JP2015123715A - 樹脂膜形成用複合シート - Google Patents

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【課題】半導体チップを生産するためにウエハに貼られ、ピックアップ工程やボンディング工程を簡略化する為にダイシング・ダイボンディング用接着シートであって粘着剤層への樹脂膜形成用フィルムを構成する成分の移行を防止できる樹脂膜形成用複合シートを提供すること。【解決手段】本発明に係る樹脂膜形成用複合シート10は、基材1上に粘着剤層2を有する粘着シートと、該粘着剤層上に設けられた樹脂膜形成用フィルム4とを有する樹脂膜形成用複合シートであって、該粘着剤層がポリイソブチレンゴム系樹脂を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、チップに接着強度の高い樹脂膜を効率良く形成でき、かつ信頼性の高い半導体装置を製造することが可能な樹脂膜形成用複合シートに関する。
大径の状態で製造される半導体ウエハは、素子小片(半導体チップ)に切断分離(ダイシング)された後に、次工程であるボンディング工程に移されることがある。この際、半導体ウエハは予め接着シートに貼着された状態でダイシング、洗浄、乾燥、エキスパンディングおよびピックアップの各工程が加えられた後、次工程のボンディング工程に移送される。
これらの工程の中で、ピックアップ工程およびボンディング工程のプロセスを簡略化するため、ウエハ固定機能とダイ接着機能とを同時に兼ね備えたダイシング・ダイボンディング用接着シートが種々提案されている。例えば、前記接着シートを用いることにより、裏面に接着剤層が貼付された半導体チップを得ることができ、有機基板−チップ間、リードフレーム−チップ間、チップ−チップ間などのダイレクトダイボンディングが可能となる。
特許文献1(特開2010−260893号公報)には、ダイシング・ダイボンディング用接着シートとして、セパレータ、ダイ接着層、粘着剤層及び基材が順次積層された構成を有する積層フィルムが記載されている。
また、近年、いわゆるフェースダウン(face down)方式と呼ばれる実装法を用いた半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、回路面上にバンプなどの電極を有する半導体チップ(以下、単に「チップ」ともいう。)が用いられ、該電極が基板と接合される。このため、チップの回路面とは反対側の面(チップ裏面)は剥き出しとなることがある。
この剥き出しとなったチップ裏面は、有機膜により保護されることがある。従来、この有機膜からなる保護膜を有するチップは、液状の樹脂をスピンコート法によりウエハ裏面に塗布し、乾燥し、硬化してウエハとともに保護膜を切断して得られる。しかしながら、このようにして形成される保護膜の厚み精度は充分でないため、製品の歩留まりが低下することがあった。
このような問題を解決するため、粘着剤層を有する粘着シートの粘着剤層上に半導体裏面保護膜形成用フィルムが積層された、保護膜形成用シートが用いられることがある。
特開2010−260893号公報
上記のダイ接着層や半導体裏面保護膜形成用フィルム等の樹脂膜形成用フィルムが貼付されたチップを得るために用いられる樹脂膜形成用複合シートは、粘着シートにおける粘着剤層と樹脂膜形成用フィルムとを積層して製造される。そして、樹脂膜形成用複合シートは、使用されるまでの間、保管されることがある。このとき、粘着剤層の組成によっては樹脂膜形成用フィルムを構成する成分との相溶性が高いことに起因して、樹脂膜形成用フィルムを構成する成分が粘着剤層に移行することがあった。このような成分移行により、経時的に樹脂膜形成用フィルムの組成が変化し、その結果、樹脂膜形成用フィルムの接着性や硬化性が低下することがあった。樹脂膜形成用フィルムの接着性や硬化性が低下すると、優れた信頼性を有する半導体装置の製造が困難になる。
特許文献1には、積層フィルムにおける粘着剤層を構成する粘着剤として、ポリイソブチレンなどをベースポリマーとしたゴム系粘着剤が例示されているが、粘着剤の好ましい態様としてはアクリル系粘着剤が挙げられており、その実施例においては粘着剤層を構成する粘着剤としてアクリル系粘着剤を用いた積層フィルムしか開示していない。また、特許文献1の積層フィルムにおいては、粘着剤層とダイ接着層との間における成分移行の問題に着目していない。このような特許文献1の積層フィルムでは、成分移行に起因した上記の問題を解決することは困難である。
本発明は上記のような従来技術に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、粘着剤層への樹脂膜形成用フィルムを構成する成分の移行を防止できる樹脂膜形成用複合シートを提供することである。
上記課題を解決する本発明は、以下の要旨を含む。
〔1〕基材上に粘着剤層を有する粘着シートと、該粘着剤層上に設けられた樹脂膜形成用フィルムとを有する樹脂膜形成用複合シートであって、
該粘着剤層がポリイソブチレンゴム系樹脂を含む、樹脂膜形成用複合シート。
〔2〕樹脂膜形成用フィルムがエポキシ化合物及び熱硬化剤を含み、
樹脂膜形成用フィルムにおけるエポキシ化合物と熱硬化剤の合計の割合が50質量%を超え80質量%以下である〔1〕に記載の樹脂膜形成用複合シート。
〔3〕樹脂膜形成用フィルムがアクリル重合体を含み、
樹脂膜形成用フィルムにおけるアクリル重合体の割合が5〜20質量%である〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂膜形成用複合シート。
〔4〕ポリイソブチレンゴム系樹脂が、イソブチレンホモポリマーである〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の樹脂膜形成用複合シート。
本発明によれば、樹脂膜形成用複合シートにおいて、粘着剤層への樹脂膜形成用フィルムを構成する成分の移行を防止できる。
本発明の第1の構成に係る樹脂膜形成用複合シートを治具に貼付した状態を示す図である。 本発明の第2の構成に係る樹脂膜形成用複合シートを治具に貼付した状態を示す図である。 本発明の第3の構成に係る樹脂膜形成用複合シートを治具に貼付した状態を示す図である。
以下、本発明の樹脂膜形成用複合シートについてさらに具体的に説明する。図1〜図3に示すように、本発明の樹脂膜形成用複合シート10は、基材1上に粘着剤層2を有する粘着シート3と、該粘着剤層2上に設けられた樹脂膜形成用フィルム4とを有する。また、図1〜3に示すように、樹脂膜形成用複合シート10はその使用に際してリングフレーム等の治具7に貼付されることがある。治具7との接着性を向上させるために、図2及び3に示すように、樹脂膜形成用複合シート10の外周部には、環状の治具接着層5を設けてもよい。
(粘着シート)
粘着シート3は、基材1上に粘着剤層2を有する。粘着シートの主な機能は、ワーク(例えば半導体ウエハ等)がダイシングを経て個片化されたチップを保持し、また場合によっては図1に示すように、外周部の粘着剤層により治具7に貼付されて、ワーク及びチップ、並びに樹脂膜形成用複合シート自体の固定を行うことである。
(粘着剤層)
本発明における粘着剤層は、基材の一方の面に積層され、ポリイソブチレンゴム系樹脂を含む。ポリイソブチレンゴム系樹脂は低極性であるため、ポリイソブチレンゴム系樹脂と比較して極性が高い成分が含まれる樹脂膜形成用フィルムの各成分が、粘着剤層へ移行することを防止できる。
ポリイソブチレンゴム系樹脂は、イソブチレン単位を主成分とする高分子であればよく、例えば、イソブチレン単独重合体(イソブチレンホモポリマー)、イソブチレンと炭素数2〜10のオレフィン単量体との共重合体などが挙げられる。なお、該共重合体は、イソブチレン単位を60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90〜99質量%であることが好ましい。
これらの中でも、後述する樹脂膜形成用フィルムからの成分移行を防止する観点や後述する基材との密着性の観点から、ポリイソブチレンゴム系樹脂はイソブチレンホモポリマーやイソブチレンと炭素数3〜10のオレフィン単量体との共重合体が好ましく、イソブチレンホモポリマーがより好ましい。
ポリイソブチレンゴム系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定した値で、好ましくは−100〜0℃、より好ましくは−90〜−30℃である。
