JP6324868B2 - 電磁アクチュエータおよびこの電磁アクチュエータを用いた電磁弁 - Google Patents
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Description
この電磁アクチュエータ101を用いた電磁弁102として、以下に詳説する可動部103、第1スプリング104、第2スプリング105および保持部106を備えたものが知られている(図7参照)。
なお、この電磁弁102は、内燃機関に燃料を加圧して供給するサプライポンプ107を構成し、このサプライポンプ107に設けられた燃料の加圧室108に吸入される燃料を調量するものである。
第1スプリング104は、2つの可動体110、111の内、軸方向一方側に配される一方側可動体110を軸方向他方側へ付勢することで可動部103全体を軸方向他方側へ付勢している。
第2スプリング105は、2つの可動体110、111の内、軸方向他方側に配される他方側可動体111を軸方向一方側へ付勢することで、他方側可動体111を一方側可動体110に当接させている。
保持部106は、他方側可動体111を所定の摺動クリアランスを形成して軸方向に摺動自在に保持する。
そして、この静止摩擦力のバラツキによって、コイル109への通電開始から他方側可動体111が動作に至るまでの期間(以下、動作開始期間と呼ぶことがある。)にバラツキが生じてしまう問題があった。
可動部は、コイルへの通電により軸方向一方側に駆動される2つの可動体からなり、この2つの可動体は、軸方向に互いに当接し合い一体となって移動する。
第1付勢手段は、2つの可動体の内、軸方向一方側に配される一方側可動体を軸方向他方側へ付勢することで可動部全体を軸方向他方側へ付勢する。
第2付勢手段は、2つの可動体の内、軸方向他方側に配される他方側可動体を軸方向一方側へ付勢することで、他方側可動体を一方側可動体に当接させる。
保持部は、他方側可動体を所定の摺動クリアランスを形成して軸方向に摺動自在に保持する。
また、コイルへ通電することにより、一方側可動体を第1規制部から離し、軸方向一方側に移動させる。
さらに、コイルへの通電が停止している時に、他方側可動体に軸方向他方側への外力が作用して他方側可動体が一方側可動体から離れた時に、他方側可動体を係止することで他方側可動体の軸方向他方側の移動を規制する第2規制部を備えている。
そこで、上記のような第1規制部を設け、一方側可動体を第1規制部に当接させることで第1付勢手段の付勢力の他方側可動体への伝達を遮断する。
これにより、内力を弱めることで、動作開始期間のバラツキを減らすことができる。
さらに、第2規制部により、他方側可動体の外力による軸方向他方側に移動を規制することができ、第2付勢手段の破損を防ぐことができる。
サプライポンプ3は、図示しない内燃機関(例えば、ディーゼルエンジン)の各気筒に燃料を加圧して供給する。
先ず、サプライポンプ3には、トロコイドポンプ等の低圧燃料ポンプであるフィードポンプ(図示しない。)によって燃料タンク(図示しない。)から汲み上げられた燃料が供給される。
次いで、フィードポンプから供給された低圧の燃料を加圧室5にて加圧し、外部の燃料蓄圧容器であるコモンレール(図示しない。)等に供給する。
また、サプライポンプ3は、加圧室5にて加圧された燃料の圧力が所定圧力以上となった場合に開弁し外部に高圧燃料を供給する逆止弁構造の吐出弁6を備えている。
また、プランジャ4の軸方向他方側には、ヘッド4aが形成されている。ヘッド4aは、図示しないリターンスプリングによりカム7の外周に押し付けられており、回動するカム7の外周に摺接することにより、プランジャ4は軸方向に往復移動する。
なお、カム7は、内燃機関により回転駆動されている。
電磁アクチュエータ1は、以下に詳説する可動部10、「第1付勢手段」である第1スプリング11、「第2付勢手段」である第2スプリング12および保持部13を備えている。
可動部10は、コイル14への通電により軸方向一方側に駆動される2つの可動体15、16からなり、この2つの可動体15、16は、軸方向に互いに当接し合い一体となって移動する。
なお、可動部10を2つの可動体15、16に分割したのは、それぞれの可動体15、16の質量を軽くすることにより慣性質量を小さくしコイル14への通電に対する応答性を高めるためである。
