JP6327654B2 - 高活性変異型酵素を高発現させたコリネ型細菌形質転換体、及びそれを用いる4−ヒドロキシ安息香酸又はその塩の製造方法 - Google Patents

高活性変異型酵素を高発現させたコリネ型細菌形質転換体、及びそれを用いる4−ヒドロキシ安息香酸又はその塩の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、4−ヒドロキシ安息香酸又はその塩(以下、「4-HBA」と略称することがある)生産性を向上させるように改変された酵素変異体、この酵素変異体を高発現することにより4-HBA生産性が向上したコリネ型細菌形質転換体、及びこの形質転換体を用いた効率的な4-HBAの製造方法を提供する。
地球温暖化や化石資源の枯渇問題を背景に、再生可能なバイオマス資源を原料とした化学品の製造は、低炭素社会の実現に向けた新しい産業として注目されている。
4-HBAは、液晶のポリマー原料や、抗菌剤であるパラベンの合成原料等に利用されている有用な化学物質である。
現在、4-HBAは、原油を原料として化学的に生産されている。化学的な4-HBAの製造方法は、たとえばフェノールと水酸化カリウムと二酸化炭素を用いて高圧条件下で反応させる方法などがある。
こうした方法では、原料とするフェノールが化石原料に依存しているだけでなく、反応プロセス中で強アルカリや二酸化炭素、高温高圧条件を必要としており、製造過程において生じる有害な廃液が生じるなど、環境に多大な負荷を与えている。
そのため、再生可能資源を原料として、省エネルギー、且つ、有害廃液を削減した、環境調和型のバイオ法による4-HBA製造技術の確立が強く望まれている。
しかし、再生可能資源を原料としたバイオ法による4-HBA生産は、乳酸やエタノールの生産と比較して、原料となる糖からの代謝反応段数が非常に多いために生産性が低い。また、生産物である4-HBAによる菌の増殖阻害や、細胞毒性等の難点がある。このため、工業的生産は実現していない。
4-HBAは、芳香族アミノ酸などの合成に関わるシキミ酸経路の中間体であるコリスミ酸からubiCによってコードされるコリスメート−ピルベート リアーゼによって合成されることが大腸菌を用いて明らかにされている(非特許文献1,2、特許文献1,2)。
これまでに、大腸菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子(ubiC)を他種微生物であるKlebsiella pneumoniaeを宿主として導入し、4-HBAを生成する試みが報告されている(非特許文献3)。またシキミ酸経路を増強した大腸菌で4-HBAの発酵生産が報告されている(非特許文献4)。4-HBAによる増殖阻害や毒性回避を試みるため、4-HBA耐性株の選抜や、イオン交換樹脂添加培養が報告されているものの、4-HBAの生産性は実用上十分ではない(非特許文献2)。
また、大腸菌以外のubiCについては、Rhodobacter sphaeroides由来のものが報告されているが、大腸菌を宿主として該遺伝子を高発現させた場合も、またRhodobacter sphaeroidesを宿主として該遺伝子を高発現させた場合も、いずれの形質転換体を用いても4-HBAの生成は低濃度であり実用上十分ではない(特許文献3)。また、大腸菌のubiC遺伝子欠損株を該遺伝子が相補可能と記載してあるが、酵素活性値や酵素諸性質に関する記述や他生物由来の酵素との比較に関する具体的な記述はいずれもない。
大腸菌由来のUbiC酵素は、酵素学的な解析が詳細になされており、生成物である4-HBAによって強く阻害される(生成物阻害)ことが知られている(非特許文献2, 5)。したがって、4-HBA高生産のためには高活性なUbiCの取得、4-HBAによる生成物阻害に耐性なUbiCの取得が4-HBAの高生産株構築に極めて重要である。
J. Bacteriol., 174, 5309-5316 (1992) Microbiology, 140, 897-904 (1994) Appl. Microbiol. Biotechnol., 43, 985-988 (1995) Biotechnol. Bioeng., 76, 376-390 (2001) Biochimica et Biophysica Acta, 1594, 160-167 (2002)
米国特許6030819号 米国特許6114157号 特開2012-183048号
本発明は、実用上十分に高い4-HBA生成活性を有する変異コリスメート−ピルベート リアーゼ酵素、この酵素を高発現することにより効率よく4-HBAを生産できる形質転換体、及び、この形質転換体を用いて効率よく4-HBAを製造できる方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者らは研究を重ね、
(A) 配列番号1のアミノ酸配列からなるパントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ(ubiC)のアミノ酸番号80のバリン、又は
(B) その他のコリスメート−ピルベート リアーゼにおいて、上記バリンと酵素学的に相同な位置のアミノ酸
を他のアミノ酸に置換するような変異をこのubiC遺伝子に導入することにより、グルコースやコリスミ酸などから4-HBAを生産する能力が向上した変異コリスメート−ピルベート リアーゼが得られることを見出した。
本発明は上記知見に基づき完成されたものであり、以下の変異コリスメート−ピルベート リアーゼ、形質転換体、及び4-HBAの製造方法を提供する。
項1. 下記の(A)又は(B)の変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
(A) 配列番号1のアミノ酸配列からなるパントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ(ubiC)においてアミノ酸番号80のバリンが1又は複数個の他のアミノ酸に置換された変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
(B) その他のコリスメート−ピルベート リアーゼにおいて、上記バリンと酵素学的に相同な位置のアミノ酸が1又は複数個の他のアミノ酸に置換された変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
項2. 上記(B)の変異コリスメート−ピルベート リアーゼが、
(i) プロビデンシア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼにおいて、アミノ酸番号80のバリン(V)、
(ii) エシェリヒア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼにおいて、アミノ酸番号79のイソロイシン(I)、又は
(iii) クロノバクター属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼにおいて、アミノ酸番号79のイソロイシン(I)
が1又は複数個の他のアミノ酸に置換されたものである項1に記載の変異コリスメート−ピルベート リアーゼ。
項3. 下記の(a)、(b)、又は(c)である項1に記載の変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
(a) 配列番号1のアミノ酸配列からなるパントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリン、配列番号2のアミノ酸配列からなるプロビデンシア スチュアルティイ(Providencia stuartii)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリン、配列番号3のアミノ酸配列からなるプロビデンシア ラスティジアニイ(Providencia rustigianii)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリン、配列番号4のアミノ酸配列からなるプロビデンシア スニービア(Providencia sneebia)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリン、配列番号5のアミノ酸配列からなるプロビデンシア レットゲリ(Providencia rettgeri)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリン、配列番号6のアミノ酸配列からなるプロビデンシア アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリン、若しくは配列番号7のアミノ酸配列からなるプロビデンシア バーホドグラナリエア(Providencia burhodogranariea)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリン、
配列番号8のアミノ酸配列からなるエシェリヒア コリ(Escherichia coli)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号79のイソロイシン、又は
配列番号9のアミノ酸配列からなるクロノバクター サカザキ(Cronobacter sakazakii)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号79のイソロイシンを1個又は複数個の他のアミノ酸に置換した変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
(b) 置換により生成した上記アミノ酸部分を保持しつつ、配列番号1〜9の何れかと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有する変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
(c) 配列番号1〜9の何れかと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号1〜7の何れかのアミノ酸番号80のバリン、又は配列番号8若しくは9のアミノ酸番号79のイソロイシンと酵素学的に相同である位置のアミノ酸を1個又は複数個の他のアミノ酸に置換した変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
項4. 置換により生成するアミノ酸が1個であり、このアミノ酸が、アラニン、システイン、トレオニン、セリン、又はアスパラギンである項1〜3の何れかに記載の変異コリスメート−ピルベート リアーゼ。
項5. 項1〜4の何れかの変異コリスメート−ピルベート リアーゼをコードするDNAを宿主のコリネ型細菌に導入した形質転換体。
項6. 宿主のコリネ型細菌がコリネバクテリウム属細菌である項5に記載の形質転換体。
項7. コリネバクテリウム グルタミカム属細菌が、コリネバクテリウム グルタミカムR(FERM BP-18976)、ATCC13032、又はATCC13869である項6に記載の形質転換体。
項8. 下記の(C)又は(D)の変異DNAを宿主のコリネ型細菌に導入した形質転換体。
(C) 配列番号10の塩基配列からなるパントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ(ubiC)遺伝子において、塩基番号240〜242のgtcを、それがコードするアミノ酸とは異なる1個又は複数個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNA
(D) その他のコリスメート−ピルベート リアーゼをコードする遺伝子において、上記gtcに対応する位置のDNA部分を、それがコードするアミノ酸とは異なる1個又は複数個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNA
項9. 上記(D)の変異DNAが、
(iv) プロビデンシア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の塩基番号240〜242のgtc、
(v) エシェリヒア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の塩基番号237〜239のatc、又は
(vi) クロノバクター属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の塩基番号237〜239のatc
を、それがコードするアミノ酸とは異なる1個又は複数個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNAである項8に記載の形質転換体。
項10. 下記の(d)、(e)、又は(f)である項8に記載の形質転換体。
(d) 配列番号10の塩基配列からなるパントエア アナナティス由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、配列番号11の塩基配列からなるプロビデンシア スチュアルティイ由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、配列番号12の塩基配列からなるプロビデンシア ラスティジアニイ由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、配列番号13の塩基配列からなるプロビデンシア スニービア由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、配列番号14の塩基配列からなるプロビデンシア レットゲリ由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、配列番号15の塩基配列からなるプロビデンシア アルカリファシエンス由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、若しくは配列番号16の塩基配列からなるプロビデンシア バーホドグラナリエア由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の塩基番号240〜242のgtcをバリン以外の1個又は複数個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNA、
配列番号17の塩基配列からなるエシェリヒア コリ由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の塩基番号237〜239のatcをイソロイシン以外の1個又は複数個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNA、又は
配列番号18の塩基配列からなるクロノバクター サカザキ由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の塩基番号237〜239のatcをイソロイシン以外の1個又は複数個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNA、
(e) 置換により生成した上記DNA部分を保持しつつ、配列番号10〜18の何れかと90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードする変異DNA、又は
