JP6335487B2 - 放射性セシウム除染方法及び放射性セシウム除染シート - Google Patents

放射性セシウム除染方法及び放射性セシウム除染シート Download PDF

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Description

本発明は、放射性セシウムで汚染された、セメントコンクリートやアスファルトコンクリート等の硬い舗装部分や土壌を除染するための方法及びシートに関する。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の発生に伴う、福島県第1原子力発電所(以下、単に原子力発電所とも称する)の事故により放射性物質が空気中に飛散したり、放射性物質を含む廃液が海に放出されたりしたことが、深刻な環境問題になっている。原子力発電所の事故で放出された放射性物質である放射性セシウムの半減期は約30年間と非常に長い。そのために、外部環境に漏出した放射性セシウムを回収する技術が強く求められている。
原子力発電所の事故により漏出した放射性物質は、原子力発電所から大気中に放出され、主に降雨により雨とともに地上に降ってきて、近隣地域の土壌、道路、建造物等を汚染した。放射性セシウムは、セシウムイオン(Cs+)の形態で、土に含まれる粘土,砂,石や、道路や建造物の材料であるコンクリート材やアスファルト材に強く結合するために、回収することが困難であった。
現在、放射性物質で汚染された地域では、除染が懸命に進められている。しかしながら、除染を効率的に進めるためのいくつかの課題が指摘されている。例えば、セメントコンクリートやアスファルトコンクリートのような硬い材料で舗装された道路は、洗剤を除染する面に付与した後、ブラッシングしたり、高圧洗浄機で洗浄したりするような方法で除染されている。これらの方法は、多くの労力とコストが掛かる。また、これらの方法においては、洗浄後の廃液が大量に発生するために回収が困難であり、また、廃液中の放射性セシウムの濃度も低いために、回収効率が低いという問題もあった。また、別の方法として、道路の表面を削りとるような方法も行われているが、このような方法も多くの労力とコストが掛かる。
また、プルシアンブルー(紺青:フェロシアン化鉄)の、Cs+と結合しやすい性質を活かした回収方法も提案されている。例えば、下記特許文献1は、1m2あたり1g以上の紺青がバインダによって接着固定された不織布であり、水中への紺青の溶出率が5%以下である不織布を用い、セシウムを回収する方法を提案している。水田や池などの水が溜まっている場所を覆うシート、土壌を覆うシート、土壌に埋設するシートとして、または土埃などの粉じん除去用気体フィルタとしてこのようなシートを使用することにより、セシウムを除去することが提案されている。また、例えば、下記特許文献2は、紺青を含む多孔質層と水の透過量よりも水の透過しない量の方が多い低通水層とを有するセシウム吸収材であり、多孔質層として不織布,織物,編物などの繊維シートを、低通水層として各種樹脂フィルムを開示している。そして、このような構成によれば、紺青を含む多孔質層に加えて水が透過しにくい低通水層を備えているため、多孔質層側から浸入した汚染水が多孔質層に留まりやすくなり、多孔質層に存在する紺青との接触時間を長くすることができ、結果として、放射性セシウムを効率的に吸収することができることを開示している。
特開2013−53389号公報 特開2013−134187号公報
上述したように、道路等の汚染面をブラッシングしたり、高圧洗浄機で洗浄したりするような除染方法においては、放射性セシウムを含む洗浄液をそのまま回収するために、廃液中の放射性セシウムの濃度が低く、廃液が大量に発生するという問題があった。一方、紺青を含む不織布を用いて放射性セシウムを回収しようとした場合、土壌中や水中の放射性セシウムは比較的回収されるが、セメントコンクリートやアスファルトコンクリートのような硬い舗装部分の放射性セシウムの回収率が低いという問題があった。
本発明は、セメントコンクリートやアスファルトコンクリートのような硬い材質からなる汚染面からでも、効率的に放射性セシウムを回収できる、放射性セシウム除染方法及び放射性セシウム除染シートを提供することを目的とする。
本発明に係る放射性セシウム除染方法(以下、単に除染方法とも称する)は、不織布とフェロシアン化物及びフェリシアン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種のセシウム捕捉化合物とを含む繊維シートを、放射性セシウムで汚染された汚染面に敷設する工程と、汚染面を酸性溶液で濡らす工程と、を備える。このような除染方法においては、汚染面から内部に酸性溶液が浸透し、放射性セシウムの水中への遊離が促進される。そして、放射性セシウムを含む汚染水が不織布に速やかに吸い上げられ、セシウム捕捉化合物に捕捉される。その結果、汚染面の内部の放射性セシウムを効率よく回収することができる。また、汚染面が、セメントコンクリートやアスファルトコンクリートのような硬い材質から形成されている場合には、その効果が顕著に奏される。
また、汚染面を酸性溶液で濡らす工程の後、少なくとも繊維シートの表面の乾燥を待って、繊維シートの表面を再び水または酸性溶液で濡らす工程を、少なくとも1回繰り返す工程をさらに備える場合には、新たな汚染水を順次吸収するために、放射性セシウムを回収し続けることができる点から好ましい。
酸性溶液としては、例えば、25℃における水への溶解度が1g/100g以上であり、且つ、30℃以上の融点を有する酸性化合物、とくには、クエン酸やリンゴ酸のようなヒドロキシル基含有カルボン酸の水溶液であることが、セメントコンクリートやアスファルトコンクリートのような硬い材質に対する除染効率が特に高い点から好ましい。また、酸性溶液としては、塩酸やリン酸のような無機酸の水溶液であってもよい。
また、不織布は、見掛け密度が0.1〜1.2g/cm3である、繊度2デシテックス以下の極細繊維の緻密な繊維絡合体であることが好ましい。このような場合には、微細な空隙の毛細管現象により、汚染水を速やかに吸水し、面内に拡散させ、放射性セシウムを含まない水分だけを速やかに蒸発させやすくなる。そして、汚染水から水だけを速やかに乾燥させることにより、新たな汚染水を順次吸い上げることができる。その結果、セシウム捕捉化合物は、セシウムの平衡吸着に至るまで、放射性セシウムを捕捉し続けることができる。
また、上述したような緻密な不織布を用いた場合、繊維シートは、0.1mLの水滴をその表面から裏面にまで2秒間以内に浸透させるような透水性を有することが、吸水、面内拡散及び乾燥の速度が速くなる点から好ましい。このような透水性は、例えば、透水性向上剤で処理したり、繊維の表面の少なくとも一部分に、親水性の高いポリビニルアルコール系樹脂のような、25℃における水に対する接触角が75度以下の親水性樹脂皮膜を形成したりすることによって実現できる。
また、不織布は、厚み方向において、表面から厚み10%の表層部分の見かけ密度が残りの厚み部分の見かけ密度の1.2倍以上であることが好ましい。表層の極細繊維がとくに緻密に形成されており、残りの厚み部分が相対的に疎に形成されている場合には、毛細管現象による吸水速度がより速くなるとともに、水分を速やかに不織布内部で拡散させて水分をより速やかに蒸発させる。
