JP6342696B2 - 粉体塗料、および粉体塗料を用いる塗膜の製造方法 - Google Patents

粉体塗料、および粉体塗料を用いる塗膜の製造方法 Download PDF

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本発明は、粉体塗料、詳しくはエポキシ樹脂を含有し、ブレーキオイル、ガソリン、ATFオイル、ガソホールといった各種自動車用油料などの油性材料に優れた耐性(本明細書において、この耐性を「耐油性」ともいう。)を有する塗膜を形成可能な粉体塗料、およびこの粉体塗料を用いる塗膜の製造方法に関する。
粉体塗料は、組成中に有機溶剤を含まないため近年のVOC(揮発性有機化合物)排出規制に対応可能であること、溶剤系塗料と比較して比較的安価であること、回収利用が可能であること等の利点を有する。このため、粉体塗料の使用量は増加の傾向にある。粉体塗料の使用方法は概略次のとおりである。まず、コロナ荷電法などにより、被着体上に粉体塗料からなる層(粉体塗料層)を形成する。次に、被着体上の粉体塗料層を加熱して、粉体塗料層を構成する粉体塗料を溶融、硬化させ、塗料層を形成する。
特許文献1や2に開示されるように、粉体塗料の代表的な適用例として、各種金属製品の意匠性の向上および防蝕用途、パイプ内外面への塗装用途、家電製品、電気・電子部品、自動車部品等への絶縁用途等が挙げられる。
粉体塗料から形成された塗膜の適用例の具体的な一つに、モータのコアの絶縁被膜が挙げられる。特許文献1には、このような粉体塗料から形成された絶縁被膜の用途の具体的な一例として、マイクロモータのスロット絶縁用の絶縁被膜が開示されている。
特開2008−56865号公報 特開2010−155893号公報
粉体塗料から形成された絶縁被膜の用途の具体的な他の一例として、油性材料を移送するためのポンプ(油性材料移送ポンプ)のモータにおけるコアが備える絶縁被膜が挙げられる。このコアは油性材料移送ポンプの使用中に油性材料と接するため、コアの絶縁被膜は優れた耐油性を有することが求められる。また、油性材料移送ポンプの組み立て中には、絶縁被膜を備える部品の落下や他の部品との衝突などが生じる場合がある。このような場合に絶縁被膜に割れやカケが容易に生じると、絶縁被膜が適切な絶縁性を維持できなくなる。このため、コアの絶縁被膜は、優れた機械的特性、特に耐衝撃性を有することが、前提条件として求められる。
ところが、次に説明するように、従来技術に係る粉体塗料から形成された塗膜だけでは、上記の要求に応える絶縁被膜として機能させることが困難であった。すなわち、モータのコアは、所定の形状に打ち抜きあるいは裁断した電磁鋼板の複数を積層することにより形成される。そして、得られたコアに対してシャフトなどの部品が組み付けられてなる組立体に対して、粉体塗料による塗膜形成が行われる。この際、この組立体は、シャフトホルダなどの樹脂材料からなる部品をも備える場合がある。こうした樹脂材料からなる部品の変形や変性を抑制すること、シャフトなどの焼き鈍しを抑制することなどの観点から、粉体塗料層から塗膜を形成するための加熱処理は、組立体全体を高温環境下に曝す加熱ではなく、組立体が備える導電性材料(コアやシャフトなど)に対する短時間(数十秒間)の誘導加熱により行われ、しかもポストキュアは行われないことが多い。従来技術に係る粉体塗料を用いた場合には、このような加熱条件では、加熱により生じる粉体塗料内の重合性成分の重合反応を適切に進行させることは困難であり、得られた塗膜の耐衝撃性および耐油性が十分とはいえなかった。
上記の油性材料移送ポンプが自動車内で使用される場合には、当該ポンプの動作安定性を高めることが重要である。上記のような耐衝撃性が十分でない塗膜から絶縁被膜が構成されると絶縁被膜に割れやカケが生じやすくなり、絶縁被膜が適切な絶縁性を維持できなくなるおそれがあることは前述のとおりである。また、上記のような耐油性が十分でない塗膜から絶縁被膜が構成される場合には、ブレーキオイル、ガソリン、ATFオイル、ガソホールなどの自動車用油料に対して十分な耐油性を絶縁被膜が有さず、使用中に絶縁性が低下するおそれがあった。
そこで、従来は、コアの絶縁被膜が、優れた耐衝撃性を有するとともに、自動車用油料に対して優れた耐油性を有するように、上記の組立体に対して粉体塗料により塗膜を形成するだけでなく、塗膜が形成された組立体に対してさらにモールド成型を行うことが行われていた。すなわち、油性材料移送ポンプのコアの絶縁被膜を、粉体塗料により形成された塗膜およびモールド成型により形成された樹脂層から構成することにより、油性材料移送ポンプの使用中にコアの絶縁被膜の絶縁機能が低下することを回避していた。
