルアルブチン、N2,N6−ビス[N2,N6−ビス(3,4,5−トリヒドロキシベンゾイル)−リシル]−N−(2−アミノエチル)−リジンアミド(国際公開第2007/052641号)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の没食子酸又は没食子酸結合化合物は、液剤中で塩の状態で存在していてもよく、斯かる塩としては特に限定されないが、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩等が挙げられる。
また、本発明の液剤において、「没食子酸又は没食子酸結合化合物」を含有するとは、液剤中に没食子酸又は没食子酸結合化合物が存在すればよく、当該化合物が液体中に配合される場合の他、当該化合物を含有する植物又はその抽出物(例えば、海藻、野菜、柑橘類やリンゴ等の果実や穀物又はそれらの抽出物等)、飲食品(例えば、茶、ワイン、カカオ類等)が液体に配合された結果、当該化合物が液剤中に存在する場合も包含される。
本発明の液剤における没食子酸又は没食子酸結合化合物の濃度は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1mM以上、より好ましくは0.5mM以上、より好ましくは1mM以上で、且つ好ましくは75mM以下、より好ましくは50mM以下、より好ましくは25mM以下である。
本発明の液剤は、N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩を含有する。N−アセチル−L−システインとエリソルビン酸又はその塩を併用することにより、没食子酸又は没食子酸結合化合物の液剤中での安定性を向上し、着色や沈殿を抑制することができる。N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩は、水溶性であり中性領域で抗酸化効果を発揮することから、多くの医薬品及び食品に配合可能である。
エリソルビン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが例示される。
N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩の含有量は、没食子酸又は没食子酸結合化合物の含有量に応じて適宜設定できるが、没食子酸又は没食子酸結合化合物とそれぞれ等モル濃度以上、好ましくは1.5倍モル濃度以上、より好ましくは2.5倍モル濃度以上であり、且つ5倍モル濃度以下、好ましくは4.5倍モル濃度以下、より好ましくは4倍モル濃度以下、より好ましくは3倍モル濃度以下が挙げられる。
なお、N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩の含有量は、液剤の安定性向上化が得られる限り、同一濃度であっても異なる濃度であっても良い。
また、本発明の液剤には、没食子酸又は没食子酸結合化合物の安定性を更に向上すべく、N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩に加えて、塩化カルシウムを含有するのが好ましい。
塩化カルシウムの含有量は、没食子酸又は没食子酸結合化合物の含有量に応じて適宜設定できるが、没食子酸又は没食子酸結合化合物と等モル濃度以上、好ましくは1.5倍モル濃度以上、より好ましくは2.5倍モル濃度以上であり、且つ5倍モル濃度以下、好ましくは4.5倍モル濃度以下、より好ましくは4倍モル濃度以下、より好ましくは3倍モル濃度以下が挙げられる。
本発明の液剤は、含有する没食子酸又は没食子酸結合化合物の用途に応じて、食品、医薬品及び細胞や臓器の保護剤等として使用可能である。
本発明の液剤を医薬品として用いる場合、薬学的に許容される1又は複数の賦形剤、例えば保存料、粘度調節剤、等張化剤、緩衝剤、吸収促進剤、界面活性剤、安定化剤、防湿剤、溶解補助剤等を含有し得る。また、食品として用いる場合は、1又は複数の甘味料、着色剤、保存料、増粘剤、発色剤、漂白剤、防カビ剤、苦味料、光沢剤、香料、酸味料、軟化剤、調味料、乳化剤、pH調整剤、膨張剤及び栄養強化剤等を含有し得る。細胞や臓器の保護剤として用いる場合は、pH調整剤、等張化剤、膨張剤、キレート化剤及び凍結保護剤を含有し得る。
本発明の液剤を医薬品として用い場合、没食子酸又は没食子酸結合化合物それ自体が薬効成分となり得るが、任意の薬効成分を含有することも可能である。医薬品としては、例えば、解熱薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗リウマチ薬、催眠薬、鎮静薬、抗不安薬、抗精神病薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、パーキンソン病治療薬、脳循環代謝改善薬、筋弛緩薬、自律神経系作用薬、抗めまい薬、片頭痛治療薬、強心薬、抗狭心症薬、β遮断薬、Ca拮抗薬、抗不整脈薬、利尿薬、降圧薬、抗アレルギー薬、気管支拡張薬、ぜんそく治療薬、鎮咳薬、去痰薬、消化性潰瘍治療薬、痛風治療薬、脂質異常症薬、糖尿病薬、ホルモン製剤、骨粗鬆症薬、麻酔、抗悪性腫瘍剤、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬、抗原虫薬、免疫抑制薬及びワクチンに分類される薬剤が挙げられる。
本発明の液剤は、公知の手法を用いて、没食子酸又は没食子酸結合化合物、N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩の他、必要に応じて、上述した各種物質を水や緩衝液等の液体に溶解させて調製することができる。液体は、用途に応じて適宜選択できるが、例えば、水、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、生理食塩水、Minimum Essential Medium(MEM)等の各種培養液等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
