以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図3は、本発明の第一実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A1は、台材1、2つの筒状フィルム2、2つの接合部3および2つの被包装物4を備えている。図1は、包装体A1を示す斜視図である。図2は、包装体A1を示す底面図である。図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。なお、x方向は、被包装物4の軸方向(長手方向)と一致しており、y方向は、2つの被包装物4が並べられた方向に一致している。z方向は、x方向およびy方向のいずれに対しても直角である方向である。
台材1は、2つの筒状フィルム2および2つの接合部3を介して2つの被包装物4を保持するものであり、2つの保持板部11および折り曲げ部12を有している。台材1としては、一般的な、所謂ノンコート紙と呼ばれる厚紙、普通紙、合成紙等からなる台紙の他に、表面に樹脂層が設けられた所謂コート紙、あるいは合成樹脂シートなどを採用しうる。これらは単層シート、およびこれらの2以上のシートが積層接着された積層シートなどの各種シート材を用いることができる。本実施形態においては、台材1の材料として厚紙からなるx方向を長手方向とする略長矩形状の台紙を用いる場合を例として説明するが、台材1の材質および形状はこれに限定されない。
2つの保持板部11は、2つの被包装物4を保持する部分であり、折り曲げ部12を介して互いに繋がっている。本実施形態においては、2つの保持板部11は、各々がx方向を長手方向とする長矩形状であり、y方向一端どうしが折り曲げ部12を介して繋がっている。各保持板部11は、保持面10を有しており、換言すると台材1が2つの保持面10を有している。保持面10は、接合部3を介して筒状フィルム2が接合された面である。図中の角αは、2つの被包装物4が位置する側、すなわち台材1よりも図3での図中上側において、2つの保持面10がなす角である。角αは、180°より大とされ、本実施形態においては、おおよそ270°程度とされている。折り曲げ部12は、x方向に延びており、台材1に設けられたミシン目などに沿って折り曲げられた部分である。
台材1の大きさは特に限定されないが、本実施形態においては図2に示すように、台材1は、z方向視において2つの被包装物4よりも小である。また、台材1のx方向寸法は、2つの筒状フィルム2のいずれのx方向寸法よりも小である。また、図2および図3に示すように、台材1のy方向寸法は、2つの被包装物4の中心間距離よりも小とされている。なお、台材1のうち2つの保持面10とは反対側の面は、無地のままとしてもよいし、たとえば商品名や拡販用のフレーズなど種々の意匠印刷のためのするスペースとして用いてもよい。
2つの筒状フィルム2は、後述する2つの被包装物4の少なくとも一部を密着状態で各別に覆っている。すわなち、一方の筒状フィルム2が一方の被包装物4を覆い、他方の筒状フィルム2が他方の被包装物4を覆っている。本実施形態においては、各筒状フィルム2は、各被包装物4の一部を覆っている。2つの筒状フィルム2は、各々が所謂シュリンクフィルムと称される収縮性フィルムであり、たとえば熱収縮によって被包装物4を密着状態で包装する部材である。本実施形態においては、2つの筒状フィルム2は、両端に2つの開口端20を有しており、被包装物4を挿入可能な筒状体である。なお、2つの筒状フィルム2は、例えば上下両端の少なくとも一方に開口端20を有するものであればよい。本実施形態においては、2つの筒状フィルム2の2つずつの開口端20が、ともにx方向を向くように配置されており、2つの筒状フィルム2の軸方向が、ともにx方向に沿って平行である。
筒状フィルム2を構成する樹脂フィルムの具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、ならびにポリ乳酸(PLA)、ポリアミド、およびエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ポリ塩化ビニル等のビニル系の樹脂からなるフィルムが挙げられる。また、これらの樹脂を2種以上混合した樹脂混合物を含むフィルムを用いることもできるし、2種以上のフィルムを積層した積層フィルムを用いることもできる。特に、熱収縮性であるシュリンクフィルムとしては、適切な収縮応力と高い透明性を有することから、ポリエステル系、ポリオレフィン系、およびポリスチレン系のフィルムが好ましく、ポリエステル系フィルムが特に好ましい。