(f) 配列番号10〜18の何れかと90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAにおいて、配列番号10〜16の何れかの塩基番号240〜242のgtcをバリン以外の1個又は複数個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNA、又は配列番号17若しくは18の塩基番号237〜239のatcに対応するDNA部分をイソロイシン以外の1個又は複数個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNA
(但し、配列番号10〜16の何れかの塩基番号240〜242のgtcに対応するDNA部分は、配列番号10〜16の何れかの塩基配列からなるDNAがコードするコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリンと酵素学的に相同である位置のアミノ酸をコードするDNAを指し、配列番号17若しくは18の塩基番号237〜239のgtcに対応するDNA部分は、配列番号17若しくは18の塩基配列からなるDNAがコードするコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号79のイソロイシンと酵素学的に相同である位置のアミノ酸をコードするDNAを指す)
項11. 置換により生成するDNAが、gca、tgc、acc、tcc、又はaacである項8〜10の何れかに記載の形質転換体。
項12. 宿主のコリネ型細菌がコリネバクテリウム属細菌である項8〜11の何れかに記載の形質転換体。
項13. コリネバクテリウム グルタミカム属細菌が、コリネバクテリウム グルタミカムR(FERM BP-18976)、ATCC13032、又はATCC13869である項12に記載の形質転換体。
項14. コリネバクテリウム グルタミカム HBA-47(受託番号:NITE BP-01849)形質転換体。
項15. 項5〜14の何れかに記載の形質転換体を、糖類、形質転換体が代謝によりコリスミ酸を生成しうる化合物、及びコリスミ酸、並びにそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の原料化合物を含む反応液中で培養する工程と、反応液中の4-ヒドロキシ安息香酸又はその塩を回収する工程とを含む4-ヒドロキシ安息香酸又はその塩の製造方法。
項16. 好気的、かつ形質転換体が増殖しない条件下で形質転換体を培養する項15に記載の方法。
本発明の変異コリスメート−ピルベート リアーゼ、又はこの変異コリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子をコードするDNAを導入したコリネ型細菌形質転換体を用いれば、糖類、形質転換体が代謝によりコリスミ酸を生成し得る化合物、コリスミ酸、又はそれらの塩から4-HBAを実用上十分に効率よく生産することができる。
4-ヒドロキシベンゾエートが4種の微生物(Corynebacterium glutamicum R、Escherichia coli JM109、Pseudomonas putida S12 ATCC700801、及びRhodobacter sphaeroides NBRC12203)の増殖に及ぼす影響を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
本発明の変異コリスメート−ピルベート リアーゼは、
(A) 配列番号1のアミノ酸配列からなるパントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ(ubiC)においてアミノ酸番号80のバリンが他のアミノ酸に置換されたもの、又は
(B) その他のコリスメート−ピルベート リアーゼにおいて、上記バリンと酵素学的に相同な位置のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたもの
である。
上記(B)の変異コリスメート−ピルベート リアーゼとしては、
(i) プロビデンシア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼにおいて、アミノ酸番号80のバリン(V)、
(ii) エシェリヒア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼにおいて、アミノ酸番号79のイソロイシン(I)、又は
(iii) クロノバクター属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼにおいて、アミノ酸番号79のイソロイシン(I)
が他のアミノ酸に置換されたものが挙げられる。
プロビデンシア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼとしては、
配列番号2のアミノ酸配列からなるプロビデンシア スチュアルティイ(Providencia stuartii)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ、配列番号3のアミノ酸配列からなるプロビデンシア ラスティジアニイ(Providencia rustigianii)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ、配列番号4のアミノ酸配列からなるプロビデンシア スニービア(Providencia sneebia)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ、配列番号5のアミノ酸配列からなるプロビデンシア レットゲリ(Providencia rettgeri)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ、配列番号6のアミノ酸配列からなるプロビデンシア アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ、配列番号7のアミノ酸配列からなるプロビデンシア バーホドグラナリエア(Providencia burhodogranariea)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼなどが挙げられる。
エシェリヒア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼとしては、配列番号8のアミノ酸配列からなるエシェリヒア コリ(Escherichia coli)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼなどが挙げられる。
クロノバクター属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼとしては、配列番号9のアミノ酸配列からなるクロノバクター サカザキ(Cronobacter sakazakii)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼなどが挙げられる。
上記バリン又はイソロイシンは、他の1個のアミノ酸で置換されていてもよく、他の複数個(例えば、2〜8個、2〜6個、2〜3個、又は2個)のアミノ酸で置換されてもよいが、1個のアミノ酸で置換されているのが好ましい。中でも、上記バリン又はイソロイシンが、アラニン(A)、システイン(C)、トレオニン(T)、セリン(S)又はアスパラギン(N)に置換されているのが好ましく、アラニン(A)、又はシステイン(C)に置換されているのがより好ましい。
また、上記バリン又はイソロイシンの置換に代えて、上記バリン又はイソロイシンの欠失、上記バリン又はイソロイシンのN末端側に隣接する1個又は複数個(例えば、2〜8個、2〜6個、2〜3個、若しくは2個)のアミノ酸の欠失、又は上記バリン又はイソロイシンに隣接する位置への1個又は複数個(例えば、2〜8個、2〜6個、2〜3個、若しくは2個)のアミノ酸の挿入によっても、コリスメート−ピルベート リアーゼ活性を増大させることができる。
また、本発明の変異コリスメート−ピルベート リアーゼには、変異により生じた上記のアミノ酸部分(例えば、上記アラニン、システイン、トレオニン、セリン、又はアスパラギン)を保持しつつ、配列番号1〜9の何れかと90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有し、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドからなる変異コリスメート−ピルベート リアーゼが含まれる。即ち、この変異コリスメート−ピルベート リアーゼにおいて、配列番号1〜7の何れかのアミノ酸番号80のバリン、又は配列番号8若しくは9のアミノ酸番号79のイソロイシンと酵素学的に相同である位置のアミノ酸は、バリン又はイソロイシン以外の例えばアラニン、システイン、トレオニン、セリン、又はアスパラギンなどである。
本発明において、「酵素学的に相同である」とは、当該ポリペプチドの酵素機能に対して同等に寄与することを意味する。アミノ酸配列のアラインメントにおいて同等の位置に存在するアミノ酸が、酵素機能に対して同等に寄与するアミノ酸となる。
本発明において、アミノ酸配列、及び塩基配列の同一性は、GENETYX ver.8(GENETYX 株式会社ゼネティックス製)により算出した値である。
コリスメート−ピルベート リアーゼは、コリスミ酸からピルビン酸を脱離させて4-HBAを生成する反応、及びその逆反応を触媒する酵素である。
コリスメート−ピルベート リアーゼ活性は、「Microbiology,140, 897-904(1994)」に記載の方法を改変して測定できる。簡単に説明すると、試験用液に被験酵素を添加し、50mM トリス-HCl (pH 7.5)、0.5 mM chorismate Ba salt、0.2 mM NADH、0.2 M NaCl、5 Unitラクテートデヒドロゲナーゼを含ませ、33℃で反応を行い、NADHに由来する340 nmの吸光度の減少を追跡することにより反応初速度を測定する。chorismate Ba saltを添加しない系についても同様に反応を行い、バックグラウンド値とする。両測定値の差をコリスメート−ピルベート リアーゼ活性とし、酵素及び基質添加に依存したNADH由来の340 nmの経時的、直線的な吸光度減少が認められた場合に、コリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有すると判定する。酵素活性の1 unitは、1分間あたり1マイクロモルの4-HBAを産生せしめる酵素量と定義し、酵素反応の初速度から算出する。
また、本発明の変異コリスメート−ピルベート リアーゼには、配列番号1〜9の何れかと90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有し、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号1〜7の何れかのアミノ酸番号80のバリン、又は配列番号8若しくは9のアミノ酸番号79のイソロイシンと酵素学的に相同である位置のアミノ酸を、他のアミノ酸(例えば、上記アラニン、システイン、トレオニン、セリン、又はアスパラギン、特に、アラニン、又はシステイン)に置換した変異コリスメート−ピルベート リアーゼが含まれる。
(2)コリネバクテリウム属細菌形質転換体
上記説明した変異コリスメート−ピルベート リアーゼをコードする変異DNAを宿主のコリネ型細菌に導入することにより、4-HBAを高効率で生産できる形質転換体が得られる。
このような変異DNAとしては、
(C) 配列番号10の塩基配列からなるパントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ(ubiC)遺伝子において、塩基番号240〜242のgtc、又は
(D) その他のコリスメート−ピルベート リアーゼをコードする遺伝子において、上記gtcに対応する位置のDNA部分
を、それがコードするアミノ酸とは異なる1個又は複数個(例えば、2〜8個、2〜6個、2〜3個、又は2個)のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNAが挙げられる。
上記(D)の変異DNAとしては、
(iv) プロビデンシア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の塩基番号240〜242のgtc、
(v) エシェリヒア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の塩基番号237〜239のatc、又は
(vi) クロノバクター属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の塩基番号237〜239のatc
を、1個又は複数個(例えば、2〜8個、2〜6個、2〜3個、又は2個)の他のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNAが挙げられる。
プロビデンシア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子としては、配列番号11の塩基配列からなるプロビデンシア スチュアルティイ由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、配列番号12の塩基配列からなるプロビデンシア ラスティジアニイ由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、配列番号13の塩基配列からなるプロビデンシア スニービア由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、配列番号14の塩基配列からなるプロビデンシア レットゲリ由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、配列番号15の塩基配列からなるプロビデンシア アルカリファシエンス由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、配列番号16の塩基配列からなるプロビデンシア バーホドグラナリエア由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子などが挙げられる。
エシェリヒア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子としては、配列番号17の塩基配列からなるエシェリヒア コリ由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子が挙げられる。
クロノバクター属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子としては、配列番号18の塩基配列からなるクロノバクター サカザキ由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子などが挙げられる。
特に、1個のアミノ酸をコードするDNAで置換するのが好ましい。中でも、アラニン、システイン、トレオニン、セリン、又はアスパラギンをコードするDNAで置換するのが好ましく、アラニン、又はシステインをコードするDNAで置換するのが好ましい。
アラニンをコードするDNAとしてはgcaが挙げられ、システインをコードするDNAとしてはtgcが挙げられ、トレオニンをコードするDNAとしてはaccが挙げられ、セリンをコードするDNAとしてはtccが挙げられ、アスパラギンをコードするDNAとしてはaacが挙げられる。
