JP2006342820A - アンギュラ型玉軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高速回転時に軸受内部で発生する摩擦熱、振動、騒音を十分に抑えられる構造を実現する。
【解決手段】 保持器5cの案内形式を外輪案内とする。この保持器5cを構成する第一、第二両リム部10c、11cの内径寸法a1 、a2 及び外径寸法b1 、b2 を、それぞれ所定の条件を満たす様に決定する。これにより、回転速度の大きさに拘わらず、上記第一、第二両リム部10c、11cの外径膨張量が互いに等しくなる様にする。この様な構成を採用する事により、上記課題を解決する。
【選択図】 図1
【解決手段】 保持器5cの案内形式を外輪案内とする。この保持器5cを構成する第一、第二両リム部10c、11cの内径寸法a1 、a2 及び外径寸法b1 、b2 を、それぞれ所定の条件を満たす様に決定する。これにより、回転速度の大きさに拘わらず、上記第一、第二両リム部10c、11cの外径膨張量が互いに等しくなる様にする。この様な構成を採用する事により、上記課題を解決する。
【選択図】 図1
Description
この発明に係るアンギュラ型玉軸受は、例えば工作機械を構成する主軸等の高速回転軸をハウジングに対して回転自在に支持する為に利用する。
旋盤、フライス盤、研削盤等の工作機械の主軸をハウジングに対して回転自在に支持する為に従来から、図11に示す様なアンギュラ型玉軸受が使用されている。このアンギュラ型玉軸受は、内周面の軸方向中間部にアンギュラ型の外輪軌道1を有する外輪2と、外周面の軸方向中間部に深溝型の内輪軌道3を有する内輪4と、この内輪軌道3と上記外輪軌道1との間に保持器5により保持した状態で転動自在に設けられた複数個の玉6とから成る。このうちの外輪2は、内周面の一端部(図11の左端部)にのみ、上記外輪軌道1の肩部7を設けている。これに対し、内周面の他端部(図11の右端部)には、上記外輪軌道1の肩部を設けず、当該部分を上記肩部7よりも内径寸法が大きいカウンタボア8としている。
又、上記保持器5は、全体を円筒状に構成しており、軸方向中間部の円周方向複数個所に、それぞれポケット9を形成している。又、この保持器5のうち、軸方向に関してこれら各ポケット9を形成した部分の両側部分に、それぞれが断面矩形で円環状の第一、第二リム部10、11を設けている。この様な保持器5は、上記各ポケット9の内側に上記各玉6をそれぞれ1個ずつ転動自在に保持した状態で、上記外輪2の内周面と上記内輪4の外周面との間に配置している。又、図示の例では、径方向に関する上記保持器5の変位規制方式として、外輪案内方式を採用している。この為に、具体的には、図示の様に、上記外輪2及び内輪4と上記保持器5とを互いに同心に配置した状態で、上記第一リム部10の外周面を上記肩部7の内周面に、円筒状の第一案内隙間12を介して近接対向させている。これにより、使用中、上記保持器5が上記外輪2及び内輪4に対し径方向に変位した場合に、上記第一リム部10の外周面が上記肩部7の内周面に接触(摺接)する様にして、径方向に関する上記保持器5の変位規制を行なえる様にしている。尚、上記第二リム部11の外周面と上記カウンタボア8の内周面との間、並びに、上記第一、第二両リム部10、11の内周面と上記内輪4の外周面との間には、それぞれ上記第一案内隙間12よりも大きい径方向幅を有する隙間を設けている為、使用時にこれら各周面同士が互いに接触する事はない。
次に、図12は、アンギュラ型玉軸受の従来構造の第2例として、特許文献1に記載されたものを示している。この従来構造の第2例の場合も、径方向に関する保持器5aの変位規制方式として、外輪案内方式を採用している。この為に、具体的には、第二リム部11aの外径寸法を第一リム部10の外径寸法よりも大きくしている。これと共に、図示の様に、外輪2及び内輪4と上記保持器5aとを互いに同心に配置した状態で、上記第二リム部11aの外周面をカウンタボア8の内周面に、部分円すい筒状の第二案内隙間13を介して近接対向させている。これにより、使用中、上記保持器5aが上記外輪2及び内輪4に対し径方向に変位した場合に、上記第二リム部11aの外周面が上記カウンタボア8の内周面に接触(摺接)する様にして、径方向に関する上記保持器5aの変位規制を行なえる様にしている。尚、上記第一リム部10の外周面と肩部7の内周面との間、並びに、上記第一、第二両リム部10、11の内周面と上記内輪4の外周面との間には、それぞれ上記第二案内隙間13よりも大きい径方向幅を有する隙間を設けている為、使用時にこれら各周面同士が互いに接触する事はない。
ところで、近年、工作機械の分野では、加工効率の更なる向上を図る為に、主軸を支持するアンギュラ型玉軸受の高速化の要求が高まっている。例えば、一部の用途では、このアンギュラ型玉軸受のdm n値{複数個の玉のピッチ円直径dm (mm)と回転速度n(min-1 )との積で表される値}が150万を越える様な高速回転が要求されつつある。従来、この様な高速回転域では、オイルミスト潤滑やジェット潤滑等の潤滑方式を採用している。しかし、これらの潤滑方式では、装置が高価で大規模になり、管理にも多くのコストを要する。更に、近年の環境保護、省エネルギの観点から、潤滑油を多く消費するこれらの方式は望ましくない。これらの理由から、グリース潤滑による高速化への対応が望まれている。ところが、従来のアンギュラ型玉軸受の場合には、オイルミスト潤滑やジェット潤滑を採用すれば、dm n値が300万以上の高速化にも対応できるが、グリース潤滑を採用する場合には、dm n値が150万程度の高速化までしか対応できず、上述した様な要望に十分に応える事が難しい。又、上記主軸を支持するアンギュラ型玉軸受では、従来から一般に、保持器5(5a)として、金属製のものを使用している。ところが、この様な金属製の保持器5(5a)を使用すると、この保持器5(5a)の重量が嵩む為、その分だけ高速回転させた場合の回転抵抗が大きくなる。これに対し、上記保持器5(5a)として合成樹脂製のものを使用すれば、この保持器5(5a)を十分に軽量にできる為、その分だけ高速回転させた場合の回転抵抗を小さくできる。
