JP6335690B2 - 上質紙 - Google Patents

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Description

本発明は、筆記用紙に適した上質紙に関する。特に本発明は、低坪量かつ低密度でありながら、筆記用紙やノートとしての使用に適した上質紙に関するものである。
昨今、若者の活字離れが社会問題となっているが、その要因の一つに、近年台頭してきた電子媒体と比較して、紙の印刷物は、持ち運びが不便であることが挙げられる。持ち運びを容易にするため、書籍用紙や新聞用紙などは、すでに大幅な軽量化が進んでいるが、軽量化に伴って紙厚が低下すると、不透明度や裏抜けの悪化、剛度の低下によるめくり適性の低下などの品質問題が発生する。そのため、紙の軽量化を進めるうえでは、嵩、すなわち紙厚を維持することが重要になる。
一般に、紙の剛度は、紙厚の3乗に比例するといわれており、紙の嵩の影響が非常に大きい。また不透明度に関しても、嵩高であるほうが繊維間の非結合面積が大きくなり、光の散乱が増え有利である。さらには、近年の環境保護気運の高まりに伴い、森林資源から製造される製紙用パルプを有効に活用するうえで、紙の厚さを維持しつつ軽量化を図った製品、すなわち低密度化した紙製品がユーザーから求められている。
紙を嵩高化する方法としては、まず紙の主原料である製紙用パルプの観点から検討されてきた。紙の嵩高化、すなわち低密度化を行うためには、化学薬品により木材繊維中の補強材料であるリグニンを抽出した化学パルプよりも、グラインダーで木材を磨り潰す砕木パルプやリファイナーで木材を精砕するリファイナーメカニカルパルプ、またはサーモメカニカルパルプのような機械パルプの方が繊維は剛直で、低密度化には効果的である。
また、抄紙技術の観点からの嵩高化の方法としては、プレス工程でのプレス線圧を低くすること、紙に平滑性を付与するカレンダー処理を弱くすることなどが挙げられる。
さらに、製紙用薬品の観点から嵩高化する方法として、嵩高剤を使用することが知られている。例えば、特許文献1には、上質紙に嵩高剤を使用し、紡錘状の軽質炭酸カルシウムを填料として使用することによって、灰分が20%以上でありながら密度が0.54〜0.59g/cmである印刷用紙を製造する技術が提案されている。また、特許文献2・3には、合成系/天然系カチオンポリマーとビニルモノマー由来の構成単位を有するポリマー粒子から成るポリマーエマルションを嵩高剤として使用することによって、剛度の低下がすくなく、印刷作業性が良好な上質紙を得る技術が開示されている。
さらに、特許文献4には、繊維間結合阻害剤を添加して印刷用紙の厚さを100〜200μmとすることで、十分な嵩高性、印刷適性、しなやかさ、手触り感を兼ね備えた印刷用紙が得られる旨が記載されている。さらにまた、特許文献5には、細孔体積が1.5〜4.0mL/gの填料を用い、柔軟化薬品などを含む表面処理剤を塗布することによって、密度が0.50〜0.65g/cm、クラーク剛度(CD方向)が30〜55cm/100である紙を製造することが開示されている。
特開2006−052482号公報 特開2005−240249号公報 特開2005−240227号公報 特開2004−115986号公報 特開2005−256205号公報
しかし、一般に知られている従来の嵩高化技術では、下記のような課題が生じる。すなわち、機械パルプなどの剛直なパルプを使用した場合、嵩高効果は得られるものの、白色度の低下などを伴い、さらに紙表面の平滑性も低下するため、筆記適性が低下してしまう。特に、パルプとして化学パルプのみを用いて抄造される上質紙の場合、機械パルプを使用して嵩高化を図ることはできない。
また、抄紙時においてプレス線圧を低くした場合、紙の強度や平滑性が失われてしまうため、印刷適性や筆記適性と嵩高化の両立が困難である。
さらに、特許文献2〜5に記載の技術は、紙の嵩高化を検討しているものの、坪量が約60g/m以下という軽量な紙をターゲットとした技術ではなかった。特許文献2・3の実施例では、坪量が80g/m程度の紙が製造されており、特許文献4・5も、坪量が80g/m程度の書籍用紙を製造する技術である。
