JP6333596B2 - 樹脂層付きワーク固定シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウエハのダイシングから半導体チップのピックアップまでの工程での使用に好適なワーク固定シート、及びこれを用いた樹脂層付きワーク固定シートに関する。
半導体装置の製造時には、片面がワーク固定シートに固定された状態の大径の半導体ウエハ(ワーク)を小片の半導体チップ(チップ状ワーク)に切断分離する、所謂ダイシングを行った後、各半導体チップをワーク固定シートからピックアップして、基板、リードフレーム、他の半導体チップ等に接着する、所謂ダイボンディングが行われる。
近年は、電子機器の多機能化、高集積化の進展に伴い、半導体チップの薄層化が進んでいる。しかし、厚さが薄い半導体チップは、強度が低いため、ピックアップ時に加わる外力が大きいと割れてしまう。そこで、大きな外力が加わらないようにして半導体チップを容易にピックアップできる、易ピックアップ性を有するワーク固定シートが望まれている。ワーク固定シートは、通常、基材フィルム上に粘着剤層を備えてなり、ダイシングを行った後に粘着剤層で重合反応を行うことで粘着性が低下して、半導体チップがワーク固定シートからピックアップ可能となるように構成されている。
このようなワーク固定シートで易ピックアップ性を有するものとしては、アクリル系樹脂とイソシアネート系架橋剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を基材フィルム上に備えてなり、前記アクリル系樹脂が、複数種のアクリル酸エステル、水酸基含有モノマー及びイソシアネート化合物が特定の割合で配合された組成物を用いて形成されたものが開示されている(特許文献1参照)。
特許第4628479号公報
しかし、特許文献1に記載のような粘着剤層におけるアクリル系樹脂は、通常は十分にアクリル系樹脂に重合性の官能基の付加を行うために有機スズ化合物等の触媒を用いる必要がある。すると、この触媒がアクリル系樹脂中に残存する。一方で、ダイシングを行った後に粘着剤層で重合性官能基の重合反応を行って易ピックアップ性を発現させるためには、このようなアクリル系樹脂とイソシアネート系架橋剤を含有する粘着剤組成物において、イソシアネート系架橋剤の含有量を多くすることで、アクリル系樹脂を十分に架橋させ、粘着剤層で重合反応を行った後の粘着剤層の粘着性を十分に低減させることが必要となる。しかし、アクリル系樹脂中に残存している触媒の影響によって、イソシアネート系架橋剤の含有量が多い粘着剤組成物においては、その保存中に目的としない架橋反応が進行することがあり、保存性(ポットライフ)が十分ではないという問題点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、保存性が高い粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を備え、半導体チップ等のワークに対する易ピックアップ性を有するワーク固定シートを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、基材フィルム上にアクリル酸エステル共重合体、イソシアネート系架橋剤及び反応遅延剤を含有する粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成し、前記粘着剤層上に硬化性樹脂組成物を用いて硬化性樹脂層を形成する、樹脂層付きワーク固定シートの製造方法であって、前記アクリル酸エステル共重合体は、水酸基を有し、且つウレタン結合を介して重合性基を側鎖に有するエネルギー線重合性のものであり、前記硬化性樹脂組成物の固形分中でのアクリル系樹脂の含有量が、50〜85質量%であり、前記粘着剤組成物は、前記アクリル酸エステル共重合体中の水酸基1モルに対して、前記イソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基を0.3モル以上有することを特徴とする、樹脂層付きワーク固定シートの製造方法を提供する。
本発明によれば、保存性が高い粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を備え、半導体チップ等のワークに対する易ピックアップ性を有するワーク固定シートが提供される。
本発明に係るワーク固定シートを模式的に示す断面図である。 本発明に係る樹脂層付きワーク固定シートを模式的に示す断面図である。
<ワーク固定シート>
本発明に係るワーク固定シートは、基材フィルム上に粘着剤層を備えてなるワーク固定シートにおいて、前記粘着剤層は、アクリル酸エステル共重合体、イソシアネート系架橋剤及び反応遅延剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成されたものであり、前記アクリル酸エステル共重合体は、水酸基を有し、且つウレタン結合を介して重合性基を側鎖に有するエネルギー線重合性のものであり、前記粘着剤組成物は、前記アクリル酸エステル共重合体中の水酸基1モルに対して、前記イソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基を0.2モル以上有することを特徴とする。
前記ワーク固定シートは、半導体ウエハのダイシングから半導体チップのピックアップまでの工程での使用に好適なものであり、粘着剤層の重合反応後の粘着性低下によって、ワーク(半導体チップ)を小さな外力でも容易にピックアップできる、十分な易ピックアップ性を有する。したがって、厚さが薄い半導体チップもピックアップ時の割れ等の破損が抑制される。さらに、ワーク固定シートの粘着剤層は、保存性が高い粘着剤組成物を用いて形成できる。
図1は、本発明に係るワーク固定シートを模式的に示す断面図である。
ここに示すワーク固定シート1は、基材フィルム11の表面11a上に粘着剤層12を備えてなるものである。ただし、本発明に係るワーク固定シートは、ここに示すものに限定されない。
[基材フィルム]
基材フィルムの材質は、各種樹脂であることが好ましく、具体的には、ポリエチレン(低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE等))、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニルフィル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリウレタンアクリレート、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂、これらのいずれかの樹脂の水添加物、変性物、架橋物又は共重合物等が例示できる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の両方を包含する概念とする。
基材フィルムは1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、各層の材質はすべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同じであってもよい。
基材フィルムの厚さは、目的に応じて適宜選択できるが、50〜300μmであることが好ましく、60〜100μmであることがより好ましい。
基材フィルムは、その上に設けられる粘着剤層との接着性を向上させるために、サンドブラスト処理、溶剤処理等による凹凸化処理や、コロナ放電処理、電子線照射処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理等の酸化処理等が表面に施されたものでもよい。また、基材フィルムは、表面がプライマー処理を施されたものでもよい。
