JP6325420B2 - 燃料噴射装置を備えた内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料噴射装置を備えた内燃機関の排気浄化装置に関する。
ディーゼルエンジンの排気ガスを浄化処理する排気浄化装置として、排気通路に配置され微粒子捕集フィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)を使用する排気浄化装置が知られている。排気ガスは、排気ガス中の微粒子が微粒子捕集フィルタで捕集された後、大気に排出される。エンジンの稼働に応じて、微粒子捕集フィルタには捕集した微粒子が次第に堆積していく。微粒子捕集フィルタには堆積量の限界があり、堆積量が限界値あるいは限界値近くなると、ECUからの指令により微粒子捕集フィルタの再生処理が行われる。一般に再生処理は堆積した微粒子を加熱し酸化することで行われる。
上記のような微粒子捕集フィルタの再生処理を行うエンジンの排気浄化装置の一例が特許文献1に記載されている。そこでは、微粒子捕集フィルタに堆積した微粒子が過堆積状態となったときに、エンジンの制御部は微粒子捕集フィルタへの微粒子の捕集量が過堆積であると判断し、切り替えスイッチによって、微粒子捕集フィルタの再生温度を別設定の再生温度に強制的に切り替えるようにしている。
特開2014−1740号公報
エンジンの排気浄化装置において、排気通路に配置された微粒子捕集フィルタの再生処理は、再生処理時の熱によって微粒子捕集フィルタが耐熱限界温度を超えないこと、短時間で所要の再生処理を終了できること、が望まれる。特許文献1に記載の装置では、微粒子捕集フィルタに堆積した微粒子が過堆積となった状態から再生処理を開始するようにしており、過堆積の状態によっては、再生処理時の熱により微粒子捕集フィルタが耐熱限界温度を超える恐れがある。また、処理時間が長くなるのも避けられない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、再生処理時に微粒子捕集フィルタが耐熱限界温度を超えるのを回避することができ、かつ処理時間も短縮することのできる内燃機関の排気浄化装置を提供することを課題とする。
本発明による燃料噴射装置を備えた内燃機関の排気浄化装置は、燃料噴射装置を備えた内燃機関の排気通路に配置され排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕集する微粒子捕集フィルタと、前記微粒子捕集フィルタを加熱する加熱手段と、前記微粒子捕集フィルタの排気ガス流入口直前の酸素濃度を計測する酸素濃度センサと、前記微粒子捕集フィルタに堆積する微粒子の量を推定するための差圧センサと、前記微粒子捕集フィルタから排出される排気ガスの温度を計測する温度センサと、制御部と、を備える内燃機関の排気浄化装置であって、前記制御部は、前記酸素濃度センサ、前記差圧センサおよび前記温度センサからの入力信号により前記加熱手段を制御する加熱制御手段を少なくとも備え、前記差圧センサによって推定される前記微粒子捕集フィルタに堆積する微粒子の量と前記酸素濃度センサが計測する前記微粒子捕集フィルタの排気ガス流入口直前の酸素濃度とが予め設定した所定値となったときに前記加熱手段に対する加熱制御を開始し、前記温度センサの計測値が所定値以上のときに、当該計測値と所定値との温度差から前記微粒子捕集フィルタに堆積する微粒子の量を再推定し、酸素濃度を再設定することを特徴とする。
内燃機関の排気浄化装置において、排気通路に配置され排気ガス中に含まれる微粒子状物質を捕集する微粒子捕集フィルタの再生処理は、排気ガス中に含まれる酸素によって前記捕集された微粒子を酸化処理することによって進行する。微粒子捕集フィルタへ堆積した微粒子の酸化速度は、排気ガス中の酸素濃度が高く、微粒子の堆積量が多いほど大きい。しかし、背反として、微粒子の酸化速度が大きいと、微粒子捕集フィルタの過度の昇温があり、微粒子捕集フィルタが耐熱限界温度を超える。
