JP5641031B2 - 電磁アクチュエータ - Google Patents
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Description
ステータコアの圧入穴にストッパが圧入された電磁アクチュエータの一例として、特許文献1に開示されるものが知られている。
この特許文献1のストッパを、図7、図8を参照して説明する。なお、符号は後述する「発明を実施するための形態」および「実施例」と同一機能物に同一符号を付すものである。
ストッパ11は、
・ステータコア9の圧入穴10に圧入される大径部11aと、
・この大径部11aより小径で、可動部材(電磁アクチュエータのアーマチャ、あるいはアーマチャと一体に移動する部材)に当接可能な軸部11bと、
を備える。
なお、特許文献1は、リターンスプリング(圧縮コイルバネ)を軸部11bによって支持する技術に関する。
ストッパ11は可動部材の一方のスライド位置(特許文献1の技術では最大リフト位置)を規制するものであり、誤差を無くす目的で、ストッパ11は「圧入穴10の奥面X」に当接するまで圧入される。
すると、「圧入穴10の奥面X」と「ストッパ11の閉塞面Y(奥面Xに対向する面)」とで挟まれる圧入空間の体積比(圧入開始時の体積÷圧入後の体積)が大変大きくなってしまう。
ストッパ11の抜止技術として、従来技術では、図7、図8に示すように、ストッパ11の一部(具体的には、大径部11a)に息抜き孔Aを形成し、ストッパ11の圧入時に圧縮される空気を息抜き孔Aから外部へ逃がしていた。
また、息抜き孔Aは、大径部11aの偏心位置(軸部11bから径方向にズレた位置)に設けられるものであり、径が大変小さい。このため、息抜き孔Aの加工コストが高くなる問題点があった。
電磁アクチュエータは、「ストッパの閉塞面(圧入穴の奥面に対向する面)」に、圧入空間の容積を増大させる凹部(窪みによる容積室)を設けている。
この凹部により、ストッパの圧入後の圧入空間の体積を大きくできるため、圧入空間を密閉空間として設けても、圧縮空気によってストッパが圧入穴から抜け出る不具合を回避できる。
また、凹部は、従来技術における息抜き孔Aより加工が容易であるため、加工コストを抑えることができる。
電磁アクチュエータは、バルブと組み合わされて電磁弁を成す。
これにより、電磁弁の信頼性を高めることができるとともに、電磁弁の加工コストを抑えることができる。
電磁弁は、高圧ポンプ(コモンレールに向けて高圧燃料を圧送する高圧燃料圧送手段)へ供給される燃料供給量を調整する燃料調量弁(以下、PCVと称す:プレストローク・コントロール・バルブの略)である。
これにより、PCVの信頼性を高めることができるとともに、PCVの加工コストを抑えることができる。
ストッパは、圧入穴に圧入される大径部と、この大径部より小径で可動部材に当接可能な軸部とで構成される。
そして、軸部は、リターンスプリング(圧縮コイルバネ)の支持機能を兼ねる。
凹部の体積は、圧入前後の体積比が20以下を満足するように設けられる。
これにより、圧入による圧縮空気によってストッパが圧入穴から抜け出る不具合が無い。
コモンレール1に向けて高圧燃料を圧送するサプライポンプ2は、
・燃料を高圧に圧縮して圧送する高圧ポンプ3と、
・この高圧ポンプ3に供給される燃料供給量を調整するPCV4と、
を備える。
電磁アクチュエータ5は、ステータコア9に形成された圧入穴10の内部に圧入され、可動部材(アーマチャ8等)の最大リフト位置を規制するストッパ11を有する。
ストッパ11は、圧入穴10に圧入される大径部11aと、この大径部11aより小径で可動部材に当接可能な軸部11bとで構成される。
「ストッパ11の閉塞面Y(圧入穴10の奥面Xに対向する面)」には、「圧入穴10の奥面X」と「ストッパ11の閉塞面Y」とで挟まれる圧入空間の容積を増大させる凹部12が設けられる。この凹部12により、ストッパ11の圧入後の圧入空間の体積を大きくできるため、圧入空間を密閉空間として設けても、圧入したストッパ11が圧縮空気によって圧入穴10から抜け出る不具合が生じず、圧入空間内にバリBを封止できる。
なお、以下の実施例において、上記「発明を実施するための形態」と同一符号は同一機能物を示すものである。
図1〜図5を参照して実施例1を説明する。
ディーゼルエンジン(圧縮点火エンジン)に搭載されるコモンレールシステムは、
・エンジンに対して高圧に圧縮された燃料(軽油、アルコール燃料等)を噴射する複数のインジェクタ(図示しない)と、
・各インジェクタに供給する高圧燃料を貯溜するコモンレール1と、
・このコモンレール1に向けて高圧燃料を圧送するサプライポンプ2と、
