JP6334894B2 - 柑橘類果実の浸漬酒 - Google Patents

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Description

本発明は、柑橘類の果実をアルコールに浸漬して得られる浸漬酒に関する。
多様化する消費者の嗜好を満足させるために、近年様々な種類の飲料が開発されている。中でも、柑橘類果実の風味を有する飲料は、特に人気が高い。適度な甘酸味と、柑橘類果実特有の爽やかな芳香とがあいまって、特有の爽快感を奏するためと思われる。飲料にそのような柑橘類果実の風味を付与するものとして、柑橘類果実様の香気成分(香料)の開発が行われている(特許文献1〜3)。
特開2008−308456号公報 特開2009−82048号公報 特開2009−203438号公報
柑橘類果実の芳香を呈する香気成分は種々知られているものの、これらを飲料中に単にいくつか添加すれば柑橘類果実の香味を有する好ましい飲料を製造できるというものではい。香気成分のそれぞれには特徴があり、この無数の香気成分をいかに組み合わせたときに所望の香気が得られるのかについては、容易に見出せるものではない。また、柑橘類果実の果汁そのものを酒等の飲料に添加しても、必ずしも柑橘類果実らしい好ましい香味が得られるものではない。本発明は、柑橘類果実の爽やかな香気に着目し、特に、他の飲料と混和したときに飲料に柑橘類果実の爽やかな香気を付与することのできる浸漬酒を提供することを目的とする。特に本発明は、爽やかな柑橘の香りに加え、穏やかで甘いフローラルな香りも有し、酸味があるが刺激が強すぎることはなく口当たりがよく、飲んだ後に口内にすっきりとした感じを与えるような浸漬酒を提供する。
本発明者は、鋭意検討した結果、柑橘類果実をアルコールに浸漬して得られる酒であって、酢酸ゲラニルの濃度が2.5ppm以上であり、酢酸ゲラニルのシトラールに対する重量比(酢酸ゲラニル/シトラール)が0.1〜11であり、また、リンゴ酸のクエン酸に対する重量比(リンゴ酸/クエン酸)が0.5〜10であるものが、他の飲料と混和した際に、飲料に爽やかな柑橘の香りと甘いフローラルな香りとを付与し、また、飲用後に口内にすっきり感を付与するという所望の香味を達成することを見出した。本発明は、これらに限定されないが、以下を含む。
1.柑橘類果実をアルコールに浸漬して得られる浸漬酒であって、
酢酸ゲラニルの濃度が2.5ppm以上であり、
酢酸ゲラニルのシトラールに対する重量比(酢酸ゲラニル/シトラール)が0.1〜11であり、
リンゴ酸のクエン酸に対する重量比(リンゴ酸/クエン酸)が0.5〜10である、浸漬酒。
2.アルコール度数が40v/v%以上である、上記1に記載の浸漬酒。
3.Brix値が15%以上である、上記1または2に記載の浸漬酒。
4.柑橘類果実がキンカンである、上記1〜3のいずれか1つに記載の浸漬酒。
5.ナリンギンの濃度が1.0〜100ppmである、上記1〜4のいずれか1つに記載の浸漬酒。
6.シトラールの濃度が0.3〜40ppmである、上記1〜5のいずれか1つに記載の浸漬酒。
7.上記1〜6のいずれか1つに記載の浸漬酒を、0.1〜50v/v%混合してなる、飲料。
8.柑橘類果実を、アルコール中に浸漬する工程、及び
一定期間浸漬した後に、不溶性固形分を取り除く工程、
を含む、上記1〜6のいずれか1つに記載の浸漬酒の製造方法。
9.柑橘類果実を、アルコールに浸漬する工程、
一定期間浸漬した後に、不溶性固形分を取り除いて、上記1〜6のいずれか1つに記載の浸漬酒を得る工程、
得られた浸漬酒を、他の飲料と混合する工程、
を含む、飲料の製造方法。
本発明によれば、爽やかな柑橘の香りに加え、穏やかで甘いフローラルな香りも有し、酸味があるが刺激が強すぎず口当たりがよく、飲んだ後に口内にすっきりとした感じを付与するような浸漬酒を提供することができる。本発明の浸漬酒は、特に、他の飲料と混和したときに、飲料に柑橘類果実の爽やかな風味を付与するためのブレンド用の酒(原料酒)として最適に使用することができる。また、本発明の浸漬酒は、貯蔵時に劣化しにくい傾向がある。