参考例1 没食子酸溶液における各種抗酸化剤の安定化効果
5mMとなるよう没食子酸(GA:Gallic acid)を50mMリン酸/150mMクエン酸緩衝液(pH6.4)に溶解し、そこへ抗酸化剤であるN−アセチル−L−システイン(N−Acetyl−L−Cystein:NAC)、還元型グルタチオン(Glutathione−SH:GSH)、アスコルビン酸(Vitamin C:VC)、L−カルノシン(Carnosine:CAR)及びエリソルビン酸(Erythorbic acid:EA)を終濃度として5若しくは25mMとなるよう溶解した。併せて、塩化カルシウム(CaCl)も5mMの没食子酸溶液に、終濃度5若しくは25mMとなるよう溶解し、これに5mM没食子酸溶液(抗酸化剤の添加なし)を加えた、13種類の溶液を25℃のインキュベータに保存して、保存前(Day 0)、保存1日目(Day 1)及び保存7日目(Day 7)に目視による溶液の着色を観察した。評価した13種類の抗酸化剤の処方(濃度)については、以下の表1に示す通りである。また、目視による着色の評価結果を、図1及び以下の表1に示す。
Figure 2021080342
抗酸化剤等を添加しない没食子酸のみの溶液(処方1)では、保存1日目で中程度の着色が確認され、7日目では強い着色となった。これに対して、L−カルノシン(処方8及び9)や塩化カルシウム(処方10及び11)を添加しても、没食子酸のみと着色は同程度であり、単独では没食子酸の抗酸化及び安定化の作用は無いと考えられた。一方で、N−アセチル−L−システイン(処方2及び3)、還元型グルタチオン(処方4及び5)、アスコルビン酸(処方6及び7)及びエリソルビン酸(処方12及び13)を添加した溶液では、いずれも保存1日目では着色がみられず、没食子酸のみの溶液と比べて没食子酸の抗酸化/安定化効果があると考えられた。
Day 7では、チオール基を有するN−アセチル−L−システインと還元型グルタチオンを比較すると、低濃度における着色の阻害はN−アセチル−L−システインの方が強いと考えられた。また、構造異性体であるアスコルビン酸とエリソルビン酸のDay 7での比較では、高濃度においてアスコルビン酸は着色が強くなっており、エリソルビン酸は弱い着色であったことから、エリソルビン酸の方が着色の阻害がわずかに強いと考えられた。
以上の結果、N−アセチル−L−システインとエリソルビン酸が、没食子酸や没食子酸結合化合物の安定性向上に寄与すると考えられた。
比較例1〜7、実施例1〜2 没食子酸含有液剤の安定性評価
50mMトリス緩衝液(pH7.6)に1mMの没食子酸を加えた溶液を調製し、そこへ終濃度が1若しくは2mMとなるようにN−アセチル−L−システイン若しくはエリソルビン酸を加えた溶液(処方2、3、4及び5)、終濃度が各1mMとなるようにN−アセチル−L−システイン及び塩化カルシウム(処方6)若しくはエリソルビン酸及び塩化カルシウム(処方7)を加えた溶液、終濃度が各1mMとなるようにN−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸を加えた溶液(処方8)、終濃度が各1mMとなるようにN−アセチル−L−システイン、エリソルビン酸及び塩化カルシウムを加えた溶液(処方9)を調製した。これらの溶液の25℃における安定性を50mMトリス緩衝液(pH7.6)に1mMの没食子酸のみを溶解した溶液を対照として評価した(表2)。
なお、安定性評価は、目視、吸光度測定値及びガロイル基の定量値を指標として行った。吸光度測定については、波長320nmで測定を行った。また、ガロイル基の定量については、酒石酸鉄法により行った。酒石酸鉄法の詳細は以下に記載する通りである。
0.1Mの2−Morpholinoethanesulfonic acid(:MES)に、終濃度として12.5mg/mLのドデシル硫酸ナトリウム、2.5mg/mLの酒石酸ナトリウムカリウム四水和物、0.5mg/mLの硫酸鉄(II)七水和物を溶解し、これを酒石酸鉄試液とした。検量線用標準物質として、没食子酸エチルを0.1M MESで31.3〜500μMとなるように調製し、この検量線用標準物質、検体及びブランクとして0.1M MESを180μL採り、そこへ20μLの酒石酸鉄試液を加え、続けて2M トリスヒドロキシメチルアミノメタンを12μL加え、この反応液の波長520nm及び660nmにおける吸光度を測定した。各波長の吸光度の差分より、検量線を作成し、各検体の吸光度の差分を検量線に代入して、ガロイル基の定量値を算出した。
目視による着色の評価結果を図2及び以下の表2に示す。
Figure 2021080342
保存7日目までに対照を含む比較例の処方1〜7で着色が確認されたが、1mMのN−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸を含む実施例1の処方8と1mMのN−アセチル−L−システイン、エリソルビン酸及び塩化カルシウムを含む実施例2の処方9では溶液の着色が確認されなかった。また、吸光度測定の結果を図3に示すが、吸光度測定結果も目視の評価と相関する結果が得られ、実施例1の処方8及び実施例2の処方9では波長320nmにおける吸光度の上昇が抑えられていた。
したがって、目視及び吸光度の測定結果より、没食子酸溶液に等モル濃度のN−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸若しくはN−アセチル−L−システイン、エリソルビン酸及び塩化カルシウムを加えることで没食子酸の安定性は向上することが示された。 この結果より、N−アセチル−L−システインやエリソルビン酸を単独で高濃度に添加するよりも、混合する方が高い効果を示すことがわかり、N−アセチル−L−システインとエリソルビン酸の混合処方で、相乗的な抗酸化効果を示すことがわかった。
