JP4009962B2 - 玉軸受 - Google Patents
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Description
ポケットと玉の間、外輪と保持器の間には隙間があり、この隙間に潤滑剤が保持されるようになっている。
振動レベルが大きいと、玉軸受が劣化し、寿命が短くなるという欠点がある。
特許文献1は、玉軸受の保持器において、保持器の設けた各ポケットの内面に一対の円錐面を形成し、一対の円錐面とポケットの底部を転動体に当接させて3点支持するものである。
特許文献2の玉軸受は、ポケットに玉を配する波型保持器を備え、ポケットの内周面が周方向中央部より周縁部の曲率が小さくなるように形成されている。
これらの特許文献に示されるように、従来の保持器の騒音、振動対策は主として保持器のポケットの形状や、内輪又は外輪との接触部の形状に工夫を施すものである。
しかし、騒音対策をした玉軸受であっても、同じ設計の玉軸受で、保持器の、異音、異常振動が異なる場合がある。即ち、製造上のばらつきにより、性能上のばらつきが大きくでるという問題がある。
これまでの低音化、低振動化の技術は、保持器の形状、接触部の形状を変えることにより低音化、低振動化しようとするものであり、低音化、低振動化がまだ不十分であった。
また、製造工程のばらつきによらず、保持器音の低減、低振動化が出来る玉軸受を提供することを目的とする。
前記保持器の幾何学的中心から質量中心までの偏心量bは、式
2a<b を満たす。
ここに、a:玉軸受回転軸から、保持器の幾何学的中心の可動範囲境界までの半径
b:保持器の幾何学的中心から質量中心までの偏心量である。
それにより、保持器の質量中心は常に前記保持器の幾何学的中心の可動範囲の外にあるため、保持器は回転時に発生する遠心力により半径方向外側に押し付けられる。その結果、保持器は可動範囲境界に沿って回転移動し、保持器の回転半径を安定させることができる。
前記保持器の一部に内周から外周に貫通する孔を形成することにより質量中心を偏心させてもよい。
前記保持器の軸方向端部の一部に、窪み部を形成することにより質量中心を偏心させてもよい。
保持器の回転半径が安定した状態において、保持器の発生する擾乱力は角速度の2乗に比例する遠心力で近似することができる。保持器の発生する擾乱力の許容値がαω2で与えられるとき、(α:許容される遠心力の係数、ω:保持器の角速度、m:保持器の質量)
m(a+b)ω2 <αω2 を満たす必要がある。
これを変形すると、b<α/m−a となる。
即ち、 2a<b<α/m−a
を満たすようにすることができる。
これにより、
m(a+b)ω2 <αω2
となり、保持器の遠心力による擾乱力m(a+b)ω2を擾乱力の許容値αω2より小さく押えることが出来る。
2a<b<3a
を満たしてもよい。
図1は、本発明の実施の形態による玉軸受10の分解斜視図である。玉軸受10は、短い円筒形で、外周面に内輪軌道16を有する内輪12を備える。内輪12の径方向外側に配置され、短い円筒形で、内周面に外輪軌道17を有する外輪13を備える。内輪軌道16と外輪軌道17の断面形状は、玉に適合するように、円弧の一部に相当する形状となっている。
内輪12と外輪13とに間には、短い円筒形の保持器15が配置される。保持器15の周上には、円周方向に玉を収容するための複数のポケット18が形成されている。各ポケット18は、保持器15の外周面から内周面へ貫通する円筒形状である。複数のポケット18の各々には、球形状の玉14が1個づつ配置される。
本実施の形態では、孔23は保持器を貫通している。しかし、貫通する孔とせずに、内周、又は外周の一部に凹部を設けることもできる。
保持器の質量中心を幾何学的中心からずらせるには、第1、第2の実施の形態以外に、保持器の幅を変化させる、保持器の肉厚を変化させる等の方法がある。
本実施の形態では、保持器15は内輪12の外周面によって案内される。又は、保持器15は外輪13の内周面によって案内されるようにすることも出来る。
この場合、内輪12の外周により保持器15の可動範囲が決まる場合においては、Rは保持器15の内周が内輪12の外周に接触した状態(安定状態)で回転するときの、保持器15の幾何学的中心P2の回転軌跡を表す。
外輪13の内周により保持器15の可動範囲が決まる場合においては、Rは保持器15の外周が外輪13の内周に接触した状態で回転するときの、保持器15の幾何学的中心P2の回転軌跡を表す。
