JP2013199580A - ウエハ貼着用粘着テープ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材表面上に、放射線硬化型粘着剤層が形成されてなるウエハ貼着用粘着テープであって、厚さ100μm以下のウエハに貼着して用い、該粘着剤層が、主鎖に対して、少なくとも放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基、水酸基、及びカルボキシル基を含有する基をそれぞれ有するアクリル系共重合体を主成分とし、前記アクリル系共重合体100質量部に対し架橋剤4〜9質量部を用いて少なくとも一部架橋させてなるエネルギー線硬化型共重合体からなり、かつゲル分率が60%以上であることを特徴とするウエハ貼着用粘着テープ。
【選択図】なし
Description
ダイシング工程は、半導体ウエハをあらかじめ粘着テープに貼り付けて固定した後、チップ形状に沿ってダイシングを行い、マウント工程は、チップを粘着テープから剥離(ピックアップ)させ、接着固定用の接着剤で回路基板等に固定する。
上記目的に使用するテープとしては、通常の感圧接着タイプのものと紫外線、電子線など放射線により硬化して粘着力が低下する性質を有するテープがあり、いずれもダイシングする際にはウエハが剥離しないような十分な粘着力を必要とし、ピックアップの際には容易に剥離できる性質が要求される。
また、マウント工程においては、チップと基板等において十分な接着力が要求される。
これらの粘着テープは、ダイシング後、チップ裏面に粘着剤層を付けたままでピックアップし、基板等にマウントした後加熱などにより硬化接着させるいわゆるダイレクトダイボンディングを可能にし、接着剤の塗布工程を省略できるようにするものである。
しかしながら、これらの粘着テープに用いられている粘接着剤は、低粘度の塗布液であるためにテープ基材に対する濡れ性が低く歩留まりが悪い問題があった。また、既存のダイ接着用接着剤に比べて接着強度が低く信頼性が得られにくいという問題を抱えている。
接着信頼性を確保しながらダイシング性能を付与する手段としては、ダイ接着用接着剤層とダイシングテープを積層して使用することが考えられる。しかしながら、この積層型テープの問題点は、接着剤とダイシングテープ間の剥離力コントロールが難しくなることである。接着信頼性の高いダイ接着用接着剤はウエハへの仮止めに通常加熱貼合を必要とするが、積層型テープではこの加熱貼合によりダイシングテープとダイボンドシート接着剤層間の剥離力も高まりダイシング後のピックアップ不良率が上昇してしまうという問題を抱えている。
そこで、本発明者らは、いわゆるダイレクトダイボンディングを可能にするウエハ貼着用粘着テープを開発した(特許文献3)。この粘着テープは、ダイシング時には粘着剤層と接着剤層およびウエハと剥離しない十分な粘着力を有し、ピックアップの際には放射線硬化により粘着剤層と接着剤層付きチップが容易に剥離でき、マウント工程においては、チップと回路基板等において十分な接着力が得られる。
すなわち、上記課題は以下の発明により解決された。
(1)基材表面上に、放射線硬化型粘着剤層が形成されてなるウエハ貼着用粘着テープであって、極薄のウエハに貼着して使用でき、該粘着剤層が、主鎖に対して、少なくとも放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基、水酸基、及びカルボキシル基を含有する基をそれぞれ有するアクリル系共重合体を主成分とし、前記アクリル系共重合体100質量部に対し架橋剤4〜9質量部を用いて少なくとも一部架橋させてなるエネルギー線硬化型共重合体からなり、かつゲル分率が60%以上であることを特徴とするウエハ貼着用粘着テープ。
(2)基材表面に順に、放射線硬化型粘着剤層及びダイ接着用接着剤層が形成されてなるウエハ貼着用粘着テープであって、極薄のウエハに貼着して使用でき、該粘着剤層が、主鎖に対して、少なくとも
放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基、水酸基及びカルボキシル基を含有する基をそれぞれ有するアクリル系共重合体を主成分とし、前記アクリル系共重合体100質量部に対し架橋剤4〜9質量部を用いて少なくとも一部架橋させてなるエネルギー線硬化型共重合体からなり、かつゲル分率が60%以上であることを特徴とするウエハ貼着用粘着テープ。
(3)前記粘着剤層に含まれる炭素−炭素二重結合の割合が0.2〜1.5meq/gであることを特徴とする(1)または(2)に記載のウエハ貼着用粘着テープ。
カルボキシル基含有不飽和化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
