JP6334098B2 - 表示機構、時計用ムーブメントおよび時計 - Google Patents
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Description
インジケータの制御装置は、回転軸に取り付けられたガイドアームに設けられた二つのピンに対して摺動する長手方向の溝を含むとともに、ガイドアームに連結されたアームに設けられたピンによってガイドされる横方向の溝を含む。
具体的には、ガイドアームは1時間に1回転し、時計の時針に取り付けられる。アームは、時針によって動かされ、1時間に2回転するようになっている。また、複数のピンは、ガイドアームおよびアームに打ち込まれ、かつ針がガイドアームおよびアーム上に設置されて、第1の溝がガイドアームのピンによって位置決めされた状態で、第2の溝内にアームのピンが配置されるようになっている。このように、第1の溝を用いて針をガイドすることで、針が1時間に1回転する。そして、針の先端は、周方向に回転しつつ、アームに打ち込まれたピンにより径方向に移動させられることで、楕円形状の径路に沿って移動する。
また、本発明の時計は、上述の時計用ムーブメントを備えていることを特徴としている。
本発明によれば、上述した表示機構を備えることにより、簡単な構造で指示部の複雑な移動軌跡を描くことができる、意匠性に優れた時計用ムーブメントおよび時計を得ることができる。
以下では、まず実施形態に係る機械式の腕時計(請求項の「時計」に相当。)およびこの腕時計に組み込まれたムーブメント(請求項の「時計用ムーブメント」に相当。)について説明したあと、表示機構の詳細について説明する。
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側、すなわち文字板と反対の側をムーブメントの「表側」と称する。
図1に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋、およびガラス2からなる時計ケース3内に、ムーブメント10と、時に関する情報を示す文字板11と、時を示す時針5と、秒を示す秒針6と、分針の機能を有し分を示す指示部42を備えたポインタ41と、を備えている。本実施形態の時計1は、とりわけ分の情報の表示について、意匠性を向上させるための特殊な表示機構40を備えた機械式の時計1である。なお、図1においては、指示部42の移動軌跡を二点鎖線で図示している。
巻真8は、巻真案内穴によって回転可能に支持されているとともに、巻真8の延在方向に例えば2段階に引き出し操作可能とされている。この際、巻真8は、地板20の裏側に配置された、おしどり、かんぬきやかんぬきばね等の図示しない切替装置により、延在方向の位置が決められている。
なお、以下の説明では、時針5および秒針6の回転中心を第1軸C1とし、第1軸C1の軸方向と直交する方向を径方向といい、第1軸C1周りに周回する方向を周方向という。また、時計回り方向の上流側を周方向の一方側とし、下流側を周方向の他方側という。また、軸方向から見て、第1軸C1を通るとともに巻真8に沿う軸をX軸とし、図1における右側を+X側とし、左側を−X側とする。また、第1軸C1を通るとともにX方向と直交する軸をY軸とし、図1における上側を+Y側とし、下側を−Y側とする。以下、必要に応じてX−Y直交座標系を用いて説明する。
文字板11の主面における目盛12よりも径方向の内側は、分に関する情報を示す「15」「30」「45」「60」の数字からなるインデックス13が表示された表示領域15(請求項の「表示部」に相当。)となっている。表示領域15には、インデックス13に対応して、0分から60分までの分の情報が表示される。
文字板11の表示領域15には、日付を表す数字を明示させる日窓11aが開口している。これにより、時計1は、時刻に加え、日付を確認することが可能とされている。
図3は、図2に示すムーブメント10の断面図である。なお、図3において、文字板11の地板20側の内面を境界として、文字板11の内面よりも地板20側は、図2におけるA−A1線に沿った断面図となっており、文字板11の内面よりも地板20とは反対側は、図2におけるA−A2線に沿った断面図となっている。
筒車21は、分車17および日の裏車18の回転を介して、12時間に1回転するように構成されている。筒車21には、時針5が取り付けられている。