また、変異DNAには、上記置換により生じた、バリン又はイソロイシン以外のアミノ酸(例えば、アラニン、システイン、トレオニン、セリン、又はアスパラギン、特に、アラニン、又はシステイン)をコードするDNA部分を保持しつつ、配列番号10〜18の何れかと90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードする変異DNAも含まれる。
また、変異DNAには、上記置換により生じたバリン又はイソロイシン以外のアミノ酸(例えば、アラニン、システイン、トレオニン、セリン、又はアスパラギン、特に、アラニン、又はシステイン)をコードするDNA部分を保持しつつ、配列番号10〜18の何れかの塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードする変異DNAも含まれる。
本発明において、「ストリンジェントな条件」は、6×SSCの塩濃度のハイブリダイゼーション溶液中、50〜60℃の温度条件下、16時間ハイブリダイゼーションを行い、0.1×SSCの塩濃度の溶液中で洗浄を行う条件をいう。
また、変異DNAには、配列番号10〜16の何れかと90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAにおいて、配列番号10〜16の何れかの塩基番号240〜242のgtcに対応するDNA部分を、1個又は複数個(例えば、2〜8個、2〜6個、2〜3個、又は2個)のバリン以外のアミノ酸、特に1個のアミノ酸(例えば、アラニン、システイン、トレオニン、セリン、又はアスパラギン、特に、アラニン、又はシステイン)をコードするDNA部分に置換した変異DNAが含まれる。
「配列番号10〜16の何れかの塩基番号240〜242のgtcに対応するDNA部分」は、配列番号10〜16の何れかの塩基配列からなるDNAがコードするアミノ酸配列からなるコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリンと酵素学的に相同である位置のアミノ酸をコードするDNA部分をいう。
また、変異DNAには、配列番号17又は18と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAにおいて、配列番号17又は18の塩基番号237〜239のatcに対応するDNA部分を、1個又は複数個(例えば、2〜8個、2〜6個、2〜3個、又は2個)のイソロイシン以外のアミノ酸、特に1個のアミノ酸(例えば、アラニン、システイン、トレオニン、セリン、又はアスパラギン、特に、アラニン、又はシステイン)をコードするDNA部分に置換した変異DNAが含まれる。
「配列番号17又は18の塩基番号237〜239のatcに対応するDNA部分」は、配列番号17又は18の塩基配列からなるDNAがコードするアミノ酸配列からなるコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号79のイソロイシンと酵素学的に相同である位置のアミノ酸をコードするDNA部分をいう。
また、変異DNAには、配列番号10〜16の何れかとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAにおいて、配列番号10〜16の何れかの塩基番号240〜242のgtcに対応するDNA部分を、1個又は複数個(例えば、2〜8個、2〜6個、2〜3個、又は2個)のバリン以外のアミノ酸、特に1個のアミノ酸(例えば、アラニン、システイン、トレオニン、セリン、又はアスパラギン、特に、アラニン、又はシステイン)をコードするDNA部分に置換した変異DNAが含まれる。
また、変異DNAには、配列番号17又は18とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAにおいて、配列番号17又は18の塩基番号237〜239のatcに対応するDNA部分を、1個又は複数個(例えば、2〜8個、2〜6個、2〜3個、又は2個)のイソロイシン以外のアミノ酸、特に1個のアミノ酸(例えば、アラニン、システイン、トレオニン、セリン、又はアスパラギン、特に、アラニン、又はシステイン)をコードするDNA部分に置換した変異DNAが含まれる。
コリスメート−ピルベート リアーゼをコードするDNAと90%以上の同一性を有するか、又はストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードする類縁体DNAは、例えば、元となるDNAの塩基配列に基づき常法に従い設計したプライマー又はプローブを用いたPCR又はハイブリダイゼーションにより、他生物種のDNAライブラリーから選択することができ、これにより高確率でコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAが得られる。
宿主
コリネ型細菌とは、バージーズ・マニュアル・デターミネイティブ・バクテリオロジー〔Bergey’s Manual of Determinative Bacteriology、Vol. 8、599(1974)〕に定義されている一群の微生物であり、通常の好気的条件で増殖するものならば特に限定されるものではない。具体例を挙げれば、コリネバクテリウム属菌、ブレビバクテリウム属菌、アースロバクター属菌、マイコバクテリウム属菌、マイクロコッカス属菌等が挙げられる。コリネ型細菌の中ではコリネバクテリウム属菌が好ましい。
コリネバクテリウム属菌としては、コリネバクテリウム グルタミカム、コリネバクテリウム エフィシェンス(Corynebacterium efficiens)、コリネバクテリウム アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウム ハロトレランス(Corynebacterium halotolerance)、コリネバクテリウム アルカノリティカム(Corynebacterium alkanolyticum)等が挙げられる。
中でも、安全でかつ4-HBA生産性が高い点で、コリネバクテリウム グルタミカムが好ましい。好適な菌株として、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)R株(FERM BP-18976)、ATCC13032株、ATCC13869株、ATCC13058株、ATCC13059株、ATCC13060株、ATCC13232株、ATCC13286株、ATCC13287株、ATCC13655株、ATCC13745株、ATCC13746株、ATCC13761株、ATCC14020株、ATCC31831株、MJ-233(FERM BP-1497)、MJ-233AB-41(FERM BP-1498)等が挙げられる。これらの株は、ブダペスト条約の下で国際寄託されており、公に利用可能である。
中でも、R株(FERM BP-18976)、ATCC13032株、ATCC13869株が好ましい。
なお、分子生物学的分類により、ブレビバクテリウム フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、ブレビバクテリウム ディバリカタム(Brevibacterium divaricatum)、コリネバクテリウム リリウム(Corynebacterium lilium)等のコリネ型細菌もコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)に菌名が統一されている〔Liebl, W. et al., Transfer of Brevibacterium divaricatum DSM 20297T, "Brevibacterium flavum" DSM 20411, "Brevibacterium lactofermentum" DSM 20412 and DSM 1412, and Corynebacterium glutamicum and their distinction by rRNA gene restriction patterns. Int J Syst Bacteriol. 41:255-260. (1991)、駒形和男ら, コリネフォルム細菌の分類, 発酵と工業, 45:944-963 (1987)〕。
ブレビバクテリウム属菌としては、ブレビバクテリウム アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)(例えばATCC6872株)等が挙げられる。この株は、ブダペスト条約の下で国際寄託されており、公に利用可能である。
アースロバクター属菌としては、アースロバクター グロビフォルミス(Arthrobacter globiformis)(例えばATCC8010株、ATCC4336株、ATCC21056株、ATCC31250株、ATCC31738株、ATCC35698株)等が挙げられる。これらの株は、ブダペスト条約の下で国際寄託されており、公に利用可能である。
マイコバクテリウム属菌としては、マイコバクテリウム ボビス(Mycobacterium bovis)(例えばATCC19210株、ATCC27289株)等が挙げられる。これらの株は、ブダペスト条約の下で国際寄託されており、公に利用可能である。
マイクロコッカス属菌としては、マイクロコッカス フロイデンライヒ(Micrococcus freudenreichii)(例えばNo. 239株(FERM P-13221))、マイクロコッカス ルテウス(Micrococcus leuteus)(例えばNo. 240株(FERM P-13222))、マイクロコッカス ウレアエ(Micrococcus ureae)(例えばIAM1010株)、マイクロコッカス ロゼウス(Micrococcus roseus)(例えばIFO3764株)等が挙げられる。
また、コリネ型細菌は、野生株の他に、その変異株や人為的な遺伝子組換え体であってもよい。例えば、ラクテート(乳酸)デヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase:LDH)、フォスフォエノールピルベートカルボキシラーゼ(phosphoenolpyruvate carboxylase)、マレートデヒドロゲナーゼ(malate dehydrogenase)などの遺伝子の破壊株が挙げられる。中でも、ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子の破壊株が好ましい。この遺伝子破壊株は、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が破壊されていることにより、ピルビン酸から乳酸への代謝経路が遮断されている。中でも、コリネバクテリウム グルタミカムの、特にR(FERM BP-18976)株のラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子の破壊株が好ましい。
このような遺伝子破壊株は、遺伝子工学的手法により常法に従い作製できる。例えば、WO2005/010182A1に、乳酸デヒドロゲナーゼ破壊株、及びその作製方法が記載されている。
図1に示した通り、本発明者らは、コリネ型細菌が、他細菌に比べて、4-HBAに対する耐性が極めて高いことを見出した。また、コリネ型細菌は、他の好気性細菌に比べて、溶菌しにくい。この点で、コリネ型細菌は本発明方法による4-HBA製造に好適である。
形質転換体のためのベクターの構築
PCRで増幅したコリスメート−ピルベート リアーゼ酵素をコードするDNAは、それぞれ、宿主で増幅できる適切なベクターにクローニングすればよい。
プラスミドベクターとしては、コリネ型細菌内で自律複製機能を司る遺伝子を含むものであれば良い。その具体例としては、ブレビバクテリウム ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)2256由来のpAM330〔特開昭58−67699号公報〕、〔Miwa, K. et al., Cryptic plasmids in glutamic acid-producing bacteria. Agric. Biol. Chem. 48:2901-2903(1984)〕及び〔Yamaguchi, R. et al., Determination of the complete nucleotide sequence of the Brevibacterium lactofermentum plasmid pAM330 and the analysis of its genetic information. Nucleic Acids Symp. Ser. 16:265-267(1985)〕、コリネバクテリウム グルタミカム ATCC3058由来のpHM1519 〔Miwa, K. et al., Cryptic plasmids in glutamic acid-producing bacteria. Agric. Biol. Chem. 48:2901-2903(1984)〕及びpCRY30 〔Kurusu, Y. et al., Identification of plasmid partition function in coryneform bacteria. Appl. Environ. Microbiol. 57:759-764 (1991)〕、コリネバクテリウム グルタミカム T250由来のpCG4〔特開昭57−183799号公報〕、〔Katsumata, R. et al., Protoplast transformation of glutamate-producing bacteria with plasmid DNA. J. Bacteriol.、159:306-311 (1984)〕、pAG1、pAG3、pAG14、pAG50〔特開昭62-166890〕、pEK0、pEC5、pEKEx1 〔Eikmanns, B.J. et al., A family of Corynebacterium glutamicum/Escherichia coli shuttle vectors for cloning, controlled gene expression, and promoter probing. Gene, 102:93-98 (1991)〕等が挙げられる。
好ましいプロモーターとしては、コリネバクテリウム グルタミカムR由来のグリセルアルデヒド3−フォスフェートデヒドロゲナーゼA遺伝子(gapA)のプロモーターPgapA、マレートデヒドロゲナーゼ遺伝子(mdh)のプロモーターPmdh、ラクテートデヒドロゲナーゼA遺伝子(ldhA)のプロモーターPldhA等が挙げられ、中でも、PgapAが好ましい。
好ましいターミネーターとしては、大腸菌rRNAオペロンのrrnB T1T2 ターミネーター、大腸菌のtrpA ターミネーター、ブレビバクテリウム ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)のtrp ターミネーター等が挙げられ、中でも、rrnB T1T2 ターミネーターが好ましい。
形質転換
形質転換方法は、公知の方法を制限なく使用できる。このような公知の方法として、例えば、塩化カルシウム・塩化ルビジウム法、リン酸カルシウム法、DEAE-デキストラン介在トランスフェクション、電気穿孔法などがあげられる。なかでも、コリネ型細菌には、電気パルス法が好適であり、電気パルス法は公知の方法により行うことができる(Kurusu, Y. et al., Electroporation-transformation system for Coryneform bacteria by auxotrophic complementation. Agric. Biol. Chem. 54: 443-447 (1990))。
