JP5938168B2 - 汚染土壌の処理システムおよび汚染土壌の処理方法 - Google Patents
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Description
また、簡易な設備でありながら、汚染状況が高濃度、広範囲、高深度である場合においても効果的に土壌処理を行うことができる汚染土壌の処理システムおよび処理方法に関するものである。
また、原位置バイオレメディエーションのような微生物を用いる処理方法や酸化剤を用いる処理方法に比べて、高濃度、広範囲、高深度の汚染土壌にも適用が可能であり、安全に低コストで土壌処理を行うことができる。
本発明の汚染土壌の処理システム1は、電解液製造手段2、電解液供給手段3、汚染物質回収手段4、およびこれらの手段の運転および稼働状況をモニタなどを通じて制御する制御手段(図示せず)を主要な構成要件として構成されている。
電解液製造手段2は、電気分解槽5、電極6、電解質溶液7、電源8を主要な構成要件として構成されている。ここで、電解質溶液7に用いられる電解質および溶媒は、汚染物質の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、電解質については電離することによってナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオンなどに解離する化合物などを用いることができる。また、溶媒については水、アルコール、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルスルホキシド、酢酸などの極性溶媒を用いることができる。
また、電極6についても、白金、金、ニッケル、ステンレス、セラミックなど各種の材質のものを使用することができる。
なお、電解液製造手段2は、印加されている電極6間に電解質溶液7を通過させることによって連続的に電解液9を製造する連続式と言われる方法だけでなく、一旦、電気分解槽5に電解質溶液7を入れた後に電気分解することによって電解液9を製造するバッチ式と言われる方法を用いることもできる。さらに、電解液の混合を防止するための隔膜(図示せず)を設けることもできる。
電解液供給手段3は、配管10、ポンプ11、スプレー12または供給井戸13を主要な構成要件として構成されており、電解液製造手段2によって製造された電解液9を汚染土壌14に供給するものである。
ここで、供給の方法としては、スプレー12によって地表面から電解液9を散布して地中に浸透させる方法でもよいし、汚染土壌14の汚染状況に応じて適当な深さの供給井戸13や供給管(図示せず)などを設けることによって、電解液9を地中に直接供給させる方法でもよい。
また、供給井戸13や供給管の側面は、電解液9を汚染土壌14に供給しやすいように通水性の材質で構成しておくことが好ましい。
汚染物質回収手段4は、回収井戸15や回収管(図示せず)、配管16、ポンプ17、タンク18を主要な構成要件として構成されており、汚染物質を含む電解液19または地下水20を地中からタンク18に回収するものである。
ここで、回収井戸15や回収管の深さは、汚染土壌14の汚染状況に応じて適宜決定されるものであるが、電解液9によって汚染土壌14から遊離した汚染物質を含む電解液19は、その一部が帯水層21にまで流れ込む場合があることから、帯水層21にまで設けることが好ましい。
なお、回収井戸15や回収管の側面は、供給井戸13や供給管と同様に汚染物質を含む電解液19または地下水20を回収しやすいように通水性の材質で構成しておくことが好ましい。
また、本発明の汚染土壌の処理システム1には、汚染物質回収手段4の後に該回収手段によって回収した回収液である、汚染物質を含む電解液19または地下水20から主に油分を分離するための分離手段22を設けることもできる。
ここで分離手段の具体例としては、図2に示すように、回収液23中に分散している油分を粗粒化して浮上させる粗粒化装置24、浮上油を回収するオイルスキマー25、ポンプ26、回収液を貯留することによって油分の分離を促進させるための分離槽27、油分を吸着する吸着フィルター28を備えた吸着槽29などから構成されている。
なお、分離槽27や吸着槽29の槽数や配列については回収液23の状態に応じて適宜設定すればよいが、より確実な分離を行うためには、図2に示すように分離槽27については直列で4槽配置したユニットを1系列、吸着槽29については直列で3槽配置したユニットを3系列設置することが好ましい。
さらに、本発明の汚染土壌の処理システム1には、汚染物質回収手段4の後に回収液23に溶解または分散している油分またはその他の汚染物質をさらに分解するための電気分解手段30を設けることもできる。