ポリイソブチレンゴム系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10万〜200万、より好ましくは15万〜180万である。重量平均分子量(Mw)の値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC)法(ポリスチレン標準)により測定される場合の値である(以下同じ)。このような方法による測定は、たとえば、東ソー社製の高速GPC装置「HLC−8120GPC」に、高速カラム「TSK gurd column HXL−H」、「TSK Gel GMHXL」、「TSK Gel G2000 HXL」(以上、全て東ソー社製)をこの順序で連結したものを用い、カラム温度:40℃、送液速度:1.0mL/分の条件で、検出器を示差屈折率計として行われる。
なお、本発明における粘着剤層は、ポリイソブチレンゴム系樹脂の他に、本発明の効果を妨げない範囲で従来より公知の種々の添加剤等を含んでもよい。このような添加剤としては、何ら限定されるものではないが、例えば可塑剤、無機充填材等が挙げられる。
粘着剤層におけるポリイソブチレンゴム系樹脂の割合は、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、特に好ましくは100質量%である。
上記のようなポリイソブチレンゴム系樹脂を含む粘着剤層の厚みは、好ましくは3〜100μm、より好ましくは5〜50μmである。
(基材)
基材は特に限定されず、たとえばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。
基材の厚さは特に限定されず、好ましくは20〜300μm、より好ましくは60〜100μmである。基材の厚みを上記範囲とすることで、樹脂膜形成用複合シートが十分な可とう性を有するため、ワークに対して良好な貼付性を示す。
また、基材が粘着剤層と接する面には、粘着剤層を形成するためのポリイソブチレンゴム系樹脂を含む粘着剤の濡れ性を向上させるために、コロナ処理を施したり、プライマー等の他の層を設けてもよい。プライマー等の他の層は接着剤からなる層であってもよい。プライマー等の他の層の厚みは特に限定されない。
(樹脂膜形成用フィルム)
樹脂膜形成用フィルムに少なくとも要求される機能は、(1)シート形状維持性、(2)初期接着性および(3)硬化性である。
樹脂膜形成用フィルムには、後述する重合体成分や硬化性成分の添加により(1)シート形状維持性および(3)硬化性を付与することができる。
なお、樹脂膜形成用フィルムを硬化までの間、ワークに仮着させておくための機能である(2)初期接着性は、感圧接着性であってもよく、熱により軟化して接着する性質であってもよい。(2)初期接着性は、通常各成分の諸特性や、後述する無機フィラー(C)の配合量の調整などにより制御される。
(A)重合体成分
重合体成分(A)は、樹脂膜形成用フィルムにシート形状維持性を付与することを主目的として添加される。
上記の目的を達成するため、重合体成分(A)の重量平均分子量(Mw)は、通常20,000以上であり、20,000〜3,000,000であることが好ましい。
重合体成分(A)としては、アクリル重合体、ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ゴム系重合体等を用いることができる。また、これらの2種以上が結合したもの、たとえば、水酸基を有するアクリル重合体であるアクリルポリオールに、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを反応させることにより得られるアクリルウレタン樹脂等であってもよい。さらに、2種以上が結合した重合体を含め、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)アクリル重合体
重合体成分(A)としては、アクリル重合体(A1)が好ましく用いられる。アクリル重合体(A1)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−60〜50℃、より好ましくは−50〜40℃、さらに好ましくは−40〜30℃の範囲にある。アクリル重合体(A1)のガラス転移温度が高いと樹脂膜形成用フィルムの接着性が低下し、転写後に、ワークから樹脂膜形成用フィルムまたは樹脂膜形成用フィルムを硬化して得られる樹脂膜が剥離する等の不具合を生じることがある。また、アクリル重合体(A1)のガラス転移温度が低いと樹脂膜形成用フィルムと粘着シートとの剥離力が大きくなって樹脂膜形成用フィルムの転写不良が起こることがある。
アクリル重合体(A1)のガラス転移温度(Tg)は、アクリル重合体(A1)を構成するモノマーの組み合わせにより調整することができる。例えば、ガラス転移温度を高くする方法としては、アクリル重合体(A1)を構成するモノマーとして、後述するアルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いる場合に、アルキル基の炭素数の小さい(メタ)アクリル酸アルキルエステルを選択する方法や、アルキル基の炭素数の小さい(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有割合を大きくする方法が挙げられる。
なお、アクリル重合体(A1)のガラス転移温度(Tg)は、アクリル重合体(A1)を構成するモノマーの単独重合体のガラス転移温度に基づき、以下の計算式(FOXの式)で求められる。アクリル重合体(A1)のTgをTg copolymer、アクリル重合体(A1)を構成するモノマーXの単独重合体のTgをTg x、モノマーYの単独重合体のTgをTg y、モノマーXのモル分率をWx(mol%)、モノマーYのモル分率をWy(mol%)として、FOXの式は以下の式(1)で表される。
100/Tg copolymer=Wx/Tg x+Wy/Tg y ・・・(1)
さらにFOXの式は、アクリル重合体(A1)が3つ以上のモノマーによる共重合組成となっても、上式(1)と同様の加成性が成り立つものとして扱うことができる。
アクリル重合体(A1)の重量平均分子量は、100,000〜1,500,000であることが好ましい。アクリル重合体(A1)の重量平均分子量が高いと樹脂膜形成用フィルムの接着性が低下し、ワークに転写できなくなることや、転写後にワークから樹脂膜形成用フィルムまたは樹脂膜が剥離する等の不具合を生じることがある。また、アクリル重合体(A1)の重量平均分子量が低いと樹脂膜形成用フィルムと粘着シートとの接着性が高くなり、樹脂膜形成用フィルムの転写不良が起こることがある。
アクリル重合体(A1)は、少なくとも構成する単量体に、(メタ)アクリル酸エステルモノマーあるいはその誘導体を含む。なお、本明細書で(メタ)アクリルは、アクリルおよびメタクリルの両者を包含する意味で用いることがある。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーあるいはその誘導体としては、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等が挙げられる。
環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばモノエチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート等が挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル重合体(A1)を構成する単量体として、水酸基を有する単量体を用いることが好ましい。このような単量体を用いることで、アクリル重合体(A1)に水酸基が導入され、樹脂膜形成用フィルムが別途エネルギー線硬化性成分(B2)を含有する場合に、これとアクリル重合体(A1)との相溶性が向上する。水酸基を有する単量体としては、上記の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルの他に、ビニルアルコール、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アクリル重合体(A1)を構成する単量体として、カルボキシル基を有する単量体を用いてもよい。このような単量体を用いることで、アクリル重合体(A1)にカルボキシル基が導入され、樹脂膜形成用フィルムが、別途エネルギー線硬化性成分(B2)を含有する場合に、これとアクリル重合体(A1)との相溶性が向上する。カルボキシル基を有する単量体としては、上記のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの他に、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。後述する硬化性成分(B)として、エポキシ系熱硬化性成分を用いる場合には、カルボキシル基とエポキシ系熱硬化性成分中のエポキシ基が反応してしまうため、カルボキシル基を有する単量体の使用量は少ないことが好ましい。
アクリル重合体(A1)を構成する単量体として、このほか(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、エチレン、α−オレフィン等を用いてもよい。