を備えて構成される。
・燃料タンク13に蓄えられた燃料を汲み上げるフィードポンプ7(低圧ポンプ)と、
・フィードポンプ7によって汲み上げられた燃料を高圧に圧縮して吐出する高圧ポンプ3と、
・フィードポンプ7から高圧ポンプ3に向けて供給される燃料の圧力を一定圧に保つレギュレートバルブ14と、
・フィードポンプ7から高圧ポンプ3に供給される燃料供給量を調整するPCV4と、
を備えて構成される。
・レギュレートバルブ14で調圧された燃料を高圧ポンプ3に導く燃料通路の開閉を行うバルブ6と、
・このバルブ6を駆動する電磁アクチュエータ5と、
を組み合わせた電磁弁である。
具体的に、PCV4は、電磁アクチュエータ5の通電停止時に、バルブ6が燃料通路を閉塞するノーマリ・クローズ・タイプの電磁弁である。
・有底のバルブハウジング15と、
・このバルブハウジング15内で上下方向へ移動可能に支持される弁体16と、
を備えて構成される。
そして、電磁アクチュエータ5内に配置されたリターンスプリング17によって、弁体16が下方へ向けて押し付けられ、弁体16の下端に形成された円錐部がバルブハウジング15内の弁座に着座するように設けられている。
燃料入口18は、燃料通路における上流側(フィードポンプ7側)に接続される燃料通路穴であり、弁座の中心に設けられ、弁体16が弁座に着座することで閉塞される。
燃料出口19は、弁体16が弁座から離座(リフトアップ)すると燃料入口18に連通する燃料通路穴であり、燃料通路における下流側(高圧ポンプ3側)に接続される燃料通路穴である。
・通電により磁力を発生するコイル20と、
・上下方向(軸方向)へ移動可能に支持されるアーマチャ8(プランジャ)と、
・コイル20の発生する磁力によりアーマチャ8を上方へ磁気吸引するステータコア9と、
・コイル20を覆うヨークの機能、およびアーマチャ8の外周面と磁気の受渡しを行う機能を有するソレノイドハウジング21と、
・可動部材(アーマチャ8およびアーマチャ8と一体に移動する部材)の最大リフト量を規制するストッパ11と、
・アーマチャ8を下方へ向けて付勢するリターンスプリング17と、
を備えて構成される。
このアーマチャ8の軸心には、弁体16から上方へ伸びるシャフト16aが固定されており、アーマチャ8と弁体16とが一体で上下方向へ移動するように設けられている。
・コイル20の内側に挿入配置されて、アーマチャ8の上面と対向する略円柱形状を呈する磁気吸引コア9aと、
・略カップ形状を呈するソレノイドハウジング21の上端の開口部を閉塞し、ソレノイドハウジング21と磁気的に結合する蓋部9bと、
で構成される。
具体的に、圧入穴10は、磁気吸引コア9aの軸芯の下端から上方へ向けて形成された穴であり、圧入穴10の奥方の内径は、ストッパ11との圧入代を確保するために、他の内径より僅かに小径に設けられている。
・圧入穴10の奥方の内径寸法は、ストッパ11の外形寸法(具体的には、大径部11aの外形寸法)より僅かに小径に設けられ、
・奥方を除く他の圧入穴10の内径寸法(圧入範囲外の内径寸法)は、ストッパ11の外形寸法(具体的には、大径部11aの外形寸法)より僅かに大径に設けられている。
・圧入穴10に圧入される略円板形状を呈する大径部11aと、
・この大径部11aの中心部より下方へ伸びる小径棒状を呈し、可動部材(シャフト16aまたはアーマチャ8)の上端面に当接可能な軸部11bと、
で構成される。
具体的に、この実施例のリターンスプリング17は、アーマチャ8をストッパ11から離れる方向(下方)へ向けて付勢する圧縮コイルバネであり、軸部11bの周囲に外嵌されて、軸部11bの外径がリターンスプリング17の内径を支持して、リターンスプリング17の傾斜を規制するものである。
ストッパ11は、可動部材の最大リフト位置を規制するものであるため、誤差を抑える目的で、ストッパ11は圧入穴10の奥面X(圧入穴10の内部の上端面)に当接するまで圧入される。
ここで、「圧入穴10の奥面X」と「ストッパ11の閉塞面Y(圧入穴10の奥面Xに対向する面)」とで挟まれる圧入空間の「体積比(圧入開始の体積÷圧入後の体積)」が大きいと、圧入による圧縮空気によって、ストッパ11が圧入穴10から抜け出てしまう。
具体的な一例として、この実施例1の凹部12は、図2に示すように、ストッパ11の上面(大径部11aの上面)に設けた窪みであり、例えばドリル歯による切削加工によって形成されている。
具体的な一例として、
図4(a)は、円柱状の穴(断面矩形)によって凹部12を設けたものであり、
図4(b)は、上下方向へ伸びる筒穴と、半球状の底部とから凹部12を設けたものであり、