従って、環境保護やコスト低減を図りつつ、上記主軸を支持するアンギュラ型玉軸受の高速化を実現する為には、潤滑方式としてグリース潤滑を採用すると共に、保持器5(5a)として合成樹脂製のものを使用するのが好ましいと言える。ところが、前述の図11〜12に示した各従来構造の場合には、保持器5(5a)の外輪案内形式を実現する為に、運転時に、第一、第二両リム部10、11(11a)のうちの何れか一方のリム部の外周面のみを、外輪2の内周面に摺接させる構造を採用している。この為、この外輪2の内周面と上記保持器5(5a)の外周面との摺接面積が狭くなり、結果として、この摺接部に作用する面圧が高くなる事に基づき、この摺接部で発生する摩擦熱が多くなる。又、この摩擦熱の発生量は、回転速度が大きくなる程多くなる。従って、上記各従来構造で、グリース潤滑を採用しつつ、高速化を図ると、上記摩擦熱によりグリースが早期に劣化し、軸受寿命を十分に確保できなくなる可能性がある。又、上記各従来構造を、中心軸を水平方向に配置して使用する場合には、重力の作用で上記保持器5(5a)が下方に変位し、上記一方のリム部の外周面の下端部のみが上記外輪2の内周面の下端部に摺接する状態となる。ところが、この際に、他方のリム部の外周面の下端部と上記外輪2の内周面の下端部との間に隙間が生じる為、この隙間を埋める方向に、上記保持器5(5a)の中心軸が水平方向に対して傾く可能性がある。この様な傾きが運転中に生じると、上記保持器5(5a)の外周面が上記外輪2の内周面に片当たりし、この片当たりした部分で発生する摩擦熱がより大きくなる。この為、上記グリースがより劣化し易くなる。更には、上記保持器5(5a)が振れ回り、この振れ回りの程度に応じた振動や騒音が発生する。
上述した様な不都合は、運転時に、保持器を構成する第一、第二両リム部の外周面を、双方とも外輪の内周面に摺接させる構造を採用する事により、解消できる。ところが、この様な構造を実現する事は、意外に容易ではない。例えば、図13に示す様に、静止状態に於ける第一、第二両案内隙間12、13の径方向幅寸法δ12、δ13を互いに等しく(δ12=δ13)設定すれば、一見、上述の様な構造を容易に実現できる様にも思われる。ところが、実際には殆どの場合[特定の関係や条件{例えば、後述する(1)式の(好ましくは中央値の)関係}が満たされない限り]、上述の様な構造を実現する事はできない。即ち、図13に示した構造の場合、保持器5bを構成する第一、第二両リム部10b、11bの径方向の肉厚が、互いに異なっている。この為、殆どの場合、回転時に於ける上記両リム部10b、11bの径方向膨張量(遠心力による径方向外方への弾性変形量)は、互いに等しくはならない。従って、静止状態で上記第一、第二両案内隙間12、13の径方向幅寸法δ12、δ13が互いに等しく(δ12=δ13)なっていても、殆どの場合、高速回転時には、上記各径方向幅寸法δ12、δ13が互いに等しくはならない(δ12≠δ13)。この結果、高速回転時には、上記第一、第二両リム部10b、11bのうちの何れか一方のリム部の外周面のみが、上記外輪2の内周面に摺接する様になる。従って、高速回転時に、上述した様な不都合を生じる可能性がある。特に、この場合、上記保持器5bとして、遠心力を受けた場合の弾性変形量が比較的大きくなる、合成樹脂製のものを使用すると、高速回転時に、上記各径方向幅寸法δ12、δ13同士の差が比較的大きくなる為、上述の様な不都合が発生し易くなる。これに対し、前述した通り、保持器として合成樹脂製のものを使用する事は、アンギュラ型玉軸受の高速化を図る上で好ましい。この為、合成樹脂製の保持器を使用した場合でも、上述の様な不都合が発生しにくくなる構造を実現する事が望まれる。
本発明のアンギュラ型玉軸受は、上述の様な事情に鑑み、高速回転時に発生する摩擦熱、振動、騒音を十分に抑えられる様にすべく、高速回転時でも、保持器を構成する第一、第二両リム部の周面を双方とも軌道輪の周面に摺接させられる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のアンギュラ型玉軸受のうち、請求項1に記載したものは、内周面の軸方向中間部にアンギュラ型の外輪軌道を、同じく軸方向一端部に肩部を、同じく軸方向他端部にこの肩部よりも内径寸法を大きくしたカウンタボアを、それぞれ形成した外輪と、外周面に深溝型又はアンギュラ型の内輪軌道を形成した内輪と、この内輪軌道と上記外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉と、全体を略円筒状に構成すると共に、軸方向中間部の円周方向複数個所にそれぞれポケットを形成し、これら各ポケットの内側に上記各玉をそれぞれ1個ずつ転動自在に保持した状態で、上記外輪の内周面と上記内輪の外周面との間に配置された保持器とを備える。そして、径方向に関するこの保持器の変位規制方式として、外輪案内方式を採用している。