また、主として周方向に収縮する一軸延伸フィルムを好ましく使用できるが、軸方向にも収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。なお、一軸延伸フィルムとは、実質的に一軸延伸されているフィルムをいい、周方向(所謂TD方向)と軸方向(所謂MD方向)との収縮率が大きく異なるフィルムのことを意味するのであって、いずれかの方向に全く収縮しない(所謂収縮率がゼロである)フィルムのみをいうものではない。具体的には、例えば、90℃、10秒(温水処理)における周方向の熱収縮率が35〜80%、軸方向の熱収縮率が−5〜10%のフィルムが挙げられる。本実施形態においては、筒状フィルム2として、熱収縮性一軸延伸フィルムが用いられている。
筒状フィルム2の厚みとしては、特に限定されないが、8〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜80μm、特に好ましくは15〜60μmである。また、2つの筒状フィルム2としては、着色された樹脂筒状フィルム、あるいは商品名やデザイン等を表示するための印刷層が形成された樹脂フィルムを用いることができる。
また、本実施形態においては、筒状フィルム2は、つまみ部21および2つの切断予定線22を有している。つまみ部21は、一方の開口端20からx方向に突出した部分である。2つの切断予定線22は、つまみ部21の根元両側からx方向に平行に延びており、筒状フィルム2を縦断している。切断予定線22は、たとえばミシン目からなる。つまみ部21および2つの切断予定線22は、包装体A1から被包装物4を取り出すために筒状フィルム2を開封する際に用いられる。すなわち、つまみ部21を把持して被包装物4から引き剥がすように離間させると、2つの切断予定線22に沿って筒状フィルム2が切断される。これによって、筒状フィルム2がx方向に分断され、筒状フィルム2の開封および被包装物4の取り出しがなされる。
2つの接合部3は、台材1の2つの保持面10と2つの筒状フィルム2とを各別に接合している。すわなち、一方の接合部3が一方の筒状フィルム2と一方の保持面10とを接合しており他方の接合部3が他方の筒状フィルム2と他方の保持面10とを接合している。本実施形態においては、接合部3は、x方向に長く延びるは帯状とされているが、これは一例であり、接合部3の形状は種々に設定される。接合部3は、筒状フィルム2を台材1の保持面10に接合する機能を果たすものであればよく、その形状は特に限定されない。また、接合部3が、1つの保持面10において複数の要素に分割された構成であってもよい。
接合部3は、たとえば台材1および筒状フィルム2との接着強度が強く、被包装物4の荷重に耐えて、流通過程や陳列過程における長時間の接着状態を維持できる種々の接着剤(粘着剤を含む)によって構成することができる。このような接着剤の例示としては、エラストマー系接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、およびホットメルト接着剤等の感圧性接着剤や感熱性接着剤等が挙げられ、特に加熱塗工して筒状フィルム2を張り合わせた後、常温に冷却されたときに強い接着強度を発現するホットメルト接着剤が好適であり、中でも湿気反応型ホットメルト接着剤がより好適である。なお、接着強度は、接着剤の種類だけでなく、接着剤の塗布面積や各種添加物等によっても調整することができ、被支持物の重量等に応じて適宜調整できる。また、接合部3は、接着剤に代えて、所謂両面テープによって構成してもよい。
2つの被包装物4は、包装体A1において2つの筒状フィルム2によって保護されるとともに、台材1によって保持される対象である。2つの被包装物4の具体的構成は何ら限定されないが、本実施形態においては、2つの被包装物4は、円柱形とされており、一方の被包装物4が他方の被包装物4に対して小である。このような被包装物4の具体例としては、たとえば化粧品容器が挙げられる。なお、被包装物4は、単体の要素によって構成されるものに限定されず、複数の要素によって構成されていてもよい。たとえば、1つの被包装物4が、互いに隣接するように配置された複数の容器(要素)によって構成されていてもよい。