形質転換体は、微生物の培養に通常使用される培地を用いて培養すればよい。この培地としては、通常、炭素源、窒素源、無機塩類、及びその他の栄養物質等を含有する天然培地、または合成培地を用いることができる。
炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、マンノース、マルトース、マンニトール、キシロース、アラビノース、ガラクトース、でんぷん、糖蜜、ソルビトール、グリセリン等の糖質または糖アルコール;酢酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸またはグルコン酸等の有機酸;エタノール、プロパノール等のアルコールが挙げられる。炭素源は、1種を単独で使用でき、または2種以上を今後してもよい。培地中のこれら炭素源の濃度は、通常、約0.1〜10(w/v %)とすればよい。
窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等の無機または有機アンモニウ化合物、尿素、アンモニア水、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が挙げられる。また、コーンスティープリカー、肉エキス、ペプトン、NZ−アミン、タンパク質加水分解物、アミノ酸等の含窒素有機化合物等も利用できる。窒素源は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。培地中の窒素源濃度は、使用する窒素化合物によっても異なるが、通常、10(w/v %)とすればよい。
無機塩類としては、例えばリン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硝酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、または炭酸カルシウム等があげられる。これら無機塩は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。培地中の無機塩類濃度は、使用する無機塩によっても異なるが、通常、約0.1〜1(w/v %)とすればよい。
栄養物質としては、例えば肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、乾燥酵母、コーンスティープリカー、脱脂粉乳、脱脂大豆塩酸加水分解物、または動植物もしくは微生物菌体のエキスやそれらの分解物等が得られるが、通常、約0.1〜10(w/v %)とすればよい。更に、必要に応じて、ビタミン類を添加することもできる。ビタミン類としては、例えばビオチン、チアミン、ピリドキシン、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等が挙げられる。
培地のpHは約6〜8が好ましい。
好ましい微生物培養培地としては、A培地〔Inui, M. et al., Metabolic analysis of Corynebacterium glutamicum during lactate and succinate productions under oxygen deprivation conditions. J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 7:182-196 (2004)〕、BT培地〔Omumasaba, C.A. et al., Corynebacterium glutamicum glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase isoforms with opposite, ATP-dependent regulation. J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 8:91-103 (2004)〕等が挙げられる。
培養温度は約15〜45℃とすればよく、培養時間は約1〜7日とすればよい。
宿主染色体遺伝子の破壊又は欠失
宿主のコリネ型細菌は、その染色体上に存在する4-ヒドロキシベンゾエート ヒドロキシラーゼ遺伝子が、破壊され、又は欠失していることが好ましい。4-ヒドロキシベンゾエートヒドロキシラーゼを破壊することにより生成した4-HBAの代謝が抑えられて、4-HBAの生産性が向上すると共に副生成物が少なくなる。
遺伝子の部分配列を欠失し、正常に機能する酵素タンパク質を産生しないように改変した欠失型遺伝子を作製し、該遺伝子を含むDNAで細菌を形質転換して、欠失型遺伝子と染色体上の遺伝子とで相同組換えを起こさせることにより、染色体上の遺伝子を欠失型又は破壊型の遺伝子に置換することができる。欠失型又は破壊型の遺伝子によってコードされる酵素タンパク質は、生成したとしても、野生型酵素タンパク質とは異なる立体構造を有し、機能が低下又は消失している。このような相同組換えを利用した遺伝子置換による遺伝子欠失又は破壊は既に確立しており、温度感受性複製起点を含むプラスミド、接合伝達可能なプラスミドを用いる方法、宿主内で複製起点を持たないスイサイドベクターを利用する方法などがある(米国特許第6303383号、特開平05-007491号)。
(3)4-HBAの製造方法
上記説明した本発明の形質転換体を、糖類、形質転換体が代謝によりコリスミ酸を生成し得る化合物、及びコリスミ酸、並びにそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の原料化合物を含有する反応液中で反応させる工程と、反応液中の4-HBAを回収する工程とを含む方法により4-HBAを製造することができる。
原料化合物は形質転換体が細胞内に取り込める化合物であることが必要であり、また、植物に多く含まれる等、工業的に利用し易いものであることが望ましい。
糖類としては、グルコースが好適であるが、代謝によりグルコースを生成し得る糖類も使用できる。このような糖類にはグルコース単位を有するオリゴ糖又は多糖類が含まれる。このような糖類としては、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、ガラクトースなどの単糖類;セロビオース、ショ糖、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、キシロビオースなどの二糖類;デキストリン又は可溶性澱粉などの多糖類などが挙げられる。
また、代謝によりコリスミ酸を生成し得る化合物としては、キナ酸、シキミ酸などが挙げられる。
また、例えばこれらの原料化合物を含む原料として、糖蜜も用いることができる。また、わら(稲わら、大麦わら、小麦わら、ライ麦わら、オート麦わら等)、バガス、コーンストーバー等の非可食農産廃棄物や、スイッチグラス、ネピアグラス、ミスキャンサス等のエネルギー作物や、木くず、古紙などを糖化酵素などで糖化した、グルコースなどの複数の糖を含む糖化液を用いることもできる。中でも、原料化合物としては、グルコース、コリスミ酸、キナ酸、シキミ酸が好ましい。
微生物の増殖
反応に先立ち、形質転換体を好気条件下で、温度約25〜38℃で、約12〜48時間培養して増殖させることが好ましい。
培養用培地
反応に先立つ形質転換体の好気的培養に用いる培地は、炭素源、窒素源、無機塩類およびその他の栄養物質等を含有する天然培地または合成培地を用いることができる。
炭素源として、糖類(グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ガラクトースのような単糖;スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、キシロビオース、トレハロースのような二糖;澱粉のような多糖;糖蜜等)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グリセリンのような糖アルコール;酢酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、グルコン酸のような有機酸;エタノール、プロパノールのようなアルコール;ノルマルパラフィンのような炭化水素等も用いることができる。
炭素源は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。
窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウムのような無機又は有機アンモニウム化合物、尿素、アンモニア水、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等を使用できる。また、コーンスティープリカー、肉エキス、ペプトン、NZ−アミン、蛋白質加水分解物、アミノ酸等の含窒素有機化合物等も使用できる。窒素源は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。窒素源の培地中の濃度は、使用する窒素化合物によっても異なるが、通常、約0.1〜10(w/v %)とすればよい。
無機塩類としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硝酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、炭酸カルシウム等が挙げられる。無機塩は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。無機塩類の培地中の濃度は、使用する無機塩によっても異なるが、通常、約0.01〜1(w/v %)とすればよい。
栄養物質としては、肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、乾燥酵母、コーンスティープリカー、脱脂粉乳、脱脂大豆塩酸加水分解物、動植物又は微生物菌体のエキスやそれらの分解物等が挙げられる。栄養物質の培地中の濃度は、使用する栄養物質によっても異なるが、通常約0.1〜10(w/v %)とすればよい。
さらに、必要に応じて、ビタミン類を添加することもできる。ビタミン類としては、ビオチン、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキシン(ビタミンB6)、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等が挙げられる。
培地のpHは約6〜8が好ましい。
具体的な好ましいコリネ型細菌用培地としては、A培地〔Inui, M. et al., Metabolic analysis of Corynebacterium glutamicum during lactate and succinate productions under oxygen deprivation conditions. J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 7:182-196 (2004)〕、BT培地〔Omumasaba, C.A. et al., Corynebacterium glutamicum glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase isoforms with opposite, ATP-dependent regulation. J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 8:91-103 (2004)〕等が挙げられる。これらの培地において、糖類濃度を上記範囲にして用いればよい。
反応液
反応液としては、炭素源、窒素源、及び無機塩類等を含有する天然反応液または合成反応液を用いることができる。
炭素源としては、上記説明した原料化合物又はそれを含む糖蜜や糖化液などを用いればよい。また、炭素源として、糖類の他に、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グリセリンのような糖アルコール;酢酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、グルコン酸のような有機酸;エタノール、プロパノールのようなアルコール;ノルマルパラフィンのような炭化水素等も用いることができる。
炭素源は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。
反応液中の原料化合物の濃度は、約1〜20(w/v %)が好ましく、約2〜10(w/v %)がより好ましく、約2〜5(w/v %)がさらにより好ましい。
また、原料化合物を含む全炭素源の濃度は、約2〜5(w/v %)とすればよい。
窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウムのような無機又は有機アンモニウム化合物、尿素、アンモニア水、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等を使用できる。また、コーンスティープリカー、肉エキス、ペプトン、NZ-アミン、蛋白質加水分解物、アミノ酸等の含窒素有機化合物等も使用できる。窒素源は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。窒素源の反応液中の濃度は、使用する窒素化合物によっても異なるが、通常、約0.1〜10(w/v %)とすればよい。
無機塩類としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硝酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、炭酸カルシウム等が挙げられる。無機塩は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。無機塩類の反応液中の濃度は、使用する無機塩によっても異なるが、通常、約0.01〜1(w/v %)とすればよい。
さらに、必要に応じて、ビタミン類を添加することもできる。ビタミン類としては、ビオチン、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキシン(ビタミンB6)、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等が挙げられる。
反応液のpHは約6〜8が好ましい。
具体的な好ましいコリネ型細菌用反応液としては、前述したBT培地等が挙げられる。これらの培地において、糖類濃度を上記範囲にして用いればよい。
反応条件
反応温度、即ち形質転換体の生存温度は、約20〜50℃が好ましく、約25〜47℃がより好ましい。上記温度範囲であれば、効率良く4-HBAを製造できる。
また、反応時間は、約1〜7日間が好ましく、約1〜3日間がより好ましい。
培養は、バッチ式、流加式、連続式の何れでもよい。中でも、バッチ式が好ましい。
反応は、好気的条件で行ってもよく、還元条件で行ってもよい。本発明の形質転換体自体の4-HBA生産能力は、好気的条件下の方が高い。しかし、好気的条件下では形質転換体が増殖するため、原料化合物が増殖のために消費され、その分、4-HBA製造効率が低下する。
