JP6282809B2 - 表示機構、時計用ムーブメントおよび時計 - Google Patents
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Description
インジケータの制御装置は、回転軸に取り付けられたガイドアームに設けられた二つのピンに対して摺動する長手方向の溝を含むとともに、ガイドアームに連結されたアームに設けられたピンによってガイドされる横方向の溝を含む。
具体的には、ガイドアームは1時間に1回転し、時計の時針に取り付けられる。アームは、時針によって動かされ、1時間に2回転するようになっている。また、複数のピンは、ガイドアームおよびアームに打ち込まれ、かつ針がガイドアームおよびアーム上に設置されて、第1の溝がガイドアームのピンによって位置決めされた状態で、第2の溝内にアームのピンが配置されるようになっている。このように、第1の溝を用いて針をガイドすることで、針が1時間に1回転する。そして、針の先端は、周方向に回転しつつ、アームに打ち込まれたピンにより径方向に移動させられることで、楕円形状の径路に沿って移動する。
また、本発明の時計は、上述の時計用ムーブメントを備えていることを特徴としている。
本発明によれば、上述した表示機構を備えることにより、簡単な構造で指示部の複雑な移動軌跡を描くことができる、意匠性に優れた時計用ムーブメントおよび時計を得ることができる。
以下では、まず実施形態に係る機械式の腕時計(請求項の「時計」に相当。)およびこの腕時計に組み込まれたムーブメント(請求項の「時計用ムーブメント」に相当。)について説明したあと、表示機構の詳細について説明する。
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側、すなわち文字板と反対の側をムーブメントの「表側」と称する。
図1に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋、およびガラス2からなる時計ケース3内に、ムーブメント10と、時に関する情報を示す文字板11と、分を示す分針5と、秒を示す秒針6と、時針の機能を有し時を示す指示部42を備えたポインタ41と、を備えている。本実施形態の時計1は、とりわけ時の情報の表示について、意匠性を向上させるための特殊な表示機構40を備えた機械式の時計1である。
巻真8は、巻真案内穴によって回転可能に支持されているとともに、巻真8の延在方向に例えば2段階に引き出し操作可能とされている。この際、巻真8は、地板20の裏側に配置された、おしどり、かんぬきやかんぬきばね等の図示しない切替装置により、延在方向の位置が決められている。
なお、以下の説明では、分針5および秒針6の回転中心を第1軸C1とし、第1軸C1の軸方向と直交する方向を径方向といい、第1軸C1周りに周回する方向を周方向という。また、時計回り方向の上流側を周方向の一方側とし、下流側を周方向の他方側という。また、軸方向から見て、第1軸C1を通るとともに巻真8に沿う軸をX軸とし、図1における右側を+X側とし、左側を−X側とする。また、第1軸C1を通るとともにX方向と直交する軸をY軸とし、図1における上側を+Y側とし、下側を−Y側とする。以下、必要に応じてX−Y直交座標系を用いて説明する。
文字板11の主面における目盛12よりも径方向の内側は、時に関する情報を示す「0」から「12」までの数字からなるインデックス13が表示された表示領域15(請求項の「表示部」に相当。)となっている。表示領域15には、インデックス13に対応して、午前または午後の0時から12時までの時の情報が表示される。
文字板11の表示領域15には、日付を表す数字を明示させる日窓11aが開口している。これにより、時計1は、時刻に加え、日付を確認することが可能とされている。
図3は、図2に示すムーブメント10の断面図である。なお、図3において、文字板11の地板20側の内面を境界として、文字板11の内面よりも地板20側は、図2におけるA−A1線に沿った断面図となっており、文字板11の内面よりも地板20とは反対側は、図2におけるA−A2線に沿った断面図となっている。