このような現状に鑑み、本発明の課題は、低坪量かつ低密度であり、印刷適性や加工適性に優れた上質紙を提供することである。特に本発明では、適度なサイズ性を備え、筆記用紙に適した嵩高上質紙を提供することを、その課題とする。
本発明者らは上記の課題について鋭意研究を行った結果、パルプとして化学パルプのみを用いて抄造した原紙にクリア塗工層を設けた上質紙において、坪量を30〜62g/m、紙厚90μm以上、灰分20%以下とすることによって、優れた上質紙が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、これに限定されるものではないが、本発明は以下の内容を包含する。
(1) パルプとして化学パルプのみを用いて抄造した原紙の片面または両面にクリア塗工層を設けた上質紙であって、坪量が30〜62g/m、紙厚が90μm以上、紙中灰分が20重量%以下である、上質紙。
(2) 筆記用紙である、(1)に記載の上質紙。
(3) 密度が0.60g/cm以下である、(1)または(2)に記載の上質紙。
(4) F面またはW面のいずれか一方のペン書きサイズ度が5以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載の上質紙。
(5) ステキヒトサイズ度が30秒未満である、(1)〜(4)のいずれかに記載の上質紙。
(6) 前記原紙が、嵩高剤を添加して抄造されたものである、(1)〜(5)のいずれかに記載の上質紙。
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載の上質紙から製本されたノート。
本発明によれば、パルプとして化学パルプのみを用いて抄造された原紙上にクリア塗工層を設けた上質紙において、低坪量かつ低密度であり、印刷適性や加工適性に優れた上質紙を提供することができる。本発明で得られた上質紙は、そのまま製品として使用することもでき、また、筆記用紙として使用することもできる。さらに本発明の上質紙は、印刷や製本加工を行ってノートなどとして好適に使用することもできる。
上質紙
本発明によって得られる上質紙は、パルプとして化学パルプのみを使用して抄造され、その片面または両面にクリア塗工が施されている。本発明の上質紙は、顔料塗工層を備えていない非塗工紙であり、軽量・嵩高でありながら、しなやかで、裏抜けがしにくい。そのため、本発明の上質紙を筆記用紙として使用すると特に好適であり、本発明の上質紙を製本してノートを製造した場合、従来のノートと比較して軽量感に優れたノートを得ることができる。すなわち、本発明の上質紙は低密度(嵩高)であるため、同じ厚さであれば軽量であり、また、同じ枚数であればより厚みのあるノートが得られる。さらには、本発明の上質紙は、好ましい態様において筆記適性が良好であり、しなやかさに優れたノートを製造することができる。
本発明の上質紙は、JIS P 8124に準じて測定した坪量が30〜62g/mであり、より好ましくは35〜60g/mであり、さらに好ましくは40〜58g/mである。本発明の上質紙は、軽量・嵩高であることを特徴とするため、坪量が62g/mを超えたものでは、軽量性が不十分である。1998年に廃止されたJIS規格(旧規格:JIS P3201)では、冊子状に製本された各種ノートやメモ帳、ルーズリーフなどに使用されるルーズリーフ用紙、メモ用紙などの各種筆記用紙は、その坪量が75〜80g/mと規定されており、また現在は、JIS S 5504において、ノートブックに使用する中身原紙は70g/m以上と規定されているため、本発明のように低坪量の筆記用紙は、従来、あまり一般的ではなかった。しかしながら、近年は使用者のニーズの多様化が進み、特に、多くの書籍や筆記用紙を持ち歩く必要のある学生などの間では、軽量な筆記用紙が求められるところ、本発明の上質紙は、軽量でありながら筆記適性に優れるため、かかるニーズを満足するものである。例えば、本発明の上質紙(坪量:62g/m以下)は、従来の筆記用紙(坪量:75〜80g/m)と比較して坪量が大幅に低いため、ノートにした場合、手に持った際の軽量感を大きく感じることができる。