また、アクリル重合体(A1)は架橋されていてもよい。樹脂膜形成用フィルムが後述する架橋剤(F)を含有する場合には、アクリル重合体(A1)は反応性官能基を有することが好ましい。架橋は、反応性官能基と架橋剤の有する架橋性官能基が反応することにより行われる。アクリル重合体(A1)を架橋することにより、樹脂膜形成用フィルムの凝集力を調節することが可能となる。
本発明における反応性官能基は、後述する架橋剤(F)の有する架橋性官能基と反応する官能基であり、具体的には、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、水酸基等が挙げられる。
アクリル重合体(A1)の反応性官能基としては、架橋剤(F)として好ましく用いられる有機多価イソシアネート化合物と選択的に反応させやすいことから、水酸基が好ましい。また、水酸基を有するアクリル重合体(A1)は、後述する熱硬化性成分(B1)との相溶性に優れる。
反応性官能基は、アクリル重合体(A1)を構成する単量体として反応性官能基を有する単量体を用いることで、アクリル重合体(A1)に導入できる。反応性官能基を有する単量体としては、上記の水酸基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体、アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
アクリル重合体(A1)を構成する単量体として、反応性官能基を有する単量体を用いることによりアクリル重合体(A1)に反応性官能基を導入する場合、反応性官能基を有する単量体の、アクリル重合体(A1)を構成する単量体全質量中の割合は1〜40質量%が好ましく、3〜35質量%であることがより好ましい。アクリル重合体(A1)における、反応性官能基を有する単量体に由来する構成単位を上記範囲とすることで、反応性官能基と架橋剤(F)の架橋性官能基とが反応して三次元網目構造を形成することが容易となり、アクリル重合体(A1)の架橋密度を高めることができる。その結果、樹脂膜形成用フィルムは、せん断強度に優れる。また、樹脂膜形成用フィルムの吸水性が低下するため、パッケージ信頼性に優れる半導体装置を得ることができる。
また、たとえば側鎖に水酸基等の官能基Xを有する原料アクリル重合体に、官能基Xと反応しうる官能基Y(たとえば、官能基Xが水酸基である場合にはイソシアネート基等)および反応性二重結合基を有する低分子化合物を反応させて調製したものをアクリル重合体(A)として用いてもよい。これにより、アクリル重合体(A)に反応性二重結合基が付加される。
樹脂膜形成用フィルムにおけるアクリル重合体(A1)の割合(樹脂膜形成用フィルムを構成する全固形分に対するアクリル重合体(A1)の割合)は、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは5〜18質量%、さらに好ましくは8〜15質量%である。樹脂膜形成用フィルムにおけるアクリル重合体(A1)の割合を上記範囲とすることで、樹脂膜形成用フィルムのワークへの貼付適性が向上する。また、半導体装置の製造工程において、樹脂膜形成用フィルム付半導体チップを樹脂膜形成用フィルムを介してチップ搭載部に載置後、樹脂膜形成用フィルムを本硬化する際に、接着性と硬化性に優れる。
(A2)非アクリル系樹脂
また、重合体成分(A)として、ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ゴム系重合体またはこれらの2種以上が結合したものから選ばれる非アクリル系樹脂(A2)の1種単独または2種以上の組み合わせを用いてもよい。このような樹脂としては、重量平均分子量が20,000〜100,000のものが好ましく、20,000〜80,000のものがさらに好ましい。
非アクリル系樹脂(A2)のガラス転移温度は、好ましくは−30〜150℃、さらに好ましくは−20〜120℃の範囲にある。
非アクリル系樹脂(A2)を、上述のアクリル重合体(A1)と併用した場合には、樹脂膜形成用複合シートを用いてワークへ樹脂膜形成用フィルムを転写する際に、粘着剤層と樹脂膜形成用フィルムとの層間剥離をさらに容易に行うことができ、さらに転写面に樹脂膜形成用フィルムが追従しボイドなどの発生を抑えることができる。
非アクリル系樹脂(A2)を、上述のアクリル重合体(A1)と併用する場合には、非アクリル系樹脂(A2)の含有量は、非アクリル系樹脂(A2)とアクリル重合体(A1)との質量比(A2:A1)において、好ましくは1:99〜70:30、より好ましくは1:99〜60:40の範囲にある。非アクリル系樹脂(A2)の含有量がこの範囲にあることにより、上記の効果を得ることができる。
樹脂膜形成用フィルムにおける重合体成分(A)の総量の割合(樹脂膜形成用フィルムを構成する全固形分に対する重合体成分(A)の割合)は、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは15〜40質量%、さらに好ましくは15〜30質量%である。樹脂膜形成用フィルムにおける重合体成分(A)の割合を上記範囲とすることで、重合体成分(A)の種類を種々組み合わせた場合にも、樹脂膜形成用フィルムのワークへの貼付適性を安定して得ることが容易となる。
(B)硬化性成分
硬化性成分(B)は、樹脂膜形成用フィルムに硬化性を付与することを主目的として樹脂膜形成用フィルムに添加される。硬化性成分(B)は、熱硬化性成分(B1)、またはエネルギー線硬化性成分(B2)を用いることができる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。熱硬化性成分(B1)は、少なくとも加熱により反応する官能基を有する化合物を含有する。また、エネルギー線硬化性成分(B2)は、反応性二重結合基を有する化合物を含有し、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する。これらの硬化性成分が有する官能基同士が反応し、三次元網目構造が形成されることにより硬化が実現される。硬化性成分(B)は、重合体成分(A)と組み合わせて用いるため、樹脂膜形成用フィルムを形成するための塗工用組成物(樹脂膜形成用組成物)の粘度を抑制し、取り扱い性を向上させる等の観点から、通常その重量平均分子量(Mw)は、10,000以下であり、100〜10,000であることが好ましい。
なお、エネルギー線硬化性成分(B2)における「反応性二重結合基」は、重合性の炭素−炭素二重結合を有する官能基であり、具体的な例としてはビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基が挙げられる。本発明における反応性二重結合基は、ラジカル存在下でラジカルを生成して重付加反応を容易に起こすため、重合性を有しない二重結合を意味しない。たとえば、樹脂膜形成用組成物を構成する各成分には芳香環が含まれていてもよいが、芳香環の不飽和構造は本発明における反応性二重結合基を意味しない。
(B1)熱硬化性成分
熱硬化性成分としては、たとえば、エポキシ系熱硬化性成分が好ましい。
エポキシ系熱硬化性成分は、エポキシ基を有する化合物(B11)(以下、「エポキシ化合物(B11)」ということがある。)を含有し、エポキシ化合物(B11)と熱硬化剤(B12)を組み合わせたものを用いることが好ましく、エポキシ化合物(B11)と熱硬化剤(B12)と硬化促進剤(B13)を組み合わせたものを用いることがより好ましい。
熱硬化性成分(B1)を用いる場合には、樹脂膜形成用フィルムにおけるエポキシ化合物(B11)と熱硬化剤(B12)の合計の割合(樹脂膜形成用フィルムを構成する全固形分に対するエポキシ化合物(B11)と熱硬化剤(B12)の合計の割合)は、好ましくは50質量%を超え80質量%以下、より好ましくは55〜70質量%である。エポキシ化合物(B11)と熱硬化剤(B12)の合計の割合を上記範囲とすることで、樹脂膜形成用フィルムの硬化後の弾性率が向上するため、半導体装置の製造工程において、樹脂膜形成用フィルムの硬化後にワイヤボンディング工程を行う際に、ワイヤボンディング工程を安定して行うことができる。また、半導体装置の製造工程において、樹脂膜形成用フィルム付半導体チップを樹脂膜形成用フィルムを介してチップ搭載部に載置後、樹脂膜形成用フィルムを本硬化する際に、接着性と硬化性に優れる。
(B11)エポキシ化合物