日回し車26は、日車30を1日に1回(午前0時に達した時点で)、日付1日分だけ回転させて日送りする時計部品であり、筒車21、第1日回し中間車24および第2日回し中間車25の回転に基づいて、24時間で反時計回り方向に1回転するように構成されている。日回し車26の裏側(文字板11側)には、日車30の内歯30aに係合可能な日送り爪27が形成されている。日回し車26が反時計回り方向に回転運動すると、日送り爪27が日車30の内歯30aと係合する。これにより、日回し車26の回転力は、日送り爪27を介して日車30の内歯30aに伝達される。そして、日回し車26は、1回転につき日車30を日付1日分だけ反時計回り方向に回転させる。
続いて、表示機構40について詳細に説明する。
表示機構40は、時に関する情報を示して時間経過を示すために用いられる指示部42と、時間経過に応じて指示部42の移動速度を異ならせる制御機構50とを備えている。また、制御機構50は、第1軸C1を中心軸とするカム部51と、カム部51の周方向に回転するカム従節ユニット55と、を備えている。
カム従節ユニット55は、主にユニット歯車56と、アーム部58と、レバー60と、ポインタ41と、により構成されている。
図3に示すように、ユニット歯車56は、パイプ部材57を介して筒車21の大径筒部21bに外挿されている。ユニット歯車56は、筒車21に対して相対回転可能とされている。
ユニット歯車56の地板20側の端部は、ユニット歯部56aとなっている。ユニット歯部56aは、第1日回し中間車24のユニット駆動用歯部24aと噛合している。これにより、ユニット歯車56は、筒車21の駆動力がユニット駆動用歯部24aを介して伝達されるとともに、回転速度が増速される。本実施形態においては、ユニット歯車56は、筒車21の2倍の回転速度であって、12時間に2回転するように構成される。
ユニット歯車56におけるユニット歯部56aとは反対側は、筒状部56bとなっている。
図2に示すように、レバー60は、レバー用軸部材59による軸支部分からカム部51に向かって、湾曲しながら延出するように形成されている。レバー60における径方向の内側の一端部には、主カム面52および副カム面53に摺接する鉤状の従節部61が形成されている。
レバー60は、ポインタ41に設けられた戻しばね46により、ポインタ歯車43を介して従節部61が常にカム部51に向かって所定の付勢力で付勢されている。戻しばね46は、例えば、ねじりコイルバネが採用される。
ポインタ41は、ポインタ歯車43の筒部43aから延出するように形成されている。
ポインタ41の軸支部分とは反対側の一端部には、指示部42が形成されている。指示部42はリング状に形成されており、内径がインデックス13の各数字の外形よりも大きくなるように形成されている。これにより、リング状に形成された指示部42の内側において、インデックス13の各数字が表示可能とされる。
ポインタ41における指示部42とは反対側であって、ポインタ41の軸支部分に対応する他端部には、レバー歯車62と噛合するポインタ歯車43が形成されている。すなわち、レバー60とポインタ41とは、レバー歯車62とポインタ歯車43とにより形成された動力伝達部35により連結されている。
具体的には、カム部51が12時間に1回転の回転速度で時計回り方向に回転するとともに、カム従節ユニット55が12時間に2回転の回転速度で時計回り方向に回転する。そして、カム従節ユニット55のレバー60は、従節部61がカム部51に付勢された状態で、主カム面52および副カム面53に摺接しながら、アーム部58とともにカム部51の周りを時計回り方向に移動する。
また、ポインタ41の揺動量は、レバー60の揺動量(すなわち副カム面53の形状)に加えて、ポインタ歯車43の歯数とレバー歯車62の歯数との比に依存する。具体的には、レバー歯車62の歯数の比率をポインタ歯車43の歯数の比率よりも大きくすることで、ポインタ41の回動時の揺動量を大きくして指示部42の揺動量を大きくすることができ、レバー歯車62の歯数の比率をポインタ歯車43の歯数の比率よりも小さくすることで、ポインタ41の回動時の揺動量を小さくして指示部42の揺動量を小さくすることができる。
本実施形態においては、インデックス13の各数字間を移動する際、指示部42が直線状の移動軌跡を描くように、副カム面53の曲面形状およびポインタ歯車43の歯数とレバー歯車62の歯数との比を調節している。
