JP6337679B2 - 2液硬化型ドライラミネート用接着剤組成物及びそれを用いた積層フィルム並びにレトルトパウチ用包装袋 - Google Patents
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Description
近年、食品、医療品、化粧品等の包装材料として、アルミニウム箔などの金属箔あるいは金属蒸着フィルムとポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエステル、ナイロンなどのプラスチックフィルムを多層ラミネートして複合化した積層フィルムが用いられている。これらのプラスチックフィルムと金属箔または金属蒸着フィルムとを貼り合わせる接着剤としては、ポリエステルポリオールに芳香族多価カルボン酸無水物を反応せしめることにより少なくとも1つの末端をカルボキシル基化したポリエステルおよびイソアネート化合物からなるものが知られている(特許文献1〜2)。
また、1級及び2級アミノ基を含有したポリウレタンにポリイソシアネートを配合した耐アルカリ性接着剤が提案されている(特許文献3)。
また、本発明の接着剤組成物を食品包装材料として用いた場合、内容物に酸性度の高い食品や油性食品を充填した場合においても、経時的な影響によるデラミネーション(浮きや気泡)の発生がない包装用積層体を提供することを目的とする。
(a)多塩基酸成分がイソフタル酸、オルトフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、ダイマー酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群より選ばれた1種以上の化合物である
(b)多価アルコール成分としてブタンジオールが90モル%以上である
本発明に用いられるポリエステルポリオール(A)は、多塩基酸成分と多価アルコール成分を共重合成分とし、要件(a)〜(b)を満足するポリエステルポリオールである。
一方、テレフタル酸の含有量は50モル%以下であることが好ましく、より好ましくは40モル%以下であり、さらに好ましくは30モル%以下である。テレフタル酸の含有量が多すぎると酢酸エチル等の溶剤への溶解性が低下し、特に低温での保存安定性が低下することがある。
具体的には無水トリメリット酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどが例示される。
本発明の用いるポリエステルポリウレタン(B)は、前記ポリエステルポリオール(A)とイソホロンジイソシアネートとの共重合物であり、具体的には、ポリエステルポリオール(A)をイソホロンジイソシアネートで鎖延長した構造を有するものである。
従って、本発明のポリエステルポリオール(A)は、多塩基酸成分の合計100モル%中、芳香族ジカルボン酸であるイソフタル酸、オルトフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびトリメリット酸の合計量を70モル%以上含有し、多価アルコール成分の合計100モル%中、1,4−ブタンジオールの含有量を65モル%以下とすることが好ましい。また有機溶剤への溶解性を発現させるため、多価アルコール成分として、側鎖を有するブタンジオールである1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールを35モル%以上併用する事が好ましい。
本発明に使用するポリイソシアネート化合物(C)は、芳香族ポリイソシアネート化合物、脂肪族ポリイソシアネート化合物及び/または脂環族ポリイソシアネート化合物が用いられるが、食品安全性の点から、FDA規格177.1390(2013年4月1日改訂版)で121℃(250°F)以上の温度での使用が認められている多官能イソシアネート化合物が好ましい。具体的にはトリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートの反応生成物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートとの反応生成物またはイソホロンジイソシアネートの3量体が挙げられ、これらのいずれか1種又は2種以上の混合物を用いるのが好ましい。これらを用いることで食品安全性に加え、接着性や耐レトルト性に優れた接着剤組成物を得ることができる。
本発明の接着剤組成物は、前記ポリエステルポリウレタン(B)とポリイソシアネート化合物(C)の混合物である。また、ポリエステルポリウレタン(B)を主剤とし、ポリイソシアネート化合物(C)を硬化剤とすることで、2液硬化型ドライラミネート用の接着剤組成物とすることができる。
次に本発明の2液硬化型ラミネート用接着剤を用いた積層フィルムの構成について説明する。
また、ヒートシール層としては、特に限定されないが、低融点のポリオレフィン樹脂の無延伸フィルムが用いられ、通常、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合フィルムやポリプロピレン樹脂フィルムが用いられる。
ポリエステルポリオールの組成及び組成比の決定は共鳴周波数400MHzの1H−NMR測定(プロトン型核磁気共鳴分光測定)にて行った。測定装置はVARIAN社製NMR装置400−MRを用い、溶媒には重クロロホルムを用いた。
4mlのテトラヒドロフラン(テトラブチルアンモニウムクロライド5mM添加)に試料(ポリエステルポリオール(A)またはポリエステルポリウレタン(B))4mgを溶解した後、0.2μmのメンブレンフィルターでろ過した試料溶液とした。試料溶液をゲル浸透クロマトグラフィーで分析を行った。装置はTOSOH HLC−8220、検出器は示差屈折率検出器を用い、流速1mL/分、カラム温度40℃で測定した。分子量標準には単分散ポリスチレンを使用し、数平均分子量は標準ポリスチレン換算値とし、分子量1000未満に相当する部分を省いて算出した。