前記の付加反応することが可能な官能基と炭素−炭素二重結合を有する化合物(A2)の官能基としては、共重合体(A1)の官能基が、カルボキシル基または環状酸無水基である場合には、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基などを挙げることができ、水酸基である場合には、環状酸無水基、イソシアネート基などを挙げることができ、アミノ基である場合には、イソシアネート基などを挙げることができる。化合物(A2)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、けい皮酸、イタコン酸、フマル酸、フタル酸、2−ヒドロキシアルキルアクリレート類、2−ヒドロキシアルキルメタクリレート類、グリコールモノアクリレート類、グリコールモノメタクリレート類、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アリルアルコール、N−アルキルアミノエチルアクリレート類、N−アルキルアミノエチルメタクリレート類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸、無水フタル酸、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の一部を水酸基またはカルボキシル基および光重合性炭素−炭素二重結合を有する単量体でウレタン化したものなどを列挙することができる。
本発明において、粘着剤層のゲル分率は、アクリル系共重合体(A)の平均分子量、架橋剤配合量(架橋量)により調整することが可能であるが、ゲル分率は60%以上であり、80%以上であることが更に好ましい。ゲル分率が小さすぎる場合には、粘着剤表面のべたつきが大きく、ピックアップの際の衝撃によりチップ破損もしくは抗折強度が低下してしまい、製品の歩留りを極度に悪化させる。抗折強度が低下するとはチップ内部に微小なクラックが生じ、チップの曲げ応力が正常の場合に比べて著しく低下した状態をいう。
架橋剤はアクリル系重合体を少なくとも一部架橋させるものであれば特に制限はないが、例えばエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物などがあげられる。市販されているものとしては、例えば、コロネートL(商品名、日本ポリウレタン社製、ポリイソシアネート化合物)、テトラッドX(商品名、三菱瓦斯化学(株)製、エポキシ架橋剤)などを用いることができる。
また、アクリル系共重合体(A)が、酸価0.5〜30となるようなカルボキシル基を有すると粘着層中における、アクリル共重合体と架橋剤の反応が進み、比較的短時間にて養生が完了する。酸価は1〜15であることがさらに好ましい。高すぎると凝集力が高くなりすぎ、粘着剤の流動性を損なうため、粘着層の均一性を損なう。
なお、本発明に用いられる放射線硬化性粘着剤層を紫外線照射によって硬化させる場合には、必要に応じ副成分として、光重合開始剤、例えばイソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキメチルフェニルプロパン等を使用することができる。これら光重合開始剤の配合量はアクリル系重合体100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましい。
粘着剤層の厚さは、5〜50μmが好ましい。
基材フィルムの厚みは50〜200μmが好ましく用いられる。
また、ダイ接着用接着剤フィルムが貼合されたウエハのダイ接着用接着剤層側に、本発明の粘着テープを貼着しても同様の効果が得られる。
ダイシング時の接着剤層と粘着剤層の剥離力は、好ましくは0.5〜10N/25mm、放射線照射後の接着剤層付きチップと粘着剤層付きテープの剥離力は0.5〜0.05N/25mmが好ましい。
本発明では、基材面上に放射線硬化型粘着剤層とダイ接着用接着剤層がこの順に形成されている。本発明におけるダイ接着用接着剤層には、例えば、エポキシ樹脂を主成分とするフィルム状接着剤などのダイ接着用として通常用いられる接着剤を用いることができる。ダイ接着用接着剤層の厚さは5〜50μmであることが好ましい。
実施例1〜11、比較例1〜5
(アクリル系共重合体Aの合成)
ブチルアクリレート65質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート25質量部、アクリル酸10質量部を原料として溶液ラジカル重合により共重合体を得た。
次にこの共重合体に2−イソシアネートエチルメタクリレートを滴下反応させることで共重合体Aを作成した。2−イソシアネートエチルメタクリレート滴下量と溶液ラジカル重合の反応時間を適宜調整して、炭素−炭素二重結合量および分子量の異なる共重合体A1〜A10を作成した。