特に、請求項1に記載したアンギュラ型玉軸受に於いては、このアンギュラ型玉軸受の停止時に、上記外輪と上記保持器とを互いに同心に配置した状態で、この保持器の軸方向一端部を構成する円環状の第一リム部の外周面と上記肩部の内周面との間に存在する円環状の第一案内隙間の径方向幅寸法と、上記保持器の軸方向他端部を構成する円環状の第二リム部の外周面と上記カウンタボアの内周面との間に存在する円環状の第二案内隙間の径方向幅寸法とを、互いに等しくしている。且つ、上記保持器の自由状態で、上記第一リム部の内径寸法(又は内半径)をa1 とし、同じく外径寸法(又は外半径)をb1 とし、上記第二リム部の内径寸法(又は内半径)をa2 とし、同じく外径寸法(又は外半径)をb2 とし、更に上記保持器を構成する材料のポアソン比をνとした場合に、次の(1)式の関係を満たす。
特に、請求項1に記載したアンギュラ型玉軸受に於いては、このアンギュラ型玉軸受の停止時に、上記外輪と上記保持器とを互いに同心に配置した状態で、この保持器の軸方向一端部を構成する円環状の第一リム部の外周面と上記肩部の内周面との間に存在する円環状の第一案内隙間の径方向幅寸法と、上記保持器の軸方向他端部を構成する円環状の第二リム部の外周面と上記カウンタボアの内周面との間に存在する円環状の第二案内隙間の径方向幅寸法とを、互いに等しくしている。且つ、上記保持器の自由状態で、上記第一リム部の内径寸法(又は内半径)をa1 とし、同じく外径寸法(又は外半径)をb1 とし、上記第二リム部の内径寸法(又は内半径)をa2 とし、同じく外径寸法(又は外半径)をb2 とし、更に上記保持器を構成する材料のポアソン比をνとした場合に、次の(1)式の関係を満たす。
又、本発明のアンギュラ型玉軸受のうち、請求項2に記載したものは、外周面の軸方向中間部にアンギュラ型の内輪軌道を、同じく軸方向一端部に肩部を、同じく軸方向他端部にこの肩部よりも外径寸法を小さくしたカウンタボアを、それぞれ形成した内輪と、内周面に深溝型又はアンギュラ型の外輪軌道を形成した外輪と、この外輪軌道と上記内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉と、全体を略円筒状に構成すると共に、軸方向中間部の円周方向複数個所にそれぞれポケットを形成し、これら各ポケットの内側に上記各玉をそれぞれ1個ずつ転動自在に保持した状態で、上記内輪の外周面と上記外輪の内周面との間に配置された保持器とを備える。そして、径方向に関するこの保持器の変位規制方式として、この保持器の内周面との上記内輪の外周面とを近接対向させる、内輪案内方式を採用している。
特に、請求項2に記載したアンギュラ型玉軸受に於いては、このアンギュラ型玉軸受の停止時に、上記内輪と上記保持器とを互いに同心に配置した状態で、この保持器の軸方向一端部を構成する円環状の第一リム部の内周面と上記肩部の外周面との間に存在する円環状の第一案内隙間の径方向幅寸法と、上記保持器の軸方向他端部を構成する円環状の第二リム部の内周面と上記カウンタボアの外周面との間に存在する円環状の第二案内隙間の径方向幅寸法とを、互いに等しくしている。且つ、上記保持器の自由状態で、上記第一リム部の内径寸法(又は内半径)をa1 とし、同じく外径寸法(又は外半径)をb1 とし、上記第二リム部の内径寸法(又は内半径)をa2 とし、同じく外径寸法(又は外半径)をb2 とし、更に上記保持器を構成する材料のポアソン比をνとした場合に、次の(2)式の関係を満たす。
特に、請求項2に記載したアンギュラ型玉軸受に於いては、このアンギュラ型玉軸受の停止時に、上記内輪と上記保持器とを互いに同心に配置した状態で、この保持器の軸方向一端部を構成する円環状の第一リム部の内周面と上記肩部の外周面との間に存在する円環状の第一案内隙間の径方向幅寸法と、上記保持器の軸方向他端部を構成する円環状の第二リム部の内周面と上記カウンタボアの外周面との間に存在する円環状の第二案内隙間の径方向幅寸法とを、互いに等しくしている。且つ、上記保持器の自由状態で、上記第一リム部の内径寸法(又は内半径)をa1 とし、同じく外径寸法(又は外半径)をb1 とし、上記第二リム部の内径寸法(又は内半径)をa2 とし、同じく外径寸法(又は外半径)をb2 とし、更に上記保持器を構成する材料のポアソン比をνとした場合に、次の(2)式の関係を満たす。
上述の様に構成する本発明のアンギュラ型玉軸受の場合には、回転速度の大きさに拘わらず、軌道輪に対して保持器が径方向に変位した場合に、この保持器の中心軸をこの軌道輪の中心軸に対して殆ど傾斜させる事なく、この保持器を構成する第一、第二両リム部の周面(請求項1では外周面、請求項2では内周面)を、双方とも上記軌道輪の周面(請求項1では外輪の内周面、請求項2では内輪の外周面)に摺接させる事ができる。この理由に就いて、以下に説明する。
先ず、上記第一、第二両リム部のモデルとして、図14に示す様な円輪板14(内半径a、外半径b)を考える。この円輪板14を中心軸O周りに回転させると、遠心力により、この円輪板14が弾性変形する。この場合に、この円輪板14の一部で上記中心軸Oから半径rの位置に存在する部分が、上記弾性変形に伴い径方向外方に向け変位する量uは、次の(3)式で表す事ができる。
尚、この(3)式の右辺の各記号の意味は、以下の通りである。
γ:円輪板14の単位面積部分当たりの質量
E:円輪板14を構成する材料のヤング率
ν:円輪板14を構成する材料のポアソン比
ω:回転の角速度
g:重力加速度
γ:円輪板14の単位面積部分当たりの質量