第2スプリング12は、2つの可動体15、16の内、軸方向他方側に配される他方側可動体16を軸方向一方側へ付勢することで、他方側可動体16を一方側可動体15に当接させる。
そして、ハウジング17の軸方向他方側の端部と保持部13の軸方向一方側の端部とを接続することで、ハウジング17と保持部13とは一体となる。
また、他方側可動体16は、軸方向他方側端部に弁部18を有しており、コイル14への通電により他方側可動体16が軸方向一方側に移動し、弁部18が保持部13の軸方向他方側端部に設けられた弁座19に着座する。そして弁部18が弁座19に着座することにより、流路13aが閉じられ加圧室5が封鎖されることになるため、他方側可動体16は、弁体として機能している。
なお、電磁弁2は、第1スプリング11の付勢力第2スプリングの付勢力より大きく設定されており、コイル14への通電により加圧室5が封鎖される所謂ノーマリオープン型の電磁弁2となっている。
サプライポンプ3の動作は、主に燃料吸入工程、燃料調量工程、燃料圧送工程より成る。
ここで、図2(a)は、プランジャ4の軸方向の位置の時間変化を表しており、図2(b)は、電磁弁2への通電状態を表しており、図2(c)は、それぞれの工程におけるサプライポンプ3の状態を表している。
また、燃料調量工程においては、コイル14への通電を行われていないため、加圧室5は封鎖されておらず、プランジャ4の軸方向一方側への移動に伴い加圧室5内の燃料が流路13aを介して吐き戻され、この吐き戻される燃料量を調整することで加圧室5内の燃料量が調量される。
そして、燃料圧送工程においては、コイル14への通電を行って加圧室5を封鎖するとともにプランジャ4が軸方向一方側にさらに移動することにより、加圧室5内の燃料圧が加圧され、吐出弁6から外部に高圧燃料を供給する。
なお、電磁弁2への通電のオン、オフは、ECU(図示しない。)等からの制御信号に基づき行われている。
電磁アクチュエータ1は、コイル14への通電が停止している時に、第1スプリング11に付勢された一方側可動体15を係止することで可動部10全体の軸方向他方側の移動を規制する第1規制部20を備える。
そして、コイル14へ通電することにより、一方側可動体15を第1規制部20から離し、軸方向一方側に移動させる。
さらに、第1規制部20は、一方側可動体15を取り囲むように配されており、非磁性材であるSUS304、DSH400F、HPM75等で形成されている。
ここで、第1規制部20は円筒体であり、ハウジング17に設けられた穴に圧入されることでハウジング17と一体となっている。
実施例によれば、電磁アクチュエータ1は、コイル14への通電が停止している時に、第1スプリング11に付勢された一方側可動体15を係止することで可動部10全体の軸方向他方側の移動を規制する第1規制部20を備える。
そして、コイル14へ通電することにより、一方側可動体15を第1規制部20から離し、軸方向一方側に移動させる。
これにより、一方側可動体15と他方側可動体16の間で作用しあう内力を弱めることでき、動作開始期間のバラツキを減らすことができる。
コイル14への通電が停止している時において、他方側可動体16と保持部材13との間には、摺動クリアランスがあるため、例えば、図示されるように他方側可動体16が軸方向から傾いた場合に、保持部13の内壁と接触する。
なお、図面においては、軸方向一方側の接触点をA点、軸方向他方側の接触点をB点とし、A点において他方側可動体16の側面に垂直に作用する力をFa、B点において他方側可動体16の側面に垂直に作用する力をFbで表している。
ここで、軸方向に対する他方側可動体16の傾きをθ、軸方向他方側に作用する一方側可動体15との間に作用する内力の大きさをFとした場合に、他方側可動体16にはF・sinθに比例する静止摩擦力が作用していることになる。
なお、この場合、他方側可動体16は軸方向からθ傾いた方向に移動するものと仮定している。
このため、静止摩擦力にもF・(sin(θ+Δθ)−sin(θ−Δθ))に比例するバラツキが生じてしまう。
そして、この静止摩擦力のバラツキに起因して、他方側可動体16の動作開始期間のバラツキが生じていると考えられている。つまり、動作開始期間のバラツキはFに比例していることになる。
具体的には、本実施例において他方側可動体16に作用する内力は図4(b)に示すように、第2スプリング12の付勢力の反作用力のみとなる。