また、本発明に係る上質紙は、JISP8118に準じて測定した紙厚が90μm以上である。たとえ坪量が62g/m以下であっても、紙厚が90μm未満であると、紙の嵩が低く、十分な不透明性や、剛度を得ることができない。また、紙厚が90μm未満であると、従来のノートと比較して厚みが不足してしまい、店頭に陳列した際に、他のノートと比較して厚みの差が目立ってしまう。紙厚の上限は特にないが、120μm以下が好ましく、110μm以下がより好ましく、100μm以下であってもよい。
本発明の上質紙は、JIS P 8118に準じて測定した紙の密度が、0.65g/cm以下であることが好ましく、0.60g/cm以下であることがさらに好ましい。密度が0.65g/cm以下であると、嵩高効果が大きく、同一紙厚で比較した際に軽量効果を十分に実感することができる。
本発明の上質紙は、ISO2471に準じて測定したISO不透明度が、80%以上であることが好ましく、83%以上がより好ましく、85%がさらに好ましい。ISO不透明度が80%未満であると、印刷や、文字を記入した際に、裏抜けが発生しやすくなるためである。
好ましい態様において、本発明の上質紙は、優れた筆記適性を備える。上質紙を筆記用紙の用途で使用した場合、鉛筆だけでなくボールペンや万年筆、マジックでの筆記も想定され、筆記面の裏面へのインク浸透による裏抜けを防止する必要があるため、十分なサイズ性が求められる。そのため、本発明の上質紙は、JIS P 8122に準じて測定したステキヒトサイズ度が、40秒以下であることが好ましく、さらに好ましくは30秒以下である。また、下限は特に設けないが5秒以上であることが好ましく、10秒以上がより好ましく、20秒以上であってもよい。ステキヒトサイズ度が40秒より高いと、ボールペンやマジック、万年筆などインクを使用して筆記した際のインクの渇きが悪く、紙面の汚れの原因となってしまう。一方、ステキヒトサイズ度が低すぎると、インクの乾燥性は良好であるものの、インクの浸透が早すぎて、インクの裏抜けが発生してしまう。
また、本発明の上質紙は、J.TAPPI NO.12に準じて測定したペン書きサイズ度が5以上であることが好ましい。好ましい態様としては、両面クリア塗工の上質紙の場合は、F面およびW面の両面が5以上であることが好ましく、片面クリア塗工の上質紙の場合はF面もしくはW面のいずれか一方が5以上であればよい。ペン書きサイズ度の高い紙は、紙表面でのインク接触角が高く、繊維に沿ったひげ状のインクの広がりが少ないため、シャープな線を引くことが可能である。そのため、ペン書きサイズ度が5よりも低いと、インクを使用して筆記した際の文字太りやにじみが発生し、筆記適性が劣る。
本発明の上質紙は、JIS P 8155に準じて測定した王研式平滑度が40秒以下であることが好ましく、30秒以下がより好ましく、20秒以下がさらに好ましい。また、下限としては5秒以上が好ましく、10秒以上がさらに好ましい。一般的に、平滑度が高いと印刷適性は良好である。一方、筆記用紙として使用した場合、鉛筆と万年筆やボールペンでは、平滑性と筆記適性の好ましい範囲が異なる。王研式平滑度が40秒より高いと、鉛筆で筆記した際に芯を形成する粒子の引っ掛かりが少なく、鉛筆筆記適性が劣る。一方、5秒未満の場合、万年筆やボールペンのペン先が紙に引っかかってしまうため、万年筆筆記適性が劣ってしまう。そのため、印刷適性、万年筆、ボールペン、鉛筆の筆記適性を両立するためには、王研式平滑度が5秒以上20秒以下とすることが好ましい。
本発明での上質紙を、筆記用紙、特にノート用紙として使用した場合、ノート加工適性が求められる。ノートの製造工程では、罫線の印刷や、金具・無線とじ製本などの工程を経るため、印刷適性やノート加工適性などが要求される。ノート加工適性としては、印刷適性や、らせんとじの場合は穴の打ち抜き適性、切り取りミシン入りノートではミシン加工適性などが挙げられる。また、これらに求められる紙質としては、剛度、表面強度、引張強度が挙げられる。
剛度、表面強度、引張強度については特に限定しないが、クラーク剛度が、CD方向(抄紙の際の横方向)、MD方向(抄紙の際の流れ方向)ともに1〜150cm/100程度であることが好ましい。また、紙の表面強度(JIS P 8129)については、下限としては3A以上が好ましく、5A以上がさらに好ましい。上限としては、18A以下が好ましく、15A以下がさらに好ましい。引張強さは、CD方向、MD方向共に0.5〜10.0kN/m程度が好ましい。