エポキシ化合物(B11)としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、多官能系エポキシ樹脂や、ビスフェノールAジグリシジルエーテルやその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂など、分子中に2官能以上有するエポキシ化合物が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ化合物(B11)を用いる場合には、樹脂膜形成用フィルムには、重合体成分(A)100質量部に対して、エポキシ化合物(B11)が、好ましくは1〜1500質量部含まれ、より好ましくは3〜1200質量部、さらに好ましくは40〜1000質量部含まれる。エポキシ化合物(B11)が少ないと、樹脂膜形成用フィルムの硬化後における接着性が低下する傾向がある。また、エポキシ化合物(B11)が多いと、樹脂膜形成用フィルムと粘着シートとの剥離力が高くなり、樹脂膜形成用フィルムの転写不良が起こることがある。
(B12)熱硬化剤
熱硬化剤(B12)は、エポキシ化合物(B11)に対する硬化剤として機能する。好ましい熱硬化剤としては、1分子中にエポキシ基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。その官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基および酸無水物などが挙げられる。これらのうち好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基、酸無水物などが挙げられ、さらに好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基が挙げられる。
フェノール系硬化剤の具体的な例としては、多官能系フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂が挙げられる。
アミン系硬化剤の具体的な例としては、DICY(ジシアンジアミド)が挙げられる。
これらは、1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
熱硬化剤(B12)の含有量は、エポキシ化合物(B11)100質量部に対して、0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜200質量部であることがより好ましい。熱硬化剤の含有量が少ないと、樹脂膜形成用フィルムの硬化後における接着性が低下する傾向がある。熱硬化剤の含有量が多いと、樹脂膜形成用フィルムのワークへの貼付適性が低下することがある。
(B13)硬化促進剤
硬化促進剤(B13)を、樹脂膜形成用フィルムの熱硬化の速度を調整するために用いてもよい。硬化促進剤(B13)は、特に、熱硬化性成分(B1)として、エポキシ系熱硬化性成分を用いるときに好ましく用いられる。
好ましい硬化促進剤としては、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
硬化促進剤(B13)は、エポキシ化合物(B11)および熱硬化剤(B12)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部の量で含まれる。硬化促進剤(B13)を上記範囲の量で含有することにより、高温度高湿度下に曝されても優れた接着性を有し、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても高い信頼性を達成することができる。硬化促進剤(B13)を添加することで、樹脂膜形成用フィルムの硬化後の接着性を向上させることができる。このような作用は硬化促進剤(B13)の含有量が多いほど強まる。
(B2)エネルギー線硬化性成分
樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性成分(B2)を含有することで、多量のエネルギーと長い時間を要する熱硬化工程を行うことなく樹脂膜形成用フィルムの硬化を行うことができる。これにより、製造コストの低減を図ることができる。
エネルギー線硬化性成分(B2)は、反応性二重結合基を有する化合物としてエネルギー線反応性化合物(B21)を単独で用いてもよいが、エネルギー線反応性化合物(B21)と光重合開始剤(B22)を組み合わせたものを用いることが好ましい。
(B21)エネルギー線反応性化合物
エネルギー線反応性化合物(B21)としては、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジシクロペンタジエン骨格含有多官能アクリレート等のアクリレート系化合物が挙げられ、また、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートおよびイタコン酸オリゴマーなどのアクリレート系化合物等の重合構造を有するアクリレート化合物であって、比較的低分子量のものが挙げられる。このような化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性の炭素−炭素二重結合を有する。
エネルギー線反応性化合物(B21)を用いる場合、樹脂膜形成用フィルムには、重合体成分(A)100質量部に対して、エネルギー線反応性化合物(B21)が、好ましくは1〜1500質量部含まれ、より好ましくは3〜1200質量部含まれる。
(B22)光重合開始剤
エネルギー線反応性化合物(B21)に光重合開始剤(B22)を組み合わせることで、重合硬化時間を短くし、ならびに光線照射量を少なくすることができる。
このような光重合開始剤(B22)として具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、1,2−ジフェニルメタン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびβ−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。光重合開始剤(B22)は1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤(B22)の配合割合は、エネルギー線反応性化合物(B21)100質量部に対して0.1〜10質量部含まれることが好ましく、1〜7質量部含まれることがより好ましい。
光重合開始剤(B22)の配合割合が0.1質量部未満であると光重合の不足で満足な硬化性が得られないことがあり、10質量部を超えると光重合に寄与しない残留物が生成し、不具合の原因となることがある。
(C)無機フィラー
樹脂膜形成用フィルムは、無機フィラー(C)を含有していてもよい。無機フィラー(C)を樹脂膜形成用フィルムに配合することにより、硬化後の樹脂膜形成用フィルムの熱膨張係数を調整することが可能となり、ワークに対して硬化後の樹脂膜形成用フィルムの熱膨張係数を最適化することで半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、硬化後の樹脂膜形成用フィルムの吸湿性を低減させることも可能となる。
好ましい無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等が挙げられる。これらのなかでも、シリカフィラーおよびアルミナフィラーが好ましい。上記無機フィラー(C)は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上述の効果をより確実に得るための、無機フィラー(C)の含有量の範囲としては、樹脂膜形成用フィルムを構成する全固形分に対して、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜60質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。
(D)着色剤
樹脂膜形成用フィルムには、着色剤(D)を配合することができる。着色剤としては、有機または無機の顔料および染料が用いられる。これらの中でも電磁波や赤外線遮蔽性の点から黒色顔料が好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が用いられるが、これらに限定されることはない。
着色剤(D)は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
着色剤(D)の配合量は、樹脂膜形成用フィルムを構成する全固形分に対して、好ましくは0.1〜35質量%、さらに好ましくは0.5〜25質量%、特に好ましくは1〜15質量%である。
(E)カップリング剤
無機物と反応する官能基および有機官能基と反応する官能基を有するカップリング剤(E)を、樹脂膜形成用フィルムのワークに対する接着性および/または樹脂膜形成用フィルムの凝集性を向上させるために用いてもよい。また、カップリング剤(E)を使用することで、硬化後の樹脂膜形成用フィルムの耐熱性を損なうことなく、その耐水性を向上させることができる。このようなカップリング剤としては、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらのうちでも、シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、その有機官能基と反応する官能基が、重合体成分(A)、硬化性成分(B)などが有する官能基と反応する基であるシランカップリング剤が好ましく使用される。