本実施形態においては、台材1が上述した厚紙からなるため、若干の変形が許容され、これに伴い角αの大きさが異なりうる。図3は、2つの被包装物4が2つの筒状フィルム2を介して間接的に接する状態を示している。この状態は、角αが最も小となった状態である。この状態においても、角αは、180°より大である。折り曲げ部12がさらに折り曲げられるように台材1が変形すると、角αはさらに大となるとともに、2つの被包装物4が完全に離間する。一方、図示された状態においては、2つの被包装物4が筒状フィルム2を挟んで間接的に接しているため、角αがさらに小となるように台材1が変形することは阻止されている。なお、2つの被包装物4が2つの筒状フィルム2を介して間接的に接する構成は一例であり、たとえば、2つの被包装物4それぞれのうち筒状フィルム2から露出した部分どうしが直接接する状態をとりうる構成であってもよいし、いずれか一方のみの筒状フィルム2を介して2つの被包装物4が間接的に接する状態をとりうる構成であってもよい。
図4および図5は、包装体A1の製造に用いられる包材B1を示している。包材B1は、台材1の2つの保持面10に、2つの筒状フィルム2が2つの接合部3によって各別に接合されたものである。包材B1においては、2つの筒状フィルム2は、たとえば平らに折り畳まれている。2つの筒状フィルム2の主延伸方向Sは、2つの開口端20が離間する方向であるx方向に対して直角であり、y方向に沿っている。2つの筒状フィルム2は、主延伸方向Sに沿った熱収縮が他の方向に沿った熱収縮よりも顕著に大である性質を有する。
包材B1においては、台材1はいまだ折り曲げられていない平らな形状である。台材1は、2つの保持板部11の間に位置する折り曲げ予定線12Aを有している。折り曲げ予定線12Aは、たとえばミシン目からなり、折り曲げられることによって折り曲げ部12となる部位である。
次に、包装体A1の製造方法について説明する。まず、図4および図5に示す包材B1を用意する。次いで、2つの筒状フィルム2をそれぞれ拡開する。続いて、2つの被包装物4を2つの筒状フィルム2の開口端20からそれぞれ挿入する。次いで、たとえば所定温度に設定されたスチームトンネル設備や熱風トンネル設備等を用いて2つの筒状フィルム2を熱収縮させる。これにより、各筒状フィルム2が各被包装物4に密着する。そして、折り曲げ予定線12Aにおいて台材1を所定角度に折り曲げ、折り曲げ部12を形成する。以上の工程を経ることにより、包装体A1が得られる。なお、台材1の折り曲げは、筒状フィルム2を熱収縮させる前に行ってもよいし、さらに筒状フィルム2に被包装物4を挿入する前に行ってもよい。あるいは、2つの筒状フィルム2が熱収縮する際には、2つの被包装物4がy方向に互いに引き寄せられる格好となる。これによって2つの被包装物4が直接または間接に接すると、その後は、2つの筒状フィルム2の熱収縮が台材1を折り曲げる力を生じうる。このような筒状フィルム2の熱収縮および2つの被包装物4の接触に起因する力によって、台材1が折り曲げられてもよい。
次に、包装体A1の作用について説明する。
本実施形態によれば、2つの保持面10がなす角αが180°より大であることにより、角αがさらに大となる方向に台材1が折られる余地がある角度は、180°より小さい角度に抑えられている。このため、仮に被包装物4が振られるような挙動をとったとしても、台材1が平坦な構成と比べて台材1が折り曲げられる度合いを抑制することができる。これにより、包装体A1の見栄えが悪化してしまうことや、台材1が傷んでしまうことなどを防止可能であり、複数の被包装物4を適切に保持することができる。
また、包装体A1は、角αが180°よりも大であり、かつ2つの被包装物4が接する状態をとりうる。このため、被包装物4が振られるなどにより、この状態から角αが小となる方向に台材1が折られることを阻止することが可能である。これにより、台材1の損傷などをより適切に抑制することができる。
2つの筒状フィルム2の軸方向が互いに平行であることにより、2つの筒状フィルム2それぞれの開口端20は、ともに同じ方向であるx方向を向いている。このため、一方の筒状フィルム2に一方の被包装物4を入れる際に、他方の筒状フィルム2や他方の被包装物4が干渉することを回避することができる。また、ともに柱形状である2つの被包装物4は、互いの軸方向が平行となる姿勢で台材1に保持されている。このため、図1および図2に示すように、互いの側面が接する姿勢で、比較的コンパクトに2つの被包装物4を配置することができる。