図4(c)は、円錐状の底部(断面三角形)によって凹部12を設けたものであり、
図4(d)は、半球状の底部(断面円弧形)によって凹部12を設けたものである。
具体的な一例として、鍛造などの塑性変形技術等を用いて凹部12を形成しても良い。
このため、圧入穴10は、圧入により圧縮される空気によってストッパ11が圧入穴10から抜けるのを防ぐ体積に設けられる。
なお、「体積比」は、図5(b)に示す「圧入開始時の体積α」÷「圧入後の体積β」で求められるものであり、「抜けの安全率」は「抜け荷重F2」÷「凹部12内圧力による力F1」で求められるものである。
ここで、抜け荷重F2はストッパ11の圧入荷重により決まる荷重であり、凹部12内圧力による力F1は「ストッパ11圧入後の凹部12内圧力P1」×「凹部12断面積A1」で表される。
具体的にこの実施例では、「抜けの安全率」が3以上を確保するように、より好ましくは「抜けの安全率」が5以上を確保するように、凹部12の体積を決定している。
この実施例に示すPCV4は、ストッパ11の閉塞面Yに、圧入空間の容積を増大させる凹部12を設けている。
この凹部12により、ストッパ11の圧入後の圧入空間の体積を大きくできるため、「体積比」を小さくすることができる。これにより、圧入空間を密閉空間として設けても、空気の圧縮を抑えることができ、圧縮空気によってストッパ11が圧入穴10から抜け出る不具合を回避することができる。
即ち、この実施例では、PCV4の信頼性を高めるとともに、PCV4のコストを抑えることができる。
図6を参照して実施例2を説明する。なお、この実施例2において上記実施例1と同一符号は、同一機能物を示すものである。
上記の実施例1では、凹部12を「ストッパ11の閉塞面Y」に設ける例を示した。
これに対し、この実施例2では、凹部12を「圧入穴10の奥面X」に設けるものである。
このように設けても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
3 高圧ポンプ
4 PCV(燃料調量弁、電磁弁)
5 電磁アクチュエータ
6 バルブ
9 ステータコア
10 圧入穴
11 ストッパ
11a 大径部
11b 軸部
12 凹部
17 リターンスプリング
X 圧入穴の奥面
Y ストッパの閉塞面
Claims (5)
- ステータコア(9)に形成された圧入穴(10)の内部に圧入され、可動部材のスライド方向の一方の位置を規制するストッパ(11)を有する電磁アクチュエータ(5)において、
前記圧入穴(10)の奥部は、前記圧入穴(10)に圧入される前記ストッパ(11)により閉塞されて、外部と連通不能に設けられるとともに、
前記圧入穴(10)の奥面(X)に対向する前記ストッパ(11)の閉塞面(Y)には、前記圧入穴(10)の奥面(X)と前記ストッパ(11)の閉塞面(Y)とで挟まれる圧入空間の容積を増大させる凹部(12)が設けられることを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項1に記載の電磁アクチュエータ(5)において、
この電磁アクチュエータ(5)は、バルブ(6)を駆動するものであり、
前記電磁アクチュエータ(5)と前記バルブ(6)とを用いて電磁弁が設けられることを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項2に記載の電磁アクチュエータ(5)において、
前記電磁弁は、高圧燃料を貯溜するコモンレール(1)に向けて高圧燃料を圧送する高圧ポンプ(3)へ供給される燃料供給量を調整する燃料調量弁(4)であることを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電磁アクチュエータ(5)において、
前記ストッパ(11)は、前記圧入穴(10)に圧入される大径部(11a)と、この大径部(11a)より小径で前記可動部材に当接可能な軸部(11b)とで構成され、
前記可動部材を前記ストッパ(11)から離れる方向に付勢する圧縮コイルバネよりなるリターンスプリング(17)は、前記軸部(11b)の周囲に外嵌されるものであり、前記軸部(11b)の外径が前記リターンスプリング(17)の内径を支持することを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電磁アクチュエータ(5)において、
前記凹部(12)の体積は、圧入前後の体積比が20以下を満足するように設けられることを特徴とする電磁アクチュエータ。
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