粉体塗料から形成された塗膜が、塗膜単独でも優れた耐衝撃性および優れた耐油性を有していれば、ポンプのモータの製造プロセスにおいて、上記のモールド成型工程を省略して、コアの絶縁被膜を、粉体塗料から形成された塗膜のみならなるものとすることが可能であり、この場合には、ポンプのモータの生産性を向上させることができる。このため、優れた耐衝撃性および優れた耐油性を有しコアの絶縁被膜として好適な塗膜を形成可能な粉体塗料が求められている。
そこで、本発明は、耐衝撃性に優れるとともに耐油性に優れる塗膜を形成可能な粉体塗料および当該粉体塗料を用いる塗膜の形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく本発明者らが検討した結果、エポキシ樹脂を含む粉体塗料において、エポキシ樹脂に3官能以上のエポキシ樹脂を含有させるとともに、硬化剤としてグアニジン化合物など特定種類の材料を用いることにより、耐衝撃性に優れるとともに耐油性に優れる塗膜を形成しうる粉体塗料が得られるとの新たな知見を得た。
かかる知見に基づき完成された本発明は次のとおりである。
(1)(A1)3官能以上のエポキシ樹脂および(A2)2官能以下のエポキシ樹脂を含む(A)エポキシ樹脂と、グアニジン化合物およびイミダゾール化合物からなる群から選ばれた1種以上の(B)硬化剤と、(C)充填剤とを含有する耐ガソホール性塗膜用の粉体塗料であって、前記耐ガソホール性塗膜は、油性材料移送ポンプ用モータのコアの絶縁被膜であることを特徴とする粉体塗料。
(2)前記(A)エポキシ樹脂における前記(A1)3官能以上のエポキシ樹脂の含有比率が5質量%以上である、上記(1)に記載の粉体塗料。
(3)前記(A)エポキシ樹脂における前記(A1)3官能以上のエポキシ樹脂の含有比率が25質量%以上である、上記(1)に記載の粉体塗料。
(4)前記(A1)3官能以上のエポキシ樹脂は、クレゾール−ノボラック型のエポキシ樹脂を含む、上記(1)から(3)のいずれかに記載の粉体塗料。
(5)前記(A2)2官能以下のエポキシ樹脂は、ビスフェノール系エポキシ樹脂を含む、上記(1)から(4)のいずれかに記載の粉体塗料。
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載される粉体塗料からなる層を被着体の面上に形成し、前記粉体塗料からなる層を加熱して塗膜を得ることを特徴とする塗膜の製造方法。
本発明によれば、耐衝撃性に優れるとともに耐油性に優れる塗膜を形成可能な粉体塗料および当該粉体塗料を用いる塗膜の形成方法が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。
1.粉体塗料
本発明の一実施形態に係る粉体塗料は、(A1)3官能以上のエポキシ樹脂および(A2)2官能以下のエポキシ樹脂を含む(A)エポキシ樹脂と、グアニジン化合物およびイミダゾール化合物からなる群から選ばれた1種以上の(B)硬化剤と、(C)充填剤とを含有する。
かかる粉体塗料から形成された塗膜は、耐衝撃性に優れるだけでなく、耐油性に優れる。また、この塗膜は、耐油性の中でも、自動車用油料がガソホールを含む場合の耐油性(本明細書において、この耐油性を「耐ガソホール性」ともいう。)に優れる。ガソリンとアルコールとの混合燃料であるガソホールは、アルコールを含有することから、その化学的性質はガソリンのみの化学的性質とは大きく異なる。このため、粉体塗料から形成された塗膜がガソリンに対して優れた耐性を有している場合であっても、ガソホールに長時間接触すると、塗膜に軟化や割れなどの不具合が生じてしまう場合が多い。近年、環境保護の観点からガソホールの使用量が拡大しているため、絶縁被膜が粉体塗料から形成された塗膜のみからなるコアを有するモータを備えるポンプが自動車内で燃料ポンプとして使用される場合には、粉体塗料から形成された塗膜が、優れた耐衝撃性のみならず優れた耐ガソホール性を有していることが好ましい。この点、本発明の一実施形態に係る粉体塗料から形成された塗膜は耐衝撃性に優れるだけでなく耐ガソホール性にも優れるため、かかる塗膜を絶縁被膜として備えるコアを有するモータを備えるポンプは、油性材料移送ポンプとして好適に使用されうる。
以下、これらの成分および必要に応じさらに含有される成分について説明する。
(1)(A)エポキシ樹脂
本発明の一実施形態に係る粉体塗料は、(A)エポキシ樹脂として、(A1)3官能以上のエポキシ樹脂(以下の説明では、「(A1)樹脂」と略記する場合もある。)および(A2)2官能以下のエポキシ樹脂(以下の説明では、「(A2)樹脂」と略記する場合もある。)を含む。
