JP6340794B2 - 円筒ころ軸受 - Google Patents

円筒ころ軸受 Download PDF

Info

Publication number
JP6340794B2
JP6340794B2 JP2013273049A JP2013273049A JP6340794B2 JP 6340794 B2 JP6340794 B2 JP 6340794B2 JP 2013273049 A JP2013273049 A JP 2013273049A JP 2013273049 A JP2013273049 A JP 2013273049A JP 6340794 B2 JP6340794 B2 JP 6340794B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cage
cylindrical roller
pocket
pockets
roller bearing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013273049A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015127563A (ja
Inventor
健太 剱持
健太 剱持
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2013273049A priority Critical patent/JP6340794B2/ja
Publication of JP2015127563A publication Critical patent/JP2015127563A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6340794B2 publication Critical patent/JP6340794B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Description

本発明は、高荷重および高速回転において高い精度が要求される円筒ころ軸受であって、特に、工作機械スピンドル、ボールねじサポート軸受、鉄道、航空および一般産業機械に用いられる円筒ころ軸受に関する。
転がり軸受に使用される保持器は、転動体同士の衝突を回避する役割や、転動体の不等配による軸受剛性の低下、変動を避ける役割を担っており、内輪と外輪の回転を受けて自転する転動体が互いに接触しないように、転動体との間に隙間を設けて転動体を格納している。
内輪および外輪の傾きや転動体の径に相互差等がなく、各部材が理想的に形成された転がり軸受においては、仮に回転初期に転動体が不等配だった場合であっても、回転が安定して回転輪から転動体への駆動力が一定になると、転動体が等配になるという特性がある。特に、工作機械スピンドル等に使用される精密軸受では、軸受の部品精度が高く、機械への組み込み精度も良いため、運転中に転動体が等配になり易い。一方で転動体の等配は、転がり軸受にかかる偏荷重が変動した場合に軸受を安定して稼動させるためにも必要であり、保持器のポケットは、基本的に等配置に設けられる。
内輪と外輪の回転を受けて公転する転動体から駆動力を受ける保持器は、内輪または外輪との間の隙間が許す範囲内で3次元的に動く。軸受内で大きな振れ回りを生じさせることなく保持器を回転させるためには、保持器の半径方向の動き量を規制し、回転を案内する必要がある。保持器の案内方式としては、保持器のポケットを介して転動体によって回転が案内される転動体案内型と、保持器の内周面または外周面を介して内輪の外周面または外輪の内周面によって回転が案内される軌道輪案内型と、がある。
転動体案内型の保持器の場合、保持器の半径方向の動き量を規制するため、一般的に、ポケット内部に凸部が設けられる。そのため、転動体と接触するポケットの半径方向壁面形状が、接触する位置により変化するため、転動体が保持器に与える駆動力の方向は回転方向に対して一様ではなくなる。すなわち、転動体の公転軸と保持器の回転軸との間にずれが生じた場合、回転方向に対する各ポケットに与えられる駆動力の方向が一様でなくなるため、保持器の挙動が不安定になるおそれがある。また、通常、保持器はポケットと転動体との間で隙間を持っているため、軸受に対して相対的に動き量を持つ。このため、仮に保持器が理想的に回転していたとしても、重力や摩擦といった外力が加わることで簡単にバランスが崩れ、保持器の暴れが引き起こされる。こうした保持器の動きを抑制するためには、転動体の不等配により、保持器を拘束する必要があるが、上述したように、保持器の拘束や転動体の不等配はそれぞれ問題を抱えているため、転動体案内型の保持器での保持器の暴れ抑制は非常に困難である。