このようなシランカップリング剤としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシランなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
シランカップリング剤は、重合体成分(A)および硬化性成分(B)の合計100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部の割合で含まれる。シランカップリング剤の含有量が0.1質量部未満だと上記の効果が得られない可能性があり、20質量部を超えるとアウトガスの原因となる可能性がある。
(F)架橋剤
樹脂膜形成用フィルムの初期接着力および凝集力を調節するために、架橋剤(F)を添加することもできる。なお、架橋剤を配合する場合には、前記アクリル重合体(A1)には、反応性官能基が含まれる。
架橋剤としては、有機多価イソシアネート化合物、有機多価エポキシ化合物、有機多価イミン化合物、金属キレート系架橋剤等が挙げられ、反応性の高さから有機多価イソシアネート化合物が好ましい。
有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物およびこれらの有機多価イソシアネート化合物の三量体、イソシアヌレート体、 アダクト体(エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物との反応物、例えばトリメチロールプロパンアダクトキシリレンジイソシアネート等)や、有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。
有機多価イソシアネート化合物のさらに具体的な例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、トリメチロールプロパンアダクトトリレンジイソシアネートおよびリジンイソシアネートが挙げられる。
有機多価エポキシ化合物の具体的な例としては、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミンなどが挙げられる。
有機多価イミン化合物の具体的な例としては、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネートおよびN,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等を挙げることができる。
金属キレート系架橋剤の具体的な例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート系架橋剤;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート系架橋剤;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート系架橋剤などが挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イソシアネート系の架橋剤を用いる場合、反応性官能基として水酸基を有するアクリル重合体(A1)を用いることが好ましい。架橋剤(F)がイソシアネート基を有し、アクリル重合体(A1)が水酸基を有すると、架橋剤(F)とアクリル重合体(A1)との反応が起こり、樹脂膜形成用フィルムに架橋構造を簡便に導入することができる。
架橋剤(F)を用いる場合、架橋剤(F)はアクリル重合体(A1)100質量部に対して通常0.01〜20質量部、好ましくは0.1〜15質量部の比率で用いられる。
(G)汎用添加剤
樹脂膜形成用フィルムには、上記の他に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。各種添加剤としては、レベリング剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、イオン捕捉剤、ゲッタリング剤、連鎖移動剤や剥離剤などが挙げられる。
樹脂膜形成用フィルムは、たとえば上記各成分を適宜の割合で混合して得られる樹脂膜形成用組成物を用いて得られる。樹脂膜形成用組成物は、予め溶媒で希釈しておいてもよく、また混合時に溶媒に加えてもよい。また、樹脂膜形成用組成物の使用時に、溶媒で希釈してもよい。
かかる溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ヘプタンなどが挙げられる。
樹脂膜形成用フィルムは、初期接着性(例えば感圧接着性や熱接着性)と硬化性とを有する。樹脂膜形成用フィルムが感圧接着性を有する場合には、未硬化状態ではワークに押圧して貼付することができる。また、樹脂膜形成用フィルムが熱接着性を有する場合には、ワークに押圧する際に、樹脂膜形成用フィルムを加熱して貼付することができる。本発明における熱接着性とは、常温では感圧接着性がないが、熱により軟化してワークに接着可能となることをいう。
樹脂膜形成用フィルムは、硬化を経て最終的には耐衝撃性の高い樹脂膜を与えることができ、厳しい高温度高湿度条件下における接着強度や保護機能に優れる。なお、樹脂膜形成用フィルムは単層構造であってもよく、また多層構造であってもよい。
樹脂膜形成用フィルムの厚さは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは2〜90μm、特に好ましくは3〜80μmである。樹脂膜形成用フィルムの厚さを上記範囲とすることで、樹脂膜形成用フィルムが信頼性の高い保護膜または接着剤として機能する。
(樹脂膜形成用複合シート)
上記のような各層からなる、本発明の樹脂膜形成用複合シートの構成を図1から図3に示す。図1から図3に示すように、樹脂膜形成用複合シート10は、基材1上に粘着剤層2を有する粘着シート3と、粘着シート3上に設けられた樹脂膜形成用フィルム4とを有する。樹脂膜形成用フィルム4は、粘着剤層2上に剥離可能に形成され、ワークと略同形状またはワークの形状をそっくり含むことのできる形状であれば特に限定されない。例えば、図1及び2に示すように、樹脂膜形成用複合シートにおける樹脂膜形成用フィルムは、ワークと略同形状又はワークの形状をそっくり含むことのできる形状に調整され、樹脂膜形成用フィルムよりも大きなサイズの粘着シート上に積層される、事前成形構成をとることができる。また、図3に示すように、樹脂膜形成用フィルムは粘着シートと同形状としてもよい。
樹脂膜形成用複合シートの形状は、枚葉のものに限られず、長尺の帯状のものであってもよく、これを巻収してもよい。
樹脂膜形成用複合シートは、ワークに貼付され、場合によっては、樹脂膜形成用複合シート上でワークにダイシング等の所要の加工が施される。その後、樹脂膜形成用フィルムをワークに固着残存させて粘着シートを剥離する。すなわち、樹脂膜形成用フィルムを、粘着シートからワークに転写する工程を含むプロセスに使用される。
樹脂膜形成用複合シート上でワークにダイシング工程を行う場合には、樹脂膜形成用複合シートが、ダイシング工程においてワークを支持するためのダイシングシートとして機能し、粘着シートと樹脂膜形成用フィルムの間の接着性が保たれ、ダイシング工程において樹脂膜形成用フィルム付チップが粘着シートから剥がれることを抑制するという効果が得られる。樹脂膜形成用複合シートが、ダイシング工程においてワークを支持するためのダイシングシートとして機能する場合、ダイシング工程において樹脂膜形成用フィルム付ウエハに別途ダイシングシートを貼り合せてダイシングをする必要がなくなり、半導体装置の製造工程を簡略化できる。
樹脂膜形成用フィルムが事前成形構成をとる場合においては、樹脂膜形成用複合シートを次の第1または第2の構成としてもよい。以下、樹脂膜形成用複合シート10の各構成について図1及び図2を用いて説明する。
第1の構成は、図1に示すように、樹脂膜形成用フィルム4の片面に、基材1上に粘着剤層2が形成された粘着シート3が剥離可能に形成された構成である。第1の構成を採用する場合には、樹脂膜形成用複合シート10は、その外周部において粘着シート3の粘着剤層2により治具7に貼付される。
第2の構成は、図2に示すように、樹脂膜形成用複合シート10の粘着剤層2上に、樹脂膜形成用フィルム4と重ならない領域に治具接着層5を設けた構成である。治具接着層としては、粘着剤層単体からなる粘着部材、基材と粘着剤層から構成される粘着部材や、芯材の両面に粘着剤層を有する両面粘着部材を採用することができる。