(A)エポキシ樹脂が(A1)樹脂を含むことにより、粉体塗料から形成された塗膜の耐油性を高めることが可能となる。(A)エポキシ樹脂が(A2)樹脂を含むことにより、粉体塗料から形成された塗膜の耐衝撃性を高めることが可能となる。また、粉体塗料が溶融した際の粘度を低下させることが容易になるため、粉体塗料の取扱い性や塗膜の厚さ均一性などを高めることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る粉体塗料における(A)エポキシ樹脂の含有量は限定されない。(A)エポキシ樹脂の含有量は、通常、粉体塗料全体に対して10質量%以上70質量%以下とされ、20質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。
(1−1)(A1)樹脂
(A1)樹脂を含有させた効果をより安定的に得る観点から、(A1)樹脂の含有量は、(A)エポキシ樹脂全体に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、25質量%以上であることが特に好ましい。
(A1)樹脂の具体的な種類は限定されない。(A1)樹脂の具体例として、フェノール−ノボラック型のエポキシ樹脂、クレゾール−ノボラック型のエポキシ樹脂、臭素化ノボラック型エポキシ樹脂等ノボラック型エポキシ樹脂等の芳香族系多官能エポキシ樹脂;ペンタエリストールポリグリシジルエーテル等の脂肪族系多官能エポキシ樹脂などが挙げられる。耐油性に優れる観点から、(A1)樹脂はクレゾール−ノボラック型のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。(A1)樹脂は1種類の材料から構成されていてもよいし、複数種類の材料から構成されていてもよい。
(A1)樹脂のエポキシ当量は限定されない。硬化物の架橋密度の観点から、(A1)樹脂のエポキシ当量は100g/eq以上1500g/eq以下の範囲にあることが好ましく、150g/eq以上1000g/eq以下の範囲にあることがより好ましく、180g/eq以上500g/eq以下の範囲内にあることが特に好ましい。
(A1)樹脂の重量平均分子量(Mw)は限定されない。粉体塗料の取扱い性および塗膜の耐油性を高める観点から、(A1)樹脂の重量平均分子量(Mw)は、500以上1000以下の範囲内にあることが好ましく、600以上800以下の範囲内にあることがより好ましい。
(A1)樹脂の軟化点(JIS K7234:1986に基づき測定された値とする。以下同じ。)は限定されない。粉体塗料の取扱い性および塗膜の形成しやすさを高める観点から、(A1)樹脂の軟化点は、60℃以上100℃以下とすることが好ましい。
(A1)樹脂の150℃における溶融粘度は限定されない。粉体塗料の取扱い性および塗膜の耐油性を高める観点から、(A1)樹脂の150℃における溶融粘度は、0.1Pa・s以上4.0Pa・s以下であることが好ましく、0.5Pa・s以上3.0Pa・s以下であることがより好ましく、1.0Pa・s以上2.5Pa・s以下であることが特に好ましい。
(A2)樹脂
(A2)樹脂の含有量は限定されない。粉体塗料から形成された塗膜が優れた耐衝撃性および優れた耐油性を有するように、前述した(A1)樹脂の含有量との関係で適宜設定される。(A1)樹脂の含有量の(A2)樹脂の含有量に対する比率は、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。(A1)樹脂の含有量の(A2)樹脂の含有量に対する比率は、1.0以上であってもよい。
(A2)樹脂の具体的な種類は限定されない。(A2)樹脂の具体例として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のビスフェノール系エポキシ樹脂;プロピレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族系エポキシ樹脂;脂肪族または芳香族アミンとエピクロルヒドリンから得られるエポキシ樹脂;脂肪族または芳香族カルボン酸とエピクロルヒドリンから得られるエポキシ樹脂;複素環エポキシ樹脂;ビフェノール型エポキシ樹脂などが挙げられる。粉体塗料の取扱い性および塗膜の厚さの均一性を高める観点から、(A2)樹脂はビスフェノール系エポキシ樹脂を含むことが好ましい。(A2)樹脂は1種類の材料から構成されていてもよいし、複数種類の材料から構成されていてもよい。