台材1は、z方向視において2つの被包装物4よりも小とされている。これにより、包装体A1の外観において台材1が占める割合を縮小することが可能である。たとえば、z方向において台材1とは反対側から包装体A1を視認した場合、保持する手段を要することなく、あたかも2つの被包装物4が互いに寄り添っているような外観を呈することができる。
図6〜図22は、本発明の他の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図6は、包装体A1の変形例を示している。本変形例においては、被包装物4が多角柱形状とされており、具体的には六角柱形状とされている。また、2つの被包装物4の大きさは略同じである。図7は、包装体A1の他の変形例を示している。本変形例においては、一方の被包装物4が四角形状とされており、他方の被包装物4が若干小さい円柱形状とされている。これらの変形例における被包装物4であっても、角αは180°より大であり、複数の被包装物4をより確実に保持することができる。また、被包装物4の形状や大きさおよび配置は、特に限定されず、角αを180°より大きく設定しうる構成であれば、様々な柱形状、さらには明確な軸方向を有さない柱形状以外の様々な形状を採用できる。この点は、後述する実施形態においても同様である。
図8は、本発明の第二実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A2は、台材1の構成が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、台材1は、連結部13を有している。連結部13は、2つの保持板部11のうち折り曲げ部12とは反対側の端縁どうしを連結している。これにより、台材1は、x方向視において三角形状となっている。なお、連結部13は、一方の保持板部11に対して折り曲げ部14を介して繋がっている。また、連結部13は、他の折り曲げ部14を介してのりしろ部15に繋がっている。のりしろ部15は、他方の保持板部11に連結部13を固定するためのものであり、図示しない接着剤などによって保持板部11に接合されている。このような構成の連結部13は、2つの保持板部11を固定しており、本発明で言う固定手段の一例に相当する。なお、該固定手段は、台材1の一部として設けられたものに限定されず、たとえば台材1とは別部材として形成されたものであってもよい。
図9は、包装体A2の製造に用いられる包材B2を示している。包材B2においては、台材1が上述した構成となるべく、2つの保持板部11、連結部13およびのりしろ部15を有しており、これらの間に位置する折り曲げ予定線12Aおよび2つの折り曲げ予定線14Aを有している。包装体A2の製造方法において、折り曲げ予定線12Aおよび2つの折り曲げ予定線14Aの折り曲げおよびのりしろ部15と保持板部11との接着を行うタイミングは、上述した包装体A1の製造方法と同様に被包装物4の挿入前後のいずれであってもよいし、筒状フィルム2の熱収縮の前後のいずれであってもよい。
このような実施形態によっても、包装体A2の見栄えが悪化してしまうことや、台材1が傷んでしまうことなどを防止可能であり、複数の被包装物4を適切に保持することができる。また、台材1は、固定手段としての連結部13を有することにより、店頭における陳列等の通常の使用状態においてはほとんど変形しないと期待できる。このため、2つの保持面10がなす角αを所望の大きさに維持することが可能である。したがって、2つの被包装物4が振られるような挙動を阻止可能であり、台材1の損傷を防止するのに好適である。
図10は、包装体A2の変形例を示しており、図11は、本変形例に用いられる包材の台材1を示している。本変形例においては、台材1が、折込部15a、切断線15bおよび舌片部15cを有している。図11に示すように、折込部15aは、連結部13に対して折り曲げ予定線14Aを介して繋がっている。また、折り曲げ予定線14Aの中央部分に、切断線15bが設けられている。舌片部15cは、図中左方の保持板部11に対して折り曲げ予定線14Aを介して繋がっており、y方向左方に突出している。また、舌片部15cの形状は、x方向両端が膨出している。
本変形例を製造する際には、台材1の折り曲げ予定線12A、折り曲げ予定線14Aを折り曲げることにより、台材1をx方向視三角形状にし、さらに、折込部15bを図11における図中左方の保持板部11の内方に折り込む。そして、舌片部15cを切断線15bに挿入することにより、台材1をx方向視三角形状の状態で固定する。なお、舌片部15cのx方向寸法は、切断線15bのx方向寸法よりも若干大であることが好ましい。これにより、舌片部15cが折込部15aに係合する。このような変形例においても、台材1をほとんど変形させないことが可能であり、2つの保持面10がなす角αを所望の大きさに維持することが可能である。