本発明による内燃機関の排気浄化装置では、制御部は、差圧センサによって推定される微粒子捕集フィルタに堆積する微粒子の量(微粒子堆積量)と酸素濃度センサが計測する微粒子捕集フィルタの排気ガス流入口直前の酸素濃度とが、予め設定した所定値となったときに、前記加熱手段に対する加熱制御を開始し、微粒子捕集フィルタを加熱する。それにより、堆積している微粒子と排気ガス中の酸素との燃焼が進行し、微粒子捕集フィルタは再生処理される。
再生処理開始時に、温度センサの計測値が所定値以上のときは、計測値と所定値との温度差から微粒子捕集フィルタに堆積する微粒子の量を再推定し、それに応じて酸素濃度を再設定する。それにより、温度センサの計測値が所定値以下となるように制御することができる。これにより、微粒子捕集フィルタが過度の昇温により耐熱限界温度を超えるのを回避することができる。また、過堆積になる前に再生処理を開始できるので、処理時間も短縮することができる。
本発明による内燃機関の排気浄化装置によれば、微粒子捕集フィルタの再生処理時に当該フィルタが燃焼熱により耐熱限界温度を超えるのを効果的に回避することができ微粒子捕集フィルタの長寿命化が図られる。また、再生処理時間も短縮することができる。
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置を備えたエンジン回りを示す概略構成図。 微粒子捕集フィルタの再生処理に係るフローチャート(その1)。 微粒子捕集フィルタの再生処理に係るフローチャート(その2)。 平均酸素濃度を説明するためのグラフ。 微粒子捕集フィルタが耐熱限界温度を超えるときの微粒子堆積量と酸素濃度との相関を示すグラフ。 微粒子の酸化速度を説明するためのグラフ。 微粒子堆積量および酸素濃度と微粒子酸化速度との相関(図7(a))、および微粒子堆積量および酸素濃度と再生処理時での微粒子捕集フィルタの温度との相関(図7(b))を示す2つのグラフ。 微粒子捕集フィルタの微粒子堆積量の違いに起因する再生処理時での微粒子捕集フィルタの温度差を示すグラフ。 本発明に係る内燃機関の排気浄化装置を備えたエンジン回りの他の態様を示す概略構成図。 微粒子捕集フィルタの他の再生処理に係るフローチャート(その1)。 微粒子捕集フィルタの他の再生処理に係るフローチャート(その2)。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置を備えたエンジン(内燃機関)10およびその周辺の一例を示す概略構成図である。図示の例で、エンジン10は燃料噴射装置11を備えた4気筒のディーゼルエンジンであり、給気マニホールド12を介して給気通路13が接続し、排気マニホールド14を介して排気通路15が接続している。給気通路13には、ターボチャージャ16のコンプレッサ16aが設けられており、コンプレッサ16aよりも下流側には、給気通路13内を流通する吸入空気の流量を調節するスロットルバルブ17が設けられている。排気通路15には、ターボチャージャ16のタービン16bが設けられるともに、排気ガスの一部(EGRガス)を給気側へ再循環させるEGR通路18が接続しており、EGR通路18には、そこを流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ19が設けられている。
排気通路15のタービン16bよりも下流側には、排気ガスの後処理をする排気浄化装置20が設けられている。排気浄化装置20は、触媒21とその下流側に設けられた排気ガス中の粒子状物質を捕集する微粒子捕集フィルタ(以下DPFという)22と、DPF22を加熱するための加熱手段23を備える。さらに、排気浄化装置20は、DPF22の排気ガス流入口直前の酸素濃度を計測する酸素濃度センサ24と、DPF22に堆積する微粒子の量(堆積量)を推定するための差圧センサ25と、DPF22から排出される排気ガスの温度を計測する温度センサ26とを備える。