従って、好気的、かつ形質転換体が増殖しない条件下で反応を行うのが好ましい。本発明で増殖しないことには、実質的に増殖しないこと、又は殆ど増殖しないことが含まれる。例えば、微生物の増殖に必須の化合物であるビオチン、チアミンなどのビタミン類、窒素源などの1種以上を欠乏、或いは制限させた反応液を用いることにより、形質転換体の増殖を回避または抑制できる。
また、還元条件では、コリネ型細菌は実質的に増殖しないため、原料化合物が増殖のために消費されない分、4-HBA製造効率が高くなる。
還元条件は、反応液の酸化還元電位で規定される。反応液の酸化還元電位は、約−200 mV〜−500 mVが好ましく、約−150 mV〜−500 mVがより好ましい。
反応液の還元状態は簡便にはレサズリン指示薬(還元状態であれば、青色から無色への脱色)で推定できるが、正確には酸化還元電位差計(例えば、BROADLEY JAMES社製、ORP Electrodes)を用いて測定できる。
還元条件にある反応液の調整方法は、公知の方法を制限なく使用できる。例えば、反応液の液体媒体として、蒸留水などの代わりに反応液用水溶液を使用してもよく、反応液用水溶液の調整方法は、例えば硫酸還元微生物などの絶対嫌気性微生物用の培養液調整方法(Pfennig, N. et al., (1981) : The dissimilatory sulfate−reducing bacteria,In The Prokaryotes,A Handbook on Habitats Isolation and Identification of Bacteria,Ed.by Starr,M.P.et al., p926-940, Berlin,Springer Verlag.)や「農芸化学実験書 第三巻、京都大学農学部 農芸化学教室編、1990年第26刷、産業図書株式会社出版」などが参考となり、所望する還元条件下の水溶液を得ることができる。
具体的には、蒸留水などを加熱処理や減圧処理して溶解ガスを除去することにより、還元条件の反応液用水溶液を得ることができる。この場合、約10 mmHg以下、好ましくは約5 mmHg以下、より好ましくは約3 mmHg以下の減圧下で、約1〜60分程度、好ましくは約5〜40分程度、蒸留水などを処理することにより、溶解ガス、特に溶解酸素を除去して還元条件下の反応液用水溶液を作成することができる。
また、適当な還元剤(例えば、チオグリコール酸、アスコルビン酸、システィン塩酸塩、メルカプト酢酸、チオール酢酸、グルタチオン、硫化ソーダ等)を添加して還元条件の反応液用水溶液を調整することもできる。
これらの方法を適宜組み合わせることも有効な還元条件の反応液用水溶液の調整方法である。
還元条件下で反応させる場合は、反応中も反応液を還元条件に維持することが好ましい。反応途中での還元条件を維持するために、反応系外からの酸素の混入を可能な限り防止することが望ましく、具体的には、反応系を窒素ガス等の不活性ガスや炭酸ガス等で封入する方法が挙げられる。酸素混入をより効果的に防止する方法としては、反応途中において本発明の好気性細菌の菌体内の代謝機能を効率よく機能させるために、反応系のpH維持調整液の添加や各種栄養素溶解液を適宜添加する必要が生じる場合もあるが、このような場合には添加溶液から酸素を予め除去しておくことが有効である。
4-HBAの回収
上記のようにして培養することにより、反応液中に4-HBAが生産される。反応液を回収することにより4-HBAを回収できるが、さらに、公知の方法で4-HBAを反応液から分離することもできる。そのような公知の方法として、晶析法、膜分離法、有機溶媒抽出法、各種吸着法(イオン交換樹脂、合成吸着材などを使用)等が挙げられる。
(4)コリスメート−ピルベート リアーゼ活性の向上方法
本発明は、
(A) 配列番号1のアミノ酸配列からなるパントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ(ubiC)においてアミノ酸番号80のバリン、又は
(B) その他のコリスメート−ピルベート リアーゼにおいて、上記バリンと酵素学的に相同な位置のアミノ酸
を1個又は複数個の他のアミノ酸に置換することにより、コリスメート−ピルベート リアーゼ活性を向上、又は増大させる方法を包含する。
コリスメート−ピルベート リアーゼ、及び変異の方法は、上記説明した通りである。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた態様を含む。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
[実施例1]
4-HBA生産遺伝子のクローニングと発現系の構築(野生型、及び変異型)
(1) Pantoea ananatis由来の染色体DNAの抽出
パントエア アナナティス(Pantoea ananatis)LMG 20103からの染色体DNA抽出は、LMG Bacteria Culture Medium No.1 培地 [Beef extract 1 g, Yeast extract 2 g, Peptone 5 g, NaCl 5 gを蒸留水1 Lに溶解後、pHを7.4に調整] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで28℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
(2) Pantoea ananatis由来の4-HBA生産遺伝子のクローニング
4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子(コリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子)をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべくubiC遺伝子を含む遺伝子配列、配列番号10(Pantoea ananatis ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。

Pantoea ananatis ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-1); 5’- CTCTCATATGACGCAAGACCCGCT -3’
(配列番号19)
(b-1); 5’- CTCTCATATGTTAACCTTGATCACGATAGAGCG -3’
(配列番号20)
尚、プライマー(a-1)及び(b-1)にはNdeI制限酵素部位が付加されている。

実際のPCRは、Veritiサーマルサイクラー(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてPrimeSTAR GXL DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
PrimeSTAR GXL DNA Polymerase (1.25 U/μl) 1μl
5x PrimeSTAR GXL Buffer (Mg2+ plus) 10μl
dNTP Mixture (2.5mM each) 4μl
鋳型DNA 1μl(DNA含有量1μg以下)
上記記載の2種プライマー 各々1μl(最終濃度 0.2μM)
滅菌蒸留水 32μl
以上を混合し、この50μlの反応液をPCRにかけた。

PCRサイクル:
デナチュレーション過程:98℃ 10秒
アニーリング過程 :50℃ 5秒
エクステンション過程 :68℃ 31秒
以上を1サイクルとし、30サイクル行った。

上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、Pantoea ananatis株由来ubiC遺伝子約0.5-kbのDNA断片が検出できた。各DNA断片はNucleoSpin Gel and PCR Clean-Up (タカラバイオ株式会社製)によって精製した。
(3) 4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子(コリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子)発現プラスミドの構築
上記項(2)に示したPCRにより増幅したPantoea ananatis株由来ubiC遺伝子を含む約0.5-kb DNA断片10μl及びPgapAプロモーターを含有するクローニングベクターpCRB209 [国際公開 WO2012/033112] 2μlを各々制限酵素NdeIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。
得られたライゲーション液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリHST02を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
各々培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素でそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB209約5.1-kbのDNA断片に加え、Pantoea ananatis株由来ubiC遺伝子約0.5-kb の挿入断片が、認められた。
Pantoea ananatis株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpHBA22と命名した。
(4) 4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子(コリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子)導入株の構築
上述のプラスミドpHBA22を用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem.、Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol. 144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカムR株を形質転換し、カナマイシン 50 μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入プラスミドを確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpHBA22の導入が認められた。
得られた株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)HBA-22と命名した。
(5) 4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子(コリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子)の部位特異的変異導入プラスミドの構築
上述のプラスミドpHBA22を用いて、V80部位を2種のアミノ酸に置換した変異体をInverse PCR法によって作成し、部位特異的変異が導入されたプラスミドを得、これらをそれぞれpHBA23, pHBA24と命名した。
PCRに際して、ubiC遺伝子のV80部位に変異を導入すべく、配列番号10(Pantoea ananatis ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記のプライマーを合成し、使用した。
Pantoea ananatis ubiC遺伝子変異導入用プライマー
(a-2); 5’- CGAGAAgcaATTCTCTACGGGGATG -3’(配列番号21)
(b-2); 5’- CAGCCAGAAACGCTGATCG -3’ (配列番号22)
(a-3); 5’- tgcATTCTCTACGGGGATGAGG -3’ (配列番号23)
(b-3); 5’- TTCTCGCAGCCAGAAACGCTG -3’ (配列番号24)
実際のPCRは、Veritiサーマルサイクラー(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてPrimeSTAR GXL DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
PrimeSTAR GXL DNA Polymerase (1.25 U/μl) 1μl
5x PrimeSTAR GXL Buffer (Mg2+ plus) 10μl
dNTP Mixture (2.5mM each) 4μl
鋳型DNA 1μl(DNA含有量1μg以下)
上記記載の2種プライマー*) 各々1μl(最終濃度 0.2μM)
滅菌蒸留水 32μl
以上を混合し、この50μlの反応液をPCRにかけた。
*) pHBA23(V80A)を増幅する場合はプライマー(a-2)と(b-2)の組み合わせ、pHBA24(V80C)を増幅する場合はプライマー(a-3)と(b-3)の組み合わせで行った。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程:98℃ 10秒
アニーリング過程 :50℃ 5秒
エクステンション過程 :68℃ 338秒
以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、Pantoea ananatis株由来ubiC遺伝子を含む約5.6-kbのDNA断片が検出できた。各DNA断片はNucleoSpin Gel and PCR Clean-Up (タカラバイオ株式会社製)によって精製した。

精製した増幅産物をT4 Polynucleotide Kinase(タカラバイオ株式会社製)を用いてリン酸化処理した後、NucleoSpin Gel and PCR Clean-Up (タカラバイオ株式会社製)によって精製した。得られたリン酸化処理済みDNA断片を用いてDNA Ligation Kit(タカラバイオ株式会社製)により結合(セルフライゲーション)させた。得られたライゲーション液を、塩化カルシウム法 [J. Mol. Biol. 53:159-162 (1970)] によりエシェリヒア コリHST02を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドの塩基配列をシーケンス解析することにより、ubiC遺伝子のV80部位への変異導入を確認した。
得られたプラスミドをpHBA23,pHBA24と命名した。尚、本プラスミドの遺伝子組換えの概要は、表1にまとめて示した。
(6) 4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子(コリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子)導入株の構築
上述のプラスミドpHBA22〜pHBA24を用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem.、Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol. 144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカムR株を形質転換し、カナマイシン 50μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入プラスミドを確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpHBA22〜pHBA24の導入が認められた。