本発明に係る放射性セシウム除染シート(以下、単に除染シートとも称する)は、繊維の絡合体である不織布と、フェロシアン化物及びフェリシアン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種のセシウム捕捉化合物と、酸性化合物とを含む。このような除染シートによれば、汚染面に敷設し、水を付与するだけで汚染面が酸性溶液に濡らされる。そして、汚染面の内部に酸性溶液が浸透することにより放射性セシウムの遊離が促進される。そして、汚染水が不織布に吸い上げられてセシウム捕捉化合物に捕捉される。その結果、汚染面の領域に含まれる放射性セシウムを効率よく回収することができる。
セシウム捕捉化合物は、繊維の外側に、130℃の熱水に対する膨潤度が0.3〜300%であるバインダ樹脂で固定されていることが好ましい。このような親水性の樹脂は吸水しやすいために、セシウム捕捉化合物と放射性セシウムを含有する汚染水との接触性を向上させる。
本発明によれば、特に除染しにくい、セメントコンクリートやアスファルトコンクリートのような硬い材質からなる汚染領域から放射性セシウムを効率的に回収することができる。
プルシアンブルーを固着したバインダ樹脂が付着した極細繊維の模式図である。 プルシアンブルーを固着したバインダ樹脂が付着した極細繊維の表面の、4000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例9で得られた除染シートの厚み方向の断面の、80倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
本発明に係る除染シートの一実施形態をその製造方法に沿って詳しく説明する。
本実施形態の除染シートは、繊維の絡合体である不織布と、フェロシアン化物及びフェリシアン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種のセシウム捕捉化合物と、酸性化合物とを含む。はじめに不織布について、その製造方法を例示しながら詳しく説明する。
不織布としては、その繊度、繊維長、目付等は特に限定されず、例えば、極細繊維からなる不織布や、極細繊維より太い繊度の繊維からなる不織布、また、長繊維の不織布や短繊維の不織布等、特に限定なく用いられる。これらの中では、極細繊維の不織布は、繊維密度を緻密にすることができるために、毛細管現象による汚染水の吸水性が高く、また、吸水された汚染水の拡散性及び乾燥性に優れている点から特に好ましい。吸水性、拡散性及び乾燥性に優れている場合、汚染水中の水分が蒸発した後には、新たな汚染水を吸水することができる。そのために、セシウム捕捉化合物がセシウムの捕捉の平衡状態に至るまでは、放射性セシウムを回収し続けることができる。従って、本実施形態においては、その代表例として極細繊維の繊維絡合体である不織布について、詳しく説明する。
極細繊維の繊維絡合体である不織布の製造においては、はじめに、混合紡糸方式や複合紡糸方式などの方法を用いて得られる海島型繊維のような極細繊維発生型繊維を溶融紡糸して、繊維ウェブを製造する。
なお、本実施形態においては、不織布の製造に際して、極細繊維発生型繊維として海島型繊維を用いる場合について詳しく説明するが、海島型繊維以外の極細繊維発生型繊維を用いても、また、極細繊維発生型繊維を用いずに、直接極細繊維を紡糸した繊維を用いて不織布を形成してもよい。なお、海島型繊維以外の極細繊維発生型繊維の具体例としては、紡糸直後に複数の極細繊維が軽く接着されて形成され、機械的操作により解きほぐされることにより複数の極細繊維が形成されるような剥離分割型繊維や、溶融紡糸工程において花弁状に複数の樹脂を交互に集合させてなる花弁型繊維等が挙げられ、極細繊維を形成しうる繊維であれば特に限定されずに用いられる。
海島型繊維の島成分であり、極細繊維を形成するための樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリトリメチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリエステルエラストマー等のポリエステル系樹脂;ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド610,芳香族ポリアミド,ポリアミドエラストマー等のポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂等の繊維形成能を有する繊維が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂から形成された繊維が、溶融紡糸性に優れていることに加えて、耐放射線性にも優れているために放射線による分解を抑制できる点から好ましい。
なお、極細繊維を形成するための樹脂には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、各種添加剤、具体的には、例えば、触媒,着色防止剤,耐熱剤,難燃剤,滑剤,防汚剤,蛍光増白剤,艶消剤,着色剤,光沢改良剤,制電剤,芳香剤,消臭剤,抗菌剤,防ダニ剤,無機微粒子等を必要に応じて配合してもよい。
海島型繊維の海成分は、海島型繊維を極細繊維の繊維束に変換する際に、溶剤により選択的に抽出除去されたり、熱水または分解剤により選択的に分解除去されたりする成分である。海島型繊維の海成分を形成するための樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA),スチレン−エチレン共重合体,スチレン−アクリル共重合体,水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール(PVA)等のポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。これらの中では、極細繊維の表面に、25℃における水に対する接触角が75度以下、さらには70度以下の親水性皮膜を残存させることができるような、PVAやEVA等の親水性の樹脂、とくにはPVAが好ましい。極細繊維化後の繊維表面に親水性が高い親水性皮膜を残存させることにより、得られる除染シートの親水性が向上して吸水性及び拡散性が向上する。
繊維ウェブ形成の方法としては、スパンボンド法などにより紡糸した海島型長繊維をカットすることなく長繊維ウェブにする方法や、メルトブロー法等のように、溶融繊維を気流で延伸しながら吹き飛ばして、短繊維ウェブを形成する方法や、長繊維をカットして短繊維にした後、カード、クロスラッパー、ランダムウェッバーなどを用いて短繊維ウェブを形成する方法等であってもよい。これらの中では、長繊維ウェブが、繊維の嵩高性が抑制されて繊維密度が高くなるために、セシウム捕捉化合物の含有濃度を高めることができ、また、除染シートから繊維が脱落しにくくなる点から好ましい。本製造方法では、代表例として、長繊維を用いる場合について詳しく説明する。
海島型繊維の長繊維ウェブの製造方法としては、例えば、海成分ポリマーと島成分ポリマーとを複合紡糸用口金から押出して海島型繊維を溶融紡糸し、口金から吐出された溶融状態の海島型繊維を冷却装置により冷却した後、エアジェットノズルなどの吸引装置を用いて、目的の繊度となるように1000〜6000m/分の引取速度に相当する速度の高速気流により牽引細化し、移動式ネットなどの捕集面上に堆積させることにより形成される。また、必要に応じて、得られたウェブをプレスすることにより部分的に圧着して形態を安定化させる処理をしてもよい。