図1で、30は、エンジン全体の制御を行うECU(エンジンコントロールユニット)であり、基本的構成は従来知られたものと同じである。ただし、本発明においては、ECU30は、内部に上記排気浄化装置20を制御するための制御部31を有しており、制御部31には、酸素濃度センサ24、差圧センサ25、温度センサ26の検出値が入力信号として送られる。また、制御部31は、それらの入力信号に基づいて前記加熱手段23の加熱制御を行う加熱制御手段32が含まれている。
以下、上記内燃機関の排気浄化装置20の作動を、図2および図3に示すフローチャートを参照して説明する。
最初に、エンジン10を作動する(S1)。制御部31には差圧センサ25からの信号が送られ、制御部31はDPF22前後の差圧(Δp/Ga)を計測する(S2)。なお、ΔpはDPF22前後の実際の差圧であり、Gaは流入空気量である。差圧は温度と排気ガス流量によって変化するため、Δp/Gaは所定温度(例えば300℃)で補正した差圧を流入空気量で割ることで温度、ガス流量に依存しない差圧の特性値として扱っているが、これに限らない。制御部31は、当該DPF22に堆積する微粒子量と差圧(Δp/Ga)との関連テーブルを備えており、計測された差圧値から、制御部31は、DPF22に堆積している微粒子の量を推定する。また、制御部31には酸素濃度センサ24からの信号が送られ、DPF22の排気ガス流入口直前の酸素濃度を計測する(S3)。さらに、制御部31には温度センサ26からの信号が送られ、DPF22の出ガスの温度を計測する(S4)。
制御部31は、予め設定した所定時間(Δt)が経過したかどうかを判断し(S5)、経過したときに、所定時間(Δt)前までのDPF22直前の排気ガスに含まれる平均酸素濃度を算出する(S6)。図4は、前記平均酸素濃度mOを説明しており、時間tの経過とともに変化する酸素濃度の中から、前記所定時間Δtの間での濃度変化を選定し平均酸素濃度mOの値を算出する。S5に戻り、所定時間(Δt)が経過するまでは、制御部31は、DPF22の状態を所定時間(Δt)経過前の状態とみなし(S7)、S2に戻って、差圧の計測(S2)から再開する。
次に、制御部31は、前記差圧(Δp/Ga)値は予め設定した所定値に到達したかどうかを判断する(S8)。さらに制御部31は、前記DPF22直前の平均酸素濃度は予め設定した所定値に到達したかどうかを判断する(S9)。なお、前記差圧値の所定値とはOTを抑制するために設けられた適合定数であり、平均酸素濃度の所定値とは一定範囲のPM(微粒子)酸化速度を維持できる酸素濃度の値である。図5等を参照して後に説明する。
差圧(Δp/Ga)値と平均酸素濃度がともに所定値以上となったときに、制御部31は、DPF22の状態をPM(微粒子)酸化状態とみなし(S10)、DPF22の再生を開始する(S11)。ここで「PM酸化状態」とは、DPF22に堆積した微粒子を加熱等の手段により酸化燃焼させることが必要となった状態をいい、「DPF22の再生」とは、DPF22に堆積した微粒子を加熱等の手段により酸化燃焼させて焼失させることで、DPF22をほぼ初期の状態にまで戻すことをいう。
図1を参照して説明した排気浄化装置20においては、制御部31がDPF22の状態をPM酸化状態とみなし、その判断に基づきDPF22を加熱するための前記加熱手段23を加熱制御手段32をとおして加熱制御することで、S11のDPF22の再生処理が開始する。また、DPF22直前の平均酸素濃度が予め設定した所定値に到達したことを条件にDPF22の再生を開始するのは、酸素が不足する条件でDPF22の再生が開始するのを防止し、PM流入量>PM再生(酸化)量となるのを防ぐためである。
S8とS9のいずれか一方または双方がNOの場合、制御部31は、DPF22の状態をPM堆積状態とみなし(S12)、S2に戻って、差圧の計測(S2)から再開する。なお、ここで「PM堆積状態」とは、DPF22でのPMの堆積量にまだ余裕があり、エンジンの継続運転が可能な状態をいっている。