示差走査型熱量計(SII社、DSC−200)により測定した。サンプルは試料(ポリエステルポリオール(A)またはポリエステルポリウレタン(B))5mgをアルミニウム抑え蓋型容器に入れて密封したものを用いた。まず、液体窒素を用いて−50℃まで試料を冷却し、次いで150℃まで20℃/分にて昇温した。この過程にて得られる吸熱曲線において、吸熱ピークが出る前のベースラインと、吸熱ピークに向かう接線との交点の温度をもって、ガラス転移温度(Tg、単位:℃)とした。
試料(ポリエステルポリオール(A)またはポリエステルポリウレタン(B))0.2gを精秤しクロロホルム40mlに溶解し、0.01Nの水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定を行った。指示薬にはフェノールフタレインを用いた。単位はmgKOH/gとした。
試料(ポリエステルポリウレタン(B))を固形分50重量%、65℃下で溶解させ、25℃で3ヶ月及び5℃で1ヶ月保管し、溶解安定性を確認した。
評価基準: ○:透明を維持し溶液の流動性維持。
△:濁りが発生。
×:プリン化。
攪拌機、コンデンサー、温度計を具備した反応容器にイソフタル酸481.4部、セバシン酸210.1部、無水トリメリット酸11.5部、1,4−ブタンジオール216.0部、2−メチル−1,3−プロパンジオール504.0部、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート(以下、TBTと略記する場合がある)を全酸成分に対して0.02モル%仕込み、160℃から240℃まで4時間かけて昇温しながらエステル交換反応を行った。次いで系内を徐々に減圧していき、20分かけて5mmHgまで減圧し、さらに0.3mmHg以下の真空下、230℃にて30分間重縮合反応を行った。窒素気流下、220℃まで冷却し、無水トリメリット酸を12.4部投入し、30分間反応を行った。得られたポリエステルポリオール(1)はNMRによる組成分析の結果、多塩基酸成分がモル比でイソフタル酸/セバシン酸/トリメリット酸=72.5/26.0/1.5モル%であり、多価アルコール成分がモル比で1,4−ブタンジオール/2−メチル−1,3−プロパンジオール=48.0/52.0であった。また、数平均分子量は2500であった。
ポリエステルポリオール(1)の製造例に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更して、ポリエステルポリオール(2)〜(14)を製造した。結果を表1に記す。
TPA:テレフタル酸残基
IPA:イソフタル酸残基
AA:アジピン酸
SA:セバシン酸残基
TMA:トリメリット酸残基
2MG:2−メチル−1,3−プロパンジオール残基
1,4−BD:1,4−ブタンジオール残基
1,2−BD:1,2−ブタンジオール残基
EG:エチレングリコール残基
NPG:ネオペンチルグリコール残基
HD:1,6−ヘキサンジオール残基
温度計、攪拌機、還流式冷却管および蒸留管を具備した反応容器に、表1に記載したポリエステルポリオール(1)を100部、酢酸エチル108.7部を仕込み溶解後、イソホロンジイソシアネート8.7部を投入し、撹拌して均一溶液とした。その後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.04部加え70℃で8時間反応させた。充分に反応させて目的とする固形分濃度50%のポリエステルポリウレタン(1)を得た。この様にして得られたポリエステルポリウレタン(1)の特性を表2に示す。
ポリエステルポリウレタン(1)の製造例と同様にして、表1に示すポリエステルポリオール(2)〜(14)を用いてポリエステルポリウレタン(2)〜(14)を製造した。それらの特性を表2に示す。
ポリエステルポリウレタン製造例(1)を用いて、以下の方法に従って接着剤組成物及び積層フィルムを作製し、さらにこれを用いたレトルトパウチを作製して接着力や耐レトルト性を測定した。
ポリエステルポリウレタン製造例(1)の溶液に硬化剤としてイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体(住化バイエル製デスモジュール(登録商標)Z4470)をポリエステルポリウレタン100重量部(固形分)に対し、10重量部(固形分)となるように配合した。この溶液に、酢酸エチルを加えて固形分濃度を30重量%となるように調整し、十分攪拌を行い目的とする接着剤組成物(1)を得た。
<積層体の作成>
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET:東洋紡製E5100、12μm)/接着剤組成物(1)層(厚さ5μm )/アルミニウム箔(厚さ9μm)/接着剤組成物(1)層(厚さ5μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:東洋紡製P2161、50μm)の5層積層フィルムを以下に記載の方法で作製した。すなわち、接着剤組成物(1)を常温にてアプリケーターにより、まずPETフィルムコロナ処理面に乾燥後の接着剤組成物塗布厚が5μmとなるように塗布し、120℃にて5分熱風乾燥機で溶剤を揮散させた。その後、塗布面をアルミニウム箔と重ね合わせ、ロール温度120℃、ロール荷重3kg/cm、被圧着物速度1m/分でドライラミネーション法にて貼り合せた。さらに、その積層体のアルミニウム箔面に同様の接着剤組成物(1)を乾燥後の厚さが5μmとなるように塗布した。接着剤組成物(1)の溶剤を揮散させた後、塗布面をCPPフィルムと重ね合わせ、上記と同じドライラミネーション法で貼り合せ、50℃で4日間保温(エージング)し、5層積層フィルムを作製した。