一方、軌道輪案内型の保持器は、保持器の半径方向動き量が軌道輪によって規制されているため、ポケットの半径方向壁面形状はストレートにすることができる。そのため、転動体から与えられる駆動力の方向は回転方向に対して常に一様となるため、保持器の挙動は比較的安定しやすい。そのため、転動体案内型の保持器が一般的な用途の軸受に採用されることが多いのに対し、高荷重、高速回転などの過酷な運転条件において精密さを要求される軸受には、軌道輪案内型の保持器が採用されることが多い。
ただし、軌道輪案内型の保持器も、転動体案内型の保持器と同様に、軸受内部にある程度のすきまを持って配置されるため、保持器はその間を自由に動くことができる。そのため、回転中、各ポケットに与えられる駆動力の大きさは一定とは限らない。このとき、各ポケットから与えられる駆動力が変動することで、力のバランスが崩れ、保持器の暴れ(振れ回り)が生じるおそれがある。保持器に振れ回りが生じた場合、保持器と転動体、または保持器と軌道輪が衝突し、断続的な衝突音が発生する。この衝突音は保持器音と呼ばれ、耳障りな音として認識されるため、高精度、低振動、および低騒音が要求される精密工作用の機械においては問題となる。
このような保持器音を抑制するため、従来、種々の技術が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
特許文献1では、少なくとも1つのポケットの中心を、他のポケットの中心を結ぶピッチ円上から少しずらすことで、当該ポケットの壁面形状を他のポケットの壁面形状とは異なる形状にすることが提案されている。これにより、各ポケット壁面が各転動体に与える摩擦力のバランスを崩し、ポケット位相に対して転動体位相が同一とならないようにしている。すなわち、円周方向に等間隔に配置されたポケット内で転動体が等配にならないように、転動体の公転運動の位相を乱してある。これにより、保持器の拘束力を保ち、保持器音を抑制することを狙いとしている。
特許文献2では、軸方向の隙間が狭くなるように形成された規制ポケット部と、転動体である球より僅かに大きい曲率を有する球面の転動体案内ポケット部と、を有する転動体案内の保持器が提案されている。転動体である球と内輪および外輪との接触を、転動体案内ポケット部の球面に端部を設けることにより回避し、且つ、規制ポケット部によって保持器の軸方向の移動を規制し、転動体案内ポケット部によって保持器の円周方向の移動を規制している。
実開平5−86023号公報 特開平1−153817号公報
しかしながら、転動体に不等配を引き起こさせて保持器に拘束力を与えると、保持器、転動体間の摩擦が増大し、油膜状態に悪影響を及ぼす結果、軌道輪の摩耗、振動の増加、寿命の低下等の問題が発生するおそれがある。また、転動体が不等配となると、軸受剛性や回転精度の低下、振動大などを招くおそれがある。
特許文献1に記載された技術は、ポケット形状が径方向に対してストレート形状である保持器には適用できない。このため、特許文献1に記載された技術は、実質的に転動体案内型の保持器にのみ適用されるものであり、軌道輪案内型の保持器には適用できないという問題があった。
また、特許文献2のような転動体案内型保持器では、保持器の回転案内をポケット部で行なわなければならない。従って、基本的にポケット壁面形状は転動体に対してその接触点の法線の方向すなわち駆動力の方向が一様にならない。また、保持器の動きにはある程度の自由度があることから、その回転軸は一定でない。そのため、転動体案内型の保持器において回転案内を行なうためには、基本的に2つ以上のポケットが必要となる。このとき駆動力方向が不定であると保持器の暴れの抑制が困難となり、さらにポケットの配置によっては、保持器の暴れがさらに大きくなってしまうおそれがある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、転動体から駆動力を受けるポケットを予め限定することで、保持器に与えられる駆動力を常に一定に保ち、保持器の振れ回りを抑えて保持器音を低減させることにある。
本発明は、上記の目的を達成するため、以下の特徴を有する。
(1) 外輪と、
内輪と、
前記外輪および前記内輪の間に組み込まれた複数の円筒ころを、その中心が円周方向に等間隔に設けられた複数のポケットでそれぞれ保持する保持器と、
を備える円筒ころ軸受であって、
前記複数のポケットが、前記保持器の他のポケットと比較して前記保持器と前記円筒ころの公転方向の隙間が小さく形成された駆動ポケットを少なくとも1つ含み、
前記他のポケットが非駆動ポケットであり、
互いからの位相間隔が180度未満となるように配置された少なくとも3つの前記非駆動ポケットにおける前記保持器と前記円筒ころとの軸方向の隙間が、前記保持器内の残りのポケットと比較して小さく形成されていることにより、前記保持器の軸方向動き量が規制されることを特徴とする円筒ころ軸受。
(2) 外輪と、
内輪と、
前記外輪および前記内輪の間に組み込まれた複数の円筒ころを、その中心が円周方向に等間隔に設けられた複数のポケットでそれぞれ保持する保持器と、
を備える円筒ころ軸受であって、