次に、前記した、差圧(Δp/Ga)値の予め設定した所定値、および、DPF22直前の平均酸素濃度の予め設定した所定値、について説明する。DPF22に堆積したPM(微粒子)の酸化量、すなわち、DPF22の再生速度は、堆積したPM(微粒子)の酸化速度VPMに依存する。ここでPM酸化速度VPMとは、図6に示すように、PM堆積量減少率20→80%間を最小二乗法で近似したときの傾きをいう。
図7(a)に示すように、PM酸化速度VPMは酸素濃度が高く、PM堆積量が多いほど大きい。一方、背反として、図7(b)に示すように、酸素濃度が高く、PM堆積量が多いほど、DPF22の温度Tは高くなり、再生時にDPF22の温度Tを適温内に維持しないと、DPF22が耐熱限界温度を超えてしまう。したがって、所定量のPM堆積量の時点で酸素濃度が所定量に達したときに、DPF22の再生処理を開始すれば、熱によるDPF22の耐熱限界を超える温度上昇を回避することができる。
一方、DPF22には多くの種類があり、またエンジンごとにその有効容積も異なる。したがって、DPF22の耐熱限界を超える温度上昇を回避できる、前記所定量のPM堆積量(すなわち前記差圧(Δp/Ga)値から推定される量)および所定量の酸素濃度の値は、一律ではない。過去の経験から、当該エンジンに搭載している微粒子捕集フィルタ(DPF22)の再生時の耐熱限界温度Taは知られており、図7(b)に示したグラフ(テーブル)を予め備えておくことにより、DPF22の再生時の耐熱限界温度Taに対応するPM堆積量と酸素濃度との相関を知ることができる。
図5は、DPF22再生時の酸素濃度とPM堆積量の関係からDPF22の耐熱限界をあらわした限界領域テーブル40であり、図5において、曲線Sは当該DPF22の耐熱限界線を示している。曲線Sの外側はDPF22の耐熱限界を超える領域であり、内側は耐熱限界を超えずにDPF22の再生処理を行える領域である。例えば、従来の予め設定されたPM堆積量PMのときに、平均酸素濃度mOがOX状態で再生処理を行うと、図5で黒丸に示すように、DPF22の耐熱限界を超える領域内で処理が進行することとなる。そこで、平均酸素濃度mOの状態のときには、PM堆積量PMの条件で再生処理を開始すれば、処理は耐熱限界線Sの上で進行することとなり、DPF22が耐熱限界を超えることはない。もちろん、PM堆積量PM以下の状態で再生処理を開始してもよく、その場合にも、DPF22が耐熱限界を超えることはない。しかし、図7(a)に示したように、PM酸化速度VPMはO濃度が高く、PM堆積量が多いほど大きいので、PM堆積量PMの条件で再生処理を開始すれば、DPF22再生を最短で行うことができる。また、一定範囲のPM酸化速度VPMを維持できる酸素濃度を設定することが望ましい。
本発明では、上記の理由から、図5に示す限界領域テーブル40での耐熱限界内の値から適宜選択したPM堆積量(なお、この値は差圧センサ25が計測する差圧(Δp/Ga)値でもある)と平均酸素濃度とを、微粒子捕集フィルタに堆積する微粒子の量(堆積量)の「予め設定した所定値」および微粒子捕集フィルタの排気ガス流入口直前の酸素濃度の「予め設定した所定値」といっている。
実際のエンジンの運転にあたっては、制御部31は、前記差圧センサ25の計測値から微粒子捕集フィルタ(DPF22)に堆積する微粒子PMの量を推定し、また、酸素濃度センサ24の計測値から微粒子捕集フィルタ(DPF22)の排気ガス流入口直前の平均酸素濃度(mO)を検知する。そして、両者ともに前記予め設定した所定値となったときに(すなわち、図2のフローチャートでのS8およびS9がともにYESの状態となったときに)、加熱制御手段32による前記加熱手段23に対する加熱制御を開始する。なお、前記したように、両者の所定値の設定を、ともに図5での曲線S上の値として設定することにより、DPF22再生を最短で行うことができる。しかし、曲線Sの内側の耐熱限界を超えない領域内の値を「予め設定した所定値」として設定することもできる。