このようにして得られたウェブを複数枚重ね、クロスラッパー等を用いてラッピング処理することにより、海島型繊維の繊維ウェブが形成される。
そして、海島型繊維の繊維ウェブを絡合処理することにより、海島型繊維の繊維絡合シートが形成される。具体的には、海島型繊維の繊維ウェブに、その両外側から同時または交互に少なくとも1つ以上のバーブが貫通する条件でニードルパンチ処理を行う。なお、絡合処理方法は、ニードルパンチの代わりに、水流を用いた水流交絡機で絡合する方法等を用いてもよい。このようにして、海島型繊維の繊維絡合シートが形成される。また、海島型繊維の繊維絡合シートは、必要に応じて熱収縮処理が施されてもよい。熱収縮処理することにより、絡合状態がさらに緻密化される。また、熱プレスすることにより、さらに緻密化されてもよい。
なお、ニードルパンチ等の絡合処理においては、例えば、ニードルパンチ処理の初期には、スロートデプスの大きい、多バーブ(バーブ数6から9)の針を上面からは該バーブの半数以上が不織布を貫通するように深く打ち、裏面からは該バーブの半数以下が通過するように浅く打ち、更にニードルパンチ処理の後半には、いずれの面からもバーブが不織布を通過しないように浅打ちすることにより、図3に示すような、その厚み方向の断面において、その表層側からその裏層側まで貫通し、その厚み方向に配向した、互いに離間して存在する複数の極細繊維束を形成することができる。このような厚み方向に配向した極細繊維束は、繊維束を形成する極細繊維間に存在する空隙による毛細管現象により、汚染水をより速やかに吸い上げることに寄与する。
また、ニードルパンチ等の絡合処理においては、両外側からのパンチング条件を調整することにより、一方の面の側を相対的に緻密にし、他方の側の面を相対的に疎にすることもできる。このような繊維絡合体から得られる不織布は、毛細管現象による吸水速度がとくに速くなるとともに、水分を速やかに不織布内部で拡散させて水分を速やかに蒸発させる。
具体的には、得られる極細繊維の不織布の見かけ密度を、厚み方向において、表面から厚み10%の表層部分の見かけ密度が残りの厚み部分の見かけ密度の1.2倍以上、さらには1.2〜5倍、とくには1.5〜2倍であることが好ましい。表層部分の層の極細繊維がとくに緻密に形成されており、残りの厚み部分が相対的に疎に形成されている場合には、毛細管現象により汚染水をとくに速やかに吸水し、速やかに不織布内部に拡散させて蒸発させる。
上述のようにして得られた海島型繊維の繊維絡合シート中に含まれる、海島型繊維を極細繊維化することにより、海島型繊維が極細繊維化され、極細繊維の不織布が形成される。具体的には、例えば、海島型繊維の繊維絡合シートを、島成分を形成する樹脂を溶解及び分解せず、海成分を形成する樹脂のみを選択的に溶解または分解するような溶剤または分解剤で処理する方法が挙げられる。
極細繊維の繊度は2デシテックス以下、さらには1デシテックス以下、とくには0.5デシテックス以下、ことには0.2デシテックス以下であり、0.001デシテックス以上、さらには0.05デシテックス以上であることが好ましい。極細繊維の繊度が高すぎる場合には、繊維が嵩高くなって不織布の見かけ密度が低くなり、セシウム捕捉化合物の高充填性が低下するとともに、吸水性や乾燥性が低下する傾向がある。また、極細繊維の繊度が低すぎる場合には繊維強力が低くなり、除染シートの機械的特性が低下する傾向がある。
このようにして、極細繊維の不織布が得られる。なお、不織布は、熱プレスすることにより、さらに緻密化されていてもよい。
極細繊維の不織布の見かけ密度は0.05〜1.2g/cm3、さらには、0.1〜1.2g/cm3、とくには0.2〜1.0g/cm3であることが好ましい。このように不織布中の極細繊維が緻密である場合には、除染シートの吸水及び乾燥が速くなるとともに、セシウム捕捉化合物の充填密度を高めることができる。その結果、セシウムの回収効率を向上させることができる。見かけ密度が低すぎる場合には、吸水性や乾燥性が低下するとともに、充填密度を高くすることが困難になる傾向がある。一方、見かけ密度が高すぎる場合には、セシウム捕捉化合物を充填するスペースが少なくなる傾向がある。
また、極細繊維の不織布の目付は、例えば、80〜800g/m2、さらには150〜500g/m2程度であることが好ましい。このような目付けの場合には、セシウム捕捉化合物を高濃度で担持させることができる点から好ましい。
次に、不織布に、セシウム捕捉化合物を固着させる方法について説明する。不織布にセシウム捕捉化合物を固着させる方法は、不織布を形成する繊維にセシウム捕捉化合物をバインダ樹脂で固着させる方法や、不織布を形成する繊維の紡糸時の繊維中にセシウム捕捉化合物を含有させる方法が挙げられる。これらの中では、Cs+の吸着効率が充分に高くなる点及び生産性の点から繊維にセシウム捕捉化合物をバインダ樹脂で固着させる方法が好ましい。例えば、不織布の繊維を溶融紡糸する際に繊維中にセシウム捕捉化合物を練り込む方法の場合には、プルシアンブルーのようなセシウム捕捉化合物は熱安定性が低いために熱分解するおそれがある。また、繊維中にセシウム捕捉化合物を練り込んだ場合には、セシウム捕捉化合物の多くは繊維を形成する樹脂中に埋もれてしまうおそれがある。さらに、繊維にセシウム捕捉化合物を多量に練り込む場合、紡糸が困難になる。以下では、繊維にセシウム捕捉化合物をバインダ樹脂で固着させる方法について、代表例として詳しく説明する。
セシウム捕捉化合物としては、セシウムを選択的に結合する、配位子にシアン化物イオンを含む錯体である、フェロシアン化物イオン[Fe(CN)6]4-を含むフェロシアン化物や、フェリシアン化物イオン[Fe(CN)6]3-を含むフェリシアン化物が用いられる。さらに具体的には、例えば、ヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)(Fe4[Fe(CN)6]3,フェロシアン化第二鉄),ヘキサシアノ鉄(III)酸鉄(II)、フェロシアン化鉄アンモニウム(Fe(NH4)[Fe(CN)6]),フェロシアン化鉄カリウム,フェロシアン化銅(Cu2[Fe(CN)6]),フェロシアン化銀,フェロシアン化カドミウム(Cd2Fe(CN)6),フェロシアン化コバルト,フェロシアン化カリウム(K4Fe(CN)6),フェロシアン化鉛(II)(PbFe(CN)6),フェロシアン化マンガン(II)(Mn2Fe(CN)6)等のフェロシアン化物や、フェリシアン化カリウム(K3Fe(CN)6)等のフェリシアン化物等、またはそれらの水和物等が挙げられる。これらは、単独でも、2種以上を組み合わせても、また、粗精製物を用いてもよい。これらの中では、青色顔料として知られる、Fe4[Fe(CN)6]3を含むプルシアンブルー(紺青)が入手が容易である点から好ましい。プルシアンブルーは、通常、水に不溶または難溶の粒子である。プルシアンブルーは通常、粒子であり、その平均粒子径は特に限定されないが、0.01〜10μm、さらには0.01〜1μm、とくには0.02〜0.5μmであることが繊維表面に均一に付着し、脱落しにくい点から好ましい。
バインダ樹脂としては、繊維表面や不織布内部の空隙でセシウム捕捉化合物を固定できる樹脂であれば特に限定なく用いられる。バインダ樹脂の具体例としては、例えば、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリオレフィン、石油樹脂、アスファルト、イソプレン系炭化水素、ブタジエンゴム、塩化ビニルなどの樹脂が挙げられる。