5層積層フィルムのアルミニウム箔とCPPとの間の接着強度を、引張り試験機を用いて測定した。測定時の雰囲気温度を25℃、剥離速度を300mm/分に設定し、180°剥離方法で剥離した際の引張り強度を接着強度とし、接着強度の単位は、N/15mmとした。結果を表3に示す。
(判定)◎:15N/15mm以上
○:10N/15mm以上15N/15mm未満
△:8N/15mm以上10N/15mm未満
×:8N/15mm未満
5層積層フィルムを用いて、120mm×120mmの大きさのパウチを作製した。この際、ヒートシールは10mm幅のバーシールを用いて、200℃、98kPa、1秒のシール条件で行った。次いで、流れ方向(MD)および横方向(TD)に2本の折り目を入れ、内容物として、食酢、サラダ油、ケチャップソースを重量比で1:1:1に配合した疑似食品70gをパウチに充填した。このパウチを120℃で30分間の蒸気式のレトルト殺菌処理をした後の外観及び、この殺菌処理後のパウチを40℃及び60℃の恒温漕に14日静置して外観を目視でデラミネーション(浮き、または気泡)を確認した。結果を表3に示す。
(判定) ○:浮き、または気泡なし
△:浮き、または気泡がわずかに見られる
×:浮き、または気泡あり
<接着剤組成物の製造>
ポリエステルポリウレタン製造例(1)の溶液に硬化剤としてイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体(住化バイエル製デスモジュール(登録商標)Z4470)をポリエステルポリウレタン100重量部(固形分)に対し、10重量部(固形分)となるように配合した。さらに別途、酢酸エチルで固形分濃度50%となるようにエポキシレジン(三井化学製jER(登録商標)1001)溶液を作製し、先ほどのポリエステルポリウレタンおよびポリイソシアネート混合溶液に、ポリエステルポリウレタン100重量部(固形分)に対し、10重量部(固形分)となるように配合した。この溶液に酢酸エチルを加えて固形分濃度を30重量%となるように調整し、十分攪拌を行い目的とする接着剤組成物(2)を得た。以下、実施例1と同様に評価を行った。これらの結果を表3に示す。
<接着剤組成物の製造>
ポリエステルポリウレタン製造例(1)の溶液に硬化剤としてトリメチロールプロパンのイソホロンジイソシアネート反応体(三井化学製タケネート(登録商標)D140N)をポリエステルポリウレタン100重量部(固形分)に対し、10重量部(固形分)となるように配合し、さらにシランカップリング剤(信越シリコーン製KBM403)をポリエステルポリウレタン100重量部(固形分)に対し、1重量部(固形分)となるように配合した。この溶液に酢酸エチルを加えて固形分濃度を30重量%となるように調整し、十分攪拌を行い目的とする接着剤組成物(3)を得た。以下、実施例1と同様に評価を行った。これらの結果を表3に示す。
実施例1と同様に接着剤組成物を調製し、同様に評価を行った。これらの結果を表3に示す。
Claims (9)
- 多塩基酸成分と多価アルコール成分を共重合成分とし、下記(a)〜(b)を満足するポリエステルポリオール(A)をイソホロンジイソシアネートで鎖延長した構造を有するポリエステルポリウレタン(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)を含有する接着剤組成物。
(a)多塩基酸成分がイソフタル酸、オルトフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、ダイマー酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群より選ばれた1種以上の化合物である
(b)多価アルコール成分としてブタンジオールが90モル%以上である - ポリエステルポリオール(A)の多塩基酸成分におけるイソフタル酸、オルトフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびトリメリット酸の合計の含有量が70モル%以上であり、且つテレフタル酸の含有量が50モル%以下である請求項1に記載の接着剤組成物。
- ポリエステルポリオール(A)の多価アルコール成分における1,4−ブタンジオールの含有量が65モル%以下である請求項1に記載の接着剤組成物。
- ポリエステルポリオール(A)の酸価が1mgKOH/g以上12mgKOH/g以下である請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤組成物。
- ポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度が−20℃以上、20℃以下である請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物。
- ポリイソシアネート化合物(C)が、トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートの反応生成物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートの反応生成物、及びイソホロンジイソシアネート3量体からなる群より選ばれた1種以上である請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の接着剤組成物を主成分とする2液硬化型ドライラミネート用接着剤組成物。
- 基材フィルム/接着剤a/ガスバリヤ層/接着剤b/ヒートシール層が順次積層された積層フィルムにおいて、接着剤a及び/又は接着剤bが請求項7に記載の2液硬化型ドライラミネート用接着剤組成物である積層フィルム。
- 請求項8に記載の積層フィルムを用いてなるレトルトパウチ用包装袋。
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