前記複数のポケットが、前記保持器の他のポケットと比較して前記保持器と前記円筒ころの公転方向の隙間が小さく形成された駆動ポケットを少なくとも1つ含み、
前記他のポケットが非駆動ポケットであり、
互いからの位相間隔が180度未満となるように配置された少なくとも3つの前記ポケットにおける前記保持器と前記円筒ころとの軸方向の隙間が、前記保持器内の残りのポケットと比較して小さく形成されていることにより、前記保持器の軸方向動き量が規制され、
前記少なくとも3つの前記ポケットが、前記駆動ポケットと前記非駆動ポケットとの組み合わせであることを特徴とする円筒ころ軸受。
) 前記保持器が前記内輪または前記外輪によって案内されることを特徴とする(1)または(2)に記載の円筒ころ軸受。
) 前記保持器が、前記内輪または前記外輪によって案内される円環状の段部を有し、
前記複数のポケットが、前記段部に干渉しないように形成されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の円筒ころ軸受。
) 前記複数のポケットの体積が略同等であることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の円筒ころ軸受。
本発明によれば、転動体から駆動力を受けるポケットが駆動ポケットに限定されることにより、保持器に与えられる駆動力が一定となり、保持器の振れ回りが抑制され、保持器音を低減することができる。
(a)〜(d)は本発明に係る円筒ころ軸受の例を説明するための図である。 図1(a)の円筒ころ軸受の保持器を示す図であって、(a)は斜視図、(b)横断面図である。 図2の保持器の詳細を説明するための図である。 (a)は図2の保持器における円筒ころのスキューを説明するための図であり、(b)は従来の保持器における円筒ころのスキューを説明するための図である。 本発明の円筒ころ軸受の保持器の他の一例の横断面図である。 本発明の円筒ころ軸受の保持器のさらに他の一例の横断面図である。 (a)は本発明の円筒ころ軸受の保持器の他の一例を説明するための図であり、(b)はさらに他の一例を説明するための図である。 (a)は図1(b)の円筒ころ軸受の保持器を説明するための図であり、(b)は比較例を説明するための図である。
以下、図面を用いて、本発明の円筒ころ軸受の実施形態について説明する。本発明の円筒ころ軸受は、保持器の形状に特徴を有するものである。本発明は、軌道輪案内方保持器を備えたあらゆる円筒ころ軸受に採用可能である。例えば、図1(a)(b)(c)(d)に示すような、工作機械用の軸受としてよく使用される円筒ころ軸受に採用可能である。
図1(a)に示した円筒ころ軸受1は、外輪2の内周面に形成された外輪軌道面3と、内輪6の外周面に形成された内輪軌道面8と、の間に複数の円筒ころ10を備えている。この円筒ころ軸受1は、内輪6の軸方向両端部につば部7が形成された、一般にN型と呼ばれる円筒ころ軸受であり、円筒ころ10を保持する保持器11は、この内輪6のつば部7の外周面によって案内される。図1(b)に示した円筒ころ軸受1Aもまた、内輪両端面につば部7を有する一般にN型と呼ばれる円筒ころ軸受である。円筒ころ軸受1Aの保持器11Aにおいては、軸方向両端部における円環部が、径方向外側に突出した段部となっている。保持器11Aは、この段部の外周面で、外輪2の内周面によって案内される。
図1(c)に示した円筒ころ軸受1Bは、外輪2の軸方向両端部につば部4が形成された、一般にNU型と呼ばれる円筒ころ軸受であり、円筒ころ10を保持する保持器11Bは、この外輪2のつば部4の内周面によって案内される。図1(d)に示した円筒ころ軸受1Cもまた、外輪2の軸方向両端部につば部4が形成された、一般にNU型と呼ばれる円筒ころ軸受である。円筒ころ軸受1Cの保持器11Cにおいては、軸方向両端部における円環部が、径方向内側へと突出する段部となっている。保持器11Cは、この段部の外周面で、内輪6の外周面によって案内される。
図2は、図1(a)に示した円筒ころ軸受1の保持器11を説明するための図であり、図2(a)は斜視図、(b)は横断面図である。保持器11は、軸方向に並んで配置された一対の円環部12、13を軸方向に接続する複数の柱部14を有しており、これら円環部12、13、および柱部14により、円筒ころ10を1個ずつ収容するポケットが15個形成されている。保持器11は、一般的に保持器材料として使用されるフェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)などのプラスチック(ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの強化材入りも含む)や、銅合金、ステンレス、鉄(メッキ、コーティング、化成処理などの表面処理を施したのも含む)などの金属製であることが望ましい。しかしながら、保持器11の材料はこれに限定されず、一般的な保持器形状に加工可能な材料であればいずれのものを用いてもよい。