バインダ樹脂は、不織布の通水性を維持するための内部空隙を閉塞させないように存在している。不織布の内部空隙を閉塞させた場合には、吸水性が低下し、その結果、セシウムイオンの回収効率が低下するためである。具体的な形態としては、図1に示すように、バインダ樹脂3は、不織布5の極細繊維1の表面に付着して粒子状に点在していたり、不織布の内部空隙にその内部空隙を閉塞させない程度に凝集体またはスポンジ状に存在していたりするような形態が挙げられる。これらの中では、バインダ樹脂を繊維の表面に付着させて粒子状に点在させることが生産性の観点等から好ましい。バインダ樹脂を不織布の繊維の表面に付着させて粒子状に点在させるためには、例えば、水乳化性ポリウレタンエラストマーや水乳化性アクリル樹脂エラストマー等の水乳化性ポリマーをバインダ樹脂として用いることが特に好ましい。また、水乳化性ポリマーは水を吸収しやすいために、セシウム捕捉化合物とセシウムイオンを含有する汚染水との接触性にも優れている。
水乳化性ポリマーには、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、炭素数3以下のポリアルキレングリコール基等の親水性官能基を有する単量体を共重合単位として含有させることにより、水に対する自己乳化性を付与することができる。そして、このような親水性官能基により汚染水との濡れ性が高まる。
例えば、水乳化性のポリウレタンは、例えば、平均分子量500〜3000の高分子ポリオールと有機ポリイソシアネ−トと、必要に応じて鎖伸長剤とを、所定のモル比で含有し、親水性官能基を有する単量体を含む単量体成分を溶融重合法、塊状重合法、溶液重合法などにより重合させることにより得られる各種のポリウレタン系樹脂が挙げられる。
高分子ポリオールの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリテトラメチレングリコール,ポリ(メチルテトラメチレングリコール),ポリ(メチルペンタン)ジオール等のポリエーテル系ポリオール及びその共重合体;ポリブチレンアジペートジオール,ポリブチレンセバケートジオール,ポリヘキサメチレンアジペートジオール,ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール,ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンセバケート)ジオール,ポリカプロラクトンジオールなどのポリエステル系ポリオール及びその共重合体;ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(ポリヘキシレンカーボネートジオール),ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール,ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオールなどのポリカーボネート系ポリオール及びその共重合体;ポリエステルカーボネートポリオールなどが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、ポリカーボネート系ポリオールが、耐放射線性に優れているために放射線による分解を抑制できる点から好ましい。
なお、高分子ポリオールとしてポリエーテル系ポリオールを含む場合、高分子ポリオール中のポリオキシエチレン(−CH2−CH2−O−)単位の含有割合が、10meq/g以下であることが好ましい。ポリオキシエチレン(−CH2−CH2−O−)は耐放射線性が低いために、ポリオキシエチレン単位の含有割合が高すぎる場合には、除染シートの経時的な安定性が低くなる傾向がある。
有機ポリイソシアネ−トの具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,ノルボルネンジイソシアネート,水添メチレンジイソシアネート等の脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネート(無黄変型ジイソシアネート)や、フェニレンジイソシアネート,2,4−トリレンジイソシアネート,2,6−トリレンジイソシアネート,4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート,キシリレンジイソシアネート等の芳香環ジイソシアネート等が挙げられる。
鎖伸長剤の具体例としては、例えば、ヒドラジン,エチレンジアミン,プロピレンジアミン,ヘキサメチレンジアミン,ノナメチレンジアミン,キシリレンジアミン,イソホロンジアミン,ピペラジンおよびその誘導体、アジピン酸ジヒドラジド,イソフタル酸ジヒドラジド等のジアミン類;ジエチレントリアミン等のトリアミン類;トリエチレンテトラミン等のテトラミン類;エチレングリコール,プロピレングリコール,1,4−ブタンジオール,1,6−ヘキサンジオール,1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン,1,4−シクロヘキサンジオールなどのジオール類;トリメチロールプロパン等のトリオール類;ペンタエリスリトール等のペンタオール類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、ヒドラジン、ピペラジン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミンおよびその誘導体、エチレントリアミンなどのトリアミンの中から2〜4種類を組み合わせて用いること、とくに、ヒドラジン及びその誘導体は酸化防止効果を有するために、除染シートの経時的な安定性が向上する点から好ましい。
また、水乳化性ポリマーは、架橋構造を形成していることが好ましい。一般に、水乳化性ポリマーが親水性官能基を有する場合には、水で膨潤しやすく吸水率が高くなる傾向がある。水に対する膨潤性が高すぎる場合には、経時的に膨潤により樹脂バインダが不織布から脱離しやすくなるおそれがある。このような場合には、水乳化性ポリマーに架橋構造を形成させることにより、吸水率を制御して、水乳化性ポリマーが膨潤しすぎることを抑制することができる。例えば水乳化性ポリウレタンの場合、ポリウレタンを形成するモノマー単位が有する官能基と反応し得る、官能基を分子内に2個以上含有する架橋剤や、ポリイソシアネート系化合物、多官能ブロックイソシアネート系化合物等の自己架橋性の化合物を添加することにより、架橋構造を形成させることができる。
モノマー単位が有する官能基と架橋剤の官能基との組み合わせとしては、カルボキシル基とオキサゾリン基、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とシクロカーボネート基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボニル基とヒドラジン誘導体またはヒドラジド誘導体などが挙げられる。これらの中では、カルボキシル基を有するモノマー単位とオキサゾリン基、カルボジイミド基またはエポキシ基を有する架橋剤と組み合わせ、水酸基またはアミノ基を有するモノマー単位とブロックイソシアネート基を有する架橋剤との組み合わせ、およびカルボニル基を有するモノマー単位とヒドラジン誘導体またはヒドラジド誘導体との組み合わせが、架橋形成が容易である点から好ましい。