この結果、他方側可動体16の動作開始期間のバラツキを小さくすることができる。
このため、第2スプリング12の使用限界最低長を下回る圧縮を防ぐことができ、第2スプリング12の破損を防ぐことができる。
なお、他方側可動体16が第2規制部21により移動が規制される状態における弁部18と弁座19の軸方向の最低離間距離、所謂最低弁体リフト量L3が設定されている場合においては、ΔLはL3≦ΔLの関係も満たす必要がある。
これにより、一方側可動体15との当接部は凸部20aの先端となるが、この当接部は凸設された部位の先端に設けられているため加工時において容易に精度を確保することができる。
これにより、図6に示すように、一方側可動体15への第1規制部20周辺への磁束の流れ(所謂、磁気サイドフォースの要因となる磁束の流れ。)を遮断することができる。
このため、一方側可動体15の軸方向に対する傾き等を抑制することができ、一方側可動体15が傾くことに伴う他方側可動体16の軸方向に対する傾きを抑制することができる。
この結果、他方側可動体16に作用する静止摩擦力の大きさを低減することができる。
本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形例を考えることができる。
実施例によれば、この電磁アクチュエータ1を用いた電磁弁2は、サプライポンプ3に設けられた燃料の加圧室5に吸入される燃料を調量するものであったが、この用途に限定されるものではない。
例えば、この電磁アクチュエータ1をコモンレールのレール圧を制御する電磁弁に用いるものであってもよい。この場合、コモンレールのレール圧の制御性を高めることができる。
12 第2スプリング(第2付勢手段) 13 保持部 14コイル
15 一方側可動体 16 他方側可動体 20第1規制部
Claims (4)
- コイル(14)への通電により、軸方向一方側に駆動される2つの可動体(15、16)からなり、軸方向に互いに当接し合い一体となって移動する可動部(10)と、
前記2つの可動体(15、16)の内、軸方向一方側に配される一方側可動体(15)を軸方向他方側へ付勢することで前記可動部(10)全体を軸方向他方側へ付勢する第1付勢手段(11)と、
前記2つの可動体(15、16)の内、軸方向他方側に配される他方側可動体(16)を軸方向一方側へ付勢することで、前記他方側可動体(16)を前記一方側可動体(15)に当接させる第2付勢手段(12)と、
前記他方側可動体(16)を所定の摺動クリアランスを形成して軸方向に摺動自在に保持する保持部(13)とを備える電磁アクチュエータ(1)において、
前記コイル(14)への通電が停止している時に、前記第1付勢手段(11)に付勢された前記一方側可動体(15)を係止することで前記可動部(10)全体の軸方向他方側の移動を規制する第1規制部(20)を備え、
前記コイル(14)へ通電することにより、前記一方側可動体(15)を前記第1規制部(20)から離し、軸方向一方側に移動させ、
前記コイル(14)への通電が停止している時に、前記他方側可動体(16)に軸方向他方側への外力が作用して前記他方側可動体(16)が前記一方側可動体(15)から離れた時に、前記他方側可動体(16)を係止することで前記他方側可動体(16)の軸方向他方側の移動を規制する第2規制部(21)を備えることを特徴とする電磁アクチュエータ(1)。 - 請求項1に記載の電磁アクチュエータ(1)において、
前記第1規制部(20)は、軸方向一方側に突き出る凸部(20a)を有しており、
前記一方側可動体(15)は、前記凸部(20a)の先端に当接することにより軸方向他方側への移動が規制されることを特徴とする電磁アクチュエータ(1)。 - 請求項1または請求項2に記載の電磁アクチュエータ(1)において、
前記第1規制部(20)は、非磁性材で形成されていることを特徴とする電磁アクチュエータ(1)。 - 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の電磁アクチュエータ(1)を用いた電磁弁(2)であって、
この電磁弁(2)は、
内燃機関に燃料を加圧して供給するサプライポンプ(3)を構成し、
このサプライポンプ(3)に設けられた燃料の加圧室(5)に吸入される燃料を調量することを特徴とする電磁弁(2)。
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