本発明の浸漬酒は、柑橘類果実をアルコールに浸漬することにより製造される。なお、本願明細書において、特に断りがない限り、アルコールとはエチルアルコール(エタノール)のことをいう。
<浸漬酒の香気成分及び呈味成分>
本発明の浸漬酒は、酢酸ゲラニルを2.5ppm以上の濃度で含み、酢酸ゲラニルのシトラールに対する重量比(酢酸ゲラニル/シトラール)が0.1〜11であるという特徴を有する。酢酸ゲラニルは、モノテルペンに分類される天然の有機化合物であり、甘いバラ様の香りを有する香気成分である。本発明の浸漬酒は、酢酸ゲラニルを2.5ppm以上の量で含む。シトラールは、モノテルペンに分類される天然の有機化合物であり、シス体とトランス体の両方を含む。シトラールはレモン様の強い香りを有する。本発明の浸漬酒では、酢酸ゲラニルのシトラールに対する重量比(酢酸ゲラニル/シトラール)が、0.1〜11である。酢酸ゲラニルとシトラールの重量比がこの範囲内にあることにより、柑橘の酸っぱいような香りが強くなりすぎずに、柑橘の爽やかな香りと甘いフローラルな香りとの良好なバランスが得られる。また、貯蔵時に柑橘の香りの劣化が感じられにくくなる。浸漬酒中のシトラールの濃度は、限定されないが、0.3〜40ppm程度である。
本発明の浸漬酒中の上記香気成分の含有量は、ガスクロマトグラフィー(GC)により測定することができる。
本発明の浸漬酒は、さらに、リンゴ酸のクエン酸に対する重量比(リンゴ酸/クエン酸)が、0.5〜10であるという特徴を有する。リンゴ酸とクエン酸との重量比がこの範囲内にあることにより、酸味の厚みが感じられるが、酸味の刺激が強くなりすぎず、ほどよい飲み口の飲料を得ることができる。リンゴ酸のクエン酸に対する重量比は、好ましくは1〜8である。また、リンゴ酸の浸漬酒中の濃度は、0.6g/L以上であることが好ましい。
また、本発明の浸漬酒は、好ましくは、ナリンギンの濃度が1.0〜100ppm、さらに好ましくは2〜10ppmである。ナリンギンは、柑橘類果実の果皮付近に多く含まれる柑橘類果実の苦味や刺激感の元となる成分である。ナリンギンの濃度が高すぎると、苦味が強くなり飲料としての後味が悪くなる。一方、ナリンギンの濃度が低すぎると、柑橘類果実のすっきりとした後味が感じられにくくなる傾向がある。
本発明の浸漬酒中のリンゴ酸、クエン酸、及びナリンギンといった呈味成分の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定することができる。
本発明の浸漬酒は、上記の香気成分と呈味成分(あわせて香味成分ということもある)を、上記の通り特定の量及び重量比で含む。そのような香味成分の量及び重量比を達成するために、浸漬酒中に各種香味成分を添加するなどして、所定の量及び重量比に調整してもよい。しかしながら、より自然な柑橘類果実の風味を得るためには、柑橘類果実をアルコールに浸漬する条件を変更することにより、柑橘類果実から抽出される各種香味成分の量及び重量比が上記の所定の範囲となるようにすることがより好ましいと言える。
<柑橘類果実のアルコールへの浸漬>
本発明の浸漬酒は、柑橘類果実をアルコールに浸漬することにより得られる。柑橘類果実としては、例えば、バレンシアオレンジ、ネーブルオレンジなどのオレンジ類、グレープフルーツなどのグレープフルーツ類、レモン、ライム、シークヮーサー、ダイダイ、ユズ、カボス、スダチ、シトロン、ブッシュカンなどの香酸柑橘類、ナツミカン、ハッサク、ヒュウガナツ、スウィーティー、デコポンなどの雑柑類、イヨカン、タンカンなどのタンゴール類、セミノールなどのタンゼロ類、ブンタンなどのブンタン類、マンダリンオレンジ、ウンシュウミカン、ポンカン、紀州ミカンなどのミカン類、キンカンなどのキンカン類が挙げられる。中でも、キンカン(Kumquat)の果実をアルコールに浸漬する柑橘類果実として用いた場合に、上記の所望の香味成分のバランスが得られやすいことを見出した。したがって、キンカンは本発明に用いるのに最も適した柑橘類果実といえる。