得られた株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)HBA-22〜HBA-24と命名した。尚、本株の遺伝子組換えの概要は、表2にまとめて示した。
[実施例2]
コリネバクテリウム グルタミカム 4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子導入株による、コリスメート−ピルベート リアーゼ活性比較
実施例1において作製したコリネバクテリウム グルタミカム HBA-22(V80, 野生型), 及びHBA-23(V80A), HBA-24(V80C)について、超音波破砕した細胞破砕液を用いて、コリスメート−ピルベート リアーゼ活性を比較した。
具体的には、上記各株を、カナマイシン50 μg/mlを含むA寒天培地[(NH2)2CO 2 g、(NH4)2SO4 7 g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4・7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) FeSO4・7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4・2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 g、寒天 15 gを蒸留水1Lに懸濁]に塗布し、33℃、15時間暗所に静置した。
上記のプレート上で増殖した各株をカナマイシン50 μg/mlを含むA液体培地[(NH2)2CO 2 g、(NH4)2SO4 7 g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4・7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) FeSO4・7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4・2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 gを蒸留水1Lに溶解]10 mlの入った試験管に一白金耳植菌し、33℃にて15時間、好気的に振とう培養を行った。
このようにして培養増殖されたそれぞれの菌体を、遠心分離(4℃、8,000 rpm, 10分)により回収した。超音波処理で菌体細胞を破砕した後、遠心分離(4℃、15,000 rpm, 20分)によって得た細胞破砕上清を粗酵素液として用い、以下の方法によりコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を測定した。
粗酵素液、50 mM Tris-HCl(pH 7.5), 0.5 mM chorismate Ba salt, 0.2 mM NADH, 0.2 M NaCl, 5 Unit lactate dehydrogenaseを混合し、33℃で反応を行い、NADHに由来する340 nmの吸光度減少を追跡し、反応初速度を解析した。反応初速度とタンパク濃度から比活性を算出した(1分間あたり、1マイクロモルの4-HBAを産生せしめる酵素量を1 unitと定義した)。(なお、反応液をフィルター濾過後、生じた4-HBAはHPLCによって4-HBAのピークを直接検出し(Cosmosil C18 ARII(ナカライテスク)、移動相20%メタノール、0.07% 過塩素酸)、両アッセイ法による定量性に違いがないことを別途確認した。)
その結果、表3に示すように、V80(野生型)と比較して、V80A変異体、及びV80C変異体が高い活性を示した。
[実施例3]
コリネバクテリウム グルタミカム 4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子導入株による、グルコースからの4-ヒドロキシ安息香酸製造
実施例1において作製したコリネバクテリウム グルタミカム HBA-22(野生型)、及びHBA-23(V80A)株、HBA-24(V80C)株を、カナマイシン50 μg/mlを含むA寒天培地[(NH2)2CO 2 g、(NH4)2SO4 7 g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4・7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) FeSO4・7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4・2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 g、寒天 15 gを蒸留水1Lに懸濁]に塗布し、33℃、15時間暗所に静置した。
上記のプレート上で増殖したCorynebacterium glutamicum/4-HBA生産遺伝子導入株をカナマイシン50 μg/mlを含むA液体培地[(NH2)2CO 2 g、(NH4)2SO4 7 g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4・7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) FeSO4・7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4・2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 gを蒸留水1Lに溶解]10 mlに更に2%炭酸カルシウムの入った試験管に一白金耳植菌し、33℃、24時間、200 rpmの条件下にて好気的に振とう培養を行った。
上記条件で増殖して得られた培養液を遠心分離(4℃、15,000 rpm, 10分)し、得られた上清液を用いて4-HBAをHPLCによって定量した。
その結果、表4に示すように、HBA-23(V80A)株、HBA-24(V80C)株が、HBA-22(野生型)株よりも、それぞれ約2.3倍、約1.6倍の高い4-HBA生産濃度を示した。
[実施例4]
Providencia属細菌由来の染色体DNAの抽出、4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子(コリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子)のクローニング、4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子発現プラスミドの構築、4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子導入株の構築、4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子の部位特異的変異導入株の構築、及び、コリネバクテリウム グルタミカム 4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子導入株による、グルコースからの4-ヒドロキシ安息香酸製造
(1) 微生物からの染色体DNAの抽出
プロビデンシア スチュアルティイ(Providencia stuartii)ATCC 25827からの染色体DNA抽出は、ATCC Medium No.3培地 [Peptone 5 g, Beef extract 3 gを蒸留水1 Lに溶解後、pHを6.8に調整] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
プロビデンシア ラスティジアニイ(Providencia rustigianii)JCM 3953からの染色体DNA抽出は、JCM Medium No.12培地 [Peptone 5 g, Beef extract 3 g, NaCl 5 gを蒸留水1 Lに溶解後、pHを7.0に調整] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
エシェリヒア コリ(Escherichia coli)K12 MG1655からの染色体DNA抽出は、LB培地 [Tryptone 10 g、Yeast extract 5 g、NaCl 5 gを蒸留水1 Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
クロノバクター サカザキ(Cronobacter sakazakii)JCM 1233からの染色体DNA抽出は、JCM Medium No.12培地 [Peptone 5 g, Beef extract 3 g, NaCl 5 gを蒸留水1 Lに溶解後、pHを7.0に調整] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
(2) 4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子(コリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子)のクローニング
4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子(コリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子)をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべくubiC遺伝子を含む遺伝子配列、配列番号11(Providencia stuartii ubiC遺伝子)、配列番号12(Providencia rustigianii ubiC遺伝子)、配列番号17(Eshcerichia coli ubiC遺伝子)、及び配列番号18(Cronobacter sakazakii ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の対のプライマーを合成し、それぞれ使用した。
Providencia stuartii ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-21); 5’- CTCTCATATGGATGAAACGCTTTTTATCTCTCAC -3’(配列番号25)
(b-21); 5’- CTCTCATATGTCCCTCCATTTGTTGTGCTC -3’ (配列番号26)
尚、プライマー(a-21)及び(b-21)にはNdeI制限酵素部位が付加されている。
Providencia rustigianii ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-22); 5’- CTCTCATATGCATGAAACAATTTTTACCCATCATCC -3’
(配列番号27)
(b-22); 5’- CTCTCATATGGATTATGTTAGATAGTTATCTATATGCAGGTG -3’
(配列番号28)
尚、プライマー(a-22)及び(b-22)にはNdeI制限酵素部位が付加されている。
Escherichia coli ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-23); 5’- CTCTCATATGTCACACCCCGCGTTAA -3’ (配列番号29)
(b-23); 5’- CTCTCATATGTTAGTACAACGGTGACGCC -3’(配列番号30)
尚、プライマー(a-23)及び(b-23)にはNdeI制限酵素部位が付加されている。
Cronobacter sakazakii ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-24); 5’- CTCTCATATGTCCCATCCCGCGCTGAG -3’ (配列番号31)
(b-24); 5’- CTCTCATATGTATTCTGCGTCAGGCTCCAC -3’(配列番号32)
尚、プライマー(a-24)及び(b-24)にはNdeI制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、Providencia rustigianii JCM 3953、 Providencia stuartii ATCC 25827、 Escherichia coli MG1655、Cronobacter sakazakii JCM 1233から抽出した染色体DNAを用いた。
実際のPCRは、Veritiサーマルサイクラー(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてPrimeSTAR GXL DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
PrimeSTAR GXL DNA Polymerase (1.25 U/μl) 1μl
5x PrimeSTAR GXL Buffer (Mg2+ plus) 10μl
dNTP Mixture (2.5mM each) 4μl
鋳型DNA 1μl(DNA含有量1μg以下)
上記記載の2種プライマー*) 各々1μl(最終濃度 0.2μM)
滅菌蒸留水 32μl
以上を混合し、この50μlの反応液をPCRにかけた。
*) Providencia stuartii ubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-21) と (b-21) の組み合わせ、Providencia rustigianii ubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-22) と (b-22) の組み合わせ、Escherichia coli ubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-23) と (b-23) の組み合わせ、Cronobacter sakazakii ubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-24) と (b-24) の組み合わせで行った。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程:98℃ 10秒
アニーリング過程 :50℃ 5秒
エクステンション過程 :68℃
Providencia stuartii ubiC遺伝子 32秒
Providencia rustigianii ubiC遺伝子 31秒
Escherichia coli ubiC遺伝子 30秒
Cronobacter sakazakii ubiC遺伝子 32秒

以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、Providencia stuartii株由来ubiC遺伝子、Providencia rustigianii ubiC遺伝子、Escherichia coli ubiCの場合に約0.5-kbのDNA断片が検出できた。Cronobacter sakazakii ubiC遺伝子の場合は約0.6-kbのDNA断片が検出できた。各DNA断片はNucleoSpin Gel and PCR Clean-Up (タカラバイオ株式会社製)によって精製した。