E:円輪板14を構成する材料のヤング率
ν:円輪板14を構成する材料のポアソン比
ω:回転の角速度
g:重力加速度
ここで、請求項1に記載した発明の様に、径方向に関する保持器の変位規制方式として、外輪案内方式を採用する場合に、停止状態で互いに等しく設定した第一、第二両案内隙間の径方向幅寸法が、回転速度の大きさに拘わらず、常に互いに等しくなる様にする為には、上記第一、第二両リム部同士で、遠心力を受けた場合の外周面の径方向の変位量uが互いに等しくなる様にすれば良い。そこで、先ず、遠心力を受けた場合の上記第一、第二両リム部の外周面の径方向の変位量uを求める為に、上記(3)式にr=bを代入し、整理すると、次の(4)式が得られる。
ここで、上記第一リム部に関する上記変位量uをu1 とし、同じく上記内半径aをa1 とし、同じく上記外半径bをb1 とすると共に、上記第二リム部に関する上記変位量uをu2 とし、同じく上記内半径aをa2 とし、同じく上記外半径bをb2 とする。そして、上記第一、第二両リム部同士で、遠心力を受けた場合の外周面の径方向の変位量が互いに等しくなる条件u1 =u2 に、上記(4)式により得られたu1 、u2 を代入し、整理すると、次の(5)式が得られる。
従って、この(5)式を満たす様に、上記第一、第二両リム部の内半径a1 、a2 及び外半径b1 、b2 を決定すれば、回転速度(角速度ω)の大きさに拘わらず、遠心力を受けた場合の上記第一、第二両リム部の外周面の径方向の変位量が互いに等しくなる様にできる。上記(5)式を利用して、具体的な保持器の設計を行なう場合には、例えば、先ず、外輪の内周面(案内面)の径寸法と、予め設定した上記第一、第二両案内隙間の径方向幅寸法とを考慮して、上記第一、第二両リム部の外半径b1 、b2 を決定する。これと共に、この第一リム部の内半径a1 (又は第二リム部の内半径a2 )を決定する。そして、最後に、これらb1 、b2 、a1 (又はa2 )と上記ポアソン比νとを上記(5)式に代入する事により、上記第二リム部の内半径a2 (又は第一リム部の内半径a1 )を求める。この様にして、u1 =u2 の条件を満たす、上記第一、第二両リム部の内半径a1 、a2 及び外半径b1 、b2 を決定できる。
又、上記保持器は、上述の様にして求めた、u1 =u2 の条件を満たす各寸法a1 、a2 、b1 、b2 通りに造るのが最も好ましいが、製造誤差等の諸事情を考慮すると、これら各寸法a1 、a2 、b1 、b2 通りに造る(u1 =u2 の条件を満たす様にする)のが難しい場合もある。とは言え、遠心力を受けた場合の上記第一、第二両リム部の外周面の径方向の変位量u1 、u2 同士の差が余りに大きくなったのでは、上記保持器が上記外輪に対して径方向に変位した場合に、上記第一、第二両リム部のうちの一方のリム部の外周面のみが上記外輪の内周面に摺接する様になったり、更にはこの際に、他方のリム部の外周面とこの外輪の内周面との間に生じる隙間が大きくなって、この隙間を埋める方向に、上記保持器の中心軸が上記外輪の中心軸に対して大きく傾く可能性がある。但し、遠心力を受けた場合の上記第一、第二両リム部の外周面の径方向の変位量u1 、u2 同士の差が5%以内に収まれば、即ち、上記(5)式から導き出せる、請求項1に記載した下記の(1)式の条件を満たせば、上記保持器が上記外輪に対して径方向に変位した場合に、この保持器の中心軸をこの外輪の中心軸に対して殆ど傾斜させる事なく、上記第一、第二両リム部の外周面を、双方とも上記外輪の内周面に摺接させる事ができる。
尚、以上の説明では、a1 、a2 をそれぞれ第一、第二各リム部の内半径とし、b1 、b2 をそれぞれ第一、第二各リム部の外半径とした。但し、上記(1)式は、a1 、a2 をそれぞれ第一、第二各リム部の内径寸法(内周面の直径)とし、b1 、b2 をそれぞれ第一、第二各リム部の外径寸法(外周面の直径)とした場合でも、そのまま適用できる。
又、請求項2に記載した発明の様に、径方向に関する保持器の変位規制方式として、内輪案内方式を採用する場合も、上述した外輪案内方式を採用する場合と同様に話を進める事ができる。即ち、遠心力を受けた場合の第一、第二両リム部の内周面の径方向の変位量uは、前記(3)式にr=aを代入し、整理する事により、次の(6)式で表す事ができる。
ここで、上記第一リム部に関する上記変位量uをu1 とし、同じく内半径aをa1 とし、同じく外半径bをb1 とすると共に、上記第二リム部に関する上記変位量uをu2 とし、同じく内半径aをa2 とし、同じく外半径bをb2 とする。この場合、上記第一、第二両リム部同士で、遠心力を受けた場合の内周面の径方向の変位量u1 、u2 が互いに等しくなる条件u1 =u2 は、次の(7)式で表す事ができる。
そして、遠心力を受けた場合の上記第一、第二両リム部の内周面の径方向の変位量u1 、u2 同士の差が5%以内に収まれば、即ち、上記(7)式から導き出せる、請求項2に記載した下記の(2)式の条件を満たせば、上記保持器が内輪に対して径方向に変位した場合に、この保持器の中心軸をこの内輪の中心軸に対して殆ど傾斜させる事なく、上記第一、第二両リム部の内周面を、双方とも上記内輪の外周面に摺接させる事ができる。
尚、以上の説明では、a1 、a2 をそれぞれ第一、第二各リム部の内半径とし、b1 、b2 をそれぞれ第一、第二各リム部の外半径とした。但し、上記(2)式は、a1 、a2 をそれぞれ第一、第二各リム部の内径寸法(内周面の直径)とし、b1 、b2 をそれぞれ第一、第二各リム部の外径寸法(外周面の直径)とした場合でも、そのまま適用できる。