親水性のバインダ樹脂は、130℃の熱水に対する膨潤度が0.3〜300%、さらには、1〜100%、とくには5〜50%であることが好ましい。このような親水性のバインダ樹脂は水を吸水しやすいとともに、膨潤による不織布からの脱離を起こしにくいために、セシウム捕捉化合物と汚染水との接触性を充分に維持しながら、使用後の除染シートの保管性を維持することができる。
また、バインダ樹脂は、必要に応じて、浸透剤、消泡剤、滑剤、撥水剤、撥油剤、増粘剤、増量剤、硬化促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、防黴剤、発泡剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子化合物、染料、などを含有してもよい。
不織布の質量に対するバインダ樹脂の割合としては、0.01〜50質量%、さらには0.05〜30質量%、とくには0.5〜20質量%であることが好ましい。バインダ樹脂の割合が高すぎる場合には、不織布中の空隙の割合が少なくなることにより、吸水性が低下するために、不織布内で汚染水が広がりにくくなる傾向がある。また、バインダ樹脂の割合が低すぎる場合には、充分な量のセシウム捕捉化合物を固着できなかったり、セシウム捕捉化合物が脱落しやすくなったりする傾向がある。
また、不織布の質量に対するセシウム捕捉化合物の割合としては、0.00001〜50質量%、さらには0.001〜30質量%、とくには0.01〜20質量%であることが好ましい。セシウム捕捉化合物の割合が低すぎる場合には、セシウムの回収効率が低下し、セシウム捕捉化合物の割合が高すぎる場合には、セシウム捕捉化合物を充分に固着させるためにはバインダ樹脂の割合も高める必要があり、その場合には、不織布中の内部空隙の割合が少なくなって、吸水性が低下する傾向がある。
また、バインダ樹脂の量(A)に対するセシウム捕捉化合物の量(B)の比率(B/A)としては、1/0.01〜1/50、さらには1/0.05〜1/10、とくには1/0.1〜1/10であることが好ましい。B/Aが高すぎる場合には、セシウム捕捉化合物の固着性が不充分になり、使用時や経時的にセシウム捕捉化合物が脱落しやすくなる傾向がある。また、B/Aが低すぎる場合には、セシウムの回収効率が低下したり、充分な量のセシウム捕捉化合物を付与する場合には不織布中の空隙の割合が少なくなり、吸水性が低下する傾向がある。
不織布に、セシウム捕捉化合物を固着したバインダ樹脂を、通水性を維持するための内部空隙を閉塞させないように存在させる方法としては、例えば、セシウム捕捉化合物を分散させたバインダ樹脂エマルジョンを不織布に含浸させた後、バインダ樹脂を凝固させる方法等が挙げられる。不織布に高分子弾性体のバインダ樹脂エマルジョンを含浸する方法としては、例えば、ナイフコーター、バーコーター、又はロールコーターを用いて、または、ディッピングする方法が挙げられる。
なお、セシウム捕捉化合物を固着したバインダ樹脂を不織布の表層に偏在するように付着させた場合には、セシウム捕捉化合物と汚染水との接触性がより優れる。不織布の表層にセシウム捕捉化合物を固着したバインダ樹脂を偏在するように付着させるためには、不織布にセシウム捕捉化合物を分散させたバインダ樹脂エマルジョンを表面から塗布することにより含浸させた後、表面及び裏面から、好ましくは110〜150℃、0.5〜30分間程度加熱することにより、セシウム捕捉化合物を分散させたバインダ樹脂エマルジョンを表面に移行させるマイグレーション処理を行うことが好ましい。
バインダ樹脂が点在している場合、そのバインダ樹脂の平均粒子径としては、100μm以下、さらには50μm以下、とくには、10μm以下、ことには5μm以下であることが好ましい。
このようにして、不織布を形成する繊維の表面に、バインダ樹脂によりセシウム捕捉化合物が固着されてなる除染シートが得られる。
除染シート中のセシウム捕捉化合物の充填密度は、特に限定されないが、例えばプルシアンブルーの場合、0.1〜1000mg/cm3、さらには、0.1〜500mg/cm3、とくには0.5〜250mg/cm3、程度の高充填であることが好ましい。
なお、繊維束状に形成された極細繊維の不織布の場合、サーキュラー染色機中で70℃で30分間リラックスしたり、水流絡合機で処理する、あるいは起毛ブラシやサンドペーパーで起毛するなどの手段によって、繊維束状に形成された極細繊維の拘束を解いてばらばらにすることが好ましい。このような処理の後にバインダ樹脂のエマルジョンを付与すると、海島型繊維を極細繊維化して得られる極細繊維の繊維束の内部にバインダ樹脂が充分に含浸する。その結果、繊維束の内部の極細繊維の表面にもセシウム捕捉化合物を固着したバインダ樹脂が侵入するために、セシウム捕捉化合物の充填密度を高めることができるとともに、バインダ樹脂が繊維束の内部に固定されることにより、不織布から脱離しにくくなる。
また、極細繊維の不織布の場合、汚染水が面内に素早く広がるような吸水性及び乾燥性を有することが好ましい。具体的には、例えば、0.1mLの水滴が表面から裏面にまで2秒間以内、さらには1秒間以内に浸透するような水の浸透性を有する場合には、吸水性が高く、また、汚染水が素早く面内に広がるために乾燥も早くなる。そのために、処理効率が向上する点から好ましい。このような浸透性は、上述したように繊維の表面に親水性の皮膜を形成する方法の他、透水性向上剤で処理する方法によっても調整することができる。
透水性向上剤とは、除染シートに付与することにより水の浸透性を向上させる薬剤であり、使用時に水による脱落の少ないものが好ましく用いられる。具体的には、例えば、陰イオン系、陽イオン系、両性、非イオン系の界面活性剤が挙げられるが、特に陰イオン系活性剤が少量で大きな浸透性を発現する点から好ましい。陰イオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、親水基としてカルボン酸、スルホン酸、あるいはリン酸構造を持つものであり、カルボン酸系としては石鹸の主成分である脂肪酸塩やコール酸塩が、スルホン酸系としては直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩やラウリル硫酸塩、アルキルスルホサクシネート塩などが挙げられる。また、陽イオン系、または両性イオン系界面活性剤も特に限定されず、酸の働きを阻害しないものが好ましく用いられる。一方、非イオン系界面活性剤としては、HLB=3〜12程度のものが好ましく、HLB=5〜9のものがより好ましい。HLB≧13の場合には水に溶解しやすくなる傾向がある。このような透水性向上剤で処理する方法としては、例えば、セシウム捕捉化合物が付与された不織布を、上述したような透水性向上剤の水溶液に含浸し、所定のピックアップ率になるように搾液するようなディップニップ処理を行い、乾燥することにより処理することができる。
なお、上述した製造方法においては、海島型繊維を極細繊維化した後にセシウム捕捉化合物を含むエマルジョンを含浸付与する方法について説明したが、海島型繊維を極細繊維化する前にセシウム捕捉化合物を含むエマルジョンを含浸付与し、その後に極細繊維化してもよい。海島型繊維を極細繊維化する前にセシウム捕捉化合物を含むエマルジョンを含浸付与し、その後に極細繊維化した場合には、不織布を形成する極細繊維の繊維束の間に形成される内部空隙にバインダ樹脂に固定されたセシウム捕捉化合物が閉じ込められたように固定される。