図2(b)に示すように、15個のポケットは、1個の駆動ポケット15と、14個の非駆動ポケット16と、からなる。15個のポケットは、駆動ポケット15の中心と、非駆動ポケット16の中心が円周方向に等間隔となるように配置されている。また、駆動ポケット15の内輪側の開口幅と外輪側の開口幅は等しく、また、非駆動ポケット16の内輪側の開口幅と外輪側の開口幅は等しい。すなわち、駆動ポケット15および非駆動ポケット16の壁面は、円筒ころ10の公転方向と垂直な方向に対してストレートな形状に形成される。ここで、ストレートな形状とは、運転中に転動体が接触し得る各ポケットの壁面が、転動体中心と軸受中心とを結ぶ直線に対して平行となる形状を意味する。このように、ポケットの壁面をストレートな形状とすることにより、保持器11の暴れを抑制して、安定した回転を行なうことが可能となる。尚、ポケット16の壁面は、場合により、転動体中心と軸受中心とを結ぶ直線に対して角度を持った直線を含んだ面として形成されてもよい。
図3は、図2の保持器の詳細を説明するための図である。図3に示すように、駆動ポケット15は、円筒ころ10との間に形成される円周方向の隙間、すなわち、ポケットの周方向幅と円筒ころ10の径との差が、非駆動ポケット16のそれよりも小さくなるように形成されている。駆動ポケット15に収容された円筒ころ10は、ストレートな形状に形成された駆動ポケット15の壁面と接触し、保持器11へ駆動力を与える。一方、非駆動ポケット16内に収容された円筒ころ10は、公転方向に広く形成された非駆動ポケット16の中を外輪と内輪の回転に従って自由に移動する。
駆動ポケット15および非駆動ポケット16は、軸方向の隙間、すなわち、ポケットの軸方向幅と円筒ころ10の軸方向幅との差が同等となるように形成されている。これにより、保持器11の軸方向の動きは、駆動ポケット15および非駆動ポケット16の両方により規制されている。
円筒ころ軸受においては、自身の寸法精度、潤滑状況、または外的要因等により、ランダムなタイミングで、円筒ころ10の自転軸が、円筒ころ10の公転軸に対して傾いてしまう場合がある。このような傾きはスキューと呼ばれる。図4(a)は、図2、3で説明した保持器11において円筒ころ10にスキューが生じた場合を説明するための図であり、図4(b)は従来の保持器111において円筒ころ110にスキューが生じた場合を説明するための図である。
1つの円筒ころに傾き(スキュー)が生じると、他の円筒ころに対する公転遅れが生じる。このとき、図4(b)に示すように、従来の保持器111では、ポケット115の周方向隙間が小さいため、円筒ころ110が、ポケット115の壁面(保持器110の柱部)と衝突し、保持器111に暴れが生じ、保持器音が発生してしまう。
しかしながら、図4(a)に示すように、本発明の円筒ころ軸受で使用される保持器11では、円周方向の隙間が大きい非駆動ポケット16が設けられている。そのため、非駆動ポケット16内における円筒ころ10の衝突が防止できるので、結果として保持器音の発生も抑制される。
以上、説明したように、保持器11は、14個の非駆動ポケット16と比較して円筒ころ10の円周方向の隙間を小さく形成した駆動ポケット15を1個設けることにより、保持器11に駆動力を伝達する円筒ころ10が予め1個に限定されている。これにより、保持器11に与えられる駆動力のランダム性を最も少なくでき、保持器11の挙動を安定させることができる。保持器11の回転バランスが安定することにより、保持器11が暴れることなく内輪6によって案内され、保持器音を抑制することができる。
また、保持器11に駆動力を伝達する円筒ころ10が予め1個に限定されるので、駆動ポケット15および非駆動ポケット16間に引張応力や圧縮応力が発生することがなく、保持器11に伝達される駆動力はほぼ一定となり、保持器材料の疲れ破損が生じ難い。
また、保持器11を駆動する駆動ポケット15を1個設けていることにより、円筒ころ軸受1がグリース潤滑されている場合においても、グリースが駆動ポケット15を介して円筒ころ10に円滑に充填される。一方で、円周方向隙間が大きい非駆動ポケット16においては、軸受転動面に残存する余分な油やグリースがこの隙間から外部へと移動しやすいため、円筒ころ軸受1の昇温抑制効果も期待できる。これは、玉軸受と比較して摩擦面が大きく、油やグリースによる攪拌抵抗が大きい軸受である円筒ころ軸受において特に有利となる。
ところで、1つの保持器に設けられる駆動ポケット15の数は1個に限定されない。図5は、本発明の円筒ころ軸受に使用することができる他の保持器11’を説明するための横断面図である。図5に示すように、保持器11’においては、2個の駆動ポケット15が等間隔で配置され、その間に14個の非駆動ポケット16が配置されている。すなわち、保持器11’においては、180°離れて配置された2つの駆動ポケット15の間に、それぞれ7個の非駆動ポケット16が配置されている。