電気分解手段30の構造は電解液製造手段2と同じであり、電気分解槽5、電極6、回収液23、電源8を主要な構成要件として構成されている。また、電解液製造手段2と同様に連続式、バッチ式のいずれの方式を用いることができる。
なお、図1では電気分解手段30が分離手段22の後に配置されているが、電気分解手段30と分離手段22との配置の順序については、汚染物質回収手段4の後に配置されれば特に限定されず、電気分解手段30を分離手段22の前に配置してもよく、さらに分離手段22を設けずに電気分解手段30のみを配置することもできる。
具体的には、塩化ナトリウム水溶液を電気分解することで陽極と陰極において以下の反応などを経由することによって得られる、次亜塩素酸(HOCl)やヒドロキシラジカル(OH−)などを含む電解水が用いられる。なお、次亜塩素酸の含有量が多い、すなわち酸性を示すような電解水を用いると配管の腐食などの恐れがあることから、次亜塩素酸を含む電解水の中でも、いわゆる電解次亜水と呼ばれるpHが7.5以上の電解水を用いることが好ましい。
また、電解水を地表から散布したり簡単な供給井戸を掘るだけでよいことから電極を地中に埋設するなど大掛かりな設備も必要とせず、また電解液を再利用することもできることから、低コストで、安全かつ確実に汚染土壌の処理を行うことができる。
また、次亜塩素酸を含む電解水を用いることによって、汚染物質が油分である場合には、汚染土壌の無害化処理および無臭化処理を行うことができる。
さらに、分離手段を設けることによって有価物としての油分を分離することもできる。
導電性セラミックを+極の電極に、チタンを−極の電極に用いて0.5〜0.8%の食塩水を電気分解することによってpH8.5〜9.5の電解液を作製した。
次に、油分によって汚染された土壌に回収井戸を設置した後、上記によって作製した電解液を15〜20t/日のペースで散布し、回収井戸に溜まった汚染水を含む電解水をポンプによって回収することによって汚染土壌の改質を四カ月間行った。そして、その際汚染土壌の5箇所についてボーリングの定点調査を行い、油分と油臭の分布状態を観察した。結果を図3に示す。
2 電解液製造手段
3 電解液供給手段
4 汚染物質回収手段
5 電気分解槽
6 電極
7 電解質溶液
8 電源
9 電解液
10 配管
11 ポンプ
12 スプレー
13 供給井戸
14 汚染土壌
15 回収井戸
16 配管
17 ポンプ
18 タンク
19 汚染物質を含む電解液
20 汚染物質を含む地下水
21 帯水層
22 分離手段
23 回収液
24 粗粒化装置
25 オイルスキマー
26 ポンプ
27 分離槽
28 吸着フィルター
29 吸着槽
30 電気分解手段
Claims (4)
- 電解液製造手段と、
前記電解液製造手段によって製造した、次亜塩素酸を含む電解液を油汚染土壌に供給する電解液供給手段と、
前記電解液によって前記油汚染土壌から遊離または分解した、油分を含む電解液および/または地下水を回収する汚染物質回収手段と、
前記汚染物質回収手段の後に、
前記油分を含む電解液および/または地下水から油分を分離回収する分離回収手段を備え、
前記分離回収手段が、
回収液中に分散している油分を粗粒化して浮上させる粗粒化装置と、
浮上油を回収するオイルスキマーと、
ポンプと、
回収液を貯留することによって油分の分離を促進させるための分離槽と、
油分を吸着する吸着フィルターを設けた吸着槽を備えたものであることを特徴とする汚染土壌の処理システム。
- 前記汚染物質回収手段の後に、
さらに前記油分を含む電解液および/または地下水を電気分解処理する電気分解手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の汚染土壌の処理システム。
- 電解液製造工程と、
前記電解液製造工程によって製造した、次亜塩素酸を含む電解液を油汚染土壌に供給する電解液供給工程と、
前記電解液によって前記油汚染土壌から油分を遊離または分解する汚染物質遊離分解工程と、
前記油汚染土壌から遊離または分解した、油分を含む電解液および/または地下水を回収する汚染物質回収工程と、
前記汚染物質回収工程の後工程に、
前記油分を含む電解液および/または地下水から油分を分離回収する分離回収工程を備え、
前記分離回収工程が、
回収液中に分散している油分を粗粒化して浮上させる粗粒化装置と、
浮上油を回収するオイルスキマーと、
ポンプと、
回収液を貯留することによって油分の分離を促進させるための分離槽と、
油分を吸着する吸着フィルターを設けた吸着槽を備えたものであることを特徴とする汚染土壌の処理方法。
- 前記汚染物質回収工程の後工程に、
さらに前記油分を含む電解液および/または地下水を電気分解処理する電気分解工程を備えることを特徴とする請求項3に記載の汚染土壌の処理方法。
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