(3) 4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子(コリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子)発現プラスミドの構築
上記項に示したPCRにより増幅したProvidencia stuartii株由来ubiC遺伝子、Providencia rustigianii ubiC遺伝子、Escherichia coli ubiC由来の約0.5-kbの各DNA断片、或いはCronobacter sakazakii ubiC遺伝子由来の約0.6-kbのDNA断片を含む10μl及びPgapAプロモーターを含有するクローニングベクターpCRB209 [国際公開 WO2012/033112] 2μlを各々制限酵素Nde Iで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。
得られたライゲーション液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリHST02株を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
各々培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素でそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB209約5.1-kbのDNA断片に加え、Providencia stuartii株由来ubiC遺伝子の場合、長さ約0.5-kb の挿入断片が、Providencia rustigianii株由来ubiC遺伝子の場合、長さ約0.5-kb の挿入断片が、Escherichia coli 株由来のubiC遺伝子の場合、約0.5-kbの挿入断片が、Cronobacter sakazakii 株由来のubiC遺伝子の場合、約0.6-kbのDNA断片が認められた。
Providencia stuartii株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpHBA42、Providencia rustigianii 株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpHBA45、Escherichia coli 株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpHBA48、Cronobacter sakazakii株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpHBA51と命名した。
(4) 4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子(コリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の部位特異的変異導入プラスミドの構築
また、上述のプラスミドpHBA42を用いて、V80部位をA(アラニン)、C(システイン)に置換した変異体をInverse PCR法によって作成し、部位特異的変異が導入されたプラスミドを得、これらをそれぞれpHBA43、pHBA44と命名した。
PCRに際して、ubiC遺伝子のV80部位に変異を導入すべく、配列番号11(Providencia stuartii ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記のプライマーを合成し、使用した。
Providencia stuartii ubiC遺伝子変異導入用プライマー
(a-25); 5’- gcaATTATGTATGGTGATAATATTCCATGGTTACTTG -3’
(配列番号33)
(a-26); 5’- tgcATTATGTATGGTGATAATATTCCATGGTTACTTG -3’
(配列番号34)
(b-25); 5’- TTCACGTAACCAATAATATTCACTGACAG -3’ (配列番号35)
同様に、上述のプラスミドpHBA45を用いて、V80部位をA(アラニン)、C(システイン)に置換した変異体をInverse PCR法によって作成し、部位特異的変異が導入されたプラスミドを得、これらをそれぞれpHBA46、pHBA47と命名した。
PCRに際して、ubiC遺伝子のV80部位に変異を導入すべく、配列番号12(Providencia rustigianii ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記のプライマーを合成し、使用した。
Providencia rustigianii ubiC遺伝子変異導入用プライマー
(a-27); 5’- ATTATGTATGGGGATAATATTCCGTGG -3’(配列番号36)
(b-27); 5’- gcaTTCTCGCAACCAGTAACGTTG -3’ (配列番号37)
(b-28); 5’- tgcTTCTCGCAACCAGTAACGTTG -3’ (配列番号38)
同様に、上述のプラスミドpHBA48を用いて、I(イソロイシン)79部位をA(アラニン)、C(システイン)に置換した変異体をPCR法によって作成し、部位特異的変異が導入されたプラスミドを得、これらをそれぞれpHBA49、pHBA50と命名した。
PCRに際して、ubiC遺伝子のI(イソロイシン)79部位に変異を導入すべく、配列番号17(Escherichia coli ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記のプライマーを合成し、使用した。
Escherichia coli ubiC遺伝子変異導入用プライマー
(a-29); 5’- gcaTTGTTATGTGCCGATGGTGAAC -3’(配列番号39)
(a-30); 5’- tgcTTGTTATGTGCCGATGGTGAAC -3’(配列番号40)
(b-29); 5’- TTCACGTAACCAGTAACGAGAC -3’(配列番号41)
同様に、上述のプラスミドpHBA51を用いて、I79部位をA(アラニン)、C(システイン)に置換した変異体をPCR法によって作成し、部位特異的変異が導入されたプラスミドを得、これらをそれぞれpHBA52、pHBA53と命名した。
PCRに際して、ubiC遺伝子のI79部位に変異を導入すべく、配列番号18(Cronobacter sakazakii ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記のプライマーを合成し、使用した。
Cronobacter sakazakii ubiC遺伝子変異導入用プライマー
(a-31); 5’- gcaCTGCTGTGCGGCGACG -3’(配列番号42)
(a-32); 5’- tgcCTGCTGTGCGGCGACG -3’(配列番号43)
(b-31); 5’- TTCGCGCAGCCAGTAGCG -3’ (配列番号44)
実際のPCRは、Veritiサーマルサイクラー(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてPrimeSTAR GXL DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
PrimeSTAR GXL DNA Polymerase (1.25 U/μl) 1μl
5x PrimeSTAR GXL Buffer (Mg2+ plus) 10μl
dNTP Mixture (2.5mM each) 4μl
鋳型DNA 1μl(DNA含有量1μg以下)
上記記載の2種プライマー*) 各々1μl(最終濃度 0.2μM)
滅菌蒸留水 32μl
以上を混合し、この50μlの反応液をPCRにかけた。
*) pHBA43を増幅する場合はプライマー(a-25)と(b-25)の組み合わせ、pHBA44を増幅する場合はプライマー(a-26)と(b-25)の組み合わせ、pHBA46を増幅する場合はプライマー(a-27)と(b-27)の組み合わせ、pHBA47を増幅する場合はプライマー(a-27)と(b-28)の組み合わせ、pHBA49を増幅する場合はプライマー(a-29)と(b-29)の組み合わせ、pHBA50を増幅する場合はプライマー(a-30)と(b-29)の組み合わせ、pHBA52を増幅する場合はプライマー(a-31)と(b-31)の組み合わせ、pHBA53を増幅する場合はプライマー(a-32)と(b-31)の組み合わせで行った。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程:98℃ 10秒
アニーリング過程 :50℃ 5秒
エクステンション過程 :68℃
Providencia stuartii(pHBA43, pHBA44) 339秒
Providencia rustigianii(pHBA46, pHBA47) 338秒
Escherichia coli(pHBA49, pHBA50) 337秒
Cronobacter sakazakii(pHBA52, pHBA53) 339秒
以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、Providencia stuartii株由来ubiC遺伝子の場合約5.7-kb、Providencia rustigianii株由来ubiC遺伝子の場合約5.6-kb、Escherichia coli株由来ubiC遺伝子の場合約5.6-kb、Cronobacter sakazakii株由来ubiC遺伝子の場合約5.7-kbのDNA断片が検出できた。各DNA断片はNucleoSpin Gel and PCR Clean-Up (タカラバイオ株式会社製)によって精製した。
精製した増幅産物をT4 Polynucleotide Kinase(タカラバイオ株式会社製)を用いてリン酸化処理した後、NucleoSpin Gel and PCR Clean-Up (タカラバイオ株式会社製)によって精製した。得られたリン酸化処理済みDNA断片を用いてDNA Ligation Kit(タカラバイオ株式会社製)により結合(セルフライゲーション)させた。得られたライゲーション液を、塩化カルシウム法 [J. Mol. Biol. 53:159-162 (1970)] によりエシェリヒア コリHST02を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドの塩基配列をシーケンス解析することにより、ubiC遺伝子のV80またはI79部位への変異導入を確認した。
得られたプラスミドをpHBA43, pHBA44, pHBA46, pHBA47, pHBA49, pHBA50,pHBA52, pHBA53と命名した。尚、本プラスミドの遺伝子組換えの概要は、表5にまとめて示した。
導入した変異の種類の欄のAはアラニンへの変異を表し、Cはシステインへの変異を表す。また、Vはバリンの変異を表し、Iはイソロイシンの変異を表す。また、80はアミノ酸番号80を表し、79はアミノ酸番号79を表す。
(5) 4-ヒドロキシ安息香酸生産遺伝子(コリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子)導入株の構築
上述のプラスミドpHBA42, pHBA43, pHBA44, pHBA45, pHBA46, pHBA47, pHBA48, pHBA49, pHBA50, pHBA51,pHBA52、及び、pHBA53を用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem.、Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol. 144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカムR株を形質転換し、カナマイシン 50μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入プラスミドを確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpHBA42, pHBA43, pHBA44, pHBA45, pHBA46, pHBA47, pHBA48, pHBA49, pHBA50, pHBA51, pHBA52、及び、pHBA53の導入が認められた。
得られた株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)HBA-42、HBA-43、HBA-44、HBA-45、HBA-46、HBA-47、HBA-48、HBA-49、HBA-50、HBA-51、HBA-52、及び、HBA-53と命名した。尚、本プラスミドの遺伝子組換えの概要は、表6にまとめて示した。
導入した変異の種類の欄のAはアラニンへの変異を表し、Cはシステインへの変異を表す。また、Vはバリンの変異を表し、Iはイソロイシンの変異を表す。また、80はアミノ酸番号80を表し、79はアミノ酸番号79を表す。
上記のように得られたCorynebacterium glutamicum/4-HBA生産遺伝子導入株(HBA-42、HBA-43、HBA-44、HBA-45、HBA-46、HBA-47、HBA-48、HBA-49、HBA-50、HBA-51、HBA-52、及び、HBA-53)を、カナマイシン50 μg/mlを含むA寒天培地[(NH2)2CO 2 g、(NH4)2SO4 7 g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4・7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) FeSO4・7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4・2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 g、寒天 15 gを蒸留水1Lに懸濁]に塗布し、33℃、15時間暗所に静置した。
上記のプレート上で増殖したCorynebacterium glutamicum/4-HBA生産遺伝子導入株をカナマイシン50 μg/mlを含むA液体培地[(NH2)2CO 2 g、(NH4)2SO4 7 g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4・7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) FeSO4・7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4・2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 gを蒸留水1Lに溶解]10 mlに更に2%炭酸カルシウムの入った試験管に一白金耳植菌し、33℃にて24時間、好気的に振とう培養を行った。
上記条件で増殖して得られた培養液を遠心分離(4℃、15,000 rpm, 10分)し、得られた上清液を用いて4-HBAをHPLCによって定量した。
