JP2019162572A - 汚染除去装置、および、汚染除去方法 - Google Patents

汚染除去装置、および、汚染除去方法 Download PDF

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孝次 根岸
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見幸 新井
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Abstract

【課題】汚染の除去を効率的に実行すること等を可能にする。【解決手段】実施形態の汚染除去装置は、電解水生成部と電解水散布部とを有する。電解水生成部は、陽極を収容する陽極室と、陽極室と陰イオン交換膜により仕切られ電解質水溶液が供給される中間室と、中間室と陽イオン交換膜により仕切られた陰極を収容する陰極室と、陽極と陰極との間に電圧を印加する電源と、を備える。電解水散布部は、セメントを用いて形成された構造物に、陽極室で生成された酸性電解水を散布する。【選択図】図1

Description

本発明は、汚染除去装置、および、汚染除去方法に関する。
セメントを用いて形成された構造物(たとえば、コンクリート、モルタルなどで建造された建造物)の汚染を除去する手法として、物理的手法、および、化学的手法が知られている。
物理的手法では、構造物において汚染された面を物理的に削る処理を行うことで汚染を除去する。物理的手法は、たとえば、ブレードによる切削、砥石による研削、サンドブラストによる研削、ウォータージェットによる研削、レーザー溶融処理後の高圧ガス噴射による研削などである。
これに対して、化学的手法では、構造物において汚染された面について化学的な処理を行うことで汚染を除去する。化学的手法では、たとえば、電解水を用いて、汚染された面を溶解させる。
特開2013−224918号公報 特開2015−178061号公報
上記の化学的手法で用いる電解水は、たとえば、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液のように、無機塩化物が電解質として溶解した電解質水溶液について電解処理を施すことによって作成される。その作成された電解水は、酸性またはアルカリ性であって、汚染の除去で使用された後には、中和や濃縮などの処理が施され、廃棄物として処分される。
上記の電解処理は、たとえば、2室型電解装置を用いて実行される。2室型電解装置は、陽極室と陰極室とが隔壁で区画された電解槽を備えており、たとえば、塩化ナトリウム水溶液を電解質水溶液として陽極室と陰極室とのそれぞれに供給し、電解処理が実行される。このため、2室型電解装置を用いて作成された電解水には、塩化ナトリウムなどの電解質が残存している。その結果、汚染の除去を実行する際には、塩化ナトリウム(NaCl)などの無機塩化物が多量に必要になる場合がある。
また、汚染の除去で生じた廃棄物には、汚染物と共に、塩化ナトリウムなどの電解質を含むことになるので、廃棄物の量が多くなり、廃棄物の処理を効率的に行うことが困難になる場合がある。特に、放射性物質による汚染を除去するために、塩化ナトリウムなどの電解質が存在する電解水を用いた場合には、放射性物質を汚染物として含む廃棄物の量が多くなる。このため、放射性物質を含む廃棄物の処理を効率的に行うことが、更に困難になる。
上記のような事情により、汚染の除去を効率的に実行することが困難になる場合がある。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、汚染の除去を効率的に実行すること等が可能な、汚染除去装置、および、汚染除去方法を提供することである。
実施形態の汚染除去装置は、実施形態の汚染除去装置は、電解水生成部と電解水散布部とを有する。電解水生成部は、陽極を収容する陽極室と、陽極室と陰イオン交換膜により仕切られ電解質水溶液が供給される中間室と、中間室と陽イオン交換膜により仕切られた陰極を収容する陰極室と、陽極と陰極との間に電圧を印加する電源と、を備える。電解水散布部は、セメントを用いて形成された構造物に、陽極室で生成された酸性電解水を散布する。
本発明によれば、汚染の除去を効率的に実行すること等が可能な、汚染除去装置、および、汚染除去方法を提供することができる。
図1は、実施形態に係る汚染除去装置の構成を模式的に示す図である。 図2は、実施形態に係る汚染除去装置において電解水生成部を模式的に示す図である。
[A]汚染除去装置1の構成
実施形態に係る汚染除去装置1の構成について図1を用いて説明する。図1では、汚染除去装置1の一部に関しては、断面を図示している。
本実施形態の汚染除去装置1は、図1に示すように、電解水生成部10と電解水散布部20と電解水回収部30と有しており、構造物80の汚染を除去するために用いられる。
ここでは、構造物80は、モルタルやコンクリートのように、セメントを用いて形成された建造物などである。構造物80は、たとえば、放射性物質が汚染物90として構造物80の表面81に付着していると共に、その汚染物90が構造物80の表面81から内部に浸透した汚染浸透層82を有する。
汚染除去装置1は、構造物80の表面81に付着している汚染物90、および、構造物80の汚染浸透層82を構成する汚染物90を構造物80から除去するために用いられる。
汚染除去装置1を構成する各部の詳細について、順次、説明する。
[A−1]電解水生成部10
電解水生成部10は、電解質水溶液を電解することによって電解水を生成し、その生成した電解水を電解水散布部20に供給するように構成されている。
電解水生成部10の詳細構成について、図2を用いて説明する。
図2に示すように、電解水生成部10は、電解槽11と直流電源13とを備えており、直流電源13を用いて電解槽11において電解質水溶液L11を電解することによって、電解水(酸性電解水L11a,アルカリ性電解水L11b)の生成を行う。
本実施形態では、電解水生成部10が3室型電解装置であって、電解槽11は、陽極室11aと陰極室11bと中間室11cとを備えている。陽極室11aおよび陰極室11bのそれぞれは、水L10(水道水、純水など)が外部から内部に供給される。中間室11cは、無機塩化物が電解質(溶質)として溶解した電解質水溶液L11が外部から内部に供給される。電解質水溶液L11は、無機塩化物として、たとえば、塩化ナトリウムが飽和状態で水に溶解した飽和食塩水である。
電解槽11のうち、陽極室11aは、陽極13aを収容している。陰極室11bは、陰極13bを収容している。中間室11cは、陽極室11aと陰極室11bとの間に位置している。陽極室11aと中間室11cとの間には、陰イオン交換膜12aが介在し、陰極室11bと中間室11cとの間には、陽イオン交換膜12bが介在している。
電解水生成部10において、直流電源13は、陽極13a(アノード)と陰極13b(カソード)とのそれぞれに電気的に接続されている。直流電源13は、陽極13aと陰極13bとの間において電圧を印加して直流電流を流すことによって、中間室11cに供給された電解質水溶液L11について電解処理を行う。
電解水生成部10において電解質水溶液L11の電解を実行する際には、陽極室11aでは、酸化反応が生ずる。具体的には、電解質水溶液L11中の塩素イオン(Cl)が陰イオン交換膜12aを経由して中間室11cから陽極室11aに移動し、その塩素イオン(Cl)の電子が陽極13aへ放出されて、塩素(Cl)が生成される。そして、陽極室11aでは、塩素(Cl)が水(HO)と反応し、塩酸(HCl)および次亜塩素酸(HOCl)が生成される。その結果、陽極室11aにおいて、塩酸(HCl)および次亜塩素酸(HOCl)を含む酸性電解水L11aが得られる。陽極室11aで得られる酸性電解水L11aは、pHが、たとえば、2程度であって、酸化還元電位が1000mV(vs.Ag/AgCl(3.3MKCl))以上である。また、陽極室11aと中間室11cとの間には、陰イオン交換膜12aが介在しているので、電解質水溶液L11の無機塩化物(塩化ナトリウム)が酸性電解水L11aに混入しない。
これに対して、陰極室11bでは、還元反応が生ずる。具体的には、電解質水溶液L11中のナトリウムイオン(Na)が陽イオン交換膜12bを経由して中間室11cから陰極室11bへ移動する。陰極13bでは、水が電子を受け取って分解して水素(H)ガスと水酸化物イオン(OH)が生じ、水酸化物イオン(OH)とナトリウムイオン(Na)との反応で水酸化ナトリウム(NaOH)が生成される。その結果、陰極室11bにおいては、水酸化ナトリウム(NaOH)を含むアルカリ性電解水L11bが得られる。陰極室11bで得られるアルカリ性電解水L11bは、pHが、たとえば、12程度である。また、陰極室11bと中間室11cとの間には、陽イオン交換膜12bが介在しているので、電解質水溶液L11の無機塩化物(塩化ナトリウム)がアルカリ性電解水L11bには混入しない。
[A−2]電解水散布部20
電解水散布部20は、図1に示すように、電解水貯蔵部21とノズル22とを備えており、電解水生成部10で生成された電解水(酸性電解水L11a,アルカリ性電解水L11b)を構造物80に散布するように構成されている。
電解水散布部20において、電解水貯蔵部21は、電解水生成部10で生成された電解水(酸性電解水L11a,アルカリ性電解水L11b)を貯蔵するために設けられている。ここでは、電解水貯蔵部21は、たとえば、酸性電解水L11aを貯蔵する第1貯蔵タンク(図示省略)と、アルカリ性電解水L11bを貯蔵する第2貯蔵タンク(図示省略)とを備えており、電解水生成部10から酸性電解水L11aとアルカリ性電解水L11bとのそれぞれがポンプ(図示省略)を用いて供給され、第1貯蔵タンクと第2貯蔵タンクとのそれぞれに貯蔵される。
電解水散布部20において、ノズル22は、電解水貯蔵部21で貯蔵された電解水(酸性電解水L11a,アルカリ性電解水L11bを噴射するために設けられている。ノズル22は、ポンプP21によって、電解水(酸性電解水L11a,アルカリ性電解水L11b)が電解水貯蔵部21から供給ラインT21を通過して供給される。ここでは、電解水散布部20は、切換弁(図示省略)を備えており、その切換弁を用いて、酸性電解水L11aとアルカリ性電解水L11bとのいずれか一方が電解水貯蔵部21からノズル22に供給される。
[A−3]電解水回収部30
電解水回収部30は、図1に示すように、カバー31と廃液貯蔵部32とを備えており、電解水散布部20が構造物80に散布した電解水(酸性電解水L11a,アルカリ性電解水L11b)を廃液として回収するように構成されている。
電解水回収部30において、カバー31は、構造物80において洗浄が行われる部分を覆うように、構造物80に設置される。カバー31は、内部空間に連通するノズル挿入孔31aが形成されている。カバー31は、ノズル挿入孔31aに電解水散布部20のノズル22が挿入された状態で、ノズル22から電解水(酸性電解水L11a,アルカリ性電解水L11b)が内部に噴射される。
電解水回収部30において、廃液貯蔵部32は、カバー31の内部において構造物80に噴射された電解水(酸性電解水L11a,アルカリ性電解水L11b)がカバー31の排出孔31bから廃液として回収ラインT31を介して流入する。廃液貯蔵部32は、廃液タンク(図示省略)を備えており、その流入した電解水(酸性電解水L11a,アルカリ性電解水L11b)を貯蔵する。
[A−4]その他
汚染除去装置1を構成する各部の動作は、制御装置(図示省略)によって制御される。制御装置は、たとえば、メモリ装置が記憶しているプログラムを用いて演算器が演算処理を行うことで、汚染除去装置1を構成する各部の動作を制御する。ここでは、制御装置は、オペレータが入力した操作指令などが入力信号として入力される。そして、制御装置は、その入力された操作指令などの入力信号に基づいて、汚染除去装置1を構成する各部に制御信号を出力する。これにより、汚染除去装置1が構造物80の汚染を除去する各手順を連続的に実行する。
[B]汚染除去手順(動作)
上記の汚染除去装置1を用いて構造物80の汚染を除去する際の動作(汚染除去方法)に関して、図1を用いて説明する。
[B−1]電解水L11a,L11bの準備
構造物80の汚染を除去する際には、まず、電解水L11a,L11bの準備を行う(電解水生成ステップ)。
ここでは、上述したように、3室型電解装置である電解水生成部10において、電解質水溶液L11について電解処理を実行することで、酸性電解水L11aとアルカリ性電解水L11bとのそれぞれを生成する。
[B−2]酸性電解水L11aの散布(汚染除去)
つぎに、上記のように酸性電解水L11aおよびアルカリ性電解水L11bを準備した後には、酸性電解水L11aを構造物80に散布することで、構造物80の汚染を除去する(電解水散布ステップ)。
構造物80の汚染除去を開始する際には、電解水貯蔵部21に貯蔵された酸性電解水L11aがポンプP21によってノズル22に供給ラインT21を介して供給される。そのノズル22に供給された酸性電解水L11aは、ノズル挿入孔31aにノズル22が挿入されたカバー31の内部において、汚染物90で汚染された構造物80の表面81に散布される。酸性電解水L11aの散布は、たとえば、予め定めた時間が経過するまで実行された後に、停止される。
上記のように構造物80に散布された酸性電解水L11aは、カバー31から廃液として回収ラインT31を介して廃液貯蔵部32に流入して、廃液として貯蔵される。
[B−3]アルカリ性電解水L11bの散布(中和処理)
つぎに、上記のように酸性電解水L11aの散布を実行した後には、アルカリ性電解水L11bを構造物80に散布することで、構造物80について中和処理を行う(電解水散布ステップ)。
構造物80の中和処理を開始する際には、電解水貯蔵部21に貯蔵されたアルカリ性電解水L11bがポンプP21によってノズル22に供給ラインT21を介して供給される。そのノズル22に供給されたアルカリ性電解水L11bは、ノズル挿入孔31aにノズル22が挿入されたカバー31の内部において、汚染物90で汚染された構造物80の表面81に散布される。アルカリ性電解水L11bの散布は、酸性電解水L11aの散布と同様に、たとえば、予め定めた時間が経過するまで実行された後に、停止される。
上記のように構造物80に散布されたアルカリ性電解水L11bは、カバー31から廃液として回収ラインT31を介して廃液貯蔵部32に流入して、廃液として貯蔵される。廃液貯蔵部32では、先の工程で廃液として回収された酸性電解水L11aが貯蔵されているので、その酸性電解水L11aに、本工程で廃液として回収したアルカリ性電解水L11bが混入する。
[C]作用および効果
本実施形態における作用および効果について説明する。
[C−1]電解水生成部10が3室型電解装置であることによる作用および効果
上述したように、本実施形態の電解水生成部10は、3室型電解装置であって、電解槽11が陽極室11aと陰極室11bと中間室11cとを有する。電解水生成部10では、中間室11cに供給された電解質水溶液L11が電解されることによって、陽極室11aにおいて酸性電解水L11aを生成すると共に、陰極室11bにおいてアルカリ性電解水L11bを生成する。陽極室11aと中間室11cとの間には、陰イオン交換膜12aが介在しているので、電解質水溶液L11の無機塩化物(塩化ナトリウム)が酸性電解水L11aに混入していない。同様に、陰極室11bと中間室11cとの間には、陽イオン交換膜12bが介在しているので、電解質水溶液L11の無機塩化物(塩化ナトリウム)がアルカリ性電解水L11bには混入していない。このため、廃液貯蔵部32で回収した酸性電解水L11aの廃液およびアルカリ性電解水L11bの廃液にも無機塩化物が混入していない。
したがって、本実施形態は、電解質水溶液L11に含まれる無機塩化物の使用量を減少可能であると共に、汚染の除去で生ずる廃棄物を効果的に低減可能である。汚染物が放射性物質である場合には、放射性廃棄物の量が少なくなるので特に有益である。その結果、本実施形態では、汚染の除去を効率的に実行可能である。
[C−2]酸性電解水L11aが塩酸(HCl)と次亜塩素酸(HOCl)とを含むことによる作用および効果
本実施形態においては、セメントを用いて形成された構造物80に対して、塩酸(HCl)および次亜塩素酸(HOCl)を含む酸性電解水L11aを汚染除去剤として散布することによって、その構造物80の汚染を除去している。これにより、本実施形態では、構造物80から汚染を効率的に除去することができる。以下より、この理由について具体的に説明する。
構造物80を構成するセメントは、たとえば、普通ポルトランドセメントである。普通ポルトランドセメントの代表的な組成例は、63重量%の酸化カルシウム(CaO)、22重量%の酸化シリコン(SiO)、6重量%の酸化アルミニウム(Al)、2.5重量%の酸化鉄(Fe)、2.6重量%の酸化マグネシウム(MgO)である。つまり、普通ポルトランドセメントの主要な成分は、酸化カルシウム(CaO)である。下記の化学式(A)に示すように、酸化カルシウム(CaO)と水(HO)とが反応した場合、水酸化カルシウム(Ca(OH))が生成される。
CaO+HO→Ca(OH) ・・・(A)
水酸化カルシウム(Ca(OH))は、水に対する溶解度が低い。このため、セメントを用いて形成された構造物80の表面に水を散布したときには、水酸化カルシウム(Ca(OH))が構造物80の表面に析出し、水酸化カルシウム(Ca(OH))の保護膜が構造物80の表面に形成される。その結果、水酸化カルシウム(Ca(OH))の保護膜によって、構造物80の汚染を十分に除去すること困難な場合がある。特に、汚染物90が構造物80の表面81から内部に浸透した汚染浸透層82について除去することは、容易でない。
しかしながら、本実施形態では、塩酸(HCl)を含む酸性電解水L11aを構造物80の表面に散布するので、塩酸(HCl)と酸化カルシウム(CaO)とが反応し、塩化カルシウム(CaCl)が構造物80の表面に生成される。塩化カルシウム(CaCl)は、水に対する溶解度(74500mg/100g水)が極めて高い(水酸化カルシウム:170mg/100g水,グルコン酸カルシウム:3500mg/100g水,クエン酸カルシウム:25.9mg/100g水,シュウ酸カルシウム:0.67mg/100g水)。このため、構造物80の表面は、酸性電解水L11aに溶解可能である。その結果、本実施形態では、構造物80の表面81に付着している汚染物90と共に、汚染物90が構造物80の表面81から内部に浸透した汚染浸透層82についても、構造物80から除去することができる。
また、本実施形態では、酸性電解水L11aが次亜塩素酸(HOCl)を含んでいるため、構造物80に油分などの有機物が汚染物として付着した場合であっても、次亜塩素酸(HOCl)の酸化力によって、その有機物が酸化して分解する。このため、構造物80の表面を酸性電解水L11aで溶解することが有機物で阻害されにくくなるので、構造物80の汚染を更に十分に除去することができる。
[C−3]酸性電解水L11aの散布後にアルカリ性電解水L11bの散布を行うことによる作用および効果
上記のように、セメントで形成された構造物80に酸性電解水L11aを散布したとき、酸性電解水L11aの酸性成分が構造物80に残留する場合がある。この場合、セメントで形成された構造物80は、その残留した酸性成分に起因して、内部に侵食が進行する場合がある。しかしながら、本実施形態では、酸性電解水L11aを構造物80に散布した後に、アルカリ性電解水L11bを構造物80に散布することによって、構造物80について中和処理を行っている。つまり、構造物80においては、酸性電解水L11aによって残留した酸性成分と、アルカリ性電解水L11bのアルカリ性成分との間で中和反応が生ずる。その結果、本実施形態では、構造物80の内部において、侵食が進行することを抑制可能である。
酸性電解水L11aによって残留した酸性成分の除去に関してアルカリ性電解水L11bを用いずに純水を用いた場合には、酸性成分の除去が容易でなく、多量の純水が必要になるが、本実施形態では、少量のアルカリ性電解水L11bで酸性成分の除去を効果的に実行可能である。
これと共に、酸性電解水L11aの散布後にアルカリ性電解水L11bの散布を行った場合には、上述したように、廃液貯蔵部32では、先に廃液として回収した酸性電解水L11aに、後に廃液として回収したアルカリ性電解水L11bが混入する。このため、廃液貯蔵部32では、酸性電解水L11aの酸性成分とアルカリ性電解水L11bのアルカリ性成分との間において中和反応が生ずる。その結果、本実施形態では、廃液の処理を効率的に実行することができる。
[D]変形例
上記の実施形態では、電解質水溶液L11が飽和食塩水である場合について例示したが、海水を電解質水溶液L11として用いてもよい。その他、電解質水溶液L11は、塩化カリウム(KCl)水溶液などのように、塩化ナトリウム(NaCl)以外の無機塩化物が溶解した水溶液であってもよい。
上記の実施形態では、汚染除去対象である構造物80が放射性物質で汚染された場合について例示したが、これに限らない。放射性物質以外の汚染物で汚染された構造物80を汚染除去対象としても、上記実施形態では、同様な効果を奏することができる。
上記の実施形態では、酸性電解水L11aの散布を実行した後に、アルカリ性電解水L11bを構造物80に散布する場合について例示したが、これに限らない。構造物80等の中和処理が不要な場合には、アルカリ性電解水L11bの散布を実行しなくてもよい。
上記の他に、汚染除去装置1において、電解水回収部30を構成する廃液貯蔵部32と、電解水散布部20を構成する電解水貯蔵部21との間を配管(図示省略)を介して連結してもよい。これにより、廃液貯蔵部32で廃液として貯蔵した電解水(酸性電解水L11a、または、アルカリ性電解水L11b)が配管を介して電解水貯蔵部21に送って貯蔵させることができるので、その電解水貯蔵部21で貯蔵した電解水を電解水散布部20で繰り返し使用することができる。ここでは、廃液貯蔵部32と電解水貯蔵部21との間にフィルタ(図示省略)を介在させてもよい。これにより、廃液貯蔵部32で貯蔵された電解水に含まれる異物がフィルタで除去された状態で、電解水貯蔵部21に送ることができる。その他、汚染物として放射性物質を含む場合には、ゼオライトやフェロシアン化合物を吸着剤として含む放射線吸着装置(図示省略)を廃液貯蔵部32と電解水貯蔵部21との間に介在させてもよい。
<その他>
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、上述した実施例以外にも様々な形態で実施することができる。本発明は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、追加、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…汚染除去装置、10…電解水生成部、11…電解槽、11a…陽極室、11b…陰極室、11c…中間室、12a…陰イオン交換膜、12b…陽イオン交換膜、13…直流電源、13a…陽極、13b…陰極、20…電解水散布部、21…電解水貯蔵部、22…ノズル、30…電解水回収部、31…カバー、31a…ノズル挿入孔、31b…排出孔、32…廃液貯蔵部、80…構造物、81…表面、82…汚染浸透層、90…汚染物、L10…水、L11…電解質水溶液、L11a…酸性電解水、L11b…アルカリ性電解水、P21…ポンプ、T21…供給ライン、T31…回収ライン

Claims (5)

  1. 陽極を収容する陽極室と、
    前記陽極室と陰イオン交換膜により仕切られ電解質水溶液が供給される中間室と、
    前記中間室と陽イオン交換膜により仕切られた陰極を収容する陰極室と、
    前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する電源と、を備える電解水生成部と、
    セメントを用いて形成された構造物に前記陽極室で生成された酸性電解水を散布する電解水散布部とを有する汚染除去装置。
  2. 前記電解水散布部は、前記陽極室で生成された酸性電解水を前記構造物に散布した後に、前記陰極室において生成されたアルカリ性電解水を前記構造物に散布する請求項1に記載の汚染除去装置。
  3. 前記電解質水溶液の溶質は、塩化ナトリウムであって、
    前記酸性電解水は、塩酸および次亜塩素酸を含む、
    請求項1または2に記載の汚染除去装置。
  4. 前記電解水散布部が前記構造物に散布した電解水を廃液として回収する電解水回収部
    を有する、
    請求項1から3のいずれかに記載の汚染除去装置。
  5. 陽極を収容する陽極室と、前記陽極室と陰イオン交換膜により仕切られ電解質水溶液が供給される中間室と、前記中間室と陽イオン交換膜により仕切られた陰極を収容する陰極室と、前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する電源と、を備える電解水生成部の前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加し、前記陽極室において酸性電解水を生成すると共に、前記陰極室においてアルカリ性電解水を生成するステップと、
    前記陽極室で生成された酸性電解水をセメントを用いて形成された構造物に散布するステップを備える汚染除去方法。
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