治具接着層は、環状(リング状)であり、空洞部(内部開口)を有し、リングフレーム等の治具に固定可能な大きさを有する。
治具接着層の粘着剤層を形成する粘着剤としては、特に制限されないが、たとえばアクリル粘着剤、ゴム系粘着剤、またはシリコーン粘着剤からなることが好ましい。
芯材の両面に粘着剤層を有する両面粘着部材を治具接着層として用いる場合には、治具接着層の一方の粘着剤層(樹脂膜形成用複合シートと積層される粘着剤層、以下において「積層用粘着剤層」と記載することがある。)と、他方の粘着剤層(治具に貼付される粘着剤層、以下において「固定用粘着剤層」と記載することがある。)は同種の粘着剤を用いてもよいし、異なる粘着剤を用いてもよい。
これらのうちで、リングフレーム等の治具からの再剥離性の観点からはアクリル粘着剤が好ましい。なお、上記粘着剤は、単独で用いても、二種以上混合して用いてもよい。
治具接着層の基材や芯材としては、上述した基材と同様のものを用いることができる。
治具接着層の粘着剤層の厚さは、好ましくは2〜20μm、より好ましくは3〜15μm、さらに好ましくは4〜10μmであり、基材や芯材の厚さは、好ましくは15〜200μm、より好ましくは30〜150μm、さらに好ましくは40〜100μmである。
樹脂膜形成用複合シートを、これらの第1及び第2の構成とすることで、樹脂膜形成用フィルムを取り囲む領域において、粘着剤層または治具接着層の十分な接着性により、樹脂膜形成用複合シートをリングフレーム等の治具に接着することができる。
樹脂膜形成用フィルムが事前成形構成をとらない場合、すなわち、図3に示すように、樹脂膜形成用フィルム4と粘着シート3とを同形状とした場合において、樹脂膜形成用フィルム4の表面の外周部には、治具接着層5が設けられていてもよい。治具接着層としては、上述したものと同じものを用いることができる。
なお、芯材の両面に粘着剤層を有する両面粘着部材を治具接着層とする場合には、積層用粘着剤層は樹脂膜形成用複合シートの樹脂膜形成用フィルムと積層される。そのため、樹脂膜形成用フィルムの各成分が積層用粘着剤層へ成分移行することを防止する観点から、ポリイソブチレンゴム系樹脂を含む積層用粘着剤層を用いることが好ましく、治具からの再剥離性の観点から、アクリル粘着剤からなる固定用粘着剤層を用いることが好ましい。
樹脂膜形成用フィルムの粘着シートに貼付される面とは反対面には、カバーフィルムを仮着しておいてもよい。カバーフィルムは、粘着剤層や治具接着層を覆っていてもよい。カバーフィルムとしては、たとえばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレン テレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。
カバーフィルムの樹脂膜形成用フィルムに接する面の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m以下である。下限値は通常25mN/m程度である。このような表面張力が比較的低いカバーフィルムは、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、またカバーフィルムの表面に剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。
剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系などが用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
上記の剥離剤を用いてカバーフィルムの基体となるフィルム等の表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布して、剥離剤が塗布されたカバーフィルムを常温下または加熱下に供するか、または電子線により硬化させて剥離剤層を形成させればよい。
また、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などによりフィルムの積層を行うことによりカバーフィルムの表面張力を調整してもよい。すなわち、少なくとも一方の面の表面張力が、上述したカバーフィルムの樹脂膜形成用フィルムと接する面のものとして好ましい範囲内にあるフィルムを、当該面が樹脂膜形成用フィルムと接する面となるように、他のフィルムと積層した積層体を製造し、カバーフィルムとしてもよい。
カバーフィルムの膜厚は、通常は5〜300μm、好ましくは10〜200μm、特に好ましくは20〜150μm程度である。
このような樹脂膜形成用複合シートの樹脂膜形成用フィルムは、ワークを個片化して得られるチップをダイ搭載部に接着するためのダイボンディング用接着フィルムや、フェースダウン型半導体チップの裏面を保護する保護膜としての機能を有する。
(樹脂膜形成用複合シートの製造方法)
樹脂膜形成用複合シートの製造方法について、図1に示す樹脂膜形成用複合シートを例に具体的に説明するが、本発明の樹脂膜形成用複合シートは、このような製造方法により得られるものに限定されない。
まず、基材の表面に粘着剤層を形成し、粘着シートを得る。基材の表面に粘着剤層を設ける方法は特に限定されない。
例えば、剥離シート(第1剥離シート)上に所定の膜厚になるように、ポリイソブチレンゴム系樹脂を含む粘着剤を塗布し乾燥して、粘着剤層を形成する。次いで、粘着剤層を基材の表面に転写することで、粘着シートを得ることができる。また、基材の表面にポリイソブチレンゴム系樹脂を含む粘着剤を直接塗布、乾燥して粘着剤層を形成し、粘着シートを得ることもできる。
剥離シートとしては、上述した基材として例示したフィルムを用いることができる。
また、別の剥離シート(第2剥離シート)上に樹脂膜形成用組成物を塗布し樹脂膜形成用フィルムを形成する。次いで、別の剥離シート(第3剥離シート)を樹脂膜形成用フィルム上に積層し、第2剥離シート/樹脂膜形成用フィルム/第3剥離シートの積層体を得る。
次いで、樹脂膜形成用フィルムに貼付されるワークと略同形状あるいはワークの形状をそっくり含むことのできる形状に、樹脂膜形成用フィルムを切込み、残余の部分を除去する。第2剥離シート/樹脂膜形成用フィルム/第3剥離シートの積層体が長尺の帯状体である場合には、第3剥離シートを切り込まずにおくことで、長尺の第3剥離シートに連続的に保持された複数の第2剥離シート/樹脂膜形成用フィルム/第3剥離シートの積層体を得ることができる。
そして、上記で得られた粘着シートの粘着剤層上に、第2剥離シート/樹脂膜形成用フィルム/第3剥離シートの積層体から第2剥離シートを剥離しながら、樹脂膜形成用フィルムを積層し、基材/粘着剤層/樹脂膜形成用フィルム/第3剥離シートからなる積層体を得る。その後、第3剥離シートを除去することで、本発明の図1の態様に係る樹脂膜形成用複合シートを得る。なお、第3剥離シートは、上述のカバーフィルムとして機能する。
(半導体装置の製造方法)
次に本発明に係る樹脂膜形成用複合シートの利用方法について、該シートを半導体装置の製造方法に適用した場合を例にとって説明する。
本発明に係る樹脂膜形成用複合シートを用いた半導体装置の第1の製造方法は、該シートの樹脂膜形成用フィルムをワークに貼着し、該ワークをダイシングしてチップとし、該チップのいずれかの面に該樹脂膜形成用フィルムを固着残存させて粘着シートから剥離し、該チップをダイパッド部または別のチップ等のダイ搭載部に該樹脂膜形成用フィルムを介して載置する工程を含むことが好ましい。
ワークは、シリコンウエハであってもよく、またガリウム・砒素などの化合物半導体ウエハや、ガラス基板、セラミック基板、FPC等の有機材料基板、又は精密部品等の金属材料など種々の物品を挙げることができる。以下においては、ワークとして半導体ウエハを用いる場合を例にとって説明する。
ウエハ表面への回路の形成はエッチング法、リフトオフ法などの従来より汎用されている方法を含む様々な方法により行うことができる。次いで、ウエハの回路面の反対面(裏面)を研削する。研削法は特に限定はされず、グラインダーなどを用いた公知の手段で研削してもよい。裏面研削時には、表面の回路を保護するために回路面に、表面保護シートと呼ばれる粘着シートを貼付する。裏面研削は、ウエハの回路面側(すなわち表面保護シート側)をチャックテーブル等により固定し、回路が形成されていない裏面側をグラインダーにより研削する。ウエハの研削後の厚みは特に限定はされないが、通常は50〜500μm程度である。
その後、必要に応じ、裏面研削時に生じた破砕層を除去する。破砕層の除去は、ケミカルエッチングや、プラズマエッチングなどにより行われる。
回路形成および裏面研削に次いで、ウエハの裏面に樹脂膜形成用複合シートの樹脂膜形成用フィルムを貼付する。貼付方法は特に限定されず、例えば、半導体ウエハの裏面側を本発明に係る樹脂膜形成用複合シートの樹脂膜形成用フィルム上に載置し、軽く押圧し、半導体ウエハを固定する。なお、樹脂膜形成用複合シートの外周部において、樹脂膜形成用複合シートはリングフレーム等の治具に固定される。