S11に戻り、制御部31は温度センサ26の計測値を監視しており、再生処理開始時に、その時のDPF22出ガス温度は所定値以上かどうかを判断する(S13)。なお、温度センサ26の計測値はDPF22の温度を実質的に示す。また、DPF22出ガス温度の「所定値」には、当該DPF22の耐熱限界を超えさせない温度値が設定される。通常の場合、前記した2つの「予め設定した所定値」内で再生処理が開始すれば、再生処理開始時のDPF22出ガス温度は「所定値」以上にはならない。したがって、DPF22の状態はPM酸化状態をそのまま維持してもよい状態であり、制御部31は、DPF22再生処理を続行する(S17)。
S13において、DPF22出ガス温度が所定値以上の場合は、事前に予め設定したPM堆積量の所定値(差圧センサ25が計測する差圧(Δp/Ga)値)に対して、過剰の酸素が供給されている状態であり、その場合には、制御部31は、DPF22の状態は酸素過剰状態にあると判別する(S14)。そして、前記したDPF22出ガス温度の「所定値」と温度センサ26の実測値との温度差からPM堆積量(差圧センサ25が計測する差圧(Δp/Ga)値)を再推定し(S15)、また、酸素濃度の再設定を行い(S16)、処理を継続する。
なお、前記したPM堆積量の再推定は、次のようにして行われる。図8は、PM堆積量が異なる場合でのDPF22温度差と経過時間の関係を示している。「基準PM堆積量」は例えば前記した予め設定した所定値でのPM堆積量であり、PM堆積量2はPM堆積量1よりも大きく、またいずれも基準PM堆積量よりも大きい。そして、DPF22再生開始時のDPF22温度差は、堆積量が基準PM堆積量より多くなるほど、その量に比例して大きくなる。実機においては、制御部31は温度センサ26の計測値から前記温度差を算出し、その値を基礎とし、図8に示すようなテーブルを参照して、DPF22再生開始時のPM堆積量を再推定する。そして、再推定したPM堆積量に応じて酸素濃度の再設定を行う。なお、酸素濃度の再設定は予めDPF22温度差に相当するPM堆積量のずれに関するマップを取得しておき、それに従って酸素濃度を補正する。
DPF22の再生処理中に、酸素濃度がS9で算出した平均酸素濃度を上回ることが起こりうる。例えば、車を運転していて信号などのためにブレーキを踏むようなときに生じる。この状態になると、DPF22に耐熱限界温度を超える恐れがある。それを回避するために、制御部31は、酸素濃度が平均値を上回ったかどうかを継続して監視する(S18)。上回った場合には、DPF22の状態を酸素過剰状態(S10参照)とみなし(S19)、EGRバルブ19(図1参照)を開き(S20)、酸素濃度を下げる。S18でNOの場合には、制御部31は、DPF22状態がPM酸化状態にあると判断し(S21)、引き続きDPF22の再生処理を続行する。
制御部31は、S21の後においてもDPF22前後の差圧(Δp/Ga)を計測しており、その過程で、差圧(Δp/Ga)が前記した所定値を下回ったかどうかを判定する(S22)。下回った場合には、DPF22の状態をPM酸化完了状態とみなし(S23)、DPF22再生処理を完了する(S24)。そうでない場合には、DPF22の状態をPM酸化状態とみなし、再生処理を継続してS18に戻る。
以上のように、本発明による内燃機関の排気浄化装置では、微粒子捕集フィルタ(DPF22)に堆積する微粒子PMの量(堆積量)の所定値と、酸素濃度の所定値と所定値とを予め設定しておき、差圧センサ25によって推定される微粒子捕集フィルタ(DPF22)に堆積する微粒子PMの量(堆積量)と、酸素濃度センサ24が計測する微粒子捕集フィルタ(DPF22)の排気ガス流入口直前の酸素濃度とが、前記した予め設定した所定値となったときに、加熱手段23に対する加熱制御(微粒子捕集フィルタ(DPF22)の再生処理)を開始する。そして、もし、微粒子捕集フィルタ(DPF22)から排出される排気ガスの温度を計測する温度センサ26の計測値が、所定値(微粒子捕集フィルタ(DPF22)の耐熱限界温度を超える温度)以下のときは、そのまま再生処理を継続し、以上のときに、計測値と所定値との温度差から微粒子捕集フィルタ(DPF22)に堆積する微粒子PMの量を再推定し、酸素濃度を再設定する。