製紙原料
本発明は上質紙に関しており、原紙を形成するセルロース繊維原料として、化学パルプのみを使用する。化学パルプとしては、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)などを好適に使用することができる。パルプの原料は、針葉樹や広葉樹などの木材はもちろん、楮、三椏、麻、ケナフなどの非木材であってもよく、漂白されているパルプ(BKP)であっても漂白されていなくてもよい。これら単独でも、二種以上混合しても良いが、白色度の点などから、パルプ100重量%に対し50重量%以上を、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)とすることが好ましい。また、紙力を高める観点から、針葉樹クラフトパルプを使用することも可能である。
本発明の上質紙には、内添サイズ剤を使用することができる。本発明の上質紙は、酸性抄紙して製造されるものでも中性抄紙して製造されるものであってもかまわないが、酸性抄紙の場合、例えば、ロジンサイズ剤、強化ロジンサイズ剤、合成サイズ剤などの公知の抄紙用内添サイズ剤を使用できる。内添サイズ剤の添加料はパルプに対して0.05〜5重量%が好ましく、0.05〜1%がさらに好ましい。中性抄紙の場合、例えば、公知の内添中性サイズ剤である、アルキルケテンダイマー(AKD)系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤などの公知のサイズ剤を使用できる。中性ロジンサイズ剤よりは、AKD、ASAの方は紙の嵩が出やすく、好適である。サイズ剤の添加量はパルプに対して0.05〜5重量%が好ましく、0.05〜1重量%がさらに好ましい。
本発明の上質紙には、填料を内添することができるが、内添される填料は特に限定されるものではなく、公知の填料の中から適宜選択して使用できる。このような填料としては、例えば、タルク、カオリン、クレー、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、二酸化チタン、シリカ、およびプラスチックピグメントなどの有機填料などを挙げることができる。紙中灰分の下限は5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、15重量%以上がさらに好ましい。灰分が5重量%未満では得られる上質紙の不透明度や平滑性が不十分になる場合がある。また、本発明の上質紙は、紙中灰分の上限が20重量%以下であり、19重量%以下がより好ましい。紙中灰分が多くなると、紙力の低下により断紙が多く操業が困難となりやすく、また印刷時には紙粉の発生量が多くなる。
例えば、酸性抄紙においては、抄紙pHが酸性領域でも安定な填料が好ましく、具体的にはクレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料を単独で又は適宜2種類以上を組み合わせて使用できる。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、炭酸カルシウムなどの酸性領域では溶解する顔料を使用してもよい。また、中性抄紙においては、例えば、少なくとも炭酸カルシウムを填料として含有することができ、他に炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ等の無機填料や尿素−ホリマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等などを、単独で又は適宜二種類以上を組み合わせて使用できるが、これに限定されるものではない。
内添填料として使用される炭酸カルシウムには、重質炭酸カルシウムと軽質炭酸カルシウムがあるが、抄紙時のワイヤー磨耗を低くする観点、および、得られる紙の不透明度や平滑性を高める観点から、軽質炭酸カルシウムのほうが好適に使用される。また、軽質炭酸カルシウムの中でも、ロゼッタ型がより好ましい。
