JP6029536B2 - 接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
〔1〕アクリル重合体(A)、反応性二重結合基を有する熱硬化性樹脂(B)および反応性二重結合基を表面に有するフィラー(C)を含み、
当該アクリル重合体(A)の重量平均分子量が50万以上であり、
当該熱硬化性樹脂(B)がエポキシ樹脂および熱硬化剤からなり、
当該エポキシ樹脂および当該熱硬化剤の何れか一方または両方が反応性二重結合基を有する接着剤組成物。
上記〔5〕〜〔7〕の何れかに記載の接着シートの接着剤層に前記半導体チップを貼付し、半導体チップに接着剤層を固着残存させて支持体から剥離し、前記半導体チップをダイパッド部上または他の半導体チップ上に前記接着剤層を介して接着する工程を含む半導体装置の製造方法。
本発明に係る接着剤組成物は、アクリル重合体(A)(以下「(A)成分」とも言う。他の成分についても同様である。)、熱硬化性樹脂(B)、フィラー(C)を必須成分として含み、各種物性を改良するため、必要に応じ他の成分を含んでいても良い。以下、これら各成分について具体的に説明する。
アクリル重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は50万以上であり、好ましくは50万〜200万、より好ましくは50万〜150万、さらに好ましくは50万〜80万である。アクリル重合体(A)の重量平均分子量が50万未満になると、接着剤層の凝集力が低下し、該接着剤層を用いて製造される半導体装置のパッケージ信頼性が低下する原因となる。アクリル重合体(A)の重量平均分子量が高すぎると、被着体(半導体ウエハ、チップや基板等)への貼付性が低下し、転写不良やボイドなどの発生要因になることがある。
また、アクリル重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn、Mnは数平均分子量)は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。アクリル重合体(A)の分子量分布を上記範囲とすることで、本発明の有するパッケージ信頼性を向上する効果がより高くなる。分子量分布が3を超えるアクリル重合体(A)は、重量平均分子量が高くても、流動性の高い低分子量成分を多く含んでおり、この低分子量成分がパッケージ信頼性を低下させる要因となることがある。
なお、アクリル重合体(A)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)の値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、後述する実施例での測定条件下で測定される場合の値(ポリスチレン換算値)である。
なお、アクリル重合体(A)のガラス転移温度はFOXの式から求めた値である。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーあるいはその誘導体としては、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばモノエチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート等が挙げられる。
熱硬化性樹脂(B)は、エポキシ樹脂および熱硬化剤からなり、本発明では、エポキシ樹脂および熱硬化剤の何れか一方または両方が反応性二重結合基を有する。エポキシ樹脂としては、反応性二重結合基を有するエポキシ樹脂(B1)および反応性二重結合基を有しないエポキシ樹脂(B1’)があり、熱硬化剤としては、反応性二重結合基を有する熱硬化剤(B2)および反応性二重結合基を有しない熱硬化剤(B2’)がある。本発明における熱硬化性樹脂(B)には、反応性二重結合基を有するエポキシ樹脂(B1)および反応性二重結合基を有する熱硬化剤(B2)の何れか一方を必須成分として含む。また、エポキシ樹脂(B1)およびエポキシ樹脂(B1’)の何れか一方を必須成分として含み、熱硬化剤(B2)および熱硬化剤(B2’)の何れか一方を必須成分として含む。ただし、エポキシ樹脂および熱硬化剤の両方が反応性二重結合基を有しない場合、すなわち成分(B1’)と成分(B2’)のみの組み合わせは除外される。