キンカン(金柑、クムカット、Kumquat、又はCumquat)は、ミカン科ミカン亜科真正カンキツ類のキンカン属(Fortunella)に属する。細長い楕円形の果実をつける品種(ナガミキンカン)、及び丸い形の果実をつける品種(マルミキンカン)などの複数の品種があるが、本発明ではいずれも用いることができる。キンカンは、皮が軟かい、アルベド部分(柑橘類の果皮の内側にある海綿状または繊維状の白い部分)が少ないため苦味が少ない、香りが豊か、レモンとオレンジの間のような甘酸バランスといった特徴を有し、皮のまま食することも可能である。キンカンのこうした特徴により、酸っぱすぎたり苦すぎたりせず、柑橘類果実に特有の爽やかな香気と良好なバランスの甘酸味とを引き出すことができると思われる。
柑橘類果実をアルコールに浸漬する際には、果実の全体を浸漬してもよいし、また、果実を適当な大きさに切り分けてから浸漬してもよい。本発明では、キンカンの全果をそのままアルコールに浸漬することが、香味バランスや操作の簡便さの点から好ましい。
柑橘類果実を浸漬するアルコールの種類は、通常の酒類として飲用されるものであれば特に限定されない。ウイスキー、ウォッカ、ラム、焼酎、スピリッツ類などの蒸留酒、日本酒、ワイン、ビールなどの醸造酒、リキュールなどの混成酒などを使用することができる。本発明の浸漬酒を、様々な飲料に配合するためのブレンド材料(原料酒)として用いる場合には、香味がそれほど強くない酒類を果実浸漬用アルコールとして用いることが好ましく、アルコール含有物を連続式蒸留機で蒸留して得られる連続式蒸留スピリッツや連続式蒸留アルコールをより好ましく使用することができる。このような連続式蒸留スピリッツ及び連続式蒸留アルコールとしては、具体的には、日本の酒税法で規定されるウォッカなどの香りの少ないスピリッツ類、ニュートラルスピリッツやグレーンスピリッツなどの原料用アルコール、及び連続式蒸留焼酎(いわゆる甲類焼酎)などを挙げることができる。求める浸漬酒の品質や目的に応じて、単一種類のアルコールを用いても、浸漬酒の香味特徴を変化させる目的で複数種類のアルコールを用いてもよい。
柑橘類の果実を浸漬するアルコールのアルコール度数は、40v/v%以上が好ましい。40v/v%を下回ると、所望の香気成分が十分に抽出できない場合がある。アルコール度数は、より好ましくは45v/v%以上、さらに好ましくは50v/v%以上である。アルコール度数の上限は特に限定されないが、蒸留によって得られるアルコールのアルコール度数は一般に96v/v%以下であること、純粋なエチルアルコールを使用すると香味が不十分となる可能性があることから、96v/v%以下であることが好ましい。
なお、本発明におけるアルコール度数は、国税庁所定分析法(平成19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)に記載の方法によって測定することができる。具体的には、対象のアルコール液を蒸留し、得られた留液の15℃における密度を振動式密度計で測定し、前記国税庁所定分析法の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。
浸漬に供する柑橘類果実と浸漬するアルコールとの割合は、求める品質によって調整可能であるが、アルコール1Lに対して果実50〜2000gであることが好ましく、アルコール1Lに対して果実100〜1000gであると爽やかな柑橘の香気がより顕著に感じられるようになるためより好ましく、アルコール1Lに対して果実200〜500gであると香味バランスがよくなるため好ましい。