この結果、Corynebacterium glutamicum HBA-42〜53株は、いずれも表7のように目的とする4-HBAを生成した。Providencia stuartii 由来のubiC変異導入株のうち、HBA-43(V80A), HBA-44(V80C)株による4-HBA生成能は、HBA-42(野生型)よりも増大し、優れていた。Providencia rustigianii 由来のubiC変異導入株のうち、HBA-46(V80A), HBA-47(V80C)株による4-HBA生成能は、HBA-45(野生型)よりも増大し、優れていた。Escherichia coli 由来のubiC変異導入株のうち、HBA-49(I79A), HBA-50(I79C)よる4-HBA生成能は、HBA-48(野生型)よりも増大し、優れていた。
Cronobacter sakazakii由来のubiC変異導入株のうち、HBA-52(I79A), HBA-53(I79C)株による4-HBA生成能は、HBA-51(野生型)よりも増大し、優れていた。 また、同様の実験をCorynebacterium glutamicum野生株(空ベクターのみを有するコントロール)に対して行った際、4-HBA生成は認められなかった。
培養上清中の4-HBA生成能が最も優れていたのは、Providencia rustigianii由来ubiCのV80C変異体を高発現させた組換え株であった(HBA-47株)。
以上より、V80における変異(V80A, V80C)がコリスメート−ピルベート リアーゼ酵素活性を増大させることが、Pantoea ananatis、Providencia stuartii、Providencia rustigianii、及びCronobacter sakazakii由来のubiC変異体解析により明らかとなった。
更に、Escherichia coli、及び、Cronobacter sakazakii由来ubiCの場合は、相同性比較によって、上記V80に相当するアミノ酸残基がI79であるが、該部位における同様の変異(I79A, I79C)が、上記同様にコリスメート−ピルベート リアーゼ酵素活性を増大させることが明らかとなった。該部位における上記変異は、多くのコリスメート−ピルベート リアーゼ酵素活性を増大せしめる、重要な変異であり、且つ、該変異体を高発現させたコリネバクテリウム グルタミカムの組み換え株は、4-HBAの生成能が増大することが証明された。
導入した変異の種類の欄のAはアラニンへの変異を表し、Cはシステインへの変異を表す。また、Vはバリンの変異を表し、Iはイソロイシンの変異を表す。また、80はアミノ酸番号80を表し、79はアミノ酸番号79を表す。
コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)HBA-47は、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8(郵便番号292-0818)の独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託した(受託日:2014年4月25日、受託番号:NITE BP-01849)。この株は、ブダペスト条約の下で国際寄託されており、37 CFR1.808に規定される条件の下で公に利用可能である。
本発明を利用すれば、微生物を用いて実用的な効率でグルコース等から4-HBAを製造することができる。

Claims (13)

  1. 下記の(A)又は(B)の変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
    (A) 配列番号1のアミノ酸配列からなるパントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ(ubiC)においてアミノ酸番号80のバリンがアラニン、システイン、トレオニン、セリン及びアスパラギンから選択される1個のアミノ酸に置換された変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
    (B) (i) プロビデンシア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼにおいて、アミノ酸番号80のバリン(V)、
    (ii) エシェリヒア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼにおいて、アミノ酸番号79のイソロイシン(I)、又は
    (iii) クロノバクター属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼにおいて、アミノ酸番号79のイソロイシン(I)が、
    アラニン、システイン、トレオニン、セリン及びアスパラギンから選択される1個のアミノ酸に置換された変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
  2. 下記の(a)、(b)、又は(c)である請求項1に記載の変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
    (a) 配列番号1のアミノ酸配列からなるパントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリン、配列番号2のアミノ酸配列からなるプロビデンシア スチュアルティイ(Providencia stuartii)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリン、配列番号3のアミノ酸配列からなるプロビデンシア ラスティジアニイ(Providencia rustigianii)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリン、配列番号4のアミノ酸配列からなるプロビデンシア スニービア(Providencia sneebia)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリン、配列番号5のアミノ酸配列からなるプロビデンシア レットゲリ(Providencia rettgeri)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリン、配列番号6のアミノ酸配列からなるプロビデンシア アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリン、若しくは配列番号7のアミノ酸配列からなるプロビデンシア バーホドグラナリエア(Providencia burhodogranariea)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリン、
    配列番号8のアミノ酸配列からなるエシェリヒア コリ(Escherichia coli)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号79のイソロイシン、又は
    配列番号9のアミノ酸配列からなるクロノバクター サカザキ(Cronobacter sakazakii)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号79のイソロイシン
    アラニン、システイン、トレオニン、セリン及びアスパラギンから選択される1個のアミノ酸に置換した変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
    (b) 置換により生成した上記アミノ酸部分を保持しつつ、配列番号1〜9の何れかと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有する変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
    (c) 配列番号1〜9の何れかと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号1〜7の何れかのアミノ酸番号80のバリン、又は配列番号8若しくは9のアミノ酸番号79のイソロイシンと酵素学的に相同である位置のアミノ酸をアラニン、システイン、トレオニン、セリン及びアスパラギンから選択される1個のアミノ酸に置換した変異コリスメート−ピルベート リアーゼ
  3. 請求項1又は2の変異コリスメート−ピルベート リアーゼをコードするDNAを宿主のコリネ型細菌に導入した形質転換体。
  4. 宿主のコリネ型細菌がコリネバクテリウム属細菌である請求項に記載の形質転換体。
  5. コリネバクテリウム属細菌が、コリネバクテリウム グルタミカムR(FERM BP-18976)、ATCC13032、又はATCC13869である請求項に記載の形質転換体。
  6. 下記の(C)又は(D)の変異DNAを宿主のコリネ型細菌に導入した形質転換体。
    (C) 配列番号10の塩基配列からなるパントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ(ubiC)遺伝子において、塩基番号240〜242のgtcを、アラニン、システイン、トレオニン、セリン及びアスパラギンから選択される1個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNA
    (D) (iv) プロビデンシア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の塩基番号240〜242のgtc、
    (v) エシェリヒア属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の塩基番号237〜239のatc、又は
    (vi) クロノバクター属細菌由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の塩基番号237〜239のatcを、
    アラニン、システイン、トレオニン、セリン及びアスパラギンから選択される1個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNA
  7. 下記の(d)、(e)、又は(f)である請求項に記載の形質転換体。
    (d) 配列番号10の塩基配列からなるパントエア アナナティス由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、配列番号11の塩基配列からなるプロビデンシア スチュアルティイ由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、配列番号12の塩基配列からなるプロビデンシア ラスティジアニイ由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子
    、配列番号13の塩基配列からなるプロビデンシア スニービア由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、配列番号14の塩基配列からなるプロビデンシア レットゲリ由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、配列番号15の塩基配列からなるプロビデンシア アルカリファシエンス由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、若しくは配列番号16の塩基配列からなるプロビデンシア バーホドグラナリエア由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の塩基番号240〜242のgtcをアラニン、システイン、トレオニン、セリン及びアスパラギンから選択される1個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNA、
    配列番号17の塩基配列からなるエシェリヒア コリ由来のコリスメート−ピルベートリアーゼ遺伝子の塩基番号237〜239のatcをアラニン、システイン、トレオニン、セリン及びアスパラギンから選択される1個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNA、又は
    配列番号18の塩基配列からなるクロノバクター サカザキ由来のコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子の塩基番号237〜239のatcをアラニン、システイン、トレオニン、セリン及びアスパラギンから選択される1個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNA、
    (e) 置換により生成した上記DNA部分を保持しつつ、配列番号10〜18の何れかと90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードする変異DNA、又は
    (f) 配列番号10〜18の何れかと90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつコリスメート−ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAにおいて、配列番号10〜16の何れかの塩基番号240〜242のgtcをアラニン、システイン、トレオニン、セリン及びアスパラギンから選択される1個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNA、又は配列番号17若しくは18の塩基番号237〜239のatcに対応するDNA部分をアラニン、システイン、トレオニン、セリン及びアスパラギンから選択される1個のアミノ酸をコードするDNA部分に置換した変異DNA
    (但し、配列番号10〜16の何れかの塩基番号240〜242のgtcに対応するDNA部分は、配列番号10〜16の何れかの塩基配列からなるDNAがコードするコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号80のバリンと酵素学的に相同である位置のアミノ酸をコードするDNAを指し、配列番号17若しくは18の塩基番号237〜239のatcに対応するDNA部分は、配列番号17若しくは18の塩基配列からなるDNAがコードするコリスメート−ピルベート リアーゼのアミノ酸番号79のイソロイシンと酵素学的に相同である位置のアミノ酸をコードするDNAを指す)
  8. 置換により生成するDNAが、gca、tgc、acc、tcc、又はaacである請求項6又は7に記載の形質転換体。
  9. 宿主のコリネ型細菌がコリネバクテリウム属細菌である請求項6〜8の何れかに記載の形質転換体。
  10. コリネバクテリウム属細菌が、コリネバクテリウム グルタミカムR(FERM BP-18976)、ATCC13032、又はATCC13869である請求項に記載の形質転換体。
  11. コリネバクテリウム グルタミカム HBA-47(受託番号:NITE BP-01849)形質転換体。
  12. 請求項3〜11の何れかに記載の形質転換体を、糖類、形質転換体が代謝によりコリスミ酸を生成しうる化合物、及びコリスミ酸、並びにそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の原料化合物を含む反応液中で培養する工程と、反応液中の4-ヒドロキシ安息香酸又はその塩を回収する工程とを含む4-ヒドロキシ安息香酸又はその塩の製造方法。
  13. 好気的、かつ形質転換体が増殖しない条件下で形質転換体を培養する請求項12に記載の方法。
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