(A2)樹脂のエポキシ当量は限定されない。粉体塗料から形成された塗膜の耐衝撃性をより安定的に高めるなどの観点から、(A2)樹脂のエポキシ当量は、450g/eq以上2200g/eq以下であることが好ましく、600g/eq以上1600g/eq以下であることがより好ましい。
(A2)樹脂の重量平均分子量(Mw)は限定されない。粉体塗料から形成された塗膜の耐衝撃性をより安定的に高めること、粉体塗料の取扱い性および塗膜の形成しやすさを高めることなどの観点から、(A2)樹脂の重量平均分子量(Mw)は、900以上3800以下であることが好ましく、1000以上3000以下であることがより好ましい。
(A2)樹脂の軟化点は限定されない。粉体塗料の取扱い性および塗膜の形成しやすさを高める観点から、(A2)樹脂の軟化点は、60℃以上150℃以下とすることが好ましい。
(2)(B)硬化剤
本発明の一実施形態に係る粉体塗料は、(B)硬化剤として、グアニジン化合物およびイミダゾール化合物からなる群から選ばれた1種以上の化合物を含有する。(B)硬化剤がかかる化合物から構成されることにより、粉体塗料から形成された塗膜は、優れた耐油性を有することができる。
本明細書において、「グアニジン化合物」とは、示性式がHN=C(NHの構造を持つ有機化合物であるグアニジンおよびその誘導体を意味する。グアニジン化合物の具体例として、ジシアンジアミド、スルファミン酸グアニジンなどが例示される。
本明細書において、「イミダゾール化合物」とは、イミダゾールおよびその誘導体を意味する。イミダゾール化合物の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシル−1H−イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−1H−イミダゾール、4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−S−トリアジン、2−フェニル−イミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(2−シアノエトキシ)メチルイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール塩酸塩、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイトなどが挙げられる。
(B)硬化剤は1種類の材料から構成されていてもよく、複数種類の材料から構成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係る粉体塗料における(B)硬化剤の含有量は特に限定されない。(A)エポキシ樹脂の含有量に応じて、(B)硬化剤の含有量は設定される。具体的な一例として、(B)硬化剤の含有量は、(A)エポキシ樹脂の含有量100質量部に対して0.1質量部以上70質量部以下とされる場合が挙げられる。
(3)(C)充填剤
本発明の一実施形態に係る粉体塗料が含有する充填剤の種類は限定されない。充填剤は、無機系の材料であってもよいし、有機系の材料であってもよい。無機系の充填剤の具体例として、溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、チタンホワイト、窒化ケイ素、炭化ケイ素などが挙げられる。有機系の充填剤の具体例として、メラミン樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。(C)充填剤は、1種類の材料から構成されていてもよく、複数種類の材料から構成されていてもよい。
(C)充填剤の形状は限定されない。球状であってもよいし、ファイバー状であってもよいし、鱗片状であってもよい。(C)充填剤の平均粒径も限定されない。取扱い性、塗膜の厚さなどを考慮して適宜設定すればよい。本明細書において「平均粒径」とは、レーザー光散乱式粒度分布測定装置を用いて求めた(C)充填剤の粒子径の累積分布において、累積体積が50%となるときの粒子径をいう。(C)充填剤の平均粒径は、通常、0.01μm以上100μm以下とされ、0.1μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上40μm以下であることがより好ましく、1μm以上20μm以下であることが特に好ましい。
本発明の一実施形態に係る粉体塗料における(C)充填剤の含有量は限定されない。塗膜に求められる特性および塗膜形成のしやすさなどを勘案して適宜設定すればよい。(C)充填剤の含有量は、通常、粉体塗料全体に対して30質量%以上85質量%以下とされ、45質量%以上80質量%以下であることが好ましく、50質量%以上75質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上70質量%以下であることが特に好ましい。