また、本発明においては、通常の抄紙で使用される抄紙用薬品、例えば、サイズ定着剤、カチオン・アニオン性薬品、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留向上剤、濾水性向上剤、消泡剤、スライムコントロール剤、pH調整剤、ピッチコントロール剤、蛍光増白剤、有色染料・有色顔料等の着色剤等を必要に応じて使用することもできる。
本発明の上質紙は、パルプ繊維間の結合を阻害し、高い嵩高性を得るためにも、嵩高剤を含有することが好ましい。使用する嵩高剤としては、例えば、界面活性剤系、非界面活性剤系が挙げられ、界面活性剤の嵩高剤としては、例えば、スルホコハク酸ジアルキルエステル塩系(アニオン)、グリセリン脂肪酸エステル系、ペンタエリスリット脂肪酸エステル系、ソルビタン脂肪酸エステル系(ノニオン)、4級アンモニウム塩系、ポリアミドポリアミン系(カチオン)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、非界面活性剤系の嵩高剤としては、カチオン性化合物、アミン、アミンの酸塩、両性化合物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
抄紙方法
本発明に係る上質紙は、公知の抄紙機、例えば長網式、円網式、短網式、ツインワイヤー式抄紙機によって製造される。抄紙後のプレス線圧は、通常の操業の範囲内で用いられる。
本発明においては、表面強度向上や耐水性付与、筆記適性などを付与するために、前記で得られた原紙に表面処理剤を塗工してもよい。表面処理剤に使用するバインダーの種類は特に限定しないが、生澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、アセチル化したタピオカ澱粉を原料として製紙工場内で熱化学変性あるいは酵素変性によって生成される自家変性澱粉などの澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉などの変性澱粉を含むのが好ましい。カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、セルロースナノファイバーなどのセルロース誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコールなどの変性アルコール、スチレン−ブタジエン系共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステルなどを併用することも可能である。
また、サイズ性を高める目的で、スチレン系サイズ剤、オレフィン系サイズ剤、アクリレート系サイズ剤、スチレン−アクリル系サイズ剤、カチオン性サイズ剤などの表面サイズ剤を併用することも可能である。表面サイズ剤を併用する場合、表面処理剤中の固形分濃度で0.05〜5重量%が好ましく、0.05〜1重量%がさらに好ましい。
さらに、本発明においてクリア塗工する場合、必要に応じて分散剤、増粘剤、保水材、消泡剤、耐水化剤、着色剤、導電剤等、通常の表面処理剤に配合される各種助剤を適宜使用される。
表面処理剤の塗布量は、上質紙に要求される表面強度などにより適宜決定されるので特に限定はないが、通常は両面で0.1〜10g/mの範囲である。0.1〜5g/mが好ましく、0.5〜5g/mがより好ましい。
表面処理剤を塗布する装置は特に限定はなく、2ロールサイズプレス、ゲートロールコーター、ロットメタリングサイズプレスや、ブレードコーター、スプレーコーター、カーテンコーターなどの塗工機によって塗布することができる。
カレンダー処理は、通常の操業範囲内の処理線圧で用いられるが、得られた上質紙に嵩高な風合いを付与するためにも、紙の平滑性を維持できる範囲で、なるべく低線圧もしくはバイパスが好ましい。また、使用するカレンダーは公用の装置を適宜選定し使用することができるが、紙厚の低下を抑制した、嵩高で高平滑な上質紙を得ることができるため、ソフトカレンダーや、高温ソフトニップカレンダーが好ましい。
ノートの製造