本実施形態の除染シートは、上述した不織布及びセシウム捕捉化合物に、さらに酸性化合物を含む。酸性化合物は、水に溶解して汚染面に浸み込み、汚染面の内部に含まれる放射性セシウムの水中への遊離を促進する。このような酸性化合物は、セメントコンクリートやアスファルトコンクリートのような硬い材質から形成された汚染面の除染に対して、とくに除染効率を顕著に向上させる。
酸性化合物の種類は特に限定されず、水に溶解して酸性を示すものであればとくに限定なく用いられる。その具体例としては、例えば、クエン酸,無水クエン酸,リンゴ酸,酒石酸,乳酸、グリコール酸,L−アスコルビン酸,エリソルビン酸,シキミ酸,ヒドロコハク酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸;シュウ酸,マレイン酸,フマル酸等の多価カルボン酸;ギ酸,酢酸等の有機酸の他、塩酸,硫酸,燐酸,硝酸,ピロリン酸,トリポリ燐酸等の無機酸等が挙げられる。これらの中では、とくに、25℃における水への溶解度が1g/100g以上であり、且つ、30℃以上の融点を有するような常温で固体の酸性化合物、具体的には、無水クエン酸(溶解度59g/100g,融点153℃),クエン酸(溶解度73g/100g,融点153℃)、リンゴ酸(同55.8g/100g,130℃),酒石酸(同21g/100g,150〜200℃),L−乳酸(同87.6g/100g,53℃)等が、除染が困難なセメントコンクリートやアスファルトコンクリートのような硬い材質に対する除染効率が特に優れる点から好ましい。溶解度が低すぎる場合には、水溶液のpHが十分に下がらない傾向があり、また、融点が低すぎる場合には、除染シートの放置時に揮発するため、セシウムの抽出が不十分になる傾向がある。
酸性化合物の量は、酸性化合物の種類や、汚染状態等により適宜調整されるために一概に特定できないが、一例としては、水溶液のモル濃度が0.01〜10 mol/L、さらには、0.05〜5mol/L程度であることが好ましい。また、水溶液の水素イオン濃度としては、pH=0.1〜6、さらにはpH=1〜4程度であることが好ましい。
除染シートに含有される酸性化合物の形態としては、除染処理を行うときに、汚染領域を酸性化合物の水溶液に充分に濡らすことができるような形態であれば特に限定されない。具体的には、例えば、除染シートを形成する不織布を酸性化合物の水溶液にディッピングして所定量の酸性化合物の水溶液を含浸させた後、乾燥させることにより酸性化合物を固体の状態で保持させても、また、除染作業の直前または除染作業中に除染シートを酸性化合物の水溶液で濡らすような方法であってもよい。
次に、上述したような除染シートを用いて、放射性セシウムを含む汚染面を除染する方法の一例について説明する。
本実施形態の除染方法においては、不織布とセシウム捕捉化合物とを含む除染シートを、放射性セシウムで汚染された汚染面に敷設する。そして、汚染面を酸性溶液で濡らす。汚染面を酸性溶液で濡らす方法は、除染シートの敷設前であっても、敷設後であってもよい。また、酸性化合物を含有する除染シートを汚染面に敷設した後、除染シートに水を含浸させて酸性化合物を溶解させることにより汚染面を酸性溶液で濡らしてもよい。
そして、酸性溶液を含む除染シートを、その自重により汚染面に密着させる。この際、酸性溶液の浸透性を向上させるために、必要に応じて、汚染面の表面を軽くブラッシングしてもよい。また、必要に応じて、酸性溶液を含む除染シートを汚染面に押し付けるようにして汚染面に密着させてもよい。酸性溶液を含む除染シートが汚染面に密着することにより、汚染面が酸性溶液で濡れる。そして、酸性溶液は汚染面に浸透する。このとき、汚染面の内部に浸透した酸性溶液はその領域の放射性セシウムを酸性溶液中に遊離させやすくする。そして、表面の水分の蒸発に伴い、放射性セシウムを含む汚染水が除染シートに吸水される。そして、吸水された汚染水中の放射性セシウムはセシウム捕捉化合物に捕捉される。そして、さらに水が蒸発することにより、除染シートはさらに新たな汚染水を吸収する。このようにして、新たな汚染水の吸収を続けることにより、セシウム捕捉化合物は放射性セシウムの捕捉の平衡状態になるまで、放射性セシウムを吸収し続けることができる。このとき、除染シートが乾いたときには、必要に応じて、新たに水または酸性溶液を撒いてもよく、この工程を少なくとも1回繰り返すことが好ましい。その結果、本実施形態の除染シートは、放射性セシウムを高濃度で回収でき、最終的には、汚染水から水を蒸発させた場合には、水を含まない状態で放射性廃棄物として回収することもできる。この場合には、既に水が分離されているために処分に要する容積も少なくて済む。さらに、例えば、透水性コンクリートを除染するような場合には、酸性溶液を留めるために、カルボキシメチルセルロース(CMC)やポリエチレングリコール等のエチレンエチレングリコール系化合物の様な水溶性増粘剤を配合して酸性溶液を増粘させることも好ましい。
なお、上述したような、相対的に見掛け密度の高い表面から厚み10%の部分の表層と、見かけ密度が相対的に低い残りの層を備えるような不織布を含む除染シートを用いる場合には、緻密な表層の側を汚染面に接触させることが好ましい。緻密な表層は吸水性に優れているために、除染シートに汚染水を速やかに吸水させるとともに、速やかに水を蒸発させることができる。その結果、効率的に放射性セシウムを回収することができる。
本実施形態の除染方法及び除染シートは、道路、側溝、縁石、建造物の壁を形成するセメントコンクリートやアスファルトコンクリートのような硬質の材質からなる汚染領域の除染に特に優れた効果を発揮する。具体的には、従来の除染方法のように、強くブラッシングしたり高圧洗浄した後、廃水を回収したりするような手間を必要とせず、汚染面に敷設して、酸性溶液に濡らしておくだけで、不織布による汚染水の吸水及び乾燥により、放置した状態で放射性セシウムを回収することができる。また、汚染水から水を分離して放射性セシウムのみを捕捉することができるために、除染の効率にも優れている。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
〈除染シートの製造〉
水溶性熱可塑性PVA系樹脂(PVA)を海成分に用い、イソフタル酸変性度6モル%のPETを島成分とし、繊維1本あたりの島数が25島で、海成分/島成分が25/75(重量比)となるような溶融複合紡糸用口金を用い、260℃で海島型のフィラメントを口金より吐出した。なお、PVAの25℃における水に対する接触角は59度であった。そして、紡糸速度が3700m/minとなるようにエジェクター圧力を調整し、平均繊度2.1デシテックスの海島型長繊維をネット上に捕集した。そしてネット上に捕集された海島型長繊維を表面温度42℃の金属ロールで軽く押さえることにより表面の毛羽立ちを抑えてネットから剥離し、さらに、表面温度75℃の格子柄の金属ロールとバックロールとの間を通過させて熱プレスすることにより、表面の極細繊維が仮融着した目付31g/m2の長繊維ウェブを得た。