日回し車26は、日車30を1日に1回(午前0時に達した時点で)、日付1日分だけ回転させて日送りする時計部品であり、筒車21、第1日回し中間車24および第2日回し中間車25の回転に基づいて、24時間で反時計回り方向に1回転するように構成されている。日回し車26の裏側(文字板11側)には、日車30の内歯30aに係合可能な日送り爪27が形成されている。日回し車26が反時計回り方向に回転運動すると、日送り爪27が日車30の内歯30aと係合する。これにより、日回し車26の回転力は、日送り爪27を介して日車30の内歯30aに伝達される。そして、日回し車26は、1回転につき日車30を日付1日分だけ反時計回り方向に回転させる。
続いて、表示機構40について詳細に説明する。
表示機構40は、分に関する情報を示して時間経過を示すために用いられる指示部42と、時間経過に応じて指示部42の移動速度を異ならせる制御機構50とを備えている。また、制御機構50は、第1軸C1を中心軸とするカム部51と、カム部51の周方向に回転するカム従節ユニット55と、を備えている。
カム従節ユニット55は、アーム部58と、レバー60と、ポインタ41と、により構成されている。
図3に示すように、アーム部58は、アーム部本体58aが径方向に沿って延在しており、径方向の内側端部が分車17の筒部17aに外嵌固定されている。アーム部58は、分車17と同一の1時間に1回転の回転速度で、第1軸C1を回転中心として時計回り方向に回転する。
図2に示すように、レバー60は、レバー用軸部材59による軸支部分からカム部51に向かって、湾曲しながら延出するように形成されている。レバー60における径方向の内側の一端部には、カム面52に摺接する鉤状の従節部61が形成されている。
レバー60は、ポインタ41に設けられた戻しばね46により、ポインタ歯車43を介して従節部61が常にカム部51に向かって所定の付勢力で付勢されている。戻しばね46は、例えば、ねじりコイルバネが採用される。
ポインタ41は、ポインタ歯車43の筒部43aから延出するように形成されている。
ポインタ41の軸支部分とは反対側の一端部には、指示部42が形成されている。指示部42は、例えば星形状に形成されている。
ポインタ41における指示部42とは反対側であって、ポインタ41の軸支部分に対応する他端部には、レバー歯車62と噛合するポインタ歯車43が形成されている。すなわち、レバー60とポインタ41とは、レバー歯車62とポインタ歯車43とにより形成された動力伝達部35により連結されている。
また、ポインタ41の回動量は、レバー60の回動量に加えて、ポインタ歯車43の歯数とレバー歯車62の歯数との比に依存する。具体的には、レバー歯車62の歯数の比率をポインタ歯車43の歯数の比率よりも大きくすることで、ポインタ41の回動量を大きくして指示部42の回動量を大きくすることができ、レバー歯車62の歯数の比率をポインタ歯車43の歯数の比率よりも小さくすることで、ポインタ41の回動量を小さくして指示部42の回動量を小さくすることができる。
図4から図10は、それぞれ表示機構40の説明図であって、所定時刻を表示しているときの説明図である。なお、図4から図10において、時針5および秒針6(いずれも図1参照)の図示を省略している。
続いて、本実施形態の表示機構40の作用について説明する。以下では、表示機構40を構成する指示部42が、時刻0分から動作を開始し、時刻15分を表示した後に動作を終了するまでの作用について、図4から図10を用いて順を追って説明する。
また、レバー60の回動による動力は、レバー歯車62およびポインタ歯車43により形成された動力伝達部35を介して、ポインタ41に伝達される。これにより、ポインタ41は、第2軸C2を中心に反時計回り方向に回動しながらカム部51の周りを時計回り方向に回転する。したがって、指示部42は、カム部51の周りを時計回り方向に回転しつつ、第1軸C1に対して離間する方向に移動する。
また、ポインタ41の指示部42は、レバー60の初期位置からの回転移動にともなって、初期位置よりも径方向の外側に移動される。これにより、ポインタ41の指示部42は、移動速度を異ならせつつ、時計回り方向に回転しながら第1軸C1から離間する方向に移動するので、+Y方向に湾曲しつつ径方向の外側に移動するように移動軌跡を描くことができる。なお、図5では動作開始から3分経過したときの指示部42を、図6では動作開始から6分経過したときの指示部42を、図7では動作開始から9分経過したときの指示部42を、図8では動作開始から12分経過したときの指示部42をそれぞれ表示している。