図4から図16は、それぞれ表示機構40の説明図であって、所定時刻を表示しているときの説明図である。なお、図4から図16において、分針5や秒針6、戻しばね46等(いずれも図1参照)の図示を適宜省略している。
続いて、本実施形態の表示機構40の作用について説明する。以下では、表示機構40を構成する指示部42が、時刻0時から動作を開始し、時刻12時を表示した後に動作を終了するまでの作用について、図4から図16を用いて順を追って説明する。
また、レバー60の揺動による動力は、レバー歯車62およびポインタ歯車43により形成された動力伝達部35を介して、ポインタ41に伝達される。これにより、ポインタ41は、第2軸C2を中心に回動しながらカム部51の周りを時計回り方向に回転する。ここで、本実施形態では、指示部42が各数字のインデックス13間で直線状の移動軌跡を描くように、副カム面53の曲面形状およびポインタ歯車43の歯数とレバー歯車62の歯数との比を調節している。したがって、指示部42は、「0」と「1」とのインデックス13間を直線的に移動する。
また、ポインタ41の指示部42は、レバー60の初期位置からの回転移動にともなって、初期位置よりも径方向の外側に移動される。これにより、ポインタ41の指示部42は、移動速度を異ならせつつ、時計回り方向に回転しながら径方向の外側に移動するので、第1軸C1からの距離が漸次大きくなるように渦巻き状に配置された「1」以降のインデックス13を表示することができる。なお、図6では指示部42が「2」のインデックス13を、図7では指示部42が「3」のインデックス13を、図8では指示部42が「4」のインデックス13を、図9では指示部42が「5」のインデックス13をそれぞれ表示している。
以降、上記動作が繰り返されることにより、指示部42は、複雑な移動軌跡を描きつつ、「0」から「12」のインデックス13を繰り返し表示することができる。
続いて、実施形態の第1変形例に係る表示機構40について説明する。
図17は、実施形態の第1変形例に係る表示機構40の説明図である。
実施形態の表示機構40は、カム部51が、主カム面52と、複数の副カム面53と、段差面54とを備えており、従節部61が主カム面52および複数の副カム面53に摺接しながら移動していた(図1参照)。
これに対して、図17に示すように、実施形態の第1変形例に係る表示機構40は、カム部151が主カム溝部152と複数の副カム溝部153と段差溝部154とを備えており、従節部161が主カム溝部152、複数の副カム溝部153および段差溝部154に沿って移動する点で、実施形態とは異なっている。なお、以下では、実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
続いて、実施形態の第2変形例に係る表示機構40について説明する。
図18は、実施形態の第2変形例に係る表示機構40の説明図である。
実施形態の表示機構40は、カム部51の外周面が、凹曲面状の複数の副カム面53を周方向に並んで配置して渦巻き状に半径が大きくなるように形成された主カム面52と、第1軸C1からの半径が最小となる位置と最大となる位置とを結ぶ段差面54とにより形成されていた(図1参照)。
これに対して、実施形態の第2変形例に係る表示機構40は、図18に示すように、カム部251の外周面が、凸曲面状の2つの副カム面253a,253bを備えた主カム面252により形成されている点で、実施形態とは異なっている。なお、以下では、実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
続いて、本実施形態の第2変形例に係る表示機構40の作用について説明する。以下では、表示機構40を構成する指示部42が、時刻12時から動作を開始し、再度時刻12時を表示して動作を終了するまでの作用について順を追って説明する。
また、レバー60の揺動による動力は、レバー歯車62およびポインタ歯車43により形成された動力伝達部35を介して、ポインタ41に伝達される。これにより、ポインタ41は、第2軸C2を中心に回動しながらカム部251の周りを時計回り方向に回転する。ここで、本実施形態では、指示部42が各数字のインデックス13間で滑らかな円弧状の移動軌跡を描くように、副カム面253a,253bの曲面形状およびポインタ歯車43の歯数とレバー歯車62の歯数との比を調節している。したがって、ポインタ41の指示部42は、「12」と「1」とのインデックス13間を円弧状に移動する。