そして、得られた長繊維ウェブをクロスラッピングすることにより8枚重ね、これに、針折れ防止油剤をスプレーした。そして、針先端からバーブまでの距離が3.2mmの6バーブ針を用い、針深度8.3mmで両面から交互に3300パンチ/cm2のパンチ密度でニードルパンチングすることにより、目付320g/m2の絡合された長繊維ウェブを得た。
そして、長繊維ウェブを巻き取りライン速度10m/分で70℃の熱水中に14秒間浸漬することにより熱収縮させた。さらに95℃の熱水中でディップニップ処理を繰り返してPVAの除去率が98%以上になる程度にまでPVAを溶解除去することにより、繊度0.1デシテックスの極細長繊維を25本含む繊維束が3次元的に交絡した極細繊維の不織布が得られた。そして、不織布は、スライス及びバフィング処理することにより見かけ密度が0.62g/cm3で、厚み0.82mmの不織布に調整された。
一方、ポリウレタンエマルジョンに、平均粒子径0.08μmのプルシアンブルー(大日精化(株)製の商品名:MILORIBLUE 905)を、プルシアンブルー/ポリウレタン固形分=1/3の質量比で分散させた。なお、ポリウレタンエマルジョンは、130℃における熱水膨潤率が9質量%であり、ソフトセグメントがポリへキシレンカーボネートジオールとポリメチルペンタンジオールの70:30の混合物からなり、ハードセグメントが主として水添メチレンジイソシアネートからなるポリオキシエチレン単位の含有量が0meq/gの架橋を形成する水乳化性ポリウレタンのエマルジョンであった。
なお、130℃における熱水膨潤率は、厚さ200μmのポリウレタンフィルムを加圧下130℃で60分間熱水処理し、50℃に冷却後、ピンセットで取り出した。そして表面に付着した水をろ紙でふき取り、重量を測定した。浸漬前の重量に対する増加した重量の割合を熱水膨潤率とした。
そして、厚み調整された不織布にプルシアンブルーを分散させたエマルジョンを不織布に対しポリウレタン固形分で6質量%になるように含浸付与し、乾燥した。そして、さらに、ポリウレタン及びプルシアンブルーが含浸付与された不織布を、透水性向上剤(アニオン系界面活性剤、「スパラン33」:一方社油脂工業(株)製)の0.25質量%水溶液(処理材A)にピックアップ率55%になるように含浸して乾燥した。このようにして、極細繊維の不織布とプルシアンブルーを固着したポリウレタンとを含む除染シートを得た。極細繊維は繊維束を形成しており、繊維束の内部にプルシアンブルーを固着して付着するポリウレタンが含浸していた。プルシアンブルーを固着したバインダ樹脂が付着した極細繊維の表面の4000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図2に示す。
〈放射性セシウムの除去率の評価〉
原発事故後の福島県における、表面β線量280カウント/分・cm2を示すコンクリート舗装面(バックグラウンド線量=60カウント/分・cm2)に、濃度1.0mol/Lの無水クエン酸の水溶液(pH=1.6)をその表面が充分に濡れる約4L/m2程度の割合で散布し、軽くデッキブラシで表面をこすり、60秒間放置した。そして、表面が充分に濡れている状態で、約0.12m2の範囲に除染シートを敷設した。このとき、除染シートは自重によりセメントコンクリート舗装面に密着するとともに、予め散布された表面のクエン酸水溶液を速やかに吸収して濡れた状態になった。そして、敷設後、除染シートの表面にもクエン酸水溶液を充分に散布した。そして、除染シートが乾燥したときに適宜クエン酸水溶液を散布するようにして、3週間放置した。そして、除染シートの敷設前、7日目、及び21日目における表面β線量を測定し、初期の表面β線量に対する除去された割合を算出した。なお、表面β線量の測定は、AT1125(ATOMTEX社製)とβ線検出器(プラスチックシンチレータータイプ:ATOMTEX社製)を使用し、厚さ30mmの鉛製の円形コリメーターで測定器を十分にコリメートして測定した。また、現地でのバックグラウンド測定は、厚さ3mmのアクリル板の上にコリメーターを置き、その中に測定器を差し込んで測定した。
〈透水性の評価〉
27℃及び湿度52%の条件で、10×10mmに切り出した除染シートの表面に、0.1mLの水滴を滴下した。そして、水滴が裏面に浸み始めるまでの時間を測定した。
以上の結果を表1にまとめて示す。
[実施例2,3]
実施例1の「放射性セシウムの除去率の評価」において、濃度1.0mol/Lのクエン酸の水溶液の代わりに、濃度1.0mol/Lのリンゴ酸の水溶液((pH=2.8);実施例2)、濃度1.0mol/Lの塩酸の水溶液((pH=0.1);実施例3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、除染シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1の「除染シートの製造」において、透水性向上剤として処理材Aの代わりに、処理材B(ノニオン系界面活性剤、「ニテックスAT」:吉村油化学(株)製)の1.0質量%水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、除染シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1の「除染シートの製造」において、透水性向上剤を付与する工程を省略した以外は、実施例1と同様にして、除染シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1の「除染シートの製造」において、見かけ密度が0.62g/cm3で、厚み0.82mmの不織布を製造する代わりに、ニードルパンチング条件を変更して、見かけ密度が0.2g/cm3で、厚み2.2mmの不織布を製造した以外は、実施例1と同様にして、除染シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例1において、繊度0.1デシテックスの極細長繊維の不織布を製造する代わりに、平均繊度3.5デシテックスのPET長繊維をネット上に捕集し、見かけ密度の0.06g/cm3の不織布を製造した。実施例1の平均繊度0.1デシテックスの極細繊維の不織布に代えて、この不織布を用いた以外は実施例1と同様にして、除染シートを得た。そして、得られた除染シートを実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例1において、繊度0.1デシテックスの極細長繊維の不織布を製造する代わりに、繊度0.8デシテックスの極細長繊維の不織布を製造した。実施例1の平均繊度0.1デシテックスの極細繊維の不織布に代えて、この不織布を用いた以外は実施例1と同様にして、除染シートを得た。そして、得られた除染シートを実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
[実施例9]
130℃における熱水膨潤率が9質量%である水乳化性ポリウレタンのエマルジョン代わりに、130℃の熱水に対する膨潤度が2質量%である溶剤系ポリウレタンに代えた以外は実施例1と同様の工程及び条件により、除染シートを得た。なお、溶剤系ポリウレタンは、ハードセグメントが4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートとエチレングリコールの反応物からなり、ソフトセグメントが主としてポリヘキサメチレンカーボネートジオールからなり、イソシアネート含有割合が、元素分析での窒素の質量%として3.4%の樹脂であった。そして、得られた除染シートを実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