また、レバー60は、従節部61の移動にともない、レバー用軸部材59を中心に反時計回り方向に回動する。そして、ポインタ41の指示部42は、レバー60の回動にともなって、第1軸C1に対して接近する方向に移動されて径方向の内側に配置される。このとき、指示部42が第1軸C1に対して離間する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、指示部42が第1軸C1に対して接近する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡との間であって、「15」のインデックス13に対応した位置には、変曲点P1が形成される。
本実施形態においては、この様にして、指示部42が表示領域15の中心に対して接近する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、指示部42が表示領域15の中心に対して離間する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、が連続するように指示部42が移動されるようになっている。
ここで、本実施形態における変曲点(例えば変曲点P1〜P8等)とは、指示部42の動きの向きが変わる点を意味する。
以降、上記動作が繰り返されることにより、指示部42は、接近又は離間する方向へ移動を繰り返しながら、各インデックス13に対応した位置および各インデックスの間に対応した位置に変曲点P1〜P8を形成するように複雑な移動軌跡を描きつつ、「15」から「60」のインデックス13を繰り返し表示することができる。
続いて、実施形態の第1変形例に係る表示機構40について説明する。
図11は、実施形態の第1変形例に係る表示機構40の説明図である。
実施形態の表示機構40は、カム部51が、カム面52と段差面54とを備えており、従節部61がカム面52に摺接しながら移動していた(図1参照)。
これに対して、図11に示すように、実施形態の第1変形例に係る表示機構40は、カム部151がカム溝部152と段差溝部154とを備えており、従節部161がカム溝部152および段差溝部154に沿って移動する点で、実施形態とは異なっている。なお、以下では、実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
また、レバー60の従節部161は、カム溝部152に沿って移動可能な凸部161aにより形成されている。凸部161aは、例えばレバー60における径方向の内側の一端部から、軸方向に沿うようにカム部151に向かって突出形成されている。凸部161aをカム溝部152内に配置することにより、カム部151が1時間に3回転の回転速度で反時計回り方向に回転し、カム従節ユニット55が1時間に1回転の回転速度で時計回り方向に回転したとき、従節部161がカム溝部152に沿って移動できる。これにより、ポインタ41の指示部42は、実施形態と同様に動作して、インデックス13を表示することができる。
続いて、実施形態の第2変形例に係る表示機構40について説明する。
図12は、実施形態の第2変形例に係る表示機構40の説明図である。
実施形態の表示機構40は、カム部51の外周面が、渦巻き状に半径が大きくなるように形成されたカム面52と、第1軸C1からの半径が最小となる位置と最大となる位置とを結ぶ段差面54とにより形成されていた(図1参照)。
これに対して、実施形態の第2変形例に係る表示機構40は、図12に示すように、カム部251の外周面が、凸曲面状の2つの副カム面253a,253bを備えたカム面252により形成されている点で、実施形態とは異なっている。なお、以下では、実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
図12においては、(−X,+Y)領域に最内部254aが配置され、(+X,−Y)領域に最外部254bが配置された状態となっている。また、レバー60の従節部61は、カム面252の最内部254a上に位置しており、第1軸C1から径方向の外側に最も接近した位置に配置される。このとき、ポインタ41の指示部42は、「60」と「15」とのインデックス13間の位置であって変曲点P8に対応した位置に配置されている。なお、変曲点P8は、時刻7分30秒(すなわち、「60」のインデックス13の位置から、指示部42が移動し始めた後の経過時間が7分30秒)に対応する位置となっている。
続いて、本実施形態の第2変形例に係る表示機構40の作用について説明する。以下では、表示機構40を構成する指示部42が、時刻7分30秒(すなわち、「60」のインデックス13の位置から、指示部42が移動し始めた後の経過時間が7分30秒)を示す変曲点P8の位置から動作を開始し、時刻15分を示す変曲点P1を経由して時刻22分30秒を示す変曲点P2の位置に到達するまでの、15分間における指示部42の動作について順を追って説明する。なお、以下では、変曲点P8の位置を「初期位置」ということがある。