そして、動作開始からの経過時間が6時間となったとき、カム部251は、初期位置から時計回り方向に180°回転して、最内部254aが(−X,−Y)領域であって、最外部254bの初期位置に対応する位置に移動する。また、カム従節ユニット55のアーム部58は、初期位置から時計回り方向に360°回転し、(−X,+Y)領域の初期位置と同じ位置に移動する。また、カム従節ユニット55におけるレバー60の従節部61は、最内部254aに当接する。このとき、レバー60の従節部61は、第1軸C1から径方向の内側に最も近接した位置に配置される。したがって、指示部42は、レバー60の回転移動にともなって、最も径方向の内側に移動されて、「6」のインデックス13を表示する。
以降、上記動作が繰り返されることにより、指示部42は、実施形態とは異なるさらに複雑な移動軌跡を描きつつ、「1」から「12」のインデックス13を表示することができる。
また、実施形態および実施形態の各変形例の表示機構40は、ポインタ41が時針の機能を有しており、指示部42が時を示していた。これに対して、ポインタ41が秒針の機能を有しており、指示部42が秒を示してもよいし、ポインタ41が分針の機能を有しており、指示部42が分を示してもよいし、ポインタ41が曜針の機能を有しており、指示部42が曜を示してもよい。すなわち、表示機構40は、時の情報を表示する態様に限定されない。
Claims (8)
- 時間経過を示すために用いられる指示部と、
前記時間経過に応じて、前記指示部の移動速度を異ならせる制御機構と、
を備え、
前記制御機構は、
第1軸を中心軸とするカム部と、
前記カム部の周方向に回転するカム従節ユニットと、
を備え、
前記カム従節ユニットは、
一端部に前記カム部に接する従節部が形成され、前記カム従節ユニットの回転にともなって揺動しながら前記カム部の周りを前記周方向に回転するレバーと、
一端部に前記指示部が形成され、他端部が前記カム部の径方向の外側に位置する第2軸周りに回動可能に支持され、前記カム従節ユニットの回転にともなって前記カム部の周りを前記周方向に回転するポインタと、
を備え、
前記レバーの他端部と前記ポインタの他端部とは、動力伝達部を介して連結されていることを特徴とする表示機構。 - 前記動力伝達部は、
前記ポインタの他端部に形成されたポインタ歯車と、
前記レバーの他端部に形成されたレバー歯車と、
により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示機構。 - 前記カム部は、前記周方向の一方側から他方側に向かって半径が大きくなるように形成された主カム面を備え、
前記主カム面は、前記レバーの前記従節部を前記第1軸に対して接近離反させる複数の副カム面により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示機構。 - 前記カム部は、前記周方向の一方側から他方側に向かって前記第1軸からの前記径方向に沿う距離が大きくなるように形成された溝部を備え、
前記レバーの前記従節部は、前記溝部に沿って移動可能な凸部により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示機構。 - 前記カム部および前記カム従節ユニットは、前記第1軸周りに前記周方向の一方側から他方側に向かって同一方向に回転し、
前記カム従節ユニットは、前記カム部よりも高速回転することを特徴とする請求項3または4に記載の表示機構。 - 前記カム部は、筒車に取り付けられ、
前記カム従節ユニットの回転速度は、前記カム部の回転速度の2倍であることを特徴とする請求項5項に記載の表示機構。 - 請求項1に記載の表示機構を備えたことを特徴とする時計用ムーブメント。
- 請求項7に記載の時計用ムーブメントを備えたことを特徴とする時計。
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