この実施形態では、保持器11’に2個の駆動ポケット15を等間隔で設けたので、円筒ころ10が保持器11’に伝達する駆動力のバランスが取れるため、特に高速回転する場合でも遠心力によるバランスを保ち、安定した高速回転が可能となる。
図6は、本発明の円筒ころ軸受に使用することができるさらに他の保持器11’’を説明するための横断面図である。図6に示すように、保持器11’’においては、2個の駆動ポケット15と残り14個の非駆動ポケット16とが連続して配置されている。
この実施形態では、保持器11’’に2個の駆動ポケット15を連続して設けたので、複数の円筒ころ10が保持器11’’に駆動力を伝達する位置を一箇所に集中することができる。そのため、軸受がラジアル荷重やモーメント荷重を受ける場合、または軸受の取付精度が悪い場合等に、円筒ころ10に不等配が発生したとしても、全ての駆動ポケット15が同等の駆動力を与えられる可能性が高まり、保持器11’’の動作を安定させることができる。
なお、上述した実施形態では、駆動ポケット15が1個または2個設けられるものとして説明したが、駆動ポケット15の数はこれらに限定されない。本発明では、駆動ポケットの数が少ないほど効果が高まるが、サイズや素材などにより保持器の重量が大きい場合に保持器に駆動力を与える転動体が少ないと、円筒ころ10と軌道輪との間ですべりが生じるおそれがある。そのため、駆動ポケット15は複数個設けたほうが好ましい場合もあり、3個以上設けられてもよい。また、保持器に伝達される駆動力が一定であれば、保持器挙動は安定する方向に働くため、その配置についても上記のものに特に限定されない。但し、保持器の重量が大きい場合等に保持器駆動力が小さいと、円筒ころと軌道輪との間ですべりが生じるおそれがある。したがって、必要な保持器駆動力が大きい場合は、常に全ての駆動ポケットに同等の駆動力が与えられる確率を高めるため、駆動ポケット15を集中させた配置とすることが望ましい。
また、上記した実施形態では、駆動ポケット15および非駆動ポケット16の両方により、保持器11の軸方向の動きを規制しているが、これに限定されない。駆動ポケット15のみの軸方向の隙間を小さくすることにより保持器11の軸方向の動きを規制してもよいし、非駆動ポケット16のみの軸方向の隙間を小さくすることにより規制してもよい。すなわち、図7(a)に示す例では、非駆動ポケット16’’’の軸方向隙間を駆動ポケット15’’’の軸方向隙間よりも小さくして、保持器11’’’の軸方向の動きを規制している。この場合には、駆動ポケット15’’’と非駆動ポケット16’’’の体積を略同等に調整できることで、保持器11’’’のアンバランスをさらに解消することが可能である。また、図7(b)に示すように、駆動ポケット15’’’’のみにより保持器11’’’’の軸方向の動きを規制してもよい。しかしながら、特にグリース潤滑を使用した転がり軸受においては、保持器は円筒ころへの潤滑油を保持する役割も担っている。しかしながら、円筒ころがポケットと接触せずに自転すると、自身の遠心力により潤滑油が離脱してしまい、円筒ころの潤滑油が枯渇し、軸受寿命が低下するおそれがある。したがって、円筒ころ10はいずれかの箇所でポケットと接触することが好ましいので、非駆動ポケットによって軸方向の動き量が規制されると特に好ましい。また、保持器の軸方向動き量を規制するポケットの数も特に限定されない。しかしながら、保持器の傾きの発生を抑制するため、保持器の軸方向動き量を規制するポケットは3個以上設けられることが好ましく、且つそれぞれの位相間隔が180°未満であることが望ましい。
図8(a)は、図1(b)に示した円筒ころ軸受1Aに使用されている保持器11Aを説明するための図である。保持器11Aは、径方向外側へと突出する段部となる円環部12A、13Aを有しており、円環部12A、13Aおよび柱部14によって駆動ポケット15および非駆動ポケット16が形成されている。
ここで、図8(b)のようにポケット(この例では駆動ポケット115)が段部となった円環部112A,113Aに干渉していると、案内面に切り欠きが形成されるため、摺動不良が発生し保持器111Aに暴れを生じさせる危険がある。したがって、駆動ポケット115および非駆動ポケット116は、図8(a)のように、案内面となる円環部12、13に干渉しないように形成されることが望ましい。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更、改良等が可能である。例えば、保持器の周方向ポケットの隙間の関係および上述の軸方向動き量の関係が満足されている限りにおいて、駆動ポケット、非駆動ポケットの形状は特に限定されない。例えば、ポケットの隅に逃げ部が設けられていてもよく、さらに駆動ポケット同士、非駆動ポケット同士が異形であってもよい。
1、1A、1B、1C 円筒ころ軸受
2 外輪
6 内輪
10 円筒ころ
11、11’、11’’、11’’’、11’’’’、11A、11B、11C 保持器
15、15’’’、15’’’’ 駆動ポケット
16、16’’’、16’’’’ 非駆動ポケット