これらの中でも基材フィルムは、ダイシング時のブレードの摩擦による基材フィルムの断片の発生が抑制される点から、特に表面が電子線照射処理を施されたものが好ましい。
[粘着剤層]
前記粘着剤層は、アクリル酸エステル共重合体、イソシアネート系架橋剤及び反応遅延剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成されたものである。前記粘着剤組成物は、その保存中に目的としない架橋反応の進行が抑制されるために、保存中の粘度等の特性の変化が抑制され、保存性が高い。
粘着剤層の厚さは、目的に応じて適宜選択できるが、1〜100μmであることが好ましく、1〜60μmであることがより好ましく、1〜30μmであることが特に好ましい。
(アクリル酸エステル共重合体)
前記アクリル酸エステル共重合体は、エネルギー線の照射により重合する、エネルギー線重合性のものであり、水酸基を有し、さらにウレタン結合を介して重合性基を側鎖に有する。
アクリル酸エステル共重合体は、これが有する水酸基が、前記イソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基と反応することで、架橋される。また、アクリル酸エステル共重合体は、重合性基を側鎖に有することで、例えば、低分子量のエネルギー線重合性化合物を別途用いて、エネルギー線の照射により重合反応させた場合よりも、重合反応後の粘着剤層の粘着性低下による被着体からの剥離性が向上し、ワークに対する易ピックアップ性が向上する。また、低分子量のエネルギー線重合性化合物を別途用いる必要がないので、後述するように、粘着剤層上に硬化性樹脂層を形成した場合に、このような低分子量のエネルギー線重合性化合物の粘着剤層から硬化性樹脂層への移行が抑制され、硬化性樹脂層の特性の変化が抑制される。
前記アクリル酸エステル共重合体は、通常、アクリル酸エステル及び水酸基含有モノマーが配合されてなる組成物を用いて、これを重合させて重合体を得、その重合体が有する水酸基に、イソシアネート基及び重合性基を有する化合物のイソシアネート基を反応させることで得られるが、水酸基及びイソシアネート基を反応させる(ウレタン結合を形成する)ためには、有機スズ化合物等の触媒をさらに用いる必要がある。この触媒は、反応終了後に反応系にそのまま残るが、得られたアクリル酸エステル共重合体から完全に除去するのが困難であるか、又は除去が可能であってもそのための工程が追加されることで、操作が煩雑になり、生産性も低下してしまう。そこで通常は、反応終了後に反応系から触媒は除去しないため、得られたアクリル酸エステル共重合体中に触媒が残存する。
アクリル酸エステル共重合体中に残存する前記触媒は、このようなアクリル酸エステル共重合体を用いた保存中の前記粘着剤組成物において、目的としない架橋反応を進行させ得るものである。そして、アクリル酸エステル共重合体中の水酸基1モルに対する、前記イソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基のモル数が大きい場合には、特にこの傾向が強い。
これに対して、本発明においては、たとえ上述のイソシアネート基のモル数が大きい場合であっても、後述する反応遅延剤を用いることで、このような目的としない架橋反応の進行が抑制される。そして、この抑制効果がより向上する点から、前記アクリル酸エステル共重合体は、前記触媒の残存量(含有量)が2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
前記アクリル酸エステル共重合体は、上記の条件を満たすものであれば特に限定されず、好ましいものとしては、水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステル及び水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを必須の単量体として、これら単量体を共重合して得られたものの水酸基に、イソシアネート基及び重合性基を有する化合物のイソシアネート基を反応させて得られたものが例示できる。
前記水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の、アルキル基が炭素数1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等のシクロアルケニル(メタ)アクリレート;ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のシクロアルケニルオキシアルキル(メタ)アクリレート;イミド(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレート等が例示できる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等が例示できる。
前記イソシアネート基及び重合性基を有する化合物としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が例示できる。
前記アクリル酸エステル共重合体は、上述の必須の単量体以外に、(メタ)アクリル酸;イタコン酸;酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、N−メチロールアクリルアミド等の非(メタ)アクリル系単量体等の、任意の単量体が共重合されたものでもよい。
前記粘着剤組成物が含有するアクリル酸エステル共重合体は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
(イソシアネート系架橋剤)
前記イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基(−N=C=O)を有する架橋剤であれば特に限定されず、好ましいものとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて又は一部の水酸基にトリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネートを付加した化合物、リジンジイソシアネート等が例示できる。
前記粘着剤組成物が含有するイソシアネート系架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
前記粘着剤組成物中のイソシアネート系架橋剤が有するイソシアネート基のモル数は、前記粘着剤組成物中の前記アクリル酸エステル共重合体が有する水酸基のモル数に対して0.2倍以上である。このようにすることで、粘着剤層はUV照射等による硬化後においてワーク(半導体チップ、後述する硬化性樹脂層等)に対する粘着性が小さく、ワーク固定シートは易ピックアップ性を有する。
一方、本発明においては、前記粘着剤組成物中のイソシアネート系架橋剤が有するイソシアネート基のモル数は、前記粘着剤組成物中の前記アクリル酸エステル共重合体が有する水酸基のモル数に対して3倍以下であることが好ましい。このようにすることで、イソシアネート系架橋剤同士の副生成物の発生を抑制できる。
前記粘着剤組成物のイソシアネート系架橋剤の含有量は、イソシアネート基のモル数が上述のような範囲となるように適宜調節すればよいが、このような条件を満たしたうえで、前記アクリル酸エステル共重合体100質量部に対して、3〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがより好ましい。
(反応遅延剤)