(4)その他の成分
本発明の一実施形態に係る粉体塗料は、上記の成分に加えて、必要に応じ、触媒、硬化促進剤、熱可塑剤、流展剤、難燃剤、顔料、カップリング剤、消泡剤等の慣用の補助成分を含有してもよい。
本発明の一実施形態に係る粉体塗料は、触媒を配合することが好ましく、該触媒としては、従来から知られている触媒をその使用目的に応じて適宜使用することができる。例えば、ポリアミン類、脂肪族アミン類、3級アミン類、有機リン化合物等を使用することができる。
2.粉体塗料の製造方法等
本発明の一実施形態に係る粉体塗料の製造方法は限定されない。本発明の一実施形態に係る粉体塗料の製造方法の一例を挙げれば次のとおりである。
まず、(A)エポキシ樹脂および(C)充填剤等をニーダなどによる溶融混錬処理を施すか、エクストルーダなどによる溶融混合処理を施した後、混合物を冷却固化し、粗粉砕する。この粗粉砕物に、(B)硬化剤、さらに必要により、触媒、硬化促進剤や補助成分を乾式混合し、この混合物に溶融混合処理を施した後、混合物を冷却固化する。得られた固化物を微粉砕した後、その平均粒径が所望の範囲になるように分級することにより、粉体塗料が得られる。
本発明の一実施形態に係る粉体塗料が塗装される被着体の形状は限定されない。本発明の一実施形態に係る粉体塗料は、特に非平面部を有する立体構造物に好適に使用される。具体的には、箱状物、波板状物、袋状物、筒状物、棒状物、穴あき状物など凹凸を有する形状を有する立体構造物を被着体とすることができる。
本発明の一実施形態に係る粉体塗料は従来から知られている塗装方法をその使用目的に応じて適宜使用することができる。例えば、流動浸漬法、静電流動浸漬法、静電流動床法、コロナ荷電法および摩擦荷電法等を挙げることができる。
上記の塗装方法を実施することにより、本発明の一実施形態に係る粉体塗料からなる層(粉体塗料層)を被着体の面上に形成する。次に、被着体上の粉体塗料層を加熱して、粉体塗料層を構成する粉体塗料を溶融、硬化させ、塗料層を形成する。粉体塗料層の加熱温度は、粉体塗料層を構成する粉体塗料を溶融、硬化させることができる限り、限定されない。加熱温度の範囲の具体例として、180〜250℃が挙げられ、好ましい範囲として、180℃以上230℃以下が例示される。本発明の一実施形態に係る粉体塗料は、(A1)樹脂および(A2)樹脂、ならびにグアニジン化合物およびイミダゾール化合物からなる群から選ばれた1種以上の(B)硬化剤を含有することから、加熱温度が180℃以上200℃以下程度の比較的低温であっても、耐衝撃性および耐油性に優れる塗膜を形成することが可能である。
ここで、エポキシ樹脂の硬化時間は一般に長いため、塗膜の硬化を適切に行うために、上記の粉体塗料層を加熱して塗膜を形成した後に、その塗膜に対してポストキュアとも呼ばれる熱処理が施される場合がある。しかしながら、本発明の一実施形態に係る粉体塗料は、このポストキュアを必要とすることなく、耐衝撃性および耐油性に優れる塗膜を形成することが可能である。したがって、本発明の一実施形態に係る粉体塗料から形成される塗膜は、誘導加熱により短時間な加熱が行われる、油性材料移送ポンプ用モータのコアの絶縁被膜を構成する部材として好適に使用されうる。また、本発明の一実施形態に係る粉体塗料から形成された塗膜は耐衝撃性および耐油性に優れるため、当該塗膜からなる絶縁被膜が設けられたコアを有するモータは、油性材料移送ポンプとして好適に使用されうる。さらに、本発明の一実施形態に係る粉体塗料から形成された塗膜は、耐衝撃性および耐ガソホール性に優れるため、当該塗膜からなる絶縁被膜が設けられたコアを有するモータは、自動車燃料ポンプとして好適に使用されうる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、本発明の効果を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
表1(表中の数字は各成分の配合質量部)に示される組成の粉体塗料を用いて、180℃または200℃で予熱した鉄鋼製基材(12×12×100mmのブロック形状)上に、流動浸漬法により粉体塗料層を形成した。その後、12×12×10mmのブロック形状に切断し、鉄鋼製基材上に塗膜を備える試験部材を製造した。
なお、表1に示される成分の詳細は次のとおりであった。
(A1)樹脂:クレゾール−ノボラック型のエポキシ樹脂(エポキシ当量:795g/eq)