上述の様に、本発明のアンギュラ型玉軸受の場合には、回転速度の大きさに拘わらず、運転中、軌道輪に対して保持器が径方向に変位した場合に、この保持器の中心軸をこの軌道輪の中心軸に対して殆ど傾斜させる事なく、この保持器を構成する第一、第二両リム部の周面(請求項1では外周面、請求項2では内周面)を、双方とも上記軌道輪の周面(請求項1では外輪の内周面、請求項2では内輪の外周面)に摺接させる事ができる。この為、保持器の周面と軌道輪の周面との摺接面積を十分に確保でき、この摺接部の面圧を十分に抑えられる。従って、高速回転時にも、この摺接部で発生する摩擦熱を十分に抑える事ができる。この結果、グリース潤滑を採用した場合でも、上記摩擦熱によってグリースが早期に劣化する事を有効に防止できる。又、高速回転時にも、上記保持器の中心軸が上記外輪及び内輪の中心軸に対し大きく傾く事を防止できる為、振動や騒音が発生するのを十分に抑える事ができる。従って、構成部材の耐久性と静音性とを十分に確保できる。この結果、本発明のアンギュラ型玉軸受に関しては、十分な高速化を図れる。
図1〜3は、請求項1に対応する、本発明の実施例1を示している。尚、本実施例の特徴は、保持器5cを構成する第一、第二両リム部10c、11cの内径寸法a1 、a2 及び外径寸法b1 、b2 を規制する事により、回転速度の大きさに拘わらず、運転中、外輪2aに対して上記保持器5cが径方向に変位した場合に、この保持器5cの中心軸を上記外輪2aの中心軸に対して殆ど傾斜させる事なく、上記第一、第二両リム部10c、11cの外周面を双方とも、上記外輪2aの内周面に摺接させられる様にする点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図13に示した構造の場合とほぼ同様である為、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、上記図13に示した構造と異なる部分、並びに、本実施例の特徴部分を中心に説明する。
本実施例の場合、外輪案内形式により径方向の変位規制を行なう、上記保持器5cを、合成樹脂の一種であるポリアミド66製としている。又、上記外輪2aを構成するカウンタボア8aの内周面と、上記保持器5cを構成する第二リム部11cの外周面とを、それぞれ円筒面としている。これにより、上記外輪2aと上記保持器5cとを互いに同心に配置した状態で、上記カウンタボア8aの内周面と上記第二リム部11cの外周面との間に、円筒状の第二案内隙間13aが形成される様にしている。又、本実施例では、上記第一、第二両リム部10c、11cの内径寸法a1 、a2 及び外径寸法b1 、b2 を決定する為の前作業として、先ず、上記保持器5cの回転速度を20000min-1 とした場合に、この保持器5c(上記第一、第二両リム部10c、11cに対応する部分)の外周面の径方向の変位量uが0.014mm(外径膨張量が28μm )になる様な、上記保持器5cの内径寸法と外径寸法との関係を、前述した(4)式により計算した。計算結果を、図2に示す。そして、本実施例の場合には、この様な計算結果を得た後、上記外輪2aを構成する肩部7及びカウンタボア8aの内径寸法d7 、d8 を考慮して、予め設定した(静止状態での)第一、第二両案内隙間12、13aの径方向幅寸法δ12、δ13{δ12=δ13(例えば0.15〜0.4mm程度)}を得られる様に、上記第一、第二両リム部10c、11cの外径寸法b1 、b2 を決定した。次いで、上記図2の結果を利用して、これら各外径寸法b1 、b2 に対応する、上記第一、第二両リム部10c、11cの内径寸法a1 、a2 を決定した。そして、この様にして第一、第二両リム部10c、11cの内径寸法a1 、a2 及び外径寸法b1 、b2 を決定する事により、これら各寸法a1 、a2 、b1 、b2 が、以下の(10)式の条件{前記(1)式の中央値の条件}を満たす様にした。
上述の様に、本実施例のアンギュラ型玉軸受の場合には、上記(10)式の条件を満たす様に、保持器5cを構成する第一、第二両リム部10c、11cの内径寸法a1 、a2 及び外径寸法b1 、b2 を決定している。この為、回転速度の大きさに拘わらず、上記第一、第二両リム部10c、11cの外径膨張量を、互いに等しくできる。この様な効果が得られる事を確認する為に、本発明者は、ポリアミド66製の保持器の回転速度を20000min-1 とした場合に、この保持器の外径寸法と外径膨張量との関係がどの様になるかを、前記(4)式により計算した。計算結果を図3に示す。この図3の計算結果に示す様に、上記(10)式の条件を満たすべく、保持器の外径寸法(b1 、b2 )に応じて、この保持器の内径寸法(a1 、a2 )を調節する本実施例の場合には、この保持器の外径寸法(b1 、b2 )の大きさに拘わらず、この保持器の外径膨張量が一定となる事が分かる。従って、この様な図3の計算結果からも、本実施例の場合には、上述の様な効果を得られる事が分かる。これに対し、やはり図3の計算結果に示す様に、上記(10)式の条件を満たす事なく、上記保持器の内径寸法(a1 、a2 )を84mmで一定とした従来例の場合には、この保持器の外径寸法(b1 、b2 )の大きさにより、この保持器の外径膨張量が変化する事が分かる。