前記反応遅延剤は、保存中の前記粘着剤組成物において、目的としない架橋反応の進行を抑制するものである。
前記アクリル酸エステル共重合体は、通常、上述のようにその調製に用いた触媒を含有する。反応遅延剤としては、この触媒の粘着剤組成物での作用を阻害するものが例示でき、好ましいものとしては、前記触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが例示できる。例えば、前記触媒が有機スズ化合物である場合には、反応遅延剤としてスズとキレート錯体を形成するものが例示できる。
好ましい反応遅延剤として、より具体的には、分子中にカルボニル基(−C(=O)−)を2個以上有するものが例示でき、分子中にカルボニル基を2個有するものであれば、ジカルボン酸、ケト酸、ジケトン等が例示できる。
なかでも、より好ましい前記反応遅延剤としては、カルボニルメチルカルボニル基(−C(=O)−CH−C(=O)−)を有するものが例示でき、より具体的には、マロン酸、アセト酢酸等のβ−ケト酸;
アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸tert−ブチル、プロピオニル酢酸メチル、プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸n−プロピル、プロピオニル酢酸イソプロピル、プロピオニル酢酸n−ブチル、プロピオニル酢酸tert−ブチル、ブチリル酢酸メチル、ブチリル酢酸エチル、ブチリル酢酸n−プロピル、ブチリル酢酸イソプロピル、ブチリル酢酸n−ブチル、ブチリル酢酸tert−ブチル、イソブチリル酢酸メチル、イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸n−プロピル、イソブチリル酢酸イソプロピル、イソブチリル酢酸n−ブチル、イソブチリル酢酸tert−ブチル、3−オキソヘプタン酸メチル、3−オキソヘプタン酸エチル、3−オキソヘプタン酸n−プロピル、3−オキソヘプタン酸イソプロピル、3−オキソヘプタン酸n−ブチル、3−オキソヘプタン酸tert−ブチル、5−メチル−3−オキソヘキサン酸メチル、5−メチル−3−オキソヘキサン酸エチル、5−メチル−3−オキソヘキサン酸n−プロピル、5−メチル−3−オキソヘキサン酸イソプロピル、5−メチル−3−オキソヘキサン酸n−ブチル、5−メチル−3−オキソヘキサン酸tert−ブチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸メチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸エチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸n−プロピル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸イソプロピル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸n−ブチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸tert−ブチル、ベンゾイル酢酸メチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸メチルエチル、マロン酸ジn−プロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジn−ブチル、マロン酸ジtert−ブチル、マロン酸メチルtert−ブチル等のβ−ケト酸エステル;
アセチルアセトン、ジベンゾイルメタン等のβ−ジケトン(1,3−ジケトン)等が例示できる。
前記粘着剤組成物が含有する反応遅延剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
前記粘着剤組成物は、全成分の合計量中、反応遅延剤を0.01〜2質量%含有していることが好ましい。反応遅延剤の前記含有量が前記下限値以上であることで、粘着剤組成物は、その保存中における目的としない架橋反応の進行抑制効果がより高くなる。また、反応遅延剤の前記含有量が前記上限値以下であることで、粘着剤層を塗布及び乾燥により設ける場合に、乾燥によって反応遅延剤を揮発させ、粘着剤層中に反応遅延剤が過剰に残存することを防止できる。
前記粘着剤組成物の反応遅延剤の含有量は、粘着剤組成物の全成分の合計量中の質量割合が上述のような範囲となるように適宜調節すればよいが、このような条件を満たしたうえで、前記アクリル酸エステル共重合体100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
(光重合開始剤)
前記粘着剤組成物は、アクリル酸エステル共重合体、イソシアネート系架橋剤及び反応遅延剤以外に、さらに光重合開始剤を含有するものが好ましい。
前記光重合開始剤は、公知のものでよく、具体的には、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が例示できる。
前記粘着剤組成物の光重合開始剤の含有量は、前記アクリル酸エステル共重合体100質量部に対して、0.05〜20質量部であることが好ましい。
(溶媒)
前記粘着剤組成物は、アクリル酸エステル共重合体、イソシアネート系架橋剤及び反応遅延剤以外に、さらに溶媒を含有するものが好ましい。
前記溶媒は、特に限定されないが、好ましいものとしては、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が例示できる。
前記粘着剤組成物が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
前記粘着剤組成物が溶媒を含有する場合の溶媒の含有量は、40〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。
(その他の成分)
前記粘着剤組成物は、アクリル酸エステル共重合体、イソシアネート系架橋剤、反応遅延剤、光重合開始剤及び溶媒以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、これらに該当しないその他の成分を含有していてもよい。
前記その他の成分は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、染料、顔料、劣化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、シリコーン化合物、連鎖移動剤等の各種添加剤が例示できる。
前記粘着剤組成物は、アクリル酸エステル共重合体、イソシアネート系架橋剤、反応遅延剤、並びに必要に応じてこれら以外の成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
本発明に係るワーク固定シートにおいて、粘着剤層は、上述の粘着剤組成物を用いて形成されたことにより、半導体チップに貼付された状態では半導体チップに対して、又は後述する樹脂層付きワーク固定シートの状態では、硬化性樹脂層に対して、それぞれ重合後は粘着性が低くなるため、ワーク固定シートは易ピックアップ性を有する。
<ワーク固定シートの製造方法>
本発明に係るワーク固定シートは、基材フィルム上に、前記粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成することで製造できる。