Claims (5)

  1. 外輪と、
    内輪と、
    前記外輪および前記内輪の間に組み込まれた複数の円筒ころを、その中心が円周方向に等間隔に設けられた複数のポケットでそれぞれ保持する保持器と、
    を備える円筒ころ軸受であって、
    前記複数のポケットが、前記保持器の他のポケットと比較して前記保持器と前記円筒ころの公転方向の隙間が小さく形成された駆動ポケットを少なくとも1つ含み、
    前記他のポケットが非駆動ポケットであり、
    互いからの位相間隔が180度未満となるように配置された少なくとも3つの前記非駆動ポケットにおける前記保持器と前記円筒ころとの軸方向の隙間が、前記保持器内の残りのポケットと比較して小さく形成されていることにより、前記保持器の軸方向動き量が規制されることを特徴とする円筒ころ軸受。
  2. 外輪と、
    内輪と、
    前記外輪および前記内輪の間に組み込まれた複数の円筒ころを、その中心が円周方向に等間隔に設けられた複数のポケットでそれぞれ保持する保持器と、
    を備える円筒ころ軸受であって、
    前記複数のポケットが、前記保持器の他のポケットと比較して前記保持器と前記円筒ころの公転方向の隙間が小さく形成された駆動ポケットを少なくとも1つ含み、
    前記他のポケットが非駆動ポケットであり、
    互いからの位相間隔が180度未満となるように配置された少なくとも3つの前記ポケットにおける前記保持器と前記円筒ころとの軸方向の隙間が、前記保持器内の残りのポケットと比較して小さく形成されていることにより、前記保持器の軸方向動き量が規制され、
    前記少なくとも3つの前記ポケットが、前記駆動ポケットと前記非駆動ポケットとの組み合わせであることを特徴とする円筒ころ軸受。
  3. 前記保持器が前記内輪または前記外輪によって案内されることを特徴とする請求項1または2に記載の円筒ころ軸受。
  4. 前記保持器が、前記内輪または前記外輪によって案内される円環状の段部を有し、
    前記複数のポケットが、前記段部に干渉しないように形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の円筒ころ軸受。
  5. 前記複数のポケットの体積が略同等であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の円筒ころ軸受。
JP2013273049A 2013-12-27 2013-12-27 円筒ころ軸受 Expired - Fee Related JP6340794B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013273049A JP6340794B2 (ja) 2013-12-27 2013-12-27 円筒ころ軸受