また、熱硬化剤(B2)は、上記の反応性二重結合基に加えて、エポキシ基と反応しうる官能基を含む。エポキシ基と反応しうる官能基としては好ましくはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基および酸無水物などが挙げられ、これらの中でもさらに好ましくはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、特に好ましくはフェノール性水酸基が挙げられる。
この熱硬化剤(B2)における前記(a)式で示される繰返単位の割合は、5〜95モル%、さらに好ましくは20〜90モル%、特に好ましくは40〜80モル%であり、前記(b)または(c)式で示される繰返単位の割合は、合計で5〜95モル%、さらに好ましくは10〜80モル%、特に好ましくは20〜60モル%である。
アミノ基を有する熱硬化剤(アミン系熱硬化剤)を含有する接着剤層は、フェノール性水酸基を有する熱硬化剤(フェノール系熱硬化剤)を含有する接着剤層よりも吸湿性が高くなるため、湿熱条件投入後の接着剤層の接着性の低下が大きいが、フェノール系熱硬化剤を含有する接着剤層は耐湿熱性が高いため、湿熱条件投入後の接着剤層の接着性の低下が小さい。そのため、熱硬化剤(B2’)としては、エポキシ基と反応しうるフェノール性水酸基を分子中に2個以上有する化合物が特に好ましい。
アミン系熱硬化剤の具体的な例としては、DICY(ジシアンジアミド)が挙げられる。
これらは、1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
反応性二重結合基を表面に有するフィラー(C)は、反応性二重結合基を表面に有していれば特に限定されない。反応性二重結合基は、ビニル基、アリル基(メタ)アクリロイル基、または(メタ)アクリロキシ基であることが好ましい。
接着剤組成物は、上記成分に加えて下記成分を含むことができる。
(D)光重合開始剤
接着剤組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤を含有することで、たとえば本発明の接着シートを、ダイシング・ダイボンディングシートとして用いた場合に、ウエハに貼付後、ダイシング工程前に紫外線を照射することで熱硬化性樹脂(B)およびフィラー(C)の有する反応性二重結合基を反応せしめ、予備硬化させることができる。予備硬化を行うことにより、硬化前には接着剤層が比較的軟化しているのでウエハへの貼付性がよく、かつダイシング時には適度な硬度を有しダイシングブレードへの接着剤の付着その他の不具合を防止することができる。また、支持体(樹脂フィルムまたは粘着シート)と、接着剤層の界面の剥離性のコントロール等も可能となる。さらに、予備硬化状態では未硬化状態よりも硬度が高くなるため、ワイヤボンディング時の安定性が向上する。
硬化促進剤(E)は、接着剤組成物の硬化速度を調整するために用いられる。好ましい硬化促進剤としては、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
カップリング剤(F)は、無機物と反応する官能基および有機官能基と反応する官能基を有し、接着剤層の被着体に対する貼付性、接着性を向上させるために用いてもよい。また、カップリング剤(F)を使用することで、接着剤層を硬化して得られる硬化物の耐熱性を損なうことなく、その耐水性を向上することができる。
このようなカップリング剤としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のアルコキシ基を2つまたは3つ有する低分子シランカップリング剤、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のアルコキシ基を4つ有する低分子シランカップリング剤、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシランなどが挙げられる。また、上記のアルコキシ基を2つまたは3つ有する低分子シランカップリング剤やアルコキシ基を4つ有する低分子シランカップリング剤などをアルコキシ基の加水分解および脱水縮合により縮合した生成物であるオリゴマータイプのものが挙げられる。特に、上記の低分子シランカップリング剤のうち、アルコキシ基を2つまたは3つ有する低分子シランカップリング剤と、アルコキシ基を4つ有する低分子シランカップリング剤とが脱水縮合により縮合した生成物であるオリゴマーが、アルコキシ基の反応性に富み、かつ有機官能基の十分な数を有しているので好ましく、例えば、3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルメトキシシロキサンとジメトキシシロキサンの共重合体であるオリゴマーが挙げられる。
これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。またこれらの中でも上記アクリル重合体(A)、熱硬化性樹脂(B)などが有する官能基と反応する基を有する化合物が好ましく使用される。
接着剤組成物には、接着剤層の初期接着力および凝集力を調節するために、架橋剤(G)を添加することもできる。なお、架橋剤を配合する場合には、前記アクリル重合体(A)には、架橋剤と反応する官能基が含まれる。
架橋剤(G)としては有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物などが挙げられる。
接着剤組成物には、エネルギー線重合性化合物が配合されていてもよい。エネルギー線重合性化合物(H)は、反応性二重結合基を含み、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する。このようなエネルギー線重合性化合物(H)として具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレートおよびイタコン酸オリゴマーなどのアクリレート系化合物が挙げられる。このような化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性を有する炭素−炭素二重結合を有し、通常は、重量平均分子量が100〜30000、好ましくは300〜10000程度である。エネルギー線重合性化合物(H)を用いる場合、その配合量は、特に限定はされないが、接着剤組成物の固形分全量100質量部に対して、1〜50質量部程度の割合で用いることが好ましい。
接着剤組成物には、アクリル重合体(A)以外のポリマーを含んでいてもよい。このようなポリマーとしては熱可塑性樹脂(I)を用いることができる。熱可塑性樹脂(I)は、硬化後の接着剤層の可とう性を保持するために配合される。熱可塑性樹脂(I)としては、重量平均分子量が1000〜10万のものが好ましく、3000〜8万のものがさらに好ましい。熱可塑性樹脂(I)を含有することにより、半導体チップのピックアップ工程における支持体と接着剤層との層間剥離を容易に行うことができ、さらに基板の凹凸へ接着剤層が追従しボイドなどの発生を抑えることができる。
また、接着剤組成物には、前記フィラー(C)以外にも、反応性二重結合基を有しないフィラーとして、無機充填材(J)を配合してもよい。無機充填材としては、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等が挙げられる。
接着剤組成物には、上記の他に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。各種添加剤としては、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、顔料、染料、ゲッタリング剤などが挙げられる。
上記のような各成分を含む接着剤組成物からなる接着剤層は、接着性(例えば熱接着性や感圧接着性)と加熱硬化性とを有する。接着剤層が感圧接着性を有する場合には、未硬化状態では被着体に押圧して貼付することができる。また、接着剤層が熱接着性を有する場合には、被着体に押圧する際に、接着剤層を加熱して貼付することができる。本発明における熱接着性とは、常温では感圧接着性がないが、熱により軟化して被着体に接着可能となることをいう。
また、接着剤層には、フィラーが均一に分散しているため、半導体チップを接合し、ワイヤボンディングを行う高温でも接着剤層の変形が少なく、ワイヤボンディングを安定して行える。そして熱硬化を経て最終的には耐衝撃性の高い硬化物を与えることができ、せん断強度にも優れ、厳しい高温度高湿度条件下においても十分な接着特性を保持し得る。光重合開始剤(D)が含まれる場合には、エネルギー線硬化性をも有し、本硬化の前にエネルギー線照射により予備硬化することができる。予備硬化により接着剤層の硬度が増し、ワイヤボンディング時の安定性が向上する。
以下、本発明に係る半導体装置の製造方法の例について詳述する。
本発明に係る半導体装置の第1の製造方法は、上記接着シートの接着剤層に半導体ウエハを貼着し、該半導体ウエハ及び接着剤層をダイシングして半導体チップとし、該半導体チップ裏面に接着剤層を固着残存させて支持体から剥離し、該半導体チップを有機基板やリードフレームのダイパッド部上、または別の半導体チップ上に接着剤層を介して接着する工程を含む。