本実施の形態の保持器15は、質量中心P3の偏心量bが、
2a<b (1)
の関係を満たす。
保持器15の質量をm、保持器15の角速度をωとする。ここに、保持器15の角速度をωは、玉が保持器の回転軸の周りを公転する角速度と一致し、内輪又は外輪の角速度とは異なる。
m(a+b)ω2 (2)
保持器の回転半径が安定した状態において、保持器の発生する擾乱力は角速度の2乗に比例する遠心力で近似することができる。保持器の発生する擾乱力の許容値がαω2で与えられるとき、(許容される擾乱力の係数をαとする)
m(a+b)ω2 <αω2 (3)
を満たすように偏心量bの上限を規定する必要がある。(3)式を変形すると、
b<α/m−a (4)
となる。
2a<b<α/m−a (5)
となる。
衛星姿勢制御用リアクションホイールには、ロータの質量のアンバランスや、玉軸受の隙間等による擾乱があり、これらが内部擾乱源となる。これらは衛星の姿勢安定度を低下させるため、玉軸受の保持器の振動や擾乱の低減が厳しく要求されている。
図6〜8は、保持器15の幾何学的中心P2の可動範囲境界の半径aを一定にして、保持器の質量中心の偏心量bを変化させた場合、幾何学的中心P2の軌跡がどのように変化するか数値シミュレーションした結果である。
図4から、保持器の質量中心は、内輪、外輪等により拘束される保持器の可動範囲内で激しく移動することがわかる。
保持器の偏心量が大きくなるにつれて、幾何学的中心の回転半径の標準偏差が小さくなる。ロータの回転速度が大きいほど、回転半径の標準偏差は大きく下がることがわかる。偏心量が規定条件を満たす場合、即ち、2a<bである場合(横軸の2より右側)、幾何学的中心の回転半径の標準偏差は十分に小さくなる。標準偏差が小さいことは、回転半径が安定し、不安定な振動が少ないことを意味する。
例えば、図10において、1000rpmにおける擾乱の振幅を0.1012N以下に押えるには、偏心量をb<3aとすればよいことがわかる。
12 内輪
13 外輪
14 玉
15 保持器
16 内輪軌道
17 外輪軌道
18 ポケット
21 窪み部
23 孔
30 リアクションホイール
31 ベースプレート
32 ハウジング
33 上側軸受
34 下側軸受
35 内側シャフト
36 外側シャフト
37 ロータ
Claims (5)
- 内周面に外輪軌道を有する短い円筒形の外輪と、前記外輪の内側に配置され、外周面に内輪軌道を有する短い円筒形の内輪と、前記内輪軌道と外輪軌道の間に転動自在に配置された複数個の玉と、前記外輪と前記内輪との間に配置され、前記複数個の玉を転動自在に保持するため、複数個のポケットが設けられた保持器とを備える玉軸受であって、
前記保持器の幾何学的中心から質量中心までの偏心量は、式
2a<b<α/m−a
を満たす玉軸受。
ここに、a:玉軸受回転軸から、保持器の幾何学的中心の可動範囲境界までの半径
b:保持器の幾何学的中心から質量中心までの偏心量
m:保持器の質量
αω 2 :許容される擾乱力
(α:許容される遠心力の係数、ω:保持器の角速度) - 請求項1に記載の玉軸受において、前記保持器の内周又は外周の一部に、凹部が形成されることにより質量中心が偏心している玉軸受。
- 請求項1に記載の玉軸受において、前記保持器の一部に内周から外周に貫通する孔が形成されることにより質量中心が偏心している玉軸受。
- 請求項1に記載の玉軸受において、前記保持器の軸方向端部の一部に、窪み部が形成されることにより質量中心が偏心している玉軸受。
- 請求項1乃至4に記載の玉軸受において、前記保持器の幾何学的中心から質量中心までの偏心量が、式
2a<b<3a
を満たす玉軸受。
Priority Applications (1)
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JP2004154425A JP4009962B2 (ja) | 2004-05-25 | 2004-05-25 | 玉軸受 |
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- 2004-05-25 JP JP2004154425A patent/JP4009962B2/ja not_active Expired - Fee Related
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