そのために、前記「予め設定した所定値」を適切に選定することにより、微粒子捕集フィルタ(DPF22)の再生処理時に当該フィルタが耐熱限界温度を超えるのを効果的に回避することができ、微粒子捕集フィルタの長寿命化が図られる。また、再生処理時間も短縮することができる。何らかの事情により、再生処理開始時に、温度センサ26の計測値が所定値以上であっても、微粒子PMの量を再推定し、酸素濃度を再設定することで、微粒子捕集フィルタ(DPF22)が耐熱限界温度を超えるのを回避できる。
[第1の変形例]
次に、本発明による燃料噴射装置を備えた内燃機関の排気浄化装置の第1の変形例を図9を参照して説明する。図9に示すように、ここでは、第2のEGR通路18aが、排気通路15の排気浄化装置20よりも下流側と給気マニホールド12の間に設けられており、第2のEGR通路18aには、そこを流れるEGRガスの流量を制御するL−EGRバルブ19aが設けられている。他の構成は、図1に示したものと同じであり、同じ符号を付すことで説明は省略する。
この装置での内燃機関の排気浄化装置20の作動は、図2および図3に示したフローチャートとほぼ同じであるが、S20においてのみ相違する。すなわち、フローチャートは省略するが、図9に示した装置においては、制御部31がDPF22の状態を酸素過剰状態とみなしたとき(S19)、制御部はEGRバルブ19およびL−EGRバルブ19aの双方またはL−EGRバルブ19aのみを開き、酸素濃度を下げる。第2のEGR通路18aを設けたことにより、DPF22後流の酸素濃度がより低いガスを取り込むことができる利点が生じる。
[第2の変形例]
次に、本発明による燃料噴射装置を備えた内燃機関の排気浄化装置の第2の変形例を図10、図11のフローチャートを参照して説明する。ここでは、DPF22に堆積する微粒子PMの堆積量をエンジン指令値から算出して積算する点で、図2および図3に示したフローチャートに基づく内燃機関の排気浄化装置20の作動と相違する。この制御態様によれば、図2および図3に示したフローチャートに基づく内燃機関の排気浄化装置20の作動と比較して、差圧センサからの出力とエンジン指令値の2つの方法でPM堆積量を推定できる利点がもたらされる。なお、図10、図11に示すフローチャートにおいて、図2、図3で説明したフローチャートと同じステップ番号を付したステップは、図2、図3のフローチャートでの対応ステップと同じ処理を行うものであり、以下において当該ステップでの詳細な処理内容の説明は省略する。
作動にあたり、最初に、エンジン10を作動し(S1)、制御部31はDPF22前後の差圧(Δp/Ga)を計測する(S2)。また、制御部31はエンジン指令値により当該DPF22に堆積するPM堆積量の積算を開始する(S2a)。なお、ここで、「エンジン指令値」とは、回転数と燃焼噴射量との関係から導出されるPMの瞬間排出量をいう。制御部31はDPF22の排気ガス流入口直前の酸素濃度を計測し(S3)、また、DPF22の出ガスの温度を計測する(S4)。さらに、制御部31は、予め設定した所定時間(Δt)が経過したかどうかを判断し(S5)、経過したときに、所定時間(Δt)前までのDPF22直前の排気ガスに含まれる平均酸素濃度を算出する(S6)。所定時間(Δt)が経過するまでは、制御部31は、DPF22の状態を所定時間(Δt)経過前の状態とみなし(S7)、S2に戻って、差圧の計測(S2)から再開する。
次に、制御部31は、積算PM堆積量の計算値は所定値に達したかどうかを判断する(S8a)。ここで、「所定値」はDPF22再生によりエンジン出力の回復が期待できるPM堆積量として定義される。さらに制御部31は、前記DPF22直前の平均酸素濃度は予め設定した所定値に到達したかどうかを判断する(S9)。積算PM堆積量の計算値と平均酸素濃度がともに所定値以上となったときに、制御部31は、DPF22の状態をPM(微粒子)酸化状態とみなし(S10)、DPF22の再生を開始する(S11)。S8aとS9のいずれか一方または双方がNOの場合、制御部31は、DPF22の状態をPM(微粒子)堆積状態とみなし(S12)、S2に戻って、差圧の計測(S2)から再開する。