本発明の上質紙を、ノートとして製本することも可能である。本発明の上質紙を製本してノートとする場合、ノートの縦方向と紙の抄紙方向(MD方向)を合わせる、すなわち、ノートの綴じ代と紙の抄紙方向を合わせて順目にすると、開きやすくかつめくりやすいノートとなるため好適である。ノートの製本は、接着、金具・無線とじ製本などの一般的な製本工程によることができる。また、必要に応じて、罫線の印刷や、らせんとじの場合の穴の打ち抜き、切り取り用のミシン加工などを適宜施すことができる。
以下に実施例を示しながら本発明について説明するが、この実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお、本明細書の説明において、濃度や%は(固形分)重量%であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
<各種評価方法>
1.紙質測定方法
・坪量:JIS P 8124に準じて測定した。
・紙厚/密度:JIS P 8118に準じて測定した。
・灰分:ISO1762−1974に準じて測定した。
・ISO不透明度:ISO2471に準じて測定した。
・PPSラフネス: ISO8791に準じて測定してソフトバッキングで測定した。
・王研式平滑度:JIS P 8155に準じて測定した。
・ステキヒトサイズ度:JIS P 8122に準じて測定した。
・ペン書きサイズ度:JAPAN TAPPI(日本紙パルプ技術協会)法NO.12に準じて測定した。
2.ノート加工適性
ノート加工に必要とされるこわさ(紙のコシ:剛度)、紙粉の発生を、以下の基準に従って4段階で評価した。
◎:紙粉の発生がほとんどなく、こわさも強い
○:紙粉の発生があまりなく、こわさも十分である
△:紙粉が発生し、こわさが低めではあるが、加工可能である
×:紙粉の発生や、こわさ不足により、加工に支障をきたす恐れがある
3.筆記適性(鉛筆)
HBの鉛筆で筆記した際の筆記適性を、以下の基準に従って4段階で評価した。
◎:良好な書き心地である
○:鉛筆の先が紙面でやや滑るが、概ね良好な書き心地である
△:鉛筆の先が紙面で滑り、あまり書き心地がよくない
×:鉛筆の先が紙面で滑り、書き心地が悪い
4.筆記適性(万年筆)
赤色インク(パーカー社製QUINKレッド)で筆記した際の筆記適性を、以下の基準に従って4段階で評価した。
◎:ペン先の滑りが非常によく、乾燥も良好であり、線のにじみも全くない
○:ペン先の滑り、乾燥性、線の滲みなどの問題はない
△:わずかなペン先の引っ掛かり、または、乾燥不良、または、線の滲みがあるが筆記に支障はない
×:ペン先が引っ掛かり、または、乾燥不良、または、線の滲みにより筆記に支障がある
<紙の製造>
実施例1
LBKP90部、NBKP10部を混合したパルプスラリー(総合濾水度CSF:320ml)に、軽質炭酸カルシウムを、紙中灰分19%となるように添加した。さらに、パルプと填料の合計(固形分)重量に対して、硫酸バンド1.0%、AKDサイズ剤0.2%、カチオン化澱粉0.6%、嵩高剤(脂肪酸エステル/脂肪酸塩系)0.6%を添加して紙料を調製した。
その後、長網抄紙機を用いてこの紙料から、抄紙速度600m/minにて坪量約53g/mの原紙を抄造した。酸化澱粉9.3%、スチレン―アクリル系表面サイズ剤0.1%を混合した水溶液(表面処理液)を調製し、ロットメタリングサイズプレス(RMSP)で両面塗工量が約3.0g/m(片面あたり約1.5g/m)となるようにクリア塗工した。
乾燥後、カレンダー処理をせずに、坪量が約56g/mの上質紙を得た。紙質の測定値は表1に示す。
実施例2
坪量48g/mとなるように製造した以外は、実施例1と同様にして上質紙を製造した。
実施例3
紙中灰分が10%となるように軽質炭酸カルシウムを添加した以外は、実施例1と同様にして上質紙を製造した。
実施例4
表面サイズ剤を添加しない以外は、実施例1と同様にして上質紙を製造した。
実施例5
AKDサイズ剤の添加量を0.3%とした以外は、実施例1と同様にして上質紙を製造した。
実施例6
表面サイズ剤の添加量を0.05%とし、AKDサイズ剤を添加しない以外は、実施例1と同様にして上質紙を製造した。
比較例1