粘着剤層は、基材フィルムの表面(図1においては基材フィルム11の表面11a)に粘着剤組成物を塗布し、乾燥させることで形成できる。このとき必要に応じて、塗布した粘着剤組成物を加熱することで、架橋してもよい。加熱条件は、例えば、100〜130℃で1〜5分間とすることができるが、これに限定されない。また、剥離材の剥離層表面に粘着剤組成物を塗布し、乾燥させることで形成した粘着剤層を、基材フィルムの表面に貼り合わせ、前記剥離材を取り除くことでも粘着剤層を形成できる。
粘着剤組成物の基材フィルムの表面又は剥離材の剥離層表面への塗布は、公知の方法で行えばよく、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が例示できる。
<樹脂層付きワーク固定シート>
本発明に係る樹脂層付きワーク固定シートは、上述の本発明に係るワーク固定シートの粘着剤層上に、さらに硬化性樹脂層を備えてなることを特徴とする。
前記樹脂層付きワーク固定シートは、例えば、半導体ウエハのダイシングから半導体チップのピックアップを経て、ピックアップされた半導体チップを基板、リードフレーム、他の半導体チップ等に接着するダイボンディングまでの工程での使用に好適なものである。この場合、前記硬化性樹脂層(樹脂層)は、ダイ接着用の接着フィルムとして機能し、前記樹脂層付きワーク固定シートを半導体ウエハに前記硬化性樹脂層により貼付した状態でダイシングを行う場合に、ダイシングダイボンディングシートとして用いる。
また、前記樹脂層付きワーク固定シートは、フリップチップの裏面を保護する保護膜形成用シートとしての使用にも好適なものである。この場合、前記硬化性樹脂層(樹脂層)は、フリップチップの保護膜形成用のフィルムとして機能し、前記樹脂層付きワーク固定シートを半導体ウエハに前記硬化性樹脂層により貼付した状態でダイシングを行う場合に、半導体ウエハ又は半導体チップ(フリップチップ)の保護シートとダイシングシートとを兼ねるものとして用いる。
また、前記樹脂層付きワーク固定シートは、硬化性樹脂層をフリップチップ用の半導体ウエハの電極形成面に貼付し、半導体ウエハの電極形成面と逆側の面を研削した後、電極形成面に硬化性樹脂層を残してワーク固定シートを剥離することに用いることもできる。この場合、前記樹脂層は、その後フリップチップをチップ搭載部に接着する際の接着フィルムとして機能し、前記樹脂層付ワーク固定シートは、接着フィルムとバックグラインドシートを兼ねるものとして用いる。
基材フィルム上に粘着剤層を備えてなるワーク固定シートを用いて、その粘着剤層に直接半導体チップを固定した場合には、ダイシング後に半導体チップを硬化後の粘着剤層から剥離させる(ピックアップする)。
一方、基材フィルム上に粘着剤層を介して硬化性樹脂層を備えてなる樹脂層付きワーク固定シートを用いて、その硬化性樹脂層に半導体チップを固定した場合には、ダイシング後に半導体チップを硬化性樹脂層と一体化した状態のまま、硬化後の粘着剤層から剥離させる(ピックアップする)。
そして通常は、樹脂層付きワーク固定シートの方が硬化性樹脂層を備えていないワーク固定シートよりも、上述の剥離が容易ではなく、剥離性(易ピックアップ性)が劣る傾向にある。
これに対して、本発明に係る樹脂層付きワーク固定シートは、上述の本発明に係るワーク固定シートを用いていることで、硬化後の粘着剤層は硬化性樹脂層に対する粘着性が低いので、剥離性(易ピックアップ性)に優れる。
硬化性樹脂層は、感圧接着性を有することが好ましく、また、加熱硬化性を有し、感圧接着性を有する場合には、未硬化状態では各種被着体に軽く押圧することで貼付できる。又は、硬化性樹脂層は加熱して硬化性樹脂層を軟化させることで各種被着体に貼付できるものであってもよい。硬化性樹脂層は、熱硬化を経て最終的には耐衝撃性が高い硬化物となり、かかる硬化物はせん断強度にも優れ、厳しい高温・高湿度条件下においても十分な接着特性を保持し得る。
図2は、本発明に係る樹脂層付きワーク固定シートを模式的に示す断面図である。なお、図2に示す構成要素のうち、図1に示すものと同じものには、図1の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す樹脂層付きワーク固定シート10は、基材フィルム11の表面11a上に粘着剤層12及び硬化性樹脂層13をこの順に備えてなるものであり、図1に示すワーク固定シート1の粘着剤層12上に、硬化性樹脂層13を備えてなるものである。
樹脂層付きワーク固定シート10は、さらに硬化性樹脂層13の表面13a上に剥離フィルム14を備えている。
そして、硬化性樹脂層13は、粘着剤層12の表面12aの一部に積層されており、粘着剤層12の表面12aのうち、硬化性樹脂層13が積層されていない露出面と、硬化性樹脂層13の表面13a(上面及び側面)の上に、剥離フィルム14が積層されている。
ただし、本発明に係るワーク固定シートは、ここに示すものに限定されない。
[硬化性樹脂層]
硬化性樹脂層は、感圧接着性及び加熱硬化性を有するものが好ましく、バインダー樹脂(a)及びエポキシ系熱硬化性樹脂(b)を含有する硬化性樹脂組成物を用いて形成されたものが好ましい。
硬化性樹脂層の厚さは、目的に応じて適宜選択できるが、1〜100μmであることが好ましく、5〜75μmであることがより好ましく、5〜50μmであることが特に好ましい。
(バインダー樹脂(a))
バインダー樹脂(a)は、硬化性樹脂層に造膜性及び可撓性を付与するための重合体化合物である。
バインダー樹脂(a)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
バインダー樹脂(a)としては、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系ポリマー、フェノキシ樹脂等を用いることができるが、アクリル系樹脂が好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、公知のアクリル重合体を用いるこができる。
アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1万〜200万であることが好ましく、10万〜150万であることがより好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量が小さ過ぎると、硬化性樹脂層と前記粘着剤層との接着力が高くなって、半導体チップのピックアップ不良が生じることがある。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量が大き過ぎると、被着体の凹凸面へ硬化性樹脂層が追従できないことがあり、ボイド等の発生要因になることがある。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−60〜70℃であることが好ましく、−30〜50℃であることがより好ましい。アクリル系樹脂のTgが低過ぎると、硬化性樹脂層と前記粘着剤層との剥離力が大きくなって、半導体チップのピックアップ不良が起こることがある。また、アクリル系樹脂のTgが高過ぎると、半導体ウエハを固定するための接着力が不充分となるおそれがある。
アクリル系樹脂を構成するモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート;
シクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状骨格を有する(メタ)アクリレート;
ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが例示できる。
また、アクリル系樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、N−メチロールアクリルアミド等のモノマーが共重合されたものでもよい。