制御部31は再生処理開始時に、その時のDPF22出ガス温度が所定値以上かどうかを判断する(S13)。NOの場合には、制御部31は、DPF22再生処理を続行し(S17)、YESの場合は、制御部31はDPF22の状態は酸素過剰状態にあると判別する(S14)。そして、DPF22出ガス温度の「所定値」と温度センサ26の実測値との温度差からPM堆積量を再推定し(S15)、また、酸素濃度の再設定を行い(S16)、処理を継続する。
DPF22の再生処理中に、制御部31は、酸素濃度が平均値を上回ったかどうかを継続して監視する(S18)。上回った場合には、DPF22の状態を酸素過剰状態とみなし(S19)、EGRバルブ19(あるいはEGRバルブ19a)を開き(S20)、酸素濃度を下げる。S18でNOの場合には、制御部31は、DPF22状態がPM酸化状態にあると判断するとともに(S21)、DPF22前後の差圧(Δp/Ga)の計測を継続する(S21a)。その過程で、差圧(Δp/Ga)が前記した所定値を下回ったかどうかを判定1(S22)、下回った場合には、DPF22の状態をPM酸化完了状態とみなし(S23)、DPF22再生処理を完了する(S24)。そうでない場合には、DPF22の状態をPM酸化状態とみなし、再生処理を継続してS18に戻る。
前記したように、この制御態様では、制御部31はエンジン指令値によりDPF22に堆積するPM堆積量の積算を開始し、また所定量に達したかどうかを判断するようにしていることにより、差圧センサが故障しても適切なPM堆積量を推定できる作用効果がもたらされる。
10…エンジン(内燃機関)、11…燃料噴射装置、12…給気マニホールド、13…給気通路、14…排気マニホールド、15…排気通路、16…ターボチャージャ、16a…コンプレッサ、16b…タービン、17…スロットルバルブ、18…EGR通路、19…EGRバルブ、20…排気浄化装置、21…触媒、22…微粒子捕集フィルタ(DPF)、23…加熱手段、24…酸素濃度センサ、25…差圧センサ、26…温度センサ、30…
ECU(エンジンコントロールユニット)、31…排気浄化装置を制御する制御部、32…加熱手段の加熱制御を行う加熱制御手段。

Claims (1)

  1. 燃料噴射装置を備えた内燃機関の排気通路に配置され排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕集する微粒子捕集フィルタと、前記微粒子捕集フィルタを加熱する加熱手段と、前記微粒子捕集フィルタの排気ガス流入口直前の酸素濃度を計測する酸素濃度センサと、前記微粒子捕集フィルタに堆積する微粒子の量を推定するための差圧センサと、前記微粒子捕集フィルタから排出される排気ガスの温度を計測する温度センサと、制御部と、を備える内燃機関の排気浄化装置であって、
    前記制御部は、前記酸素濃度センサ、前記差圧センサおよび前記温度センサからの入力信号により前記加熱手段を制御する加熱制御手段を少なくとも備え、前記差圧センサによって推定される前記微粒子捕集フィルタに堆積する微粒子の量と前記酸素濃度センサが計測する前記微粒子捕集フィルタの排気ガス流入口直前の酸素濃度とが予め設定した所定値となったときに前記加熱手段に対する加熱制御を開始し、前記温度センサの計測値が所定値以上のときに、当該計測値と所定値との温度差から粒子捕集フィルタに堆積する微粒子の量を再推定し、酸素濃度を再設定することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
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