更に、ガロイル基の定量結果を図4に示す。比較例の処方1〜7については、目視及び吸光度測定結果と同様に保存7日目までにガロイル基の濃度が低下していることがわかる。実施例1の処方8では保存7日目のガロイル基の濃度が若干低下しているが、塩化カルシウムを加えた実施例2の処方9では保存前と同程度のガロイル基を維持していることが示された。これらの結果より、N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸に加えて塩化カルシウムを添加することで、没食子酸の安定性は更に向上すると考えられた。
したがって、没食子酸を中性域の溶液で安定化するためには、没食子酸と等モル濃度のN−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸を加えることが効果的であり、そこへ塩化カルシウムを加えることで安定性は更に向上すると考えられた。
比較例8〜14、実施例3〜4 エピガロカテキンガレート含有液剤の安定性評価
50mMトリス緩衝液(pH7.6)にエピガロカテキンガレート(EGCG)を終濃度で1mMとなるように溶かし、そこへ実施例1と同様の組成で抗酸化剤等を加えて、25℃での保存における安定性を評価した。なお、安定性評価は、目視及び波長320nmにおける吸光度の測定により行った。目視による着色の評価結果は図5及び以下の表3に示す。
Figure 2021080342
いずれの処方においても保存7日目では着色がみられるが、保存3日目では比較例の処方1〜4、6及び7は着色が確認されるが、実施例3の8及び実施例4の処方9では着色が確認されなかった。この結果は、図6に示す吸光度の結果ともおおよそ相関しており、保存3日目における吸光度は実施例3の8及び実施例4の処方9で低値を示した。
したがって、エピガロカテキンガレートに対して、各等モル濃度のN−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸若しくはN−アセチル−L−システイン、エリソルビン酸及び塩化カルシウムを添加することでエピガロカテキンガレートの溶液中での安定性は向上することが示され、実施例1及び実施例2の没食子酸の安定性に高い効果を示したN−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸の併用は、エピガロカテキンガレートに対しても同様の効果を示した。
比較例15〜21、実施例5〜6 没食子酸エチル含有液剤の安定性評価
実施例1及び2と同様に、50mMトリス緩衝液(pH7.6)に没食子酸エチル(EG)終濃度で1mMとなるように溶かし、そこへ抗酸化剤等を加えて、25℃での保存における安定性を評価した。なお、安定性評価は、目視により行った。目視による着色の評価結果を図7及び以下の表4に示す。
Figure 2021080342
目視の評価結果より、保存14日目まで着色が確認されなかったのは、実施例5の処方8及び実施例6の処方9であり、この結果は実施例1〜4と同様の結果である。したがって、N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸の併用は、没食子酸エチルにおいても同様の安定化効果を有していることがわかった。
以上より、N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩は、没食子酸又は没食子酸結合化合物を含有する液剤の安定性向上に有用であり、そこへ塩化カルシウムを加えることで安定性は更に向上することが確認された。

Claims (7)

  1. 没食子酸又は没食子酸結合化合物、並びにN−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩を含有する液剤。
  2. さらに塩化カルシウムを含有する、請求項1記載の液剤。
  3. N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩を、没食子酸又は没食子酸結合化合物とそれぞれ等モル濃度以上5倍モル濃度以下含む、請求項1又は2記載の液剤。
  4. 没食子酸又は没食子酸結合化合物が、没食子酸又はその塩、二没食子酸又はその塩、没食子酸の低級アルキルエステル、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、ペンタガロイルグルコース、グルコガリン、タンニン酸、ガロイルベルゲニン、ガロイルアルブチン及びN2,N6−ビス[N2,N6−ビス(3,4,5−トリヒドロキシベンゾイル)−リシル]−N−(2−アミノエチル)−リジンアミドエピガロカテキンガレートから選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項記載の液剤。
  5. 液剤中での没食子酸又は没食子酸結合化合物の安定化方法であって、N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩を添加する工程を含む、方法。
  6. N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩を、没食子酸又は没食子酸結合化合物とそれぞれ等モル濃度以上5倍モル濃度以下含むように添加する、請求項5記載の方法。
  7. N−アセチル−L−システイン及びエリソルビン酸又はその塩を有効成分とする、没食子酸又は没食子酸結合化合物を含有する液剤の安定化剤。
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