アクリル系樹脂を構成するモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
アクリル系樹脂は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基等の他の化合物と結合可能な官能基を有していてもよい。他の化合物との結合は、後述する架橋剤(f)を介して行われてもよいし、又は架橋剤(f)を介さずに前記官能基が他の化合物と直接結合していてもよい。アクリル系樹脂がこれら官能基により結合することで、樹脂層付きワーク固定シートを用いた半導体装置のパッケージ信頼性が向上する傾向がある。
硬化性樹脂組成物の固形分中でのアクリル系樹脂の含有量は、50質量%以上であることが好ましい。このようにすることで、硬化性樹脂層を半導体チップの樹脂封止時に一括硬化させるプロセスに用いる場合に、硬化性樹脂層が好ましい性状となる。なぜなら、このようなプロセスでは、半導体チップの樹脂封止を行う前に、チップへのワイヤボンディングが行われるが、硬化前の硬化性樹脂層が高温に晒された際にも、ある程度の硬さが保たれた状態で、ワイヤボンディングできるからである。すなわち、硬化性樹脂組成物におけるアクリル系樹脂の含有量が比較的多いと、熱硬化前であっても硬化性樹脂層の貯蔵弾性率を高くできる。このため、硬化性樹脂層が未硬化又は半硬化の状態でも、ワイヤボンディング時におけるチップの振動、変位が抑制され、ワイヤボンディングを安定して行えるようになる。
さらに、硬化性樹脂組成物の固形分中でのアクリル系樹脂の含有量は、50〜85質量%であることがより好ましい。アクリル系樹脂の含有量がこのように比較的多い場合、粘着剤層と硬化性樹脂層との密着性が高くなり、接着力が高くなる傾向にあるが、本発明における粘着剤層を用いることにより、粘着剤層と硬化性樹脂層との間の接着力が低減され、半導体チップの易ピックアップ性が向上する。
本発明においては、上述のワーク固定シート(粘着剤層)の硬化性樹脂層からの剥離性を向上させて、易ピックアップ性を向上させたり、被着体の凹凸面への硬化性樹脂層の追従によってボイド等の発生を抑制するために、(a)バインダー樹脂として、アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂(以下、単に「熱可塑性樹脂」と略記することがある)を単独で用いてもよいし、アクリル系樹脂と併用してもよい。
前記熱可塑性樹脂は、重量平均分子量が1000〜10万のものが好ましく、3000〜8万のものがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−30〜150℃であることが好ましく、−20〜120℃であることがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン等が例示できる。
前記熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱可塑性樹脂の使用により、上述のような効果が得られる一方、硬化前の硬化性樹脂層が高温に晒された際の硬さが低下し、未硬化又は半硬化の状態における硬化性樹脂層のワイヤボンディング適性が低下する懸念がある。そこで、硬化性樹脂組成物のアクリル系樹脂の含有量は、このような影響を考慮した上で設定することが好ましい。
本発明においては、前記熱可塑性樹脂をアクリル系樹脂と併用することが好ましい。
(エポキシ系熱硬化性樹脂(b))
エポキシ系熱硬化性樹脂(b)は、エポキシ樹脂及び熱硬化剤からなる。
エポキシ系熱硬化性樹脂(b)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エポキシ樹脂としては、公知のものが挙げられ、具体的には、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が例示できる。
また、前記エポキシ樹脂としては、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いてもよい。不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、多官能系エポキシ樹脂のエポキシ樹脂の一部が不飽和炭化水素基を含む基に変換されてなる化合物が例示できる。このような化合物は、例えば、エポキシ基へアクリル酸を付加反応させることにより製造できる。また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を含む基が直接結合した化合物等が例示できる。不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、具体的には、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基等が例示でき、アクリロイル基が好ましい。
不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂は、不飽和炭化水素基を有しないエポキシ樹脂よりもアクリル系樹脂との相溶性が高い。このため、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物を用いることで、半導体装置のパッケージ信頼性が向上する。
前記エポキシ樹脂は、易ピックアップ性が向上する点から、軟化点又はガラス転移温度が高いものが好ましい。
前記エポキシ樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、硬化性樹脂層の硬化性や硬化後の強度及び耐熱性の観点から、300〜30000であることが好ましく、400〜10000であることがより好ましく、500〜3000であることが特に好ましい。
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100〜1000g/eqであることが好ましく、300〜800g/eqであることがより好ましい。
前記エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱硬化剤は、エポキシ樹脂に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤としては、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が例示できる。前記官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸基が無水物化された基等が例示でき、フェノール性水酸基、アミノ基、酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基、アミノ基であることがより好ましく、フェノール性水酸基であることが特に好ましい。
前記熱硬化剤のうち、フェノール系硬化剤(フェノール性水酸基を有する硬化剤)としては、多官能フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂等が例示できる。
前記熱硬化剤のうち、アミン系硬化剤(アミノ基を有する硬化剤)としては、DICY(ジシアンジアミド)等が例示できる。
前記熱硬化剤は、不飽和炭化水素基を有するものでもよい。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤としては、フェノール樹脂の水酸基の一部を、不飽和炭化水素基を含む基で置換してなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を含む基が直接結合した化合物等が例示できる。熱硬化剤における不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