[実施例10]
実施例1におけるニードルパンチにおいて、両面から交互に計3300パンチ/cm2のパンチ密度でニードルパンチングする代わりに、一方の面から
2050パンチ/cm2のパンチ密度、他方の面から1250パンチ/cm2のパンチ密度で交互にニードルパンチし、さらに、極細繊維化後にバインダ樹脂を加え、表面から150℃で2m/分の速度で熱プレス加工後に揉み加工した以外は、実施例1と同様にして除染シートを得た。得られた除染シートの厚み方向の断面の、80倍のSEM写真を図3に示す。得られた除染シートは、厚み方向において、表面から10%の厚み部分の見かけ密度が1.12g/cm3であり、残りの厚み部分の見かけ密度は0.65g/cm3であった。また、その厚み方向の断面において、その表層側からその裏層側まで貫通し、その厚み方向に配向した、互いに離間して存在する複数の極細繊維束が存在していた。
そして、得られた除染シートを実施例1と同様に評価した。なお、吸水拡散性及び乾燥性の評価においては、見掛け密度が高い表面から10%の厚み部分の側の表面に水滴を滴下した。結果を表1に示す。
[比較例1,2]
実施例1、または実施例7において、それぞれ、「放射性セシウムの除去率の評価」において、濃度1.0mol/Lのクエン酸の水溶液の代わりに、クエン酸を含まない純水を用いた以外は、実施例1と同様にして、除染シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例11]
実施例1の「放射性セシウムの除去」において、表面β線量280カウント/分・cm2を示すセメントコンクリート舗装面の除染処理を行う代わりに、表面β線量252カウント/分・cm2を示すアスファルトコンクリート舗装面の除染処理を行った以外は、実施例1と同様にして、除染シートを製造し、評価した。結果を表2に示す。
[実施例12]
実施例11の「放射性セシウムの除去」において、濃度1.0mol/Lのクエン酸の水溶液の代わりに、塩酸とリン酸を含む薬剤(レイクリーナ、サンカイ化成製)を用いた以外は、実施例11と同様に評価した。結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例11において、濃度1.0mol/Lのクエン酸の水溶液の代わりに、クエン酸を含まない純水を用いた以外は同様にして、除染シートを製造し、評価した。結果を表2に示す。
表1を参照すれば、酸性化合物の溶液を用いてセメントコンクリート面を除染処理した本発明に係る実施例1〜10は、酸性化合物の溶液を用いずに除染処理した比較例1または2に比べて、放射性セシウムの除去率が著しく高かった。また、25℃における水への溶解度が1g/100g以上であり、且つ、30℃以上の融点を有する酸性化合物であるクエン酸及びリンゴ酸を用いた実施例1、2は、塩酸水溶液を用いた実施例3に比べて、放射性セシウムの除去率が明らかに高くなっていることがわかる。さらに、透水性向上剤を含有させなかった実施例5に比べて、透水性向上剤を含有させた実施例1,4は、放射性セシウムの除去率が明らかに高くなっていることがわかる。また、不織布の見掛け密度が低い実施例7,8はプルシアンブルーを高充填できず、極細繊維の緻密な不織布を用いた実施例1に比べて、放射性セシウムの除去率が明らかに低かった。また、表2を参照すれば、アスファルトコンクリートの場合にも、酸性化合物の溶液を用いた実施例11,12は、酸性化合物の溶液を用いずに除染処理した比較例3に比べて、放射性セシウムの除去率が著しく高くなっていることがわかる。
1 繊維
2 セシウム捕捉化合物
3 バインダ樹脂
5 不織布
10 除染シート

Claims (18)

  1. 不織布とフェロシアン化物及びフェリシアン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種のセシウム捕捉化合物とを含む繊維シートを、放射性セシウムで汚染された汚染面に敷設する工程と、
    前記汚染面を酸性溶液で濡らす工程と、を備えることを特徴とする放射性セシウム除染方法。
  2. 前記汚染面は、セメントコンクリートまたはアスファルトコンクリートで形成されている請求項1に記載の放射性セシウム除染方法。
  3. 前記汚染面を酸性溶液で濡らす工程の後、
    少なくとも前記繊維シートの表面の乾燥を待って、該繊維シートの表面を再び水または前記酸性溶液で濡らす工程を、少なくとも1回繰り返す工程をさらに備える請求項1または2に記載の放射性セシウム除染方法。
  4. 前記酸性溶液は、ヒドロキシル基含有カルボン酸の水溶液である請求項1〜3の何れか1項に記載の放射性セシウム除染方法。
  5. 前記酸性溶液は無機酸の水溶液である請求項1〜3の何れか1項に記載の放射性セシウム除染方法。
  6. 前記セシウム捕捉化合物は紺青を含む請求項1〜5の何れか1項に記載の放射性セシウム除染方法。
  7. 前記不織布は、見掛け密度が0.1〜1.2g/cmである、繊度2デシテックス以下の極細繊維の絡合体である請求項1〜6の何れか1項に記載の放射性セシウム除染方法。
  8. 前記繊維シートは、0.1mLの水滴をその表面から裏面にまで2秒間以内に浸透させる請求項7に記載の放射性セシウム除染方法。
  9. 前記繊維シートは、透水性向上剤を含有する請求項1〜8の何れか1項に記載の放射性セシウム除染方法。
  10. 前記不織布は、その厚み方向において、表面から厚み10%の表層部分の見かけ密度が残りの厚み部分の見かけ密度の1.2倍以上である請求項1〜9の何れか1項に記載の放射性セシウム除染方法。
  11. 放射性セシウムで汚染された汚染面の放射性セシウムを除去するための除染シートであって、
    放射性セシウムで汚染された汚染面に敷設して用いられ、
    繊維の絡合体である不織布と、フェロシアン化物及びフェリシアン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種のセシウム捕捉化合物と、酸性化合物とを含むことを特徴とする放射性セシウム除染シート。
  12. 前記酸性化合物は、ヒドロキシル基含有カルボン酸である請求項11に記載の放射性セシウム除染シート。
  13. 前記酸性化合物は、無機酸である請求項11に記載の放射性セシウム除染シート。
  14. 前記セシウム捕捉化合物は紺青を含む請求項11〜13の何れか1項に記載の放射性セシウム除染シート。
  15. 前記不織布は、見掛け密度が0.1〜1.2g/cmである、繊度2デシテックス以下の極細繊維の絡合体である請求項11〜14の何れか1項に記載の放射性セシウム除染シート。
  16. 0.1mLの水滴をその表面から裏面にまで2秒間以内に浸透させる請求項11〜15の何れか1項に記載の放射性セシウム除染シート。
  17. 透水性向上剤を含有する請求項11〜16の何れか1項に記載の放射性セシウム除染シート。
  18. 前記繊維の表面の少なくとも一部分に、25℃における水に対する接触角が75度以下の親水性皮膜が形成されている請求項11〜17の何れか1項に記載の放射性セシウム除染シート。
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