(A2)樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:210g/eq)
酸無水物:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
フェノール:ノボラック型フェノール樹脂
(C)充填剤:炭酸カルシウム(平均粒径:5μm)
硬化触媒:2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン
その他添加成分:レベリング剤
(耐衝撃性)
デュポン式衝撃試験機を使用して、曲率1/8インチRのヘッド(荷重:500g)を、高さ10cmの位置から、実施例および比較例により得られた各試験部材の塗膜上に落下させた。塗膜の状態を観察し、塗膜の耐衝撃性を下記の基準で評価した。
「A」:塗膜の割れやカケのないもの
「B」:塗膜の割れやカケがややあるもの
「C」:塗膜の割れやカケが多数あるもの
(耐油性)
前記した密着性の評価で「A」の評価を得た試験部材については、塗膜の耐油性の評価を行った。前記した試験部材を、75℃のガソホールM15(レギュラーガソリン85質量%とメタノール15質量%の混合物)内に浸漬し、この状態を500時間保持する浸漬試験を実施した。
浸漬試験後の試験部材の外観を下記の観点で評価した。
(1)塗膜の割れ
「A」:塗膜に割れが認められなかった。
「B」:塗膜に割れが認められた。
(2)塗膜の軟化
試験部材をガソホールM15から取り出した直後の状態について、
「A」:塗膜に軟化が認められなかった。
「B」:塗膜に軟化が認められた。
(3)塗膜の色調変化
「A」:塗膜に色抜けなどの色調変化が認められなかった。
「B」:塗膜に色抜けなどの色調変化が認められた。
(4)塗膜の剥離
「A」:塗膜の剥離は認められなかった。
「B」:塗膜の一部に剥離が認められた。
「C」:塗膜の全体に剥離が認められた。
評価結果を表2に示す。
(5)塗膜の溶解
「A」:塗膜の溶解が認められない。
「B」:塗膜の一部に溶解が認められた。
「C」:塗膜全体の溶解が認められた。
表2に示されるように、本発明に規定される条件を満たした粉体塗料を用いて製造された実施例1から3に係る試験部材は、衝撃試験を経ても塗膜に割れやカケが発生せず、浸漬試験を経ても、塗膜の状態は良好であった。
これに対し、グアニジン化合物およびイミダゾール化合物からなる群から選ばれた1種以上以外の硬化剤、具体的には、酸無水物およびフェノールからなる硬化剤(比較例1)、酸無水物からなる硬化剤(比較例2)、を含有する粉体塗料を用いて製造された、比較例1および2に係る試験部材は、塗膜の軟化や色調変化が認められ、塗膜の溶解が顕著であった。また、(A1)樹脂および(A2)樹脂を併用しなかった比較例3および4では、浸漬試験後の評価が不芳であったり(比較例3)、密着性試験が不芳であったり(比較例4)した。これらの比較例に係る塗膜は、絶縁被膜としての機能を適切に有するとは期待されないものであった。

Claims (6)

  1. (A1)3官能以上のエポキシ樹脂および(A2)2官能以下のエポキシ樹脂を含む(A)エポキシ樹脂と、
    グアニジン化合物およびイミダゾール化合物からなる群から選ばれた1種以上の(B)硬化剤と、
    (C)充填剤と
    を含有する耐ガソホール性塗膜用の粉体塗料であって、
    前記耐ガソホール性塗膜は、油性材料移送ポンプ用モータのコアの絶縁被膜であることを特徴とする粉体塗料。
  2. 前記(A)エポキシ樹脂における前記(A1)3官能以上のエポキシ樹脂の含有比率が5質量%以上である、請求項1に記載の粉体塗料。
  3. 前記(A)エポキシ樹脂における前記(A1)3官能以上のエポキシ樹脂の含有比率が25質量%以上である、請求項1に記載の粉体塗料。
  4. 前記(A1)3官能以上のエポキシ樹脂は、クレゾール−ノボラック型のエポキシ樹脂を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の粉体塗料。
  5. 前記(A2)2官能以下のエポキシ樹脂は、ビスフェノール系エポキシ樹脂を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の粉体塗料。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載される粉体塗料からなる層を被着体の面上に形成し、前記粉体塗料からなる層を加熱して塗膜を得ることを特徴とする塗膜の製造方法。
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