樹脂膜形成用フィルムが室温ではタック性を有しない場合は適宜加温してもよい(限定するものではないが、40〜80℃が好ましい)。
樹脂膜形成用フィルムがアクリル重合体、エポキシ化合物及び熱硬化剤を含み、その含有割合が所定範囲の場合には、半導体ウエハへの貼付適性に優れ、次の工程への搬送工程等を行っても半導体ウエハと樹脂膜形成用フィルムとの界面における剥離を防止できる。そのため、半導体装置の生産性に優れる。
次いで、樹脂膜形成用フィルムに硬化性成分(B)としてエネルギー線硬化性成分(B2)が配合されている場合には、樹脂膜形成用フィルムに粘着シート側からエネルギー線を照射し、樹脂層形成用フィルムを予備的に硬化し、樹脂膜形成用フィルムの凝集力を上げ、樹脂膜形成用フィルムと粘着シートとの間の接着力を低下させておいてもよい。
その後、ダイシングソーを用いたブレードダイシング法やレーザー光を用いたレーザーダイシング法などにより、半導体ウエハを切断し半導体チップを得る。ダイシングソーを用いた場合の切断深さは、半導体ウエハの厚みと、樹脂膜形成用フィルムの厚みとの合計およびダイシングソーの磨耗分を加味した深さにし、樹脂膜形成用フィルムもチップと同サイズに切断する。
なお、エネルギー線照射は、半導体ウエハの貼付後、半導体チップの剥離(ピックアップ)前のいずれの段階で行ってもよく、たとえばダイシングの後に行ってもよく、また下記のエキスパンド工程の後に行ってもよい。また、エネルギー線照射を複数回に分けて行ってもよい。
次いで必要に応じ、樹脂膜形成用複合シートのエキスパンドを行うと、半導体チップ間隔が拡張し、半導体チップのピックアップをさらに容易に行えるようになる。この際、樹脂膜形成用フィルムと粘着シートとの間にずれが発生することになり、樹脂膜形成用フィルムと粘着シートとの間の接着力が減少し、半導体チップのピックアップ適性が向上する。このようにして半導体チップのピックアップを行うと、切断された樹脂膜形成用フィルムを半導体チップ裏面に固着残存させて粘着シートから剥離することができる。
次いで、樹脂膜形成用フィルムを介して半導体チップを、リードフレームのダイパッド部または別の半導体チップ(下段チップ)等のダイ搭載部に載置する。載置するときの圧力は、通常1kPa〜200MPaである。また、ダイ搭載部は、半導体チップを載置する前に加熱してもよく、また、チップの載置直後に加熱してもよい。加熱温度は、通常は80〜200℃、好ましくは100〜180℃であり、加熱時間は、通常は0.1秒〜5分、好ましくは0.5秒〜3分である。
樹脂膜形成用フィルムがアクリル重合体、エポキシ化合物及び熱硬化剤を含み、その含有割合が所定範囲の場合には、半導体チップをチップ搭載部に載置した後、加熱を行い、樹脂膜形成用フィルムを本硬化する工程において、樹脂膜形成用フィルムが優れた接着性と硬化性を示す。また、樹脂膜形成用フィルムを本硬化した後にワイヤボンディング工程を安定して行うことができる。この際の加熱条件は、上記加熱温度の範囲であって、加熱時間は通常1〜180分、好ましくは10〜120分である。
また、チップがチップ搭載部に仮着された状態で順次チップを積層し、ワイヤボンディング後に、パッケージ製造において通常行われる樹脂封止での加熱を利用して樹脂膜形成用フィルムを本硬化してもよい。このような工程を経ることで、樹脂膜形成用フィルムを一括して硬化でき、半導体装置の製造効率が向上する。また、ワイヤボンディング時には、樹脂膜形成用フィルムはある程度の硬度を有するため、ワイヤボンディングが安定して行われる。さらに樹脂膜形成用フィルムはダイボンド条件下では軟化しているため、ダイ搭載部の凹凸にも十分に埋め込まれ、ボイドの発生を防止できパッケージ信頼性が高くなる。
また、第2の半導体装置の製造方法としては、まず、半導体ウエハの表面に、個片化する半導体チップの形状の外郭に合わせて溝を形成し、半導体ウエハの表面に表面保護シートを貼付し、次いで裏面側から溝に到達するまで裏面研削(薄化処理)を行うことにより半導体ウエハを半導体チップに個片化する、いわゆる先ダイシング法により得られた複数のチップ群を準備する。
次いで、第1の製造方法と同様に、リングフレームに樹脂膜形成用複合シートを固定すると共に、チップ群の裏面側を樹脂膜形成用複合シートの樹脂膜形成用フィルム上に載置し、軽く押圧し、チップ群を固定する。その後、樹脂膜形成用フィルムのみをチップサイズにダイシングする。樹脂膜形成用フィルムのみをダイシングする方法は特に限定されないが、例えばレーザーダイシング法を採用することができる。
その後、必要に応じて行われる樹脂膜形成用複合シートのエキスパンド工程や、半導体チップに樹脂膜形成用フィルムを固着残存させて粘着シートから剥離し、半導体チップをダイ搭載部に樹脂膜形成用フィルムを介して接着する工程は、第1の製造方法において説明した通りである。
また、第3の半導体装置の製造方法としては、表面に回路が形成された半導体ウエハの裏面に、樹脂膜形成用複合シートの樹脂膜形成用フィルムを貼付し、その後、裏面に樹脂膜を有する半導体チップを得ることが好ましい。該樹脂膜は、半導体チップの保護膜となる。また、第3の半導体装置の製造方法は、好ましくは、以下の工程(1)〜(3)をさらに含み、工程(1)〜(3)を任意の順で行うことを特徴としている。
工程(1):樹脂膜形成用フィルムまたは樹脂膜と、粘着シートとを剥離、
工程(2):樹脂膜形成用フィルムを硬化し樹脂膜を得る、
工程(3):半導体ウエハと、樹脂膜形成用フィルムまたは樹脂膜とをダイシング。
まず、半導体ウエハの裏面に、樹脂膜形成用複合シートの樹脂膜形成用フィルムを貼付する。その後、工程(1)〜(3)を任意の順で行う。このプロセスの詳細については、特開2002−280329号公報に詳述されている。一例として、工程(1)、(2)、(3)の順で行う場合について説明する。
まず、表面に回路が形成された半導体ウエハの裏面に、樹脂膜形成用複合シートの樹脂膜形成用フィルムを貼付する。次いで樹脂膜形成用フィルムから粘着シートを剥離し、半導体ウエハと樹脂膜形成用フィルムとの積層体を得る。
次いで樹脂膜形成用フィルムを熱硬化し、ウエハの全面に樹脂膜を形成する。この結果、ウエハ裏面に硬化樹脂からなる樹脂膜が形成され、ウエハ単独の場合と比べて強度が向上するので、薄くなったウエハの取扱い時の破損を低減できる。また、ウエハやチップの裏面に直接樹脂膜用の塗布液を塗布・被膜化するコーティング法と比較して、樹脂膜の厚さの均一性に優れる。
その後、半導体ウエハと樹脂膜との積層体を、ウエハ表面に形成された回路毎にダイシングする。ダイシングは、ウエハと樹脂膜をともに切断するように行われる。ウエハのダイシングは、ダイシングシートを用いた常法により行われる。この結果、裏面に樹脂膜を有する半導体チップが得られる。
最後に、ダイシングされたチップをコレット等の汎用手段によりピックアップすることで、裏面に樹脂膜を有する半導体チップが得られる。そして、半導体チップをフェースダウン方式で所定のダイ搭載部上に実装することで半導体装置を製造することができる。このような本発明によれば、厚みの均一性の高い樹脂膜を、チップ裏面に簡便に形成でき、ダイシング工程やパッケージングの後のクラックが発生しにくくなる。なお、樹脂膜形成用フィルムや樹脂膜にレーザーマーキング工程を行うこともできる。レーザーマーキング工程は、樹脂膜形成用フィルムを硬化し樹脂膜を得る工程(2)の前後いずれに行ってもよく、レーザー光の照射により樹脂膜形成用フィルムや樹脂膜の表面を削り取ることで、樹脂膜形成用フィルムや樹脂膜の表面に品番等をマーキングすることができる。
また、半導体ウエハの裏面に、樹脂膜形成用複合シートの樹脂膜形成用フィルムを貼付した後、工程(3)を工程(1)の前に行う場合、樹脂膜形成用複合シートがダイシングシートとしての役割を果たすことができる。つまり、ダイシング工程の最中に半導体ウエハを支持するためのシートとして用いることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、<成分移行>および<ウエハの貼付適性>は以下のように評価した。
<成分移行>
実施例および比較例で得られた粘着シートと樹脂膜形成用複合シートにおける粘着剤層の赤外吸収スペクトルを、フーリエ変換赤外分光分析装置(パーキンエルマー製 spectrum one)を使用したダイヤモンドATR法により測定した。
なお、樹脂膜形成用複合シートにおける粘着剤層の赤外吸収スペクトルの測定は、粘着剤層と樹脂膜形成用フィルムとが積層された領域において、樹脂膜形成用フィルムを剥離後の粘着剤層表面にて行った。また、樹脂膜形成用複合シートにおいては、粘着剤層への樹脂膜形成用フィルムの成分移行を促進させるために、樹脂膜形成用複合シートを40℃無調湿の環境下で24時間放置してから、上記測定を行った。