共重合体A1〜A10に架橋剤としてポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、商品名コロネートL)、光重合開始剤としてα−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを下記表1の配合比で混合し、粘着剤を得た。
各々乾燥後の粘着剤厚さを10μmとし、高密度ポリエチレン樹脂フィルム(100μm)に塗工し、粘着テープを作成した。この粘着テープと厚さ25μmのエポキシ樹脂を主成分とするフィルム状接着剤を室温にて積層ラミネートすることで、表1に示した、実施例及び比較例のウエハ貼着用粘着テープを作成した。養生期間は表1に示した。
上記のようにして作成したウエハ貼着用粘着テープの下記1〜6の特性について、それぞれ以下に記載のとおり試験を行った。試験結果を合わせて表1に示した。
1.ゲル分率
粘着剤層約0.05gを秤取し、キシレン50mlに120℃で24時間浸漬した後、200メッシュのステンレス製金網で濾過し、金網上の不溶解分を110℃にて120分間乾燥する。次に、乾燥した不溶解分の質量を秤量し、下記に示す式にてゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=(不溶解分の質量/秤取した粘着剤層の質量)×100
2.粘着剤二重結合量
加熱乾燥された粘着剤約10gに含まれる炭素−炭素二重結合量を真空中暗所における臭素付加反応による重量増加法により定量測定した。
作成したウエハ貼着用粘着テープを80℃×10秒でウエハへ加熱貼合した後、直径5インチの大きさのシリコンウエハを3×3mmの大きさにフルカットし、紫外線硬化(パターン状でなく全体を照射)後、ウエハ拡張装置(エアー圧2.0kg/cm2 )にて延伸した際の縦方向、横方向の素子間隙量を測定し、平均値を算出した。素子間隙量は、ダイシング時のブレード厚さ40μmを含む。
素子間隙の大きさ(q)を指標に下記の通り評価した。
○:q≧100μm:素子の画像認識が良好に行える
△:100>q≧80μm:素子の画像認識が困難である
×:q<80μm:素子の画像認識が不可能である
作成したウエハ貼着用粘着テープを80℃×10秒でウエハへ加熱貼合した後、10mm×10mmにダイシングした(肉厚50μm)。その後、粘着剤層に紫外線を空冷式高圧水銀灯(80W/cm、照射距離10cm)により200mJ/cm2照射した後、ダイボンダー装置(NECマシナリー製、商品名CPS−100FM)によるピックアップ試験を行い、ピックアップチップ100個でのピックアップ成功率を求めた。
5.製造外観
粘着テープを粘着剤側から目視観察し、1mm以上長(ブツ)がなければ問題無しとした。
架橋剤の配合量が少なく、ゲル分率も低い比較例1ではピックアップ成功率が80%と低かった。架橋剤の配合量が多い比較例2では製造外観に問題があった。アクリル系重合体が水酸基またはカルボキシル基を有していない比較例3〜5ではアクリル系共重合体と架橋剤が反応せず、粘着性が発現しなかった。
Claims (3)
- 基材表面上に、放射線硬化型粘着剤層が形成されてなるウエハ貼着用粘着テープであって、極薄のウエハに貼着して使用でき、該粘着剤層が、主鎖に対して、少なくとも放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基、水酸基、及びカルボキシル基を含有する基をそれぞれ有するアクリル系共重合体を主成分とし、前記アクリル系共重合体100質量部に対し架橋剤4〜9質量部を用いて少なくとも一部架橋させてなるエネルギー線硬化型共重合体からなり、かつゲル分率が60%以上であることを特徴とするウエハ貼着用粘着テープ。
- 基材表面に順に、放射線硬化型粘着剤層及びダイ接着用接着剤層が形成されてなるウエハ貼着用粘着テープであって、極薄のウエハに貼着して使用でき、該粘着剤層が、主鎖に対して、少なくとも放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基、水酸基及びカルボキシル基を含有する基をそれぞれ有するアクリル系共重合体を主成分とし、前記アクリル系共重合体100質量部に対し架橋剤4〜9質量部を用いて少なくとも一部架橋させてなるエネルギー線硬化型共重合体からなり、かつゲル分率が60%以上であることを特徴とするウエハ貼着用粘着テープ。
- 前記粘着剤層に含まれる炭素−炭素二重結合の割合が0.2〜1.5meq/gであることを特徴とする請求項1または2に記載のウエハ貼着用粘着テープ。
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