前記熱硬化剤は、易ピックアップ性が向上する点から、軟化点又はガラス転移温度が高いものが好ましい。
前記熱硬化剤の数平均分子量は、300〜30000であることが好ましく、400〜10000であることがより好ましく、500〜3000であることが特に好ましい。
前記熱硬化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化性樹脂組成物の熱硬化剤の含有量は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜200質量部であることがより好ましい。熱硬化剤の含有量が少な過ぎると硬化不足で接着性が得られないことがあり、熱硬化剤の含有量が過剰であると硬化性樹脂層の吸湿率が高まって、パッケージ信頼性を低下させることがある。
硬化性樹脂組成物のエポキシ系熱硬化性樹脂(b)の含有量(エポキシ樹脂及び熱硬化剤の総含有量)は、バインダー樹脂(a)100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、1.5〜75質量部であることがより好ましく、2〜60質量部であることが特に好ましい。エポキシ系熱硬化性樹脂(b)の含有量がこのような範囲であることで、硬化前の硬化性樹脂層の硬さが維持される傾向があり、未硬化又は半硬化の状態における硬化性樹脂層のワイヤボンディング適性が向上する。一方、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)の含有量がバインダー樹脂(a)に対して比較的少量である場合、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)の各成分を軟化点やガラス転移温度が高いものとして、前記粘着剤層と硬化性樹脂層との接着力が高くなることを抑制し、易ピックアップ性を向上させようとしても、十分に向上しないことがあるが、本発明における粘着剤層を用いることにより、粘着剤層と硬化性樹脂層との間の接着力が低減され、半導体チップの易ピックアップ性が向上する。
硬化性樹脂層は、その各種物性を改良するために、バインダー樹脂(a)及びエポキシ系熱硬化性樹脂(b)以外に、さらに必要に応じて、これらに該当しない他の成分を含有する硬化性樹脂組成物を用いて形成されたものでもよい。
硬化性樹脂組成物が含有する他の成分で好ましいものとしては、無機充填材(c)、硬化促進剤(d)、カップリング剤(e)、架橋剤(f)、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)に該当しないその他の熱硬化性樹脂(g)、汎用添加剤(h)等が例示できる。
(無機充填材(c))
硬化性樹脂組成物は、さらに無機充填材(c)を含有することにより、その熱膨張係数の調整が容易となり、半導体チップや金属又は有機基板に対して、硬化後の硬化性樹脂層の熱膨張係数を最適化することで、パッケージ信頼性を向上させることができる。
また、硬化性樹脂組成物は、さらに無機充填材(c)を含有することにより、硬化後の硬化性樹脂層の吸湿率を低減することもできる。
好ましい無機充填材(c)としては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末;これらシリカ等を球形化したビーズ;これらシリカ等の単結晶繊維;ガラス繊維等が例示できる。
これらの中でも、無機充填材(c)は、シリカフィラー又はアルミナフィラーであることが好ましい。
無機充填材(c)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機充填材(c)を用いる場合、硬化性樹脂組成物の無機充填材(c)の含有量は、1〜80質量%であることが好ましい。
(硬化促進剤(d))
硬化促進剤(d)は、硬化性樹脂組成物の硬化速度を調整するために用いられる。
好ましい硬化促進剤(d)としては、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が例示できる。
硬化促進剤(d)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤(d)を用いる場合、硬化性樹脂組成物における硬化促進剤(d)の含有量は、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜1質量部であることがより好ましい。硬化促進剤(d)の含有量がこのような範囲であることで、硬化性樹脂層は、高温・高湿度条件下でも優れた接着特性を有し、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても、高いパッケージ信頼性を達成できる。硬化促進剤(d)の含有量が少な過ぎると、硬化促進剤(d)を用いたことによる効果が十分に得られず、硬化促進剤(d)の含有量が過剰であると、高極性の硬化促進剤(d)は、高温・高湿度条件下で硬化性樹脂層中において被着体との接着界面側に移動して偏析することにより、パッケージの信頼性を低下させる。
(カップリング剤(e))
カップリング剤(e)として、無機化合物と反応する官能基及び有機官能基と反応する官能基を有するものを用いることにより、硬化性樹脂層の被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(e)を用いることで、硬化性樹脂層を硬化して得られる硬化物について、その耐熱性を損なうことなく、耐水性を向上させることができる。
カップリング剤(e)は、バインダー樹脂(a)、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)等が有する官能基と反応する官能基を有する化合物であることが好ましく、シランカップリング剤であることが望ましい。
好ましい前記シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が例示できる。
カップリング剤(e)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤(e)を用いる場合、硬化性樹脂組成物のカップリング剤(e)の含有量は、バインダー樹脂(a)及びエポキシ系熱硬化性樹脂(b)の総量100質量部に対して、0.03〜20質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。カップリング剤(e)の含有量が少な過ぎると、カップリング剤(e)を用いたことによる上述の効果が得られないことがあり、カップリング剤(e)の含有量が多過ぎると、アウトガスが発生する可能性がある。
(架橋剤(f))
バインダー樹脂(a)として、イソシアネート基等の他の化合物と結合可能な官能基を有する、上述のアクリル系樹脂を用いる場合、この官能基を他の化合物と結合させて架橋するために架橋剤(f)を用いることができる。架橋剤(f)を用いて架橋することにより、硬化性樹脂層の初期接着力及び凝集力を調節できる。
架橋剤(f)としては、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物等が例示できる。
前記有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物並びにこれら化合物の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体(エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物、例えば、トリメチロールプロパンアダクトキシリレンジイソシアネート等)や、有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が例示できる。