果実の浸漬開始時に糖類を添加することが好ましい。味覚を向上させるだけでなく、浸透圧によって抽出効率を高め、本発明の所望の香味バランスが達成しやすくなる。浸漬酒中の糖類の量は、好ましくは、Brix値として15%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上である。糖類の種類としては特に限定されず、果糖やブドウ糖といった単糖類や、砂糖の主成分であるショ糖のような二糖類、また、ハチミツなどが挙げられる。
本発明の浸漬酒の製造においては、柑橘類の果実をアルコールに一定期間浸漬した状態を保持することによって柑橘類果実の香味成分をアルコール中に抽出する。浸漬期間は、果実とアルコールとの量比や、求める品質によって調整可能である。例えば、本発明の所定の香味成分のいずれかの量をモニターすることにより、浸漬期間を管理することができる。浸漬期間としては、果実とアルコールとの量比にもよるが、20日以上が好ましく、40日以上がより好ましく、60日以上がさらに好ましい。一方、浸漬期間が過度に長期にわたると、抽出される香味成分のバランスが崩れたり、また、加熱劣化等の化学反応によって好ましくない成分の生成等が起こり浸漬酒の品質が低下する恐れがある。従って、浸漬期間の上限は、12ヶ月以下が好ましく、8ヶ月以下がより好ましく、6ヶ月以下が更に好ましい。本発明では特に、柑橘類果実としてのキンカンと、Brix値として15%以上の糖類とを、アルコール度数40v/v%以上のアルコールに20日以上浸漬すると、本発明の所望の香味成分のバランスが達成されやすいので、好ましい。さらに好ましくは、キンカンと、Brix値として30%以上の糖類とを、アルコール度数50v/v%以上のアルコールに60日以上浸漬する。
浸漬の際の温度は、温度が低いと抽出効率が悪くなり、また温度が高いと抽出効率は上がるものの、酸化やメイラード反応等が進行して品質が悪化するおそれがあるので、5〜40℃程度が好ましく、10〜35℃がより好ましく、15〜30℃が更に好ましい。
浸漬の際には、公知の容器を用いればよい。例えば、ステンレスやホーローのタンク等の容器を用いて浸漬を行えばよい。
一定期間の浸漬の後、果実を取り除き、また、不溶性固形分を除去する。不溶性固形分の除去手段は、不溶性固形分の生成度合に応じて適切な手段を選択すればよい。例えば、不溶性固形分の生成量が軽微であればオリ引きなどの手段で除去することができ、生成量が多ければ、固液分離手段を用いて不溶性固形分を除去することができる。固液分離手段としては、具体的には、遠心分離、膜濾過、珪藻土濾過、濾紙濾過など通常の分離手段を実施することができる。作業効率を向上させるために、複数の固液分離手段を組み合わせて実施してもよい。
<浸漬酒>
本発明の浸漬酒は、そのまま飲用してもよいし、水、炭酸水、氷などを加えて飲用してもよい。
また、本発明の浸漬酒は、他の飲料や酒類に配合するブレンド材料として最適に用いることができる。本発明の浸漬酒をブレンド材料として用いると、爽やかな柑橘の香りと穏やかで甘いフローラルな香りとを飲料や酒類に付与することができる。
本発明の浸漬酒と混和される他の飲料または酒類としては、果汁や果汁入り飲料、野菜飲料、茶系飲料、炭酸飲料、または各種のアルコール飲料などが挙げられる。特に、アルコール飲料(すなわち、酒類)は好ましい。アルコール飲料(酒類)の種類は、通常飲用されるものであれば特に限定されない。例えば、日本酒やワインといった醸造酒や、ブランデー、ウイスキー、ラム、焼酎のような蒸留酒、またはこれらを希釈したもの、あるいは、カクテルやチューハイのような一般的なアルコール飲料に本発明の浸漬酒を混和することができ、それにより、これらの飲料に対して、柑橘類果実の爽やかな風味と、好ましい甘いフローラルな香りとを付与し、また、飲んだ後に口内がすっきりとするような感じを与えることができる。特に、本発明の浸漬酒は、ワインやブランデーのような果実由来の酒と相性がよい。