図12は、本発明の第三実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態のA3は、台材1の構成が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、台材1は、平坦に折り畳まれた形状とされている。また、2つの被包装物4は、y方向において台材1を挟んで互いに反対側に位置している。図13は、台材1および2つの接合部3を示す要部拡大断面図である。同図に示すように、台材1は、接合層16を有している。接合層16は、2つの保持板部11を、各々の保持面10とは反対側の面どうしにおいて接合している。これにより、2つの保持板部11は、接合層16によって互いに固定されており、角αは、略360°で維持されている。このような接合層16は、本発明で言う固定手段の一例に相当する。
図14は、包装体A3の製造に用いられる包材B3を示している。包材B3においては、台材1が、2つの保持板部11および折り曲げ予定線12Aに加えて、上述した接合層16および剥離紙17を有している。接合層16は、台材1のうち2つの保持面10となる面とは反対側の面に設けられており、たとえば接着剤が塗布されて形成されている。剥離紙17は、接合層16を覆うように積層されており、包材B3において、接合層16が意図せず接着してしまうことを防止するためのものである。剥離紙17の片面は、接合層16がある程度の接着力を発揮する一方、使用者の意図によって接合層16から剥離することが可能となる表層処理が施されている。図14においては、剥離紙17の図中左上隅の一部が接合層16から剥離された状態を理解の便宜として示している。また、剥離紙17の剥離によって露出した接合層16には、複数のドットパターンからなる着色を施している。
包装体A3の製造方法においては、剥離紙17を剥離した後に、折り曲げ予定線12Aにおいて台材1を折り曲げ、台材1全体を折り畳むことにより、2つの保持板部11どうしを接合層16によって接合する。剥離紙17の剥離および接合層16による接合を行うタイミングは、被包装物4の挿入前後のいずれであってもよいし、筒状フィルム2の熱収縮の前後のいずれであってもよい。
このような実施形態によっても、包装体A3の見栄えが悪化してしまうことや、台材1が傷んでしまうことなどを防止可能であり、複数の被包装物4を適切に保持することができる。また、固定手段としての接合層16によって2つの保持板部11が固定されていることにより、2つの保持面10がなす角αを所望の大きさに維持することが可能である。これにより、2つの被包装物4が振られるような挙動を阻止可能であり、台材1の損傷を防止するのに好適である。さらに、台材1が2つの被包装物4に挟まれた構成であることにより、包装体A3の外観にが台材1がほとんど現れない。このため、店頭に陳列された場合などに、包装体A3は、2つの被包装物4が密接して並んでいるような外観を呈し、これらを保持している台材1の存在を購入者に意識させないことが可能である。
図15は、包装体A3の変形例に用いられる台材1を示している。同図においては、理解の便宜上、台材1を図14に示された包材B3における状態を平面図で示している。この台材1を用いて製造された包装体A3においては、台材1の構成は図12に示す台材1とほぼ同様である。
図15(a)に示す台材1は、図中左方に位置する一方の保持板部11にのみ接合層16および剥離紙17が設けられている。図中右方に位置する他方の保持板11には、接合層16および剥離紙17は設けられていない。このような変形例であっても、剥離紙17を剥離させることによって露出する接合層16によって、2つの保持板部11を接合することができる。また、接合層16および剥離紙17を、一方の保持板部11のx方向端部付近やy方向端部付近などの一部分のみに設ける構成であってもよい。
図15(b)〜図15(d)に示す台材1は、本発明で言う固定手段として、接着剤16aを有している。接着剤16aは、2つの保持板部11を適切に接合しうるものであり、さらに、包装体A3の製造工程において意図せず接合してしまうことを回避可能なものであることが好ましい。このような接着剤16aとしては、通常公知の感熱性の接着剤や粘着剤、あるいは感圧性の接着剤や粘着剤が挙げられるが、不必要時に接着性を示さず且つ必要時に接着性を発現させることができることから、感熱性の接着剤や粘着剤(以下、これらを総称して「感熱性接着剤等」という)を用いることが好ましい。