前記有機多価イソシアネート化合物として、より具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて又は一部の水酸基にトリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネートを付加した化合物、リジンジイソシアネート等が例示できる。
前記有機多価イミン化合物としては、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が例示できる。
架橋剤(f)としてイソシアネート系架橋剤を用いる場合、バインダー樹脂(a)である前記アクリル系樹脂としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤(f)がイソシアネート基を有し、アクリル系樹脂が水酸基を有する場合、架橋剤(f)とアクリル系樹脂との反応によって、硬化性樹脂層に架橋構造を簡便に導入できる。
架橋剤(f)を用いる場合、硬化性樹脂組成物における架橋剤(f)の含有量は、バインダー樹脂(a)100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることが特に好ましい。
(その他の熱硬化性樹脂(g))
その他の熱硬化性樹脂(g)は、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)における前記エポキシ樹脂に該当しないものであればよく、熱硬化性ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が例示できる。
(汎用添加剤(h))
汎用添加剤(h)としては、公知の可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、顔料、染料、ゲッタリング剤等が例示できる。
(溶媒)
硬化性樹脂組成物は、希釈によってその取り扱い性を良好とするために、さらに溶媒を含有するものが好ましい。
硬化性樹脂組成物が含有する溶媒は、上述の粘着剤組成物における溶媒と同様のものでよい。
硬化性樹脂組成物が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
硬化性樹脂組成物が含有する溶媒は、硬化性樹脂組成物で用いる各成分を均一に混合する点から、メチルエチルケトン等であることが好ましい。
ワーク固定シートの硬化性樹脂層に対する接着力(剥離力)は、20〜250mN/25mm、であることが好ましく、30〜200mN/25mmであることがより好ましい。
接着力(剥離力)は、樹脂層付きワーク固定シートを、100mm×25mmの大きさに切断し、その硬化性樹脂層をポリ塩化ビニル(PVC)板に貼着した後、引っ張り試験機を用いて、23℃、相対湿度50%の環境下において、剥離角度180°、剥離速度300mm/分でワーク固定シートを硬化性樹脂層から剥離するのに要する力(接着力)を測定することで求められる。
<樹脂層付きワーク固定シートの製造方法>
本発明に係る樹脂層付きワーク固定シートは、上述の本発明に係るワーク固定シートの粘着剤層上に、前記硬化性樹脂組成物を用いて硬化性樹脂層を形成することで製造できる。
硬化性樹脂層は、上述のような基材フィルム上に粘着剤層を形成する場合と同様の方法で形成できるが、通常は、粘着剤層上に硬化性樹脂組成物を直接塗布することは困難である。そこで、例えば、剥離材の剥離層表面に硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥させることで形成した硬化性樹脂層を、粘着剤層の表面に貼り合わせ、前記剥離材を取り除くなど、硬化性樹脂層を別途形成しておく。そして、これを粘着剤層の表面に貼り合わせることで樹脂層付きワーク固定シートにおける硬化性樹脂層を形成することが好ましい。
硬化性樹脂組成物は、これを構成するための上述の各成分を配合することで得られ、例えば、配合成分が異なる点以外は、上述の粘着剤組成物の場合と同様の方法で得られる。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
<ワーク固定シートの製造>
[実施例1]
図1に示す構成のワーク固定シートを製造した。より具体的には、以下のとおりである。
(アクリル酸エステル共重合体の製造)
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ラウリル(以下、「LA」と略記する)80質量部、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」と略記する)(20質量部)、過酸化ベンゾイル(0.2質量部)、酢酸エチル(70質量部)、トルエン(30質量部)を入れ、窒素気流中において60℃で8時間重合反応を行うことで、アクリル系ポリマー(A)を得た。各成分の配合比を表1に示す。
このアクリル系ポリマー(A)に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「MOI」と略記する)(22質量部、HEAに対して約80モル%)、ジブチルスズラウリレート(以下、「DBTL」と略記する)(0.13質量部)を加え、空気気流中において23℃で12時間付加反応を行うことで、目的とするアクリル酸エステル共重合体(A−1)を47質量%溶液の状態で得た。各成分の配合比を表1に示す。
(粘着剤組成物の製造)
上記で得られたアクリル酸エステル共重合体(A−1)(100質量部)に対し、光重合開始剤(Z−1)(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア651」、ベンジルジメチルケタール)(3質量部)、反応遅延剤としてアセチルアセトン(1質量部)を加えて、メチルエチルケトンで希釈した後、よく撹拌し、さらにここへイソシアネート系架橋剤(B−1)としてトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート三量体付加物(日本ポリウレタン社製「コロネートHL」)(7.5質量部、アクリル酸エステル共重合体(A−1)中の残存水酸基1モルに対して、有しているイソシアネート基が1モルとなる量)を加えて23℃で撹拌することで、固形分濃度が25質量%の粘着剤組成物を得た。なお、この「粘着剤組成物の製造」における配合部数は、すべて固形分換算値である。各成分の配合比を表1に示す。
(ワーク固定シートの製造)
ポリエチレンテレフタレート(PET)剥離ライナーのシリコーン処理を施した剥離面上に、上記で得られた粘着剤組成物を塗布し、120℃で2分間加熱乾燥させ、厚さ10μmの粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層の表面に、厚さ100μmのエチレン−メタクリル酸共重合体フィルムを貼り合せ、23℃で168時間保存することにより、ワーク固定シートを得た。
<樹脂層付きワーク固定シートの製造>
図2に示す構成の樹脂層付きワーク固定シートを製造した。より具体的には、以下のとおりである。
(硬化性樹脂組成物の製造)
アクリル系樹脂(ナガセケミテクス社製「SG−P3」)(88質量部)、エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC−3000」)(12質量部)、フェノール樹脂(明和化成社製「MEH−7851−H」)(10質量部)、及びカップリング剤(信越シリコーン社製「KBM403」、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)(1質量部)をメチルエチルケトンに溶解させて、硬化性樹脂組成物として固形分濃度が20質量%であるメチルエチルケトン溶液を得た。