また、レバー60の回動による動力は、レバー歯車62およびポインタ歯車43により形成された動力伝達部35を介して、ポインタ41に伝達される。これにより、ポインタ41は、第2軸C2を中心に回動しながらカム部251の周りを時計回り方向に回転する。そして、ポインタ41の指示部42は、「10」のインデックス13を通過し、「15」のインデックス13に向かって曲線状の軌跡を描くように移動する。
さらに、時間の経過にともなって、カム従節ユニット55の従節部61は、カム部251の周方向に相対的に回転し、第2の副カム面253bに摺接しつつ最内部254aに向かって移動する。このとき、指示部42は、時の経過にともない、時計回り方向に回転しながら第1軸C1に接近する方向(すなわち径方向の内側)に移動しつつ、「20」のインデックス13を表示する。
以降、上記動作が繰り返されることにより、指示部42は、花弁状の複雑な移動軌跡を描いて変曲点P1〜P8を形成しつつ、第1軸C1周りを時計回り方向に回転して各インデックス13を表示することができる。
また、実施形態および実施形態の各変形例の表示機構40は、ポインタ41が分針の機能を有しており、指示部42が分を示していた。これに対して、ポインタ41が秒針の機能を有しており、指示部42が秒を示してもよいし、ポインタ41が時針の機能を有しており、指示部42が時を示してもよいし、ポインタ41が曜針の機能を有しており、指示部42が曜を示してもよい。すなわち、表示機構40は、分の情報を表示する態様に限定されない。
Claims (8)
- 時間経過を示すために用いられる指示部と、
前記時間経過に応じて、前記指示部の移動速度を異ならせかつ、前記指示部を、表示部の中心に対して、接近又は離間する方向へ移動させる制御機構と、
を備え、
前記制御機構は、前記指示部が前記表示部の中心に対して接近する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、前記指示部が前記表示部の中心に対して離間する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、が連続するように前記指示部を移動させ、
前記制御機構は、さらに、
第1軸周りに回転するカム部と、
前記カム部の回転方向とは反対方向に回転するカム従節ユニットと、
を備え、
前記カム従節ユニットは、
一端部に前記カム部に接する従節部が形成され、前記カム従節ユニットの回転にとも なって回動しながら前記カム部の周りを回転するレバーと、
一端部に前記指示部が形成され、他端部が前記カム部の径方向の外側に位置する第2 軸周りに回動可能に支持され、前記カム従節ユニットの回転にともなって前記カム部 の 周りを回転するポインタと、
を備え、
前記レバーの他端部と前記ポインタの他端部とは、動力伝達部を介して連結されていることを特徴とする表示機構。 - 前記動力伝達部は、
前記ポインタの他端部に形成されたポインタ歯車と、
前記レバーの他端部に形成されたレバー歯車と、
により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示機構。 - 前記カム部は、該カム部の周方向の一方側から他方側に向かって半径が大きくなるように形成されたカム面を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示機構。
- 前記カム部は、該カム部の周方向の一方側から他方側に向かって前記第1軸からの前記径方向に沿う距離が大きくなるように形成された溝部を備え、
前記レバーの前記従節部は、前記溝部に沿って移動可能な凸部により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示機構。 - 前記カム部と前記カム従節ユニットとは、前記第1軸周りに互いに反対方向に回転し、
前記カム部は、前記カム従節ユニットよりも高速回転することを特徴とする請求項3または4に記載の表示機構。 - 前記カム部の回転速度は、前記カム従節ユニットの回転速度の3倍であることを特徴とする請求項5に記載の表示機構。
- 請求項1に記載の表示機構を備えたことを特徴とする時計用ムーブメント。
- 請求項7に記載の時計用ムーブメントを備えたことを特徴とする時計。
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