感熱性接着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現し、冷却によって固化して部材間を接着する接着剤である。感熱性粘着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現して部材間を接着し、冷却後も粘着性が持続する接着剤である。
感熱性接着剤等の種類としては、たとえば、ディレードタック型、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型などが挙げられる。
ディレードタック型は、室温で接着性を示さず、加熱することによって接着性を示し且つ冷却後長時間に亘ってその接着性が持続するものであり、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能なものである。ディレードタック型としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、合成ゴムなどのベース樹脂に粘着付与剤及び固体可塑剤が配合されたものなどが例示される。
エマルジョン型または溶剤型は、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱接着性樹脂と粘着付与剤などを、水または有機溶剤などに溶解または分散させた溶液を、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能であり、塗工後乾燥して使用するものである。これらも、乾燥後は接着性を示さず、加熱することによって接着性を示すものである。
ホットメルト型は、ホットメルトコーター、エクストルージョンラミネーターなどによって加熱溶融して塗工するものである。この例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレンアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのベース樹脂に粘着付与剤などの添加剤が配合されたものが挙げられる。
使用される感熱性接着剤等は、通常、軟化点60℃〜180℃のものが用いられ、好ましくは、軟化点70℃〜140℃である。このような軟化点の接着剤を用いることにより、包装フィルム体20を軟化させるために加熱した際に、その熱で接着剤層30の接着剤を活性化させることができる。なお、前記軟化点は、JIS K 6863に準じて測定できる。
図15(b)に示す例においては、接着剤16aは、一方の保持板部11のy方向端縁に沿ってx方向に長く延びる帯状に形成されている。図15(c)に示す例においては、一方の保持板部11のy方向端縁に沿って複数の接着剤16aが設けられている。図15(d)に示す例においては、x方向両端縁に沿ってy方向に延びる帯状とされた2つの接着剤16aが設けられている。これらの台材1においては、接着剤16aを上述した軟化点に加熱することにより、2つの保持板部11を適切に接合することができる。また、これらの例から理解されるように、接着剤16aが設けられる位置や個数は特に限定されず、2つの保持面10がなす角αを所望の大きさに維持できるように2つの保持板部11を固定しうるものであればよい。
図16は、包装体A3の他の変形例を示している。本変形例においては、台材1には、本発明で言う固定手段は設けられていない。2つの保持板部11は、固定手段の一例である固定シール5によって固定されている。固定シール5としては、片面が接着面とされている、所謂タックシール(詳細は後述する)と称されるものを使用できる。本変形例の包装体A3を製造する際には、台材1を折り曲げた後に、2つの保持板部11それぞれの端部に固定シール5を貼り付ける。これによって、2つの保持板部11が互いに固定され、保持面10がなす角αがほぼ360°に維持される。本変形例から理解されるように、本発明で言う固定手段は、台材1の一部として設けられるものに限定されず、固定シール5に例示されるように台材1とは別部材として構成されたものであってもよい。