上述の様に、本実施例のアンギュラ型玉軸受の場合には、回転速度の大きさに拘わらず、上記第一、第二両リム部10c、11cの外径膨張量を、互いに等しくできる。この為、回転速度の大きさに拘わらず、運転中、外輪2aに対して上記保持器5cが径方向に変位した場合に、この保持器5cの中心軸を上記外輪2aの中心軸に対して殆ど傾斜させる事なく、上記第一、第二両リム部10c、11cの外周面を、双方とも上記外輪2aを構成する肩部7及びカウンタボア8aの内周面に摺接させる事ができる。この為、上記保持器5cの外周面と上記外輪2aの内周面との摺接面積を十分に確保でき、この摺接部の面圧を十分に抑えられる。従って、高速回転時にも、この摺接部で発生する摩擦熱を十分に抑える事ができる。この結果、グリース潤滑を採用した場合でも、上記摩擦熱によってグリースが早期に劣化する事を有効に防止できる。又、高速回転時にも、上記保持器5cの中心軸が上記外輪2a及び内輪4aの中心軸に対し大きく傾く事を防止できる為、振動や騒音が発生するのを十分に抑える事ができる。従って、構成部材の耐久性と静音性とを十分に確保できる。この結果、本実施例のアンギュラ型玉軸受に関しては、十分な高速化を図れる。
次に、図4は、やはり請求項1に対応する、本発明の実施例2を示している。本実施例の場合には、外輪2を構成するカウンタボア8の内周面を、この外輪2の軸方向端部(図4の右端部)に向かう程内径が大きくなる方向に傾斜した円すい凹面(テーパ面)としている。これと共に、上記カウンタボア8の内周面に対向させる、保持器5dを構成する第二リム部11dの外周面を、上記カウンタボア8の内周面と同方向に同角度傾斜した円すい凸面(テーパ面)としている。これにより、上記外輪2と上記保持器5dとを互いに同心に配置した状態で、上記カウンタボア8の内周面と上記第二リム部11dの外周面との間に、部分円すい筒状の第二案内隙間13が形成される様にしている。
本実施例の場合も、上述した実施例1の場合と同様、基本的には、前記(10)式の条件を満たす様に、上記保持器5dを構成する第一、第二両リム部10d、11dの内径寸法a1 、a2 及び外径寸法b1 、b2 を決定する作業を行なう。但し、本実施例の場合、上記第二リム部11dは、外周面を円すい凸面としている為、その外径寸法b2 が軸方向に亙り漸次変化している。従って、本実施例の場合、上記第二リム部11dの軸方向に関する各位置の内径寸法a2 も、当該位置の外径寸法b2 に応じて、上記(10)式の条件を満たす様に決定するのが好ましい。ところが、この様にして第二リム部11dの軸方向に関する各位置の内径寸法a2 を決定すると、この第二リム部11dの内周面の母線形状が曲線形状になる。この結果、上記保持器5dの製造コストが高くなると言った不都合を生じる。
そこで、本実施例の場合には、一旦、上述の様にして第二リム部11dの軸方向に関する各位置の内径寸法a2 を求めた後、これら求めた値を利用して、上記第二リム部11dの両端の内径を直線補間するか、或は最小二乗法による直線近似等を行なう事により、上記第二リム部11dの内周面の母線形状が、上記保持器5dの中心軸に対して傾斜した直線形状になる(この内周面が円すい凹面になる)様にしている。但し、この場合でも、上記第二リム部11dの軸方向に関する少なくとも一部の位置で、前記(1)式の条件が満たされる様にしている。何れにしても、本実施例の場合には、上述の様に第二リム部11dの内周面の母線形状を直線形状とする事により、上記保持器5dの製造コストを抑えられる様にしている。その他の構成及び作用は、上述した実施例1の場合と同様である。
次に、図5は、やはり請求項1に対応する、本発明の実施例3を示している。本実施例の場合には、保持器5eを構成する第二リム部11eの軸方向に関する各位置の内径寸法a2 を、当該位置の外径寸法b2 に応じて、前記(10)式の条件を満たす様に決定した後、この決定した値の平均値を採る事により、上記第二リム部11eの内周面が円筒面になる様にしている。但し、この場合でも、上記第二リム部11eの軸方向に関する少なくとも一部の位置で、前記(1)式の条件が満たされる様にしている。何れにしても、本実施例の場合には、上述の様に第二リム部11eの内周面の母線形状を直線形状とする事により、上記保持器5eの製造コストを抑えられる様にしている。その他の構成及び作用は、上述した実施例1〜2の場合と同様である。
次に、図6〜8は、請求項2に対応する、本発明の実施例4を示している。本実施例の場合、内輪4aは、外周面の他端部(図6の右端部)にのみ、内輪軌道3の肩部7aを設けている。これに対し、内周面の一端部(図6の左端部)には、上記内輪軌道3の肩部を設けず、当該部分を上記肩部7aよりも外径寸法が小さいカウンタボア8bとしている。又、これら肩部7a及びカウンタボア8bの外周面を、それぞれ円筒面としている。又、本実施例の場合も、保持器5fをポリアミド66製とすると共に、この保持器5fを構成する第一、第二両リム部10f、11fの内周面及び外周面を、それぞれ円筒面としている。又、本実施例の場合には、径方向に関する上記保持器5fの変位規制方式として、内輪案内形式を採用している。この為に、具体的には、図示の様に、上記内輪4a及び外輪2aと上記保持器5fとを互いに同心に配置した状態で、上記第一リム部10fの内周面を上記カウンタボア8bの外周面に、同じく上記第二リム部11fの内周面を上記肩部7aの外周面に、それぞれ第一、第二各案内隙間12a、13bを介して近接対向させている。