上記粘着シートにおける赤外吸収スペクトルと樹脂膜形成用複合シートの粘着剤層における赤外吸収スペクトルを比較し、樹脂膜形成用フィルムを構成する成分に由来する吸収ピークの有無により、樹脂膜形成用フィルムの成分移行の有無を評価した。
<ウエハの貼付適性>
樹脂膜形成用複合シートの樹脂膜形成用フィルムと、シリコンウエハ(6インチ、厚さ75μm)とをロールラミネータ―を用いて、40℃にて貼り合せた。
目視により、樹脂膜形成用フィルムとシリコンウエハとの界面における浮きや剥がれの有無を評価した。
(実施例1〜4)
[樹脂膜形成用フィルムの製造例]
樹脂膜形成用フィルムを構成する樹脂膜形成用組成物の各成分は下記の通りである。下記の成分を、表1の配合量に従い配合して樹脂膜形成用組成物を調整した。表1中、各成分の数値は固形分換算の質量部を示し、本発明において固形分とは溶媒以外の全成分をいう。
(A)重合体成分:
(A1−1)n−ブチルアクリレート55質量部、メチルアクリレート10質量部、グリシジルメタクリレート20質量部、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部からなるアクリル重合体(Mw:90万)
(A1−2)メチルアクリレート95質量部、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部からなるアクリル重合体(Mw:70万)
(A2)非アクリル系樹脂:ポリエステル樹脂(東洋紡社製 バイロン220)
(B)硬化性成分:
(B11−1)エポキシ化合物:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日本触媒社製 アクリセットBPA328)
(B11−2)エポキシ化合物:固形トリフェニレン型エポキシ樹脂(日本化薬社製 EPPN−502H)
(B11−3)エポキシ化合物:固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製 エピコート1055)
(B11−4)エポキシ化合物:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製 EOCN104S)
(B11−5)エポキシ化合物:固形ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(日本化薬社製 XD1000)
(B11−6)エポキシ化合物:固形ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製 エピクロン7200HH)
(B12−1)熱硬化剤:フェノール樹脂(昭和高分子社製 ショウノールBRG−556)
(B12−2)熱硬化剤:ジシアンジアミド(ADEKA社製 3636AS)
(B12−3)熱硬化剤:フェノール樹脂(明和化成社製 ショウノールMEH−7851−4H)
(B13)硬化促進剤:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製 キュアゾール2PHZ−PW)
(B21−1)エネルギー線反応性化合物:ジシクロペンタジエン骨格含有多官能アクリレート(日本化薬社製 カヤラッドR−684)
(B21−2)エネルギー線反応性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製 カヤラッドDPHA)
(B22)光重合開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア184)
(C)無機フィラー:シリカフィラー(アドマテックス社製 アドマファインSC2050)
(E)カップリング剤:
(E−1)シランカップリング剤(三菱化学社製 MKCシリケートMSEP2)
(E−2)シランカップリング剤(信越化学社製 KBM−403)
(F)架橋剤:イソシアネート系架橋剤(トーヨーケム社製 オリバインBHS8515)
[粘着シートの製造例]
ポリイソブチレンゴム系樹脂(BASF社製 B30、重量平均分子量250,000)の10%溶液を、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、SP−PET381031)の上に塗布し乾燥して、厚み10μmの粘着剤層を形成した。
次いで、上記の粘着剤層をポリオレフィン基材(厚み80μm)と貼り合せ、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、粘着シートを得た。
剥離シートとして、シリコーン離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製 SP−PET381031、厚さ38μm)を準備した。
次いで、表1に記載の配合量で調整した樹脂膜形成用組成物のメチルエチルケトン溶液(固形分濃度20質量%)を、剥離シートのシリコーン離型処理を施した面上に塗布し、100℃で1分間乾燥して、厚さ20μmの樹脂膜形成用フィルムを形成した。
そして、別の剥離シートを樹脂膜形成用フィルム上に積層し、樹脂膜形成用フィルムが剥離シートに挟持された積層体を得た。
次いで、上記の積層体を直径165mmの円形に抜き加工しつつ、一方の剥離シート及び円形の樹脂膜形成用フィルムの周辺部(残余の部分)を除去した。なお、他方の剥離シートは完全に切断しないように抜き加工を行った。これにより、剥離シート(他方の剥離シート)上に、円形状の樹脂膜形成用フィルムが積層された積層体を得た。
そして、樹脂膜形成用フィルムと粘着剤層とを積層し、剥離シート/樹脂膜形成用フィルム/粘着剤層/基材の積層体を得た。
最後に、上記の積層体を直径207mmに、樹脂膜形成用フィルムと同心円状に抜き加工し、剥離シートを除去して、図1の態様の樹脂膜形成用複合シートを得た。各評価結果を表2に示す。
(比較例1)
ポリイソブチレンゴム系樹脂(BASF社製 B30、重量平均分子量250,000)の代わりに、ポリブタジエン系ゴム系樹脂(JSR社製 BR01、重量平均分子量360,000)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂膜形成用複合シートを得、各評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
ポリイソブチレンゴム系樹脂(BASF社製 B30、重量平均分子量250,000)の代わりに、ゴム系樹脂(旭化成ケミカルズ社製 H1052、ポリブタジエン/ポリスチレン=8/2(質量比)、重量平均分子量91,000)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂膜形成用複合シートを得、各評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
ポリイソブチレンゴム系樹脂(BASF社製 B30、重量平均分子量250,000)の代わりに、アクリル系樹脂(2−エチルヘキシルアクリレート70質量部、メチルメタクリレート20質量部、及びヒドロキシエチルアクリレート10質量部からなるアクリル重合体、Mw:41万)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂膜形成用複合シートを得、各評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2015123715
Figure 2015123715
なお、実施例4においては、ウエハの貼付適性評価において、樹脂膜形成用フィルムとシリコンウエハとの界面における浮きや剥がれはなかったものの、樹脂膜形成用フィルムとシリコンウエハとを貼付後、搬送工程等の際に該界面において剥離することがあった。
1:基材
2:粘着剤層
3:粘着シート
4:樹脂膜形成用フィルム
7:治具
10:樹脂膜形成用複合シート

Claims (4)

  1. 基材上に粘着剤層を有する粘着シートと、該粘着剤層上に設けられた樹脂膜形成用フィルムとを有する樹脂膜形成用複合シートであって、
    該粘着剤層がポリイソブチレンゴム系樹脂を含む、樹脂膜形成用複合シート。
  2. 樹脂膜形成用フィルムがエポキシ化合物及び熱硬化剤を含み、
    樹脂膜形成用フィルムにおけるエポキシ化合物と熱硬化剤の合計の割合が50質量%を超え80質量%以下である請求項1に記載の樹脂膜形成用複合シート。
  3. 樹脂膜形成用フィルムがアクリル重合体を含み、
    樹脂膜形成用フィルムにおけるアクリル重合体の割合が5〜20質量%である請求項1又は2に記載の樹脂膜形成用複合シート。
  4. ポリイソブチレンゴム系樹脂が、イソブチレンホモポリマーである請求項1〜3の何れかに記載の樹脂膜形成用複合シート。
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