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013273049A JP6340794B2 (ja) 2013-12-27 2013-12-27 円筒ころ軸受

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015127563A JP2015127563A (ja) 2015-07-09
JP6340794B2 true JP6340794B2 (ja) 2018-06-13

Family

ID=53837646

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013273049A Expired - Fee Related JP6340794B2 (ja) 2013-12-27 2013-12-27 円筒ころ軸受

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6340794B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107237825A (zh) * 2017-07-14 2017-10-10 洛阳汇工轴承科技有限公司 圆柱滚子轴承保持架引导新结构及新方法
CN110454502A (zh) * 2018-05-07 2019-11-15 襄阳汽车轴承股份有限公司 一体实体铜保持架圆柱滚子轴承
CN111677760A (zh) * 2020-06-28 2020-09-18 瓦房店轴承集团国家轴承工程技术研究中心有限公司 自润滑锁扣式三排圆柱轴承用隔离环

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01153816A (ja) * 1987-12-11 1989-06-16 Shinji Oki 転動体案内保持器を備えた転がり軸受
JP3952107B2 (ja) * 1998-08-13 2007-08-01 日本精工株式会社 転がり軸受の分割型保持器
JP5499814B2 (ja) * 2010-03-23 2014-05-21 日本精工株式会社 転がり軸受
JP6370026B2 (ja) * 2011-11-29 2018-08-08 日本精工株式会社 保持器および転がり軸受

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015127563A (ja) 2015-07-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6370026B2 (ja) 保持器および転がり軸受
JP5750901B2 (ja) 転がり軸受
JP6922928B2 (ja) 転がり軸受用保持器、及び転がり軸受
JP2006242284A (ja) 鍔付円筒ころ軸受
JP2014202256A (ja) 複列ころ軸受用の樹脂製櫛型保持器及び複列ころ軸受
JP6340794B2 (ja) 円筒ころ軸受
JP6690462B2 (ja) 玉軸受、主軸装置及び工作機械
WO2015141021A1 (ja) アンギュラ玉軸受
WO2020080061A1 (ja) アンギュラ玉軸受
JP2009068592A (ja) 保持器付自動調心ころ軸受及び自動調心ころ軸受用保持器の製造方法
JP2016142313A (ja) ティルティングパッド軸受および回転機械
JP5600958B2 (ja) 軸受装置
JP7142629B2 (ja) アンギュラ玉軸受保持器およびアンギュラ玉軸受
JP2000320558A (ja) ころ軸受用合成樹脂製保持器
JP2014105809A (ja) 転がり軸受用保持器
WO2019146768A1 (ja) アンギュラ玉軸受
JP5499327B2 (ja) 転がり軸受
JP2006342820A (ja) アンギュラ型玉軸受
JP2010025191A (ja) 自動調心ころ軸受
JP2010038351A (ja) 転がり軸受
JP5985684B2 (ja) スラスト軸受及びその保持器
JP2015064081A (ja) 転がり軸受
JPH11336772A (ja) 転がり軸受
JP2002081441A (ja) ころ軸受
JP4009962B2 (ja) 玉軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170928

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171003

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180417

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180430

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6340794

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees