JP2021028592A - 汚染金属の除染方法及び除染装置 - Google Patents

汚染金属の除染方法及び除染装置 Download PDF

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Abstract

【課題】金属母材溶解量を抑制しつつ効率的に除染できる汚染金属の除染方法を提供する。【解決手段】汚染金属の除染方法は、表面が汚染された金属を、次亜塩素酸を含む酸性電解水で除染することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、表面が汚染された金属の除染方法及び除染装置に関する。
核燃料サイクル施設や発電用原子炉の廃止措置、福島第一原子力発電所の廃炉作業等では、表面が汚染された金属廃棄物が発生する。その中でも、特に炭素鋼などの鉄系金属廃棄物の発生量は多く、放射性廃棄物の処分コストを低減するためには、大量の鉄系金属廃棄物を効率的に除染・減容することが求められる。
炭素鋼に適用可能な除染技術としては、これまでに多数の技術が開発されており、主として、化学薬剤で金属表面を溶解する化学的方法、除染対象を陽極として電解し金属表面を溶解する電気化学的方法、ブラスト材で金属表面を物理的に研削・除去する機械的方法などがある(非特許文献1を参照)。
その中でも化学的方法は、薬剤が汚染表面に接触すれば除染できるため、様々な形状の廃棄物に適用可能(すなわち、形状適応性が高い)であると共に、複雑な機構を有する装置等を必要とせずに比較的簡易な装置構成で実施することができるという利点がある。
一般社団法人 日本原子力学会、日本原子力学会標準原子力施設の廃止措置の実施:2014AESJ-SC-A003:20120、15年11月
前述の化学的方法において、腐食・溶解し易い炭素鋼を化学除染液に長時間浸漬すると、非汚染面(汚染面の裏面や切断側面など)の金属母材が多量に溶解し、二次廃棄物源となるという課題がある。この課題を解決するためには、除染速度を速くして、極力短時間で除染する必要がある。しかしながら、除染速度を速めるために高濃度の除染薬剤を用いると、炭素鋼母材の腐食溶解量が多くなるという他の課題を生じる。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、金属母材溶解量を抑制しつつ効率的に除染できる汚染金属の除染方法及び除染装置を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る汚染金属の除染方法は、前記課題を解決するため、表面が汚染された金属を、次亜塩素酸を含む酸性電解水で除染することを特徴とする。
上記のように、次亜塩素酸を含む酸性電解水で金属を除染することにより、金属母材の溶解を最小限に留めつつ、表面の汚染皮膜を迅速に除去することができる。その結果、二次廃棄物の発生量を抑制しつつ汚染金属を効率的に除染することができる。
また、汚染金属の除染方法は、電解質水溶液を中間室に供給し、陰イオン交換膜で前記中間室と仕切られた陽極室の陽極と、陽イオン交換膜で前記中間室と仕切られた陰極室の陰極との間に電圧を印加し、前記陽極室内に生成される前記酸性電解水で前記金属を除染することを特徴としてもよい。
一般的な酸性電解水で汚染金属を除染すると、当該酸性電解水に含まれる無機塩化物も二次廃棄物となるという課題がある。しかしながら、上記の方法で生成した酸性電解水は無機塩化物をほとんど含まないので、二次廃棄物の発生量をさらに抑制することができる。
また、汚染金属の除染方法は、前記陰極室内に生成されるアルカリ性電解水で、除染後の前記酸性電解水を中和或いは除染後の前記金属を洗浄することを特徴としてもよい。
電解質水溶液を電気分解すると、酸性電解水と共にアルカリ性電解水も生成される。そこで、上記のように、アルカリ性電解水を中和処理や洗浄処理に使用することにより、資源を有効活用することができる。
また、汚染金属の除染方法は、除染後の前記酸性電解水を中和して得られる除染廃液を、前記電解質水溶液として前記中間室に供給することを特徴としてもよい。
上記の方法によれば、水資源をさらに有効活用することができる。
また、汚染金属の除染方法は、前記金属を超音波振動させながら前記酸性電解水で除染することを特徴としてもよい。
上記の方法によれば、溶解した汚染皮膜が金属母材から分離するので、酸性電解水を迅速に金属母材の内部に浸透させることができる。その結果、さらに効率的に汚染金属を除染することができる。
また、汚染金属の除染方法は、容器構造の前記金属の内部に前記酸性電解水を供給することによって、当該金属の内部を除染することを特徴としてもよい。
上記の方法によれば、酸性電解水で満たされた除染槽に汚染金属を浸漬する場合と比較して、酸性電解水の量を削減することができる。
また、汚染金属の除染方法は、除染後の前記酸性電解水を中和剤で中和し、重金属吸着用キレート樹脂が充填された通液筒に、中和後の前記酸性電解水である除染廃液を通液することを特徴としてもよい。
上記の方法によれば、除染廃液に含まれる重金属(例えば、ウラン)を、施設外に放出可能な濃度まで下げることができる。なお、酸性度の低い酸性電解水を中和するには、酸性度の高い酸性溶液(例えば、硫酸)と比較して、中和剤の量が少なくて済む。そして、中和剤の量が少ないと、生成される除染廃液量も少なくなる。除染廃液中に所定濃度の重金属が含まれている場合、除染廃液量が少ないほど除染廃液に含まれる重金属の総量も少なくなるので、通液筒に充填する重金属吸着用キレート樹脂も少なくて済む。
また、汚染金属の除染方法は、pH2.6〜2.7の前記酸性電解水で前記金属を除染することを特徴としてもよい。
酸性電解水の酸性度を上記の範囲に設定することにより、除染の効率化と、除染後の酸性電解水の処理薬剤の削減効果とを両立させることができる。
本発明の一形態に係る除染装置は、前記課題を解決するため、表面が汚染された金属を収容する除染槽と、次亜塩素酸を含む酸性電解水を生成して、前記除染槽に供給する電解水生成装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、二次廃棄物の発生量を抑制しつつ汚染金属を効率的に除染することができる。
本発明の実施形態に係る除染システムの概略構成図である。 電解水生成装置の概略構成図である。 各種酸性溶液による炭素鋼母材の溶解試験を行った結果を示す図である。 模擬汚染皮膜の除去率を酸性溶液毎に比較した結果を示す図である。 試験片の母材溶解量に対する皮膜除去重量の比を酸性溶液毎に比較した結果を示す図である。 酸性電解水で炭素鋼を除染した結果を示す図である。 酸性電解水及び硫酸溶液を廃液処理槽及び通液筒で処理する場合の水酸化アンモニウム及び重金属吸着用キレート樹脂の量を比較した図である。
以下、図面を参照して、実施形態に係る除染システム1及び除染システム1を用いた汚染金属の除染方法を説明する。なお、以下に記載する本発明の実施形態は、本発明を具体化する際の一例を示すものであって、本発明の範囲を実施形態の記載の範囲に限定するものではない。従って、本発明は、実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る除染システム1の概略構成図である。図1に示す除染システム1は、除染対象物である金属2を除染するシステムである。金属2は、例えば、炭素鋼などの鉄系金属である。また、金属2は、例えば、放射性物質によって表面が汚染された放射性廃棄物である。そして、除染システム1は、除染槽10と、洗浄槽20と、廃液処理槽30と、スラッジタンク40と、通液筒50と、電解水生成装置60とを主に備える。
除染槽10は、除染対象の金属2と、金属2を超音波振動させる超音波振動子11とを収容する容器である。金属2は、除染槽10の内部において、超音波振動子11に載置される。また、除染槽10には、電解水生成装置60で生成された酸性電解水が供給される。そして、金属2は、酸性電解水に浸漬された状態で、超音波振動子11によって超音波振動されることによって、除染される。さらに、除染槽10は、除染後の酸性電解水を排出する排水口12を備える。
除染とは、金属2の表面を覆う汚染皮膜と、汚染皮膜の下の金属2の表面(以下、「母材表面」と表記する。)とを、酸性電解水によって溶解或いは除去する処理である。このとき、金属2を超音波振動させることによって、溶解していない汚染皮膜が金属2から分離するので、除染が促進される。そして、不溶解の汚染皮膜と、溶解した汚染皮膜および母材とを含む酸性電解水は、排水口12を通じて除染槽10から廃液処理槽30に移送される。
洗浄槽20は、除染後の金属2と、金属2を超音波振動させる超音波振動子21とを収容する容器である。除染槽10で除染された後の金属2は、洗浄槽20の内部において、超音波振動子21に載置される。また、洗浄槽20には、電解水生成装置60で生成されたアルカリ性電解水が供給される。そして、金属2は、アルカリ性電解水に浸漬された状態で、超音波振動子21によって超音波振動されることによって、洗浄される。
洗浄とは、除染後の金属2の表面に残留した汚染皮膜を除去する処理である。このとき、金属2を超音波振動させることによって、表面の残留汚染皮膜が金属2から分離するので、洗浄が促進される。また、除染後に金属2表面に付着、残留した酸性電解水がアルカリ性電解水で中和されるため、金属2表面の腐食を防止する効果もある。なお、洗浄後のアルカリ性電解水は、除染後の酸性電解水と比較して不溶解物の含有量が少ないので、廃液処理槽30による処理の必要性は低い。そのため、洗浄後のアルカリ性電解水は、除染後の酸性電解水と共に廃液処理してもよいし、蒸発減容してもよい。
廃液処理槽30は、排水口12を通じて除染槽10から排出される除染後の酸性電解水と、処理薬剤供給槽31から供給される処理薬剤とを混合する容器である。処理薬剤供給槽31から供給される処理薬剤は、例えば、酸性電解水を中和する中和剤(例えば、水酸化アンモニウム)、特定成分(例えば、フッ素、ウランなど)を沈殿させる沈殿剤、生成した沈殿物を凝集させる凝集剤、特定成分を吸着する吸着材などを含む。
除染後の酸性電解水と処理薬剤とが混合されると、酸性電解水に含まれていた溶解成分が、沈殿物を生成したり吸着材に吸着され、不溶解の汚染皮膜と共に固形物(以下、「スラッジ」と表記する。)となって分離されると共に、酸性電解水が中和されて除染廃液となる。そして、分離したスラッジは、廃液処理槽30の下部に沈殿し、廃液処理槽30の排出口32を通じてスラッジタンク40に排出される。一方、廃液処理槽30の上澄みとなる除染廃液は、廃液処理槽30の排水口33を通じて通液筒50に排出される。
通液筒50は、廃液処理槽30から排出された除染廃液に残留する特定成分を除去する容器である。通液筒50には、粒状の重金属吸着用キレート樹脂51が充填されている。重金属吸着用キレート樹脂51としては、例えば、ユニセレックUR−3100S(H型)を用いることができる。これにより、排水口33から排出された除染廃液が重金属吸着用キレート樹脂51の間を通る過程で、除染廃液に含まれる特定成分が重金属吸着用キレート樹脂51に吸着除去される。そして、特定成分が除去された除染廃液は、排水口52を通じて電解水生成装置60に供給される。
ここで、排水口33から排出される除染廃液には、所定の濃度の特定成分が含まれる。すなわち、排水口33から排出される特定成分の量は、除染廃液の量に比例して増加する。そのため、排水口33から排水される除染廃液が多いほど、通液筒50に充填すべき重金属吸着用キレート樹脂51の量を増やす必要がある。
図2は、電解水生成装置60の概略構成図である。電解水生成装置60は、電解質水溶液を電気分解して、除染槽10に供給する酸性電解水と、洗浄槽20に供給するアルカリ性電解水とを生成する装置である。本実施形態に係る電解水生成装置60は、所謂「2隔壁3室型」の構成を採用している。電解水生成装置60は、電解槽61と、濃度調整装置62と、電源63とを主に備える。
電解槽61は、中間室64と、陽極室65と、陰極室66とを有する容器である。隣接する中間室64及び陽極室65は、陰イオン交換膜67によって仕切られている。また、隣接する中間室64及び陰極室66は、陽イオン交換膜68によって仕切られている。そして、陽極室65には陽極(アノード)69が収容され、陰極室66には陰極(カソード)70が収容されている。
陰イオン交換膜67は、陰イオンの通過を許容し、陽イオンの通過を阻止する膜である。陽イオン交換膜68は、陽イオンの通過を許容し、陰イオンの通過を阻止する膜である。陰イオン交換膜67及び陽イオン交換膜68は周知の製品を採用することができるので、詳細な説明は省略する。
濃度調整装置62は、所定濃度に調整した電解質水溶液を中間室64に供給する。本実施形態に係る濃度調整装置62は、排水口52を通じて通液筒50から供給される除染廃液に無機塩化物(例えば、塩化ナトリウム)を添加して、所定濃度の電解質水溶液(例えば、飽和食塩水)を生成する。一方、陽極室65及び陰極室66には、水(水道水或いは純水)が供給される。
電源63は、陽極室65内に配置された陽極69と、陰極室66内に配置された陰極70との間に直流電圧を印加する。印加される電圧値は、生成する酸性電解水の酸性度(pH)、酸化還元電位、酸性電解水に含まれる次亜塩素酸の濃度を決定する電解条件によって適宜定められる。
中間室64に電解質水溶液が供給され、陽極室65及び陰極室66に水が供給された状態で、陽極69及び陰極70の間に電圧が印加されると、陽極室65内で酸化反応が生じ、陰極室66内で還元反応が生じて、中間室64内の電解質水溶液が電気分解される。
より詳細には、電解質水溶液の塩素イオン(Cl)が陰イオン交換膜67を通過して中間室64から陽極室65に移動し、その塩化物イオン(Cl)の電子が陽極69へ放出されて、塩素(Cl)が生成される。そして、陽極室65では、塩素(Cl)が水(HO)と反応して、塩酸(HCl)及び次亜塩素酸(HOCl)を含む酸性電解水が生成され、供給口71を通じて除染槽10に供給される。
陽極室65で生成される酸性電解水は、例えば、pHが2.6〜2.7の強酸性電解水に分類される。また、酸性電解水は、酸化還元電位が1000mV(vs.Ag/AgCl(3.3M KCl))以上である。さらに、酸性電解水中の次亜塩素酸及び塩酸の濃度は、それぞれ100ppm程度である。一方、中間室64及び陽極室65の間の陰イオン交換膜67は陽イオン(Na)の通過を阻止するので、酸性電解水は、無機塩化物(例えば、塩化ナトリウム)を含まない。
また、電解質溶液中のナトリウムイオン(Na)が陽イオン交換膜68を通過して中間室64から陰極室66へ移動し、陰極70で水が電子を受け取って分解される。これにより、水素(H)ガス及び水酸化物イオン(OH)が生じ、水酸化物イオン(OH)とナトリウムイオン(Na)との反応で水酸化ナトリウム(NaOH)が生成される。
その結果、陰極室66において、水酸化ナトリウム(NaOH)を含むアルカリ性電解水が生成され、供給口72を通じて洗浄槽20に供給される。陰極室66で生成されるアルカリ性電解水は、例えば、pHが12程度である。一方、中間室64及び陰極室66の間の陽イオン交換膜68は陰イオン(Cl)の通過を阻止するので、アルカリ性電解水は、無機塩化物(塩化ナトリウム)を含まない。
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
上記の実施形態のように、除染溶液として次亜塩素酸を含む酸性電解水を使用することにより、金属2を迅速に除染することができる。以下、図3〜図5を参照して、酸性電解水と、その他の酸性溶液(例えば、硫酸溶液、硝酸溶液、塩酸溶液)との除染性能の差を説明する。
図3は、各種酸性溶液による炭素鋼母材の溶解試験を行った結果を示す図である。この試験では、SS400製の板形状の試験片を、酸性電解水、硫酸溶液、硝酸溶液、塩酸溶液に浸漬して超音波振動させ、11分後及び72分後の重量減量(浸漬前の重量−浸漬後の重量)を測定した。なお、塩酸溶液の塩酸濃度は、酸性電解水の塩酸濃度と同一にした。
図3を参照すると、酸性電解水に浸漬した試験片の重量減量が最も大きいことが分かる。また、酸性電解水の重量減量と塩酸溶液の重量減量との差分が、次亜塩素酸による重量減量に相当する。すなわち、炭素鋼の溶解に対する次亜塩素酸の寄与率が大きいことが分かる。このように、酸性電解水は、塩酸溶液や硫酸溶液と比較して、単位時間当たりの母材溶解量が大きいことが確認された。
次に、図4及び図5を参照して、SS400製の板形状の試験片に模擬汚染皮膜を生成して、酸性溶液に浸漬する試験を行った結果を説明する。この試験では、まず試験片に対して、酸性溶液の噴霧及び気中乾燥を繰り返し、表面に模擬汚染皮膜を生成した。模擬汚染皮膜生成処理による試験片の重量増加を模擬汚染皮膜量とした。次に、模擬汚染皮膜が生成された試験片を、酸性電解水、塩酸溶液、硫酸溶液に浸漬して、超音波振動させた。そして、所定時間経過後に洗浄及び乾燥させて重量を測定した。皮膜を有しない試験片(無垢炭素鋼単体)に対しても同様の操作を行い、その結果に基づき各溶液による母材溶解量を評価し、上記模擬汚染皮膜試験片の重量減量から母材溶解量を減じて模擬汚染皮膜の除去量を算出した。なお、塩酸溶液及び硫酸溶液は、酸性電解水と同等のpH2.6前後に調整した。
図4は、模擬汚染皮膜の除去率を酸性溶液毎に比較した結果を示す図である。図4を参照すると、いずれの酸性溶液に浸漬した試験片も、時間の経過と共に皮膜除去率が上昇している。そのなかでも、特に酸性電解水に浸漬した試験片は、浸漬時間が4分で皮膜除去率が100%に達している。すなわち、酸性電解水は、塩酸溶液や硫酸溶液と比較して、短時間で効率的に皮膜を除去できることが確認された。
図5は、試験片の母材溶解量に対する皮膜除去重量の割合を酸性溶液毎に比較した結果を示す図である。図5を参照すると、酸性電解水に浸漬した試験片の母材溶解量に対する皮膜除去重量の割合が最も高いことが確認された。換言すれば、酸性電解水は、模擬汚染皮膜を除去する際の母材の溶解量が少ないことが確認された。すなわち、酸性電解水で除染を行うことにより、二次廃棄物の発生量を削減することができる。
ここで、図3に示すように、無垢炭素鋼単体を酸性溶液に浸漬した場合、酸性電解水の母材溶解量は硫酸溶液及び塩酸溶液と比較して多い。そして、母材の溶解量が多い酸性電解水は、その上に存在する模擬汚染皮膜を効果的に除去することができる。その結果、酸性電解水は、図4及び図5に示すように、短い浸漬時間で模擬汚染皮膜を除去できるので、母材溶解量に対する皮膜除去量の割合が多いと考えらえる。
このように、図3〜図5に示す実験結果によれば、酸性電解水は、母材溶解効果と皮膜溶解除去効果との好適なバランスを有した除染溶液であることが分かる。また、図2に示す電解水生成装置60により得られる電解水は、無機塩化物の含有量が極わずか(100ppm程度)なため、廃液処理槽30で分離される二次廃棄物の量を削減することができる。
図6は、酸性電解水で炭素鋼を除染した結果を示す図である。この実験では、ウランを含む酸化被膜が表面に生成された炭素鋼を酸性電解水に浸漬し、超音波振動させた。図6を参照すると、浸漬時間4分という極短時間で、表面汚染密度が初期の約1/1000にまで低減し、放射線管理区域からの物品持ち出し基準である汚染密度0.4[Bq/cm]を下回ることが確認された。
図7は、同一液量の酸性電解水及び5wt%の硫酸溶液を廃液処理槽30及び通液筒50で処理する場合の中和剤(水酸化アンモニウム)及び重金属吸着用キレート樹脂51の量を比較した図である。より詳細には、中和剤である水酸化アンモニウムは、廃液処理槽30内で酸性溶液を中和するのに必要となる。一方、重金属吸着用キレート樹脂51は、通液筒50内で除染廃液に含まれるウランを吸着するのに必要となる。
pH0前後の硫酸溶液は、pH2.6〜2.7の酸性電解水と比較して、中和に必要な水酸化アンモニウムの量が多い。その結果、硫酸溶液を中和して生成される除染廃液の量は、硫酸溶液と同量の酸性電解水を中和して生成される除染廃液より多くなる。
そして、前述したように、除染廃液には一定濃度のウランが含まれるから、硫酸溶液から生成された除染廃液のウラン含有量は、酸性電解水から生成される除染廃液より多くなる。その結果、硫酸溶液から生成された除染廃液のウラン含有量を、施設外に放出可能な濃度(敷地境界のウラン排水管理目標値:1.1×10−3[Bq/cm])以下にするには、酸性電解水から生成される除染廃液の場合と比較して、多く重金属吸着用キレート樹脂51が必要になる。
図7に示すように、酸性電解水を中和するのに必要な水酸化アンモニウムの量は、硫酸溶液と比較して約1/280となる。また図7に示すように、酸性電解水からウランを除去するのに必要な重金属吸着用キレート樹脂51の使用量は、硫酸溶液と比較して約7/10となる。すなわち、酸性電解水を使用して金属2を除染すれば、二次廃棄物を処理するのに必要な薬剤を少なくすることができる。
また、上記の実施形態によれば、超音波振動子11、21で金属2を超音波振動させながら除染及び洗浄することにより、溶解した汚染皮膜が金属母材から分離する。これにより、金属母材の内部に電解水を迅速に浸透させることができるので、さらに効率的に金属2を除染及び洗浄することができる。但し、超音波振動子11、21は必須の構成要素ではなく、省略することができる。
また、除染効率を向上させる他の方法として、複数のノズルから酸性電解水を金属2に向けて噴射してもよい。これにより、汚染皮膜の溶解をさらに促進することができる。なお、ノズルによる酸性電解水の噴射は、気中で行ってもよいし、液中で行ってもよい。
また、図2に示す電解水生成装置60で生成した酸性電解水及びアルカリ性電解水は、無機塩化物をほとんど含まない。そのため、上記の実施形態によれば、汚染された金属2を除染及び洗浄する際に、電解水に含まれる無機塩化物が二次廃棄物になるのを防止できる。
また、上記の実施形態によれば、通液筒50から排出される除染廃液を、電解質水溶液として電解水生成装置60に供給するので、水資源を有効活用することができる。但し、電解水生成装置60に給される電解質水溶液は、除染廃液に限定されず、水道水や純水に塩化ナトリウムを添加したものであってもよい。
また、上記の実施形態によれば、電解水生成装置60で生成された酸性電解水を金属2の除染に用い、アルカリ性電解水を除染後の金属2の洗浄に用いるので、資源を有効活用することができる。但し、アルカリ性電解水の用途は洗浄に限定されず、除染後の酸性電解水の中和に用いられてもよい。
さらに、上記の実施形態では、酸性電解水で満たされた除染槽10に金属2を浸漬する例を説明した。しかしながら、金属2の除染方法はこれに限定されない。他の例として、容器構造の金属2の内部に酸性電解水を供給することによって、当該金属2の内部を除染してもよい。
同様に、アルカリ性電解水で満たされた洗浄槽20に金属2を浸漬する方法に代えて、容器構造の金属2の内部にアルカリ性電解水を供給することによって、除染後の金属2の内部を洗浄してもよい。これらの方法によれば、除染槽10及び洗浄槽20を電解水で満たす場合と比較して、電解水を節約することができる。
また、上記の実施形態では、鉄系金属である炭素鋼製の金属2を除染する例を説明したが、金属2の具体例はこれに限定されない。他の例として、ステンレス鋼などの炭素鋼以外の鉄系金属や、アルミニウム合金、銅合金、ニッケル合金などの非鉄金属であってもよい。さらに、上記の実施形態では、表面が放射能汚染された金属2を除染する例を説明したが、汚染の種類は放射能に限定されない。他の例として、金属表面に付着した有機物、微生物の除去にも適用可能である。金属表面と皮膜を除去するだけではなく、次亜塩素酸が有する酸化力により、有機物の分解や、殺菌の効果がある。
以上、本発明の実施形態等について説明したが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
1…除染システム、2…金属、10…除染槽、11,21…超音波振動子、12,33,52…排水口、20…洗浄槽、30…廃液処理槽、31…処理薬剤供給槽、32…排出口、40…スラッジタンク、50…通液筒、60…電解水生成装置、61…電解槽、62…濃度調整装置、63…電源、64…中間室、65…陽極室、66…陰極室、67…陰イオン交換膜、68…陽イオン交換膜、69…陽極、70…陰極、71,72…供給口

Claims (9)

  1. 表面が汚染された金属を、次亜塩素酸を含む酸性電解水で除染することを特徴とする汚染金属の除染方法。
  2. 請求項1に記載の汚染金属の除染方法において、
    電解質水溶液を中間室に供給し、
    陰イオン交換膜で前記中間室と仕切られた陽極室の陽極と、陽イオン交換膜で前記中間室と仕切られた陰極室の陰極との間に電圧を印加し、
    前記陽極室内に生成される前記酸性電解水で前記金属を除染することを特徴とする汚染金属の除染方法。
  3. 請求項2に記載の汚染金属の除染方法において、
    前記陰極室内に生成されるアルカリ性電解水で、除染後の前記酸性電解水を中和或いは除染後の前記金属を洗浄することを特徴とする汚染金属の除染方法。
  4. 請求項2または3に記載の汚染金属の除染方法において、
    除染後の前記酸性電解水を中和して得られる除染廃液を、前記電解質水溶液として前記中間室に供給することを特徴とする汚染金属の除染方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の汚染金属の除染方法において、
    前記金属を超音波振動させながら前記酸性電解水で除染することを特徴とする汚染金属の除染方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の汚染金属の除染方法において、
    容器構造の前記金属の内部に前記酸性電解水を供給することによって、当該金属の内部を除染することを特徴とする汚染金属の除染方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の汚染金属の除染方法において、
    除染後の前記酸性電解水を中和剤で中和し、
    重金属吸着用キレート樹脂が充填された通液筒に、中和後の前記酸性電解水である除染廃液を通液することを特徴とする汚染金属の除染方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の汚染金属の除染方法において、
    pH2.6〜2.7の前記酸性電解水で前記金属を除染することを特徴とする汚染金属の除染方法。
  9. 表面が汚染された金属を収容する除染槽と、
    次亜塩素酸を含む酸性電解水を生成して、前記除染槽に供給する電解水生成装置とを備えることを特徴とする除染装置。
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