(樹脂層付きワーク固定シートの製造)
剥離材(リンテック社製「SP−PET381031」)上に、上記で得られた硬化性樹脂組成物を塗布し、100℃で1分間乾燥させて、厚さ20μmの硬化性樹脂層を形成した。さらに、硬化性樹脂層に上記と同種の剥離材を貼り合わせた。そして、さらに貼り合わせた剥離材と硬化性樹脂層を切断するように、直径150mmの円形にハーフカットを施した上で、円形の外側の不要部分を除去した。次いで、この硬化性樹脂層から共にハーフカットした剥離材を除去して、硬化性樹脂層の表面に、上記で得られたワーク固定シートの粘着剤層を貼り合せることにより、樹脂層付きワーク固定シートを得た。
<粘着剤組成物及び樹脂層付きワーク固定シートの評価>
上記で得られた粘着剤組成物及び樹脂層付きワーク固定シートについて、下記項目を評価した。
(粘着剤組成物の保存性)
粘着剤組成物100gを140mLガラス瓶に入れ、23℃、相対湿度50%の条件下で放置し、放置開始から8時間後の粘度を測定して、放置開始前から1000mPa・s以上の粘度の上昇が見られなかった場合を○、見られた場合を×とそれぞれ評価した。粘度計としては、トキメック社製「VISCOMETTER(BM形)」を用いた。結果を表1に示す。
(易ピックアップ性)
テープマウンター(リンテック社製「Adwill RAD2500」)を用いて、シリコンウエハ(150mm径、厚さ100μm)の2000番研磨面に、上記で得られた樹脂層付きワーク固定シートを60℃で貼付した。次いで、これをウエハダイシング用リングフレームに固定した後、ダイシング装置(ディスコ社製「DFD651」)を用いて、10mm×10mmのサイズにシリコンウエハをダイシングして、チップを得た。このダイシングのとき、基材フィルムを表面から20μmだけ切り込むようにした。次いで、紫外線照射装置(リンテック社製「Adwill RAD2000」)を用いて、350mW/cm、190mJ/cmの条件で、基材フィルム側から樹脂層付きワーク固定シートに紫外線を照射した。次いで、ダイボンダー(キャノンマシナリー社製「BESTEM−D02」)を用いて、ニードルの突上げスピードを1mm/sとし、突き上げ高さが0.3mmの際にチップがピックアップできるかどうかを評価した。ニードルは8mm四方4ピン配置とした。評価は100個のチップについて連続してピックアップを実行することにより行い、すべてのチップのピックアップが成功した場合を「○」、1以上のチップのピックアップが成功した後、2個目以降のチップのいずれかのピックアップに失敗した場合を「△」、初めのチップで失敗した場合を「×」とそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(ワーク固定シートの硬化性樹脂層に対する剥離力)
樹脂層付きワーク固定シートの硬化性樹脂層が設けられている部分を、100mm×25mmの試験片とし、この試験片について、硬化性樹脂層側をPVC板に貼付した。PVC板の貼付は、2kgローラーを試験片上で往復させ、自重による負荷を与えることによって行った。試験片を30分間、23℃、相対湿度50%の環境下に保管した後、易ピックアップ性の評価と同様の条件で試験片に紫外線を照射した。貼付から30分後に、万能引っ張り試験機(島津製作所社製「オートグラフ」)を用いて、測定時の温度23℃、測定時の相対湿度50%、引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で剥離試験を行い、UV照射後のワーク固定シートの硬化性樹脂層に対する剥離力(mN/25mm)を測定した。結果を表1に示す。
<ワーク固定シート及び樹脂層付きワーク固定シートの製造、粘着剤組成物及び樹脂層付きワーク固定シートの評価>
[実施例2〜7、比較例1〜2]
アクリル酸エステル共重合体製造時の配合成分、又は粘着剤組成物製造時の配合成分を表1又は2に示すとおりとした点以外は、実施例1と同様にワーク固定シート及び樹脂層付きワーク固定シートを製造し、粘着剤組成物及び樹脂層付きワーク固定シートを評価した。なお、すべての実施例及び比較例において、メチルエチルケトンの量を調整して粘着剤組成物の固形分濃度を25質量%に調整した。結果を表1又は2に示す。
なお、表中、「2EHA」はアクリル酸2−エチルヘキシルである。
また、実施例3、6においては、製造時の配合成分の違いから、得られたアクリル酸エステル共重合体をそれぞれアクリル酸エステル共重合体(A−2)、アクリル酸エステル共重合体(A−3)とした。
また、実施例5で用いた「イソシアネート系架橋剤(B−2)」は、トリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート三量体付加物(日本ポリウレタン社製「コロネートL」)である。
Figure 0006333596
Figure 0006333596
実施例1〜6では、イソシアネート系架橋剤の使用量が比較的多くても(アクリル酸エステル共重合体中の水酸基のモル数に対する、イソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基のモル数の比が大きくても)、反応遅延剤を用いたことにより、8時間保存後の粘着剤組成物は顕著な粘度上昇は認められず、目的としない架橋反応の進行が抑制されており、保存性が高かった。また、樹脂層付きワーク固定シートは、UV照射後の粘着剤層の硬化性樹脂層に対する粘着性が低く、易ピックアップ性を有していた。
これに対して、比較例1では、イソシアネート系架橋剤の使用量が比較的多いために、反応遅延剤を用いていないことにより、8時間保存後の粘着剤組成物は顕著な粘度上昇が認められ、目的としない架橋反応の進行を裏付けており、保存性が低かった。また、比較例2では、反応遅延剤を用いていないものの、イソシアネート系架橋剤の使用量が比較的少ないために、粘着剤組成物は保存性が高かったが、樹脂層付きワーク固定シートは、UV照射後の粘着剤層の硬化性樹脂層に対する粘着性が比較的高かった。
本発明は、半導体チップ等の製造に利用可能である。
1・・・ワーク固定シート、10・・・樹脂層付きワーク固定シート、11・・・基材フィルム、11a・・・基材フィルムの表面、12・・・粘着剤層、12a・・・粘着剤層の表面、13・・・硬化性樹脂層、13a・・・硬化性樹脂層の表面、14・・・剥離フィルム

Claims (1)

  1. 基材フィルム上にアクリル酸エステル共重合体、イソシアネート系架橋剤及び反応遅延剤を含有する粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成し、前記粘着剤層上に硬化性樹脂組成物を用いて硬化性樹脂層を形成する、樹脂層付きワーク固定シートの製造方法であって
    前記アクリル酸エステル共重合体は、水酸基を有し、且つウレタン結合を介して重合性基を側鎖に有するエネルギー線重合性のものであり、
    前記硬化性樹脂組成物の固形分中でのアクリル系樹脂の含有量が、50〜85質量%であり、
    前記粘着剤組成物は、前記アクリル酸エステル共重合体中の水酸基1モルに対して、前記イソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基を0.3モル以上有することを特徴とする、樹脂層付きワーク固定シートの製造方法
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