浸漬酒と、他の飲料または酒類とのブレンド比は、ブレンド後の飲料に対して、浸漬酒が0.1〜50v/v%が好ましく、0.5〜30v/v%がより好ましい。浸漬酒が、0.1v/v%より少ないと、飲料において浸漬酒による爽やかな香味が感じられにくく、50v/v%より多いと、香気は強いが、飲料としてのバランスが悪くなる傾向がある。
浸漬酒と他の飲料または酒類とをブレンドして得たアルコール飲料には、通常の飲料と同様、糖分、酸味料、各種添加剤等を配合してもよい。各種添加剤としては、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。
また、飲料に水またはアルコールを添加して、アルコール度数を調整してもよい。本発明の飲料(浸漬酒をブレンドしたもの)のアルコール度数は特に限定されないが、1〜40v/v%程度が好ましい。
本発明の浸漬酒は、柑橘類果実に特有の爽やかな酸味を有しているが、酸味が強すぎず、他の飲料と混和した際に、口当たりがよいという特徴を有する。本発明の浸漬酒は、例えば、複数の酒類や香料を混合して新規な香味特徴を有するアルコール飲料を製造する際に、アルコール飲料に酸味を付与するための材料として良好に使用することができる。
以下に実施例に基づいて本発明の説明をするが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
フランス産のナガミキンカン200kg(全果)を、砂糖(液糖)とアルコールとの混合物に40日間浸漬した。アルコールとしてはニュートラルスピリッツ96%を用い、浸漬終了時のアルコール度数が60v/v%、Brix値が15%となるように、アルコール度数および砂糖の量を水で調整した。全体の液量は600Lとした。浸漬終了後、孔径50μmのポリプロピレン製フィルターを通過させて固形分を除去した。得られた浸漬酒について、香気成分(酢酸ゲラニル及びシトラール)ならびに呈味成分(クエン酸、リンゴ酸、ナリンギン)の濃度を測定した。また、浸漬酒をそのまま飲用し、香りと酸味についての官能評価を行った。さらに、浸漬酒を50℃で6日間保管し、劣化臭について官能評価を行った。また、浸漬酒としての総合評価を行った。評価方法は、以下の通りである。
<香気成分の測定方法>
ガスクロマトグラフィーを用いて、浸漬酒中の酢酸ゲラニル及びシトラール、の濃度を測定した。ガスクロマトグラフィーの条件は以下の通りである。
・カラム:Ultra2[5%フェニルメチルシロキサン、50m×0.32mmI.D.×0.52μm膜厚](モデルNo.:Agilent 19091B−115)
・オーブン:開始温度40℃で325℃まで昇温
・検出器:FID検出器。
<呈味成分の測定方法>
高速液体クロマトグラフィー(Agilent社製UHPLC、Infinity 1290、Kinetex C18カラム、水−メタノールグラジエント)を用いて、クエン酸、リンゴ酸、及びナリンギンの濃度を測定した。
<官能評価>
香りについて、以下の基準で官能評価を行った:
○:爽やかな柑橘の香りと穏やかで甘いフローラルな香りが感じられる。
△:爽やかな柑橘の香りと穏やかで甘いフローラルな香りが弱く感じられる。
×:爽やかな柑橘の香りと穏やかで甘いフローラルな香りが感じられない。
50℃で6日間保管した後の香りの劣化具合について、以下の基準で官能評価を行った。
○:劣化臭があまり感じられない。
×:劣化臭が感じられる。
酸味について、以下の基準で官能評価を行った。
○:酸味の厚みが感じられる。
△:酸味の厚みがあまり感じられない。
×:酸味が単調で厚みに欠ける。
以下の基準で総合評価を行った。
○:香りと酸味が好ましく、また、香りの劣化もあまり感じられず、優れている。
△:香りまたは酸味がやや乏しいが、浸漬酒として許容可能である。
×:香りに乏しく、浸漬酒として適さない。
(実施例2〜10、比較例1〜9)