図17および図18は、本発明の第四実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A4は、台材1の構成が上述した実施形態と異なっている。なお、図18は、図17のXVIII−XVIII線に沿う断面図である。本実施形態においては、台材1は、2つの保持板部11と中間板部18とを有している。中間板部18は、2つの保持板部11の一方(図18における図中上方の保持板部11)に折り曲げ部折り曲げ部14を介して繋がるとともに2つの保持板部11の間に挟まれている。また、中間板部18は、他方の保持板部11(図18における図中下方の保持板部11)に接合部31によって接合されている。このような構成の台材1は、包装体A3と同様に全体が平坦に折り畳まれた形状とされており、また、2つの被包装物4は、y方向において台材1を挟んで互いに反対側に位置しており、角αは、略360°で維持されている。中間板部18は、本発明で言う固定手段の一例に相当する。
図19は、包装体A4の製造に用いられる台材1を示す斜視図である。同図に示す台材1は、全体としてx方向に長く延びる帯状とされており、2つの保持板部11と中間板部18とが、x方向に並んで配置されている。2つの保持板部11の間に折り曲げ予定線12Aが設けられており、一方の保持板部11と中間板部18との間に折り曲げ予定線14Aが設けられている。2つの保持板部11のうち保持面10となる面(図中上面)には、2つの接合部3が設けられており、中間板部18のうち保持面10となる面に続く面には、接合部31が、設けられている。接合部31は、保持板部11と中間板部18とを接合しうるものであればその具体的構成は限定されないが、本実施形態においては、接合部3と同一の材質からなり、2つの接合部3の形成と同時に形成される。
図19において矢印で示すように、まず、折り曲げ予定線14Aにおいて台材1を折り曲げることにより、中間板部18を図中右方の保持板部11の図中下方に沿わせる。次いで、折り曲げ予定線12Aにおいて台材1を折り曲げることにより、図中左方の保持板部11を中間板部18の図中下方に沿わせる。そして、該保持板部11を中間板部18の接合部31に圧着することにより、該保持板部11と中間板部18とを接合するこれにより、図17および図18に示す台材1が得られる。なお、台材1と2つの筒状フィルム2との接合は、台材1を折り畳んだ後に行うことが好ましいが、台材1の折り畳みに先立って、筒状フィルム2の接合を行ってもよい。
このような実施形態によっても、包装体A4の見栄えが悪化してしまうことや、台材1が傷んでしまうことなどを防止可能であり、複数の被包装物4を適切に保持することができる。また、固定手段としての中間板部18によって2つの保持板部11が固定されていることにより、2つの保持面10がなす角αを所望の大きさに維持することが可能であり、台材1の損傷を防止するのに好適である。さらに、包装体A3と同様に、店頭に陳列された場合などには、包装体A4は、2つの被包装物4が密接して並んでいるような外観を呈し、これらを保持している台材1の存在を購入者に意識させないことが可能である。また、図19に示すように、中間板部18を保持板部11に接合するための接合部31を2つの接合部3と一括して形成すれば、包装体A4の製造工程を不当に煩雑化すること無く、図17および図18に示す台材1を形成することができる。
図20は、本発明の第五実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A5は、台材1の構成が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、台材1は、1つのみの保持板部11を有している。この保持板部11の両面が、2つの保持面10とされている。2つの被包装物4は、台材1を挟んでy方向両側に配置されており、1つの保持板部11に接合部3を介してそれぞれ接合されている。また、角αは、略360°で維持されている。
このような実施形態によっても、包装体A5の見栄えが悪化してしまうことや、台材1が傷んでしまうことなどを防止可能であり、複数の被包装物4を適切に保持することができる。また、2つの保持面10がなす角αを所望の大きさに維持することが可能であり、台材1の損傷を防止するのに好適である。また、包装体A3と同様に、店頭に陳列された場合などには、包装体A4は、2つの被包装物4が密接して並んでいるような外観を呈し、これらを保持している台材1の存在を購入者に意識させないことが可能である。さらに、台材1を形成するための台紙などの量を削減することが可能である。