又、本実施例では、上記第一、第二両リム部10f、11fの内径寸法a1 、a2 及び外径寸法b1 、b2 を決定する為の前作業として、先ず、上記保持器5fの回転速度を20000min-1 とした場合に、この保持器5f(上記第一、第二両リム部10f、11fに対応する部分)の内周面の径方向の変位量uが0.016mm(内径膨張量が32μm )になる様な、上記保持器5fの内径寸法と外径寸法との関係を、前述した(6)式により計算した。計算結果を、図7に示す。そして、本実施例の場合には、この様な計算結果を得た後、上記内輪4aを構成する肩部7a及びカウンタボア8bの外径寸法d7 、d8 を考慮して、予め設定した(静止状態での)第一、第二両案内隙間12a、13bの径方向幅寸法δ12、δ13{δ12=δ13(例えば0.15〜0.4mm程度)}を得られる様に、上記第一、第二両リム部10f、11fの内径寸法a1 、a2 を決定した。次いで、上記図7の結果を利用して、これら各内径寸法a1 、a2 に対応する、上記第一、第二両リム部10f、11fの外径寸法b1 、b2 を決定した。そして、この様にして第一、第二両リム部10f、11fの内径寸法a1 、a2 及び外径寸法b1 、b2 を決定する事により、これら各寸法a1 、a2 、b1 、b2 が、以下の(11)式の条件{前記(2)式の中央値の条件}を満たす様にした。
上述の様に、本実施例のアンギュラ型玉軸受の場合には、上記(11)式の条件を満たす様に、保持器5fを構成する第一、第二両リム部10f、11fの内径寸法a1 、a2 及び外径寸法b1 、b2 を決定している。この為、回転速度の大きさに拘わらず、上記第一、第二両リム部10f、11fの内径膨張量を、互いに等しくできる。この様な効果が得られる事を確認する為に、本発明者は、ポリアミド66製の保持器の回転速度を20000min-1 とした場合に、この保持器の内径寸法と内径膨張量との関係がどの様になるかを、前記(6)式により計算した。計算結果を図8に示す。この図8の計算結果に示す様に、上記(11)式の条件を満たすべく、保持器の内径寸法(a1 、a2 )に応じて、この保持器の外径寸法(b1 、b2 )を調節する本実施例の場合には、この保持器の内径寸法(a1 、a2 )の大きさに拘わらず、この保持器の内径膨張量が一定となる事が分かる。従って、この様な図8の計算結果からも、本実施例の場合には、上述の様な効果が得られる事が分かる。これに対し、やはり図8の計算結果に示す様に、上記(11)式の条件を満たす事なく、上記保持器の外径寸法(b1 、b2 )を95mmで一定とした従来例の場合には、この保持器の内径寸法(a1 、a2 )の大きさにより、この保持器の内径膨張量が変化する事が分かる。
上述の様に、本実施例の場合には、回転速度の大きさに拘わらず、上記第一、第二両リム部10f、11fの内径膨張量を、互いに等しくできる。この為、回転速度の大きさに拘わらず、運転中、内輪4aに対して上記保持器5fが径方向に変位した場合に、この保持器5fの中心軸を上記内輪4aの中心軸に対して殆ど傾斜させる事なく、上記第一、第二両リム部10f、11fの外周面を、双方とも上記内輪4aを構成する肩部7a及びカウンタボア8bの外周面に摺接させる事ができる。その他の構成及び作用は、前述の図1に示した実施例1の場合と同様である。
次に、図9は、やはり請求項2に対応する、本発明の実施例5を示している。本実施例の場合には、内輪4bを構成するカウンタボア8cの外周面を、この内輪4bの軸方向端部(図9の左端部)に向かう程外径が小さくなる方向に傾斜した円すい凸面(テーパ面)としている。これと共に、上記カウンタボア8cの外周面に対向させる、保持器5gを構成する第一リム部10gの内周面を、上記カウンタボア8cの外周面と同方向に同角度傾斜した円すい凹面(テーパ面)としている。これにより、上記内輪4bと上記保持器5gとを互いに同心に配置した状態で、上記カウンタボア8cの外周面と上記第一リム部10gの内周面との間に、部分円すい筒状の第一案内隙間12bが形成される様にしている。
本実施例の場合も、上述した実施例4の場合と同様、基本的には、前記(11)式の条件を満たす様に、上記保持器5gを構成する第一、第二両リム部10g、11gの内径寸法a1 、a2 及び外径寸法b1 、b2 を決定する作業を行なう。但し、本実施例の場合、上記第一リム部10gは、内周面を円すい凹面としている為、その内径寸法a1 が軸方向に亙り漸次変化している。従って、本実施例の場合、上記第一リム部10gの軸方向に関する各位置の外径寸法b1 も、当該位置の内径寸法a1 に応じて、上記(11)式の条件を満たす様に決定するのが好ましい。ところが、この様にして第一リム部10gの軸方向に関する各位置の外径寸法b1 を決定すると、この第一リム部10gの外周面の母線形状が曲線形状になる。この結果、上記保持器5gの製造コストが高くなると言った不都合を生じる。
そこで、本実施例の場合には、一旦、上述の様にして第一リム部10gの軸方向に関する各位置の外径寸法b1 を求めた後、これら求めた値を利用して、上記第一リム部10gの両端の外径を直線補間するか、或は最小二乗法による直線近似等を行なう事により、上記第一リム部10gの外周面の母線形状が、上記保持器5gの中心軸に対して傾斜した直線形状になる(この外周面が円すい凹面になる)様にしている。但し、この場合でも、上記第一リム部10gの軸方向に関する少なくとも一部の位置で、上記(11)式の条件が満たされる様にしている。何れにしても、本実施例の場合には、上述の様に第一リム部10gの外周面の母線形状を直線形状とする事により、上記保持器5gの製造コストを抑えられる様にしている。その他の構成及び作用は、上述した実施例4の場合と同様である。