以下の表1に示される通りに条件を変えた以外は、実施例1と同様にした。表1中の糖における単糖(実施例3及び7、比較例1)としては、果糖ブドウ糖液糖を用いた。比較例8は、キンカン(全果)を絞った果汁をアルコール度数50v/v%のアルコールと混合したものである。表1中の果実における「分割」(比較例9及び11)は、果実の全果を適当な大きさに切ったものを用いた。「果皮」(比較例10)は、レモンピールを用いた。比較例11の果実における「GF」は、グレープフルーツである。結果を表1に示す。
表1の結果から、本発明の浸漬酒は、爽やかな柑橘の香りと、穏やかで甘いフローラルな香りとを有し、酸味の厚みが感じられ、また、保管後の香りの劣化が少なく、浸漬酒として優れていることがわかる。また、比較例8の結果から、単に柑橘系果実の果汁とアルコールとを混合するのみでは、所望の浸漬酒が得られないことがわかる。
(実施例11)
実施例5の浸漬酒を以下の表2に示す各種飲料と混和して、混和後の飲料の官能評価を行った。浸漬酒の各種飲料への配合量は1v/v%である。官能評価の基準は以下の通りである。
◎:非常によい。
○:よい。
×:悪い。
(実施例12)
実施例5の浸漬酒と、実施例5の浸漬酒を水で希釈したものに対して、ナリンギン(Sigma社71162−25G)の水溶液を添加し、以下の表3に示されるナリンギン濃度に調整した。それぞれについて、苦味の官能評価を行った。官能評価の基準は以下の通りである。結果を表3に示す。
○:苦味があまり感じられず、すっきりとした後味。
△:やや苦味が感じられるが、後味は良い。
×:苦味が感じられ、後味が悪い。
(実施例13)
アルコール度数を8v/v%、10v/v%、40v/v%、50v/v%、または80v/v%に変更した以外は、実施例1と同様にした。その結果、アルコール度数が40v/v%以上のときに、特に良好な浸漬酒が得られた。
(実施例14)
Brix値を10%、15%、20%、30%、または60%に変更した以外は、実施例1と同様にした。その結果、Brix値が15%以上のときに、良好な浸漬酒が得られた。また、Brix値が20%以上のときに、さらに良好な浸漬酒が得られた。
(参考例1)
各種柑橘類果実の果汁中のリンゴ酸とクエン酸の濃度を測定した結果を示す。表4に示される通り、各種柑橘類果実の果汁自体は、クエン酸の量が多く、本発明に所望のリンゴ酸/クエン酸比を有さない。

Claims (7)

  1. アルコール度数が50v/v%以上のアルコールにキンカンの全果を浸漬して得られる浸漬酒であって、
    酢酸ゲラニルの濃度が2.5ppm以上であり、酢酸ゲラニルのシトラールに対する重量比(酢酸ゲラニル/シトラール)が0.1〜11であり、リンゴ酸のクエン酸に対する重量比(リンゴ酸/クエン酸)が1.04〜2.02であり、ナリンギンの濃度が1.0〜100ppmであり、シトラールの濃度が0.3〜40ppmである、上記浸漬酒。
  2. Brix値が15%以上である、請求項1に記載の浸漬酒。
  3. ナリンギンの濃度が2〜10ppmである、請求項1又は2に記載の浸漬酒。
  4. アルコール1Lに対して50〜500gのキンカンを用いる、請求項1〜のいずれか1項に記載の浸漬酒。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の浸漬酒を、0.1〜50v/v%混合してなる、飲料。
  6. アルコール度数が50v/v%以上のアルコール中にキンカンの全果を浸漬する工程、及び
    20日以上12ヶ月以下浸漬した後に、不溶性固形分を取り除く工程、
    を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の浸漬酒の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の浸漬酒を他のアルコール飲料と混合する工程を含む、飲料の製造方法。
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