坪量が約68g/mとなるように製造した以外は、実施例1と同様にして上質紙を製造した。
比較例2
紙厚が87μmになるようにカレンダー処理した以外は、実施例1と同様にして上質紙を製造した。
比較例3
AKDサイズ剤の添加量を0.25%とし、紙中灰分が22%となるように軽質炭酸カルシウムを添加した以外は、実施例1と同様にして上質紙を製造した。
比較例4
嵩高剤を添加せず、紙厚が約70μmになるまでカレンダー処理した以外は、実施例1と同様にして上質紙を製造した。
比較例5
カレンダー処理した以外は、実施例1と同様にして上質紙を製造したが、紙中灰分が13.3%になるように軽質炭酸カルシウムを添加し、JIS S 5504(ノートブックに使用する中身原紙:坪量70g/m以上)に準拠して坪量が約70g/m以上となるように製造した。この実験においては、嵩高剤を添加しなかった。
実施例の結果から明らかなように、本発明によれば、軽量感があり、筆記適性およびノート加工適性に優れた上質紙を得ることができた。特に実施例1は、ノートなどの筆記用紙として汎用されている上質紙(比較例5)と同等の紙厚を維持しながら軽量であり、優れた筆記適性とノート加工適性を備えていた。
実施例4、6を比較すると、ペン書きサイズ度が高くなるほど、万年筆での筆記適性が向上する傾向がみられた。ただし、実施例5、6を比較すると、たとえペン書きサイズ度が高くても、ステキヒトサイズ度が高すぎると、万年筆で筆記した際の乾燥性が低下してしまった。
実施例1と比較例1〜2、5の結果から、本発明によれば、低坪量、低密度でありながらノート加工適性や筆記適性に優れた上質紙を得ることができた。具体的には、実施例1(坪量:55.8g/m)と比較例1(坪量:68.8g/m)を比較すると、比較例1は筆記適性などに優れるものの坪量が高く、軽量感という本発明の課題が達成されない。また、比較例2(紙厚:87μm)は、実施例1と比較して不透明性が低く、また紙厚の低下に伴いこわさも低下するため、ノート加工適性が劣っていた。さらに、比較例2は、従来の一般的なノートに用いられる上質紙(比較例5、紙厚:93μm)と比較して紙厚が小さいため、ノートとして店頭に並んだ時に薄くなってしまう。
実施例1(灰分:19.6%)と比較例3(灰分:21.7%)を比較すると、比較例3は、灰分が高いために、紙粉の発生が多くなり、こわさの低下によりノート加工適性が低下した。また、比較例3は、鉛筆での書き心地が悪化し、万年筆やボールペン等で筆記した際にはペン先詰まりなどが発生しやすかった。また、実施例1と比較例3を比較すると、比較例3は灰分が高いために、同等のステキヒトサイズ度を得るために比較例3では多くのサイズ剤を添加する必要があった。

Claims (11)

  1. 坪量が30〜62g/m、紙厚が90μm以上、紙中灰分が20重量%以下である上質紙であって、
    パルプとして化学パルプのみを用いた原紙、および、両面合計の塗布量が0.5〜10g/m であるクリア塗工層を原紙の片面または両面に有する上質紙。
  2. ISO不透明度が80%以上である、請求項1に記載の上質紙。
  3. 王研式平滑度が40秒以下である、請求項1または2に記載の上質紙。
  4. 内添サイズ剤が原紙に内添されている、請求項1〜3のいずれかに記載の上質紙。
  5. 表面サイズ剤が塗工されている、請求項1〜4のいずれかに記載の上質紙。
  6. 筆記用紙である、請求項1〜5のいずれかに記載の上質紙。
  7. 密度が0.60g/cm以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の上質紙。
  8. ペン書きサイズ度が5秒以上である、請求項1〜のいずれかに記載の上質紙。
  9. ステキヒトサイズ度が30秒未満である、請求項1〜のいずれかに記載の上質紙。
  10. 前記原紙が、嵩高剤を添加して抄造されたものである、請求項1〜のいずれかに記載の上質紙。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の上質紙から製本されたノート。
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