次に、図10は、やはり請求項2に対応する、本発明の実施例6を示している。本実施例の場合には、保持器5hを構成する第一リム部10hの軸方向に関する各位置の外径寸法b1 を、当該位置の内径寸法a1 に応じて、前記(11)式の条件を満たす様に決定した後、この決定した値の平均値を採る事により、上記第一リム部10hの外周面が円筒面になる様にしている。但し、この場合でも、上記第一リム部10hの軸方向に関する少なくとも一部の位置で、上記(11)式の条件が満たされる様にしている。何れにしても、本実施例の場合には、上述の様に第一リム部10hの外周面の母線形状を直線形状とする事により、上記保持器5hの製造コストを抑えられる様にしている。その他の構成及び作用は、上述した実施例4〜5の場合と同様である。
1 外輪軌道
2、2a、2b 外輪
3 内輪軌道
4、4a、4b 内輪
5、5a〜5h 保持器
6 玉
7、7a 肩部
8、8a〜8c カウンタボア
9 ポケット
10、10b〜10h 第一リム部
11、11a〜11h 第二リム部
12、12a、12b 第一案内隙間
13、13a、13b 第二案内隙間
14 円輪板
2、2a、2b 外輪
3 内輪軌道
4、4a、4b 内輪
5、5a〜5h 保持器
6 玉
7、7a 肩部
8、8a〜8c カウンタボア
9 ポケット
10、10b〜10h 第一リム部
11、11a〜11h 第二リム部
12、12a、12b 第一案内隙間
13、13a、13b 第二案内隙間
14 円輪板
Claims (2)
- 内周面の軸方向中間部にアンギュラ型の外輪軌道を、同じく軸方向一端部に肩部を、同じく軸方向他端部にこの肩部よりも内径寸法を大きくしたカウンタボアを、それぞれ形成した外輪と、外周面に深溝型又はアンギュラ型の内輪軌道を形成した内輪と、この内輪軌道と上記外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉と、全体を略円筒状に構成すると共に、軸方向中間部の円周方向複数個所にそれぞれポケットを形成し、これら各ポケットの内側に上記各玉をそれぞれ1個ずつ転動自在に保持した状態で、上記外輪の内周面と上記内輪の外周面との間に配置された保持器とを備え、径方向に関するこの保持器の変位規制方式として外輪案内方式を採用しているアンギュラ型玉軸受に於いて、このアンギュラ型玉軸受の停止時に上記外輪と上記保持器とを互いに同心に配置した状態で、この保持器の軸方向一端部を構成する円環状の第一リム部の外周面と上記肩部の内周面との間に存在する円環状の第一案内隙間の径方向幅寸法と、上記保持器の軸方向他端部を構成する円環状の第二リム部の外周面と上記カウンタボアの内周面との間に存在する円環状の第二案内隙間の径方向幅寸法とを、互いに等しくしており、且つ、上記保持器の自由状態で、上記第一リム部の内径寸法をa1 とし、同じく外径寸法をb1 とし、上記第二リム部の内径寸法をa2 とし、同じく外径寸法をb2 とし、更に上記保持器を構成する材料のポアソン比をνとした場合に、
- 外周面の軸方向中間部にアンギュラ型の内輪軌道を、同じく軸方向一端部に肩部を、同じく軸方向他端部にこの肩部よりも外径寸法を小さくしたカウンタボアを、それぞれ形成した内輪と、内周面に深溝型又はアンギュラ型の外輪軌道を形成した外輪と、この外輪軌道と上記内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉と、全体を略円筒状に構成すると共に、軸方向中間部の円周方向複数個所にそれぞれポケットを形成し、これら各ポケットの内側に上記各玉をそれぞれ1個ずつ転動自在に保持した状態で、上記内輪の外周面と上記外輪の内周面との間に配置された保持器とを備え、径方向に関するこの保持器の変位規制方式として内輪案内方式を採用しているアンギュラ型玉軸受に於いて、このアンギュラ型玉軸受の停止時に上記内輪と上記保持器とを互いに同心に配置した状態で、この保持器の軸方向一端部を構成する円環状の第一リム部の内周面と上記肩部の外周面との間に存在する円環状の第一案内隙間の径方向幅寸法と、上記保持器の軸方向他端部を構成する円環状の第二リム部の内周面と上記カウンタボアの外周面との間に存在する円環状の第二案内隙間の径方向幅寸法とを、互いに等しくしており、且つ、上記保持器の自由状態で、上記第一リム部の内径寸法をa1 とし、同じく外径寸法をb1 とし、上記第二リム部の内径寸法をa2 とし、同じく外径寸法をb2 とし、更に上記保持器を構成する材料のポアソン比をνとした場合に、
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102015201101A1 (de) * | 2015-01-23 | 2016-07-28 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Wälzlager |
US9670958B2 (en) | 2015-04-01 | 2017-06-06 | Jtekt Corporation | Rolling bearing |
WO2018199285A1 (ja) * | 2017-04-28 | 2018-11-01 | Ntn株式会社 | アンギュラ玉軸受保持器およびアンギュラ玉軸受 |
-
2005
- 2005-06-07 JP JP2005166434A patent/JP2006342820A/ja active Pending
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