図21は、本発明の第六実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態のA6は、台材1の構成が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、包装体A6は、基材と接着剤層とが積層された、所謂タックシールとして構成されている。前記基材の表面(及び/又は裏面)には、商品名や拡販用のフレーズなどの種々の意匠印刷が施されていてもよい。また、タックシールとして構成された台材1の層構成は、2層以上の基材が積層された複層構造でもよく、またそれらの層が剥離可能に構成されていてもよい。前記基材(台材1)の平面視形状は、特に限定されず、例えば、平面視略円形状、平面視略楕円形状、平面視略長方形状などでもよい。
前記基材は、柔軟なシート(シートとは、一般にフィルムと呼ばれるものを含む意味である)から形成されており、例えば、各種紙(合成紙)や各種樹脂フィルムを使用することができる。紙基材としては、上質紙、アート紙、和紙、グラフト紙、及びボイル紙などが挙げられる。樹脂フィルムとしては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、ならびにポリ乳酸(PLA)、ポリアミド、およびポリメチルメタクリレート(PMMA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ポリ塩化ビニル(PVC)等のビニル系の樹脂から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムが挙げられる。また、樹脂フィルムは、発泡させたものであってもよい。前記基材の厚みは、特に限定されないが、例えば、10〜200μm程度である。
前記接着剤層は、前記基材の裏面全体に接着剤を従来公知の手法を用いて塗布(印刷)することにより設けられている。なお、前記接着剤は、前記基材の裏面全体にベタ状に設けてもよいし、或いは、網目状に設けても良い。接着剤としては、例えば、エラストマー系(アクリルゴム、二トリルゴム、ウレタンゴム、スチレンブタジエンゴム等)、熱硬化性樹脂系(ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等)、熱可塑性樹脂系(アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等)などの接着剤を使用することができる。特に、常温で粘着性を有する、溶剤型、エマルジョン型またはホットメルト型の感圧性接着剤を使用することが好ましい。
本実施形態においては、台材1のうち前記接着剤層が設けられた裏面が、2つの保持面10となっている。これらの保持面10が、2つの筒状フィルム2に接合されている。本実施形態においても、2つの保持面10がなす角αが180°より大である点は同様である。
このような実施形態によっても、包装体A6の見栄えが悪化してしまうことや、台材1が傷んでしまうことなどを防止可能であり、複数の被包装物4を適切に保持することができる。また、台材1のうち保持面10とは反対側の面に上述した意匠印刷が施された場合は、包装体A6の拡販を促進する効果が期待できる。
図22は、本発明の第七実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A7は、3つの被包装物4を備えており、これに対応して3つの筒状フィルム2および2つの台材1を備えている。図示された台材1は、上述した包装体A1における台材1と同様の構成であるが、これは一例であり、上述した包装体A1〜A7のいずれの構成であってもよい。3つの被包装物4は、y方向に並べられており、1つの台材1が隣り合う2つの被包装物4を保持することにより、3つの被包装物4が保持されている。なお、各台材1において2つの保持面10がなす角αは、上述した実施形態と同様に180°より大である。
このような実施形態によっても、包装体A7の見栄えが悪化してしまうことや、台材1が傷んでしまうことなどを防止可能であり、複数の被包装物4を適切に保持することができる。また、本実施形態から理解されるように、本発明に係る包装体においては、被包装物4の個数はなんら限定されない。少なくとも2つの被包装物4を備えた構成において角αが180°より大となる台材1が採用されていればよい。
本発明に係る包装体は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る包装体の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。