その後、ダイシングソーを用いたブレードダイシング法やレーザー光を用いたレーザーダイシング法などにより、上記の半導体ウエハを切断し半導体チップを得る。ダイシングソーを用いた場合の切断深さは、半導体ウエハの厚みと、接着剤層の厚みとの合計およびダイシングソーの磨耗分を加味した深さにし、接着剤層もチップと同サイズに切断する。
なお、エネルギー線照射は、半導体ウエハの貼付後、半導体チップの剥離(ピックアップ)前のいずれの段階で行ってもよく、たとえばダイシングの後に行ってもよく、また下記のエキスパンド工程の後に行ってもよい。さらにエネルギー線照射を複数回に分けて行ってもよい。
アクリル重合体(A)の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn、Mnは数平均分子量)は、標準ポリスチレン換算値とし、以下の装置および条件にて測定した。
・装置名:HLC−8220GPC、東ソー(株)製
・カラム:TSKgelGMHXL、TSKgelGMHXLおよびTSKgel2000HXLをこの順で連結したもの
・溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
・流速:1ml/分
・検出器:示差屈折計
(半導体チップの製造)
ドライポリッシュ仕上げシリコンウエハ(150mm径, 厚さ75μm)の研磨面に、実施例および比較例の接着シートの貼付をテープマウンター(リンテック社製 Adwill RAD2500)により行い、ウエハダイシング用リングフレームに固定した。次いで、ダイシング装置(株式会社ディスコ製 DFD651)を使用して8mm×8mmのチップサイズにダイシングした。ダイシングの際の切り込み量は、支持体を20μm切り込むようにした。
基板として、銅箔張り積層板(三菱ガス化学株式会社製 CCL-HL830、銅箔の厚み:18μm)の銅箔に回路パターンが形成され、パターン上にソルダーレジスト(太陽インキ製 PSR-4000 AUS303)を有している基板(株式会社ちの技研製LN001E−001 PCB(Au)AUS303)を用いた。上記で得た接着シート上のチップを接着剤層とともに支持体から取り上げ、基板上に、接着剤層を介して120℃, 250gf, 0.5秒間の条件で圧着した。
そして、封止された基板をダイシングテープ(リンテック社製 Adwill D−510T)に貼付して、ダイシング装置(株式会社ディスコ製 DFD651)を使用して8mm×8mmサイズにダイシングすることで信頼性評価用の半導体パッケージを得た。
得られた半導体パッケージを85℃、湿度60%RH条件下に168時間放置し、吸湿させた後、プレヒート130℃(過酷条件)で最高温度が260℃になる加熱時間1分間のIRリフロー(リフロー炉:相模理工製WL−15−20DNX型)を3回行なった。その後、接合部の浮き・剥がれの有無、パッケージクラック発生の有無を走査型超音波探傷装置(日立建機ファインテック株式会社製 Hye−Focus)および断面研磨機(リファインテック社製 リファイン・ポリッシャーHV)により断面を削り出し、デジタル顕微鏡(キーエンス社製 VHX−1000)を用いて断面観察により評価した。
基板/半導体チップ接合部に長さ0.5mm以上の剥離を観察した場合を剥離していると判断して、パッケージを27個試験に投入し剥離が発生しなかった個数を数えた。
接着剤組成物を構成する各成分を下記に示す。
(A−1)アクリル重合体:メチルアクリレート95質量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部からなる共重合体(Mw:50万、Mw/Mn:2.9、Tg:9℃、トーヨーケム社製)
(A−2)アクリル重合体:メチルアクリレート95質量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部からなる共重合体(Mw:46万、Mw/Mn:3.2、Tg:9℃、日本合成化学社製)
(B)熱硬化性樹脂:
(B−1)アクリロイル基付加クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製 CNA−147)
(B−2)熱硬化剤:アラルキルフェノール樹脂(三井化学株式会社製 ミレックスXLC−4L)
(C)フィラー:
(C−1)メタクリロキシ基修飾のシリカフィラー(平均粒径0.05μm、アドマテックス社製 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン処理品)
(C−2)メタクリロキシ基修飾のシリカフィラー(平均粒径0.5μm、SO−C2、アドマテックス社製 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン処理品)
(F)シランカップリング剤(三菱化学株式会社製 MKCシリケートMSEP2)
(G)架橋剤:芳香族性多価イソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製 コロネートL)
(J)未処理のシリカフィラー(平均粒径0.4μm、サンシノールSS−04、トクヤマ社製)
(接着剤層)
上記各成分を表1に記載の量(質量比)で配合し、接着剤組成物を得た。得られた組成物のメチルエチルケトン溶液(固形濃度20質量%)を、シリコーンで剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製 SP−PET381031)の剥離処理面上に乾燥後20μmの厚みになるように塗布、乾燥(乾燥条件:オーブンにて100℃、1分間)した後に支持体(ポリエチレンフィルム、厚さ100μm、表面張力33mN/m)と貼り合せて、接着剤層を支持体上に転写することで接着シートを得た。得られた接着シートを用いて半導体パッケージを作成し、その信頼性を評価した。結果を表1に示す。表1中PKG信頼性はパッケージ信頼性を意味し、上述の評価において剥離が発生しなかった個数/27(試験に投入したパッケージの個数)で表した。
本発明によれば、所定の重量平均分子量を有するアクリル重合体(A)、反応性二重結合基を有する熱硬化性樹脂(B)、及び反応性二重結合基を表面に有するフィラー(C)を用いることで、、接着剤層中にフィラー(C)を均一に混合でき、また、接着剤層中に三次元網目構造を導入できる。このため、優れた接着強度で半導体チップを他の半導体チップや基板に接合することができ、過酷な環境下においても、高いパッケージ信頼性を示す半導体装置を得ることができる。また、未硬化あるいは半硬化状態の接着剤層にある程度の硬度を付与できるため、多段パッケージの製造に際して接着剤層を一括硬化するプロセスを採用した場合に、ワイヤボンディングが長時間に及んでも安定してワイヤボンディングを行うことができる。
Claims (9)
- アクリル重合体(A)、反応性二重結合基を有する熱硬化性樹脂(B)および反応性二重結合基を表面に有するフィラー(C)を含み、
当該アクリル重合体(A)の重量平均分子量が50万以上であり、
当該熱硬化性樹脂(B)がエポキシ樹脂および熱硬化剤からなり、
当該エポキシ樹脂および当該熱硬化剤の何れか一方または両方が反応性二重結合基を有する接着剤組成物。 - 前記フィラー(C)が、反応性二重結合基を表面に有するシリカである請求項1に記載の接着剤組成物。
- 前記アクリル重合体(A)の含有率が、接着剤組成物の全重量中50〜90質量%である請求項1または2に記載の接着剤組成物。
- 請求項1〜3の何れかに記載の接着剤組成物からなる単層接着フィルム。
- 請求項1〜3の何れかに記載の接着剤組成物からなる接着剤層が、支持体上に形成されてなる接着シート。
- 支持体が、樹脂フィルムである請求項5に記載の接着シート。
- 支持体が、粘着シートである請求項5に記載の接着シート。
- 請求項5〜7の何れかに記載の接着シートの接着剤層に半導体ウエハを貼付し、前記半導体ウエハ及び接着剤層をダイシングして半導体チップとし、前記半導体チップに接着剤層を固着残存させて支持体から剥離し、前記半導体チップをダイパッド部上または他の半導体チップ上に前記接着剤層を介して接着する工程を含む半導体装置の製造方法。
- 半導体ウエハの表面に、個片化する半導体チップの形状の外郭に合わせて溝を形成し、半導体ウエハの表面に保護シートを貼付し、次いで裏面側から溝に到達するまで薄化処理を行うことにより半導体ウエハを半導体チップに個片化する工程、及び、
請求項5〜7の何れかに記載の接着シートの接着剤層に前記半導体チップを貼付し、半導体チップに接着剤層を固着残存させて支持体から剥離し、前記半導体チップをダイパッド部上または他の半導体チップ上に前記接着剤層を介して接着する工程を含む半導体装置の製造方法。
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